Kyushu daigaku fuzoku toshokan zo "Inu taka kassen monogatari" kaidai honkoku
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(2) 題. 九州大 学 附 属 図書 館蔵. 解. ︹ 犬 鷹 合 戦 物 語 ︺解 題 ・ 翻刻. 石 川. 透. 絵 本 と し て製 作 され て いたが 、 本 書 の料 紙 や 筆 跡 は、 そ れ ら の奈 良. し、 奈 良絵 頁 直 前 に よく み ら れ る散 ら し書 き や、 奈 良 絵 が 存 して い. 絵 本 に近 似 し て い る。 本書 に は、 奈 良 絵 は 存在 し て い な い。 し か. た と思 わ れ る空 白 頁 が あ る こ と か ら、 元 来 は 奈 良絵 が 貼 付 さ れ て い. 九 州大 学 附 属 図書 館 に、 目 録題 を ﹁大 鷲 合 戦 物 語 ( 仮 題 )﹂ と す る 一冊 本 が 存在 す る。 元来 は特 大 横 型 の奈 良 絵 本 だ った ら し いが、. た と思 わ れ る。 し かも、 本 書 の料 紙 や 筆 跡 か ら、 奈 良 絵 本 の中 で も. の であ った ろう 。 土 佐 派 の奈 良 絵 本 は 、 特 大本 と大 本 の大 き さ のも. 表 紙 ・挿 絵 、 さ ら には 本文 の 一部 分 も 欠 失 し て いる。 し かし 、 そ の. のが 普 通 であ るが 、 本 書 は、 横 型 の特 大 本 であ り、 貴 重 な 存 在 と な. 最 も 精 緻 か つ豪 華 に作 ら れ た、 俗 に土 佐 派 の奈 良 絵 本 と 呼 ば れ る も. 草 子 の 一作 品 で、 現在 ま で伝 存 の知 ら れ て いな い、 新 出 の物語 であ. る。 アイ ルラ ンド の チ ェスタ ー ・ビ ー テ ィ図書 館 蔵 ﹃聖 徳 太 子 伝 ﹄. 残 った内 容 か ら みる と、 室 町 時 代 から 江 戸 時 代 初期 に流 行 し た 御伽. る よ うだ 。 今 回 は、 本 書 を紹 介 す ると と も に、 本来 あ る べき 形、 そ. 入 り斐 紙 。外 題 ・内 題 、 な し。 目録 題 、 大 鷲 合 戦物 語 ( 仮 題 )。. と 思 われ る 。 現存 の状 況 から みる と、 冊子 本 が 散 扶 し、 ぼ らば ら に. に し て奈 良 絵 が と られ 、 そ の際 に本 文 の 一部 や 表 紙 も散 侠 し たも の. 分 離 し て保 存 され る こと が しぽ しぼ あ る。 本 書 の場合 も 、 そ のよ う. こ の よう な奈 良 絵 本 は 、 そ の奈 良絵 の美 しさ か ら か、 挿 絵 の みを. れ て い た であ ろ う。. が 、 や や こ の形 に近 いが 、 そ れ と 同様 に、 本 書 も 相当 豪 華 に製 作 さ. し て そ の成 立 に ついて 考察 を加 え た い。 最初 に本 書 の書 誌 を 記 す 。 函架 番 号 、支 子 文 庫 鵬れ ー。 特 大 横 型 袋 綴 、 仮 綴 一冊。 寸 法 、. 墨 付、 存 十 一丁。 毎 半 葉 、 十 三行 。 字 数 、 一行 十 五字 内 外 。 字. な った後 、 大 分 順番 を間 違 え て仮 綴 さ れ た よう だ 。 現存 の ま ま で. 竪 二 五 ・六 糎、 横 三 三 ・七糎 。 表 紙 、 な し 。 料 紙、 金泥 草 模 様. に ﹁ 九 州 大 学図 書 館 ﹂ ﹁支 子 文庫 ﹂ の 二種 が あ る。. は、 前 後 の筋 が通 ら な い。. 面 高、 約 一二 ・二糎 。 筆 写 時 期 、 ︹江戸 前 期 ︺。 印 記 、第 一丁 表. 江 戸時 代 前 期 に は、 御 伽 草 子 や平 安 朝 物 語 等 多 く の作 品 が 、 奈 良. 一31一.
