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渦電流を用いたマイクロ磁気軸受 中尾 武史

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2007 年度 

修  士  論  文 

           

渦電流を用いたマイクロ磁気軸受 

   

                   

和歌山大学大学院 

システム工学研究科  システム工学専攻  光マイクロシステムクラスタ  

        中尾  武史  

 

 

2007 年 2 月 8 日提出 

(2)

渦電流を用いたマイクロ磁気軸受

中尾  武史

和歌山大学大学院システム工学研究科  光マイクロシステムクラスタ スマートセンシンググループ

概要

 

本研究では,マイクロデバイスにおける軸受機構を実現するために,特殊環境下等で現在使用されてい る磁気軸受の方式を応用し,基盤技術となる磁気浮上システムを提案した.また,小型かつ高い応答性を もつシステムを構築するために1方向からのみで反発力・吸引力が得られる方式を考案し,その可能性を 検討した. 

第一に,反発力を効率よく得ることが課題となる.そこで,反発力は磁場の大きさに依存するが,z軸 方向の変化に対する力の変化がなければF=kzのバネ力にはならないのではないかと考え,z軸方向磁場 勾配が急峻になることが重要であると考えた.そのためコイル表面から発生する磁場強度を大きくする磁 場分布とコイル表面から発生する磁場強度のz軸方向磁場分布の勾配が急峻となる磁場分布のどちらがよ り小さな電流から線形性が高く,コイルと浮上させる金属導体の間にはたらく実効バネ定数が大きくなり,

高い応答性をもつかを比較した.そのために,有限要素法を用いてz 軸方向磁場勾配を急峻となる磁気回 路形状の設計をおこない,モデルを作製し評価をおこなった.その結果,z軸方向磁場勾配を急峻にする ことで,より小さな電流値から線形性のある反発力を発生させることができていることを確認した.また,

渦電流を用いた反発方式はIHクッキングヒーターと同様の原理であるため発熱を伴うために,いかにこ の発熱を抑えるかが課題であったが,磁場分布をz軸方向磁場勾配が急峻となる磁気回路形状にすること により,発熱を抑えることが可能であることを確認した.吸引力については電気めっき法を用いてNi-Fe 膜を成膜することにより,十分な吸引力を得ることができることがわかった.また,一定の反発力を浮上 させる金属導体に印加した状態で入力波形の交流電流をオフセットさせ,Ni-Fe膜に吸引力を発生させる ことで浮上させた金属導体の変位が変化することを確認し,ゼロ力点が存在していることを確認した. 

次に,有限要素法を用いてスケールによる効果を評価した結果,電磁気学の現象を利用しているため実 際に実験をおこなったマクロモデルの100分の1の寸法であってもコイル表面から発生するz軸方向磁場 分布に大きな変化は見られず,磁気回路を加熱する欠点ついても磁気回路全体のスケールを小さくするこ とで解決できることを確認した.

以上のことより,渦電流反発を利用した浮上方式は磁気回路形状を設計することによりマイクロ領域で 使用できる磁気軸受の基盤技術になる可能性が大いにあると考えられる.この技術を基にマイクロ磁気軸 受が開発されれば,近年盛んに研究がおこなわれているマイクロモーターやマイクロタービンといった回 転機構を有するデバイスの寿命を大幅に改善することができ,飛躍的にマイクロマシン分野が発展するこ とが期待できる.

(3)

目  次

第 1 章  序論 

   1.1  研究背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1  1.2 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2  第 2 章  磁気回路設計 

2.1 動作原理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5  2.2 有限要素法による磁場解析 

2.2.1 磁気ギャップとz方向磁場勾配の関係・・・・・・・・・・・・・・6  2.2.2 磁極厚さとz方向磁場勾配の関係・・・・・・・・・・・・・・・・7  2.2.3 磁気回路の構造による磁束の漏れ 

2.3 磁気回路の材料選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9  2.4  電気めっき法によるサンプル作製・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

第3章  磁気回路評価 

3.1  磁場分布測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11  3.2  反発力測定 

3.3  応答性評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12  3.4  吸引力測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13  3.5  発生力評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14  3.6  温度特性評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15  第4章   スケール効果 

4.1  磁気ギャップと z 方向磁場勾配の関係・・・・・・・・・・・・・・・・・16  4.2  熱による影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17  第5章  結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18  謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19  参考文献 

付録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20   

                         

   

(4)

1

第1章  序論

 

1.1  研究背景 

近年,半導体技術の発展に伴い,Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)の研究が盛んにお こなわれている.ビーム形状やリンク形状のアク チュエーターは構造物による運動の制限が存在 するため回転機構を有するマイクロモーターの 研究がおこなわれている.しかし,微小機械要素 を用いるマイクロメカトロニクスでは低摩耗,低 摩擦が課題となっている1.これは運動方程式か ら分かるように,寸法が小さくなると表面積より も体積が大幅に小さくなる.その結果,体積(質 量)に依存する慣性項が無視できる程小さく,表 面積が関係する摩擦(粘性)の項が支配的になる ためである. 

摩擦は界面での分子間力に起因するため,これ を小さくするには相対する二面を引き離せばよ く,間に第三の物質をはさむのが一般的である.

摩擦や摩耗を低減させる方法として 

・  境界潤滑 

・  流体潤滑 

・  転がり案内 

・  浮上機構 

が挙げられる.境界潤滑は油などの吸着分子膜が 境界に存在する状態で,固体表面は大気中では水 分子などの吸着層で覆われているため自然に境 界潤滑となっている.これに対し,真空中では吸 着層がなくなり摩擦が大きくなり,二面間の分子 間力で貼りついてしまうことがある.流体潤滑は,

動圧力と静圧力を利用する2種類の方法がある.

前述は,運動によって粘性流体中に発生する圧力 を利用して,相対運動で隙間の流体が間の接触点

に流れ込んで移動体を持ち上げる手法であり,動 圧力を利用するため,運動が停止すると潤滑効果 はない.この潤滑効果は一般の機械では油を用い て使われることが多い.後述は人工的に加圧して 浮き上がらせる静圧力を利用するもので,静止時 の摩擦も小さい.これらの流体潤滑は流体の粘性 抵抗が見掛け上の摩擦力となる.転がり案内はベ アリングを使用する方法である.浮上機構は静電 力を利用したものや気流を利用したもの,磁気力 を利用したものが研究されている234.静電気 力を利用したものは,静電気力は距離の自乗に反 比例するため,物体を電極で引きつけて静電的に 浮上させようとすると,近づけば近づくほど吸引 力が大きくなり,原理的に不安定で非常に制御が 難しい.気流を利用したものは基板に多数のノズ ルを作製し,基板下から圧縮空気を送ることによ り,スライダを浮上させ水平方向に駆動する方式 が研究されている.また超電導体のマイスナ効果 を利用した浮上機構は超電導体と永久磁石を組 み合わせることで反発浮上している. 

