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口腔病理の一般性と特殊性:顎骨腫瘍の臨床病理学的特

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Title 口腔病理の一般性と特殊性:顎骨腫瘍の臨床病理学的特

徴について

Author(s) 佐々木, 文

Journal 歯科学報, 122(4): 404‑413

URL http://doi.org/10.15041/tdcgakuho.122.404 Right

Description

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はじめに

口腔病理とは口腔領域全般の疾患を対象としてい る。この中で口腔領域に特有なのは「歯」に関わる 疾患,すなわち歯原性腫瘍や歯原性嚢胞ぐらいで,

他の大部分の疾患は全身の他の領域に認められるも のと共通している。例えば,口腔内の舌や歯肉など に生じる代表的腫瘍の扁平上皮癌は,口腔と近接す る副鼻腔,咽頭や喉頭の他にも食道,肺,皮膚,子 宮頸部においても一般的な腫瘍である。骨軟部腫瘍 については,疾患によってそれぞれ特有な好発部位 があり,全身すべての部位に等しく起こるものでは ない。したがって頭頸部領域を好発部位としている 腫瘍もある一方で逆にごく稀にしか認められない腫 瘍も存在する。本稿では顎骨腫瘍の臨床病理学的特 徴について筆者らの検討した骨肉腫の例を中心に私 見を交えて紹介したい。

軟骨形成性腫瘍

軟骨形成性腫瘍で最も頻度の高い疾患は骨軟骨腫 である。骨軟骨腫は骨組織が骨外にキノコ状に突出 する形態を示し,表面は硝子軟骨で覆われ,内部の 髄腔は腫瘍発生部の骨と交通している。軟骨内骨化 で形成される骨の成長板軟骨に腫瘍の起源があると 考えられており,膜内性骨化で形成される顎骨では 下顎突起以外には形成されない。良性腫瘍である が,1〜5%に二次性軟骨肉腫が生じる。EXT1ま たはEXT2の遺伝子変異が知られている。

内軟骨腫も比較的頻度の高い軟骨腫瘍である。髄 内に結節状の硝子軟骨が形成される。手足の小骨に 好発する腫瘍であり,骨軟骨腫と同様に顎骨には下 顎関節突起以外の部位にはまず生じず極めて稀であ る。皮質骨髄腔への浸潤性増殖はみられず,画像診 断や病理診断で後に述べる軟骨肉腫グレード1との 鑑別点となる。IDH1およびIDH2の遺伝子変異が 知られている。

滑膜軟骨腫症は関節近傍の軟部組織に組織学的に は良性の硝子軟骨結 節 多 数 形 成 さ れ る 疾 患 で,

WHO 分類第5版(2020年)では局所侵襲性腫瘍と されている1)。60〜70%は膝 関 節 近 傍 に 発 生 す る が,顎関節近傍にも稀ながら生ずることがある2)IDH1およびIDH2の遺伝子変異はみられない。

軟骨肉腫は内軟骨腫と共通のIDH1およびIDH2 遺伝子異常を有する悪性軟骨形成性腫瘍で,基本的 には中高年に発生する。従来グレード1〜3に分類 されていたが,WHO 分類第5版では,グレード1 軟骨肉腫は局所侵襲性の異型軟骨性腫瘍として独立 して記載された1)。軟骨肉腫の組織像は,グレード 1では異型硝子軟骨の分葉状増殖を認める。グレー ド2では,オープンクロマチンパターン(核が腫大 しすりガラス状にみえる),二核化,細胞の紡錘形 変化,基質の粘液変性が認められ,グレード3では 多形性や核分裂像が目立ってくる。異型の弱い軟骨 肉腫グレード1と内軟骨腫の組織像は類似してお り,特に小さい生検組織においては発生部位や年 齢,画像所見などを考慮せずに病理組織像のみで診 断することは難しい場合がある。通常型の軟骨肉腫 は頭蓋底以外の頭頸部発生は極めて稀とされてい る。L. L. de Souza らは224例の顎骨軟骨肉腫をレ ヴューし,そのうちの45.5%が通常型の軟骨肉腫,

