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日本人とアメリカ人の質問行為

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Academic year: 2023

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(1)

日本人とアメリカ人の質問行為

-グローバル人材を育成する英語教育のために-

植野貴志子(東京都市大学)

[email protected]

日本英語教育学会第 44 回年次研究集会

2014 年 3 月 2 日

(2)

「グローバル人材」と「質問」

• グローバル人材とは、「自分の考えを持った うえ で、世界中の異なる考え方を受け入れて共感し、

違いを明確にしたうえで、ディベートしてまとめら れる人」である。 (志賀俊之・ 日産自動車副会長@「グローバル人材 育成フォーラム」 2013 年 12 月 22 日付朝日新聞朝刊)

• 人間関係を築くうえで大切なことは、「相手の話 をどれだけ熱心に聞き、どういう質問をするか」

である。 Sobel & Panas, 2012, Power Questions

(3)

「日本人は質問をしない」

(4)

なぜ日本人は質問をしないのか?

• 比較文化論(会田 1972他)

「察し」「遠慮」「和を重んじ、目立つのを嫌う」などの 文化的志向性

• 教育論(上條 2000)

日:「受け入れるためだけに聞く聞き方」

一方的に聞く授業形態。質問をよいものとして トレーニングしていない。

米:「質問をするつもりで聞く聞き方」

ただ聞いているだけでなく、質問・意見をぶつける ことが要求される。

(5)

本発表のアウトライン

1. 質問とは?

2. 初対面の先生・学生間の日本語会話/アメリカ英語会話 において、質問がどのように行なわれているか?

日本人:先生が学生を話しやすいように助け、導く アメリカ人:先生と学生が対等に見解や情報を引き出す 3. 日本人英語学習者は、グローバル人材としての

英語コミュニケーションカを養うために、何を知っておく べきか、どのような訓練が必要か?

(6)

質問とは

• 話し手の内面の「不確かに思う気持ち」が ある(南 1985 ;山口 1990; 宮地 1979; Lyons 1977 )。

• 不確かに思う気持ちが表出されたとき、自ず と聞き手に応答を求める「質問」となる。

• 質問には、ことばの上での応答を求めて相手 に働きかける「言語的影響力」が備わる

(宮地 1979 )。

(7)

図1.四表現の言語的影響力の強さ

(宮地 1979 : 87 )

感:感動 叙:叙述 疑:疑問 命:命令

(8)

質問の談話・対人機能

• 談話

相手を話に参加させる、相手に知識や考えを述べ させるなど、会話におけるやりとりの進展を主導

• 対人

パワー:上位者から下位者へ ( Ehrlich & Freed 2010 )

親密性:質問者と応答者の結びつき ( Schiffrin 1993 )

「熱中スタイル」 ( Tannen 1984 )

(9)

質問と文化・社会

• 彭 ( 2001 )

古代中国・・・尊敬すべき人に質問をしてはならない という「禁則」

• Goody ( 1978 )

ガーナ・ゴンジャ・・・子供から大人への質問の欠如 英・米語圏中流階級・・・幼少期に親から子供に繰り 返し行われる質問と応答の訓練

→ 質問の情報要求機能が命令的機能から分離

質問することへの抵抗感が除かれる

(10)

データ

「ミスター・オー・コーパス」

• 「びっくりしたこと」をテーマとする 5 分間の 日本語・アメリカ英語会話、各 10 組

• 参加者:初対面の先生・学生のペア 日本人 : 大学教員(平均 40.3 才)

大学生(平均 21.3 才)

米国人: 大学英語講師(平均 39.7 才)

大学生(平均 21.3 才)

(11)

本研究での「質問」

• 疑問文の形式を持ち、相手に対して何らかの問題を 提示し、それについての応答を求めて働きかける発話

(南 1985; 宮地 1979 他)

• 疑問文の形式

日:(1)文末の音調を上げる

(2)文末に「か」「の」「かな」「かしら」等の助詞をもつ (3)疑問詞を用いる (宮地 1979 )

英:(1)文末の音調を上げる

(2)(助)動詞 + 主語の語順転倒の形式をもつ (3)疑問詞を用いる

(4)付加疑問文の形式をもつ Freed 1994

(12)

質問の回数と主な使用目的

質問の回数

• 日本人 108 発話

先生: 75 、学生: 33

(先生>学生 約 2.3 倍)

• アメリカ人 71 発話 先生: 41 、学生: 30

(先生>学生 約 1.4 倍)

質問の主な使用目的

日本人、アメリカ人ともに、

(1)相手に話題の提供を促す

(2)相手の話題の展開を促す

(13)

