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Title 上下顎の有床義歯を用いて咬合高径および咬合平面を是
正した一症例
Author(s) 加藤, 芳実; 山下, 秀一郎 Journal 歯科学報, 123(1): 56‑64
URL http://doi.org/10.15041/tdcgakuho.123.56 Right
Description
緒 言
口腔の諸機能は咬合の安定が礎となる。小臼歯や 大臼歯の欠損は咬合支持の喪失につながり,適切な 補綴治療がなされない場合には,残存歯部に集中し たため害性の高い過剰な咬合力を伴う咬合接触が余 儀なくされる。結果的に,上顎前歯歯軸の唇側傾斜 であるフレアアウトや残存歯同士の咬合干渉による 咬合性外傷,歯冠破折や歯根破折などのリスクが高 まる。さらには,隣接する歯の傾斜や,欠損に対向 する歯の挺出などから咬合平面の不正や咬合高径の 低下が引き起こされ1),補綴治療の難易度はさらに 高まる。
咬合高径,咬合平面,咬合支持,咬頭嵌合位,ガ イドからなる「咬合の5要件」2)は,補綴治療の計画 立案の上では重要な項目であり,これらを念頭に置 いて診断し,治療を進める必要がある。特に,咬合
高径と咬合平面の改善は,他の要件の改善と密接な 関連があるため,非常に重要である。しかし,この 2項目の改善は口腔内環境を大きく変化させること から,治療内容によっては患者の適応が追いつかず に QOL を逆に損なう可能性もあるため,慎重な治 療が求められる。局部床義歯はその適用範囲が一歯 残存から一歯欠損までと広く,設計の工夫により残 存歯への介入を最小限にとどめることができるた め,口腔機能の変化を確認しつつ安全に咬合の5要 件を改善することが可能な補綴装置である。
今回,臼歯部の咬合崩壊の症例に対し,局部床義 歯を用いて咬合高径と咬合平面の両者を是正し,良 好な経過が得られたので報告する。
症例の概要 患 者:70歳の男性
初 診:2021年3月1日
主 訴:奥歯がなく,噛むと上の前歯が揺れるので 食事がしづらい。
既往歴:特記事項なし。
現病歴:30年ほど前から通っている近医で処置を受 けていたが,詳細な治療方針を説明されないまま,
上顎前歯部のプロビジョナルレストレーションの修
臨床報告
上下顎の有床義歯を用いて咬合高径および咬合平面を是正した一症例
加藤芳実 山下秀一郎
東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座
抄録:咬合高径の低下および咬合平面の不正が認められる症例に対して,最小限の介入となるように治 療計画および有床義歯の設計を工夫したことで,咀嚼障害が改善された症例について報告する。患者は 70歳の男性。奥歯がなく,噛むと上の前歯が揺れるので食事がしづらいことを主訴として来院した。上 顎歯列には,#15と#25を支台歯とするプロビジョナルレストレーションが装着されており,大臼歯部 での咬合支持はなかった。#47,#48は著しく挺出しているため閉口時に上顎の顎堤に咬みこんでお り,#34,#35,#36の高径は低位であることから,咬合高径の低下および咬合平面の不正を認めた。
患者は下顎残存歯の再修復は希望せず,抜歯も必要最低限にしてほしいという希望があった。上顎は オーバーデンチャー,下顎は,咬合面被覆型のレジンオーバーレイを組み込んだ局部床義歯を製作し た。補綴治療後1か月ごとの定期健診を行い,装着後も異常なく良好な経過を得られている。
キーワード:局部床義歯,咬合高径,咬合平面,咬合支持
(2023年1月10日受付,2023年1月18日受理)
http : //doi.org/10.15041/tdcgakuho.123.56
連絡先:〒101‐0061 東京都千代田区神田三崎町2−9−18 東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座 加藤芳実 56
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理を繰り返すばかりであった。上顎の大臼歯部に欠 損歯があったが,積極的な補綴治療は行われなかっ た。治療が進んでいないことに対する近医への不信 感と,上顎前歯部の動揺が著しく,臼歯部での咬合 ができないことから当院を受診した。
現 症:(図1,2)初診時の歯列の状態は,Eich- ner の分類は B2,宮地の咬合三角は第3エリアに 該当した。上顎歯列には,残根の#14を覆う形態で
#15と#25を支台歯とするプロビジョナルレスト レーションが装着されていた。支台歯形成はされて おらず,支台歯同士をワイヤーで結んだ上から常温