36.2%が 後 述 す る 間 葉 性 軟 骨 肉 腫 と 報 告 し て い

関連医学の進歩・現状

口腔病理の一般性と特殊性:顎骨腫瘍の臨床病理学的特徴について

佐々木 文

東京歯科大学市川総合病院臨床検査科

キーワード:顎骨腫瘍,骨肉腫,傍骨性骨肉腫

(2022年8月23日受付,2022年9月9日受理)

http : //doi.org/10.15041/tdcgakuho.122.404 連絡先:〒272‐8513 千葉県市川市菅野5−11−13

東京歯科大学市川総合病院臨床検査科 佐々木 文 404

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3)。ただし,この報告では発生年齢が通常の軟骨 肉腫と異なり20代にピークがある。論文中に組織写 真がないため判断が難しいものの軟骨芽細胞型骨肉 腫症例が少なからず混在している可能性も否定でき ない。

間葉性軟骨肉腫は,軟骨肉腫の特殊型で軟骨肉腫 全体の3%以下と極めて稀な腫瘍である。形態的に は分化の低い,いわゆる小型円形細胞腫瘍成分と分 化した 硝 子 軟 骨 成 分 の 二 相 性 を 特 徴 と す る(図 1)。小型円形細胞腫瘍成分は形態的に滑膜肉腫や Ewing 肉腫などとの鑑別を要し,免疫染色所見も 非特異的であるため小さな生検組織で硝子軟骨成分 が含まれない場合は診断が困難である。IDH1

IDH2の変異はなくHEY1-NCOA2の融合遺伝子が 認められる。臨床的にも一般的な軟骨肉腫と異なっ て20〜30代に起こり,興味深いことに,これまで述 べてきた多くの軟骨形成性腫瘍と異なり頭頸部,特 に顎骨に好発するのが特徴である4)

このほかに軟骨形成性腫瘍には軟骨芽細胞腫や明 細胞軟骨肉腫などがあるが,いずれも顎骨発生は極 めて稀であるため割愛する。

骨形成性腫瘍

良性骨腫瘍である骨腫は骨表面に生じる層板骨・

皮質骨からなる隆起で,単発のこともあればAPC 遺伝子変異を背景にもつ Gardner 症候群の徴候の 一つとして多発することもある。基本的には膜内性 骨化で形成される骨に生じ,顎骨は好発部位の一つ である。

類骨骨腫は比較的頻度の高い良性骨腫瘍である。

小児〜思春期に好発し,男性に多い。通常2cm 以 下と小さく,皮質骨内にナイダスと呼ばれる境界明 瞭な類骨の形成を特徴とする。長幹骨に好発し,顎 骨発生は1%程度と稀である5)

骨芽細胞腫は組織学的には類骨骨腫と類似してい るが,通常2cm 以上である。類骨骨腫より高い10

図1 間葉性軟骨肉腫

A:10代女性下顎骨の間葉性軟骨肉腫切除例。B:Aの割面。化学療法後のため腫瘍の大部分が 消失しているが,白色調で光沢のある軟骨様組織が残存している。C:間葉性軟骨肉腫の組織像

(A,Bとは別症例)。小型円形細胞腫瘍成分(左上)と硝子軟骨成分(右下)の二相性がみら れ,その境界は明瞭である。D:小型円形細胞腫瘍成分。核細胞質比の高い円形細胞の密な増殖 を認める。

歯科学報 Vol.122,No.4(2023) 405

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〜30代に好発し,やはり男性に多い。生物学的には 良性であるが局所侵襲性の増殖様式をとる。異型が 目立つと後述の骨肉腫と鑑別が難しいこともある。

