下⽔処理場由来セルロースを⽤いた シート状素材の開発と評価
バイオマス融合研究室
修⼠2年 ⼭⼝侑秦
指導教員 ⻄脇ゆり
もくじ
1. 研究背景 2. 既往研究 3. 研究⽬的
4. シートの作成 5. 条件検討
6. 下⽔処理場由来セルロースの溶解 7. シートの構造・組成
8. シートの性質 9. おわりに
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251 .研究背景 - 下⽔処理場由来セルロース
最初沈殿池 反応タンク 最終沈殿池
消化槽
機械濃縮機
汚泥脱⽔機 初沈汚泥 重⼒濃縮機
下⽔処理場由来 セルロース*
汚泥貯留槽
・主成分はトイレットペーパー(セルロース)
・混合物のため C,O,Hの他にもさまざまな元素
セルロース源として再利⽤できないか︖
* 株式会社⽯垣1) より提供
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25p プラスチックに関する環境問題
2)が顕在化 u プラスチックは優れた耐久性・安定性をもつ u その⼀⽅で,⾃然界で分解されにくい
⿂などがプラスチックを 体内に取り込むことで
⾷物連鎖を通じて
⼈間の健康にも影響
マイクロプラスチック
1 .研究背景 - プラスチック問題
プラスチックの燃焼により 地球温暖化の原因となる
温室効果ガスが発⽣
地球温暖化
プラスチックに代わる環境負荷の⼩さい素材
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252 .既往研究3)
p セルロースを主成分とする⽊材は溶解が難しい p ⽊材をボールミル粉砕処理をすることで,
室温という穏和な条件下で,
⽊材がギ酸等のカルボン酸に溶解することを発⾒
p 溶液から溶媒を揮発させるとシートが得られた p シートは強度と⽣分解性をもち環境にやさしい
Yuri Nishiwaki-Akine et al. (2017)4)より抜粋
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253 .研究⽬的
p 既往研究
3)4)では,⽊材を⽤いてシートを作成 p ⽊材と同じくセルロースを主成分とする
下⽔処理場由来セルロースのシート化に挑戦
下⽔処理場由来セルロースを再利⽤し 改良を重ねることで諸機能を有する
プラスチックに代わる素材を開発
既往研究と同じ条件では 綺麗なシートは得られず
ギ酸溶解 乾燥
下⽔処理場由来 ギ酸溶液 セルロース
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254 .シートの作成
p 作成の流れ
p シート作成の要素
① 濃度( ≒ 成形のしやすさ)
○ ⼤︓ドロドロ,⼩︓サラサラ
② 撹拌時間
○ 短くしたいが⽊では最低 5 ⽇間
3)作成条件検討の 必要性
ギ酸溶解 乾燥
下⽔処理場由来 ギ酸溶液
セルロース シート
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255 .条件検討
ギ酸溶液 シート
下⽔処理場由来 セルロース
外⾒粘度 SEC 溶解
引張試験吸⽔性
⽣分解性 シート性質 条件検討
SEM-EDX 元素分析 構造・組成
ギ酸溶解 乾燥
綺麗なシートを作成するための条件を決定
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255 .条件検討
撹拌時間
濃度
24時間(1⽇間) 72時間(3⽇間) 120時間(5⽇間) 2.0%
2.5%
3.0%
安定して綺麗なシートが得られる2.0%-120時間を採⽤
シートに未溶解 ならない
しない安定
広げにくいドロドロ
安定
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256 .下⽔処理場由来セルロースの溶解
ギ酸溶液 シート
下⽔処理場由来 セルロース
外⾒粘度 SEC 溶解
引張試験吸⽔性
⽣分解性 シート性質 条件検討
SEM-EDX 元素分析 構造・組成
ギ酸溶解 乾燥
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25どのように溶解しているのか︖
6-a .下⽔処理場由来セルロースの溶解 - 外⾒
30分後 溶液作成直後
24時間
48時間
72時間
96時間
120時間
繊維が⾒られなくなった
48時間以降で透明度が増していった
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256-b .下⽔処理場由来セルロースの溶解 - 粘度
p 粘度︓液体の流れにくさ,ドロドロ具合 u 例︓⽔は⼩さく,蜂蜜は⼤きい
p 溶解が進むと粘度は⼤きくなる
u 粘度で溶解の具合を知ることができる
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250 200 400 600 800 1000
0 24 48 72 96 120
粘度[mPa∙s]
時間[h]
粘度は 120 時間までで 増加
東機産業 RE-85Uで測定
6-c .下⽔処理場由来セルロースの溶解 - SEC (GPC)
p SEC ︓サイズ排除クロマトグラフィー u 分⼦量が⼩さいほど時間が⼤きくなる
○ 分⼦量が⼩さくなると分布が右に推移
分⼦量の⼤きな変化なし
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25Agilent LC1260で測定
7 .シートの構造・組成
ギ酸溶液 シート
下⽔処理場由来 セルロース
外⾒粘度 SEC 溶解
引張試験吸⽔性
⽣分解性 シート性質 条件検討
SEM-EDX 元素分析 構造・組成
ギ酸溶解 乾燥
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25構造・組成は変化した︖
p シート化前に⾒られた繊維は後には⾒られない u シート化により凹凸が減った
u 溶解が進んだ
100μm 100μm
7-a .シートの構造・組成 - 電⼦顕微鏡 ①
下⽔処理場由来セルロース
(シート化前) 下⽔処理場由来セルロース