重合レジンでプロビジョナルレストレーションが固 定されていた。咬合時には大臼歯部による咬合が存 在しないため,プロビジョナルレストレーションが 唇側に動揺しており,咬頭嵌合位は安定していな かった。患者からのインタビューでは,プロビジョ ナルレストレーションの形態には満足しておらず,
常にプロビジョナルレストレーションの脱離を心配 しながらでの食事となるため,食事に非常に時間が かかるとのことであった。安静時空隙量は約5mm であり,下顎安静位から咬頭嵌合位へ閉口した際の 顔貌の変化,および顔面計測法(Willis 法)から,
図2 初診時パノラマエックス線画像 図1 初診時口腔内写真
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前歯部で約2mm の咬合高径の低下が認められた。
下顎の咬合平面は不正であり,#47,#48は著しい 挺出から閉口時に上顎の顎堤に咬みこんでいた。#
34,#35,#36は 低 位 で あ っ た。#34,#35,#
43,#44には頰側歯頸部に着色を認めるも,齲蝕に は至っていなかった。#14には仮封等の処置はされ ていなかった。
検査結果:エックス線画像検査の結果,全顎的に水 平的な歯槽骨吸収を認め,特に下顎右側大臼歯では 顕著であり,#46では歯根全周を取り囲む透過像が 認められた。歯周組織検査の結果,#46,#47,#
48には5mm 以上の深い歯周ポケットを認め,動揺 も著しかった(表1)。また,全顎的にプロービン グ時の出血が認められた。初診時の機能評価では,
OHIP−J3)は80/216,咀 嚼 機 能 評 価4)は75%で あ っ た。
診 断:不適切な補綴処置による咬合高径の低下と 咬合平面の乱れ,および補綴装置の動揺に起因する 審美・咀嚼障害
治療内容と経過 1.治療方針および計画
1)治療中の QOL 確保のために,プロビジョナ ルレストレーションを修正
2)咬合高径と咬合平面を是正するために上下顎 に義歯を装着し,臼歯部の咬合を確立
患者からは下顎残存歯の再修復は希望せず,抜歯 も必要最低限にしてほしいという希望があった。補 綴前処置として,まず歯周基本治療および保存困難 歯である#46,#47,#48の抜歯を行うこととし た。#14については歯冠歯根比が不良であることか ら,残根として保存することとした。次いで,上顎 の欠損歯列に対する治療方針として,①残存歯に対
してクラスプを応用した局部床義歯の製作,②#
15,#25の歯冠を削合し残根状とした後,オーバー デンチャーを製作する2案を提示した。①の場合,
残存歯の歯冠形態が保存されるため,義歯を外して も歯が残っているという患者の安心感につながると いう利点がある。しかし,残存歯は動揺しているこ とから,製作する局部床義歯の安定は困難であり,
残存歯の動揺もさらに増加する可能性のあることが 欠点としてあげられる。②の場合,残存歯の歯冠歯 根比の改善が可能であり,残存組織の保全という観 点から有利であること,さらに,上顎の仮想咬合平 面を適切に設定することが可能であり,前歯部の審 美を改善し,安定した義歯を製作できるという利点 がある。しかし,オーバーデンチャーとなるため残 存歯の自浄性が欠如し,辺縁歯肉に炎症を惹起しや すいという欠点がある。これらを説明したところ,
患者は装着する義歯の安定性を優先したいという希 望から②を選択した。下顎については,咬合面被覆 型のレジンオーバーレイを組み込んだ局部床義歯を 装着することで,低位にある残存歯の咬合平面を是 正する治療方針を提案し,同意を得た。
2.治療内容
1)上顎プロビジョナルレストレーションの修正 口腔内からプロビジョナルレストレーションを撤 去し,清掃困難であったポンティック部の形態を修 正した。#15と#25の支台歯形成を行った後,支台 歯に適合するようにプロビジョナルレストレーショ ンを修理した(図3,4)
2)#46,#47,#48の抜歯,および#15,#25 の便宜抜髄と#14の感染根管治療
歯周基本治療終了後,保存困難である#46,#
47,#48について口腔外科に抜歯を依頼した。抜歯 表1 初診時の歯周組織検査
Plaque&BOP B o o o o
P o o o o o o o
Poket Depth B 2 2 2 3 2 2 2 2 2
P 3 3 3 2 3 3 2 2 2
Tooth Mobility 1 1 1
8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8