(3) それ では 、 本 書 の概 略 を、 筋 が 通 る よ う に順 番 を 入 れ換 え 、 A∼. 侍 大将 に桜 丸 、 戦 奉 行 に柳丸 を定 め て、 六 万騎 の大 軍 と な る。. 合 戦 が 始 ま り、 互 い に駆 け合 い、 切 り 合 う。 日没 にな り 、 勝 負. E (第 六 ・七 丁). は ま た 明 日 に、 と約 束 し て引 き退 く。 陣 を 張 り、 夜 討 ち の用 心. A ( 第 九 ・十 丁). F の章 段 に分 け て記 す こと に し た い。. まだ ら な 犬 が す さ ま じ い声 で吠 え る のを聞 いて、鶏 が身 を そば. を し て、 大 かが り を た い て待 ち明 す 。. 鷹 の元 へ行 き 、 対 面 す る。 な にが しは 、事 が 急 だ った た め 告 げ. ん で来 た。 行 き 会 った 者 に尋 ね る と、 事 の始 終 を語 る 。 鷲 は 、. 鷲 は、 愛 宕 山 から 洛 中 のかが りを 見 て、何 事 だ 、 と都 の方 へ飛. F (第 一 。十 一丁). め て隠 れ て いる 。 折節 、 大 鷹 が こ の犬 の声 に目 を 覚 ま し、 犬 の 様 子 を見 て、 犬 に、 ﹁なぜ や かま し くす る の か。 せめ て夜 は安 眠 した い の に、 声 で眠 りが 覚 める。 大 方 の事 な ら み のが し てく れ ﹂ と いう と、 犬 が 答 え て いう に は、 B ( 第 八 丁). に伺 いを た てな い者 は いな いと いい、 早 く 洛 中 の陣 を 引 け 、 と. ら れ な か った と い い、 そ れ に対 し て鷲 は 、 鳥類 た る者 で、 自 分. 怒 る 。 な にが し は、 返 答 にも 及ぽ ず 、 そ の夜 のうち に、 各 々 の. そ の後 、 鶏 の方 へ、 青 身 鶯 をも って、 す ぐ来 る旨 を 言 い送 る。. 栖 へ帰 った。. 鶯 は、 赤 坂 へ行 って、 鶏 に伝 え る と、 鶏 は鶯 と 共 に 飛 ん で 来 る。 面 々は こ の様 子 を見 て、 ﹁珍 し い ことだ 。 ふだ ん来 る こ と. 以 上 のよ う に、 本 書 は、 犬 と鷹 を 中 心 とす る合 戦 があ り、 それ を. が な い の に、. ・C ・D の間、 そ し て F の後 は 欠 失 し て い る。 D ・E ・F の間 は、. 鷲 が 中 止 さ せ た、 こ とが 記 され て いる の であ る 。 A の前 と 、 A ・B. C (第 三 丁) ﹁別 の用 でも な い。 犬 の方 に使 を 頼 む た め に呼 んだ のだ﹂ と い. ま ず 、 書 名 であ るが 、 外 題 ・内 題 と も にな いが 、 目録 題 に ﹁大 鷲. て、 考 察 して み よ う。. 以 上 の内容 を材 料 と して 、本 作 品 の書 名 や、 構 成 ・成 立 に つ い. 型 から さ ほど 遠 いも の で は な い であ ろ う。. な い。 ま た 、 この順 番 も 、 前 後 す る 箇 所が あ る かも しれ な いが 、 原. 続 け て読 む こと が でき るが 、 あ る いは 失 われ た部 分 があ る かも しれ. う と、 鶏 が 何 の用 か と尋 ね、 詳 しく語 る。 鶏 も 、 ﹁自分 も 内 々 犬 に恨 む こと が あ る か ら 心得 た﹂ と 言 って、 犬 の方 へ急 い だ。 D ( 第 二 ・四 ・五 丁). に廻文 を見 せ ると、 物 具 を 固 め て馳 せ集 ま る。 そ の勢 は 雲霞 の. 隼 を 近付 け て廻 文 を 書 いて 遣 わす 。 隼 は 各 地 を回 り 、 松 前 の鷹. 如 く であ る。 そ れ を見 て、 な にが し は、 こ の山 は 狭 い ので洛 中. 合 戦 物 語 ﹂ (仮 題 )と あ る。 こ の仮 題 は 、 ﹃国 文学 研 究 資料 館 蔵 マイ. で 合戦 し よう 、 と いう。 柳 丸 と いう 鷹 は 、 平 地 で は かな わ な い から 難 所 で戦 か おう、 と いう。 それ に対 し て、 う す み ど り は、. ク ロ資 料 目 録. 大鷲合戦物語. 一九 八 五年 ﹄ (一九 八 六年 三 月刊 ) にも 踏 襲 さ れ、. 日本 国中 の勢 が 集 ま った のだ か ら 三陣 に分 け て戦 か おう 、 と提 案 し、 皆 同意 す る。 大 将 軍 にな にが し、 副 将 軍 に うす みど り、. 一32一.
