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Furansu jido bungaku ni okeru sofubo to mago to senso : Nihon no senso jido bungaku to no hikaku o tsujite

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Academic year: 2021

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(1)Title Sub Title Author Publisher Publication year Jtitle Abstract Notes Genre URL. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org). フランス児童文学における祖父母と孫と戦争 : 日本の戦争児童文学との比較を通じて 小林, 理紗子(Kobayashi, Risako) 古石, 篤子(Koishi, Atsuko) 慶應義塾大学湘南藤沢学会 2012-03 研究会優秀論文 古石篤子研究会2011年度秋学期 Technical Report http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=0302-0000-0655.

(2) lsFC-SWp 2011-A-003. ラフラ ンス児童文学 における祖父母 と孫 と戦争 -日 本 の戦 争児 童文学 との比 較 を通 じて一 2011年. 度. 秋 学期 AUTUMN. O 圓O 切 ¶O ﹂ PO 9畠 O ﹁ 5 一〇 mWO O 圓O 碑︽. 小林 理紗子 環境情報学部4年 古 石 篤 子 研究会 慶應義 塾 大 学湘 南 藤 沢 学 会. H.

(3) 推薦 のことば. わ が 国 で は フ ラ ン ス 児 童 文 学 は イ ギ リス の そ れ ほ ど 知 られ て い な い 。 ま た 、 ユ ー ゴ や フ ロ ベ ー ル な ど に代 表 さ れ る い わ ゆ る 「フ ラ ン ス 文 学 」 の な か に お い て も、 こ の 児 童 文 学 は そ れ ほ ど注 目 を 集 め る 存 在 で は な い 。 しか し (2)"Le. Plaisir. de lire". 小 林 理 紗 子 君 は2009年. (フ ラ ンス 語 に よ る 多 読 研 究 会)に. 度 か ら古 石 研 究 会. 参 加 し、 コ ン ス タ ン ト. にそ して 丹 念 に フ ラ ン ス 語 で フ ラ ン ス 文 学 作 品 を 読 み 解 く う ち に この 分 野 の 作 品 に 出 会 っ た 。 そ して 卒 業 制 作 に お い て は 、 そ の な か で も 「 祖 父 母 と孫 の 関 係 」、 と りわ け 「 戦 争」 が 描 か れ て い る 作 品 を 選 ん で 、 日本 児 童 文 学 に お け る 「 戦 争児 童 文学」 の ジャ ンル に分 類 さ れ て い る い くつ か の 作 品 との 比 較 を 行 う た 。 そ の 分 析 を 通 じて 両 国 の 児 童 文 学 に お け る 祖 父 母 と孫 の 関 係 の 描 か れ 方 、 そ し て 戦 争 の 伝 え 方 が 同 じ で は な い こ と を 明 らか に し た 。 扱 わ れ た フ ラ ン ス 児 童 文 学 作 品 はPepe. la Bou1ange. rお じ い ち ゃ ん の 休 暇 』 、 Un grand-pere. tOmbe du ciel『 わ た し は 忘 れ な い 』、 Mamie Memoire『 お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 』 で あ り、 日本 側 は 『海 辺 の 家 の 秘 密 』、 『 屋 根 裏 部 屋 の 秘 密 』、 『発 掘 屋 お フ ミ さ ん 』 で あ る 。 小 林 君 は フ ラ ン ス の も の は す べ て フ ラ ンス 語 で 読 破 し、 論 文 の な か で も 引 用 部 分 に は 自 ら の 翻 訳 を 付 け て い る 。 大 学 の 学 部 生 で これ だ け の フ ラ ンス 語 文 献 を 読 み こな し、 か つ そ れ を批 判 的 な 目 を も っ て わ が 国 の 文 学 作 品 と比 較 した こ と は 抜 き ん 出 た 成 果 と して 大 き く評 価 した い 。 よ っ て こ の作 品 を優 秀 論 文 と して 強 く推 薦 す る 。. 慶應 義塾大学 総合政策学部教授 古石篤子.

(4) 慶應義塾大学SFC. 2011年 度. 古石篤子研究会. 卒業プロジェク ト. フ ラ ンス児 童 文 学 にお け る祖 父 母 と孫 と戦 争 ―日本 の戦争児童 文学 との比較 を通 じて―. 慶應 義 塾 大 学SFC. 環 境 情 報 学 部4年. (70843725/tO8372rkQsfc.keio.ac.jp). 小林 理紗 子.

(5) 目次. は じめに. 3. 一章. 5. フランス児童文学 における 「 祖父母 と孫の物語」の定義 と特徴. 二章. 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 に お け る戦 争 の 描 か れ 方. 2.1Pepe 2.2Un 2.3Mamie 2.43作. la Boulange『 grandPere Memozre『. 9. お じい ち ゃ ん の 休 暇 』. tombe. du ciel『. わた しは忘れ な い』. お ば あ ち ゃ ん の記 憶 』. 品 の共 通 点. 三章. 日本児童文学 における 「 戦争児童文学」の定義 と特徴. 24. 四章. フ ラ ン ス と 日本 の"祖 父 母 と孫 と戦 争 を描 い た 物 語". 27. 4.1作 品 の あ らす じ 4.2比 較 分 析. お わ りに. 35. 注. 38. 参考文献. 39. 謝辞. 41. 2.

(6) は じめに. 高 齢 化 社 会 とは 、 一 般 に は全 人 口の 中 で 高 齢 者 の 割 合 が増 えて い る社 会 を指 すiが、 日本 は 第 二 次 世 界 大 戦 後 急 速 に少 子 高 齢 化 が進 行 し、 そ の水 準 も高 い こ とか ら社 会 問題 と して 頻 繁 に 取 り上 げ られ て い る。 フ ラ ン ス は 日本 ほ ど急 速 な進 行 は み られ な い もの の 、 少 子 高 齢 化 社 会 に はす で に突 入 して お り、 ほ か の先 進 諸 国 と同様 、 少 子 高 齢 化 の進 行 が 予 測 され て い るii。こ う した少 子 高齢 化 社 会 は 、 人 々 に 老 後 どの よ うに生 き て い くか とい う課 題 を 与 え 、 望 ま しい 家 族 関係 へ の意 識 を高 め る。 平 均 寿 命 の 伸長 は 祖 父 母 と孫 の共 有 す る時 間 を 長 期 化 し、祖 父 母 と孫 の 関係 を よ り深 くす る可 能 性が あ るー-1。 祖 父 母 に とっ て孫 との 交流 は き わ め て 大 切 な もの で あ り、生 き が い や 楽 しみ とな る。一 方 孫 に とっ て 祖 父 母 との交 流 は 、 人 間 の 一 生 あ るい は家 族 の ライ フサ イ クル を理 解 す る 貴 重 な機 会 とな る。 祖 父母 と孫 の 関 係 お よび 祖 父母 と して の役 割 の 重 要 性 が 高 ま っ て い る現 在 、 こ うした 社 会 で は 両 世 代 の 関 係 を家 族 問題 の 一 つ と して考 え な けれ ば な らな くな っ て い る とい え るだ ろ う。 この よ うな 高 齢化 の傾 向 か ら、 老 人 と子 ど もの 問題 を 取 り上 げ 、 老幼 の 関 わ りの 大 切 さを伝 え る児 童 文 学 作 品 が 数 多 く出版 され る よ うに な っ たi・ 。 と こ ろで 戦 争 は急 激 な社 会 変 化 を もた ら し、 各 世 代 の 孤 立 を招 い た ・ 。 フ ラ ン ス児 童 文 学 に は祖 父 母 の戦 争 体 験 を孫 が知 る様 子 を描 い た 作 品 が あ る が 、 そ れ らは 共 通 して祖 父 母 も 孫 も世 代 内部 に 閉 じこ も る こ とな く戦 争 とい うテ ー マ を共 有 し、彼 らは 良好 な 関係 を築 い て い く。祖 父 母 の伝 え る戦 争 は 、祖 父母 と孫 の 相 互 交 流 を支 え 、強 い メ ッセ ー ジ性 を持 つ 。 ま た 戦 争 を経 験 した 世 代 が少 な くな って い る現在 、 若 い 世代 が 戦 争 を 知 り、語 り継 い で い く こ とは 重 要 な テ0マ で あ る。 児 童 文 学 作 品 に お い て 祖 父 母 と孫 の 関係 は どの よ うに描 か れ 、 戦争 は どの よ うに祖 父 母 か ら孫 へ 伝 え られ て い くの か。 本 論 文 の 目的 は フ ラ ン ス児 童 文 学 にお け る祖 父 母 と孫 と戦 争 の そ れ ぞ れ の 重 要 性 と役 割 を 明 らか にす る こ とで あ る。 そ して そ の為 に 比 較 対 象 と して 日本 児 童 文 学 を 取 り上 げ る。 フ ラ ンス と 日本 の祖 父 母 と孫 と戦 争 を描 い た児 童 文 学 作 品 か ら、 そ れ ぞ れ の 国 で 「 祖 父母 と孫 の 関 係 」 と 「 戦 争 」 が どの よ うに描 かれ て い るの か を浮 き 彫 りに し、 そ の役 割 と重 要 性 の違 い か ら二 国 間 の 違 い を考 察 し、 児 童 文 学 にお い て これ らの2つ. の テ ー マ を描 く こ と. の 意 義 を 明 らか に した い。. そ こ で 本 論 文 で は フ ラ ン ス児 童 文 学 にお け る 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 と、 日本 児 童 文 学 に お ける 「 戦争 児 童 文 学 」 の そ れ ぞ れ の 作 品 か ら3作. 品ず つ 取 り上 げ て 比 較 分 析 を行 い 、 フ. ラ ン ス と 日本 の児 童 文 学 に描 かれ る祖 父 母 と孫 と戦 争 の描 き方 の 違 い を 明 らか にす る こ と を 目指 す 。. 3.