Tooth Mobility 2 2 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Poket Depth B 3 3 3 3 3 6 7 9 3 3 3 3 3 2 3 3 3 2 2 1 2 3 3 3 3 3 3 2 1 2 2 2 3 3 2 2 3 3 3 3 3 3 P 5 6 3 5 3 5 5 5 3 3 1 2 2 2 3 3 2 3 3 2 3 3 2 2 3 1 2 2 1 2 2 1 2 2 2 2 3 2 2 3 2 2
Plaque&BOP B o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o
P o o o o o o o o o o o o
58 加藤,他:咬合高径・咬合平面を是正した一症例
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窩の治癒を待つ間,#15,#25の抜髄を行った。#
14は閉鎖根管であったため拡大可能な範囲で感染根 管治療を行い,根面上にグラスアイオノマーセメン トを充塡した。
3)義歯の製作
上顎義歯は,#14,#15,#25を被覆す る オ ー
バーデンチャーとした。3本の支台歯には支持を期 待する設計とした。#15と#25はプロビジョナルレ ストレーションを保持する目的から義歯装着直前ま では歯冠を残し,義歯装着時に歯冠削合し義歯内面 をこれに適合させる方針とした。下顎義歯は支持と して#33に基底結節レスト,#34,#44,#45に咬 図3 プロビジョナルレストレーションの修正
図4 デンタルエックス線写真
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合面レストを設定した。また,低位となっている#
34,#35,#36,#44,#45には咬合面被覆型のレ ジンオーバーレイをレストとして設定し,咬合平面 を是正できる形態とした。把持として#34,#44,
#45の近心に小連結子,#45の遠心に隣接面板を設 定した。また,#34,#43,#45の頰側にブレーシ ングフックを設定した。維持として,#33,#45の 頰側にワイヤーによる屈曲鉤を設定した5)(図5)。
通法に従い個人トレーを用いて筋圧形成を行い,
上下顎の精密印象採得を行った。顎間関係の記録で は,まず上顎のリップサポートおよび前歯切縁の位 置を決定した後に,仮想咬合平面を決定した。下顎 の咬合床では,低位な残存歯の上にろう堤を設定 し,上顎の仮想咬合平面に対してろう堤が面接触す るように調整した(図6)。垂直的顎間関係の決定 では,下顎安静位利用法および顔面計測法(Willis 法)を用いた。低下した咬合高径に対し,前歯部で 約2mm の回復をはかった。次いで,タッピング法 を用いて水平的顎間関係を仮決定した後に,後日,
ゴシックアーチを用いて水平的顎間関係を決定した
(図7)。ろう義歯試適を行い,排列および咬合接 触状態に大きな狂いがないことを確認した後に,完 成義歯を口腔内に装着した(図8,9,10)。装着 時には,#15,#25は歯冠を削合し残根化した根面 上にグラスアイオノマーセメントを充塡した。義歯 の調整を数回行い機能性と審美性に問題がないこと を確認後,メインテナンスへと移行した。
図5 補綴装置の設計
図6 咬合床を用いた垂直的顎間関係の記録
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3.治療経過
1か月ごとに定期健診を行い,現在,義歯装着か ら10か月が経過しているが,義歯の咬合接触状態は 大きく変化することなく,残存歯の歯周組織状態,
口腔衛生状態にも問題はなく,良好な経過が得られ ている。患者からのインタビューでは,初診時に感 じていたプロビジョナルレストレーション脱離の不 安が解消されたことに対する満足度が非常に高かっ た。義歯装着3か月後の OHIP-J は76/216とわずか ではあるが向上し,特に機能面における改善が認め られた。また,咀嚼機能評価は80%まで改善が認め られた。
考 察
咬合平面の不正や咬合高径の低下をきたすケース は難症例であることが多い。本症例は初診時の段階 でどちらも認められ,治療計画の立案および患者へ の説明は困難を極めた。初診時の口腔内は義歯を装 着するための空隙が全くない状態であり,咬頭嵌合 位も安定していない状態だった。そのうえ,下顎の 残存歯の状態は可能な限り変えたくないという患者 の要望もあったことから,義歯を製作する前の前処 置を最小限にとどめる必要があった。
このような限られた条件の中でも,工夫次第で咬 合高径と咬合平面の是正を行うことは可能であり,
患者からの信頼を得ることができた点が本症例報告 の根幹である。
1.低下した QOL への対応について