(4) て い るが 、 本 書 を復 原 し て読 む限 り で は、 鷲 は合 戦 の主 人 公 で は な. と し て著 録 さ れ て い る。確 か に、 本 書第 一丁表 に ﹁わ し﹂ が 登 場 し. 類 と 十 二 支 と の合戦 を描 いた 作 品 で、 永 享 十 (一四 三 八) 年 には 成. ﹃十 二 類 絵巻 ﹄ は 、 十 二支 の動 物 の歌 合 か ら、 狸 を中 心 とす る獣. る。 ︹犬 鷹 合戦 物 語 ︺ は、 江 戸 時 代 前 期 で は あ るも の の、 や は り 絵. い ﹃精 進 魚類 物 語 ﹄ や ﹃鴉 鷺 合 戦 物語 ﹄ と は、 好 対 称 を な し て い. 入本 であ った点 で ﹃十 二類 絵 巻 ﹄ と 同 様 に伝 え られ た こと にな る。. 立 し て いた。 後 崇 光 院が 関 係 した 絵 巻 が 伝存 し、 絵 入 本 が 伝 存 しな. い は、 単 純 に、 ﹁ 犬 鷲 ﹂ と し た のを ﹁大鷲 ﹂ と 誤写 し た の かも し れ. 全 体 の構 成も 、 ﹃十 二類 絵 巻 ﹄ の場 合 は 、 よ り複 雑 では あ る が 、 異. く 、 鷹 を いさ め る存 在 で あ る。 ま た 、 第 九 丁表 に ﹁大 た か﹂ と いう. な いが 、 そ れ で も、 犬 と鷹 が 合 戦 し て いる の で はな いか ら、 ふさ わ. 類 が 二 つに分 れ て、 評 定 し、 合 戦 に 及 ぶ と い う大 筋 は 等 し い。 さ ら. 表 現 が あ る か ら、 それ を ﹁大 鷲 ﹂ と 混 同 し た の かも しれ な い。 あ る. しく な い。 も し、 これ に近 い題 を付 け る な らぽ 、 前 述 の内 容 、 さ ら. に、文 体 や表 現 を み ても 、 例 えば 、 ﹃十 二類 絵 巻 ﹄ にお いて 、 狸側. に は、 第 四 丁表 に、 今 度 の いく さ、 犬 と た か のあ ん ひ は、 一せ ん のう ち にあ り。. か た き手 こわ き時 は、 引 入 て、 いき を やす めな と し て、 始 終 利. 分 内 ひ ろき 所 こそ、 敵 のよ は め を み て は、 かけ 出 て 追 ち ら し、. が 評定 し て い る箇 所 に、. を得 事 な るに、 分 内 せは き、 つか穴 は、 かけ ひき の進 退 も 、 心. であ ろ う。 ﹁大 鷲 合 戦物 語 ﹂ と いう 題 は、 現 代 のあ る時 点 に付 さ れ. と いわ せ て い る こと か ら考 え て、︹犬 鷹 合 戦 物 語 ︺ と す る のが 適 当. た も のであ ろう が 、室 町物 語 の場 合、 書 名 が 混 乱 さ れ る ことが しぼ. に ま か せ ぬ故 に、 お ほく の勇 士 を、 損 亡 し つる事 は 、 し か し な. しぽ 起 る の であ る。. ・ ﹃ 室 町 時 代物 語 大 成 ﹄ 七 ). か ら運 命 の、 し から しむ る ゆ へか と、 覚 ゆ れ は 、 (堂 本 家 蔵 本. 本 書 の構 成 は、 内容 の概 略 を 記 し た よ う に断 片 的 にし か 知 り得 な いが、 全 体 的 には 、犬 と鷹 のや り と り か ら 不和 にな り 、鷹 が 一族 を. と あ る。 これ は 、︹犬 鷹 合 戦 物語 ︺ のう ち、 D の戦 評 定 の場 面 に、. 