東北における兼業問題
一出稼ぎ問題を中心に一
福島大学教育学部
渡 辺 哲 男
はじめに
去る昭和45年9月3日,福島市農協会館ホール で開催された「第6回,東北農業経済学会」にお いて,シγポジューム,「東北農業の当面する諸問 題」に関連して,小生が,「東北における兼業問題 一出稼ぎ問題を中心に一」と題する報告を展開し そのなかで,農家の兼業化について,いくつかの 問題提起を試みた.
この論文は,以上の報告内容に,若干,補筆し たもので,内容的にみれば,問題点があることを 充分承知の上で,ここに,あえて,公にして,よ り多くの方々に叱正を承わりたいと思っておりま
す.
参考までに,学会主催のシンポジュームに於いて 報告された方々は、次のとおりであります。
シンポジューム「東北農業の当面する諸問題」
(13.00〜17.00)
(1)報 告
地域農業の方向 東北農政局長 石井一雄 東北における兼業問題一出稼ぎ問題を中心に一 福島大学教育学部助教授 渡辺哲男 米単作経営の当面する問題
宮城県農試経営部長 大原一郎 企業としての農業
一国民経済からみた農業経済一
福島大学経済学部教授 中村嘉吉
(2)討 論
司会 福島大学経済学部教授 金田良造 東北大学農学部助教授 菊元富雄 次に,この論文は,以下に示す様な内容で構成 されております.
内 容
〔1〕 基本的な考え方とその条件
(1)農家の方向づけ或いは変革のパターンにつ いて.
(2)問題の把握或いは農業政策を決定する場合 における農民自身の意志の吸い上げ方につい
て.
三つの条件
(1)
(2)
(3)
問題の対象とするもの
経済成長の仕組みと農業との関係 農企業としての存在性
〔皿〕 東北地方における兼業長家の現況 参考資料:第1表…
第2表…
第3表…
〔皿〕 問題の提起
東北地方における兼業化の状態 出稼ぎ母帯の農業地域と出稼ぎ 先との関係からみた構成比率と 出稼ぎ労働市場の占有率 出稼ぎ者の産業種類別就業状況
1・兼業農家の評価とその位置づけ
参考資料:第4表…兼業形態内部の独自性 第5表…出稼ぎ者と在宅勤務者 の産業種類別就業状況 2.農民出稼ぎをいかに考えるか.
(1)農民出稼ぎに関する概念規定 参考資料:第1図 農民出稼ぎ原型
(2)類型化による出稼ぎの性格
参考資料:〔その1〕出稼ぎ地帯の類型 〔その2〕出稼ぎ類型 〔その3〕出稼ぎ類型 (3)農民出稼ぎの方向性について 一出稼ぎ理由の把握に関連して一 参考資料:〔その4〕農民出稼ぎの方向性 に関する類型化
(1)農業政策面からみた兼業形態の評価
(2)専業形態との対比からみた評価
(3)兼業形態内部における存在の独自性
基本的な考え方
72 福島大学教育学部論集
〔w〕 結 語
〔1〕 基本的な考え方とその条件
まず,最初の「基本的な考え方」の第1.点とし て,(1)農家の方向づけ或いは変革のバターγにつ いて申し上げます.
(イ)従来の農家変革の基本的な体型は,㈲農業生 産=生産構造を主軸にした,農家の対応形態がそ の主たる内容であったと思われます.
ところが,(ロ)最近における同体型は,先程の((イ)
における)生産構造の側面と,他方,(B}農家にお ける生活構造についてみると,生活に関する諸機 能が,分化される過程で,次第に,独立の組織化
とその位置づけがなされてきている.
実は,これに関する促進的役割を果たしたものと して,即ち,兼業化の出現を位置づけるわけです.
この様な,状況を前提として,つまり,囚生産 構造と,⑧生活構造の二つの側面から,農家の方 向性を規定づけする必要性が,より強く,要請さ れるようになったわけです。
それでは,のとして,農家が諸機能を発揮する なかで,(A),(B)両者の関連の仕方をみますと.
まず,①基本的には,⑳生産構造が,⑧生活構 造に影響を与える.ということが支配的でありま
す.
けれども,②(B)二生活構造の独立化は,同時に
(劫=生活構造それ自体が,直接「家」そのものに 変革を与えるという視点に立ちますと当然に,㈲
=生産構造と対等の位置づけを通じて,独自性が みられるということです.
それ故,③最初の場合とは,逆に,⑧=生活構 造が⑳=生産構造に,直接に,変革の要求をする 形態も実存するようになっている.
この事は,兼業化の特徴とその役割を解明する基 盤になります.
以上の事を結論的に申し上げますと,
㈲=生産構造と(B)=生活構造とは,共存化の方 向性をたどりながら,同時に,㈹と(功との関係は 相互の変革作用を伴いながら,農家の存在性を規 定しようとしている.
特に,指摘しておきたい点は,農家における資 本主義経済との対応関係であります.
前述のように,従来(昭和30年前半以前)は,
農家における生活関係というものは,資本主義経 済と,直接のつながりをもたず,専ら,生産的側 面において交渉をもったという事実が多く見られ
1970−11 たわけで,……この限りにおいては,生活関係は あくまでも,農家の生活を安定化させるための,
「橋頭堡」的役割を果たしたと判断されます.
しかしながら,先程申し上げた生活組織の独立 化ということは,直接,資本主義経済と交渉をも つ機会がより多くなり,同時に,以上のような,
生活組織体のもっていた役割は,急激に失われよ うとしている.という事を意味しております.
以上のことから,農家の方向性として,考える場 合,兼業化の進行は,そのまま兼業化と関連する,
それぞれの諸部門を通じて,農家を変革する主導的 役割を果たすことが考えられるわけです.
第2の基本的な考え方の内容は,(2)問題の把握 或いは農業政策を決定する場合における農民自身 の意志の吸い上げ方について,であります.
結論的にいえますと,申すまでもなく,客観的 なデーターによらなければならない.……という ことです。現在における,関係農民の意向に関す る吸い上げ方は,関連する行政機関,或いは,農 業諸団体が,それぞれのルートを通じて行なわれ ております.
問題点は,農民意向の吸い上げ方,即ち,どの 様な方法で,なされているかという事でありま
す.
簡潔に申しますと,所謂行政的慣習によって・
或いは,農業担当者の「カソ」による判断は,極 力さけなければならないということです.
私の指摘したい事は一般的になされている「動 向主体の調査」に加えて,これらのうらづけをす るような,「意向内容の調査」を同時併行的に行う べきである.という事です.就中.今後の問題と 致しまして,つけ加えておきたい事は,問題別の
「農民意向調査」を,絶えず,実施して,この種 のデーターをより多く保持しておくべぎであろう …と考えております.
