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東洋大学 SDGs News Letter

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Academic year: 2024

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2022年2月22日発⾏

池田先生は就労継続支援B型事業所や各機関等と連携し、さまざまな商品開発プロジェクトに参画しています。

福祉事業所にはどのような課題があるか教えてください。

福祉事業所には、労働契約があり最低賃⾦が保証される「A型事業所」、労働契約がなく就労訓練のための「B 型事業所」、一般就労を目指す「就労移⾏⽀援事業所」があります。

私が研究しているのはB型事業所で、B型は障がいが重い方が就労訓練のため勤務し、パンや菓子などの製造販 売事業や、アクセサリーや雑貨の製造販売事業を手掛けるケースが多いです。食品の場合、レシピが明確で品質 を安定化しやすく、少数⽣産を⽣かして原料にこだわれば個性も表現しやすいのですが、管理や衛⽣⾯のハード ルが高いです。そのため、とくに新規事業所は作りやすい雑貨類を扱うことが多いのです。けれども、一般商品 との差別化がしづらく直接競合するので、品質やデザインに厳しい目が向けられる傾向にあります。多くの事業 所が「『一⽣懸命に作った』だけでは訴求できない」「安くしないと売れない」「買い手がいつも同じ」といっ た悩みを抱え、授産事業による利益を⼗分確保することが厳しい状況です。

本ニュースレターでは、東洋⼤学が未来を⾒据えて、社会に貢献するべく 取り組んでいる研究や活動についてお伝えします。

今回は、ライフデザイン学部人間環境デザイン学科の池田千登勢教授に、

SDGs(持続可能な開発目標)の観点から考える障がい者就労⽀援とインク ルーシブな社会について聞きました。

“働き甲斐”のある障がい者就労で インクルーシブな社会に

1.⾃分の⼒を生かせるインクルーシブな社会へ 2.努⼒や⼯夫が実る喜びが次なる⾏動への原動⼒に 3.学生と福祉の現場が共に考え、学びあう協働 が実現

⾃分の⼒を生かせるインクルーシブな社会へ

Point

一般企業のようにデザインやマーケティング、経営のプロがいれば、状況が改善するのではないでしょうか。

全国の自治体ではデザインや経営のプロによる⽀援プロジェクトを実施していますが、本質的な課題解決には つながっていないケースもあります。とくにデザイン⽀援は一時的な「点の⽀援」となりがちで、プロジェクト が終わると福祉事業所はもとの商品開発⼒に戻ってしまうことも多いのです。また、専門家の意⾒が絶対的なも のと捉えられ、事業所側が受け身になってしまうこともあります。このように⽀援を<する側>と<受ける側>

が分かれていると、せっかく協働を試みても一方通⾏で終わってしまうことが課題となっています。

私はプロジェクトの位置づけや授産商品の開発・販売プロセス等を工夫し、福祉事業所に⻑期的な効果をもた らすような⽀援をすることで、自分の⼒を⽣かし、障がいの有無等による分け隔てがなく孤⽴しないインクルー シブな社会が実現するよう、研究を続けています。

いくつかの好事例もあります。コロナ禍以前の話ですが、ある自治体は域内の福祉事業所が合同で商品の改善 をし、販売手法を学び実践するプロジェクトを実施しました。最初は参加に消極的な事業所もありましたが、お 互いの商品を良くする活動や販売実習からはさまざまな気づきがあったようです。商品へのフィードバックはも ちろんのこと、商品の並べ方や⾒せ方、お客さまへの声のかけ方など、一般企業なら担当者がノウハウとして持 つ当たり前のことを、彼らは身をもって学び、商品開発や販売にも好影響を及ぼしました。専門家から言われた 通りのものを作って売るだけでは事業所や利⽤者の成⻑にならず、次の主体的な活動にもつながりません。自分 たちで気づきを得る“アクティブ・ラーニング”が重要で、そこで得られる経験や働き甲斐は非常に⼤きなものと なります。

ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科 教授 池田千登勢 Vol.05

東洋大学 SDGs News Letter

東洋大学は“知の拠点”として地球社会の未来へ貢献します

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努⼒や⼯夫が実る喜びが次なる⾏動への原動⼒に

アクティブ・ラーニングを取り⼊れている事例としては、どのような支援が⾏われているのでしょうか。

東京都では「KURUMIRU(くるみる)」というプロジェクトで、実店舗とウェブサイトを運営しています。

KURUMIRUの特⻑はプロによるデザイン提供や商品開発の援助をしないこと、その代わりに各事業所が手掛ける 商品の商品⼒向上のアドバイスと、品質管理を徹底していること。商品にばらつきが出ても、それが個性と言え るものならば良いのですが、販売前に規定に満たないものは「障がいのある方が一⽣懸命に作ったのだから仕方 ない」と許容せずに、アドバイスとともに返品し改善してもらう体制が整っています。

雑貨類の開発・販売の難しさは前述の通りですが、多くの事業所が牛乳パックの再⽣紙やビーズ細工など、作 りやすいものを作り、結果、思うようには売れません。そこでKURUMIRUでは年20回ほど販売フェアを企画し、

福祉事業所が各季節のフェアに合わせて4ヶ月前から商品開発に取り組めるようにしています。冬に販売する商 品を夏に考えるのは企業なら当たり前のことですが、これまでは冬に冬物を作るので、売るころには季節外れと いうこともありました。こうした努⼒が少しずつ実を結び、自分たちで考えた商品が売れるようになると、作り 手である障がいのある方も、企画や販売を担う職員も手ごたえを感じますから、それが好循環を⽣んで持続可能 な事業所⽀援になっていくのではないでしょうか。

学生と福祉の現場が共に考え、学びあう協働が実現

福祉事業所とのプロジェクトには研究室の学生も参加しているそうですね。

商品の企画開発では学⽣も提案をしています。ある学⽣は、木工作業が得意な事業所 に対して、ペーパーウッドという断⾯がカラフルな合板の素材を紹介しました。すると 事業所の職員が関心を持って、自分たちの技術を活かし、寄木細工のようなアクセサリ ーを考案し、とてもよく売れる商品の開発に成功しました。さらに、材料調達コストが

⾒合わなかったので、事業所は知恵を絞り、建築現場でもらい受けた端材に画⽤紙を挟 み込み、オリジナルカラーのペーパーウッド風の板材を手作りしたのです。ユニークな アイデアだと感心しました。ほかにも、漂白した松ぼっくりを薄いピンク色に染めて、

春のリース製作に挑戦したこともあります。

事業所は学⽣のフレッシュなアイデアを喜んでくれますし、若者がいるだけで作業場 が活気づく効果もあるようです。そして、学⽣のアイデアを何とか商品化しようと努め てくれます。プロではない学⽣だからこそ、お互いにアイデアを出しながら「一緒に商 品を作ろう」という協働意識が⽣まれやすいのだと思います。

今後も、福学連携による商品開発をはじめ、誰もが働き甲斐を感じられるディーセン ト・ワークの実現により、持続可能な社会へ貢献していきたいと思います。

【池田への取材お申し込み】

東洋⼤学総務部広報課 MAIL︓ [email protected]

取材お申し込みフォーム https://www.toyo.ac.jp/press

【本News Letterに関するお問い合わせ】

東洋⼤学総務部広報課

TEL︓03-3945-7571 MAIL︓[email protected]

本News Letterは本学SDGs特設サイトでもご覧いただけます。

https://www.toyo.ac.jp/sdgs/

TOYO SDGs News Letter

東洋大学は研成果である「知」で2020へ貢献します

池田 千登勢(いけだ ちとせ)

東洋⼤学 ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 教授 専門分野︓プロダクトデザイン、ユニバーサルデザイン

研究キーワード︓授産商品とデザイン、芸術療法とデザイン、方向感覚とデザイン

▲研究室にある授産商品 Vol.05

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