専攻 管理栄養士専攻
所感 TPの作成は、管理栄養学科における自分の役割とは何かを考える機会となり、自分の教育活動を振り返る機会となった。今 後は、地域に根付く管理栄養士教育の充実に努めていきたいと思う。氏名 林 明日香
家政学部家政学科の教育目標は、本学の教育目標と教育方針の下、「真心・努力・奉仕・感謝」の四大精神の実践を通して社会的に自立して生きていく上で必要な①スキル・リテラシー・
教養等に関する一般的知識・技能と②家政に関する専門的知識・技能と③建学の精神・社会人基礎力・pisa 型学力を統合的に身に付け、社会に出てからは、これらの知識・技能をベースに 生涯学習社会の中で自己の潜在能力をさらに開発しながら、職場と地域の課題解決に貢献できる人材を育成することである。
イ 家政学専攻の教育目標は、家政学部の教育目標の下、これからの社会の新しいライフスタイルのデザインを提案することによって、人々の日常生活を衣・食・住の面から支援すること のできる人材を育成することである。
ロ 管理栄養士専攻の教育目標は、家政学部の教育目標の下、管理栄養士の資格を生かして、チーム医療、健康増進・疾病予防、食育・栄養指導又は健康をテーマにした食品の研究・開発 等で活躍することによって、人々の日常生活を健康の面から支援することのできる人材を育成することである。
ハ こどもの生活専攻の教育目標は、家政学部の教育目標の下、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の資格を生かして、こどもたちの学力および社会性・社会力の基礎・基本を育てることに よって、人々の日常生活を子育ての面から支援することができる人材を育成することである。
1 教育の責任
科目名 専攻 開講期 受講者数 備考
臨床栄養学Ⅰ 管理栄養士専攻 2年後期 64 専門必須科目 臨床栄養学実習 管理栄養士専攻 3年前期 80 専門必須科目 臨床栄養学Ⅲ 管理栄養士専攻 3年後期 80 専門必須科目
栄養実習事前事後演習 管理栄養士専攻 3年前期 80 専門必須科目オムニバス 臨床総合演習 管理栄養士専攻 4年前期 63 専門選択必須科目オムニバス 臨床栄養活動論 管理栄養士専攻 3年後期 18 専門選択必須科目オムニバス 他11科目
私は家政学部管理栄養士専攻の教員として、学生指導は2021年3月で10年とな る。その中で、2020年度はオムニバス科目を含めて合計17科目担当した。私が担 当する授業は、右の一覧表のうち、管理栄養士を目指す学生が専門を身に付けるた めの必修科目と管理栄養士の臨地実習並びに臨床専門分野に位置する専門実践科 目を担当している。また、卒研指導では、EBM に基づき、根昆布サプリメントと 女性の便通をテーマに研究を実施している。(添付資料1)
(その他)就職委員、国家試験対策委員、3年Aクラス指導、臨地実習委員、キャ リア教育推進委員、ハラスメント委員、NR サプリメントアドバイザー認定資格担 当者等を担当している。
2 教育の理念と目的
本専攻は管理栄養士専攻であることから、実務経験を持つ私の役割は管理栄養士の魅力を学生に伝えることにあると考えている。したがって、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指 導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導及び栄養改善上必要な指導について、責任をもって仕事を任せられる人材 育成のために、その業務の本来の姿を伝えることであると考える。そのためには、ただ単に知識を持っているだけではなく、病弱者に寄り添うことができ、気配りの優しさや思いやりとい った豊かな思考力を兼ね備え、仲間として一緒に働きたいと思える管理栄養士を養成することにあると考えている。
3 教育方法
① 臨床栄養活動論では、できるだけグループワークをとり入れ、学生間の話し合いができる環境を確保している。このような体験は、学生の協調性を養い、多職種連携を行う際の意見 交換の練習になると考えている(添付資料2)。②臨床栄養学実習では、学生には自分で創造性を発揮し、自分で問題を解決する力を身につけ献立を工夫させたいと考えている。私が 提示するさまざまなレポート課題や献立には、明確な答えが無いものが多い。さまざまな状況の中で、探求心が起こるよう働きかけ、熟考したうえで指導ができる学習を行っている
(添付資料3)。③臨床栄養学Ⅰでの講義は、解剖生理学とのつながりから理解させる工夫を実施している(添付資料4)。
4 授業改善の活動
授業評価アンケ―トを活用し、授業の改善を行っている。アンケート結果を得る回数が少ない為、小テストを行い、学習状況を確認しながら、授業のペースを調整している。小テストは、
範囲が広い授業の到達度を把握するために役立っている。(添付資料5)