この事は,兼業化に関する評価或いはそれのオリ エンチールソグを試みる場合,重要な意義をもつも のとおもわれます.
次に,三つの条件について申し上げます.
まず,第一点は,(1)問題の対象とするもの.…
・・ヘ,何かという点です.これは,兼業農家の促 え方に関することであります.
ご存じのように,過般,日本農業の方向性に関 連して,問題提起をした,所謂経済審議会,農業 問題研究委員会の報告書.タイトル:「日本農業 進歩への途」,サブタイトノレ;農業の装置化とシス
テム化……があります.
このなかで,特に,『システム」に関する概念規 定のところで,とりあげられたことでありますが 報告書作成の一人である東畑四郎主査が考えられ
ている内容.……それは,農業問題を,いわば,
「地域農業としての構造」という観点からの捉え 方であります.
私の場合は,この方法とは異なった考え方,に 立って居ります.
ここでは,あくまでも,現在までになされてき た農業構造改善事業等々でとりあげられているよ
うな,「個別農家の経営構造」……という視点に立 っております.
従って,ここで,問題にする「兼業形態」とは 以上のような視点との関連から派生的に導き出さ れる,いわば,一種の存在形態と見做すというこ とであります.
〔兼業形態の概念規定の捉え方〕
第2点は,(2)経済成長の仕組みと農業との関係
であります.
結論的に申し上げます.と,高度経済成長は,
一つは,低廉な条件をつくり出すところの農産物 価格に関する決定機構のメカニズムと,二つは,
これによって,支えられた「かたち」で成立して いる,農民のもつ,格安な労働力の供給関係等々 が主要な条件となっております.
このような条件と,他方では,商品市場の重要 な担え手という「かたち.」が,いわば,主要な媒 介内容として,経済成長の仕組みのなかで,農業 部門が位置づけられ,かつ,関連性を保っている ということであります.
〔兼業農家排出の経済的背景〕
第3点の内容は,(3)農企業としての存在性につ いてであります.
これについての結論は,農業経営の場合は,種 々なる制約(条件)が多いということです.
それは,次にあげるような,四つの条件を意味
している.
(イ)農業生産力に関する発展の可能性について は,自然的条件等々との関連から,限界性が より強く支配している.
(ロ)農産物の価格決定に関するメカニズムは,
流通関係を含めて,農民に不利な条件が多
い.
の 商品貯蔵のむつかしさ等々に代表されるよ うに,一般的に,農産物の商品性格は,不安
定性である.
◎ 一般的にみて,農業部門への資本投下の効 率は,甚だ低い.
以上の四点は,換言すれば,農家経済からみた
「兼業農家成立の要因」ともみなすわけでありま
す.
〔H〕 東北地方における兼業長家の現況 第2は,〔皿〕東北地方における兼業農家の現 況について申し上げます.
参考資料として,次の「第1表」,「第2表」及 び「第3表」を用意しました.
まず,第1表をみて頂きます.
(イ)東北地方の農家戸数は,「1969年版,地域農 業の動向」 (農林省統計調査部)の資料によ ると75万7千戸で,全国総農家戸数535万戸 の約14.1%に当っております.
そのうち,第1種農家の割合は,全国平均 68.2%より1.4%程度高い,80.2%になって おります.従って,2種農家の割合は,全く 逆に,同程度低くなっている.
(ロ)一種農家を例にとり,東北地方に兼業化の 内容を検討しますと,「兼業農家率」 (%)は 65.6%で全国平均より3.2%程度高い状況で す.次に,それらの兼業内訳を,とくに,「や とわれ兼業」についてみます.
「恒常的勤務者」は,全国平均より,6.3%
下廻っており,同様に,「人夫日雇」関係にお いても2%程度低くなっております.
しかしながら,「季節出稼ぎ」についてみま すと全国総数,(数それ自体に大ぎな疑問点が ありまずけれども)15万6百人のうち,東北 地方の総数は8万4千2百人で,約55.9%と 半数以上を占めているという事実は,そのま ま東北地方の兼業形態の特殊性を表現してい るものと判断されます.
の 東北地方の農家を,旧分類法によって,兼 業農家の内訳をみますと,東北地方における 第1種兼業農家の比率は,42、3%で,全国平 均より,11%高い.そのため,第2種兼業農 家の比率は,前者と逆な現象となっておりま す.
←)就業人口の側面から,東北地方における兼 業化の位置づけをみる.表によると,全国に おける兼業従事者778万人のうち,東北地方 の占める割合は,18.9%で,約147万人とな
74 福島大学教育学部論集 197〔トー11 第1表 東北地方における兼業化の状態
県 名
全一青一岩一宮一秋一山一福
種 別
国一森一手一城一田一形一島
東北六県小計 東北六県/
/全国
総農家数
5 35・・72・1
・・5・75・l
E6・E・1
・毘圃
・・8・69・1
・皿・63・1
・6246・]
757捌
・4・・51
う
1種農家 (%)
68.2 79・41
79.5 78・61 8・・31
81.4 団・2i
80.2
ち
2種農家 (%)
31.8
2・・6i
2・・51
21.4
・9・71
18・6t
・7・81
1 19.8
率
兼業農家一
(%)
62・41 6・・7i
68.7 65・91
74.0 66・61
釧
65・6!