(7) まず 一 章 で は 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 を 定 義 す る た め 、 フ ラ ン ス の祖 父 母 と孫 の 関係 を描 い た8作. 品 を子 ども た ち の 両親 の 関係 の あ り方 に よ っ て4つ. の類 型 に分 類 す る。 祖 父 母 と. 孫 の物 語 の 基 本 的 な 特 徴 と、 フ ラ ン ス児 童 文 学 にお い て祖 父 母 と孫 の 関係 は どの よ うに描 か れ て い るの か を 明 らか に す る こ とが 目的で あ る。 二 章 で は一 章 で扱 った8作 的 に孫 が 知 る様 子 を描 い た3作. 品 の 中 か ら、祖 父 母 の持 つ戦 争 体 験 と、 そ れ を直 接 的 、 間接 品 を取 り上 げ 、分 析 を行 う。 祖 父 母 か ら孫 へ の 戦 争 体 験 の. 伝 え方 お よび 祖 父 母 と孫 の 視 点 か ら見 た 戦 争 が ど の よ うに描 か れ て い る か を分 析 し、 フ ラ ン ス児 童 文 学 にお い て祖 父 母 か ら孫 へ い か に戦 争 が伝 え られ るの か を 明 らか に す る。 三 章 で は フ ラ ン ス 児 童 文 学 の特 徴 を浮 き彫 りにす るた め 、 比 較 対 象 と して 日本 児 童 文 学 を取 り上 げ る。 日本 児 童 文 学 に お け る 「 戦 争 児 童 文 学 」 の 定 義 を行 い 、 作 品 を5っ. の類型. に 分 類 し、そ の特 徴 を 示す 。 最 終 章 の 四 章 で は 、 フ ラ ンス児 童 文 学 作 品 と 日本 児 童 文 学 作 品 か らそ れ ぞ れ3作 を 取 り上 げ、 分 析 を行 う。 分析 の 対 象 は 二 章 で扱 っ た3作. 品ず つ. 品 と、 三 章 で扱 った 戦 争 児 童 文. 学の 「 子 ど もた ち が 戦 争 の 話 を 聞 き 、 戦 争 の歴 史 を探 る物 語 」 の 中 か ら祖 父 母 と孫 と戦 争 を 描 い た3作. 品 で あ る。 計6作. 要 性 に よ り3つ. 品を 「 祖 父 母 と孫 の 関係 」 と 「 戦 争 」 の2っ. のテーマの重. の類 型 に分 類 し、 フ ラ ンス と 日本 の児 童 文 学 作 品 にお い て 、祖 父 母 と孫 の. 関係 お よび 戦 争 が どの よ うに描 か れ 、 効 果 を持 っ て い るの か を導 き 出す 。. これ らの分 析 を通 じて 明 らか に な った こ とは 、フ ラ ン ス児 童 文 学 の 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 で は 、家 族 を通 じて祖 父 母 と孫 が歩 み 寄 り、 交 流 す る姿 が 見 られ 、 祖 父 母 と孫 の 関係 が 家 庭 の問 題 と共 に描 かれ て い る とい うこ とで あ る。 比 較 対 象 の3作. 品 に お い て も、祖 父 母 と. 孫 の 関係 は家 族 の重 要 な位 置 づ け と して 描 か れ てい た。 それ に対 し、 日本 児 童 文 学 の3作 品 で は祖 父 母 の 想 い が 孫 へ伝 え られ る様 子 は描 か れ る も の の 、 戦 争 の描 写 が 細 か く、読 者 に 戦 争 を伝 え、 考 え させ る意 図 が よ りは っ き りと見 て とれ た。 この こ とか ら も フ ラ ン ス 児 童 文 学 は 老 い や 家 族 、祖 父 母 との 関係 を描 き 、 日本 児 童 文 学 は反 戦 や 平 和 を訴 え る こ と に よ り子 ど もた ち に生 死 を考 え させ 、 そ れ ぞ れ の 国 の 重 要 視 す る主 題 の傾 向 に違 い が あ る こ と を読 み 解 い た。 また 、 「 祖 父 母 と孫 の 関係 」 お よび 「 戦争 」 とい う2つ の テ ー マ の持 つ 役 割 と子 ど もた ち に与 え る影 響 を明 らか に し、 筆 者 は これ らが今 後 の 児 童 文 学 にお い て 必 要 性 の あ る 、極 めて 重 要 なテ ー マ に な るの で は な いか と考 え て い る。. 4.

(8) 一章. フ ランス児童 文 学 にお け る 「 祖父 母 と孫 の物 語 」の 定義 と特徴. 本 論 文 で は祖 父 母 と孫 の 相 互 交流 を描 い た児 童 文 学 作 品 を、 「 祖 父 母 と孫 の物 語 」 と して 取 り上 げ る。 「 は じめ に」 で 述 べ た とお り、 高齢 化 社 会 に よ って 老 幼 共 通 の 時 間 は増 え 、 高 齢 者 と子 ども が 関 わ る こ とが相 互 世 代 を理 解 す る重 要 な 課 題 に な っ て き てい る。 こ の章 で は 、ま ず 高 齢 者 と子 ど もが抱 え るそ れ ぞ れ の 問題 につ い て 考 え 、次 に 「 祖 父 母 と孫 の物 語 」 の分 類 を 行 う。 高齢 者 の 重 大 な 問 題 は 、病 気 や 死 に直 面 す る こ とで あ る。 配 偶 者 や 同世 代 との 死 別 を 受 け入 れ 、自分 自身 は 生 きが い を持 ち、家 族 との 良好 な 関係 を築 い て い か な けれ ば な らな い ・ ・ 。 一 方 子 ど もは 自分 が何 者 で あ る か 、 何 を成 し遂 げ る か とい うこ と を模 索 して 成 長 して い く。 そ の た め 自分 の属 す る家 族 や 社 会 に 関心 を持 ち 、 そ の 中 で 自身 の役 割 を見 出 そ うとす る の で あ る。 高 齢 者 は加 齢 に伴 い 援 助 を必 要 と し、 子 ども との 交 流 に よっ て 生 や 成 長 を感 じ、 生 き る喜 び を見 出 す 。 子 ども は 高 齢 者 と交 流 す る こ とで老 い や 死 を知 り、 家 族 や 人 間 の ラ イ フ サイ クル に つ い て 理解 す るの で あ る。 ま た祖 父母 期 間 の 伸長 に よ り、高 齢 者 は子 ど も との 同別 居 の 問題 を抱 え る よ うに な っ た・ii。 高 齢 者 を もっ 家 族 は この 問 題 に 直 面 し、 彼 らが 自分 の 子 ど もや 孫 世 代 と よ り良好 な 関 係 を 築 け る よ う配 慮 しな け れ ば な らな い の で あ る。 多様 な家 族 形 態 が あ る現 在 、 児 童 文 学 は 祖 父 母 と孫 の 関係 を どの よ うに捉 え 、描 い て い る の か 。 祖 父 母 と孫 を見 る際 は 親 子 とは 異 な る 関係 性 は も ち ろ ん 、彼 らの 家族 構 成 お よび 家 庭 環 境 に も注 目 しな けれ ば な らない 。 そ こで フ ラ ン ス児 童 文 学 の 「 祖 父母 と孫 の物 語 」 の 中 か ら、 筆 者 の知 り得 る 限 りの 日本 語 訳 され てい る8作. 品 を分 析 対 象 と し、祖 父母 と孫 の 間 に挟 まれ た世 代 、 つ ま り子 ど も た. ち の 両親 の関係 に着 目 して以 下 の4つ. の類 型 に 分類 し、 そ れ ぞ れ の特 徴 をみ て い く。 両 親. の 関 係 性 が祖 父 母 と孫 に どの よ うに影 響 し、 彼 らの 関係 性 を変 えて い くの か を考 察 す る た め で あ る。 1.両 親2人. あ るい は どち らか一 方 が 不在 で 、祖 父 母 と孫 関 係 お よび 親 子 関係 を描 く物 語. 2。 両親2人. は不 仲 だ が 、祖 父 母 と孫 に 直接 関 わ らな い 物 語. 3.両 親 が2人. とも揃 っ て い て 、家 族 の都 合 で祖 父 母 と孫 の 関係 が生 み 出 され る物 語. 4.両 親 の都 合 は描 かれ ず 、 それ とは 別 に祖 父 母 と孫 の 関係 が 生 み 出 され る物 語. 1.両. 親2人. Nicole. あ るい は どち らか一 方 が不 在 で 、祖 父 母 と孫 関係 お よび 親 子 関係 を描 く物 語. Schneegans著La. plus grande. lettre du monde(1983)(ニ. 著 『世 界 で い ち ば ん 長 い 手 紙 』1987)、Marie. Desplechin著TVerte(1996)(マ. ル シ ャ ン 著 『魔 女 に な ん か な りた く な い!』2002)で. 5. コ ル ・シ ュ ニ ー ガ ン リー ・デ プ. あ る。 『世 界 で い ち ば ん 長 い 手 紙 』(以.

(9) 下 『世 界 で 』 と略 記 す る)は 両親 の い な い ニ コ ラが 祖 父母 と暮 ら し、祖 母 の 死 の シ ョ ッ ク か ら声 を失 っ て しま う。 祖 父 と2人. で 辛 い 日々 を送 っ て い るが 、祖 父 の 言 葉 に励 ま され 、. い な くな っ た 父 親 と会 う決 意 をす る。 最 後 に は 父親 と手紙 をや り と り し、 父 親 の正 体 を知 る と こ ろで 物 語 は終 わ る。 『魔 女 に な ん か な りた くな い!』(以. 下 『魔 女 に』 と略 記 す る). は 魔 女 の 家 系 に生 ま れ た ヴ ェル トが 将 来 は普 通 の 女 の 子 に な りた い と思 い 、 早 く成 長 して 魔 法 を使 え る よ うに な っ て ほ しい と願 う母 親 の 意 思 に反 抗 す る。 ま た ど う して 自分 の 父 親 が い な い の か が 分 か らず 、 父 親 の い る家 庭 に憧 れ を抱 い て い た。 ヴェル トは 毎 週祖 母 と会 うよ うに な って か ら魔 法 の 力 に 目覚 めて い き 、魔 法 に よ っ て別 居 して い た 父 を探 し出 そ う と考 え る。 『世 界 で』 の ニ コ ラ も、 『魔 女 に 』 の ヴ ェル トも 、親 が い な い こ とに疑 問 を抱 き 、 最 後 は い な くな っ た 自分 の父 親 を知 る。 『世 界 で』 で は 祖 父 が 親 代 わ り とな っ て ニ コ ラを育 て 、 父 親 に会 わせ よ う とす るが ニ コ ラ は反 発 す る。 しか し祖 父 の 思 い を知 っ て 、 ニ コ ラ は父 親 に 会 うこ とを決 意 す る。 『魔 女 に 』 で は祖 母 が ヴ ェル トの 力 を 引 き 出 し、魔 法 で 父親 探 し をす る こ とに 協 力 す る。 どち ら も祖 父 母 が 孫 の 両 親 の 代 わ り とな っ て 親 の役 割 を 担 い 、 孫 の 不 安 な気 持 ち を解 消 して い く。 そ して孫 は祖 父 母 の力 を借 りて親 を探 し当 て 、 家 族 の 絆 を 確 か め るの で あ る。. 2.両 Anna. 親2人. は不 仲 だ が 、祖 父 母 と孫 に 直 接 関わ らない 物 語. Gavalda著35kilos. d'espou・(2002)(ア. Claire Clement著Loulette(2006)(ク. ン ナ ・ガ ヴ ァ ル ダ 著 『ト トの 勇 気 』2006)、. レ ー ル ・ク レマ ン 著 『ル ウ とお じい ち ゃ ん 』2008). で あ る 。 『ト トの 勇 気 』(以 下 『 ト トの 』 と 略 記 す る)で. は ト トの 両 親 は 毎 日喧 嘩 し 、 ト ト. を 学 校 に 行 か せ 、 勉 強 させ よ う と必 死 に な っ て い る 。 将 来 を 悩 む ト トは 、 唯 一 の 理 解 者 で あ る 祖 父 の 言 葉 に 励 ま さ れ 、 技 術 高 等 学 校 を 目指 し、 楽 し い 学 生 生 活 を 送 る よ う に な る 。 『ル ウ とお じ い ち ゃ ん 』(以 下 『ル ウ と 』 と略 記 す る)で. はル ウの 両 親 は 離 婚 し、ル ウ は. 母 親 と弟 と 暮 ら して い る。 祖 母 の 死 か ら一 変 し 、 口 を 閉 ざ し て し ま っ た 祖 父 を 救 うた め 、 祖 父 を 誘 拐 して 貨 車 で か く ま うこ と を 思 い つ く 。 『ト トの 』 で は 両 親 が 毎 日喧 嘩 し 、 『ル ウ と 』 で は 両 親 が 離 婚 し て お り 、 そ れ ぞ れ 仲 が 良 好 で あ る とは い え な い 。 し か し 両 親 の 不 仲 は 夫 婦2人. の 問 題 で あ り、 こ こ で は 親 子 問 題 は. そ こ ま で 重 要 で は な い 。 ト トは 両 親 の 喧 嘩 と プ レ ッ シ ャ ー を 辛 く 感 じ 、 自分 で 希 望 を 見 出 し て い く し 、 ル ウ は 母 親 の 手 を 借 りず に 、 自 分 の 力 で 祖 父 の 意 識 を 取 り戻 し て い く 。 両 親 の 力 を 必 要 と す る の で は な く 、 孫 自身 が 行 動 し て 問 題 を 解 決 し て い く 様 子 が 描 か れ る 。 そ れ を見 た 祖 父 母 は孫 を応 援 し、孫 に 心 を動 か され る。. 6.