顎骨発生は骨芽細胞腫全体の15%程度とされるが,

骨芽細胞腫自体が骨腫瘍全体の1%程度と稀である ためその数は少ない6)

骨肉腫の定義は骨内に生じる骨を形成する悪性腫 瘍である1)。国内では年間200〜300例程度の稀少疾 患で,10代に好発し,男性にやや多く,好発部位は 長管骨骨幹端(骨幹と骨端の間の領域)である。骨 肉腫には多彩な遺伝子異常が報告されているものの 特異的な染色体転座などは知られていない。放射線 照射や Paget 病などの良性骨疾患に続発して二次 性骨肉腫が生じることがあり,高齢者の骨肉腫はそ の多くが二次性である。骨肉腫の組織像は多様であ るが,最も頻度が高いのは骨芽細胞型骨肉腫で,異 型細胞がレース状の類骨を形成するのが特徴である

(図2A)。次に多いのが軟骨芽細胞型骨肉腫で,

腫瘍細胞が軟骨様基質を形成するのが特徴である

(図2B)。この軟骨芽細胞型骨肉腫はグレード3 軟骨肉腫と組織像が似ているが,軟骨肉腫は一般的 に中高年に多く,骨肉腫とは好発年齢が異なるため 通常は鑑別に迷うことは少ない。

骨肉腫には悪性度が通常の骨肉腫より低い特殊型 があり,その一つが傍骨性骨肉腫で全骨肉腫の5〜

6%を占める7,8)。この腫瘍は骨表面に隆起した病変 を形成するのが特徴で,発症年齢は通常型骨肉腫よ り高い30歳代に多く,やや女性優位,好発部位は脛 骨近位や上腕骨近位である。完全切除すれば一般的 に予後良好であるが,15〜46%に初発時,あるいは 再発時により悪性度の高い,しばしば骨への分化の 乏しい腫瘍に形質転換(脱分化)することがある7)。 12番染色体の長腕に遺伝子増幅があり,この領域に

あるMDM2およびCDK4の遺伝子増幅を Fluores- cence in situ hybridization(FISH)法で証明する ことや免疫染色で MDM2および CDK4の過剰発

図2 骨肉腫の組織像

A:骨芽細胞型骨肉腫。腫瘍細胞の異型は強く,レース状の類骨(図のピンク色の部分)が特徴 的である。B:軟骨芽細胞型骨肉腫。核の大小不同,多形性の目立つ異型細胞が軟骨様基質を 伴って増殖している。C:傍骨性骨肉腫。膠原線維性間質中に異型に乏しい紡錘形細胞の増殖を 認める。D:傍骨性骨肉腫。成熟した線維骨が形成されている。本腫瘍の線維骨はしばしば平行 に走行するのが特徴である。

406 佐々木:顎骨腫瘍の臨床病理学的特徴

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現を示すことが病理診断の一助となる9)。組織像は 膠原線維性基質中に紡錘形腫瘍細胞が増殖し,腫瘍 細胞の異型は非常に弱く,細胞密度も高くはない(図 2C)。通常型骨肉腫にみられるようなレース状の 類骨の形成はなく,代わりによく分化した線維骨が 形成されるのが特徴的である(図2D)。軟骨分化 も高頻度(50%以上)に認められる7)。以上の組織 像は良性腫瘍様病変の線維性骨異形成とよく似てお り,この疾患を念頭に置かないと組織診断が難しい 骨腫瘍の一つである。

低悪性度中心性骨肉腫も低異型度骨肉腫である。

全骨肉腫の1〜2%と傍骨性骨肉腫よりさらに稀 で,発生部位が長管骨骨幹端の髄内という点を除け ば,好発年齢,臨床像は傍骨性骨肉腫と共通してお り,組織像もほぼ同様,12番染色体長腕MDM2CDK4をコードする領域に増幅がみられる点も共通 している。

