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時間栄養学 - J-Stage

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Academic year: 2023

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【解説】

体内時計の機能について考え,まず体内時計の研究でわかっ てきたことを種々の角度から眺めてみる.とくに体内時計の 性 質 で あ る,約24時 間 の 時 計 発 振 機 構,外 界 の 周 期 的 振 動 現象に対する同調現象の説明を行う.この場合,光による同 調の重要性と,食餌による同調の重要性について解説するまた,薬理作用に時刻依存性があるように,食物や栄養の作 用に時刻依存性があり,食べる時刻により,より肥満になる 可能性などについて解説する.

体内時計性質と働き

1.  いろいろな周期のリズムとリズムの3大性質 心臓の鼓動のリズムも,女性の「月経」のリズムも同 じリズム現象でとらえることができる.このように生体 には速いリズムから遅いリズムまで,多くのリズム現象 が存在する.体内時計はこのような多くの生体リズム現 象を司っているということになる.リズム現象は周期,

振幅,位相で表現するが,まず周期を考えて分類すると 4種類ある.周期が約90分の (A) ウルトラディアンリ

ズムがある.この90分周期は睡眠でよく見られる.睡 眠はノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠で大脳の睡眠と,

レム睡眠と呼ばれる身体が休み,脳は夢を見る睡眠に2 大別するが,この2つの睡眠がペアとなり約90分続く.

したがって,6時間睡眠の人はこのリズムが4回起こり,

7.5時間睡眠の人は5回起こることになる.次に (B) 

サーカディアンリズムがある.語源をたどれば,サーカ

(およそ,概),ディアン(日)リズムとなり,日本語で

「概日リズム」と呼ぶ.つまり約1日を周期とするリズ ムで,ヒトではおよそ24.5時間周期である.体温リズ ム,副腎皮質ステロイドホルモン分泌リズム,睡眠・覚 醒リズムなど,昼と夜で大きく変わる現象にはほとんど この概日リズムが関わっていることになる.時計遺伝子 などの働きがよくわかっているのはこのリズムであるの で,後ほど詳しく解説する.狭義に体内時計といった場 合には,このサーカディアンリズムを動かす時計のこと を指している.さらに (C) サーカルーナリズムがあり,

これは約1カ月を周期とするリズムである.先に述べた ように女性の月経周期や,潮の満ち引きがかかわる海産 生物に見られる.そして,さらに遅い周期で (D) サー カアニュアルリズムがあり,年周期のリズムである.生

時間栄養学

柴田重信

Chrono-Nutrition

Shigenobu SHIBATA, 早稲田大学先進理工学部生理・薬理研究室

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物では1年に一度開花するものや,動物では1年に一度 繁殖期を迎えるものなどが知られている.ヒトの場合に は年周期のリズムはあまり見られないが,季節によって 変化する,たとえば日照時間と関連して,冬季にうつ病 が発症する「冬季うつ病」なども知られている.

次に振幅を考えてみよう.昼夜差と言う言葉で代表さ れるように,リズムには振幅が見られる.メラトニンは 夜間に分泌され,昼間にはほとんど分泌されないので,

振幅は100倍程度になる.一方,体温リズムはせいぜい 1‒2度の範囲で振幅を刻むが,精度は高い.一般的に発 達や老化の時期は振幅が小さく,いわゆるメリハリがな いリズムになる.

次に位相であるが,地球の裏側に住んでいる生物の体 内時計の針は真反対を指している.シフトワークや時差 がある場所への急速な移動は,新しい明暗環境の位相に 対して,自分自身の時計の位相が合わないために,時差 ボケ状態を起こす.しかしながら自分の体内時計の位相 を環境の位相に徐々に合わせていくことにより,時差症 候群が解消される.一方,後述するようにわれわれの体 の中には体内時計がいくつもあり,肝臓の時計と腎臓の 時計は少し位相が異なっていることもわかってきた.す なわち,視交叉上核と呼ばれる場所にある中心時計が,

体の標準時刻になり,他の臓器の時計はローカル時刻の ようなものである.