(10) 3.両 親 が2人. と も揃 っ て い て 、 家 族 の都 合 で祖 父 母 と孫 の 関係 が 生 み 出 され る物 語. Yael Hassan著Un. grandpare. 忘 れ ない 』2008)、Christian. tombe du ciel(2006)(ヤ. Greasier著Mercredi. ル ニエ 著 『水曜 日の うそ 』2006)、Herv6. Mensonge(2004)(ク. Jaouen著Mamie. ジ ャ ウエ ン著 『お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 』2004)で. エル ・ハ ッサ ン著 『わ た しは リス チ ャ ン ・グ. Memozre(1999)(エ. ル ヴェ ・. あ る。 『わ た しは 忘 れ な い』(以 下 『わ た し. は 』 と略 記 す る)の 主 人公 レア の 両親 は 、 結 婚 を 受 け入 れ て も らえず 、 レア の祖 父 と冷 戦 状 態 が続 い て い た。 そ の た め祖 父 に 会 った こ との な か った レァ は 、 自分 に は 祖 父 母 が い な い と思 い こ んで い た の で あ る。 レア は 自分 の祖 父 につ い て 両親 に尋 ね るが 、 き ま っ て 「 大 人 の事 情 な んだ 。 お ま えは も っ とあ と に なれ ば わ か る こ とな ん だ よ」 と言 っ て話 を切 り上 げ られ て しま う。 しか しあ る 日ニ ュー ヨー ク か ら突 然 や っ て き た 祖 父 に レア は期 待 を 膨 ら ま せ る が 、 祖 父 の態 度 は 冷 た く、 家 族 は 険 悪 に な って しま う。 しか し知 りた が り屋 の レア は 、積 極 的 に祖 父 に 話 しか け 、仲 良 くな る うち に 両 親 か らは 聞 け な か っ た 家 族 の秘 密 を知 っ て い く。 『水 曜 日の うそ 』(以 下 『水 曜 日の』 と略 記 す る)で は 、 イ ザ ベ ル とそ の 一 家 が 父 親 の仕 事 の 都 合 で リ ヨ ン に 引越 し、 水 曜 日だ け パ リの家 に 戻 る。 イ ザ ベ ル の祖 父 が 毎 週 水 曜 日に パ リの 家 に遊 び に や っ て く るか らだ 。 イ ザ ベ ル は リ ヨ ン に 引 っ越 した こ と も、 弟 が 生 まれ る こ とも秘 密 に して い る が 、祖 父 に は気 付 か れ て い た 。 家 族 と祖 父 が互 い に 嘘 を つ き なが らも 、相 手 を思 い や っ て生 き て い く物 語 で あ る。『お ば あ ち ゃ ん の記 憶 』(以 下 『お ば あ ち ゃ ん の 』 と略 記 す る)で は 、 ヴ ェ ロ の祖 母 が 火 事 を起 こ し、 アル ツ ハ イ マ ー病 で あ る こ とが発 覚 す る。 ヴェ ロの 伯 父 と伯 母 は ヴ ェ ロの 家 族 とは違 い 、華 麗 な 邸 宅 に住 み 、 祖 母 を厄 介 者 扱 い して 引 き 取 ろ う と しな い 。 そ れ に 対 し、 ヴェ ロの 一 家 は い つ も散 らか っ た 家 に暮 ら して い る が 、祖 母 を温 か く迎 え入 れ 、 ヴ ェ ロ はそ の 日か ら祖 母 と共 に暮 らす こ と に な る。 最 初 は 祖 母 に 振 り回 され て うん ざ り して い た が 、大 好 き な祖 母 の た め に 、祖 母 の 記 憶 を刺 激 し、過 去 を 引 き継 い で い こ うと決 意 す る。 『わ た しは 』 と 『お ば あ ち ゃ ん の 』 で は 突 然 祖 父 母 が家 に や っ て き て 、 孫 は祖 父 母 との 時 間 を強 い られ る。 『水 曜 日の』 で は親 の転 勤 に よ って 、 祖 父 の も とを 離れ な けれ ば な らな く な る。 い ず れ の 作 品 も孫 た ち は突 然 変 化 した 環 境 に戸 惑 い 、祖 父 母 と接 して い く。 しか し共 有 の 時 間 が 残 りわず か だ と分 か る と、祖 父 母 と孫 の距 離 は 急 接 近 し、 孫 は 両親 か らは 聞 く こ との な か っ た過 去 の事 実 を知 っ て い く。 『お ば あ ち ゃ ん の』 で祖 母 がや っ て きた の は 両 親2人. の都 合 で は な い が 、家 族 が祖 母 を. 思 い や っ て い た か らこ そ 、祖 母 を迎 え られ た の だ ろ う。 祖 母 の 病 を受 け入 れ られ ず 、 思 い や りの な い伯 父 母 一 家 で は 、祖 母 は 生活 す る こ とが で き な か っ た はず で あ る。 こ の3作 に は祖 父 母 と孫 関係 だ け で な く、 家族 の祖 父 母 へ の愛 情 も描 かれ て い る。. 7. 品.

(11) 4.両 親 の都 合 は描 か れ ず 、 それ とは別 に祖 父 母 と孫 の 関係 が生 み 出 され る物 語 Yvon. Mauffrey著Pepe. 休 暇 』1992)(以. la Bo ulange(1986)(イ. ヴォ ン ・モ ー フ レ著 『お じい ち ゃ ん の. 下 『お じい ち ゃ ん の』 と略 記 す る)は. トマ が祖 父 と2人 で祖 父 の 故郷 ベ ル. イ0ル 島 に 出 か け 、 そ こで の様 子 を描 い た物 語 で あ る が 、 こ こで は トマ の 両 親 の事 情 は ま っ た く出 て こな い 。 母 親 は 寛 大 な 心 で トマ を旅 行 に送 りだ し、 トマ は素 晴 ら しい 夏 休 み を 過 ごす 。 しか し母 親 に 心 の 余裕 が な けれ ば トマ は旅 行 に行 く こ と も、祖 父 と2人. で時間 を. 共 有 す る こ と も な か っ た だ ろ う。 母 親 の お か げ で トマ は家 族 も知 らない よ うな祖 父 の顔 や 過 去 を知 り、祖 父 を支 え 、励 ま す よ うに な る。. 以 上 の類 型 にお い て 、 フ ラ ン ス の児 童 文 学 に お け る 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 は祖 父 母 と孫 の 関 係 を 中 心 に 描 い て は い る も の の 、 そ れ だ け で は な く両 親 の 関係 お よび 家 庭 の 問 題 を も 浮 き彫 りに して 描 い て い る こ とが分 か る。 祖 父 母 が 孫 の家 族 と生 活 す る た め には祖 父 母 の 介 護 が 必 要 で あ り、祖 父 母 を受 け入 れ る家 庭 環 境 が な くて は な ら ない 。 こ の 章 で 取 り上 げ た 「 祖 父 母 と孫 の 物 語 」 か らは 、子 ど もた ち の 両親 の 仲 や 家 庭 環 境 が 祖 父 母 と孫 の 関係 に 大 き く影 響 して い る こ とが 明 らか で あ り、家 族 の 全 体 像 や 問題 点 を取 り上 げ 、 そ の 中 で 祖 父 母 と孫 が歩 み 寄 る様 子 が 共 通 して 見 られ る の で あ る。 物 語 の 中 で の 祖 父 母 と孫 の そ れ ぞれ の 役 割 を ま とめ る と、祖 父 母 は老 い 、 死 、 戦 争 な ど 子 や 孫 に 強 い メ ッセ ー ジ を残 し、今 後 どの よ うに 生 き て い け ば い い か とい う解 決 策 だ け で な く 、何 らか の 課 題 を 投 げか け て い る。 孫 の秘 め た 力 に注 目 し、 そ の 発 達 を 援 助 す る い わ ば親 の 役 割 を担 い 、自身 の 生 きが い を見 出 して い く。孫 は祖 父 母 や 両親 に 自 ら働 き か け て 、 家 族 の 関係 を変 え 、祖 父 母 に生 き る力 を与 え て い く。 大 人 に言 わ れ た こ とに た だ 従 うの で は な く、 自分 の 考 え を持 っ て 行 動 す る。 祖 父 母 と孫 の そ れ ぞれ の 問題 が 関連 し合 うこ と に よ って 、互 い に 良好 な 関係 を 築 い て い け るの で あ る。 しか し祖 父母 は 孫 との 共 有 の 時 間 が 限 られ て い る こ とに気 付 き、 わず か な 時 間 で孫 に 何 か を伝 え よ う とす る。 孫 もま た祖 父母 との 時 間 を大 切 に し、 想 い を 引 き継 こ うとす る。 「 祖 父母 と孫 の物 語Jを 読 ん で 、 読 者 は祖 父 母 か ら孫 へ の 継 承 を 知 り、 両 親 とは 別 の 強 い 愛 情 で結 ばれ て い る こ とを理 解 す る。 祖 父 母 と孫 は家 族 の 中で それ ぞ れ の 役 割 を 担 い 、 互 い を 支 え合 うの は も ち ろ ん 、家 族 全 体 を支 えて 生 きて い る の だ と感 じ させ る の で あ る。. 8.