筆者は前職の慶應義塾大学病院病理診断部で診断 に苦慮した顎骨腫瘍の1例を経験した10)。症例は40 代女性で6年前に他院で骨隆起の切除を受けてお り,病理診断の詳細は不明であるが良性とされてい た。2年前に隆起が再発して再び切除された際も良 性診断であった。2回目の再発で切除された検体は 異型に乏しい紡錘形細胞と成熟した線維骨や異型に 乏しい軟骨の形成を認め,一見したところ良性の線 維性骨異形成様であった。経過からは悪性も考慮さ れたが確定には至らず慎重に経過観察されていたと ころ,さらに1年後に腫瘤が再増大した。この時の 生検では異型が強く分化方向の不明瞭な紡錘形細胞 の密な増殖からなる高悪性度肉腫の像を認めた。腫 瘍細胞は免疫染色で MDM2および CDK4が陽性 であった。臨床経過を総合し,おそらく病変はもと もと傍骨性骨肉腫であり,3度目の再発時に脱分化 を起こしたと考えられた。この症例を契機に顎骨骨 肉腫に興味を抱き,顎骨骨肉腫の症例を集めて検討 することにした。

顎骨骨肉腫は全骨肉腫の6〜10%と言われてい る11,12)。一般的な長管骨の骨肉腫と比較すると発症 年齢は高く30代にピークがあり,予後は比較的良好 とされている12,13)。組織学的特徴については,通常 型骨肉腫が多いという報告もあれば14−17),低異型度 骨肉腫が優勢であるという報告もあり18,19),これは

対象とする集団や調査された年代の違いを反映して いるのではと考えられる。また,多くの腫瘍に軟骨 形成が認められるという報告もある14)

慶應義塾大学病院で2000年から2016年に顎骨骨肉 腫と診断された症例は前述の症例を含めて7例であ り(表1A),うち2例は上顎癌の放射線治療後と 線維性骨異形成に続発した二次性骨肉腫であった。

一次性骨肉腫は症例1〜4,7の5例で,年齢は26 歳から58歳(平均36.2歳,中間値28歳),症例数が 少ないが全員女性である点は注目される。遠隔転移

(肺)は1例に認められた。転帰は転院などですべ ては追跡できないが,18年経過した現在再発なく生 存している症例もみられた。前述の40歳代女性も化 学療法ののち切除術を受け,5年後の現在再発・転 移なく生存している(表1A)。

組織学的に二次性骨肉腫は異型の強い通常型骨肉 腫相当の像であったが,一次性骨肉腫は異型度が軽 度から中等度相当が多く,核分裂像も少なかった。

また,一次性骨肉腫ではレース状の類骨は不明瞭な ものが多く,間質は膠原線維性で線維骨形成が4/5 例にみられた。軟骨形成は2例に認められた。3/5 例において免疫染色で MDM2および CDK4陽性 所見が認められた。2/5例に経過中により異型度 の高い組織型への形質転換,すなわち脱分化がみら れた(表1B,図3)。

以上の顎骨骨肉腫によくみられる臨床病理学的特 徴は低異型度骨肉腫である傍骨性骨肉腫や低悪性度 中心性骨肉腫とほぼ一致し,今回の検討では症例数 が少ないものの顎骨骨肉腫では一般的には10%以下 とされる低異型度骨肉腫の頻度が高いという結果が 得られた20)。これは顎骨骨肉腫が一般的な長管骨骨 肉腫と比較すると好発年齢が高く比較的予後がよい とされる理由を説明できるものと考えられる。

巨細胞性病変

このグループに属する疾患は破骨細胞類似の多核 巨細胞の増生が特徴的であるが,巨細胞は腫瘍の本 態ではなく反応性に誘導されたものである。破骨細 胞は生理的状態において骨芽細胞の発現する Re- ceptor Activator of Nuclear Factor-Kappa B ligand