集 め 、犬 と の合 戦 に到 り、 そ れ を鷲 が 中 止 さ せ る、 と いうも のであ る。 残存 し て いな いが 、 散 侠 し た部 分 には 、 犬 側 と のや り取 り や、. よ く似 て い る。 も ち ろ ん、 ︹犬鷹 合 戦 物 語 ︺ の方 は 完 本 で は な い か. ﹁ふ ん な い せは し﹂ や、 ﹁羽 を や す め﹂ る戦 法 が 記 さ れ て いる の と. この内 容 から 、 本書 が 御 伽 草子 のう ち 、 ﹃精 進 魚類 物 語 ﹄ や ﹃鴉. 犬側 の状 況 が 記 さ れ、 結 末 も 長 く付 され て いた ろ う。. に近 い作 品 では な いか と想 像 が つく。. ︹ 犬 鷹 合 戦 物 語︺ には 、 D以 外 にも 、 戦 法 が 詳 しく 記 さ れ、 特 徴. ら、精 確 な比 較 は でき な いが 、こ のよ う な こ と から、 ﹃十 二類 絵 巻 ﹄. の 一つと な って いる。 こ こ でも う 一つ具 体 例 を取 り 上げ 、 そ の成 立. う。 ただ し、 そ れ ら の 二作 品が 、 二条 良 基 や 一条 兼 良 の製 作 と され る よ う に、 御 伽 草 子 の中 で も漢 文 脈 の雄 渾 な 文体 であ る の に 対 し. 鷺 合 戦 物 語 ﹄ 等 の異類 合 戦 謳 の流れ に属 す る こと は 明 ら か で あ ろ. て、 本 作 品 は和 文 脈 の勝 った 文体 であ る。 和 文 脈 が 勝 って い る点 で. 背 景 を探 ってみ よ う。. E の場面 では、 いよ い よ合 戦 が 始 ま り、 そ の様 子 を 次 のよ う に描. は、 や は り異 類 合 戦 潭 の 一作 品 であ る ﹃十 二類 絵 巻 ﹄ に近 い面 が あ り、 内 容 や表 現 にも近 似 点 を見 出 す こと が で き る。. 一33一.
(5) や う に かく れ は、 い ん に とち 、 き よ り ん にせ むれ は、 く は く よ. い て いる 。. 魚 鱗 に陣 を か た め鶴 翼 に旗 を な び かす (﹃群書 類 従 ﹄ 二十 一). 軍記 の ﹃河 越 記 ﹄ には、. と いう よ う に、 や は り語 呂 よく 対 応 し て表 現 さ れ て い る。 し か し、. 前 掲 の陰 陽 を 含 め て、 ︹犬 鷹 合 戦 物 語︺ の表 現 に最 も 近 い の は、 古. く に っら な り 、 た か ひ に しを か へり みす 、 最 初 は 、 ﹁陽 に懸 く れぽ 、 陰 に閉 ぢ ﹂ で、 陰 陽 に つい て語 呂 よ く 述. 活 字 本 ﹃保 元 物 語 ﹄ であ る。 巻 中 の ﹁白河 殿 攻 め落 す 事 ﹂ に は、. 敵 魚 鱗 に懸 破 ら ん とす れ ぽ 、 御方 鶴 翼 に つらな って射 しら ま か. べた も の であ る。 む ろ ん、 底 辺 には 陰陽 五行 思 想 があ るが、 越後 流. す 。 御 方 陽 に開 き て か ごま んとす れ 共 、 敵 陰 に とち て か こ まれ. の ﹃武 経 要 略 ﹄ を始 め とす る多 く の兵 法 書 が 説 く よう に、 これ は、 陣 形 の攻 防 を 示 し て い る よう だ 。 そ の中 でも 、山 鹿 流 ﹃兵法 神 武雄. る道 な れ ば 、敵 も ちら ず 御方 も ひ かず 。 (﹃日本 古 典 文 学 大 系 ﹄). ず 。 