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改訂概念フレームワークと資産負債アプローチ

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Academic year: 2023

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改訂概念フレームワークと 資産負債アプローチ

経済学研究科 藤井 秀樹 [email protected]‐u.ac.jp

1 2

本日のテーマ

資産負債アプローチ(A/L-Ap)の概念整理と今日的意義の 再検討

1. FASB[1976]が,概念フレームワークの基礎をなす会計 観の選択問題を提起。A/L-Apが,公式文献に初めて登 場。

2. 概念書第6号が,A/L-Apに依拠した定義を提示。選択の 経緯・理由は説明せず。

3. SOX法,SEC[2003]が,概念フレームワークの改訂を指 示。A/L-Apの変質過程。

藤井[2011]「FASB/IASB改訂概念フレームワークと資産負 債アプローチ」『国民経済雑誌』第204巻第1号。

2

3

SOX 法の要請

• エンロン・ワールドコム事件を受けて,2002年 7 月成立。 SEC に対して以下の課題を要請。

1. 原則主義会計( principles-based

accounting)の採用について研究すること。

2. 研究成果を 1 年以内に議会に報告すること。

3 4

SEC[2003] の勧告

• 基準設定団体( FASB )に対して,以下の課題を 勧告(指示)。3脚台(three-legged stool)。

1. 目的適合性,信頼性,比較可能性のトレードオ フについて明確な指針を示すこと。

2. 概念書第 5 号の利益稼得プロセスに関する議論 と,概念書第6号の定義の不整合を解消すること

3. 測定属性の選択に関するパラダイムを確立する こと。

4

FASB[1976] の問題提起

• 概念フレームワークの基礎をなす会計観とし て, A/L-Ap と R/Ex-Ap のいずれが選択され るべきか。 cf. 非連携

A/L-Ap と R/Ex-Ap の論理構成

利益の定義 鍵概念 基本的な測定プロセス

A/L‐Ap

一期間における企 業の正味資源の増 分の測定値

企 業 の 経 済 的 資 源 の 財務的表現である資産,

および将来他の実体に 資源を引き渡す企業の 義務の財務的表現とし ての負債

資産・負債の属性およ び当該属性の変動の 測定

資産-負債=純資産 純資産の増分=利益

R/Ex‐Ap

アウトプットを獲得 し 販 売 す る た め に インプットを収益的 に活用する企業の 活動成果の測定値

企 業 の 収 益 稼 得 活 動 からのアウトプットの財 務的表現である収益,

および企業の収益稼得 活動へのインプットの財 務的表現である費用

収益・費用の測定およ び費用(努力)と成果

(収益)の関連づけ(対 応)

収益-費用=利益

(2)

7

実質的でない相違と実質的な相違

• 実質的でない相違

(1)特定の会計観と特定の財務諸表の結びつき。情報 の重要性(利益or資産負債)に関する規範性。

(2)特定の会計観と特定の測定基準の結びつき。測定 問題に関する規範性。

• 実質的な相違

(1)計算擬制的項目の貸借対照表計上を容認するか否 か。定義問題に関する規範性。

(2)利益の本質を純資産の増分と見るか,収益費用の 差額と見るか。

7 8

A/L-Ap が選択された理由と背景

• FASBは,基準書第2・7号(R&D),第5号(偶発事象)の設 定過程で,R/Ex-Apに依拠した定義は機能しないことを確信 していた。

• すべての借方残高を資産,貸方残高を負債とすることを容認 する定義。計算擬制的項目の貸借対照表計上を容認。

APB[1970]はその典型例。

• R/Ex-Apは,解決策の一部ではなく,問題の一部であると,

FASBは考えた。

Storey and Storey[1998],pp.79-80.