2.  体内時計は全身にある

時計遺伝子の発見でわかったことは,時計遺伝子発現

は全身性に見られるということである. 遺伝子は 主時計のある視交叉上核に多く発現してサーカディアン リズムを示すことは容易に想像できるのであるが,調べ てみると,大脳皮質や海馬などの脳や心臓,肺,肝臓,

腎臓,皮膚などほとんどあらゆる臓器に発現し,リズム を刻んでいることが明らかとなった.したがって,体内 時計は,階層構造をとったシステムとして機能している と考えられるようになった.オーケストラにたとえる と,視交叉上核が指揮者で(主時計),大脳皮質や海馬 などの脳(脳時計)や肝臓,心臓などの末梢臓器(末梢 時計)にある時計がそれぞれの楽器のパートであり,演 奏するタイミングを視交叉上核が指示しており,これで ハーモニーが取れたオーケストラになっている(図

1

視交叉上核を通して,朝の光が体内時計をリセットし,

24時間の地球自転周期に合わせている(1) (図1).楽器 が違うようにそれぞれの臓器の時計は固有の働きを有し ている可能性が高い.肝臓では,コレステロールや中性 脂肪の合成に関わる酵素が体内時計の支配下にあり,そ れぞれの都合が良い時刻に合成を行っていると考えられ ている.また小腸の体内時計機構を調べた結果,グル コースの取り込みに関与する  ,   遺伝子発現 が日内リズムを示した.視交叉上核がそれぞれの臓器に どのような信号で時刻の情報を伝えているかについては 不明であるが,自律神経や内分泌ホルモンの可能性が指 摘されている.

図1体内時計の仕組みを表す模式図

体内時計は主時計,脳時計,末梢時計の階層構造からなる.また,同調(リセット)のための入力系,約24時間周期の発振系,実際の時 計出力系の3つの系からなる.同調には視交叉上核を経由する朝の光刺激と,直接脳や末梢臓器動かす朝食の食刺激が重要である.

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疾患原因としての体内時計異常

数々の時計遺伝子が見つかったが,その遺伝子異常が どのような疾病の原因になるかについては不明な点が多 い.時計遺伝子の異常マウスの症状から調べた研究によ ると,アルコールやコカイン依存,あるいは躁病などに 時計遺伝子が関わっていることがわかり,また,コレス テロールや中性脂肪などの脂質代謝に関わっていること もわかる(1).ヒトのアルコール依存症のリスクファク ターとして 遺伝子の異常も知られている(2).さら に時計遺伝子異常により,がんの発症リスクが高まるこ となども知られている(3).時計遺伝子はほぼ全身に発現 していることから,種々の生体機能に関わり,それに異 常が出現すると疾患の原因となりうる.また,時計遺伝 子の異常のみならず,交替制勤務などでシフトワークを 行うと,この場合も似た症状で,乳がんや前立腺がんな どになりやすいことが報告されている.さらにシフト ワークはメタボリックシンドロームになりやすいことも 報告されている.このように体内時計の異常は,ヒトや 動物において,種々の疾患のリスクファクターになりう ることがわかってきた.

時間栄養学と体内時計作用栄養学

体内時計と食・栄養との関係を考えると,「時間栄養 学」としての側面と「体内時計作用栄養学」としての側 面が考えられる.夜食は太る,あるいは朝食を欠食する と太るといった現象は,食事のタイミングが肥満に関係 することを意味するので,「時間栄養学」に当たる.エ ネルギー代謝や栄養トランスポーターに関わる多くの遺

伝子発現がリズム変動していることを考えると,食事は 栄養素等の構成や量といった情報のみならず,いつ取る かという時刻の情報で栄養素の働きが変わってくる(図

2

「体内時計作用栄養学」は,栄養素を含む食物が体 内時計に働きかけることで体内時計をリセットするの で,生活リズムの基本形成に寄与している(図2).「時 間栄養学」と「体内時計作用栄養学」双方の研究が進む ことにより,生命活動を営むうえで必要な朝食,昼食,

夕食のメニューの必然性について考え,また機能性食品 の開発もさらに進めることができると期待している.

