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建築木質材における釘および部材接合金物の表面劣化による

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工学院大学建築学部卒業論文梗概集 田村研究室 2020年度

建築木質材における釘および部材接合金物の表面劣化による 腐食溶出物が及ぼす木表層部への外観影響

DB17231

中薗 慎太

1.はじめに

日本には多く の森林資源 があり、 その多くが 木材とし ての利用適齢 期を迎えて いる。そ のため、耐 火木造など の開発に加え 、持続可能 な資源で ある木材を 利用し、循 環型社会を形 成する目的 で都市木 造として中 規模公共建 築に木造を利 用する機運 が高まっ ている。し かし、木材 は腐朽、蟻害など様 々な不具合 の要因を 持つ材 料である。

不具合のひと つである鉄 汚染 1)は 、木材と鉄 、水の3つ の共存によっ て容易に引 き起こさ れる現象に も関わらず 、 鉄汚染に関す る研究 2)は 未だ少な いのが現状 である。鉄 汚染の防止と してシュウ 酸(COOH-COOH)、次亜リン酸

H3PO2

など の酸 が 使用 さ れる が 、 接合 と し て利 用 する 金物の腐食を 促進する可 能性 3)が あるため、 完全な鉄汚 染と腐食への 対策は未だ 確立され ないでいる 。

そこで、本研 究では木材 と鉄の 化 学的性質か ら両者の 共存によって 引き起こさ れる不具 合を調査し 、水の含有 による木材中 の

pH

変化 が不具合 に影響する かを調べる 。 そして、鉄や 防食処理を 施された 釘との接触 状態の違い により外観影 響に変化が 生じるか を検討する 。また、こ の結果を踏ま え、既存の 材料が付 与する機能 を利用して これらの外観 影響への対 策が可能 かを検討す る。

2.研究の流れ

本研究の流れ を図

1

に示す 。実験

1,2

では板 目の木材 から試験体を 切り出し、 心材と辺 材として使 用する。使 用する釘は無 処理の他、 防錆処理 が施された ものを使用 し、表面処理 によって鉄 汚染が抑 制されるか どうかの検 討も行う。辺 材と心材を 含水させ る水量 と

pH

の変化量 を調べ、含水 率ごとの放 出す る

pH

の想定を 行う。これ によって水分 量と発生

pH

の 関係を把 握する 。実験

3

で は木材と釘を 組み合わせ た部材か ら、木材の 浸水が原因 で錆汁の流出 、及び鉄汚 染が発生 するという 状況を仮定 し、この状況 から引き起 こされる 汚染の長さ や面積、明 度減少などの 試験を行う 。この実 験の結果を 踏まえ た対 策として、実 験

4

では 実環境を 想定した試 験 を行う。実 験

3

と同じ状 況下で既存 の建築に 利用される 石膏ボード や木材用保護 塗料などが 有する 防 水、調湿な どの機能を 試験体に付与 することで これらの 汚染を防止 、または抑 制できるかど うかの検討 を行う。

図1 研究の流れ

a) 製釘工程 b) ローリング工程

c)釘による鉄汚染 d)美術品の鉄 汚染

写真1

N

釘の製 造と鉄汚 染の影響

3.

木質建材用金物 に関する 劣化性状の 調査

3.1

木造住宅金物 の実態調 査

釘の製造現 場の実態を 調査 し、 木質建築用 金物の防錆 処理や研究に 関するヒア リング調 査を行う。 この結果、

以下のことが 判明した。

(2)