MEMS では現在,表面を硬化させる処理によ って摩耗を減らす等の研究もおこなわれている が,主として流体潤滑を利用している5).そのた めに,マイクロモーターの高寿命化や耐久性が問 題となっている.流体潤滑や転がり案内は輸送機 器を始め各種機械に多用されているが,マイクロ 化した際,転がり案内はボールの加工可能なサイ ズ,流体潤滑は動圧力を得るための溝のサイズに よって最小サイズが決まってしまう.また,機械 に使用されている軸受のサイズでは潤滑の役割 を果たしている油の表面張力が支配的になりロ ーターが動かなくなることが予想される.そこで,

完全非接触の軸受を開発することにより,摩擦・

(5)

2 摩耗の問題を解決できると考え,同時に超高速回 転ができる,振動・騒音が極めて小さくなる,潤 滑油を使用しないため特殊雰囲気中(高温,低温,

真空中)などで使用することができるなどの長所 が期待できる.以上のことから,本研究では完全 非接触の軸受の基盤技術となる浮上機構の確立 を目指す.そこで,磁気力を利用した1方向から 吸引力・反発力を発生させることができる磁気浮 上方式を提案し原理の実証をおこない,その有用 性を検討した結果を報告する.  

                                             

1.2  研究目的 

マイクロアクチュエーターに適用可能な浮上 機構の構造物は半導体加工技術を用いて作製す ることになるのでできるだけ単純な構造である ことが望ましい.そのため,1方向からのみで安 定した浮上機構を有する必要がある.また,質量 の小さいものを制御するためには非常に高い応 答性が必要となる.そこで,1方向から吸引力・

反発力を発生させる必要があると考え,それが可 能な方式として 

・  静電気力

・  空気

・  磁気力

が挙げられる(Table.1-1).静電気力は先で述べた ように金属導体であれば吸引力は大きく得られ るが,距離の自乗に反比例して増加するため制御 が非常に困難である.不導体の場合,吸引力・反 発力は同じオーダーで発生させることが可能で あるが,発生力は

F qE

より電荷量で決まるた

め,大きな力を得ることが困難である.空気を利 用する方式は反発力は十分に得ることが可能で あるが,吸引力を発生させることが困難である.

静電気力  空気  磁気力  吸引力  ○  ×  ○  反発力  △  ○  ○  制御性  △  △  △  実現性  △  ○  ○  適応性  ○  △  ○ 

○:適  △:可  ×:不可 Table. 1-1 Characteristics comparison of

actuator

(6)

3 磁気力については吸引力は容易に大きな力を得 ることができ,反発力は永久磁石,常電導電磁石,

超電導磁石を使用することで得ることが可能で ある.そこで,磁気力を使用することに着目した.

一般的な磁気軸受はFig.1-1に示すようにロータ ーの対向方向に電磁石と変位センサを配置し,位 置決め制御をおこなう.また,安定制御をおこな うためにローリング以外の5自由度を対向方向か ら制御するが,この形状では電磁石とセンサの数 が決定因子となり,マイクロ化が困難である.ま た,フォトリソグラフィー技術を用いて製作する ことを考慮すると可能な限り単純な構造が望ま しいため1方向からのみで磁気浮上可能な構造 にする必要がある.吸引力とローターの自重を利 用する方式でも1方向からのみの磁気浮上は可能

であるが,ローターの自重を利用するため応答速 度を上げることは難しい.これらのことから,1 方向から吸引力・反発力を発生させる単純な構造 が望ましいといえる. 

  ここで,吸引力については比較的簡単に力を得 ることができるが,反発力をいかにして発生させ るかが課題となる.磁力を発生させる代表的なも のとして,永久磁石,常電導電磁石,超電導電磁 石の3種がある.一方,電流あるいは磁力線を通 しやすい物質の代表的なものとして,超電導体

(反磁性体),超磁性体,金属導体,3種がある.

反磁性体とは,磁場を印加したときに物質が磁場 の向きと逆向きに磁化され反発力を発生する性 質のことである.一般的に水や銅などが挙げられ る.以上 6 種の物体の組み合わせによって吸引 力・反発力を発生させることが可能となる.永久 磁石,常電導電磁石,超電導電磁石の特徴を

Table.1-2 に示す.永久磁石は吸引力・反発力と

もに十分な力を発生するが,制御するためには常 電導電磁石が必要となり,1方向からでは吸引力 もしくは反発力のどちらかしか得られない.また, 

  永久磁石  常電導

電磁石 

超電導 電磁石 

発生力  ◎  △  ◎ 

安定性  △  △  ○ 

反 発

力  制御性  ×  △  △ 

発生力  ◎  ○  ○ 

吸 引

力  制御性  ×  △  △ 

小型化  △  ○  × 

Radial bearing Rotor

Thrust bearing

(b) Structure of five-axis-controlled magnetic bearing

Fig. 1-1 Magnetic bearing

2 2 2 0

) 2 ( NSi

i F

Rotor

Attraction

Electrical magnet

(a) Principle of operation 

Table. 1-2 Character of magnetic force Line of magnetic force

(7)

4 マイクロサイズで磁極の向きを制御して永久磁 石を作製することが非常に困難である.超電導磁 石は吸引力・反発力共に十分な力を発生すること が可能である.しかし,冷却する必要があり,使 用するためには大掛かりな冷却装置が必要とな る.また,水や銅といった反磁性体物質は磁化率 が 10-6 オーダーと大変小さいため小さなカエル を浮上させるために 10T 程度の磁場が必要とな り6超電導磁石が必要となる.これらの理由から,

永久磁石や超電導磁石を用いる方式はマイクロ 化に適していないと考え,本研究では常電導電磁 石と金属導体の組み合わせで渦電流反発方式78

9を利用した磁気軸受の基盤技術となる磁気浮上 システムを考案した. 

本研究で提案する磁気浮上システムは Fig.2-1 に示すようにコイルと浮上させる金属導体とで 構成されたシンプルな構造であり,小型化に適す ると考えられる.浮上させる金属導体を常磁性体 と強磁性体の2層構造にすることで1つの物体に 吸引力・反発力を発生させて浮上させる.ただし,

一般的には渦電流反発は金属の浮遊溶解技術 10 として用いられているように発熱を伴うが,この 発熱を極力抑えて反発力を得ることが重要であ る.そこで,より小さな電流値から線形性のある 反発力を発生させることができ,より高精度な制 御が可能となる磁気回路形状の設計をおこない,

サンプルを作製した.そして,実際にサンプルを 用いて評価をおこない,提案した磁気浮上システ ムの有用性を検討した. 

       

                                       

(8)

5

第2章

 

磁気回路設計 

 

本研究において,吸引力はコイルに直流電流を 印加することで比較的簡単に力を発生させるこ とができるため,反発力を効率よく得ることが必 要となる.そこで,反発力を得る方式を選定し,

有限要素法を用いて磁気回路形状の設計をおこ ない,モデル実験より評価をおこなった. 