主訴として,上顎前歯部のプロビジョナルレスト レーションの動揺があり,その形態については満足 していない状態であった。本来であれば固定性ブ リッジの適用とはならない欠損様式に設定されたも のであるため,直ちに撤去して暫間義歯に置き換え ることも検討した。しかし,支台歯である#15,#
25は歯周病が進行し歯冠歯根比が不良であったた め,暫間義歯による介入を行った時点で患者の QOL はさらに低下することが十分予測された。そのた め,義歯が完成するまでの期間については,装着さ れていたプロビジョナルレストレーションを修理 し,審美障害および機能障害をわずかでも改善する ことが患者の QOL 向上に繋がり,結果モチベー ションも向上すると判断した。プロビジョナルレス トレーションの修理を行った時点で臼歯部の咬合回
図8 ろう義歯試適時の口腔内写真 図7 ゴシックアーチ描記
赤点は咬合床使用時のタッピングポイント
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図9 完成した新義歯
図10 新義歯装着時の口腔内写真
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復はできていないため,客観的な動揺の改善はわず かではあったが患者の満足度は高く,このことがそ の後の良好な信頼関係を得られた理由の1つである と推察された。
初診時の咀嚼機能評価は75%であり,義歯装着3 か月後でも80%と著しい改善は認められなかった が,本症例においては数値では表現できない機能向 上が認められたと考える。現症の項に記載したよう に,患者は常にプロビジョナルレストレーションの 脱離を心配しながらでの食事で時間を要していたこ とから,現実的には自己回答形式の咀嚼機能評価の 値よりも低い機能状態であったことが予測される。
しかし,プロビジョナルレストレーションの修理か らオーバーデンチャー装着へと経過する過程でこの 不安材料が解消され,咀嚼機能,ひいては QOL の 向上に結びついたと考察される。
本症例では,術前および術後の咀嚼機能評価につ いては患者の主観的評価のみを用いており,客観的 な評価を行っていない。本症例の機能低下をさらに 明確に評価するためには,グミゼリー法に代表され る客観的咀嚼能力検査等を行う必要があると考え る。
2.義歯の設計について
局部床義歯は,動かず,壊れず,汚れない設計で あることが望ましく,かつ生体追従性を考慮してい る必要がある。義歯の垂直的,水平的な動揺抑制に は,支持と把持を主体としなくてはならない6)。本 症例における下顎義歯は,このような原則に則り設 計した。咬合平面を是正するための咬合面被覆型の レジンオーバーレイは,レストとして支持作用を十 分に発揮している。また,対合歯が義歯であること から,レジンオーバーレイの摩耗はわずかである。
把持として複数個所にブレーシングフックおよび小 連結子を設定した。残存歯の舌側はレジンで被覆す る形態とすることで,把持効果の増強を期待すると ともに,生体追従性の向上を図った。本設計では残 存歯の周囲を開放していないため自浄性に乏しいこ とから,前処置の期間に徹底的なブラッシング指導
を行い,歯周組織状態の改善を図った。その結果,
装着後も大きな歯周組織の問題は発生していない。
3.装着後の経過について
本症例では装着後1か月ごとの定期健診を行って いるが,大きな咬合の変化や歯周組織の変化は見ら れなかった。下顎義歯に装着した咬合面被覆型のレ ジンオーバーレイは,対合歯が総義歯形態であるこ とからも大きな咬耗は認められないが,今後は徐々 に咬耗していくことが予想される。その際は支台歯 の再修復も含めた治療計画の立案を行うことが必要 となるが,治療の進行に合わせて現義歯を治療用義 歯として使用することも十分可能である。今後も口 腔内の変化に注意し,長期的な経過を追っていく。
結 論
咬合高径の低下および咬合平面の不正が認められ る症例に対して,最小限の介入となるように治療計 画を工夫したことで,審美・咀嚼障害が改善され QOL の向上が図かられた。
著者の利益相反:本症例報告に関連し,開示すべき利 益相反関係にある企業などはありません。
文 献
1)藍 稔:補綴臨床に必要な顎口腔の基礎知識 第
1版,pp.110−113,学建書院,東京,2002.
2)山下秀一郎:パーシャルデンチャーで補綴治療を行 う際に部分欠損歯列をどう診るか?,日補綴会誌,
9:87−93,2017.
3)Yamazaki M, Inukai M, Baba K, et al. : Japanese ver- sion of the Oral Health Impact Profile(OHIP-J),J Oral Rehabil,34:159−168,2007.