釘や金属接合 金物と木材 が接触す る際、水に 濡れるこ とで鉄汚染が 発生する 。鉄汚染 は写真1 のよう に発生し、

木材 の 美観 を 著し く 損ね る 。

JIS

規 格の 標 準 的な 釘 とし て鉄製の

N

釘 が用いられ る。ただ し、N釘や 溶融亜鉛め っきを施す

NZ

釘は、木 酸で腐食 するため長 期利用の視 点からは不適 である。ス テンレス 釘は耐食性 が高いが、

コストも高く なるため、今でも

N

釘が主流で ある。その ため、製造現 場では溶融 亜鉛やク ロメート処 理などを施 し、コストを 抑えつつ、 耐食性の 改善をはか っている。

3.2

木材の鉄汚染 発生メカ ニズム

既往の研究 1)では、鉄汚 染は木材 中のリグニ ンやタン ニンのフェノ ール成分が 水

H

2

O

と鉄イ オン

Fe

3+の化合物 形成によって 発生すると される。 汚染発生の 際、紫色の ジベ ンゾ カ テキ ン 鉄酸[FeH2

O(C

6

H

4

O

2

)

2

]H

な ど 1)に 相当 する塩が生成 され、これにより 木材は暗 青色に 変色する。

3.3

木材による鉄 の腐食促 進メカニズ ム

木材は水と接 触すること によって 、酢酸

CH

3

COOH

な どの有機酸を 放出する。 この有機 酸が釘の防 錆被膜を破 壊する。例え ば溶融亜鉛 めっき

Zn(OH)

2の場 合は以下の ような反応が 起こる。

Zn(OH)

2

+2CH

3

COOH→Zn(CH

3

COO)

2

+H

2

O

保護皮膜の破 壊後、鉄は 水

H

2

O

と酸素

O

2に より腐食 する。また、 鉄は低い

pH

の環境 下で腐食が 促進される ため、木材に よって腐食 は促進さ れるといえ る。

4.

木材抽出成分と 鉄汚染並 びに腐食の 関係 性

4.1

心材と辺材の 鉄汚染進 行試験

(実験 1 ) 4.1.1

実験計画

使用材料を 表

1

に、要因 と水準を 表

2

に、実 験方法を 表

3

に示す。 木材を含水 させ、釘 との接触時 に発生する 鉄汚染を確認 し、質量変化 率から含 水率を調べ 、

pH

変化 率と含水率の 関係とそれ が汚染に 及ぼす影響 を調べる。

4.1.2

実験結果

写真

2

に鉄汚 染を確認し た

1

日目 からの鉄汚 染の進行 のようすを示 す。鉄汚染 は

1

日目 から発生し 、腐食より も早い段階で 生じていた 。無処理 釘の他に、 溶融亜鉛め っき、ユニク ロめっきの いずれも 鉄汚染が生 じた。

2

に実験結 果を示す。 心材は含 水率が高く なり、心 材の

pH

は低く表示され た。逆に 、含水率の 低かった辺 材は

pH

が心材より も高く表示 された 。以上の 結果から、

含水率と

pH

の関係 性が示唆さ れた。

4.2

木材抽出成分 の

pH

調査 (実験2 )

4.2.1

実験計画

3

に試験 体の概要図 を示す。 木材水比の 異なる大中 小の

3

タイプの容器 を用意し、 木材 の含水 に よる

pH

の 変化挙動を調 べる。また 、心材、 辺材を利用 することに より、心材と 辺材とで

pH

が変化 するかを調 査する。pH の変化量の推 移から木材 吸水時の 科学的挙動 を考察する 。

表1 使用材料(研究2,3)

木 材

樹 種 寸 法

(縦×横×長 さmm) 防 錆 処 理 長 さ

(mm)

実 験 1 ス ギ 30×60×13

無 処 理 溶 融 亜 鉛 め っ き 45 ユ ニ ク ロ め っ き 実 験 2 ス ギ 15×15×15 使 用 し な い

実 験 3

実 験 4 ス ギ 90×90×90

無 処 理 溶 融 亜 鉛 め っ き 45 ユ ニ ク ロ め っ き ス テ ン レ ス 釘 備 考 ) ユ ニ ク ロ め っ き : 溶 融 亜 鉛 メ ッ キ に ク ロ ム 酸 塩 の 保 護 膜 を つ け た も の

表2 実験要因と水準(研究2、3 )