  

2.1 動作原理 

本 研 究 で 考 案 し た 磁 気 浮 上 構 造 の 概 要 を

Fig.2-1 に示す.マイクロ化するために1方向か

らのみで制御可能な磁気浮上システムを構築す る.また,より高い応答性をもたせるために1方 向から吸引力・反発力を発生させる必要がある.

そこで,磁気力を用いて反発力を得ることを考え た.磁気力の反発を利用する浮上方式は,浮上方 向には基本的に安定なため完全無制御の磁気浮 上の実現が期待できる.ところが,アーンショウ の定理(付録参照)により永久磁石だけでは安定 浮上が不可能であり,マイクロサイズの永久磁石 を作製することは困難である.そのために利用で きる方式として反磁性反発が挙げられる.反磁性 反発力は 

) 0 1

  ( dz B dB

F   (2.1) 

χ:磁化率  B:磁場強度(A/m)  で表される.この方式は超伝導による浮上または 渦電流による磁場との反発作用による浮上に限 定される611.しかし,超電導を用いるためには 大掛かりな冷却装置が必要となる.そこで,現実 的な方法として,電磁誘導で常磁性体に渦電流を 発生させ,その際に発生する力が反発浮上力と制

動になることを利用して反発力を得る.ただし,

渦電流反発は金属の浮遊溶解技術として用いら れているように発熱を伴うため,この発熱を極力 抑えて反発力を得ることが重要である. 

また,提案した手法を将来的に実用することを 考慮すると,様々な外乱があると考えられるため 制御が必要となってくることが予想される.その ためにより高い応答性をもった制御をおこなう 必要がある.これを解決するためにコイルと浮上 させた金属導体間にはたらく実効バネ定数を可 能な限り大きくすることが望ましい.式(2.1)より,

反発力は磁場の大きさに依存するが,z方向の変 化に対する力の変化がなければF=kzのバネ力に はならないのでz軸方向磁場勾配が急峻になるこ とが重要であると考えた.そこで,式(2.1)におい て,コイル表面から発生する磁場強度の大きさを 大きくする磁場分布とコイル表面から発生する 磁場強度のz軸方向磁場分布の勾配が急峻となる 磁場分布のどちらがより小さな電流から線形性 が高く,コイルと浮上させる金属導体の間にはた らく実効バネ定数が大きくなり,制御する際に,

高い応答性をもつかを比較し,検討するために磁 気回路形状の設計・評価をおこなった.  

 

Conducting plate

z r Coil

Attraction

Ferromagnetic plate Repulsion

Fig. 2-1 Concept of magnetic levitation 

(9)

6 2.2 有限要素法による磁場解析 

 

  磁場発生源として,z軸方向のバネ性を高め,

同時に大きな力を発生する上でz軸方向の磁場勾 配を急峻にできる磁気回路形状が必要である.そ こで,Fig.2-2 のような磁場をリング状の隙間部 に局在化させるギャップ付き環状磁気回路形状 とした.磁気回路を複雑な形状にすることでz 軸 方向の磁場勾配を急峻にすることができると考 えられるが,今後半導体加工技術を用いて磁気回 路を作製することを考慮し,提案した形状で設計 をおこなった.また,ギャップ付き環状磁気回路 による磁場分布の変化を評価するために比較対 象として磁気ギャップがない形状で,もっとも簡 単に空芯コイルに比べて磁場を強くすることが 可能な中心ヨーク径に相当する棒状電磁石を用 いて評価をおこなった. 

 

2.2.1  磁気ギャップとz方向磁場勾配の関係 

  Fig.2-2 の磁気回路形状において,磁気ギャッ

プをパラメータとしてz軸方向磁場勾配について 評 価 を お こ な う た め に 有 限 要 素 法(Ansys 社  Ansys ver.10)を用いて解析をおこなった.磁極の

厚さを 0.8mmとした.ここで,渦電流の浸透深

さは

d 2 [m]  (2.2)

で表される.本研究で浮上させる金属導体に使用 する常磁性体は密度の低いアルミニウムを用い るとし,厚さ 0.3mmのものを使用すると仮定し た.そのため,式(2.2)より,0.3mmの深さまで

渦電流が浸透する周波数を算出し,50kHzでの交 流磁場解析をおこなった.解析条件は,磁気回路 部を軟鉄として比透磁率2000とし,Fig.2-2の軸 対称モデルで飽和磁束密度を考慮しない静磁場 解析をおこなった.コ イルは電流密度 2.5×

106A/m2,起磁力 10AT とし,電気抵抗率を 1.8

×108 Ω・m,コイルの断面積を4×106m2と した.また,メッシュサイズをスマートメッシュ で最も細かいサイズとした.磁極表面からz軸方 向の距離と磁場強度の関係を Fig.2-3 に示す.

Fig.2-3より,磁気ギャップが0.2mmのときに最 大磁場を得られる.これは磁気ギャップが小さく なることで磁気ギャップからの漏洩する磁場が 小さくなっているためである.解析結果より,磁 気ギャップと磁極の厚さが 1:4程度のときが最 もz軸方向磁場勾配が急峻となることが示された.

Coil

Gap z

r

Gapped core Pole

thickness

Analysis area

Fig.2-3 Magnetic field vs. distance from top surface in z direction

ω:電流の角周波数[rad/s]

μ:4π×107[H/m]σ:金属の導電率[S/m]

Fig. 2-2 Ring-gap type magnetic circuit

0 20 40 60 80

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Distance from surface (mm)

Magnetic field (A/m)

0.1 mm 0.2 mm 0.3 mm 0.4 mm 0.6 mm Gaps 0 r

(10)

7 2.2.2  磁極厚さとz軸方向磁場勾配の関係 

  Fig.2-2 の磁気回路形状において,磁極の厚さ

をパラメータとしたときのz軸方向磁場勾配につ いてそれぞれ解析をおこなった.解析条件は

2.2.1と同様とした.磁極表面から r 方向の距離

と磁場強度の関係をFig.2-4に示す.Fig.2-4より,

磁極は薄いほどz軸方向磁場勾配が急峻となるこ とがわかった.コイルに直流を印加した場合,磁 極の厚さを薄くすることによって磁気ギャップ から漏洩するz軸方向磁場強度に変化は見られな かった.このことより,コイルに交流電流を流し ているために表皮効果が発生しているためと考 えられる.そのため,磁極を厚くすると磁気回路 内部での表皮効果が大きくなり,磁気ギャップか らの漏れ磁束が低下するためz軸方向磁場勾配が 穏やかになると考えられる.これらのことから,

磁極は磁束の浸透深さと同程度にすればよいと いえる.