(12) 二章. 「 祖父母 と孫の物語」における戦争の描 かれ方. 一 章 で は フ ラ ンス 児 童 文 学 の 「 祖 父 母 と孫 の物 語 」を8作 品 取 り上 げ て 類 型 分 析 を行 い 、 祖 父 母 と孫 の 関 係 が家 庭 の 問 題 と共 に 描 かれ 、祖 父 母 と孫 が そ れ ぞ れ の役 割 を果 たす こ と で 互 い は もち ろ ん家 族 を支 え る関係 を 築 い て い る こ とを 明 らか に した。 二 章 で は一 章 で扱 っ た8作. 品 の 中 か ら、祖 父 母 と孫 お よび 戦 争 を描 い た3作. 品 を取 り上. げ 、 物 語 の あ らす じ、 戦争 体 験 の描 か れ 方 、 祖 父 母 と孫 が それ ぞ れ 戦 争 を どの よ うに感 じ て い る の か をみ て い く。 これ らは全 て祖 父 母 の戦 争 体 験 を孫 が 知 る様 子 を描 い た 作 品 、 即 ち 『お じい ち ゃん の休 暇 』、 『わ た しは 忘 れ な い』、 『お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 』 で あ る。 ま た こ の 章 の最 後 に 、 これ らの3作. 品 に 共 通 す る点 か ら 「 祖 父 母 と孫 の物 語 」 に お い て 戦 争 を描. く こ との 意 義 を 明 らか にす る。 , 尚、 本 論 文 で 引 用 す る箇 所 は 、 いず れ も祖 父 母 の 戦 争 体 験 が 語 られ る 、 あ るい は戦 争 に つ い て祖 父 母 また は孫 が想 い を巡 らせ る場 面 と会 話 文 で あ る。. 2.1Pepe. la Boulange『. お じい ち ゃ ん の休 暇 』. あ らす じ 少 年 トマ が72歳. のお じい ち ゃ ん と2人 で故 郷 のベ ル イ ー ル 島 に 出か け 、休 暇 を過 ごす 物. 語 で あ る。 誕 生 日に突 然 、 お じい ち ゃ ん がベ ル イ ー ル 島 に 帰 る と言 い 出 し、 家 族 は 困 惑 す る。 そ し て 孫 の トマ が 一 緒 につ い て い くこ とに な っ た。 トマ は 最 初 はお じい ち ゃ ん との2人. 旅 に戸. 惑 っ て い た が 、 トマ の母 親 は トマ を優 し く送 りだ す 。 お じい ち ゃ ん の 戦 争 体 験 を聞 き 、 お じい ち ゃん が 戦 争 に よ って 別 れ た友 人 と出会 い 、2人 が 互 い に心 を 開 い て い く様 子 を 見 て 、 トマ は お じい ち ゃん の 知 らな か っ た一 面 を知 っ て い く。 ベ ル イ ー ル 島 の 南 端 ロ クマ リア で 、 トマ た ちは ホ テ ル の 女 主 人 ロー ザ とそ の姪 ガ エ ル に 出 会 う。 トマ はベ ル イ ー ル 島 の 自然 に触 れ て 、 夢 中 に な っ て い く。 一 方 お じい ち ゃ ん は ヴ ァ ラ ンテ ィ ヌお ば さん とい う、 戦 争 前 に この 島 で 親 し く して い た女 性 の 家 を訪 ね て い た 。 お じい ちゃ ん は ヴ ァ ラ ンテ ィヌ お ば さん と再 会 し、 日に 日に若 返 って い く。 そ の様 子 を見 て い た トマ は 、 あ る 日お じい ち ゃ ん の様 子 がお か しい こ とに気 付 く。 お じ い ち ゃ ん は ヴァ ラ ンテ ィヌ お ば さん と共 に暮 ら した い と思 っ て い た が 、 断 られ て しま い 落 ち込 ん で い た の だ。お じい ち ゃ ん の想 い を 聞 い た トマ は 、ヴ ァ ラ ンテ ィヌ お ば さん を訪 ね 、 も う一 度 お じい ち ゃ ん の想 い を伝 え る。 そ こへ 突 然 ガ エル が や っ て き て 、 お じい ち ゃ ん が 事 故 に 遭 っ た と告 げ る。 お じい ち ゃ ん は散 歩 の途 中で 海 岸 の 岩 場 か ら落 ち、 全 身 を 打 撲 し て い た 。 ヴァ ラ ン テ ィヌ お ば さん は お じい ち ゃ ん の 介 護 を し、 トマ は 隣 で 見 守 っ て い る。. 9.

(13) お じい ち ゃ ん は 目を 覚 ま し、 も う一度 ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さ ん に 共 に暮 ら した い とい う想 い を告 げ た。 ヴァ ラ ン テ ィ ヌ お ば さん は と うと うそ の想 い を受 け入 れ る。 お じい ち ゃ ん と ヴ ァラ ンテ ィヌ お ば さん はベ ル イ ー ル 島 に残 り結 婚 す る こ とに な っ た。 トマ は1人 で船 に乗 っ て 帰 り、 こ う して トマ とお じい ち ゃ ん の休 暇 は終 わ る。. 戦 争 体 験 の描 かれ 方 トマ の お じい ち ゃ ん が最 初 に 戦 争 の こ と を 口 にす るの は 、 ベ ル イ ール 島 へ 向 か う途 中 、 戦 友 の マ ル シ ャ ル と会 っ た 時 で あ る。 お じい ち や ん とマル シ ャル の 思 い 出 話 を 、 トマ は退 屈せ ず に 聞 い て い る。 トマ の 目の前 に 、 戦争 が 浮 か び 上 が る。. Et voila je savais. que. nos. grand-pere. atravers. leurs. mais. contre. aux de. par. premiers partout,. la foule. des. vieillards. y await. souvenirs le petit. fours. de. dans. capitaine. qui. les evocations=la. ete soldat.. 1'adjudant. 1'offensive. et les stukas civils sur. partis. Untel, Machin. dans. les ponts. se deroule. une qui. allemande.... piquaient. les routes,. Elle. guerre. vraie. tout ((peau. 6七ait si gentil Les. un. coupes,. blindes. bruit. de. 39-40!Apeine. a coup de. d'apocalypse!Et. moi,. vache))celui-la,. et qui. ennemis. devant. si. s'est fait tuer qui deferlaient la retraite,. la debacle!(pp.23-24). お じ い ち ゃ ん た ち は 思 い 出 に の め り 込 ん で い く 。1939年. か ら40年. の 戦 争 だ!ぼ. く. は お じ い ち ゃ ん が 兵 隊 さ ん だ っ た こ と な ん て 、 ほ と ん ど 知 ら な か っ た 。 お じい ち ゃ ん の 思 い 出 話 を 聞 い て 、 突 然 ぼ くの 目 の 前 に 戦 争 の 世 界 が 広 が っ た ん だ 。 あ る 曹 長 は 本 当 に とげ とげ し くて 、 そ れ に対 して ち っ ち ゃ な 隊 長 の 方 は とて も優 しか っ た け れ ど、 ドイ ツ が 攻 め て き て す ぐ に 殺 さ れ て し ま っ た ん だ っ て … … あ ち こ ち か ら 攻 め て く る 敵 の 機 甲 部 隊 、 こ の 世 の 終 わ り の よ う な 騒 音 を た て て 突 進 し て く る 急 降 下 爆 撃 機(ス テ ユ カ)!そ. し て 退 却 、 街 道 上 に い る 市 民 の 群 れ 、 遮 断 さ れ た 橋 、 そ し て 潰 走!viii. こ こで は 、第 二 次 世 界 大 戦 の 思 い 出 が語 られ 、「 機 甲部 隊 」や 「 急 降 下爆 撃機(ス テ ユカ)」 な どの トマ が 聞 い た こ との な い 言 葉 が 出 て きて い る。 次 の 日 トマ は 「 急 降下爆撃機」 とは 何 か を尋 ね る と こ ろ か ら始 ま り、戦 争 とお じち ゃ ん とお ば あ ち ゃ ん が 出会 っ た 時 の こ と を 知 って 、 人 生 に思 い を はせ る。 戦 争 を経 験 したお じい ち ゃ ん の過 去 は 次 の よ うな も ので あ る。 お じい ち ゃ ん は 小 さい 頃 ロ クマ リア で 育 ち 、 隣 に は ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さん と家 族 が住 ん で い た 。 二 人 は 兄 妹 の よ うに 育 ち 、昼 も夜 も一 緒 に 過 ご した 。 しか しお じい ち ゃ ん の 父 親 が 死 ん で お じい ち ゃ ん が 島 を 出 る 時 、 ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さん はす で にル ・パ レの い わ. 10.

(14) し工 場 で 働 い て お り、二 人 は別 れ る。 お じい ち ゃ ん は 母親 の い と こが や って い るオ ー ベ ル ヴェ リエ の パ ン屋 で働 い た 。 戦 争 が 始 ま り、 ドイ ツ軍 が攻 めて き て か らお じい ち ゃ ん は 運 よ く逃 げ る こ とが で きた 。 フ ラ ン ドル 地 方 の あ る農 家 が お じい ち ゃ ん を か くま い 、 お じい ち ゃ ん は そ の 家 の 長 女 ミ ナ ・ヴ ァ ンデ ル ブ ル ッ ク(ト マ の お ば あ ち ゃ ん)と 結 婚 した 。 そ して2人. の子 ども が生 ま. れ る。 1945年. 、 戦争 の終 っ た す ぐ あ と に、 お じい ち ゃ ん は ベル イ ー ル 島 に帰 って きた 。 そ の1. 年 前 に 母 親 が死 ん だ が 、 そ の 時 に は フ ラ ン ス は解 放 され て は い て も ドイ ツ兵 が海 岸 の と こ ろ ど こ ろ を 占領 して お り、 帰 っ て 来 る こ とが で き なか っ た の で あ る。 特 に キ ブ ロン とベ ル イ ール 島 は近 づ く こ と もで き な か っ た 。 お じい ち ゃん は家 とわ ず か の 土 地 を売 っ て 、 ほ と ん ど誰 に も会 わず に こそ こそ 帰 っ て しま う。 従 っ て そ の 時 ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さん に も会 う こ とは な か っ た。. そ の後 お じい ち ゃ ん の 口 か ら戦 争 の 話 が 出 て く る こ とは あ る が 、 そ れ は 戦 争 前 の ベ ル イ ー ル 島や ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さん を 思 い だ す 時 で あ り、お じい ち ゃ ん は 戦 争 の恐 ろ し さや 反 戦 を伝 え よ うと して は い な い こ とが わ か る。. 祖 父 に とっ て の戦 争 お じい ち ゃ ん が 戦 争 を語 る時 、 それ は 決 して悲 しい も の で は な い 。 今 ま で 無 口だ っ た お じい ち ゃ ん は 戦 友 マ ル シ ャル と戦 争 の 思 い 出 話 をす る時 、 突 然 力 に満 ち濫 れ 、 い き い き と した 青 年 の よ うに な っ た。 そ して 「 急 降 下 爆 撃 機 」 や お ば あ ち ゃ ん との 出 会 い を話 し聞 か せ る。 お じい ち ゃ ん が 、 一 度 ベ ル イ ー ル 島 に戻 っ て 来 た 時 の 話 をす る シー ン が あ る. ‐Oui, etait. si on. morte. un. jusqu'au. points. approcher!Des daps. attendue.... n'ai. de. son. bouts vu. la. perso皿e. cote j'ai de. donc. 6tait. pu,. je. suis. un que. presque.. Ton saut nous En. juste. n'avais. meme. liberee, et. Flandres.. terrain. je. Quiberon. fait. ou. quarante-cinq, et. France. pays. de. en. auparavant. que. J'ai. quelques Je. an. C'etait. cimetiさre.コLa. certains. la-bas. veut.... jusqu'ici,. tout. 11. et cas. je. pas. me. pu. guerre.. venir. on. marie ne, mis Buis. Valentine. avec. et to en. encore. ne. pouvait. to. grand. pas mere. Marcelle la. etait. maison,. comme. Cl6ment.... mere. 1'accompagner. tante. vente. sauve. Ma. tenaient. exemple,. deja j'ai. la. Allemands. m'etais. etait. avions,. les par. Je. papa. apres pas. mais. Belle-lle. venu.. 。. un A. les voleur.. quoi. bon!.