要 因 水 準

使 用 木 材 心 材,辺 材

防 錆 処 理 無 処 理,溶 融 亜 鉛 め っ き,ユ ニ ク ロ め っ き

測 定 項 目 質 量 変 化,pH変 化

測 定 期 間 30分,1時 間,3時 間,1日,1週,2週,3

使 用 木 材 心 材,辺 材

容 器 サ イ ズ 大,中,小

測 定 期 間 30分,1時 間,3時 間,6時 間,毎 朝(21日)

打 込 み 面 板 目,木 口

防 錆 処 理 無 処 理,溶 融 亜 鉛 め っ き, ユ ニ ク ロ め っ き,ス テ ン レ ス 釘 打 込 み 角 度 45°(先 端 上 向 き),0°,-45°(先 端 下 向 き) 打 込 み 深 度 45mm(完 全 打 込 み),25mm,5mm

測 定 項 目 含 水 率,流 れ 量(長 さ 基 準),画 像 解 析,明 度 変 化 測 定 期 間 0分,15分,30分,1時 間,3時 間,6時 間,

24時 間,毎 朝(21日 間)

劣 化 防 止 措

石 膏 ボ ー ド 半 面,石 膏 ボ ー ド 全 面,塗 料 の 塗 布 測 定 項 目 含 水 率,画 像 解 析,明 度 変 化

測 定 期 間 0分,15分,30分,1時 間, 3時 間,6時 間,及 び 毎 日(14日 間)

表3 実験項目及び実験方法

項 目 名 称 ・ 方 法

1

実 験 名 略 記 鉄 汚 染 試 験

試 験 体 略 記 木 材:心 材(s),辺 材(h)釘:無 処 理(A),溶 融 亜 鉛 め っ き(B),ユ ニ ク ロ め っ き(C) SA,SB…と 表 記

試 験 体 作 成

150mm×150mm×13mmの ス ギ 材(防 蟻 処 理 な し)か ら 試 験 体 を 抽 出 、s,hに 分 類 釘 を5mm打 ち,質 量 測 定 75mm×40mm×22mmの 容 器 3mm注 水 後 、 試 験 体 投 入

含 水 率(%) 試 験 体 組 立 時 の 質 量WOと 測 定 時 の 質 量W を 用 い て(W-WO)/Wで 算 出

pH pHメ ー タ ー を 用 い て 測 定 測 定 は1週 か ら 行 う

2

実 験 名 略 記 pH試 験

試 験 体 略 記 容 器 : 大(L),中(M),小(S) 木 材:心 材(s),辺 材 (h) Ls1,Ms1,Ss1…と 表 記

試 験 体 作 成

図 3a)のL,M,S容 器 に そ れ ぞ れs,hの 木 材 を 容 器 に 投 入 浮 上 防 止 に 重 り を 設 置,水 を 容 器 の 縁 ま で 入 れ,測 定 毎 に 水 を 追 加,蒸 発 防 止 に ラ ッ プ を す る

pH pHメ ー タ ー を 用 い て 測 定

3

実 験 名 略 記 汚 染 量 測 定 試 験

試 験 体 略 記

項 目:板 目(P),木 口(M),釘 角 度(A),釘 深 度(D) 釘:無 処 理(n),溶 融 亜 鉛 め っ き(c),ユ ニ ク ロ め っ き(z),ス テ ン レ ス(s) A,Dnの み 使 用 の た め 省 略,角 度 お よ び 深 度 を 記 入

Pnc,Mn,A0,D45の よ う に 表 記 含 水 率(%) 含 水 率 計 を 用 い て 測 定(%)

流 れ 量(mm) 釘 下 部 か ら 錆 の 流 れ た 下 端 ま で の 長 さ を 測 定 画 像 解 析

(mm2)

流 れ 量 測 定 時 に 写 真 を 撮 影 LIA for Win32を 用 い て 画 像 を 解 析 明 度 測 定 L*a*b*表 色 系 の 色 差 計 に よ り 測 定

試 行 回 数 は3と し 、 平 均 値 を 数 値 と す る

4

実 験 名 略 記 汚 染 抑 制 試 験

試 験 体 略 記 項 目:石 膏 ボ ー ド 半 面(Ah),石 膏 ボ ー ド 全 面 (Az)ア ク リ ル 保 護 塗 料(B)