9

会計観の選択問題の真意

• FASBは,設立直後(1974~75年)から,R/Ex-Ap

の問題点(計算擬制的項目の貸借対照表計上を容 認=規範性の欠如)を認識し,その影響を基準設定 から排除しようとしてきた。

選択問題の提起は一種のレトリックであり,その真 意は,会計規制の基礎をなす会計観を

R/Ex-Ap

か ら

A/L-Ap

に誘導・転換することにあったと解される。

10

構成団体関係者の反応

• APB[1970]の定義の「根本的な変更」。強い拒否反応を惹 起。「不幸なことに,この問題は高度に感情的な問題となっ た」(Storey and Storey[1998])。

• 批判の主要な論点

「会計の世界をひっくり返そうとしている」という恐怖心。

(1)利益計算書よりも貸借対照表を重視する会計観である。

(2)完結した取引と原価収益対応に依拠した会計から,現在価 値と現在原価による資産・負債の評価に依拠した会計への 移行をもたらす会計観である。

11

FASB の対応

• 批判の論点は,FASB[1976]で示された「実質的でない相 違」に対応するもの。FASBの釈明を含意。

• 「定義のアンカーとなる概念的根源性は,どの情報が最も有 用かという問題は,情報がどのように測定されるかという問 題とは関係がない。それは,たんに定義が何に依存するか を指示するものである」。Gellein[1986].

■会計観(A/L-Ap)の機能は,定義に限定。認識・測定には影 響しないというのが,当初の論理構成であった。

12

A/L-Ap の概念的分裂

• A/L‐Ap

の当初定義を継承した

ASBJ

は,当該会計観 の機能を定義に限定した制度設計を進めている。

日本版概念フレームワーク第3章序文。

純利益と包括利益の並列開示を主張。

• FASB

は,

A/L‐Ap

の機能を,認識・測定に拡張した制 度設計を指向。改訂プロジェクトの過程で,顕在化。

包括利益の一元開示(純利益の開示禁止)を主張。

(3)

13

概念フレームワーク改訂プロジェクトの経緯

13

2002年7月 SOX法(企業改革法)の成立

2003年7月 SEC研究報告書(SEC[2003])の公表

2004年7月 10月

SEC[2003]への回答書(FASB[2004])の公表 概念フレームワーク改訂プロジェクトの開始

2006年7月 予備的見解(FASB/IASB[2006])の公表 2008年5月 公開草案(FASB/IASB[2008])の公表

2010年9月 改訂概念フレームワーク(FASB/IASB[2010])の公表

14

資産負債アプローチの機能の拡張 資産負債アプローチは, FASB が,資産・負債を「い

つ認識」し,「どのように測定」するべきであるか を決定するさいにはもちろん,基準の最適範 囲ーすなわち基準が取り扱うべき取引や事象は 何かを決定するさいにも,欠くことのできないも のである。

SEC[2003].

■When(認識), How(測定), What(定義)の問題 の解決に寄与。

ch.Where(報告実体),Why(目的)。

14

15 15

取引・事象の 経済的実質 資産・負債の

識別 会計的認識・測

定のルール

概念的アンカー 会計情報

忠実な表現

SEC[2003]

の主張の図解

資産・負債=現実世界の経済現象

(経済的資源)

現実世界の経済現象の忠実な表現 会計的擬制(配分)の排除

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質的特性のトレードオフの解釈

• FASBの解釈。信頼性=表現の忠実性。現実

世界の経済現象を忠実に表現した情報が,

有用である。公正価値評価の広範な利用を 推奨・提唱。

• 実務界の解釈(異説)。信頼性=検証可能性

・正確性。歴史的原価の優位性を主張。

■表現の忠実性 vs. 検証可能性

トレードオフをめぐる 2 つの解釈

有用性

信頼性 目的適合性

検証可能性 表現の忠実性

公正価値の 優位性を主張 (FASBの解釈)

歴史的原価の 優位性を主張 (異説の解釈)

FASB/IASB の対応

• 「信頼性=忠実な表現」であることを,明確に し,質的特性から異説の成立する根拠を排除 する。

( 1 )信頼性を忠実な表現に差し替える。

( 2 )忠実な表現の構成要素から,検証可能性を 排除する。

( 3 )検証可能性を「直接的検証」と「間接的検

証」に区分し,前者の優位性を主張する。

(4)