やとわれ 兼 業 11・905・4701 48,640 1 57・8301
5L150
62・・9・1
54,590 62・76・1 337,0601 ヨ ・7・681
種 農 家
やとわれ兼業の種類 雅馴季節出稼1人夫日雇
…62剣 ・5・ 6・・16馳
・5制 15・5・・1・7脚 2 7・1・4 ・5d ・9鋤
・9㎜ 5綱 2㌫73
・7・93・ 22細 2・朋
・5・胆・ ・8・5・・12嘱
12剛 8副 26溜
鵬45・1艇鋤 ・32溺 1 ・・圃 55釦 ・9・・
第2表 出稼ぎ世帯の農業地域と出稼ぎ先との関係からみた構成比率と出稼ぎ労働市場占有率 \出稼ぎ先
出稼ぎ母帯\
総 数
北 海 道
東 北
北 関 東
南 関 東
北 陸
東 山
東 海
近 畿
山 陰
山 陽
四 国
総 数
2,361
46
1,356
32
1
京
浜
369
淵
\
100.0 57.4
\
100.0
\
100.0
\
100.0 1,128
4
911
24
1 15.6
\
100.0
鵬
100,0
\
47.7
\
中
京
15
副
16
274
2
謂・4・
\
75。0
\
100.0
瀞
4
53
\
40.0 1
100.0 11.6
\
\
京阪神
13
73
46
60
105
\
100.0 3.1
\
100.0
\
100.0 2.5
\
100.0 1 \㎜
1
1
3
引
10引
1\
2
3
ヨ・8
327
3
調45 剤
鵬\
引
33\
76.1 1
引57
引2・
\ 18
\ 50
17.1
100.0
、\
13.8
\
瀬戸 内
77
閃
10.0
\
6 100.0 3.2\
−\
15
引 翻
\
43.5
\
30.0 齪\
Z
18
27
北九州
100.0 4 \
酬 調
36.3
\
45.0
11
刈
1 25.0\
標指 薦㊤の業農率
毒
/家/詩業得/費農所/
剖
れ ︶ %わ ︵と 業や 兼
刈
口人業就
事従業兼
d
d
l口
︶兼%種︵2
︶兼%種︵1周
︶率傷業兼司0810潟90 列53d甑3司臥7q溺伽
計
dd毘創8
290畑㏄1
注:1969年版 地域農業の動向 (農林省統計調査部)
自営兼業:全国計 1,676,880人 東北地区205,720人 東北/
=12.28 /全国
北 海 道 138
33
104
1 100.0 5.8
\
23.9
\
71.7 糊\
\
東 北
100
1
88
10 100.0
\
4.2
\
脚\
]
10.0
\
北 関 東 67
27
4
32
4 100.0
\
40.3
\
\
12.5
47.7
\
\
北 陸
68
14
46
1
1 100.0
\
20.6
\
67.6
\
12.4\
\
東 山
1
33
5
18
6
\
1100.0
\
15.1
\
54.5
\
親\
\
東
海 30
3 100.0
\
10.0
\
1その他
8
1
12
2
1
2
120
響
1\
40.0
\
\
15.4
\
\
8
1
28
1
14
5
8
24 100.0 5.0\
\
\
\
23.3
\
\
11.6
\
19.1
\
10.9
\
13.3蜘\
o
76 福島大学教育学部論集 1970−11
出稼ぎ母訳稼ぎ先1総 数1京
浜 中北 九 州
叫、器・3訓・幅・・瀦
京1京阪神陵戸酬北九州
50.0
・刈1
南 九 州 153
、認4・
論
29 認・・翻・
刈
1 25・
第3表 出稼ぎ者の産業種類別就業状況 (資料:昭和43年農家就業動向調査報告書より作成)
就 業 産 業 種 類 別
島
捌
の︵396ゆ盟3541
周tloooo 司1箆
輔
刈司
福
1形d留司L1司︵
1
釧60
i
一1
−洲﹁暫
一
﹄E
山
141
1
4
561剖同7司
d1
r田列33忍41朔︵
1
﹂ 15160
1
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1
1
司5
秋
d
司61㏄2
司1周8訓
d1
司1一城﹈捌訓■5d︵
1
一 1舛.胆
1
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t
﹃1
宮
副
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1一
﹃!0511叫司
︸手d52d軌1訓︵
i︻
1
刈臥5遵71051一
レ
ξ岩
糾
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d1
桝31列4刈司
司﹄銘 一森11泌同色1輔@1 1
1略図
一
引航1
1﹁
青
司 周
4
一徳2 鱗d1 11 剖
d 1 1一
一
1
1 E1
1 1 1︸数実者ぎ稼率比同位順同業農栗林業漁業設建業造製品料食業売︑4●売卸業スビ︻サ他のそ
っており,これを一「やとわれ兼業率(%)」か らみますと,全国平均78.5%より.2.6%程度 高い81.1%になっております.
㈹ 参考までに,家計充足率 (農業所得/家計 費)及び農業所得率(%)についてみる.前 者の場合は,東北地方の平均が70.4%で,全 国平均値より,14.6%多い.また,後者にお いては,全国値56.9%より,6.6%高い63.5 %が東北地方の平均値となっております.
両者の内容から,東北地方における農業に 対する依存度は,全国平均より,かなり上廻 つた高い依存関係になっているという事が指 摘されるわけです.
次に,「第2表」:出稼ぎ母帯の農業地域と出稼 ぎ先との関係からみた構成比率と出稼ぎ労働の市 場占有率について,東北地方の傾向性を一べっし
てみよう.
参考資料として,昭和43年農家就業動向調査報 告書を編成組替しながら,東北地方を中心とする
「農民出稼ぎ」の動向を所謂出稼ぎ労働市場とい
う側面から把握した「第2表」によりますと,昭 和43年度,全国総数23万6千人の「農民出稼ぎ」
者のうち,東北地方の占める割合は,実数13万5 千6百人,57.4%と半数以上となり,第2位を占 める「北陸地区」の約4倍弱という独占的分布状 況を示しております.
次に,この様な,排出動向を内包している.東 北地方の農民出稼ぎ老に関連して〔1〕出稼ぎ先
〔2〕出稼市場の各地区に於ける供給面からみた 占有状況をみることに致します。
〔1〕の出稼ぎ先についてみますと, 「京浜地
区」に排出される実数は,9万1千1百人で,全
体の67.1%となっており,これに次いで,「中京1 区」が10.4%で1万4千1百人となり,この両者 が,大方の排出先とみられるわけであります.こ の外「北海道地区」 (7.6%)或いは,同じ「東北 地区」に7.6%,1万4百人が該当しています.次に,〔2〕出稼ぎ労働市場における占有状況 についてみます.
例えば,先程の「京浜地区」の場合,東北地 ,
北海道1東 北1北関剰北 陸1東 山1東
・ヨ ・引 ・刈
海1その他
14.
17 18.
1 1 1 ﹃
1
2刈 1
1判・31
10.W.
(注)。昭和43年農家就業動向調査報告書の資料を参考にして作成 。東北地方・135,600人/全国236,100=57.4%
単位:100人
区地州九南 脇1護6
3
一司 408i鵬
1
361司2
刈
明 司
区地州九ヒゴ 1﹂矧﹁ 9
d3
同lE ﹄t ﹇d
刈喜弱d5一周802d1﹁﹄一司!列﹂区司01司←引
1﹈
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﹁
1一︷
﹃地
国
1
﹂引一
1
119
司
1厨一 −﹁
d
四
1区160司乞列
i﹃
一司L2d色3d岳3
1
E1
陽地
司
一
1
司1
1
﹂刷1﹂狙﹁一 2司司
山 i区司711●3司﹇
1一 5
訓L731
﹂﹁一 ﹄
畿地
﹇
鱗
同一〇項司
d1
司1﹄
近
i区d63d51周
i
11
d杢2司翫π91周91
i
﹁地
陸ヒゴ
司 判
f
﹃躯fo21訓7叫7
d1
司一区d5遥1射乳5判
1 1﹃
列66到臥封81﹃
1
﹁
地ヒゴ1以司輔2司09
d7
司42司1一鍋碍5東
(注) 東北地方における就業状況の傾向性:
「建設業」……66.7%,「その他製造」・
の出稼ぎ農民の67.1%が同地区に排出されている わけですが,一体,京浜地区の出稼ぎ労働市場か らこの数字をみますと,その占有率は,80.7%と 圧倒的な比率を示しております.