含 水 率(%) 含 水 率 計 を 用 い て 測 定 画 像 解 析

(mm2)

流 れ 量 測 定 時 に 写 真 を 撮 影 LIA for Win32を 用 い て 画 像 を 解 析 明 度 測 定 L*a*b*表 色 系 の 色 差 計 に よ り 測 定

試 行 回 数 は3と し 、 平 均 値 を 数 値 と す る

(3)

4.2.2

実験結果

4

に実験結 果を示す。図中 青が

S、黄 が M、赤が L、

濃色が

s

、淡色 が

h

を示 す。

1

日目 までは全て の試験体の

pH

が減少し、4日 目までで 中性に近づ いた。そ の後、大 きな材ほど低い

pH

に定 常化した 。これは大 きな 試料に 顕著で、小と中との 間には差が ほぼない ものも 見られた。

また、心材と 辺材の間に 差は見ら れなかった 。 この結果 より、含水で きる量が大 きいほど 、水が木材 の内部に浸 透し、有機酸成 分が多く溶 出される ため、pHが低下した 酸性状態が継 続する可能 性がある ことがわか った。

4.2.3

木材成分による 有機酸放出 の考察

木材を構成す るリグニン などが水 によって溶 出し、酢 酸やギ酸など が生成され る 4)。ギ 酸の生成後 は一酸化炭 素、水が 生成され 、一酸化 炭素も酸 素によ り中 和される。

HCOOH → CO + H

2

O 2CO + O

2

→2CO

2

溶出した酸は こうして中 和される が、木材が 酸性成分 を水分と共に 取り込むた め、 一部 の酸は木材 中に残存す る。これによ り、含水量 が同一の 際 は酸の強 さは木材の 大きさによっ て決定され る。 また 、水が下部 のみの 実験

1

で多く含水した 心材は

pH

の低 下が顕著で あり、両者 が水を多く含 んだ実験

2

では

pH

の差異が見 られなかっ たことから、 心材と辺材 共に水を 多く含むと 木材成分が より溶出され 、その成分 を原因と した有機酸 によって釘 の腐食や木材 表層部の汚 染につな がることが 考察される 。

ただし、リグニ ンは高分子 原子で あ り

OH-は 他の成分

と比べ少なく 、木材が含 水のみで 強い酸を示 す可能性は 低い。しかし ながら、劣 化 を促進 させる程度 には酸性を 示し、かつ酸 性を一定の 間保持す ることがわ かった。

5.

木材と釘の接触 時の流れ 量の変化( 実験 3)

5.1

流れ量変化試 験の概要

5

に概要 図を示す。 木材と釘 を組み合わ せた材が周 囲の浸水によ り含水する 状況を仮 定した試験 体を作成し 、 試験体の表面 が要因・水 準の違い からどう汚 染するかを 検討する。錆 汁の流出長 さを確認 するため 、 試験体下部 には白板を取 付け、長さ 測定の際 は板の下端 を最下点と する。画像解 析の対象は 測定範囲 内における 錆汁・鉄汚 染・及び含水 による暗色 への変化 が著しいも のの

3

種と する。また、 明度の測定 は

2

週、4週 及び

6

週 に行う。

5.2

実験結果

6

に実験結果を 示す。含水 率は

10~20%の範囲で微

増した。釘角 度の試験体 は

9

日目 に錆汁が板 の下端まで 流れ、以降は 測定可能の 最大値と なった。こ のように、

錆汁は鉄汚染 より長い範 囲に影響 を及ぼし、 挙動も鉄汚 染とは異なる ため、表面 劣化の影 響度を検討 する上では 劣化長さより 劣化範囲を 検討すべ きだといえ る。画像解