(RANKL)の刺激により分化増殖する。巨細胞性 病変においては,増殖する腫瘍細胞または腫瘍様細

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表1 顎骨骨肉腫7例の特徴 A:臨床的特徴

Case Age Sex Site Tx PH Met Outcome

26 F L/UJ Res None None ANED(10y)

27 F L/LJ CTx/Res None None ANED(18y)

28 F L/LJ Res None None N/A(3y)

42 F L/UJ CTx/Res None None ANED(5y)

55 M MS N/A RTx N/A N/A(1y)

57 F R/UJ HPTx FD None D(4y)

58 F R/LJ CTx/Res None Lung N/A(3y)

略号:A, Alive ; ANED, Alive no evidence of disease ; CTx, Chemotherapy ; F, Female ; FD, Fibrous dysplasia ; HPTx, Heavy particle therapy ; L, Left ; LJ, Lower jaw ; M, Male ; Met, Metastasis ; MS, Maxillary sinus ; N/A, Not available ; PH, Past history ; Res, Resection ; R, Right ; Tx, Treatment ; UJ, Upper Jaw ; RTx, Radiation therapy

B:病理組織学的特徴

Case Atypia Osteoid WB Cart CF Mitosis Necrosis

M ± ++ 3 per50HPF

M ± 0 per50HPF

M to H 2 per50HPF

L to M ++ 1 per50HPF

H 66per50HPF

H ++ ± 17per50HPF

M to H ± ± ++ n.d.

略号:Cart, Cartilage ; CF, Collagen Fiber ; H, High ; L, Low ; M, Moderate ; WB, Woven bone

(Sasaki et al. Clin Exp Dent Res 2021,7⑹1175−1182より引用)

膠原線維性間質(5/5) 線維骨(4/5) 軟骨(2/5)

MDM2,CDK4陽性(3/5) 脱分化(2/5)

図3 顎骨骨肉腫の病理組織

408 佐々木:顎骨腫瘍の臨床病理学的特徴

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胞の RANKL 刺激により多数の破骨細胞様巨細胞 が誘導される。なお,巨細胞性病変に対して使用さ れる抗 RANKL 抗体(デノスマブ)は骨吸収抑制 薬関連顎骨壊死を引き起こすことがあり,間接的に 口腔領域との関連が深い疾患群でもある。

巨細胞性病変の代表的疾患は骨巨細胞腫である。

20〜40代の長管骨骨幹端〜骨端に好発する。悪性度 は局所侵襲性に相当し,15〜50%が掻把後に再発 し,2%程度に肺転移が認められ,ごく稀に悪性化 する。骨巨細胞腫の組織像は,破骨細胞様の多核巨 細胞とその間の「間質細胞」と呼ばれる単核細胞の 密な増殖からなる(図4A)。破骨細胞様巨細胞は 他の巨細胞性病変のそれと比べて大型なのが特徴 で,50個以上の核を有することもある。前述のよう に破骨細胞様巨細胞は間質細胞が発現する RANKL 刺激により反応性に誘導されたもので,腫瘍の本態 は間質細胞であり,骨巨細胞腫という疾患名は mis- nomer である。骨巨細胞腫は出血,壊死,泡沫細 胞浸潤,線維組織球腫様変化,動脈瘤様骨嚢腫様変

化などの二次変化を起こすことが多い。近年,骨巨 細胞腫に特異的なH3F3A遺伝子変異が同定され た21)。こ の う ち 最 も 頻 度 の 高 い H3.3 p.Gly34Trp に対する免疫染色は,年齢,部位などの臨床像が非 典型的な場合や,二次変化が強く組織診断が難しい 際に有用である(図4B)。顎骨の骨巨細胞腫はほ とんど存在しないとされている22)