(15) (pp.74-75) 「あ あ 、 そ うだ … … 、 あ れ は1945年. 、 ち ょ う ど戦 争 が 終 わ っ た 時 だ 。 わ しの 母 が. 一 年 前 に 亡 く な っ て 、 わ し は お 墓 ま で 連 れ 添 う こ と も で き な か っ た の だ よ。 フ ラ ン ス は 解 放 さ れ て 自 由 に な っ て い た が 、 ドイ ツ 軍 が ま だ 海 岸 の と こ ろ ど こ ろ に い た 。 例 え ば キ ブ ロ ン と ベ ル イ ー ル は 近 づ く こ と が で き な か っ た!近. づ け る よ うに な っ て か ら、. す ぐ帰 っ て き た よ 。 私 は お 前 の お ば あ ち ゃ ん と 、 お ば あ ち ゃ ん の 故 郷 フ ラ ン ドル の 地 で 結 婚 して い た よ 。 お 前 の お 父 さ ん は も う生 ま れ て い て 、 マ ル セ ル は お ば あ ち ゃ ん の お 腹 の 中 に い た … … だ か ら わ し は こ こ に す ぐ 帰 っ て き て 、わ しが 持 っ て い た 家 と少 し の 土 地 を 売 り に 出 した 。 そ し て 泥 棒 の よ うに す ぐ 立 ち 去 っ て しま っ た ん だ 。 わ し は 誰 に も 会 わ な か っ た 、 ほ と ん ど な 。 と も か く ヴ ァ ラ ン テ ィ ヌ ・ク レ モ ン に は な 。 会 っ て も ど う に も な ら な か っ た だ ろ う し!」. お じい ち ゃ ん は 戦 争 の事 実 を悲 しん で い る の で は な く、 島 に い た ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さ ん や そ こ にい る誰 とも会 わず に帰 っ て しま っ た こ とを思 い 出 し、 複 雑 な思 い に な っ て い る。 そ れ か らお じい ち ゃ ん は子 ど もの 頃 を 思 い 出 し、 ヴ ァ ラ ンテ ィ ヌ お ば さ ん に夢 中 に な っ て い くの が わ か る。 物 語 の 中 で お じい ち ゃ ん は 戦 争 を批 判 す るの で も、 孫 に伝 え よ うとす る の で もな い 。 し か し,.,争を語 る こ とで お じい ち ゃ ん は 忘 れ て い た 大 切 な 人 や 、 そ の 人 へ の想 い を 思 い 出 す。 戦 争 は お じい ち ゃ ん を子 ども の 頃 に 立 ち 帰 らせ る、深 く刻 み 込 ま れ た 記 憶 な の で あ る。. 孫 に とっ て の 戦 争 戦 争 体 験 や お じい ち ゃ ん が小 さい頃 の ベル イ ー ル 島 で の 生 活 を 聞 き 、 トマ は お じい ち ゃ ん の 今 ま で 見 た こ と の ない 一 面 を知 る。 旅 行 に 行 く前 は ぼ ん や り と した 印 象 しか な く、 お じい ち ゃ んの 子 ど もの 頃 も家 族 の こ とも何 も知 らな か っ た。 しか し経 験 した こ との な い 戦 争 の 話 を 聞 き 、 お じい ち ゃん の過 去 に興 味 を持 っ て い く。 戦 争 は トマ に とっ て 経 験 した こ との な い 出 来 事 で あ り、 自分 のル ー ツ を辿 る き っ か け で も あ る。. Moi,. je. assis. pense;je. sur. rencontre. le. me siege. entre. dis de. une. que. cuir. la de. paysanne. vie la. est. bizarre,. traction, flamande. puisque. it et. a. fallu un. pour une. petit. que guerre,. Boulanger. je. puisse une. etre. la,. defaite,. originaire. la de. Bretagne! ‐La. vie. est. drole,. murmure. ennfin. 12. grand-pere,. comme. s'il. lisait. dans. mes.

(16) pens6es.. En丘n, elle 1,est quelquefbis,. heureusement!(p.27). ぼ く は 思 っ た 。 人 生 っ て 不 思 議 だ 。 だ っ て ぼ く が こ こ に い て 、 車 の 皮 の シ ー トに 座 っ て い られ る の は 、 戦 争 、敗 戦 、 そ し て フ ラ ン ドル 地 方 の 農 民 の 娘 と ブ ル タ ー ニ ュ 生 ま れ の 小 さ な パ ン 屋 さ ん の 運 命 の 出 会 い が あ っ た か らだ も の! 「人 生 っ て 不 思 議 だ な 。」 ぼ く の 考 え て い た こ と を 読 む よ う に 、 お じ い ち ゃ ん が さ さ や い た 。 そ う、 人 生 は 時 々 不 思 議 な も の な ん だ 、 嬉 しい こ と に!. 自分 の ル ー ツ を 知 る こ と で 、 トマ は 人 生 の よ さ を 感 じ 、 トマ と お じい ち ゃ ん の 心 の 距 離 は ま た 少 し縮 ま っ た の で あ る 。. 2.2Un. grandPere. tombe du ciel『 わ た しは 忘 れ な い』. あ らす じ 身 内 が い な い と思 い こん で い た少 女 レア の 家 に 、 突 然 お じい ち ゃ ん が や っ て 来 る こ とに な っ た。 レア の 両親 は 結 婚 を許 して も らえず 、 お じい ち ゃ ん と はず っ と冷 戦 状 態 に な っ て い た の で あ る。 しか し レァ は会 っ た こ との な い お じい ち ゃ ん を想 像 し、嬉 し くて胸 を 躍 ら せ る。 しか し な が らお じい ちゃ ん は 、 レア が 想 像 して い た優 しい お じい ち ゃん で は な く、 厳 し く 、冷 た い 目を して い た 。 家 族 の 雰 囲 気 は悪 くな り、 レア は す ぐに お じい ち ゃ ん と喧 嘩 し て しま う。 そ れ で も レア は お じい ち ゃ ん に ち ょっ か い を 出 し、 お じい ち ゃ ん を振 り向 か せ よ う とす る。 あ る 日お じい ち ゃ ん の 部 屋 で お じい ち ゃ ん が若 い 時 に家 族 と一 緒 に撮 っ た 写 真 を見 つ け、 レア は お じい ち ゃ ん の 家 族 の秘 密 を 聞 き 出 そ うとす る。 しか しお じい ち ゃ ん は 一 向 に語 ろ うと しな い。 時 間 が た つ につ れ て レア は お じい ち ゃ ん と会話 を し、一 緒 に 歩 い た り、 ゲ ー ム を した り す る よ うに な った 。 あ る 日 レァ は 学校 で ユ ダ ヤ人 だ とい う こ とで 差 別 を受 け、 自分 が ユ ダ ヤ 人 の 家 庭 で 、 そ の伝 統 に従 っ て 生 き て きた こ とを認 識 させ られ る。 一 方 お じい ち ゃ ん は ユ ダ ヤ 人 に 対 して 強 い想 い を持 っ て い て 、 レア は ユ ダヤ の歴 史 に も興 味 を持 ち始 め る。 ユ ダ ヤ の伝 統 に 触 れ 、 お じい ち ゃ ん の 家 族 の 話 を 聞 くこ とに よっ て 今 ま で語 られ な か っ た ユ ダ ヤ 人 虐 殺 の 暗 い 過 去 に迫 っ て い く。 ま た お じい ち ゃ ん の 友 達 に も 出会 い 、 お じい ち ゃ ん の 自分 へ の想 い を知 る。 お じい ち ゃ ん が 死 ん で しま った 後 もお じい ち ゃ ん の 存 在 は レア の 家 族 に深 く き ざまれ た 。 レア も ま た お じい ち ゃ ん に感 謝 し、 そ の 思 い を 日記 に 書 き とめ 、 お じい ち ゃ ん の 身 に あ っ た 悲劇 を語 り継 い で い こ う と決 意 す る。. 13.