析結果を

c),d)に示す。木 口は水の 行き来が板 目に比べて

多く、含水に よる変色や 錆汁など 鉄汚染以外 の汚染も見

られた。その ため、木口 は板目と 比べ汚染 範 囲が大きく なった。板目 の場合、汚 染が見ら れないもの もあり、そ れは屋外の日 向に置かれ た試験体 に多かった 。

a)心材1日目 b)辺材1日目

c)心材1週目 d)辺材1週目

e)心材2週目 f)辺材2週目

写真2 試験体の鉄汚染進行のようす

a)含水率と経過時間 b)pH と経過時間

図2 含水率と pH の関係性(実験1)

図3 含水容積を変えた(LMS)pH 調査試料 (実験2)

図4 含水の差による pH 調査結果(実験2)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

0 30m 1h 3h 1d 7d 14d 21d

含水率[%]

経過時間 sA sB sC hA hB hC

6 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 6.9 7

7d 14d 21d

pH

経過時間 sA sB sC hA hB hC

40mm

57mm 57mm 40mm

40mm 13mm c)試験体L (水/木=1.04)

50mm 50mm

31mm 20mm b)試験体M (水/木=0.56) 35mm 20mm

25mm 35mm

13mm a)試験体S (水/木=0.38)

6.00 6.20 6.40 6.60 6.80 7.00 7.20 7.40 7.60 7.80 8.00

30m 1h 3h 6h 1d 2d 3d 4d 5d 6d 7d 8d 9d 10d 11d 12d 13d 14d 15d 16d 17d 18d 19d 20d 21d

pH

経過時間

Ss1 Ss2 Ss3 Sh1 Sh2 Sh3

Ms1 Ms2 Ms3 Mh1 Mh2 Mh3

Ls1 Ls2 Ls3 Lh1 Lh2 Lh3

項目 水:木 0.38 0.56 1.04

(4)

5.3

釘打込み時の 表層部汚 染の考察

木口は水の 移動が多く 、鉄汚染 以外の汚染 も多く見ら れた。板目は 、日向側に 静置 した 釘は鉄汚染 が少なかっ た 。 板 目 で 汚 染 が 著 し い の は 日 陰 静 置 の 角 度

(A)と 深 度 (D)であっ た。A

は、角度なし の

A0

が上向き の

A45

や下 向きの

A-45

より汚染し た。板目 試験体は下 木口面から 吸水する関係 上、A45 は最下が内 部より酸素 と接触する 表面となり、 鉄の腐食が 汚染原因 の溶出より 優先され、

汚染が起きに くい。A-45は汚染 が内部で 反応 し、表面化 しにくい。これ らの反応差 から、A0が最も汚 染しやすい と考えられる 。

D

では、浅 い打ち込み の

D5

は 通常の

D45

よりも木材と の接触が少 なく、汚 染も少なか った。 以上 から、打込み 面の水移動 と接触が 表層部汚染 の原因にな ることが示唆 された。

6.

接合金物の表層 部汚染へ の対策(実 験4 )

6.1

試験概要

接合金物の 表層部への 外観影響 を対策する ため、それ ぞれ石膏ボー ドの調湿性 と、アク リル保護塗 料 の止水性 を付与した試 験体を作成 し、含 水率 と汚 染量を 比較した。

6.2

試験結果

7

に試験 結果を示す 。アクリル 保護塗料

(B)を用いた

場合、含水 率は石膏ボ ード(Ah,Az)によるもの に比べて低 く観測された 。しかし 、B1の汚 染は無対策 時 である

D45

と同程度の汚 染が確認さ れた。 こ れは、アク リル保護塗 料の止水性に より、含水 量が少な くなったも のの、その 分水分が移動 する経路が 釘の打込 み部分に限 定され、木 材が放出する 成分の影響 を受けや すくなった ためと考え られる。石膏 ボードを用 いた試験 体では 、無 体策時と同 等の含水率が 観測された が、 汚染 の発生開始 時期が遅く なり、汚染範 囲も少なか った。 こ れは石膏ボ ードが木材 からの溶出水 分を吸収し たことに よって、釘 打込み部分 の水分及び酸 が減少し、 汚染が抑 制されたの だと考えら れる。

7.