時間栄養学のメカニズム

1.  体内時計によるエネルギー摂取調節

時間栄養学は時間軸上に展開される栄養素の消化,吸 収,代謝,排泄等を研究する学問である.ヒトは民族や 地域に関わりなく1日3回の食事を摂取しており,これ は外界の時間の手がかりがない場合でも習慣としている ことから,この食行動そのものが,体内時計の支配にあ ると言える.このような行動は,体内時計のリセット,

生活リズム形成にも役立っている.しかしながら,現代 社会においては,朝食の欠食や夜食の習慣化に見られる ように,食習慣は乱れる傾向にある.シフトワークや時 差ボケもさることながら,ゲームや趣味によって起こる

「社会的時差ボケ」が若年層において増加している状態 でもある.

2.  消化・吸収と体内時計

小腸の糖吸収システムでは,糖輸送システムを担うト ランスポーター遺伝子にも顕著な昼夜のリズム発現が認 図2体内時計と栄養学,薬理学の 関係を示す図

左側には体内時計と栄養・食物との 関係を示し,右側には体内時計と薬 物の関係を示した.栄養や食物が体 内時計に作用する仕組みを調べるた めに,体内時計作用栄養学を設定し,

体内時計が栄養の作用に影響する仕 組みを調べるために,時間栄養学を 設定した.

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められる.ラット小腸の糖吸収に関わるトランスポー ターである  ,  ,   では,遺伝子のmRNA およびタンパク質発現に明瞭なリズムが示されてい

(4, 5).いずれも活動期の始まりにピークを有すること

から,摂食行動に先立ち前もってトランスポーターの働 きを高めておき,糖がスムーズに吸収されるよう調整さ れていると考えられる.摂食時刻の変更で,これらのト ランスポーターのピーク時間も変動する(6).タンパク質 はアミノ酸として,あるいはジペプチドやトリペプチド としてPEPT1の働きにより吸収される. 遺伝子 にはDBP結合部位があり,これを介して,リズム性の

発現を示し,先の糖のトランスポーターと同様に活動期 の初期にピークがくる.このリズム性の発現は小腸に発 現している時計遺伝子と同様に絶食や迷走神経除去では 影響を受けないので,内因性リズムの可能性が高い.

大腸での体内時計の役割としては,蠕動運動の調節が 考えられる.ヒトの場合一般的に昼,朝,夜の順にリズ ム性が高いため,時差旅行やシフトワークでは腹痛,便 秘,下痢が起こりやすい.マウスでは,大腸の上皮組織 や神経叢に時計遺伝子が発現し,神経伝達物質の合成や 大腸の運動に関わっている.また近年 irritable bowel  syndrome(IBS,  過敏性大腸炎症候群)の増加がある

図3エネルギー代謝に関わる核内受容体の時計遺伝子の相互転写調節

Ppara α/rアゴニストは,PPRE領域を介して  α  1 遺伝子の転写調節を行っている.一方で, 遺伝子は,E-boxを介し て,体内時計調節を受けている.このことは,体内時計の異常がエネルギー代謝に影響を及ぼし,肥満・糖尿病を引き起こす一方で,肥満 など代謝異常が時計に影響を及ぼし,負の連鎖に陥る可能性を示唆している.

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が,シフトワーカーに多いことなどから,IBSも体内時 計の不調だと考えられる.

3.  脂肪代謝と体内時計

脂質代謝に関わる遺伝子は時計遺伝子の制御下にある も の が 多 い.実 際, , fatty acyl-CoA synthe- tase1 ( ), acetyl-CoA carboxylase ( ) などの脂肪 細胞での遺伝子発現にはリズムが見られ,活動開始前に 高い.また逆に脂質代謝に関わる遺伝子が時計遺伝子の 発現を制御している.