19

提案された質的特性とその構成要素

19

2006年予備的見解 2008年公開草案 2010年改訂 概念フレームワーク 1.目的適合性

予測価値,確認価値,適時性 2.忠実な表現

検証可能性,中立性,完全性 3.比較可能性

4.理解可能性

基本的特性 1.目的適合性

予測価値,確認価値 2.忠実な表現

完全性,中立性,不偏性 補強的特性

1.比較可能性 2.検証可能性 3.適時性 4.理解可能性

基本的特性 1.目的適合性

予測価値,確認価値 2.忠実な表現

完全性,中立性,不偏性 補強的特性

1.比較可能性 2.検証可能性 3.適時性 4.理解可能性

20

2006年PVで提案された質的特性

20 有用性

有用性の補強 目的適合性

重要性 コスト・ベネフィット

忠実な表現 比較可能性 理解可能性

描 写 す べ き 現象の同定

描 写 方 法 の 判断

財 務 諸 表 で の 表示

21

2008 年 ED で提案された質的特性

21 補強的特性

基本的特性 目的適合性

重要性 コスト

忠実な表現

比較可能性

検証可能性

描写すべき現

象の同定 描写方法の 判断

理解可能性 適時性

財務報告での 表示

有用性

有用性の補強

22

改訂概念フレームワークで示された質的特性

22 補強的特性

基本的特性 目的適合性 忠実な表現

比較可能性

検証可能性

描写すべき現

象の同定 描写方法の 判断

理解可能性 適時性

財務報告での 表示

有用性

有用性の補強

重要性とコストを質的特性から排除した点以外は,FASB/IASB[2008]

の提案を継承している。

23

質的特性の論理的序列の含意

1. SEC[2003]の提起した3脚台の第1の課題に対す

るFASBの回答。異説の生じる余地が排除された という意味で,質的特徴間の関係はより明確に なった。

2.

忠実な表現から検証可能性を排除したために,目 的適合性への牽制機能を喪失。

3.

「公正価値情報は目的適合的」という論理的経路 と,「実体の財政状態を忠実に表現するのは公正 価値情報」という論理的経路が,予定調和的に併 存。

24

A/L-Apの変質とSEC[2003]の3脚台

1.

機能領域を認識・測定に拡張したことによって,

「どの情報が有用か」,「情報はどのように測定さ れるべきか」という問題をも射程に入れた質的特 性の改訂が可能になった。

2. 3

脚台の第

2

の課題も,

A/L‐Ap

の変質が前提。利 益稼得プロセスと定義を整合させる必要性は,当 初定義においては問題となりえない。

3.

測定属性の選択に関するパラダイムも,A/L‐Apの

変質に照らし見通すことができるであろう。公正価

値測定のさらなる領域拡張。

(5)

25

デュー・プロセスの形骸化

2006年PV,2008年EDに対するコメントレターで示された多数 意見が,即時的かつ全面的に棄却された理由。

1. コメントレターで示された批判意見・反対意見は,APB時 代から実務界が繰り返し提示してきたものであった。R/Ex- Apに依拠した意見。

2. FASB/IASBは,そうした意見の発出を,プロジェクトの発 足当初から想定していた。そうした意見を封殺することが,

プロジェクトの主目的の1つであった。

3. プロジェクトの進行過程においては,説得や妥協の対象と なりうるものではなかった。

26

A/L-Ap の当初構想の復元

1. 2006年PV,2008年EDに対するコメントレターで示された 批判意見は,APB時代から実務界が持ち続けてきたもの であった。高度に感情的な問題,恐怖心。

2. 他方,FASBも,A/L-Apに依拠した制度設計を是とする立 場を堅持し続けてきた。その立場は強固(信念的)。

3. FASB[1976]のA/L-Apの当初定義は,当時の実務界に 対する妥協を示すものであり,プロジェクトの過程で再定 義されたA/L-Apこそが,むしろFASBの当初構想を示すも のであったと解釈するができる。

27

まとめー観察予測

• 概念フレームワーク改訂プロジェクトの過程で示された FASB/IASBの理念的議論を純粋展開させるならば,「純利 益と包括利益の並列開示」から「包括利益の一元的開示」へ の移行が,コンバージェンスの今後の基本的な展開方向とし て規範化されることになるであろう。

• 実行可能性の問題。一般的承認性の問題。制度設計者の 価値合理性と,市場参加者の目的合理性。

■藤井[2010]「総括と展望」『会計制度の成立根拠とGAAPの 現代的意義』日本会計研究学会スタディ・グループ最終報 告。

Referensi

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Ⅰ ■出題のねらい 留学に関する学生どうしの会話の内容の理解を問う問題です。語法の知識を問う問題と,文 脈から推測して空所を埋める問題,内容読解問題という構成となっています。留学の行き先候 補地が複数出てきますので,どちらの人物がどの国を希望しているのか整理しながら読んでい く必要があります。また会話をしている 人の学生の他に,会話の中でまた別の学生が登場し