(17) 戦 争 体 験 の描 かれ 方 お じい ち ゃ ん の 忘 れ る こ との な か っ た戦 争 体 験 は 、 お じい ち ゃ ん の 口か ら、孫 の レア に 伝 え られ る。. C'6tait partager.. ga,1'histoire C'etait. Guerre. mondiale.. histoire. gravee. de. son. mon. histoire. Une a 1'encre. grand・pさre. et Celle. histoire bleue. sur. de. C'6tait millions. dont. it portait. son. bras.(p.90). ga,1e d'autres encore. secret durant les. qu'i cette. refusait. de. Deuxieme. meurtrissures.. Une. こ れ が お じい ち ゃ ん の 物 語 。 そ して 誰 と も 共 有 し な か っ た 秘 密 。 こ れ は お じい ち ゃ ん の 物 語 で も あ る け れ ど 、 第 二 次 世 界 大 戦 を 経 験 し た 何 百 万 人 も の 物 語 で も あ る。 そ の こ と に よ っ て お じ い ち ゃ ん が い ま だ に 傷 を 負 っ て い る歴 史 、そ して お じい ち ゃ ん の 腕 に 青 い イ ン クで刻 み 込 ま れ た 歴 史 だ 。. とあ る よ うに 、 お じい ちゃ ん の 過 去 を聞 くこ とで 、戦 争 の歴 史 も知 っ て い く。 お じい ち ゃ ん は小 さい 頃 か ら今 ま で の 、 人 生 の 流 れ を語 っ て い る。 小 さい 頃 は ポー ラ ン ドに住 ん で い た が 、 当時 ポ ー ラ ン ドは ユ ダヤ 人 虐 殺 が 行 われ て お り、 お じい ち ゃん は逃 れ る た め に フ ラ ン ス へ移 住 した 。 そ して パ リで 結 婚 し、 娘 の レア を授 か り、 い っ か フ ラ ン ス 国 籍 を も らって フ ラ ンス 人 と して 自由 に 生 き て い こ う と思 って い た。 しか しそ の 矢 先 、 お じい ち ゃ ん とそ の家 族 は ア ウシ ュ ビ ッ ツ(強 制 収 容 所)に 連 れ て 行 かれ て しま う。1942年 7月16日. の こ とで あ る。 ア ウシ ュ ビ ッツ に連 れ て 行 か れ 、 そ こで の 苦 しい 生 活 、妻 と娘 を. 愛 す る 思 い 、 そ して 家 族 が殺 され た こ とへ の 怒 りが 語 られ 、 レア は お じい ち ゃ ん の 家 族 の 秘 密 をつ い に知 る の で あ る。 ま た お じい ち ゃ ん の 戦 争 体 験 は 、食 べ 残 しに うる さい性 格 や 、 お じい ち ゃ ん の宗 教 観 に も表 れ て い る。 お じい ち ゃ ん は 神 が 自分 た ち を見 捨 て た サ ロパ ール(ろ. くで な し)だ とい. い 、 レア の 家族 が 行 うユ ダ ヤ の お 祝 い事 に も参 加 し よ うと しな い。 小 さい 頃 は ユ ダ ヤ 教 に つ い て学 び 、神 を信 仰 して い た が 、 ア ウシ ュ ビ ッツ で の 経 験 で 神 を信 じ られ な くな っ て し ま っ て い た の で あ る。 物 語 で は ロ シ ュ ・ハ シ ャ ナー(ユ ダ ヤ暦 に基 づ い て 定 め られ るユ ダヤ の新 年 。9月 の 終 わ り頃)、 ヨ ム ・キ ップ ール(ユ ダ ヤ教 徒 が神 様 に10日. 間 続 けて 祈 る、 そ の最 後 の 日)、ベ サ. ハ の 週(「 過越 祭 」 とも 呼 ば れ る 旧約 聖 書 に ま つ わ る伝 統 と歴 史 を 重 ん じた 行 事)、 ハ ヌ カ 祭(エ ル サ レム の 神 殿 か らユ ダ ヤ 人 の独 立 を勝 ち とっ た記 念 日)と い っ た ユ ダヤ 人 家 庭 の 行 事 が 登 場 し、 戦 争 だ け で な く宗 教 や 人 種 の 問題 も取 り上 げ られ て い る。 こ の物 語 で は ユ. 14.

(18) ダ ヤ 人 家 庭 の描 写 か ら、 宗 教 や 人 種 の 問題 が 戦 争 を 引 き 起 こ した歴 史 を知 り、語 り継 い で い か な け れ ば な らな い とい う思 い が見 い だせ る の で あ る。. 祖 父 か らみ た 戦 争 お じい ち ゃ ん は レア に 自分 の こ とを話 そ うと しない 。 レア が 勇 気 を 出 して 質 問 して も 、 断 り続 け る。. ‐Jaime. pas. avec. vieux. les. effacer. autres.. parler. de. souver血s, de. la. moi. , remuer. ga sert. memoire,. J'ai compris. tout. les vieux. a riene[sic]. parce. que. souvenirs,. Leah.. Il faut. ils ne. pas. bonnes[sic],. Quand. sinon. ga. ga, il y a longtemps,. fait. sont. trさs mal. Leah.. Alors,. pas. it faut. a soi・・meme je me. vivre. et. aux. tais, je raconte. paste.(p.61) 「 私 は 自分 の こ と を 話 す の は 嫌 い な ん だ 、 レ ア 、 昔 の 思 い 出 を か き ま わ さ れ る こ と も ね 。 昔 の 思 い 出 を 引 きず っ て 生 きて はい け な い 、そ れ は 何 の 役 に も立 た な い。 よい 思 い 出 で は な い の な ら 、記 憶 か ら 消 し て し ま わ な く て は な ら な い 。そ う し な い と 自 分 も 、 他 の 人 も 傷 つ け て し ま う。ず っ と 前 に そ れ に 気 づ い て な 、 レ ア 。だ か ら わ し は 黙 っ て 、 語 ら な い ん だ よ 。」. 戦 争 は お じい ち ゃ ん に とっ て 辛 い思 い 出 で あ る。 しか し後 に 戦 争 体 験 を語 り、 お じい ち ゃ ん は戦 争 体 験 を消 して しま った の で は な く、 家 族 の こ と を思 い 出 す の が辛 くて 自.ら話 さ な い よ うに して きた の が分 か る。 お じい ち ゃ ん は 自分 の辛 い 思 い 出や 体 験 を一 日た り とも忘 れ た こ とは な く、 家 族 を 奪 っ た 戦 争 と神 を憎 ん で 閉鎖 的 に な り、苦 しみ続 けて い た。 シ ナ ゴー グ に行 くの を ず っ と拒 ん で い た お じい ち ゃ ん が 、 レア と一 緒 に教 会 へ 行 き 、 昔 は 家 族 で シ ナ ゴー グ に 通 っ て い た こ と、 それ が 一番 輝 か しい 時 代 で あ っ た こ とを 思 い だ して い く。(p.145). 一Tu. que. sais. , Leah,. j'ai retourne. (中 略)Le et. m'avoua. moi. a la. shabbat, mettions. synagogue. s'interpellaient. nos. Tout. le en. un. jour. Grand-pさre,. synagogue,. de. le vendredi. soir,. beaux. plus et. vetements. monde. riant,. ne. se se. j'ai savoir. le samedi, et. nous. connaissait. souhaitaient. santeX.(p.105). 15. trさs. prier. ma. pe叫la. Cela. mere,. partions au. ine. eu. village;en. bonne[sic]shabbat. premiさre. faisait m0n. tous. si longtemps!. pさre, ensemble chemin, et. fbis. mes. soeurs pour les. ine[sic]bonne. la Bens.

(19) あ る 日 、 お じ い ち ゃ ん が 私 に 打 ち 明 け た 。 「な あ 、 レ ア 。 わ し は 最 初 お 前 と シ ナ ゴ ー グ に 行 っ た 時 、 お 祈 り を 覚 え て い な い ん じ ゃ な い か っ て と て も 心 配 だ っ た ん だ よ。 も う ほ ん と う に 長 い こ と た っ て い る か ら ね!(中. 略)金. 曜 日 の 晩 と 土 曜 日は シ ャ バ ッ ト. の 日で 、 私 は 母 さ ん 、 父 さ ん 、妹 た ち と き れ い な 服 を 着 て な 、 一 緒 に シ ナ ゴ ー グ に 行 っ た ん だ 。 村 で は み ん な が 知 り合 い で 、 行 く 途 中 で 微 笑 み 合 い な が ら 、 こ う声 を か け 合 った ん だ。 『良 い シ ャ バ ッ トを!そ. し て 、 健 康 を 祈 っ て!』 」. そ の シー ン か ら も、 辛 い 思 い 出そ の も の は 消 え る わ け で は な い が 、 レア に 話 す こ とで 苦 しい もの か ら解 放 され 、 お じい ち ゃ ん の 心境 が変 わ っ て い くの が 見 て とれ る。 レア へ の 思 い が 分 か るの が 、 お じい ち ゃ ん の死 ぬ前 に書 い た 手紙 で あ る。. J'ai soi. peutaitre tro. Leah. tar. avec. toujours tout. Je tes. la. de. taime,. Leahle!Tu. parens.. photo. le monde. Ton. oublie. grand. de. dire. Soi. atoi. pere, ALEX. de. je. taime.. a donn61e. ine. Deborah,. 1'histoire. que. bonne Leah. Deborah,. Alor. solail. f皿e. e ine. et. moi.. de. Leah,. je. a mes. quan et. de. di. maintenant. derni6. bonne. Et. to. 61さve. to tous. sera. avont. jours.. Soi. veux. que. Je. istorienne,. bien. qui sage. ti gardes raconte. a. le autres.. KAIrZxi(p.120). お 前 を 愛 して い る っ て 、 お 前 に 言 うの を 忘 れ て しま っ た か も し れ な い ね 。 だ か ら今 、 遅 く な ら な い う ち に 言 う よ 。 愛 し て い る よ 、 レア!お. 前 は私 の人 生 の最 後 に 、太 陽 の. 光 を 与 え て く れ た ね 。 レ ア 、 父 さ ん と母 さ ん の 言 う こ と を 聞 く ん だ よ 。 い い 娘 で 、 い い 生 徒 で い な さ い 。 お 前 は デ ボ ラ と レ ア と私 の 写 真 を 、 ず っ と持 っ て い て お く れ 。 そ し て お 前 が 歴 史 家 に な っ た ら、そ の 時 は デ ボ ラ 、レ ア そ し て 他 の 犠 牲 者 た ち の こ と を 、 み ん な に語 っ て あ げ るん だ よ。 お 前 の お じ い ち ゃ ん 、 ア レ ッ ク ス ・カ ッ ツ よ り. 戦 争 で 愛す る家族 をな く し、人 を愛 す る こ とを 忘れ て い た お じい ち ゃ ん が 、レア を愛 し、 光 を 見 い だ して い た の が 分 か る。 レア に感 謝 と愛 す る気 持 ち を伝 えた い 、戦 争 の 歴 史 と経 験 を語 り継 い で ほ しい とい うお じい ち ゃ んの 思 い が見 て とれ る。. 孫 か らみ た戦 争 レア は お じい ち ゃ ん の 部 屋 に あ る一 枚 の 家 族 の 写 真 を見 て 、 お じい ち ゃ ん の 秘 密 に迫 っ て い く。 レア に とっ て 戦 争 は 、 お じい ち ゃ ん の過 去 の 秘 密 の一 部 で あ り、 そ れ を知 る こ と. 16.