黄 石 公 が つた ふ る所 、 呉 子 ・孫 子 が秘 す る所 、 互 に知 った. 守 る 者 は其 き ざ し陰 にと ち ら れ、 攻 む る 者 は其 いき ほひ 陽 に ひ. 備 集 ﹄ 戦 律之 巻 に、. とあ る。 魚 鱗 ・鶴 翼 、 さら に陰 陽 に ついて も、 似 た 表 現 を と って い. 比 羅 本 等 の古 写 本 に はみ ら れず 、 古 活 字 本 の独 自 な 部 分 であ る 。 内. る。 実 は 、 こ のよ う な記 述 は 、 ﹃ 保 元物 語 ﹄ のう ち、 半 井 本 や 金 刀. 容 から み る と、 付 加 され 得 る も のであ る か ら、 古 活 字 本系 統 の伝 本. ら く、 陰 に とつ る 者 は 人 にか こ まれ 、 陽 に ひら く 者 は人 を か こ. と 記 さ れ て い る よう に、 ﹁陰 にとち ﹂ ﹁陽 にひ らく ﹂ と 表 現 され て い. が 成 立 した 時 に書き 加 え ら れ た のかも しれ な い。 時 代 は 下 る が 、 万. む 。 (﹃山鹿 兵 学 全 集 ﹄ 二). る 。 この 場合 は、 城 の攻 防 を 述 べ たも ので あ るが 、 兵 法 を説 く 上 で. 治 二 (一六五 九 )年 刊 の浄 瑠 璃 ﹃四 天王 む し や執 行 ﹄ に 、. こ のよ う な表 現 が な さ れ て いた こ とが わ か る。 し か し、 こ の 表 現. てき の心 の取 や う、 ぎ より ん か Σり 、 く わく よく の ひら き 、 い. は、 ﹃太 平記 ﹄ 巻 第 十 四 に、 敵 一萬 鯨 騎 、 陰 二閉 テ 園 マ ント ス レド モ不 レ園 、 陽 二開 テ懸. んよ う のに んず だ て 、 ぐ んき を か んが へし る事 ち ゑ な く て は 有 べか らず 。 (﹃ 新 群 書 類 従 ﹄九 ). (慶 長 八年 古 活 字 本 ・ ﹃日本 古. 齪 サ ント ス レド モ敢 テ 不 レ齪. と 、 似 た表 現 が あ る こと か ら、 こ のよ う な表 現 が 語 り物 を中 心 に流. 典 文 学 大 系 ﹄) とあ よう に、 軍 記 物 語 にも 使 用 され てお り、 合 戦 の攻 防 に お い て、. 行 して いて、 古 活 字 本 ﹃ 保 元物 語 ﹄ は、 そ れ を記 し た も のと も推 測. う ち も の Σつは を と、 け んけ き いな つま を とは す る よ そ ほ ひ、. た と も考 え得 るが 、 こ の記 述 の直 前 に、. ︹犬鷹 合 戦 物 語 ︺ の場 合 も、 こ のよ う な流 行 して いた表 現 を借 り. で き る。. 一般 的 な 表 現 で あ った こ とが 想 像 でき る。 次 の ﹁魚 鱗 に攻 む れば 、 鶴 翼 に連 な り﹂ も 、 や は り兵 法 上 の陣 形 を 示 した も ので あ る。 唐 太 宗 の ﹃帝範 ﹄ に は、 魚鱗 ・鶴 翼 の 二 つが. て いた よう だ。 北 条流 の ﹃兵 法雌 鑑 ﹄ を始 め多 く の兵 法 書 に図 示 さ. か ん は の は せち か ふかあ り さま は、 ほ うけ ん の いに し へも か く. 並 記 され てお り、 日 本 に お い ても 、 八 陣 の内 の二種 と し て、 知 ら れ. れ 、 ﹃源 平 盛 衰 記 ﹄ 等 に は、 そ の様 子 が文 章 で記 さ れ て い る。 室 町. 一34一.