(シート化後)
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25⽇本電⼦JSM-7610Fで観察
7-a .シートの構造・組成 - 電⼦顕微鏡 ②
p シート化前は両者に共通して繊維が⾒られた u 主成分がトイレットペーパーと考えるには
構造の観点からは妥当性がある
○ 下⽔処理過程で構造が変化している可能性は有
下⽔処理場由来セルロース
(シート化前) トイレットペーパー
(シート化前)
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25⽇本電⼦JSM-7610Fで観察 100μm
100μm
7-b .シートの構造・組成 - 元素分析
p H C N の割合を測定できる 残りが O p どの試料も約 4 割が C ,約 5 割が O
u 主成分がトイレットペーパーと考えるには 構成元素の観点からも妥当性ある
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
下⽔処理場由来 セルロース
下⽔処理場由来 セルロースシート
トイレットペーパー トイレットペーパー シート
割合[%]
C O H N
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25ジェイ・サイエンス・ラボ Micro Corder JM10で測定
8 .シートの性質
ギ酸溶液 シート
下⽔処理場由来 セルロース
外⾒粘度 SEC 溶解
引張試験吸⽔性
⽣分解性 シート性質 条件検討
SEM-EDX 元素分析 構造・組成
ギ酸溶解 乾燥
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25シートの実⽤性
プラスチック代替の意義は︖
p シートの強度を評価
u シートを実⽤化する際の重要な要素 p 両端から引っ張り( 10mm/min ),
どのくらい⼒をかけたときに切れるか
p 同⼀条件(濃度︓ 2.0% ,撹拌時間︓ 120 時間)で 作成した複数のシートに対して実施
8-a .シートの性質 - 引張試験 ① 19 / 25
8-a .シートの性質 - 引張試験 ②
p 混合物であるため,ばらつきがある p 引張強度はすべて 20MPa 以上で
ポリエチレン ( レジ袋 ) と同等
5)u ある程度の強度を保有
p 最⼤ 80MPa も⽰した
0 20 40 60 80 100
0 5 10
応⼒[MPa]
ひずみ[%]
20
20 /
25Acro Edge Stency DEMO Unit1で測定
8-b .シートの性質 - 吸⽔性・耐⽔性
p 吸⽔性︓ 24 時間⽔に浸漬し,浸漬前と⽐較 p 耐⽔性︓浸漬後乾燥させ,浸漬前と⽐較
p ⾃重の約 50% の⽔を含む
u 湿度の多い環境下では性質が変わる可能性有 p 乾燥後はもとの 109% の重量
u 浸漬後,シートに破損がなかった
○ 重量変化は⽔の残存(およびギ酸の溶出)
吸⽔性 [%] 耐⽔性 [%]
下⽔処理場由来セルロース 52±2 8.9±15.0 酢酸セルロース 5.9±0.2 -0.65±1.10
セロファン 71±17 3.9±1.1
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258-c .シートの性質 - ⽣分解性(実施中)
p ⽣分解性についての実験を実施中 u 2 種類のフィルム× 3 種類の環境 u 微⽣物解析
u ガスクロマトグラフ(気体成分の変化)︓週 1 u ⼟壌への埋没・観察
5⽇⽬
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25埋没直後 2週間
9 .おわりに
p 研究⽬的と評価
u 下⽔処理場由来セルロースを再利⽤し 改良を重ねることで諸機能を有する プラスチックに代わる素材を開発
○ セルロース源として再利⽤し⼗分な機能を有する シートを得ることができた
詳細な議論はまだできないが⽣分解性をもつ
p 今後の展望
u 異なる季節に採取したものでシート作成
○ 現在メインで扱っているものは春のもの
▸夏のものでもシート化できた
• 秋のものでも⾏う予定
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25今後の予定
10 ⽉ 11 ⽉ 12 ⽉ 1 ⽉ 2 ⽉ 3 ⽉
⽣分解性 修論執筆 季節違い サンプル
学会関連
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25参考⽂献
1)株式会社 ⽯垣.“下⽔汚泥由来繊維利活⽤システム「プラチナシ ステム」”.2023.https://www.ishigaki.co.jp/products/platinum-system/,
(参照 2024-08-06)
2)横浜市.“プラスチック問題とは”.2023.
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/pla- taisaku/plastic_mondai.html,(参照 2024-08-06)
3)⻄脇ゆり,渡辺隆司.⽊材のカルボン酸溶解による新素材開発.
Cellulose Commun.2022,Vol 29,No 4,p.142-150.
4)Nishiwaki et al. Transparent Woody Film Made by Dissolution of
Finely Divided Japanese Beech in Formic Acid at Room Temperature. ACS sustainable Chemistry and Engineering. 2017, vol. 5, no. 12, p.11536-
11542.
5)島津製作所.“ポリエチレンフィルムの引張試験”.
https://www.an.shimadzu.co.jp/industries/chemicals/film/chem0301005/ind ex.html,(参照 2024-08-06)
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