   

2.2.3  磁気回路の構造による磁束の漏れ  実際にz 軸方向磁場勾配を急峻にすることで反 発力が大きく,コイルと浮上させる金属導体間の 実効バネ定数が大きくなっていることを評価す るために,サンプルを作製する必要がある.容易 に磁気回路の評価をおこなうために,機械加工が 適用可能なサイズで作製することを考えた.考案 した磁気回路形状を機械加工で作製すると磁気

回路はFig.2-5に示すような3ピース構造となる.

そこで,3ピース構造にしたときの微小な接合ギ ャップが磁束の流れに及ぼす影響を検証するた めに磁極の厚さを0.8mm,磁気ギャップを0.2m m,微小な接合ギャップを 5μm と仮定して解析 をおこなった.解析より得られた磁束線図を Fig.2-5に示す.Fig.2-5より,磁気回路接合部の ギャップが磁束の漏洩に影響していることが確 認された.また,磁気回路の中心からr方向の距 離 を 横 軸 と し た と き の z 軸 方 向 磁 場 強 度 を Fig.2-6に示す.Fig.2-6より,微小な接合ギャッ プが存在することにより磁気ギャップから漏洩 する磁場強度が減少していることがわかった.そ こで,磁極の厚さを薄くして相対的にギャップ部 の磁気抵抗の比率を高めて漏れの影響を少なく することとした.磁極部には厚さ20μmのCo系 アモルファス(日立金属社製ACO-5M)を使用し た.磁極にCo系アモルファスを用いたときの解 析結果をFig.2-6に示す.Fig.2-6はz軸方向のみ についての磁場強度をベクトルで評価している ため磁束が磁気ギャップ近傍で発生して還流す る結果,マイナス成分が表れている.以上のこと から,磁気ギャップと磁極厚さを 1:4にし,磁 極厚さを薄くすることにより,z軸方向磁場勾配 が棒状電磁石の磁場勾配に比べて急峻なものに Fig. 2-4 Magnetic field vs. distance from

center 0 4 8 12 16

0 0.5 1 1.5 2

Distance from center (mm)

Magnetic field (A/m) 0.1 mm

0.2 mm 0.3 mm 0.4 mm 0.6 mm

0 r Pole thickness

(11)

8 できることがわかった.

 

Fig. 2-5 Lines of magnetic flux  

 

Fig. 2-6 Analysis of flux density   

                 

                                                                  Fabricated

model

-100 -50 0 50 100 150

0 0.5 1 1.5 2 2.5

Distance from center (mm)

Magnetic field (A/m)

Iron core Gapped core

Gapped core with Co amorphous

(12)

9 2.3  磁気回路の材料選定 

  本研究において,磁気回路に使用する材料は鉄 損(ヒステリシス損+渦電流損)を減らすために ヒステリシスの小さい軟磁性材料を用いる.軟磁 性材料の一般的な特性を Table.2-1 に示す.

Table.2-1 より,パーメンジュールは飽和磁束密

度が高く,比抵抗が小さいため本研究の磁気回路 の材料に適していると考え,磁気回路部にパーメ ンジュール,磁極部にCo系アモルファスを使用 してギャップ付き環状磁気回路を作製した.作製 した磁気回路を Fig.2-7に示す.コイルは外径 5 mm,内径2mm,銅線の径0.14mm,巻き数80 回のものを使用した.棒状電磁石はコイルに直径 1.6mmの軟鉄を通したものとした.

Fig. 2-7 Fabricated core  

                 

2.4  電気めっき法によるサンプル作製 本研究の動作原理は浮上させる金属導体を アルミニウムとニッケル鉄の2層にすること で1方向から吸引力・反発力の発生力を得る.

そこで吸引力を得るための強磁性体材料とし て電気めっきで作製できるニッケル鉄を使用 した.

めっきとは,金属表面に他の金属や化合物を皮 膜し,被覆前にはなかった装飾性,防食性,機能 特性を得る湿式成膜法の一種である.電気めっき は水溶液中に存在する金属錯体に電位差を与え,

電子を供給することで金属イオンを電極側に析 出させるため,膜厚制御が容易におこなえること,

異種材料を混ぜることで合金を作成できるなど の特徴がある.電気めっき法をおこなうためには めっき浴と呼ばれる硫酸塩酸浴の作製が必要と なる.本研究で用いた硫酸塩酸浴はTable.2-2に 示す割合で調合した.作製直後の硫酸塩酸浴で成 膜されるめっき膜は溶液中の金属イオンの分布 が不均一なため,作製した磁性膜の膜厚が不均一 になり,成膜した磁性膜の特性が著しく悪化する.

そのため,評価に用いる磁性膜の成膜前に銅のフ レキシブル基板などを用いて硫酸塩酸浴に通電 をおこない,作製した硫酸塩酸浴中の金属イオン を均一にしておく必要がある.本研究で作製され

Table. 2-1 Magnetic material characteristic

(13)

10 るめっき膜の重量比はおおむねNi : Fe=78 : 22 の割合である.この組成比のNi : Fe=78 : 22は磁 歪の影響をほとんど受けない特徴がある.

めっきをおこなう際の電極となる基板は中性 洗剤で洗浄し,脱脂をおこなう必要がある.脱脂 処理をおこたると油脂が付着している部分に均 一な膜が成膜できず,成膜時の電流密度が変化す る原因となる.また,Al基板表面の酸化膜も電流 密度を変化させる原因となり,膜厚が不均一とな る可能性がある.そこで,酸化膜を除去するため にめっき膜を成膜する前に濃度15%のNaOH水 溶液に 10分間浸し,酸化膜を除去してから電荷 量を制御しながら,膜厚10μmのめっき膜の成膜 をおこなった.

本研究でおこなっためっきの概要図を Fig.2-8 に示す.陽極側に白金(Pt),陰極側に成膜する基 板をめっき浴に浸して電流制御をおこないなが ら金属や化合物を成膜する.このようにして安定 化をはかった硫酸塩酸溶を用いて電流制御をお こなうことによりAl基板上にNi-Fe膜を成膜し た.めっきをおこなう際の電流密度は、安定化の

際に1ℓ 当たり 1000C程度の電荷を使用し,基板

がAlであるため,硫酸塩酸浴中ではAlが溶液中 に溶けながらAl基板表面にNi-Fe膜を成膜する 反応が起こるので電流密度が小さいと Ni-Fe 膜 が成膜できない.そのため,Ni-Fe膜を成膜する 際の電流密度は20mA/cm2でおこなった.