話題提供を促す:先生による話題の提案

01 T2: 学生さん [ でいらっし

02 S2: [ はい、今4年生で=

03 T2: =あ=

04 S2: =就職活動 しています=

05 T2: =あ、じゃ、就職活動中なら

06 S2: はい

07 T2: びっくりすること色々あ [ るんじゃないかしら

08 S2: [ たくさんありますね

(14)

• 「そういう経験っていうのは、あのう、なんか、あ、あの う、やっぱりひとつ、おもしろい春だったなっていうよう なね、時間でしたね、んー、 あなたにとったら、何か、

そういう世界、変ったよ、みたいなの、ありますか」

• 「あるいは、そうですね、なんか読んだこと、映画で見 たこと、なんでも何かありますか」

• 「たとえば普通日常的な中でね、なんだろう、なんかす ごくその、宿題をやってくるのを忘れて、でも当てられ てびっくりしたとかね、(中略)そういう日常的なことで、

なんかないんですか」

(15)

話題展開を促す:先生による話の補完

01 S4:したら、また、ドーンて、きて、なんか、お釜に残ってる、ご飯全部いれてくれ、[くださって

02 T4: [あ、ん、優し い{笑}=

03 S4: =優[しいんです{笑} 04 T4: [優しいお店の人だ

05 S4:そうです{笑}=

06 T4: =うーん=

07 S4: =それで、入れてもらっ[て

08 T4: [う[ーん

09 S4: [それを、もってきてもらっ[て 10 T4: [うーん 11 S4: はい、普通 [に全部

12 T4: [それでぺろっと平ら[げちゃったの/

13 S4: [そうなんですよー、なん[か

14 T4: [恐ろしい、さすがラグビー部は違 [う

15 S4: [違うんですよねー、それで=

16 T4: =へえ

(16)

話題展開を促す質問:先生による話の拡張

17 S4: でも、なんか、ちょっと苦しんでたんで

18 S4: やっぱ、苦しいこともあるんだなと思いました{笑}

19 S4: そんな、なんだか、 [ びっくりっていうか、よくお腹に入るなーと

20 T4: [ うーん

21 T4: そうよね、いくらラグビー部とはいえ

22 T4: で、そのカレーは辛いの/

23 S4: 辛いんですよ

24 S4: [ 辛いから、まあ、ルーが残るのは仕方が [ ないんですけど

25 T4: [ ああ

26 T4: [ ああ、そうか、ご飯 のほうが比率が多 [ くなって

27 S4: [ そうですね

(17)

学生の質問

• 話題提供を促す質問の使用/話題展開を 大きく左右する質問の使用に消極的

• 学生の質問の多くは、応答における負担が

小さく、話題展開にあまり影響を与えないもの

(18)

話題提供を促す:自由な話題選択

T8: Do you have something in mind?

S8: How about you?

(例)

“What‘s your story?”, “So what do you find

surprising?”, “How about yourself?”, “So what

surprises you?” etc.

(19)

話題展開を促す:見解の要求

01 S9: So it‘s a xxx...like the... seems like the technology in Japan is like one step ahead of the U.S.... U.S. technology.

02 S9: And, seeing evidence of that here and there is always a... b...is a, always a surprise.

03 T9: Do you find yourself kind of forgetting what it‘s like in the States, and this is, become more commonplace?

04 T9: For example you were saying, you know, it's kind of commonplace in America for advanced

technology like... you know... ahh... cameras on the telephone [to be... it was brand new, but you come here and all of a sudden it's like, ‘Oh, that's, you know, that's nothing big'.

05 S9: [Uh-huh.

06 T9: [Do you think when you go back you'll kind of be like... you'll be surprised because of the lack of technological advancement?

07 S9: [Yeah.

08 S9: That could be... um... hmm... Yeah, none of my friends back home have cell phones so I don't know what the progress is there.

09 S9: But, um... yeah maybe, if there's no way to tell unless I go back, which I'm going back in a month...

so...

(20)

話題展開を促す:見解の要求

01 S9: Isn't that interesting, usually don't the men usually hope for a son?

02 T9: That's...that's [what I heard, so yeah.

03 S9: [But...

04 S9: [Hmm

05 T9: [So I thought he would definitely have a

little more fun with a boy than he would

with girl.