参考までに,「京浜地区」の占有率からみますと 東北地方に次いで「北陸地方」が,10.9%となっ ており,結局,両地方で91.6%の占有率となって いる次第であります.
同様に,各出稼ぎ労働市場に占める割合をみま すと,「北海道地区」では75.3%,「東北地区」(88.0
%),「北関東地区」 (47.7%)が高い占有率とな っているようです.
第3表は,出稼ぎ者の産業種類別就業状況につ いて,第2表に利用した資料にもとづいて表を作 成してみました.
表を簡単に説明致します. 「東北地区」の出稼 ぎ農民の就業内容を産業別にみると,「建設業」が 66.7%と過半数を占めています.
一18.1%
この傾向は,「四国地区」及び「九州地区」にも 同じ様にみられます.
東北地区では,この外に, 「その他製造業」が 1&1%となっております.案外に「食料品製造」
関係の就業割合は少く,5.1%にとどまっており この点,「近畿地区」,「山陽地区」等々と対照的な 傾向を示しております.
〔皿〕 問題の提起
第3は,問題の提起として,次の二点について 申し上げます.
1.としての問題提起は,「兼業農家の評価とそ の位置づけ」に関する事です.これは,以下の三 つの内容が主たる条件となっています.
(1)農業政策面からみた兼業形態の評価 (2)専業形態との対比からみた評価 (3)兼業形態内部における存在の独自性 第1点として,「(1)農業政策面からみた兼業形態
78 福島大学教育学部論集 の評価」について申し上げます.
昭和35年の所謂所得倍増計画の実施以降にみら れる一連の農業政策或いは種々なる農業ヴィジョ γの基調には,次のような,前提と内容とがあっ たとおもいます.
それは,「経済の高度成長が,農村の過剰人口を 農村から引き出して,その結果として,新しく,
農業の規模拡大が行なわれ,そこから,農業の近 代的経営のシンボルである「農業構造改善事業」
によって,所謂「自立経営農家」の成立をはか る」ということであった.
しかしながら,この考え方が実現されるために は,少なくとも,農業人口減=農家戸数減,若し
くは,農業経営の縮少=農地移動という,シェー マがあらかじめ仕組まれていたわけであります.
このことから,当然に予想されることは,兼業形 態の存在であります.
この兼業形態は,いわば,農村における過剰人 口の対象物として,早急に,高度経済成長によっ て止揚される運命にあるものと見倣されていたと 判断されます.
そのようなわけで,兼業形態の存在性は,この 限りにおいて,余り問題にはされていなかった次 第であります.
ところが,昭和44年9月29日の「農政審議会の 答申」或いは,この答申の実質的な基礎となった といわれる「総合農政の推進のために」(昭和44年 5月)というレポートの内容を検討致しますと,
「従来の兼業形態に対する配慮の仕方からみ れば,大きな方向転換が明示されております.」
それは,兼業農家の掃溜=存在性というものを 前提とした形で,日本農業の問題,特に,農業構 造改善事業を考えていくという……兼業農家対策 の農業政策があらためて,表面に・打ち出されて きたということであります.
ところで,前に申し上げた二つの資料から,農 業政策として,兼業形態に対する評価,或いは,
位置づけに関連する方向性を模索すれば,次の二 つの主張が考えられます.
一つは,「兼業農家をふくめた協業等集団的生産 組織を育成してゆくという……」いわば,兼業形 態に対する積極的な評価の姿勢があります.
これと,他の一つの姿勢は,依然として,農業 政策の底流にある「兼業形態の止揚化」を旗印に
している点です.
この点を,答申の内容では,「兼業農家の農地が
1970−11 農業で自立しようとする農家へ,漸次,集積する ようにする」(「答申」(5)一(⇒)と説明を加えてい る.この言葉がそれを如実に証明しております.
大勢としては,「農業地域へ工業を導入すること によって,兼業形態に関連する基盤整備をする。
次いで,兼業農家の農地を手放なさせる.その結 果として〔1〕農地は,自立経営農家へ集積させ る.また,て2〕兼業農家は,離農へ誘導する,
一というシェーマが本流と判断されます.
以上のことを通じて,確認される二つの内容が あると思います.その一つは,現実の農村の実態 に対して,客観的な認識と,それを前提とする政 策の展開が必然的に要請されてきたということで あり.…〔兼業形態の存在性の肯定二農業政策の 原点へ〕その二つは,前述の兼業形態に対する,
政策の方向転換は当然に,これらに対する「農民 の意識と同時に,対応の仕方を充分に検討する」
ことによって,はじめて,将来の方向性を正しく 見定めた農政として生かされてぎよう.……とい
うことであります.
第2点として,「(2)専業形態との対比からみた評 価」について申し上げます.
評価の内容を,単純化して,農家生活に対して
「プラスの側面」と「マイナスの側面」という区 分にもとづいて解明することに致します.
まず,〔1〕プラスの評価を要約致します.と
①都市化の影響が,より広範に存在し,しか
も,生活圏の拡大を通じて,それらとの接触 の度合がヨリ濃密である.(生活様式の都市 化。都市的社会環境の影響)②農家経済からみると.一般的に,兼業農家
の方が,より安定性をもっている.この事実 は各種の資料から確認されている.③異質な階層の人々と,直接的に,人間関係
をとり結ぶ機会が多い.この結果的現象とし て,農民意識の変革をともなって旧来の農村 における社会的諸体制それ自体も変えてゆく 要因ともなってきている.④商品経済の浸透度合は,兼業農家がより幅
広く,行なわれている.これが,農村におけ る資本主義経済の則応化を示しております.⑤ 家庭生活における機能分化の現象は,兼業 農家の方がヨリ明確に,行なわれているとい うことができる.農家生活における「主婦の 座」の位置づけと関連して,或いは,人間性 尊重の問題として,或る人は,農村民主化の
道標乃至指標として高く評価している.かく いう私もその一人であることは,論を侯たな
い.
次に,〔2〕マイナスの評価について検討しま
す.