       

   

chemicals g/ℓ

NiSO4・6H2O 300

NiCl2・6H2O 25

FeSO4・7H2O 10

H3BO3 20

NaCH3 (CH2)11SO4 0.1

C7H5NO3S 少量

Table. 2-2 Plating bath composition

Pt Substrate : Al

Fig. 2-8 Electroplating bath

(14)

11

θ

Displacement gauge

Thin film(polyester) Aluminum plate Coil

第3章  磁気回路評価 

 

3.1 磁場分布測定 

  本研究において磁場分布を測定するにあたっ て市販のホール素子ではその大きさのために空 間分解能が足りない.そこで,磁極面積の小さな 薄膜磁気ヘッドを磁位差計として用いてコイル 表面から発生する磁場分布を測定した.電圧と磁 束の関係は 

dt

V d   (3.1) 

で表される.式(3.1)より,得られるデータは磁位 差によって流れる磁束の時間微分で表れる電圧 である.コイルには 50kHz の交流電流を印加し て磁位差計で得られた電圧を測定した.その結果 をFig.3-1に示す.Fig.3-1より,ギャップ付き環 状磁気回路は棒状電磁石と比較してz軸方向磁場 勾配が急峻となっていることを確認した.ただし,

得られた結果はr方向に走査したベクトル磁場勾 配であり,定性的な比較である.この結果,ギャ ップ付き環状磁気回路がz軸方向磁場勾配を急峻 に出来ることを確認した.

3.2 反発力測定 

磁場分布測定の結果を基に,磁場勾配と金属導 体にはたらく反発力の関係を測定した.測定方法

をFig.3-2に示す.コイルをステージに固定して

コイルの上に厚さ 0.3mm,直径 6mm,重さ 23mgのアルミニウム円板を配置し,コイルに対 して垂直軸方向以外を拘束するため xy 方向に縦 剛性の高い,3段延伸ポリエステルフィルム(厚

さ 6μm)を使ってxy 方向を拘束した.そして,

コイルに流す電流とアルミニウム円板の荷重を 変化させ,コイルに流す電流とアルミニウム円板 の荷重が同一の距離でつりあうようにして電流 から反発力を測定した.測定結果をFig.3-3に示 す.Fig.3-3 より,ギャップ付き環状磁気回路の 方が大きな反発力を発生している.また,得られ たデータから近似直線を引くと,有限の磁気ギャ ップからの磁場勾配となるので不感帯が発生す るが,ゼロ力点は実験できないため外挿とした結 果,棒状電磁石に比べてギャップ付き環状磁気回

0 100 200 300

0 1 2 3 4

Distance from center (mm)

Field gradien(arbunit)

Iron core

Gapped core with Co amorpous

Fig. 3-1 Experimental results at 50 kHz Fig. 3-2 Measuring method

(15)

12 路がより小さな電流値から線形的な反発力を発 生している.Fig.3-3 より,棒状電磁石ではコイ ルの中心から4mm程度のところまで磁場が広が っているが,ギャップ付き環状磁気回路ではコイ ル中心から1.5mm程度のところまでしか磁場が 広がっていないことがわかる.このため,ギャッ プ付き環状磁気回路形状では磁気ギャップから 発生した磁場がすべてアルミニウム円板に反発 力としてはたらいていると考えられるが,棒状電 磁石ではアルミニウム円板に磁気ギャップから 漏洩した磁場全てが反発力としてはたらいてい ないと考えられ,その分が損失となっているため 棒状電磁石と比較してギャップ付き環状磁気回 路の方が反発力が大きくなったと考えられる.ま た,不感帯が棒状電磁石に比べて減少しているこ とからフィードバック制御をかける際にも,棒状 電磁石に比べて適しているといえる.

3.3 応答性評価 

z軸方向磁場勾配を急峻にすることによるコイ ルと浮上させた金属導体間の実効バネ定数の変 化について測定した.実験方法は3.2と同様の方 法でステージを水平に固定した状態でおこなっ た.コイルに 50kHz の交流電流を流し,その信 号を 1Hz でスイッチングさせて,アルミニウム 円板の変位を光学式変位計で測定することでア ルミニウム円板の変位量を測定した.その結果を Fig.3-4に示す.Fig.3-4(a)に示す棒状電磁石によ る浮揚では,z軸方向に浮揚した板がロール振動 0

0.1 0.2 0.3

0 0.5 1

Electric current (A) Generative force (mN) Iron core

Gapped core with Co amorphous

Fig. 3-3 Generative force at 50 kHz

-6 -3 0 3 6 9 12

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Time(sec)

Voltage(V)

Input waveform Displacement

Upper: Displacement Lower: Input waveform

Voltage (V)

Time (sec)

Voltage (V)

-6 -3 0 3 6 9 12

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Time(sec)

Voltage(V)

Input waveform Displacement Upper: Displacement Lower: Input waveform

Time (sec) (a) Iron core

(b) Gapped core with Co amorphous  Fig. 3-4 Experimental results for mechanical

characteristics

(16)

13 を生じてしまい,平均的な浮上時定数が長いのに 対し,ギャップ付き環状磁気回路では振動は収束 し,得られたデータをデジタルフィルタにかけて 高周波成分を除去して測定した結果,時定数が約 52msで安定した浮上をしていることが確認され た.この理由として,棒状電磁石ではコイルから 発生する磁場分布が山型になるのに対して,ギャ ップ付き環状磁気回路では磁気ギャップから漏 洩する磁場分布がリング状になるために改善さ れたと考えられる.このことから,z軸方向磁場 勾配を急峻にすることでコイルと浮上させた金 属導体間の実効バネ定数の大きい状態を作り出 すことが可能であり,制御をおこなう上で,より 高い応答性をもつ制御が可能となることを示し た.

 

3.4  吸引力測定 

作製したAlとNi-Fe膜の2層金属板の吸引力 を測定した.実験方法の概略図をFig.3-5に示す.

吸引力を測定するにあたってロードセルなどで は測定が困難な微小な発生力を測定するために ボイスコイルモーター(VCM:電流を 1mA 流す

ごとに0.1129mNの荷重が発生)を用いた.VCM

に作製した2層金属板を貼り付け,コイルに直流 電流を流すことにより,2層金属板に吸引力がは

たらき,コイルの向きに2層金属板が引き寄せら れる.その2層金属板を元の位置に戻す復元力を VCMに加え,VCMに流した電流値より吸引力を 算出した.

Fig.3-6 にアンペアターンを一定とした際の横

軸をコイル表面から2層金属板の距離,縦軸を吸 引力としたときの解析結果と実験結果を,Fig.3-7 に2層金属板とコイル表面からの距離を一定とし た際の横軸をアンペアターン,縦軸を吸引力とし たときの解析結果と実験結果を示す.