(21)

日本人/アメリカ人の先生・学生の質問

日本人 アメリカ人

回数 先生が学生の約 2.3 倍

(先生: 75 、学生: 33 )

先生が学生の約 1.4 倍

(先生: 41 、学生: 30 )

話題提供を 促す質問

・先生による話題の提案

・学生は話題提供の促しに消極的

先生・学生による、 “How about

you?” 等 → 自由な話題選択

話題展開を 促す質問

・先生による話の補完、話の拡張

・学生は話題展開を大きく左右す る質問を回避する

先生・学生による、詳細の引き 出し、発話意図の明確化、見 解の要求

まとめ ・先生と学生の非対等な質問

・先生が学生を話しやすい話題の 選択、話題の展開へと導き、学生 はそれに従う

・先生と学生の対等な質問

・話題の選択、展開は、互いに、

相手の自由、独立性を尊重す

るやり方で行う

(22)

日本人とアメリカ人の「先生」と「学生」の関係

日本人

• 非対等な関係

• 「面倒見のよい」上位者が 下位者を保護し、下位者が 上位者に保護されるという、

タテの社会構造、人々の 行動様式に組み込まれた 上下関係に基づく役割関係

( Nakane 1970; Lebra 1976)

アメリカ人

• 対等な関係

• 「互いの自立性を重視し、

相手に自由に決めさせる

のが思いやりである」という

アメリカ人のコミュニケー

ションの理想像( Lebra

1976 )

(23)

• 日本人英語学習者は、グローバル人材として

の英語コミュニケーションカを養うために、何

を知っておくべきか、どのような訓練が必要

か?

(24)

英語教育において必要なこと

• 自身のコミュニケーション・スタイルへの自覚と、

他者のコミュニケーション・スタイルについての 知識

• 「聞く」「読む」活動の中に、「質問」「意見」など 積極的な発話を用意する訓練

• 相手や状況に応じたコミュニケーション・スタイル のスイッチを可能とする素地を養う

• 異なる文化的背景をもつ人々と対等に話しあえる

素地を養う

(25)

佐藤真海さん

「英語を学びたいというよりは、伝えたい、海外 に友達を作りたいという方が強かった。海外の 友人からは、使え使えと励まされ、使った。」

「学校での英語は一生懸命やった。単語も文法 も詰め込んだ。でも、ずっと使えなかったのに、

今、ふたが開いて、ぽこっと出てきた感じで

す。」 ( 2013 年 11 月 16 日付朝日新聞朝刊)

(26)

「実践的科学知NEWS」<http://www.waseda.jp/prj-GCOE-PracChem/jpn/newsletter/img/GCOENL01.pdf>(2014228日)

(27)

本研究で使用したデータは、平成15~17年度科学研究費補助金基盤 研究B1(課題番号15320054)「アジアの文化・インターアクション・言語の 相互関係に関する実証的・理論的研究」(代表:井出祥子)において収録 された「ミスター・オー・コーパス」の一部である。

本研究は、平成25~27 年度科学研究費補助金基盤研究C(課題番号 125370733)「日本語話者と英語話者の質問行為の対照研究」(代表:

植野貴志子)の成果の一部を含む。

(28)

参考文献

会田雄次(1972).日本人の意識構造 講談社.

Ehrlich, S. & A. F. Freed. (2010). The function of questions in institutional discourse: An introduction. In A. F. Freed and S. Ehrlich (Eds.), Why do you ask? pp. 3-19. New York:

Oxford University Press.

Freed, A. F. (1994). The form and function of questions in informal dyadic conversation.

Journal of Pragmatics, 21, 621-644.

Goody, E. N. (1978). Towards a theory of questions. In E. N. goody (ed.), Questions and Politeness: Strategies in Social Interaction. 17-55. New York: Cambridge University Press.

上條晴夫(2000).「質問する技術」を教えたい!教育ジャーナル, 178.

Lebra, T. (1976). Japanese patterns of behavior. Honolulu: University of Hawaii Press.

Lyons, J. 1977. Semantics, Vols. 1 & 2. Cambridge: Cambridge University Press.

南不二男(1985).質問文の構造 水谷静夫(編)文法と意味Ⅱ 朝倉書店 pp.39-74. 宮地裕(1979).新版文論 明治書院.

Nakane, C. (1970). Japanese society. Berkeley: University of California Press.

Schiffrin, D. (1993). “Speaking for another” in sociolinguistic interviews: Alignment,

identities, and frames. In D. Tannen (Ed.), Framing in discourse. pp. 231-261. New York:

Oxford University Press.

Sobel, A & J. Panas. (2012). Power Questions. Wiley.

Tannen, D. (1984). Conversational style: Analyzing talk among friends. New York: Oxford University Press.

植野貴志子(2013).問いかけ発話の社会指標性―上下関係における役割の指標― ことばと人間, 9, 1-12.

山口堯二(1990).日本語疑問表現通史 明治書院.

Referensi

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