①農業経営の発展性からみれば,基本的には
前に申し上げたように,後退している事実は 否定出来ない.そして,この限りにおいて,兼業化という事実は,農家にとって,否応な しに再編成のための「陣痛」が伴なってくる ということです.この場合の農家再編成の過 程は,農家安定化乃至農村民主化=近代化と は,決して直結されているという保証は,何 等存在していないのである.
② 現状における兼業農家の主婦は,一般的に みて過重な負担のもとでの生活が要求されて おります.この条件は,必然的に,社会的な 意味においても,多くの問題を提起する要因 になっていることは衆知の通りであります.
最近,特に,農家の主婦が,自分自身兼業 化の意向を強くもっております.この傾向は 決して東北地方の農村特有の現象ではありま せん.全国的なものとして加速度的な広がり を示しています.
私がとくに指摘しておきたいことは,この傾向 は,ますます,広範な主婦の方々に浸透化がはか られ,これに関して個別な農家としての受け取め 方は,様々な姿勢を示すだろうと思います.けれ
ども,この事実は,本人の思考範囲を超えた問題 に転化される可能性をもっている.即ち,今後の 農村,或いは農家生活に,重大な転換を決定づけ
る要因であるやに考えられることであります.
農村における今後の課題は,農民個人単位(勿 論農家という生活集団においても同様のことがい います)に,それぞれに「価値判断」が問われた 場合,いかなる反応を示すだろうかという点であ ります.問題は,従来,農家の場合,かようなか たちでの問われ方はあまりなされておらず,経験 的に乏しい生活環境にあったという事実から種々 な社会的対応の仕方が大きな問題提起になってく るものと思われます.
料):10.2%).他の一つは, 「やとわれ兼業」と なっております.
また,「やとわれ兼業」についてみると〔1〕
恒常的勤務者.〔2〕季節出稼ぎ者.〔3〕日雇
人夫…の三種類に区分されている.ここで,問題の対象とする,r兼業形態の内部」
と称するものは,実は,先程の「やとわれ兼業」
の区分にみられた三つの種類の形態をさすのであ
ります.
第4表 兼業形態内部の独自性 雁
㈲
(B)
⑩)
(D)
(E)
在り
指 標
農業経営に関する 志向性
形式的な農民移動
(職業・人口移動)
生 活 構 造
(構能の分化)
とする順位 (ロ)世帯主を対 象とする順位 ω 男性を対象 農 民 主 体
経 済
区分1内
容恒常的勤綱否定的である
出稼ぎ構体的な傾向を保 日雇・人夫瞬らめ 恒常的勤瀦瞬である 出稼ぎ着陣確である 日雇・人夫瞬である 恒常的勤務者樺鱗饗醵 出稼ぎ者瞬的な都市化
日雇・人纈分化の状態が多恒常的勤務瑠鑑 出稼ぎ者1圏1匿
日雇・人溜鑑
恒常的動網安定的
出稼ぎ者離突であるが・
性
対応の姿勢
日雇・人夫駆霧鰭あり
恒常的勤務罐活の基本ベース 出稼ぎ者1生活の補充 日雇・人夫陣経済のために
第3点の内容は,「(3)兼業形態内部における存在 の独自性」であります.
農林省の諸統計によれば,兼業形態は,まず大 きく二つに分類されている.その一つは,「自営 兼業」(自営兼業率…(昭和43年,地区動向の資
この第4表は,㈱農業経営に関する志向性,以 下,㊥)対応の姿勢に至る,六種目を指標として,
それぞれに,兼業形態にみられる三種の形態にお ける相違点を通じて,綜括的に三形態の独自性を 検討した結果を示したものであります.
次に,第4表の見方を説明致します.
〔例題〕 指標として,⑨生活構造(機能の分 化)の場合は,これに関して,区分とした〔1〕
恒常的勤務者,〔2〕出稼ぎ者,〔3〕日雇・人
夫のそれぞれの独自的な特性を〔内容〕欄に指摘 してあります.例えば,恒常的勤務者における生80 福島大学教育学部論集 1970−11 産構造は, 「機能分化が都市化し定着している・」
と説明してあります。
以上の方法で「兼業形態内部の独自性を単的に 指摘してあります.
以上,第1の問題提起として, 「兼業農家の評 価とその位置づけ」について申し上げました.次 に,これらについて要約を致します.
第1…は,最近における兼業化の存在形態は,
一方においては,農業部門に関していえば,一種 の方向転換を意味するものである.が同時に,消 費生活部門に対しては,従来にみられた農業生産 の変貌を基因とする場合に比較して,兼業化によ る場合は,ヨリ直接的であり,しかも,質的な転 換を行わしむる可能性は,強くなっていることで あります。
第2…は,兼業化に対する農民の志向性は,基 本的にみるならば,ヨリ多くの収入をうるための
経済機会の均等化をもくろむ,いわば農家の再編 成の運動であるとも考えられる.
第3…は,兼業とは,農家若しくは,村落共同 体の再編成を否応なしに,好むと好まざるとをと わず,進行することを意味しているわけで,同時 にこの過程においては,新しい内容をもった,広 義の「生活秩序」の形成を,あらためて,問題とせ
ざるをえなくなってくるということであります.
第4…は,兼業農家は,農家としては,最も一 般化された「かたち」で,都市的思潮が見受けら れることであります.従って,この条件を内包し た農民は,新しいタイプでの,農村における指導 者的役割を果たそうとしているという事実がみら れます。
参考までに,出稼ぎ者と在宅勤務者における産業 種類別就業状況は,次の〔第5表〕の通りでありま
す.
第5表 出稼ぎ者と在宅勤務者の産業種類別就業状況
画華華畔辮1彗 熱き隣
出稼ぎ実数12・35g14・2913・1・・謝259い5・牌gtg31
571 85同
比率1….・1一r.r〕156・4…d6・41…d3・81
t2・51 3.8注) 。昭和43年農家就業動向調査報告書
。1969年版地域農業の動向(農林省統計調査部)
第2の問題提起として「2.農民出稼ぎをいか
に考えるか」という点を検討するために,次の三 点について,それぞれに申し上げてみます.(1)農民出稼ぎに関する概念規定 (2)類型化による出稼ぎの性格 (3)農民出稼ぎの方向性について
一出稼ぎ理由の把握に関連して一
まず,第1点として,「(1)農民出稼ぎに関する 概念規定」について申し上げます.この問題の本質に接近するために,具体的な問 題提起として,例えば, 「農民出稼ぎに関する定 義」に関連して,農林省の二種類の統計資料(報 告書)を参考として検討することに致します。
〔一〕は,農林省:農家就業動向調査報告書を みますと。「出かせぎ」とは,「1〜6か月間の 予定で家をはなれて,よそで働く二とである.」と 規定されている.一方,同じ農林省の報告書であ る.〔二〕農林省:農家経済調査報告書……の場 合,出稼ぎに関係して,次のような約束を設定し
ております.