Fig.3-6 より,解析結果では棒状電磁石と比較

してギャップ付き環状磁気回路の方が2層金属板 とコイル表面の距離が 0.3mmまでは吸引力が大 きく,0.3mm 以上の距離間になると棒状電磁石 Coil Attraction

Floated plate Restoring force

VCM

Fig. 3-5 Measuring method

0 1 2 3 4 5

8 18 28

AT (AT)

Attraction (mN)

Iron core(Analysis)

Gapped with Co amorphous (Analysis)

Iron core(Experiment)

Gapped with Co amorphous (Experiment)

0 1 2 3

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

gap (mm)

Attraction (mN)

Iron core(Analysis)

Gapped with Co smorphous(Analysis)

Iron core(Experiment)

Gapped with Co amorphous(Experiment)

Fig. 3-7 Attraction vs. AT Fig. 3-6 Attraction vs. gap

(17)

14 の方が吸引力が大きくなる.この原因として,ギ ャップ付き環状磁気回路は棒状電磁石と比べて コイル表面から発生する磁場が急峻となってい るためz方向の磁場が急速に収束しているためコ イル表面から距離が離れると磁性膜にはたらく 吸引力も急速に減衰してしまうためであると考 えられる.実験結果は解析結果とほぼ同様の傾向 がみられるが,実験をおこなった範囲では棒状電 磁石に比べてギャップ付き環状磁気回路の方が 全域にわたって吸引力が大きくなった.これは実 際に作製したギャップ付き環状磁気回路の磁気 ギャップが精度よく作製できておらず,解析で設 計した磁気ギャップと磁極厚さの比 1:4 よりも 作製した磁気ギャップが大きくなっているため であると考えられる.また,実験結果が解析結果 と比較して全域において吸引力が小さくなった 原因として,解析をおこなう際,本大学でめっき 浴を用いて作製したNi-Fe膜の透磁率を1500と 仮定したが,実際には特性が低下した磁性膜しか できなかったためであると考えられる.これは基 板がAlであるため,硫酸塩酸浴中ではAlが溶液 中に溶けながらAl基板表面にNi-Fe膜を成膜す る反応が起こるため透磁率が低下したと考えら れる.改善する方法として現在でも十分な吸引力 は得られていることを示すことができたが,基盤 をCuにすることやNi-Fe膜の膜厚を厚くするこ とが挙げられる.

3.5  発生力評価

実験より,作製したギャップ付き環状磁気回路 から発生する吸引力・反発力の測定をおこなった.

そこで,ある一定の反発力を2層金属板に印加し た状態で,吸引力を変化させたときの2層金属板

に 発 生 す る 発 生 力 を 評 価 し た . そ の 結 果 を

Fig.3-8 に示す.定量的な評価をおこなうために

横軸をコイル表面から2層金属板までの距離を ギャップ付き環状磁気回路の磁気ギャップで割 った商とし,縦軸を発生力とした.ここで発生力 は正の値を反発力,負の値を吸引力とした.

Fig.3-8 において反発力はコイルに流す交流電

流を 50kHz,50AT とした.Fig.3-8より,発生 力が0となるゼロ力点が存在することがわかった.

ゼロ力点とは反発力と吸引力が見かけ上つりあ い,外部から印加される力がなくなる状態である.

ゼロ力点が存在しない場合,2層金属板に吸引力 もしくは反発力のどちらかが印加された状態と なるために制御する上で困難となる.また,反発 力を一定とした際,コイルに流す直流電流を大き くすることで,消費電力は大きくなるが,Fig.3-8 に示すようにコイル表面から2層金属板までの 距離をギャップ付き環状磁気回路の磁気ギャッ プで割った商に対する発生力の増加が大きくな るために,より高い応答性をもつ制御をもたせる ことができることがわかった.

電気めっき法を用いてNi-Fe膜を10μmとした が,より強磁性体として特性の優れた材料や

Ni-Fe膜の膜厚を大きくすることで,より小さな

-0.6 -0.4 -0.2 0 0.2

0.5 1 1.5 2 2.5

Distance by gap

Generative force (mN)

AT=16 AT=24

Fig. 3-8 Generative force

Distance/gap

(18)

15 消費電力で大きな吸引力が得られるため,本研究 で得られた発生力よりもコイル表面から2層金 属板までの距離をギャップ付き環状磁気回路の 磁気ギャップで割った商に対する発生力の増加 が大きくすることができ,より高い応答性をもつ 制御系を構築することが可能になると考えられ る.

3.6  温度特性測定 

本研究の渦電流反発浮上原理は誘導加熱と同 様であるので,浮上させる金属導体が加熱される と反発力が低下することが考えられるため,どの 程度加熱されているかを把握する必要がある.そ こで,コイルに交流電流50kHz,1Aを印加し た際に浮上させた金属導体の温度測定をおこな った.測定方法は Distance:Spot=8:1,分解能 0.5℃の赤外線温度計(CENTER社 350series)

を使用し,赤外線温度計と浮上させた金属導体の 距離を1cmとして測定した.結果をFig.3-9に示 す.Fig.3-9 より,ギャップ付き環状磁気回路形 状の方が温度上昇が少ないことが確認された.

これはコイルから浮上させた金属導体にはた らく放射による伝熱量について考察すると平行 2平面間の放射により伝達される熱量Q(付録参

照)は

と表すことができる(付録参照).このことから,

棒状電磁石ではコイルで発生した熱が直接,浮上 させた金属導体に放射により伝達されるが,ギャ ップ付き環状磁気回路ではコイルと浮上させた 金属導体の間に磁極となるCo系アモルファスが 存在するためにCo系アモルファスが防熱板の役 割を果たしているために棒状電磁石と比較して ギャップ付き環状磁気回路の方が浮上させた金 属導体の温度上昇が少なかったと考えられる.ま た放射率は同じ材質であっても,表面粗さや酸化 膜が形成されているかどうかによっても大幅に 変化するため浮上させる金属導体の表面処理に よっても温度上昇を抑えることができると考え られる.

4 2 4 1

100 67 100

.

5 T T

f

Q

[W/m2

(3.2) ただし,

1 1 1

1

2 1

f

T1:面Aの絶対温度  T2:面Bの絶対温度 (T1> T2)  fε:物体間の放射伝熱の放射係数

20 30 40 50 60

0 5 10

Time (min)

Temperature (℃)

Iron core

Gapped core with Co amorphous

Fig.3-9 Experimental result

(19)

16

第 4 章  スケール効果 

 

4.1  磁気ギャップとz方向磁場勾配の関係  実験より,コイルから発生するz軸方向磁場勾 配を急峻にすることにより,2層金属板の発熱を 極力抑えてより小さな電流値から線形性のある 反発力を発生させることができていることを確 認した.また,コイルと浮上させた2層金属板間 の実効バネ定数が大きくなっており,制御をおこ なう際により高い応答性をもつ制御が可能であ ることがわかった.そこで,定量的な評価をおこ なうためにギャップ付き環状磁気回路のスケー ルを小さくしたときのコイル表面から漏洩する 磁場分布の評価を有限要素法を用いておこなっ た. 