動脈瘤様骨嚢腫は当初は腫瘍様病変とされていた ものであるが,現在では内部に血液を入れ多房性を 呈する良性腫瘍と定義されている。広い年代に発生 し得るものの,症例の80%は20歳以下である。全身 どの骨にも発生し得るが,好発部位は長管骨骨幹端 で,顎骨の発生は全体の1.8%程度と稀である23)。 組織像は隔壁部には紡錘形細胞と破骨細胞様巨細胞 の増殖を認め,出血やヘモジデリン沈着を伴ってい る(図4CD)。反応性の骨形成も比較的多くみられ る。約70%の 症 例 でUSP6CDH11な ど 多 彩 な パートナーとの遺伝子転座が認められ,USP6の増 幅を伴っている。充実部が多い場合は solid variant

図4 巨細胞性病変

A:骨巨細胞腫。単核細胞と破骨細胞様巨細胞の密な増殖を認める。B:骨巨細胞腫の H3.

p.Gly34Trp 免疫染色。腫瘍細胞である単核細胞が陽性となる。巨細胞は陰性である。C:10代 女性下顎骨の動脈瘤様骨嚢腫。多房性の出血を伴う病変が形成されている。D:C の組織像。嚢

胞壁には巨細胞性病変がみられる。本症例はUSP6の転座は認められなかった。

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と呼ばれ,骨巨細胞腫に類似しているが,骨巨細胞 腫と比較すると破骨細胞が小型で分布に粗密の差が ある点がやや異なっている。しかし,前述のように 骨巨細胞腫が二次変化として動脈瘤様骨嚢腫様変化 を起こすこともあり,実際は鑑別が困難であること も少なくない。

非骨化 性 線 維 腫 は WHO 分 類 第5版(2020年)

から巨細胞性病変に分類された1)。20歳以下の長管 骨骨幹端に好発する。画像上特徴的な辺縁硬化を伴 う溶骨像で診断がつき,ほとんど無症状で自然退縮 することも多いため生検される機会が少なく,疾患 の頻度が高いとされるにもかかわらず病理検査では あまり経験されない。組織学的には異型のない紡錘 形細胞が花筵(模様を織り込んだイ草のござ)状に 増殖し,破骨細胞様巨細胞を伴っている。80%以上 の症例にKRASまたはFGFR1の遺伝子変異が認め られる。

中心性巨細胞肉芽腫は顎骨に独特な巨細胞性病変 である24)。30歳以下の女性に多く,下顎前部に好発 する。一般的には良性の経過をとるが,局所侵襲性 を示すこともある。組織像はこれまで述べてきた多 くの巨細胞性病変と同様に,線維性間質中に単核細 胞と破骨細胞様巨細胞の増殖が特徴であり,特に 上述の非骨化性線維腫とよく似ている。KRASFGFR1TRPV4の遺伝子変異が知られている。組 織像の類似性と遺伝子変異の共通点から,中心性巨 細胞肉芽腫と非骨化生線維腫の関 連 性 が 窺 わ れ る22)

ケルビズムも顎骨特有の巨細胞性病変である24)。 小児期に発症し,顎骨内の腫瘍の増大による対称性 の腫脹による顔貌の変化は天使様顔貌(ケルビムは 智天使を指す言葉)と呼ばれる。組織像は中心性巨 細胞肉芽腫など他の巨細胞性病変と同様である。

SH3BP2の遺伝子変異が認められ,常染色体優性 の遺伝形式をとる場合が多い。一般的には思春期以 降に病変が消退するため経過観察される場合が多い が,顎骨を越えて進展する例や歯・歯列の異常に対 して外科的治療が必要とされることがある。

褐色腫は副甲状腺機能亢進症に伴う巨細胞性病変 で,現時点では骨軟部腫瘍の WHO 分類には収載 されておらず腫瘍様病変とされている。組織像は他 の巨細胞性病変とほぼ同様である。顎骨にも少数の

報告がある。Guimaraes らは原発性・二次性副甲 状腺機能亢進症患者の顎骨に生じた褐色腫13例中7 例にKRASの変異がみられたとしており,中心性 巨細胞肉芽腫などと同じスペクトラムにある疾患で ある可能性を指摘している25)