〔約束〕:「年度末時点における他出家族の総 人員を他出出稼と遊学その他に区分して表示して いる.この場合,出稼ぎ期間が6か月以上継続し て家を離れて出稼ぎに行き,その賃銀などの収入 を送金,または持参するものを,この調査では・
「他出出稼」とした.
6か月に満たない短期間の臨時出稼は,この調 査では,「期間出稼ぎ」といい,常住家族員に含
めている.」
要するにこの資料では出稼ぎ:他出出稼ぎ(6 か月以上)+期間出稼ぎ(6か月以内)の公式が 摘要されている.
以上簡単に,両者の出稼ぎ規定の内容を紹介し たわけですが,出稼ぎ期間に関する限り,両者に
「くいちがい」がみられます.
このように,出稼ぎについては,いろいろな点 で,明確な規定づけが行われていない現状にある
と判断されます.残念ながら「出稼ぎ」に関する
統一見解は,策定されていない状況です.
それで,次に,私なりに「農民出稼ぎに関する 概念規定」を,〔第1図〕 「農民出稼ぎ原型」の モデル図を利用して,解明してみたいとおもいま
す.
第1図 農民出報ぎ原型(昭和44年11月作成)
職場蕪撒蝦
@ノ獅︒甥
@
@
@
雪︵斜鴫蝋︶
@
@
@
穀ヤ
資本制 生産
守 冒
図嚢
(注)図表:渡辺哲男;出稼ぎによる農家生活 の変貌(其のH)
福島大学教育学部論集第12号の1 〔第1図〕 「農民出稼ぎ原型」のモデル図によ
って説明します.図の中に,〔1〕〜〔V〕まで の数字が記入されてあります.便宜的に,この数 字を説明の順序として,まず,第一段階として,
〔1〕の内容から申し上げることに致します.
〔1〕…別居を条件として,生活費をうるための 賃労働者化. (別居の賃労働者)
〔皿〕…送金を必要条件として,生活費補填によ る家庭経済の安定化を兼業形態に求める.(生 活費補填の兼業化)
〔皿〕…労働市場との関係によって,(イ)外枠的労 働.(ロ)個人の就労を特徴とする.(日本的労働 市場の特殊性)
〔W〕…出稼ぎ労働の二面性.その一つは,農業 生産を通じて,農村(村落共同体)には,「保 守」との関係にたつ連帯観.他の一つは,兼業 化の実現によって,農村にそれぞれに変革の要 因となりうる可能性をもっている.(「保守ゴ と「変革」を内包しながら,農民出稼ぎは,自 己矛盾とその統一化がなされつつある.)
〔V〕…出稼ぎは,いわば生活構造の総体として
の「家」としてのつながりをもった個人の社会 的行動である. (家とのつながりをもつ個人の 行動)
この〔1〕〜〔V〕の内容条件に,つけ加えて おきたいことは,出稼ぎ行為の前提条件は,あく まで,家族が住んでいる「家」の生活秩序を保つ ことにあるという点であります.
以上の五の内容が,実はそのまま,出稼ぎ概念 の内容でもあるという事であります.
第2点は,「(2)類型化による出稼ぎの性格」を 検討することを内容としております.
以上の説明をするために 一つの方法論として 次にあげる様な,四つの指標を設定し,この指標 にもとづいて,出稼ぎ性格の認定と,その位置づ けを試みてみたいとおもっております.
それでは,次に,それぞれの類型とその類型が 求めている志向目標の概略を申し上げます.
このように,それぞれの志向目標について内容 規定を試みるために,次にあげるような「類型化 の手法」によって,解明してゆくわけですが,実 はこれらの最終的な「ねらえ」といたしまして,
一つは,東北地方という,特定地域における出稼 ぎの性格と,他の■一つは,個別的な立場での出稼 ぎ形態の性格といった二つの側面を検討すること をもくろんでいる次第です.
まず,〔その1〕出稼ぎ地帯の類型についてみ
ます.
この類型内容を単純化しますと. 「東北地方の 出稼ぎ」は,全般的にみると,類型としては「前 進型」に属しております.
この内容を規定する条件としては,(イ)構成比.
・最も高い.(ロ)対前年.……最高の増加を示し ている.⑳出稼ぎ先就業産業種類.……としては
「建設業」が中心で,それに「その他製造業」が
多い.
つまり,出稼ぎ地帯の類型からみる限りにおい ては,東北地方は,全国的にみて,代表的な前進 型で,とくに,我が国としての出稼ぎを規定づけ
82 福島大学教育学部論集 1970一一11 る主要な役割を果たす地位を保有している.以上
のようなことが結輪的にいいそうです.
〔その1〕 出蘇ぎ地帯の類型
\1額型厭廟桝出稼ぎ先就業産業種類 前東北型1操も高1鑑高増陵設業帖その他蝿
進北陸型際的i増加閣朧萎建設業
型南九州型1驚的i麟的陵設葉軸その他製造
劉四国型馨的1停滞1鰍業師
後北海網低耀鞘牒鰍業
臨鯉1慰響的隆料品鵬その他製造
(注)昭和43年長家就業動向調査報告書を資料と して作成
〔その2〕出報ぎ類型
(良民出稼ぎ形態の性格規定)
指標…出稼ぎ収入金の使途
\t名 称 包 括 内 容
(・)陣ぎ基本条件 障金を返済する
(2)障敵化鮎蘭1子供の教育費
(3)降済主義 1とりあえず貯金
@)1生活費補充 1生活費のたしにする
(5)国難甑大化 1鍼具を購入する
(注) 資料:渡辺哲男;農家生活に於ける出稼 ぎ過程調査(全国調査)の中間報 告(未発表)……昭和45年
\
地区の類型 類 型 化 規 定 の 条 件 障考(方向性)
1
北海 道型 (3)経済主義+侮)生活費補充 1生蔽定イヒ
∬ 東 北 型 (4)生活費補充+(3)経済主義+
(1)出稼ぎ基本条件 i2)教育,文化向上志向 i5)農業経営拡大化
総合的志向 i特)
̲業拡大化
皿 北 陸 型
@)生活費柵礎講本条件
〟E山陽地区,東(特)生活費補充化R(長野)地区
w 山陰(島根)型 (1)出稼ぎ基本条件+(4)生活費補充 (特)基本条件
V
近 畿 型 (3)経済主義… +④生活費補充 経済主義w
四 国 型(2)教育文化向上志向 i3)経経主義
C生活費補充
生活費拡大化
孤 九 州 型 (1)出稼ぎ基本条件+(4)生活費補充+(2)教育,文化向上志向 (基本条件・教育)
次の〔その2〕出稼ぎ類型は,〔その1〕…の 全般的な傾向性を把握した,その結論に対して,
更に内容規定を検証してみるという視点に立って 解明をするわけです.