解析形状をFig.4-1に示す.Fig.4-1に示すよう に磁気回路の厚さ0.8mm,中心部直径1.6mmと し,磁気ギャップをパラメータとして 50kHz で の交流磁場解析をおこなった.解析条件は磁気回 路部を軟鉄として比透磁率2000とし,飽和磁束 密度を 0.8T としておこなった.コイルは電流密 度2.5×106A/m2,起磁力10ATとし,銅線の電気 抵抗率1.8×108 Ω・m,コイルの断面積を4×10

6m2とした.また,メッシュサイズはスマート サイズで最も細かいサイズとした.以上のスケー

Fig. 4-1 Analysis design of shape

(a) Full scale

(b) On a scale of one-tenth

(c) On a scale of one hundredth Fig. 4-2 Analysis result

ルを10分の1,100分の1にしたものの解析を

おこない,コイルの磁気ギャップ表面からz方向 磁場分布について評価をおこなった.

Coil

z Gap r

0.8mm

0.8mm Analysis

area 1.6mm

0 20 40 60 80

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Distance from surface (mm)

Magnetic field (A/m)

0.1 mm 0.2 mm 0.3 mm 0.4 mm 0.6 mm Gaps 0 r

0 100 200 300 400 500

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Distance from surface (mm)

Magnetic field (A/m) 0.01 mm

0.02 mm 0.03 mm 0.04 mm 0.06 mm

0 20 40 60 80 100

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 Distance from surface (mm)

Magnetic field (A/m) 0.001 mm

0.002 mm 0.003 mm 0.004 mm 0.006 mm

(20)

17 解析結果をFig.4-2に示す.解析結果より,磁 気回路を10分の1, 100分の1としたときも実 際に本研究で実験したサイズと同様に Gap : Thickness=1 : 4となるときが最もz軸方向磁場 勾配が急峻となることを確認した.また,実寸と 比較して10分の1の方が全体的に磁場強度が大 きくなっている原因として2.2.2節で述べたよう に周波数が一定であり,磁気回路部に使用する材 料も軟鉄と決めているため表皮効果は式(2.2)で 表すことができる.そのため,磁束の浸透深さは 一意に決まり,50kHzのとき,浸透深さはおよそ 15μmとなる.そのため,今回解析をおこなった 実寸(磁極の厚さ20μm),10分の1スケール(磁 極の厚さ2μm),100分の1スケール(磁極の厚

さ0.2μm)では実寸の10分の1スケールのとき

が最も磁場強度が大きくなったと考えられる.一 方で,100分の1スケールでは磁気回路の材料と して用いた軟鉄の膜厚が薄すぎるために磁場強 度が下がってしまったと考えられる. 

   

4.2  熱による影響 

本研究の渦電流反発方式は一般的に使用され ているIHクッキングヒーターと原理が同様のた め磁気回路が加熱されることが予想される.そこ で,コイルを実験をおこなったサイズ,10分の1,

100 分の 1 スケールで電磁場-熱連成解析をおこ なった.解析モデルをFig.4-3に示す.本研究で 設計した磁気回路ではコイルの中心を貫通して いる軟鉄材にもっとも渦電流が発生するため,そ

の部位の表面温度を解析した.解析条件は軟鉄の 比透磁率を2000,コイルの電流密度を 2.5×106 A/m2,50kHz の交流電流とした.雰囲気温度を

25℃とし,コイルの中心材の初期温度を 27℃と

した.

  解析結果をFig.4-4に示す.Fig.4-4より,磁 気回路全体のスケールを小さくすることで磁気 回路の中心材が加熱されることがなくなってい ることが確認された.これは磁気回路全体のスケ ールが小型になるにつれて,熱伝達よりも熱放射 の方が大きくなるためであると考えられる.

以上の結果より,マイクロ化することで渦電流 反発浮上方式の欠点である熱の問題を克服する ことが可能であることを明らかにした. 

20 30 40 50 60

0 1 2 3

Time (sec) Temperture (℃) Full scale

1by10  1by100

Air Iron core Coil

1.5mm 0.8mm

0.05mm t=0.5mm

Fig. 4-3 Analytical model of induction heating

Fig. 4-4 Analytical result of induction heating

(21)

18

第 5 章  結論 

 

 本研究では,マイクロデバイスにおける軸受機 構を実現するために,特殊環境下等で現在使用さ れている磁気軸受の方式を応用し,磁気軸受の基 盤技術となる磁気浮上システムを提案した.また,

小型化かつ高い応答性を有するシステムを構築 するために1方向からのみで吸引力・反発力が得 られる方式を考案し,その可能性を実験によって 検討した. 

まず,反発力を効率よく得ることが課題となる ため,コイル表面から発生するz 軸方向磁場勾配 を急峻にすることで改善できると考えた.そこで,

ギャップ付き環状磁気回路形状を設計し,磁極厚 さと磁気ギャップの比を 1:4,磁極厚さを薄く することでz軸方向磁場勾配を急峻にできること を明らかにし,ギャップ付き環状磁気回路を機械 加工可能なサイズでモデルを作製し,評価をおこ なった.その結果,実際にz軸方向磁場勾配を急 峻にすることで棒状電磁石と比較してより小さ な電流値から線形性のある反発力を発生させる ことができることを確認した.吸引力については 電気めっき法を用いて厚さ10μmのNi-Fe膜を成 膜することにより,重さ 23mgの金属導体を吸 引するために十分な力を得ることができること がわかった.また,一定の反発力を厚さ 0.3mm の Al金属導体に印加した状態で入力波形の交流 電流をオフセットすることで Ni-Fe 膜に吸引力 を発生させ,浮上させた金属導体の変位が変化す ることを確認し,ゼロ力点が存在していることを 確認した.また,渦電流を用いた反発方式は IH クッキングヒーターと同様の原理であるため発 熱を伴う.そのため,いかにこの発熱を抑えるか

が課題であったが,ギャップ付き環状磁気回路形 状にすることにより,発熱を抑えることが可能で あることを確認した. 

有限要素法を用いてスケールによる効果を評 価した結果,電磁気学の現象を利用しているため 実際に実験をおこなったマクロモデルの 100 分 の1の寸法であってもコイル表面から発生するz 軸方向磁場分布に大きな変化は見られず,本研究 で提案した磁気回路形状ではスケールに関わら ず,磁気ギャップと磁極厚さの比を 1:4 にする ことが最適であることを示し,課題であった誘導 加熱に関しても磁気回路のスケールを小型化す ることにより改善できることを示した.

以上のことから,常電導電磁石を用いた渦電流 反発浮上方式は磁気回路形状を設計することに よりマイクロ領域で使用できる磁気軸受の基盤 技術になる可能性があることを示した.この技術 を基にマイクロ磁気軸受が開発されれば,近年盛 んに研究がおこなわれているマイクロモーター やマイクロタービンといった回転機構を有する デバイスの寿命を大幅に改善することができ,飛 躍的にマイクロマシン分野が発展することが大 いに期待できる.

(22)

19

謝辞 

本研究を進めるにあたって終始御指導して頂 きました越本泰弘教授,様々なアドバイスを頂い た幹浩文助教,実験冶具を加工して頂いた白神清 民技術職員に深く感謝いたします.そして,とも に切磋琢磨しあった同研究室の皆様には深く感 謝したします. 