以上のように巨細胞性病変は互いに組織像がよく 似ているため病理組織像のみでの鑑別は困難であ り,臨床像(年齢,発生部位,検査所見など)や画 像所見を考慮した上で必要に応じて H3.3 p.Gly34 Trp の免疫染色やUSP6の FISH や他の遺伝子検査 を行い診断する必要がある。また,遺伝子異常など の新知見に伴い疾患概念や疾患単位の考え方がたび たび変遷するので注意が必要である。

顎骨の解剖生理と腫瘍発生との関係に関する考察

これまでに述べてきたように,顎骨に生ずる骨腫 瘍は他の領域の骨腫瘍と比較して発生頻度,組織型 に違いがみられることが多い。この違いの理由の一 つとして骨発生様式が関係している可能性が考えら れる。骨の発生には二つの様式があり,一つは未分 化間葉細胞が直接骨芽細胞に分化し骨が作られる膜 内性骨化,もう一つは未分化間葉細胞が凝集して軟 骨組織からなる骨原基が作られてから骨組織に置換 される軟骨内骨化である。長管骨を含む全身の大部 分の骨は軟骨内骨化の様式をとり,膜内性骨化で作 られるのは上顎骨,下顎骨,頭蓋骨,鎖骨と限られ ている。ただし,軟骨内骨化の様式をとる骨でも骨 表面やリモデリング時には膜内性骨化の様式をと る。

軟骨内骨化は巧妙で複雑なメカニズムにより行わ れる(図5)。軟骨細胞からなる骨原基には,まず 骨幹部に一次骨化中心,次いで骨端部に二次骨化中 心ができ,これらを起点として軟骨組織が骨組織に 置換されていく。成長期には軟骨が増殖して「骨」

を伸長させる。最終分化あるいは老化した軟骨は大 型化し肥大軟骨と呼ばれる。軟骨細胞周囲にはⅡ型 コラーゲンやプロテオグリカンを主成分とする軟骨 基質が形成されているが,肥大軟骨になるとそこに 石灰沈着を起こす。この石灰化軟骨基質は,軟骨細 胞自身が産生する MMP などのタンパク分解酵素 によって分解され,そこに VEGF により血管が誘 導され(軟骨には血管がない),血流にのって骨芽

410 佐々木:顎骨腫瘍の臨床病理学的特徴

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細胞前駆細胞や破骨細胞前駆細胞が侵入してくる。

そして骨芽細胞が I 型コラーゲンを主体とする骨基 質を形成し,次第に軟骨から骨に置き換えられる形 で骨が形成される。成長期には骨幹端(骨端と骨幹 の間)に軟骨組織が残存し,成長板と呼ばれるが,

すべての軟骨組織が骨組織に置き換わると骨の伸長 は停止する。この軟骨内骨化の際の軟骨の増殖・分 化,基質分解,血管新生にはさまざまな増殖因子が 関与し,MAPK シグナル,PI3K/Akt シグナル,

TGFβ/BMP シグナル,PTC/GLI シグナル,Wnt/

β- Catenin シグナルなどの増殖シグナルのホット スポットとも言える26)

顎骨に分化のよい内軟骨腫や通常型の軟骨肉腫の 発生頻度が少ないことは,顎骨にこれらの腫瘍の母 地となり得る軟骨細胞がもともと存在していないこ とで理解できる。また軟骨内骨化と関連の深い骨軟 骨腫が下顎突起以外に発生しないことも容易に説明 可能である。間葉性軟骨肉腫はより未熟な間葉細胞 を起源としていると考えられるので,軟骨原基を介 さない膜内性骨化で形成される骨にも発生し得るの だろう。ただし,顎骨に好発する理由については不