指標として,「出稼ぎ収入金の使途」を利用す る.〔その2〕の表にもある様に,指標の内容を 五つに分類((1)出稼ぎ基本条件.(2)教育・文化向 上志向.(3)経済主義.(4)生活費補充.(5)農業経営 拡大化.)区分をしております.
この内容区分の根拠は,私が現在実施中であり ますが「農家生活に於ける出稼ぎ過程調査(全国 調査:1道23県)の中間報告(未発表)…昭和45 年」の集計結果にもとづいて行ったものでありま
す.
この分穎,区分を基礎的条件として,これを通 じて,他の地域との比較を行いながら,東北地方
にみられる「出稼ぎ」に関する性格規定を試みた わけであります.
上の表は,類型化の分類内容.下の表は,上の 表の内容を基礎にして東北地方の出稼ぎを条件的 に性格づけたものです.
つまり,この表によりますと,「東北型」とは
「生活費補充」が主体となりながら「経済主義」
とさらにこの両者より性格規定の側面では後退し たかたちで,同一の位置で,それぞれ「出稼ぎ基 本条件」,「教育・文化向上志向」,「農業経営拡大 化」の三者が並列している.
この様な状況から,他の地域との対比から東北 地方の出稼ぎの特徴を単的にいいば,数多くの区 分内容を豊富にもちながら,傾向的には,「北陸 型」と同一範蒔を形成しつつ,他の地域型には見 え出しえない「農業拡大化」が特殊性として存在
してし・る.
換言すれば,以上のような出稼ぎと農業経営と の関連の仕方に,いわぽ「東北地方の型(タイ プ)」が独自の存在性を示しうる根拠となってい
る.
この様に,東北型の位置づけが明確になったけ れども,(動向的側面において)この事実を検証 する目的をもって, 「志向的側面」に視点をおい た〔その3〕出稼ぎ類型によって,さらに,東北 型の出稼ぎ性格をみることとしよう.
〔その3〕出稼ぎ類型
(農民出稼ぎ形態の性格規定)
指標…農家の意志決定方式
\i名 称1包括内容
(・)隊婦中聴酬夫婦二人で話し合ってきめる
(2)隊族全体主義隆族の人々と一諸セこ話し合っ
(3牌帯主構向[きまったことを説明する
(注) 資料:渡辺哲男:農家生活に於ける出稼ぎ 過程調査(全国調査)の中間報告(未 発表)…昭和45年
\1地区の類型
類 型 化 規 定 の 条 件 備 考1 北 海 道 型
{ (2)家族全体主義 (3)世帯主中心志向
丑 東 北 型 (2)家族全体主義+(1)夫婦中心志向+(3)世帯主中心志向
皿 北 陸 型 (1)夫婦中心志向+家族全体主義 九州B型と同様
N 山陰(島根〉型 (2)家族全体主義+(3)世帯主中心志向
V
近 畿 型 (1)夫婦中心志向+(2)家族全体主義+(3)世帯主中心志向w 四 国 型 (1)夫婦中心志向
A型
(2)家族全体主義+(1)夫婦中心志向 (北九州地区)w
九州型・
B型
(1)夫婦中心志向+(2)家族全体主義 北陸型と同様i南九州地区)
さき程の〔その2〕出稼ぎ類型の場合と,同様 な方法と順序に従って〔その3〕出稼ぎ類型につ いて「農家における意志決定の方式」を指標(農 民の意向的側面を主点として)にして,内容の検 討を致します.
この表によって,東北型の内容を結論的に申し ます.と, 「北海道型」,「山陰(島根)型」,「九 州型A型」等々に見出されている. 「家族全体主 義」=家族の人々と一一緒に話し合った…が主核体 になっております.
農家生活の民主化乃至安定性という観点からこ の事実をみると,誠に結構な結論が導き出されま す.次いで,傾向的に多い条件内容が, 「夫婦中 心志向」=夫婦二人で話し合ってぎめる.…単一 家族構成の場合は,最もテピカルな型態である.
しかしながら,依然として,全国各地域におい て底流となっている「世帯主中心志向」二出稼ぎ 者(世帯主)がきまったことを単に説明する.
が,東北地方にくまなく存在しているという事実
です.
農家生活において,現金収入の拡大化は,いわ
ば至上命令という慣習があります.しかしながら それは,過去において数多くの農村悲劇とうらは らの関係に立っていたわけです.勿論出稼ぎの場 合においても例外ではなく,留守家族の人々は,
過重な負担増をともなった不安定な生活基盤にあ ることを思いば,大きな問題点であろうことを指 摘しておぎたいと思っております.
以上,私が全国調査した出稼ぎ関係の統計を中 間報告というかたちで利用して,いくつかの指標 を作成してみました.この度は,そのうち,二,
三の指標によりまして,本題であります東北地方 の出稼ぎについて,内容的に検討してみたわけで
あります.
第3点は,(3)農民出稼ぎの方向性について.特 に出稼ぎ理由の把握に関連して申し上げます.こ
こでは, 「農民は,なぜ出稼ぎをするか」.という 理由について,分析,検討することによって今後 の出稼ぎの方向性を見い出してみたいともくろん でおります.
最初に,資料と問題の提起をいたします.それ は昭和40年以降における「出稼ぎ事情の志向性」
84 福島大学教育学部論集 1970−11
=なぜ,出稼ぎをするか.…に関する全国各地域 を対象にした実態調査書,112篇について集計し た結果は,次の通りであります.
(イ)動機…21篇,(ロ)理由…47篇,の原因…5篇.
◎その他…3篇.㈱記載なし…36篇.
この数字が示しているように,出稼ぎに関する 方向性をみるために,その出稼ぎ理由を,どの様
にとらえるか.この点についてみると.いろいろ な方法と「かたち」があり,しかも,内容的にみ
ると,「あいまいさ」が多分にあるとおもわれま す.それで,試案ではありますが,次の様な〔そ の4〕出稼関係の類型化を作成してみた次第であ
ります.