(20) で 一 層 お じい ち ゃん の魅 力 に魅 かれ て い くこ とが わ か る。. 116tait. comme. decouvrais de. ga,. peu. a peu.. conversations,. suivait. de. Et, tout. je sentais. a la trace,. chacune. Grand.pere,1a. accroche. tete. doucement,. que. pleine. d'idees. par. mots,. Grand-pere. a ses. pas,. au. des. finirait point. par. d'influer. bien des. allusions,. parler sur. arretees,. de. que. des. ce passe. chacun. de. ses. je. bribes qui. le. actes,. ses pensees.(p.59). お じ い ち ゃ ん は こ うい う人 だ っ た 。 ゆ る ぎ な い 考 え が い っ ぱ い っ ま っ た お じい ち ゃ ん の 頭 の 中 を 、 私 は 少 しず っ 知 っ て い く よ う に な っ た 。 そ う、 ゆ っ く り だ け れ ど。 私 は お じ い ち ゃ ん の 言 葉 、 さ り げ な い ニ ュ ア ン ス 、 会 話 の と こ ろ ど こ ろ か ら 、 お じい ち ゃ ん に ず っ と つ き ま と っ て い た 過 去 、お じ い ち ゃ ん に ま と わ りつ き 、 お じい ち ゃ ん の 行 動 や 考 え に 影 響 を 与 え る ほ どの 過 去 の 秘 密 を 、い つ か 私 に も 話 し て く れ る か も しれ な い と感 じ て い た 。. こ こ か らは 、 レア が お じい ち ゃ ん に関 心 を示 し、お じい ち ゃ ん を理 解 し よ うとす る様 子 が 見 て とれ る。 後 に お じい ち ゃ ん の 過 去 を知 り、 お じい ち ゃ ん の こ とが もっ と好 き に な る が 、 こ の 時 点 で す で に レア はお じい ち ゃ ん の性 格 や 考 え方 を細 か く分 析 して い る こ とが わ か る。 そ してお じい ち ゃ ん か ら戦 争 体 験 を聞 き 、 レア は こ う感 じて い る。. ¢ame. fait mal. gorge.. Maintenant. Moi cette. aussi. etゐ 兜 ηθ[sic]ala. je pleurai. histoire. fois. J'avais. c'est fini, j'ai plus beaucoup. en. toujours. ine[sic]boule. au. Coeur. et a la. mal.. 1'ecoutant,. tout. comme. je pleure. en. racontant. aujourd'huixu.(p.91). 私 は 胸 が 痛 ん だ 、 と 同 時 に す っ き り も し た 。 私 は い つ も 胸 と の ど に 、何 か ひ っ か か る も の が あ っ た 。 で も 終 わ り。 も う 痛 く な ん か な い 。 お じい ち ゃ ん の 話 を 聞 き な が ら 、 私 も 泣 い た 。 今 で も こ の 話 を す る 時 、 私 は 泣 い て し ま うん だ 。. レア が お じい ち ゃ ん の 中 に あ る辛 い もの 、 苦 しい もの を 自分 も同 じよ うに感 じ、 こ こで お じい ち ゃ ん との 距 離 は ぐっ と縮 ま っ た こ とが わ か る。 ア ウ シ ュ ビ ッ ツ で の経 験 や 家 族 を 失 って しま っ た 思 い 出 が 、 お じい ち ゃ ん を苦 しめ て い るの だ と知 り、 レア は 戦争 の 残 酷 さ と、 お じい ち ゃ ん の 家 族 に 起 き た こ の悲 劇 を 二 度 と繰 り返 さ な い よ う、 語 り継 い で い か な. 17.

(21) けれ ば な らない と考 え る。 この よ うに お じい ち ゃ ん の 戦 争 体 験 は 、 レアが 自分 の 家 族 の 過 去 を理 解 す る こ とにつ な が り、 お じい ち ゃ ん との 関係 性 を変 え るき っ か け に な っ て い る こ とが わか る。. 2.3Mamie. Memolre『. お ば あ ちゃ ん の 記 憶 』. あ らす じ お ば あ ち ゃ ん の 家 で 火 事 が 起 こ り、 少 女 ヴ ェ ロニ ック(ヴ ェ ロ)の 家 に お ば あ ち ゃ ん が や っ て く る こ とに な り、お ば あ ち ゃ ん との 同居 生 活 が始 ま る。 アル ツハ イ マ ー 病 に な っ た お ば あ ち ゃ ん は 、 記 憶 が混 乱 し、 会 話 の つ じつ ま が合 わ な い 。 お ば あ ち ゃ ん は キ ッチ ン を 荒 ら した り、マ マ の 仕 事 のデ ー タ を消 した り、 勝 手 に電 話 を か け た りす る な ど、 ヴ ェ ロ の 家 族 は 苦 戦 す る。 そ れ で も ヴ ェ ロ の家 族 は大 好 き な お ば あ ち ゃ ん と共 に 暮 らす こ とを選 ぶ 。 そ れ に対 し立派 な 邸 宅 に暮 らす マ マ の兄 、 ジ ャ ンeシ ャル ル お じち や ん とカ タ お ば ち ゃ ん は 、 い つ もお 金 の こ とば か りを 話 して い る。 お ば あ ち ゃ ん の 家 を売 りに 出 した が り、 お ば あ ち ゃ ん の 介 護 は ヴ ェ ロ の 両親 に任 せ て 関 与 しな い 。 ヴェ ロの 両 親 とは 生 き方 も意 見 も合 わ な い の で 、 い つ もお ば あ ち ゃ んの こ とで 言 い争 い に な っ て い る。 あ る 日お ば あ ち ゃん はパ ブ ロの ブ ロー チ が な い と、 大 騒 ぎ をす る。 パ ブ ロ は お ば あ ち ゃ ん の 昔 の 愛 人 で 、 ブ ロー チ は パ ブ ロ か ら貰 っ た 、 お ば あ ち ゃ ん の大 切 な もの だ っ た。 そ ん な お ば あ ち ゃ ん を 見 た ヴェ ロは 、 お ば あ ち ゃ ん の脳 を刺 激 す るた め 、 思 い 出 がつ ま っ た ビ デ オ をつ くる こ と を思 いつ く。 兄 の ギ ヨー ム と協 力 し、 昔 の 写 真 や 手紙 を見 な が らお ば あ ち ゃ ん の過 去 をた ど り、 お ば あ ち ゃ ん の愛 しい人 、 体験 した 戦争 に つ い て も知 って い く。 お ば あ ち ゃ ん は 記 憶 が過 去 に さか の ぼ る 症 状 を示 し始 め る。 記 憶 だ け は 日に 日に若 くな っ て い くお ば あ ち ゃん 。 お ば あ ち ゃ ん の記 憶 が 全 て失 われ て しま っ た 時 、 ヴ ェ ロは は っ き り と決 意 す る。 記 憶 を な く して しま うそ の 日ま で 、 今 度 は 自分 がお ば あ ち ゃ ん の記 憶 を 引 き継 ぐの だ と。 ヴ ェ ロが 自分 自身 に誓 う とこ ろ で物 語 は 終 わ る。. 戦 争 体 験 の描 か れ 方 前 の2作 品 と異 な り、『お ば あ ち ゃ ん の』 で は 、戦 争 体 験 が お ば あ ち ゃん の 口か ら孫 に語 られ るの で は な い 。 ア ル ツハ イ マ0病 に な っ て 記 憶 が 失 わ れ て い くお ば あ ち ゃ ん の行 動 や 言 動 の節 々 に 、 戦 争 体 験 が あ らわれ るの で あ る。 例 えば お ば あ ち ゃん との 会 話 の 中で 、 ペ タ ン元 帥 とい う人 物 が 出 て くる。. 一P6tain. a. fraternise. avec. Adolf且itler. a. 18. Montoire. , nous. sommes. SOUS. la. botte.

(22) allemande,. ma. petite!(p.52). 「 ペ タ ン 元 帥 は ね 、 モ ン ト ワ0ル. で ヒ トラ ー と 仲 良 く な っ た の 。 私 た ち は ドイ ツ の 圧. 制 下 に い る の よ!」. ヴェ ロ とお 母 さん が お ば あ ち ゃ ん の 部屋 で 、 お ば あ ち ゃ ん が 隠 して い た トイ レ ッ トペ ー パ ー 、銀 の食 器 、テ ー ブル ナ プ キ ン な どを 見 つ けた 時 、 お 母 さん が. 一 コEnfin. , Mamie,. pourquoi. caches・to. tout. cela?(p.67). 「あ あ 、 お ば あ ち ゃ ん 、 ど う し て こ れ み ん な 隠 す の よ?」. と言 う と、お ば あ ち ゃ ん は. ‐Nous. sommes. rationnes. 「配 給 制 よ1知. ,1'igonores-tu?(p.67). ら ず に い た の?」. と答 え る 。. ス ー パ ー マ ー ケ ッ トで キ ャ ン デ ィ ー を 万 引 き した 時 は 、 店 長 に ギ ャ ラ リー ラ フ ァ イ エ ッ トを 失 業 し た 理 由 を 聞 か れ 、. ‐Les. Allemands. occupant. Paris. , monsieur,. vous. 1'ignorez?(p.90). 「ド イ ツ が パ リ を 占 領 し て い る こ と 、 あ な た 、 ご 存 知 な い の で す か?」. と答 え る 。. 花 火 の爆 音 が 聞 こ え る と、お ば あ ち ゃ ん は小 さ くな っ て 身 を隠 し、爆 発 音 に怯 えて い る。 家族 は、. ‐Fin. d'alerte!(p. .112). 「警 報 が 鳴 り や ん だ わ!」 一 コL'armistice. a ete. signe!La. 「 休 戦 協 定 が 結 ば れ た!戦. guerre. est finie!(p. 争 は 終 わ っ た の1」. 19. .113).