明である。

骨肉腫の発症機序は解明されていないが,通常型 骨肉腫は成長板の残る年代の骨幹端に好発すること から,上記に軟骨内骨化シグナルの破綻が腫瘍発生 に関連するのではと想像できる。この仮説を支持す る結果として,He ら米国国立癌研究所のグループ は p53欠損マウスの骨髄由来間葉幹細胞を免疫不全 マウスに移植し,同細胞に AKT2遺伝子を導入す ることで骨芽細胞型骨肉腫を,cFOS 遺伝子を導入 することで骨芽細胞型骨肉腫を形成することに成功 している27)。一方,長管骨や顎骨にできる傍骨性骨 肉腫,低悪性度中心性骨肉腫は,好発年齢は軟骨内 骨化が行われる時期を過ぎており,また好発部位も 軟骨内骨化が行われる骨や部位ではない。そこで,

これらの低異型度骨肉腫の発生は軟骨内骨化シグナ ルの関与は少なく,かわりに膜内性骨化に必要なシ グナルとの関連が深いのではと考えられた。膜内性 骨化においては軟骨内骨化同様に MAPK シグナル や TGFβ/BMP シグナルが関与するが,未分化間 葉細胞の凝集と骨芽細胞への分化に PDGF シグナ ルが重要であるという28)。興味深いことに,マウス

(T. Michigami. Cell. Mol. Life Sci,70:4213−4221,(2013).より転載)

図5 軟骨内骨化のメカニズム

左側:軟骨内骨化の過程にある胎児骨の組織像。右側:軟骨内骨化の各ステージにおいて軟骨細 胞増殖・分化,基質分解,血管新生などを制御するシグナル。

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脳腫瘍の発生において PDGFR シグナルと傍骨性骨 肉腫で遺伝子増幅している CDK4との関連が示さ れている29)。また脂肪肉腫細胞株において PDGFR シグナルの下流の一つの PI3K/Akt と MDM2が 協調することも報告されている30)MDM2CDK4 の遺伝子増幅は,現在は傍骨性骨肉腫,低悪性度中 心性骨肉腫の診断の指標であり腫瘍発生における意 義については不明であるが,これらの低異型度骨肉 腫の発生機序との何等かの関わりがあるのかもしれ ない。

巨細胞性病変については,骨巨細胞腫がなぜ顎骨 に発生しないのかその明確な理由は不明である。顎 骨は咀嚼により常にメカニカルストレスが加わる環 境から,骨リモデリング機構が他の骨と異なり破骨 細胞形成に違いがあるのかもしれない。しかし,骨 巨細胞腫の破骨細胞は腫瘍そのものではなく反応性 に形成されたものであるため,リモデリングの違い でも説明困難である。ケルビズムに関しては,Yoshi- taka らが SH3BP2変異マウスモデルの系で,マ クロファージの toll-like receptors(TLRs)シグナ ルの感受性が亢進しており,これらのシグナルを遮 断することでケルビズム病変の形成を抑制できるこ とを示している31)。この実験結果から,顎骨では TLRs のリガンドとなる口腔内細菌やリモデリング に関連した Damage associated molecular pattern

(DAMP)が豊富であるため,SH3BP2変異が顎 骨特異的にケルビズム病変を引き起こすのではと推 測されている。

おわりに

代表的な軟骨形成性腫瘍,骨形成性腫瘍,巨細胞 性病変について概説した。これらの腫瘍の顎骨と他 の領域における組織型,発生頻度の違いは,顎骨の 発生様式や解剖学的特性が関与している可能性があ る。

図5の右半分はスプリンガー・ネイチャー社の許諾を 得て,T. Michigami. Cell Mol Life Sci 70:4213−4221

(2013)の4214ページ Fig.1より転載した。

本 論 文 の 内 容 の 一 部 は,第313回 東 京 歯 科 大 学 学 会

(2022年6月4日(土)Web 開催)の特別講演において 発表した。

著者の利益相反:開示すべき利益相反はない。

文 献

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Referensi

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