〔その4〕農民出稼ぎの方向性に関する類型化
種 類
農家安定型
脱農民化型
停 滞 型
幡羅錨劉動 劇志向性の類型化
基本到保守到内部経済性
近代化到保守到都市化 前進到保守型1補完化
現状打破型 鶴謁‡雑定型嘩轟轟暴発
改革型膝箒劃繹鰯轟崔
停滞型[保守到他出志向性
〔補注〕
。動機:農民を出稼ぎに追い 出すきっかけ.
。志向性の類型:農民が出稼 ぎをしょうとする意志決定 に必要な諸条件.
(出稼ぎ類型=農民出稼ぎの理由)
〔その1〕動機に関する包括内容例
\一称
(イ〕
〔ロ)
←→
国
保 守 型
都 市 型
他出志向型
不安定型
包 括
内 容
・仲間にさそわれた.。しゅう旋 屋によって.。出かけないと近 所の手まえが悪い.
新聞,雑誌,チラシ等の職業らん をみて.
職安にいってきいた.
家の中が不安定、
〔その2〕志向性概念の包括内容例
\1名称
(1)
(2)
〔3)
(4)
(5)
(6)
出部経済性
保守習慣化
他出志向性
補 完 化
都 市 化
現特変革化
包 括 内 容
。家計補助.。借金返済.
・営農資金獲得.
。営農,生活の商品購入.
。仲間が行くから.
。人にすすめられて.
。以前に行ったことがあるから.
O家からは1なれてみたい.
・気晴しに.
。労働力が余っている.
。他に働き道道:ない.
。まとまった金がほしい.
・小遣がほしい.。観光,視察を かねて.。賃金が高い.
。気楽に働ける.
。農業に見切りをつけた.
。家庭不和
(注) 資料 渡辺哲男:出稼ぎによる農家生活の 変貌(其のH)福島大学教育学部論集第12 号の1(昭秘4年11月)
この〔その4〕類型について説明致します.
出稼ぎの方向性を検討する場合に際して,資料
〔その4〕に示してあるように,(上の表をみて 下さい.)「動機」と「志向性の類型化」に関する 二つの指標にもとづいて,ここでは,この両指標 を総括して,農民の出稼ぎをする〔理由〕と判断 出来る資料の一つとして,所謂〔出稼ぎ類型〕を 求めてみたわけです.…(これは,表中の「農民 行動の類型」として,整理してみました.)
これは,農民行動を主体とする出稼ぎの類型で あります.が,この類型指標と,出稼ぎ農家の方 向性と一応予測される「分類,区分」 〔1〕農家 安定型.〔2〕脱農民化型.〔3〕停滞型.それ ぞれとのつながりの関連性(関連の仕方)を考え てみたわけであります.
この表(上の表)から,東北地方の出稼ぎに関 する方向性を推論致してみます.と,……方向性 としては,「農家安定型」に属し,ついで「出稼 ぎ理由」としての「農民行動の類型」は,一応,
「前進型」であります.
この型は,動機の「保守型」=包括内容,:(イ)
仲間にさそわれて.(ロ)しゅう旋によって.の出か けないと近所の手まえが悪い.…等々と. 「志向 性の類型化」においては,「補完化」=包括内容
:(イ)労働力が余っている.(ロ)他に働き道かない.
のまとまった金がほしい.…等々の条件によって 支えられていると試考するものであります.
最後に,以上の諸点を綜括しながら,次のこと を申し添えておきたいとおもいます.
〔lv〕 結 語
農村における兼業形態の存在は,基本的な存在 認識の原型として,次のように考えられます.
農業経営において(或いは,より広く農村生活 全般においてと置き換えた方が妥当であるかもし れません)一つの限界点に立つ時,(単に申しま すと,或る条件が加わって,農業経営が行きづま った時)あらゆる条件又は問題に優先して,農家 生活を護るために,農民として,資本主義経済の 社会のなかで,対応する一つの姿勢である.…と このように,兼業化の可能性に関する方向づけを するわけであります.
私達の目にうつる兼業化の姿は,歴史的にみて 農村での兼業の位置づけ,兼業の形態,叉はその 性格等々を通じてみるならば,次のような一連の 状況分析がヨリ妥当性を帯びているものとおもわ
れます.
それは,それぞれの時代における兼業問題のポ イントというものは,それらの背景にある社会的 環境によって,それなりの「型」乃至構造的な姿 態が支配され或いは規定づけがなされながらも,
その底流にあるものは,「農民自身によって,農 家生活を生き強くためのいわば,過去の経験と努 力の上に積み重ねられた一種の養生活の知恵やに よる」ものである.しかも,その過程の中で形成 された兼業に関した農民行動を支配する源基は,
諸々の農村社会に展開する農民意志の反映である ことを思い浮べておきたい.以上のことを申し上 げて私の報告を終了致します.
参考文献
(1)経済同友会:「日本農業に対する見解」1960年
(2)農林漁業基本問題調査会:「農業の基本問題と基 本対策」1960年
(3)経済同友会:「明日の農業への展望」1966年
(4)農林省:「農業の動向に関する分析資料」1966年
(5)経済企画庁:「経済社会発展計画」1967年
(6)経済企画庁:「新全国総合開発計画」1969年
(7)自民党:「総合農政試案」1969年
(8)農政審議会:r農政推進上留意すべき基本的事項 についての答申J1969年
(9)農林省:r農家就業動向調査報告書」(昭和43年)
1田0年
OO 農林省:「1969年版地域農業の動向」1田0年
⑪ 渡辺哲男:「出稼ぎによる農家生活の変貌(其の 1)」1966年
⑫ 渡辺哲男:「出稼ぎによる農家生活の変貌(其の H)」1969年
0⇒ 経済審議会農業問題研究委員会=r日本農業進歩 への道」1969年
Oゆ 経済企画庁=「昭和44年 国民生活白書」1969年
〔補注〕:現在(昭和45年9月)私が調査している「農 家生活に於ける出稼ぎ過程調査」(全国調査)は,農 林省統計,農家就業動向調査報告書にもとづいて,
昭和40年以降,出稼ぎ農民を恒常的に排出している 下記の地域を対象としており,調査対象農家戸数は 約4,000戸の規模であります.
省,調査協力者は,関係各県の農業改良普及所,
農業会議,農協,その他個人で,以上の方々によっ て実態調査が実施されております。
地区名
関 係 道 県 名
調 査ホ象数
北海道
北海道 200東 北 青森,岩手,宮城,秋田
R形,福島 1,330 北 陸 新潟,富山,石川,福井 540
東 山 長野 190
東 海 岐阜 100
近 畿 兵庫 100
山 陰 島根
珈
山 陽 岡山 240
四 国 徳島,愛媛,高知 425
北九州
熊本,佐賀,大分 340南九州
宮崎,鹿児島 180計 1道23県 3,765