(23) と言 っ て 、 お ば あ ち ゃ ん を 安 心 させ る 。. これ らの シー ン で は 、 お ば あ ち ゃ ん の記 憶 は ど ん どん 失 わ れ て い くが 、 お ば あ ち ゃ ん の 頭 の 中 に 戦 争 の記 憶 だ けが 強 く残 っ て い る の が分 か る。 お ば あ ち ゃ ん は 戦争 と ドイ ツ の 支 配 下 い う強 迫 観 念 が あ り、 休 戦 に よ って 得 た安 心感 もお ば あ ち ゃん の 心 を解 放 して い く。 ま た ヴ ェ ロが お ば あ ち ゃ ん の過 去 を辿 る シー ン で は 、 お ば あ ち ゃん が戦 争 の 時 代 の 中 で 愛 す る人 と出会 い 、別 れ 、辛 い過 去 を 持 って い る こ とが 明 らか に な る。. 祖 母 か らみ た戦 争 ヴ ェ ロが 辿 るお ば あ ち ゃ ん の 伝 記 は 、 戦 争 とそ の 時 代 にお ば あ ち ゃ ん が 出 会 っ た男 た ち との 物 語 で あ る。 お ば あ ち ゃ ん の過 去 に 注 目 した い 。. お ば あ ち ゃ ん は結 婚 し、息 子 つ ま りジ ャ ンeシ ャル ル お じち ゃ ん を 出 産 す るが 、2年 後 に 離 婚 す る。 パ リで 新 聞社 の 秘 書 を して 、 ス ペ イ ン か らの 亡 命 者 ジ ュア ン ・ラ ヴ ィ ラ と大 恋 愛 をす る。 そ して 戦 争 が始 ま る。 ジ ュ ア ンは ドイ ツ 軍 に 追 わ れ 、抵 抗 運 動 に加 わ り、 名 前 を ジ ャ ン ・ラ ヴ ィエ ル に変 え る。 そ の前 は 姿 を消 し、 ロ ン ドン に行 き 、 また も ど り、 妨 害 工 作 を組 織 した り して い た。 お ば あ ち ゃ ん は 息 子 と と もに パ リの 両親 の も とに い て 、 ジ ャ ン は対 独 抵 抗 運 動 の 隠れ 家 で 手 紙 を書 き 、 秘 密 の使 者 に届 け て も らって い た。 フ ラ ン ス が 解 放 され る と、 や が て お ば あ ち ゃ ん とジ ャ ンは 結 婚 し、 女 の 子 つ ま りヴ ェ ロ の マ マ が 生 ま れ る。 ジ ャ ンは パ リの新 聞 の 特 派 員 に な って 、2人 は た く さん旅 行 をす る。 しか しジ ャ ン は イ ン ドシナ 戦 争 を 取 材 して い る 間 、 墜 落 事 故 で 亡 くな り、 お ば あ ち や ん は 寡 婦 に な る。 そ の後 お ば あ ち ゃ ん は スペ イ ン で 闘 牛 士 のパ ブ ロ と 出会 い 、 お ば あ ち ゃ ん の こ とを好 き に な っ た パ ブ ロ は ブ ロー チ をプ レゼ ン トす る。 お ば あ ち ゃ ん は パ ブ ロの こ とが 忘 れ られ ず 、貰 っ た ブ ロー チ を大 切 に 持 っ て い る。. 戦 争 の 思 い 出 は お ば あ ち ゃ ん の 過 去 と切 り離 せ な い もの で あ り、お ば あ ち ゃ ん を 苦 しめ 続 け る。 ア ル ツハ イ マ ー 病 に な っ て 、 記 憶 は どん どん消 え て い っ てい る は ず な の に 、 心 の 内 に と ど め る こ とが で きず 、 無 意 識 に あふ れ 出 して しま うの が お ば あ ち ゃ ん の 戦 争 の記 憶 な の で あ る。. 孫 か らみ た戦 争 ヴェ ロは お ば あ ち ゃ ん の トラ ン ク の 中か ら絵 葉 書 や 手 紙 を見 つ け出 し、戦 争 中 お ば あ ち ゃ ん に どん な 出 会 い が あ り、 どん な 人 生 を送 って き た の か を知 る。 お ば あ ち ゃ ん の 戦 争 を. 20.

(24) 怖 が る様 子 を見 て 、 お ば あ ち ゃ ん に とっ て 戦 争 が い か に強 烈 な 思 い 出 で あ るか を理 解 して い く。 しか し ヴ ェ ロ は お ば あ ち ゃ ん の過 去 を 知 り、 戦 争 そ の も の に 恐怖 を感 じる の で はな く、 お ば あ ち ゃ ん の記 憶 が失 われ て い く こ とに恐 怖 を感 じて い く。. Nous. entrions gele. dans. Qu'il. ne. pas. Pour. la premiere. 1'hiver,. dans. it fallait. sa tete, que. fois de. ma. a tout. son. cerveau. vie,1'hiver. m'a. prix ne inspire. maintenir. Mamie. se transforme de la crainte.. en. pas. automne.. en iceberg.. Oui,. j'ai eu. pear. de 1'hiver.(p.149) 冬 に 入 ろ う と し て い た 。 で も 、お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 を 秋 の 状 態 の ま ま に と ど め て お か な け れ ば な ら な か っ た 。 お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 が 凍 っ て し ま わ な い よ う に 、そ し て お ば あ ち ゃ ん の 脳 が 氷 山 に な っ て し ま わ な い よ うに 。 私 は 人 生 で 初 め て 、 冬 に 恐 怖 を 感 じ て い た 。 そ う、 私 は 冬 が 怖 か っ た 。. こ こで は 、 ヴ ェ ロ はお ば あ ち ゃ ん の頭 に残 って い る 強 烈 な 記 憶 が 消 え、 お ば あ ち ゃ ん が 大 好 き な人 の こ と も、 戦 争 の こ とも、 た く さん の 国 に旅 行 した こ と も思 い 出せ な くな っ て い く こ とを 心 配 して い る。 ヴ ェ ロ がお ば あ ち ゃ ん の過 去 を 覚 えて 受 け継 い で い こ うとす る よ うに、ヴェ ロに とっ て も戦争 は失 わ れ て は い けな い 、大 切 な記 憶 に な っ て い くの で あ る。. 2.4. 3作 品 の 共 通 点. この 章 で 述 べ た3作 品 の 共 通 す る点 をま とめ る と、 以 下 の3つ の 特 徴 が あ げ られ る。 ① 戦 争 は す べ て第 二 次 世 界 大 戦 で あ り、 戦 争 は過 去 の 出来 事 と して祖 父 母 か ら孫 へ 伝 え ら れ る。 ② 祖 父 母 は 戦争 を語 ろ うと しな い が 、 強 く残 って い る思 い が孫 に よっ て 引 き出 され て い き 、 結 果 的 に 孫 に伝 わ って い く。 ③ 戦 争 を 経 験 して い な い孫 が祖 父 母 の 戦 争 体 験 を知 り、 自分 に何 が で き るの か を 模 索 す る。. 以 下 ① ∼ ③ の そ れ ぞ れ につ い て説 明 して い こ う。 ① 戦 争 は す べ て第 二 次 世 界 大 戦 で あ り、 戦 争 は過 去 の 出来 事 と して 祖 父 母 か ら孫 へ 伝 え ら れ る。 3作 品 で描 か れ る戦争 は す べ て 第 二 次 世 界 大 戦 で あ り、過 去 の 出来 事 と して祖 父 母 の 口 か ら伝 え られ る。 物 語 で は 戦 争 そ の もの を 描 くの で は な く、 戦 争 が あ っ た とい う事 実 や そ の. 21.

(25) 頃 の様 子 を祖 父 母 が 口 にす る こ とで 、 戦 争 を経 験 してい な い 世 代 に伝 わ っ て い く様 子 が 描 かれ る の で あ る。 こ こま で は3作. 品 に 共 通 す るが 、 祖 父 母 の 戦 争 に対 す る思 い はそ れ ぞ れ異 な り、作 品 の. 個 性 が現 れ て い る。 『お じい ち ゃ ん の 』 で は トマ の 祖 父 は戦 争 に よ っ て別 れ た人 や 、離 れ た 故 郷 を懐 か しく思 い 、 再 び 出会 え た こ と を喜 ん で い る。 子 ど も時 代 を思 い 出 し、 新 しい 夢 を見 つ け て前 向 き に 生 き て い く。 『わ た しは 』 で は レア の祖 父 の 戦 争 に対 す る憎 しみ が描 か れ 、 も っ と も反 戦 の メ ッセ ー ジ が 強 い 作 品 で あ る。 戦 争 の悲 劇 を 孫 の レア に伝 え、語 り継 い で い っ て ほ しい と言 っ て い る。 『お ば あ ち ゃ ん の 』 で は ヴ ェ ロ のお ば あ ち ゃ ん は戦 争 に 恐 怖 心 を抱 き、 そ の記 憶 が 強 く頭 に残 っ て しま っ て い る。 祖 父 母 は み な戦 争 に さま ざま な 思 い を持 っ て い るが 、 戦 争 を経 験 して い る世 代(祖 父 母)と 、経 験 して い な い 世 代(孫)が 交 流 し、 戦争 体 験 が過 去 の 出 来 事 と して 伝 わ る こ とは共 通 して い るの で あ る。. ② 祖 父 母 は戦 争 を語 ろ うと しな い が 、 強 く残 っ て い る思 い が 孫 に よ っ て 引 き 出 され て い き、 結 果 的 に孫 に伝 わ っ て い く。 3作 品 に登 場 す る祖 父 母 は戦 争 に よっ て 辛 い 思 い を し、そ の 思 い を抱 え 込 ん で い る。 当 初 は 誰 に話 す わ け で も な い が 、 強 い 思 い が 孫 に よ っ て 引 き 出 され 、次 第 に孫 に伝 わ る。 孫 が 祖 父 母 と交 流す る時 間 を持 ち 、 祖 父 母 の こ と を も っ と知 りた い と思 うよ うに な っ て い く様 子 が 描 か れ る。 『お じい ち ゃ ん の 』 で は お じい ち ゃ ん は 昔 の 戦 友 に 会 って 心 を 開 くま で 、 トマ とは ほ と ん ど会 話 を しな か った 。 ヴ ァ ラ ンテ ィ ヌ お ば さん へ の 思 い も 当初 は トマ に 話 す の を た め ら っ て い る。 しか し トマ と交 流 し、 トマ に 自分 の 過 去 を話 し聞 か せ 、 トマ もお じい ち ゃ ん の 過 去 に 関 心 を持 つ よ うに な る。 『わた しは』 で は 自分 の過 去 を話 そ うとせ ず 、 レア の 質 問 に も答 えず に い た お じい ち ゃ ん が 、 レア と交 流 す る うち に 自分 の 家 族 や ユ ダ ヤ 人 の過 去 を語 り継 い で ほ しい と願 うよ うにな る物 語 で あ る。 『お ば あ ち ゃ ん の 』 で はお ば あ ち ゃん は 戦 争 の記 憶 が 強 く残 っ て い て 、 無 意 識 に思 い 出 して しま う。 戦 争 時 の記 憶 は お ば あ ち ゃ ん の 意 志 で語 られ る わ け で は な く、 そ の 記 憶 が 失 わ れ て い く こ とを 恐 れ た 孫 の ヴ ェ ロ が 、お ば あ ち ゃ ん の 記 憶 を刺 激 し、 過 去 を辿 る物 語 で あ る。. ③ 戦 争 を 経 験 して い な い 孫 が祖 父 母 の戦 争 体 験 を知 り、 自分 に何 が で き るの か を模 索 す る これ らの3作 品 は孫 が 自分 に で き る こ とを 考 え、祖 父 母 と接 す る よ うに な る物語 で あ る。 『お じい ち ゃん の 』 の トマ はお じい ち ゃ ん の夢 を 叶 え る た め 、 ヴ ァ ラ ン テ ィヌ お ば さん の とこ ろへ お じい ち ゃ ん の代 わ りに思 い を伝 え に行 く。 『わ た しは』 と 『お ば あ ち ゃ ん の 』 の 2作 品 は 、孫 が 祖 父 母 の 経 験 した 戦 争 を知 り、そ の 記 憶 を 自 ら語 り継 い で い こ うと心 に 決 め. 22.

Referensi

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