(6) や と お ほ え て、 お ひた xし。 と あ る よ う に、 ﹃保 元 物 語 ﹄ を意 識 し て いる よ う であ る か ら、 直 接 的 には 古 活字 本系 の ﹃保 元 物語 ﹄ を見 て、 この表 現 を 作 った可 能 性 が 高 い であ ろ う。 さ ら に推 測 を加 えれ ぽ 、古 活 字 本 系 の ﹃保 元 物. ︹犬 鷹 合 戦 物 語 ︺. こくら き いは ほ のかけ より、 ま たら な. る犬 の、 す さ ま しき こゑ して、 ほえ. A. から 、 あ る いは、 本 書 の成 立 は江 戸 時 代 にな って から か も し れ な. や ら ん。 おそ ろ し の事 や 。 いか Σし て. 出 たり 。 ﹁いか さ ま、 これ は 我 を見 てな く. 語 ﹄ が 一般 的 に な る の は、 や は り古 活 字 で印 刷 され て か ら であ ろう. い。 と す れぽ 、 江 戸 時 代 に流行 す る異 類 合戦 諏 の嗜 矢 的 な存 在 とな. ふ せ か ん﹂ と ( か た かけ の、 な ひき あ ひた. る であ ろ う。. るす 玉き の中 に わけ いり、 身 をそ. 本 書 に つ いて は、 他 に言 う べき 点 も 多 くあ るが 、何 分 断 片 的 な た め、 残 り の部 分 、 あ る いは 同系 統 の完 本 の出 現 を 待 って か ら、 改 め. と と ひま は り、 ほえ あ. は あ て、 か く れ ゐ たれ は 、 か な た こな た を、 かろく. て考 え てみ た い。. お と ろき 、 めを さ ま し、 は た Σき を し. を し め てあ り し か、 此 犬 の こゑ に. りく 。 おり ふし、 又、 み ね か た な るま つ. F の章 段 に分 け て掲 出 した 。 丁数 は、 仮 綴 の順 番 通 り に記 し た。 ま. て、 あ たり を 見 れ とも 、 ま な ごに さ へ. 以 下 に、 目 録題 ﹁大 鷲 合 戦物 語 ﹂ を ︹犬鷹 合 戦 物 語 ︺ と し て、 そ. た、 改 行 は 底 本 のま ま と し、仮 綴 の状 態 が復 原 でき る よ う に 努 め. のこす ゑ に、 大 た か のす を か け、 ねく ら. た。 挿 絵 が あ った と思 わ れ る 箇 所 は、 ︹白 丁︺ と し た。 丁 数 は終 り. き るも のも な し。 こす ゑ を さ り て、 い. の全 文 を 翻 刻 す る。 翻 刻 に際 し て は、 入 れ違 った順 番 を 正 し、 A∼. に ( ) で示 し た。 漢 字 ・異体 字 は お おむ ね現 行 書 体 に統 一し、 私. た か の申 け る は、. ﹁いか に犬 と の、 聞 た ま へ。 そ のは ら は、. ︹白 丁︺. え ま は るを 見 て 、. ま し見 る所 に、 か のい ぬ しき り に ほ. は のか た にや す ら ひ て、 こと のよ しを す. 最 後 に、 本書 の閲 寛 と翻 刻 掲載 の御 許 可 を 賜 わ った 九 州 大学 附 属. に句 読 点 、 並 び に ﹁ ﹂ を 付 し た。. とおる). な お、 本 書 の 調査 に当 り 、文 部 省 科 学 研究 費 補 助 金 (奨励 研 究. 図 書 館 に厚 く 御 礼申 し 上げ た い。 ( 翻 刻 許 可番 号、 九 大 図 相 第 19号 ). A) が 利 用 さ れ て い る。 ( いし かわ. (9 オ ). (9 ウ ). (10 オ ). 一35一.
(7) つけ 、 い か な る 心 に て か 、 さ や う に や か ま し. い ま に は し めぬ事 な から、 な に を見. る な と、 こと は に いた す は か り に て、. や う の さ ん く は い の 折 ふ し も い か Σあ. C ︹白 丁 ︺. と し た る く ち 、 さ し の へ て 、 ﹁へち. り 、 ﹁そ れ は 、 な に や う の つ か ひ や ら ん ﹂ と と ふ 。. こ に、 しや う し申 な り ﹂ と い へは、 には と. は ん へれ と も 、 そ の た め は か り 、 い ま こ. た の ま んた めな り。 ひと へにお それ いり. き に あ ら す 。 御 身 、 犬 の か た へ、 つ か ひ を. く. し や う し申 事 も な し。 し か る に、 た 蕊. (10 ウ ). 、 犬 には うら む る事. とき ひ て、. そ の とき 、 は し めを は り のこ とを 、 く は し. ﹁わ れも 、 な いく. く か た る。 には鳥 、 つくく. あ れ は 、 こ エう え た り 。 い か て か そ む き. 申 へき ﹂ と て 、 さ ん け ん の や う を い ひ あ. (8 オ ). く 、 人 を お と し、 かま へのこ ゑを いた し て、 か なた こな た と し たま ふそ や。 わ れ. の おそ れ あれ 、 せめ て よ る はゐ. ら こ と き の や う な る も の、 ひ る は い ろ. く を やす く せ ん とす る に、 と かり た る. て い ふや う、 ﹁な に、 かく の たま ふは、 た かと. の かし た ま へかし ﹂ と い へは、 犬 のき い. の よし な き事 なら は 、 き エの か し見. ね ふり を さ ま しは ん へるな り 。 大 か た. 声 のみ 瓦に いれ は 、 お も ひな か ら も. B ︹白 丁 ︺. は せ 、 ﹁し こ く う つ さ し ﹂ と て 、 座 し き を. そ の の ち 、 ま た 、 に は 鳥 の か た へは 、 青 身 鶯 を も つ て 、 ﹁申 た ん す へき し さ い有 。. た つ て 、 犬 の か た へそ 、 い そ き け る 。. て、 しそ く は や ふ さを ち か つけ、 く わ い. よ りも 、 ゆ た ん し ては あ し か る へし﹂ と. は ん し を す て エ、 来 り た ま へ﹂ と い ひ. D. おく る。 うく ひす 、赤 坂 にゆ き む か つて、 つか ひ のむ ね を の ふる。 く たか け き Σ て 、 ﹁い か な る 事 や ら ん ﹂ と お も ひ、 と る も. ふ ん を かき て、 ﹁これ を そ こく. の も と り あ へす 、 う く ひ す と う ち つ れ て 、 と ひ き た る 。 を のく. も ち てま か れ﹂ と いひ つか はす 。 は や ふさ、. へな ん. る よ り も 、 ﹁め つ ら し のあ か さ か と の や 。. 、 こ のよ しを 見. 御 身 は 、 ふ た ん、 さ と に ま し ま せ は 、 か. (8 ウ ). (3 オ ). (3 ウ ). 一36一.