さらに、私は日本健康栄養システム学会に所属しており、毎年の学会には積極的に出席するようにしている。この学会で「臨床栄養師」という資格を2007年に取得し、現在も継続中であ る。全国の人脈ネットワークを生かし症例検討などを学びつつ、栄養管理プロセスの考え方を取り入れながら、NCMに基づく栄養管理の方法を授業に生かしている。これらの研修は福祉基 礎、高齢者在宅、退院計画、栄養ケアプロセスの基礎、水電解質と輸液の実際、嚥下スクリーニング・口腔ケア・食事介助、給食経営管理等、多岐に亘る内容を含んでいる。(添付資料6)
そして、現在は日本栄養士会の管理栄養士専門分野別人材育成事業における、栄養ケア・マネジメント専門管理栄養士(仮)に関与しており、現在活動中である。今後は、臨床栄養活動論、
臨床栄養学Ⅲといった専門科目の授業に、最新の情報を反映させる予定である。
5 学生の授業評価
2020年度の評価は添付資料のとおりである。特にこれまでの教育内容で評価が高かったのは、Q2とQ9である。それぞれ後期は平均4.4と4.0であった(添付資料7)。この結果を踏ま え、受講しやすい授業とは、理論が明確で基礎科目と関連して理解しやすい授業と考えることが出来る。また、分かりやすい授業を行っていることは復習も行いやすく、次の授業の予習も 前向きに取り組める結果となっている。それらの状況から、就職に向けた意欲的な動きも出ている(添付資料8、9、10)。2020年度の授業評価では、 Q2は臨床栄養活動論:3.64±0.54、
臨床栄養学Ⅰ:4.35±0.24、臨床栄養学Ⅲ:3.94±0.25 という結果を確認できた。このような状況の中、今後は、さらに専門化・グローバル化する食に対応できる学生を増やし、管理栄養 士の資格を幅広く生かせる就職支援に生かしたいと考える。
6 学生の学修成果
上記の授業方法と改善により、「柔軟な考えを活用できる学生の授業展開を考慮した」ことで、臨地実習中において学生がどの程度総合的な理解に繋がったのかを、実習に行く前と後の独 自のアンケートを実施した。知識だけの勉強から知識を活用へ発展する結果となってきた。治療や薬の種類への理解不足、検査値の基準値をもっと頭に入れる必要がある、栄養ケア計画に ついて勉強が足りないことが分かったなど、栄養ケア・マネジメントを行う上で教科書ではわかりにくい内容について振り返る学生が多いことが分かった(添付資料11)。実習後の管理栄 養士のイメージが良くなったこと、希望する就職先が病院や診療所と回答した学生が27.9%程度いることも明らかとなった。(添付資料12)R2の就職状況調査では、職種別に分析すると、
病院及び福祉のメディカル関連に就く学生が全体の52%に及んでいた。ま た、大手委託給食会社主要4社の内定者が2年連続増加傾向にあった。
愛知学泉大学ティーチングポートフォリオ 2021年3月10日改定 7 授業科目に関連した教材開発
授業では、小テストの回数を多くすることで、学習の振り返りの機会を多く作った(添付資料13)。PCRシートも、記述内容を多くし、予習や復習の項目を充実させている(添付資料1 4)。クラスルームを活用したオンライン授業、限定コメント欄を使った学生へのフィードバック、すべての PCRシート提出物に対しルーブリックによる社会人基礎力評価など授業面で創 意工夫した。
8 指導力向上のための取り組み
愛知学泉大学家政学部が主催する FD 研修会に毎年参加し、教育改善の方法を得ている。また、今年度は厚生労働省主催の「日本人の食事摂取基準」講習を受講した後、その内容を衣浦 東部保健所管内栄養士会で講師として講演を行うことで、指導力向上に努めた(添付資料15)。さらには新東工業とせんねん村矢曽根と共同研究を行い、大学紀要に論文をまとめることで、
論文執筆の指導力向上に努めた。(添付資料16)。R2は新東工業との共同研究で、3本の腸内細菌に関する卒研内容を大学紀要にまとめ、EBMを発信できる管理栄養士として努力してい る
9 今後の目標
安城市との産学連携活動を臨床キャリアの授業としてさらに展開し、健康をサポートするための産官学連携事業から、仕事のノウハウを学生に学ばせ、管理栄養士として柔軟に活躍でき る人材育成を目指していきたいと考えている。
10 添付資料
添付資料1:カリキュラムマップ、添付資料2:シラバス、添付資料3:シラバス、添付資料4:シラバス、添付資料5:小テスト結果集計表、添付資料6:認定証と研修会要綱、
添付資料7:授業評価アンケート結果、添付資料8:就職ガイダンス出席率、添付資料9:H24の就職一覧、添付資料10:令和元年度就職一覧、添付資料11:事前事後演習に関するアンケート用紙 添付資料 12:事前事後アンケ―ト結果のまとめPP、添付資料13:小テスト、添付資料14:PCRシート、添付資料15:講演依頼書、配布資料 添付資料16:大学紀要原稿