4)Sato Y, Minagi S, Akagawa Y, et al. : An evaluation of chewing function of complete denture wearers, J Prosthet Dent,62:50−53,1989.
5)山下秀一郎,酒井 遼,上窪祐基:有床義歯補綴学 第1版(山下秀一郎 編),pp.132−139,永末書店,
京都,2021.
6)山下秀一郎:パーシャルデンチャーの力学を再考す る 残存歯の保護を第一とした動かない義歯,日補 綴会誌,12:16−22,2020.
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Correction of the occlusal vertical dimension and occlusal plane using removable dentures : A case report
Yoshimitsu KATO,Shuichiro YAMASHITA
Department of Removable Partial Prosthodontics, Tokyo Dental College Key words
: removable partial denture, occlusal vertical dimension, occlusal plane, occlusal support
We report a case in which masticatory disturbance was improved by devising a treatment plan and pros- thesis designed to minimize intervention in a patient with reduced occlusal vertical dimension and malocclu- sion of the occlusal plane.The patient was a 70-year-old man.He came to our dental clinic with the chief complaint of difficulty eating because he had no maxillary posterior teeth and his maxillary anterior teeth shook when he chewed.His maxillary dentition was equipped with provisional restorations with #15 and
#25 as abutments,and there was no occlusal support in the molars.
The #47 and #48 teeth were significantly protruding and were occluded by the maxillary crest when closed,and the #34,#35 and #36 teeth were low in height,indicating decreased occlusal vertical di- mension and malocclusion of the occlusal plane.The patient did not wish to have the remaining mandibu- lar teeth restored and wanted extraction to be kept to a minimum.Hence,an overdenture was fabricated for the maxilla and a localized denture incorporating a resin overlay with occlusal surface coverage was fab- ricated for the mandible.The patient underwent periodic checkups every month after the prosthetic treat- ment,and has been doing well since the prosthesis was fitted. (The Shikwa Gakuho,123:56−64,2023)
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