(8) に た か Σを か、 それ より ま つま へにく た. わ し のみ ね、 と う こく に は、 さ かみ の国. つ、 ら く 中 た か 玉み ね、 あ ふ み の国 に. う け た ま は り 、 御 ま へを ま か り た ち 、 ま. な と に は、 さ や う の は かり 事 も よ か. か りあ つめ せ い に て、 わた く し いく さ. み と り 、 す エ み 出 て 、 ﹁そ れ は 、 か り そ め の. の へけ れ は 、 そ の 中 に、 わ し の み ね の う す. 一時 に ゑ つ へ し と お も ふ は い か に ﹂ と. る へし 。 こ れ は 、 す て に 日 本 国 の せ い. り、 か のく わ い ふ ん を見 せけ れ は、 ま つ. あ つま り て、 こ の やま にゐあ ま つた. ま への た か と も 、 是 を き 玉 て 、 ﹁に く き. り 。 こ ま の か け ひ き も 、 い か て か な ふ へき 。. ゐ て、 な に のえ き か あ る ら ん。 こ の にん. せ ん の う ち に あ り 。 一し よ に あ っ ま り. 今 度 の いく さ 、 犬 と た か のあ ん ひ は、 一. し た い か な 、 は や 、 う つ た て 人 工﹂ と て 、 と. (2 オ ). る も の も と り あ へす 、 も の Σ く 、 ひ し く と か た め て、 か のと ころ に、 は せき た る。 そ の せ い、 う んか の ことく 、 た に みね に. しゆ を み つに わ け、 せ ん ち んは 、 み や こ 一. ゐあ ま つてそ み え に け る。 な に か し、 こ. て う た か つ か さ の へん に い た し 、 二 ち ん. 、 こ のや ま は. れ を見 て、 ﹁い かに め んく. 柳 丸 と い ふた か、 す Σみ出 て い ふや. とそ 申 け る 。 そ の中 にも 、 ま つま への. か つ せ んを せ んと い ふ、 も つと も し か る へし﹂. く. は、 あ ら て のむ しや を いた し て、 かけ た て. ち ん つか れ は、 二 ち ん にゆ つり、 二 ち ん つか れ. く つて、 と り への エ へん にを き 、 せ ん. ひ か へさ せ、 さ て あ ら て の む し や を す. の つは も のは、 三 て う と ひ の こう ち に. う、 ﹁お ほ せに て は候 へ共 、 さた めて、 か た. と. き も 大 せ いに てあ る へし。 し から は 、. これ、 ち ん へい しう ほ つか みち な り ﹂ と. さ く ら ま る、 いく さ ふき や う に は、 ま つま へ. と り 、 さ ふ ら ひ 大 し や う に は 、 た か Σみ ね の. ふ く し や うく んは 、 わ し のみ ね の うす み. て、 大 し や うく ん は、 ひか し や ま の な に か し、. こ のき にと う す。 さ. た 瓦か は エ、 な と か か つ事 を え ん。. 平 地 のか け あ ひ そ、 かな ひ かた し。 お. 申 せは 、 を のく. らす 。 ら く 中 に出 て、 ひ ろく. ふ んな い せは し。 かけ ひき も しゆ う な. (2 ウ ). な しく は、 て き を な ん しよ にひ き う け て、 かけ な や ま し、 み かた の せ い つか れ は 、 こす ゑ に の ほ つて 羽 を や. いく さ せは 、 か つ事 を. す め、 かた き く た ひれ たら んと き は、 も みた てく. (4 オ ). (4 ウ ). 一37一.