α

 や

α

 などがそれに 相当する.面白いことに

α

 は遺伝子発現調節領域 にE-boxを有するため,時計遺伝子タンパク質複合体で あるCLOCK/BMAL1の制御を受ける一方で,

α

  は上流のPREという応答領域を介して 時計遺伝 子発現を制御する(図

3

.つまり,時計遺伝子と代謝 関連遺伝子は相互に作用することがわかった.したがっ て,PPAR 

α

 のアゴニスト作用を有する機能性食品があ れば,体内時計に影響を及ぼす可能性が大いに考えられ る.ゲニステイン,ダイゼイン,グリシテイン,マセリ グナン,オーラプテン,ホップ成分のイソフムロン,レ スベラトロール等である.  

γ

  の遺伝子発現自身も サーカディアンリズム変動することから,体内時計遺伝 子の下流遺伝子の一つであることが知られている.ま た,PPAR 

γ

  アゴニスト作用を有するrosiglitazoneは 

1 mRNA  の発現を増大させることが知られてい る(7).PPAR 

γ

 アゴニスト作用を示す天然物化合物も広 く知られており,これらは体内時計に作用する可能性が ある.マツヤニ(松脂)から抽出されたアビエチン酸,

マメ科のハーブであるリコライスから抽出されたデヒド ログルバスペリンD,グリシリン,アリルクマリン,ナ ツメグ(肉豆蔲)から抽出されたマセリグナン,ウコン

(鬱金)から抽出された各種クルクミノイド,トウガラ シ(唐辛子)のカプサイシン,ホップのイソフムロン,

カンキツ(柑橘)類がもつオーラプテン,ショウガ(生 姜)から抽出されたショーガオール,コウボク(厚朴) 

から抽出されたマグノロール,フラボノイドの中ではア ピゲニン,クリシン,ケンフェロール,ゲニステイン,

ダイゼイン,グリシテイン,アントシアニン等がある.

これらの成分は,少なくとも細胞レベルで PPAR 

γ

  の 標的遺伝子の転写を活性化させることが確認されてい る.体内時計に対する PPAR 

α

 と,PPAR 

γ

 の作用は 全く同等であるか,あるいは,それぞれの化合物が肝臓 や脂肪組織特異的に時計機構に影響を及ぼすか否かにつ いては明確ではない.しかしなら,上記の天然化合物の 中で,イソフムロンや,ゲニステイン,ダイゼインなど

は,PPAR 

α

 と,PPAR 

γ

 のいずにもアゴニストとして 作用することから,興味ある天然化合物である.

4.  体重増加・肥満と体内時計

われわれはマウスに,1日量が一定となる15%牛脂混 合食を以下の5条件で与え,体重や血糖等について実験 した.自由摂食,朝食のみ (4 : 0),  朝食と夕食 (3 : 1),  朝食と夕食 (1 : 3), 夕食のみ (0 : 4) の5群である.体重 増加は自由摂食,夕食のみ,朝食のみ,朝食と夕食 

(1 : 3), 朝食と夕食 (3 : 1) の順に多かった.また空腹時 の血糖,内臓脂肪の測定の結果も同様であった.ほかの 研究では,夕食側に高脂肪食を与えたマウスは朝食側に 高脂肪食を与えたマウスより肥満になりやすいことが報 告されている(8).また,朝食と夕食にウエイトを置いた 食餌では夕食側にウエイトを置いた食餌が肥満になりや すいことも報告された.このように,朝食にウエイトを 置いた食餌は,抗肥満作用があることがわかる.

体内時計作用栄養学のメカニズム 1.  効果的な栄養素の組み合わせ

体内時計は24時間よりずれているため,ヒトを含む 動物では,24時間に合わせるために,外界の光刺激に 合わせて体内時計をリセットしている.ところで,最近 の研究では,繰り返しの給餌刺激で形成される行動上の 予知行動リズムが視床下部の背内側核で起こり(9),末梢 臓器の体内時計リセット効果は,光刺激による視交叉上 核を介さない別のシステムによることが明らかになって きた(1).これまで夜行性であるマウスに日中に摂餌させ た場合,肝臓の体内時計の位相前進作用は食餌量および 摂餌回数に依存的であり,食餌内容のグルセミックイン デックス値(血糖上昇指数)が高いほどリセットしやす いことがわかっている(10)