まとめ

1)含水により心材及 び辺材は 同様に汚染 され る。

2)有機 酸の 量は 木材 含水 量や 、含 水 する 木材 量に 影響す

る。

3)放出 され る有 機酸 は徐 々に 中和 さ れる が、 一部 の有機

酸は木材内部 に取り込ま れる。

4)防錆 被膜 と木 表層 部の 汚染 には 相関 は見 ら れな かっ た。

5)表層部汚染は釘の 打込み角 度や深度に も影 響する。

6)表層部汚染は付近 の水移動 の影響が示 唆さ れた。

7)石膏 ボー ドな ど、 木材 付近 の湿 度 を抑 える こと で金物

の表面劣化や 木材表層部 の汚染を 抑制できる 可能性が ある。

謝辞

本研 究を 進める に当 たり 、KN 村田 産業 株 式会社 の皆 様には建材用 金物の製造 現場の見 学の機会を 頂くと共に 、 有益な資料を 提供頂きま した。こ こに感謝の 意を表しま す。

a)試験体概要図 b)D・ 21 日目 図5 流れ量変化試験の概要(実験3)

a)打込み方向の汚染長さ b)D,A との汚染長さ比較

c)板目の汚染量増加 d)木口の汚染量増加 図6 流れ量変化試験の結果(実験3)

a)経過時間と含水率変化 b)汚染範囲の比較

図7 汚染対策試験の結果(実験4)

参考文献

1)武南勝美:木材の化学汚染について ,材料/日本材料

学会 [ 編 ], 1967.10 pp784-789

2)中野隆太 ,他:鉄汚染時の釘接合部に関する研究 ,日

本建築学会学術梗概論文集,2019.10 pp519-524

3)松浦力:木材の鉄汚染防止 ,広島東部工業研究技術

センター研究発表,2003.8 pp66-69

4) 五十嵐剛 , 他:住環境における酢酸及びギ酸の発生 源に関する調査,東京都健康安全研究センター研究 年報 ,2019.3 pp221-230

範囲を求め、

汚染面積を 推定

最下点の 汚染長さ を測定

0 20 40 60 80 100 120

0 30m 2h 6h 2d 4d 6d 8d 10d 12d 14d 16d 18d 20d

汚染長さ(mm)

経過時間

Pn Pz

Pc Ps

Mn1 Mn2

Mn3 Mz1

Mz2 Mz3

Mc1 Mc2

Mc3 Ms1

Ms2 Ms3

0 50 100 150 200 250 300 350

0 30m 2h 6h 2d 4d 6d 8d 10d 12d 14d 16d 18d 20d

汚染長さ(mm)

経過時間 Mn1 Mn2 Mn3 A-45 A0 A+45 D45 D25 D5

120

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 30m 2h 6h 2d 4d 6d 8d 10d 12d 14d 16d 18d 20d

汚染面積[m]

経過時間

Pz Ps

A0 D45

D25

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

汚染面積[m]

経過時間 Mn Mz Mc Ms A0

1400

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

0 30m 2h 6h 2d 4d 6d 8d 10d 12d 14d

含水率

経過時間 Ah Az B

0 50 100 150 200 250 300 350

0 30m 2h 6h 2d 4d 6d 8d 10d 12d 14d

汚染面積[]

経過時間

Ah Az

B1 B2

D45

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2011年度日本建築学会 関 東 支 部 研 究 報 告 集 2012年 3月 1 茅勾配と改質処理を施した茅部材の含水特性とカビ劣化性状の評価 1.材料施工7.エコマテリアル 準会員 ○ 野村奈緒*1 正会員 田村雅紀*2 茅素材 カビ 吸水率 色差 腐食 劣化 1.はじめに 日本の伝統建築として自然材料を利用して建てられて

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はじめに 日本は昔から伝統建築として様々な自然材料を使用してきた こけら葺き材もそのひとつであり、金閣寺や銀閣寺など国宝級 の建築物に使用されてきた。こけら葺きは、さわらや天然杉、 栗の木などを柾目に割り、敷き詰めた屋根のことである。しか し今日において、地球温暖化を始めとする環境の劇的な変化や、 それに伴うこけら葺きの材料である天然木の減少、そして昔か