(9) E. こち んは、 いま た あ は たく ち 、 き よ 水 の. き 。 せん ち ん、す て にら く 中 にいれ は、. 柳 丸 と さ た め、 そ の せ い、 つか う 六 ま ん よ. り そき 、 を のか ち んく. と やく そ く し て、 あ ひ引 に ひき し. せ う ふを け つし か た し。 又 、 明 日 こそ ﹂. さ いしう に入 せ た ま へは、 ﹁いさ、 け ふ は. を かき り にき り あ ひけ る。 日 す て に. あ かす 。. いし てま ち. ︹白 丁︺. か Σる所 に、 う へみぬ わ し は、 あ た こ のや. いな つま をと は す る よ そ ほ ひ、 か ん は の. ひけ る。 うち も の Σ つはを と 、 け ん けき. と ひ にゆ き あ ひ、 こと の よし を た つ. と て、 みや この か た にと ひき た り、 と. う 火 のお こ りた り と お ほ え た り﹂. は そも 何 事 そ や 。 いか さ ま、 是 は ひや. ま よ り 、 ら く ち う の か Σ り を 見 て 、 ﹁こ. は せち か ふか あ り さ ま は、 ほう け ん の い. ね け れ は 、 は し め お は り の 事・ をかた. F. き 、 た か ひにき を つめ、 か つち う を た. う ち のよ う し ん し て、 大 か か り を た. を は り、 夜. へん にさ Σ へた り。 そ の よそ ほ ひ、 み な. (6 オ). (5 ウ ). (5 オ ). ひ Σし くそ. け る。. 見えたり. ︹白 丁︺. ︹白 丁︺ かく て、 かた き み か た かけ あ は せ、 矢 二 す ち いち か ふ る ほと こそあ れ 、 う ち. に し へも かく や と お ほえ て、 お ひた Σし。. 物 のさ や は つし、 いれ ち か つ てき り あ. の せ いに入 か は る。 二ち んう け と るあ ら. 両 ち ん た かひ に つかれ け れ は、 二 ち ん. ことを おも ひた ち、 き みを も お そ. れす 、 わ た く し な いく さ し て、 ら く中. し やう にた いめ んす 。 な にか し、 ま. と て、 た か のか た へかけ り ゆ き て、 大. を さ う 乏 う さ す る こ と の、 う た て さ よ ﹂. て の いく さ を は し め、 を ひな ひけ かけ. る 。 わ し き 玉 て 、 ﹁あ さ ま し や 。 い か な る. (6 ウ ). と を し、 や う に かく れ は 、 いん に と ち、. つら な り、 た か ひ に しを か へり みす. き よ り ん にせ むれ は , く は く よく に ﹁ひ くな ﹂ と人 にけ ち せら れ て、 めく き. へ7 オ ). (7 ウ ). (ー オ ). 一38一.
(10) お それ あ り。 な いく. か く と申 あ. か り い て Σ、 ﹁是 ま て の 御 出 は 、 申 も 中. け た く候 ひ つれ と も、 事 き う に は ん. く. へる ゆ へ、 か く と も 申 さ ぬ な り ﹂ と て 、 は し め お はり の こと を かた り、 わ し. 鳥 るゐ た る物 、 いさ 臨か な る. き Σ て 、 大 の ま な ご を 見 ひ ら き 、 ﹁そ. もく 事 をも 、 わ れ に う か 玉は ぬ も の な し。. の身 と し て、 か 玉る大 き を わ たく し. し か る に、 な ん ち、 そ れ か し か さ う て ん. に く はた つる てう 、 か つて も つて心 え す。 そ れ のみな ら す 、 一て ん のき み. も い こんな れ 。 は や く、 こ の ち ん、. (ー ウ ). 一39一. にも おそ れす 、 ら く 中 のさ はき 、 か へ すく. ひゐ て のく へし。 さあ ら ん に を ひ て、 そ れ か し か 一も ん を も つて、 こよ ひ. へし﹂ と 、 い かり け る。 な に か し、 一こ ん の. の う ち に、 な んち を う ち ほ ろ ほす. へん たう にも を よは す、 其 夜 のう ち. か か へる 。. す みか へ. お のれく. の こ し、. に、 たき す て たる か エり火 を. ︹白 丁︺. 11 ウ. 11 オ ) ....
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