2.  長い絶食時間後の食餌の体内時計リセット効果 マウスは,一般的には夜間に食べ続けるが,よく観察 すると,夜間の始め(ヒトの朝食に相当)に多く食べ,

また夜間の終わり頃(ヒトの夕食)に少し多めに食べ る.そこで,ヒトの食生活を意識し,マウスに1日2回 の給餌を行うことにした.まず,1日1回の給餌を3時 間おきに行ったところ,設定した給餌時刻依存的に肝臓 の時計遺伝子がリセットされた.すなわち,1日1回の 食餌はどの時間でも体内時計をリセットさせる能力を有 することがわかった.1日2食で給餌間隔を変えて(16 時間:8時間)実験を行った.ヒトの場合,朝食は夕食

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に比較し,長い絶食の後に食べる(breakfast ; 絶食を 断つ最初の食事の意味)ため,この場合16時間空けて 食べる食餌を朝食とし,8時間空けて食べる食餌を夕食 とした).1日2食で,食餌量が同じ場合,短い絶食を空 けた食餌(8時間絶食,夕食に相当)よりも長い絶食を 空けた食餌(16時間絶食,朝食に相当)にリセットさ れやすいことがわかった(11).朝食のウエイトが低くて も朝食側にリセットしたが,朝食のウエイトがさらに低 くなると,今度は夕食側にリセットした.またこのよう な末梢時計の給餌によるリセットはインスリンのシグナ ル活性化に基づいていることがわかった(12)

3.  13食による体内時計リセット効果

ヒトは普通3食取ることがわかっているので,マウス を用いて,3食による末梢時計のリセット効果について 調べた.まず自由摂食80%を3等分し,等間隔で1日3 回与えた.その結果,3食でも1食が昼間のど真ん中

(ヒトでは真夜中の1 〜 2時)に与えると,体内時計は 夜型に移行するする傾向があった.以下の記述はヒトの 朝食・昼食,夕食,夜食に合わせた言い方をする.次に 3食を,朝,昼,夕に与える場合と,夕,夜,朝に与え る場合を比較した.どちらの群も朝,夕は同じである が,3食目を昼にした場合と夜にした場合を比較する と,夜与えた場合,末梢時計は自由摂食や朝,昼,夕食 群と異なり,明らかに位相が夜型化した.3食を均等配 分せず,朝 (7 : 00),  昼 (12 : 00),  夕 (19 : 00) を1 : 1.3 :   1.3の比率にした.また実際のヒトの摂食パターンに近 づけるため,夕食時間を19 : 00から,22 : 00と23 : 00に する群を用意した.その結果,夕食が19 : 00の群は自由 摂食群に類似していたが,22 : 00や23 : 00群は,体内時 計がより引っ張られ,遅い夜型になった.そこで,これ を防止する手段として,夕食の1.3を0.65と0.65に2分 し,19 : 00と23 : 00に与え,1日4食とした.その結果,

2食に再分割した群は23 : 00だけに食した群に比較して 体内時計の位相の後退は軽減化できた.

以上の結果,マウスを用いた実験モデルでも,ヒトの 食パターンによる体内時計の位相変化を類推することが できること,また遅い夕食は体内時計を夜型化にさせる 要因であることがわかり,それを解消するには,遅い夜 食の半分を通常の夕食に割り振ることで解消できること が判明した.

また,今回の実験結果と先ほどの食事の取り方と肥満 の研究と合わせて考えると,朝食にウエイトを置いた食 餌は体内時計のリセットの観点と,肥満防止の観点か ら,是非実行したい食餌行動であると言える.

おわりに

病気の発症や治療に体内時計が関わっていることが明 らかになった.患者への治療を考えるときに,体内時計 機構の知識があることにより,より質の高い医療を提供 できる可能性がある.また,創薬などに携わるときに,

生体の反応は体内時計の支配下の基にダイナミックに変 動するものであるとい知識があれば,より誤差の少ない 有効なデータを得るのに役立つ可能性がある.また,病 気の治療のみならず,健康維持に対しても生活リズムを 整えることの重要性が改めて認識された.

文献

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Referensi

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