 

参考文献

 

(1) T.Hirano, T.Furuhata, and H.Fujita; IEICE Trans. Election., E78-C, 132 (1995).

(2) Y.K. Kim, et al; Sensors and Actuators, vol.

20, No.1/2 (1989), pp. 33-40.

(3) Y.K. Kim, et al; Proc. IEEE Micro Electro Mechanical Systems Workshop, Feb. 11-14 (1990), Napa Valley, USA, pp. 61-64.

(4) K.S.J. Pister, et al; Proc. IEEE Micro Electro Mechanical Systems Workshop, Feb.

11-14 (1990), Napa Valley, USA, pp. 67-71.

(5) Kuroki J. et al ; JSME. C.46.No.2 (2003).

(6) M.D. Simon, A.K. Geim; JOAP. 87, 6200 (2000).

(7) J.L Nikolaisen; NASA Conf Publ.

No.NASA-CP-3026, 389 (1989).

(8) Thompson, M.T; IEEE Potentials. 19, 40 (2000). 

(9) Mukhopadhyay, et al; IEEE Transactions on Magnetics, 39 (2003).  

(10) Ando, T., Ueno, K, Taniguchi, S. And Takagi. T; IEEE Trans. Mag., 38-4, 1789(2002), pp1789-1796.

(11) “磁気浮上と磁気軸受”, 電気学会磁気浮

上応用技術調査専門委員会, コロナ社 (1993). 

(12) “磁気軸受の基礎と応用”,日本機械学会,

養賢堂 (1995). 

(13) 北山直方;“図解伝熱工学の学び方”,オー

ム社 (1982). 

 

学会発表 

中尾  武史;渦電流を用いたマイクロ磁気軸受 け:第31回日本磁気学会 2007   

(23)

20

付録

A  アーンショウの定理 

アーンショウの定理とは,重力場,電場,磁場 において静止物体を安定に浮上させることは不 可能ということを示す定理である. 

重力場での質量(M),電場での電荷(q),磁場で の磁荷(m)とすると,それぞれの場における力は 距離の2乗に反比例して

) 3 . 4 (

1

) 2 . 4 (

1

) 1 . (

2 2 1

2 2 1 2

2 1

r A m F m

r A q F q

r A M GM F

        

透磁率  誘電率, 

万有引力定数, 

G

となる.電場と磁場では同種の電荷や磁荷に対し ては斥力,異種のものには引力が働く.これに対 し,重力場では引力しか働かない.次に,電場で は正,負の電荷を別々に取り出すことができるが,

磁場ではモノポールが存在しない.必ず,N極と S極が存在する.

  場によってこのような違いはあるが,これらの 場では力が

1 r

2 に比例するので,ポテンシャル エネルギー(U)は

1 r

に比例するという共通点が ある.これは

r2

k dr

F dU   (A.4) より,

r

U k (A.5) となることより明らかである.

  ここで,物体が安定に位置するためにはポテン シャルエネルギーがFig.A-1(a)に示すように,下

に凸の形のとき,その極小が安定点となる.この 位置からずれようとすると復元力が働く.一方,

(b)に示すような状態であると,どのような位置に おいても復元力が働かない.

  ここで,物体がある位置で安定に浮上する条件 はx,y,z方向においてFig.A-1(a)のような状態 である必要がある.いずれかの方向がFig.A-1(b) のような状態になると,その方向では物体はその 位置からずれてしまう.この条件を満たすために は,極小となる条件

0 0

0 z

U y

U x

U      

(A.5)

0 0

0

2

2 2

2 2

2

z U y

U x

U      

(A.6)

を満たす必要がある.

  ここで,Uをx,y,zの関数と考えると

2 2

, 2

,

z y x z k

y x r U

U k (A.7)

となる.これより

2

0

2 2 2 2 2

z U y

U x

U    

(A.8)

(a) stability (b) luck of stability Fig. A-1 Potential energy

(24)

21 という関係式が導かれる.この式が成り立つと仮 定すると,3つの項すべてが正となることはない.

このことより,力が

1 r

2 に比例する場,すなわ

ちポテンシャルエネルギーが

1 r

に比例する場で

は(2)の条件を満たすことはないので,3方向すべ てが安定することはない.よって,安定に空中に 浮上することは不可能である.これがアーンショ ウの定理である.

B  磁気回路設計図   

磁気回路#1 

   

磁気回路#2 

   

 

C  アルミニウムの浸透深さ 

  渦電流は金属導体の表面に近いほど大きく,内 部にいくにつれて指数関数的に小さくなる.具体 的には導体の電流密度Jは,深さδに対して次式 のように減少する

e d

J d:表皮深さ  (C.1)

で電流が表面の

1 e

となる深さであり,次式で表 される.

d 2 [m]  (C.2)

 

この式より,浮上させる金属導体として使用した アルミニウムの浸透深さをFig.C-1に示す.   

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

10 100 1000

Frequency (kHz)

Skin depth (mm)

Fig. C-1 Skin depth of Aluminum  

           

ω:電流の角周波数[rad/s]

μ:4π×107[H/m]σ:金属の導電率[S/m]

(25)

22 D  電気めっきレート 

【実験方法】 

アルミニウム基板を濃度15%NaOH水溶液 に10分間浸してから硫酸塩酸浴中で電気めっ きをおこなった. 

【実験条件】 

電気めっきの電流密度 10,20,40mA/cm2 とし,60分間めっきをおこなった. 

【測定方法】 

触針式膜厚計(Aipha-step200)を用いて段差 を測定し,膜厚を測定した.触針式膜厚計の概要 をFig.に示す.

Fig. D-1 Principle of Alpha-step200  

【実験結果】 

0 5 10 15 20 25

0 20 40 60

Current density (mA/cm2)

Film thickness (μm)

  Fig. D-2 Measurement result

 

E  吸引力解析 

  棒状電磁石と設計したギャップ付き環状磁気 回路の吸引力を有限要素法を用いて評価した.解 析形状をFig.E-1に示す.コイルと厚さ10μmの Ni-Fe膜との距離を0.1〜0.5mmまで0.1mm刻 みで変数とし,コイルに流す電流値を 100〜

500mA まで 100mA 刻みで変数として解析をお

こなった.

・  解析条件 

Ni-Fe膜      透磁率1500  軟鉄      透磁率2000 Co系アモルファス  透磁率8000 パーメンジュール    透磁率2000 Step

Magnetic thin film Substrate Scan direction

Ni-Fe

Magnetic circuit Coil 0.8mm

Fig. E-1 Analytical model of attraction Ni-Fe

Coil

Magnetic circuit 0.8mm

(a) Iron core

(b) Gapped core with Co amorphous

(26)

23 0

1 2 3 4 5

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Gap (mm)

Attraction (mN)

100mA 200mA 300mA 400mA 500mA

(a) Iron core

0 2 4 6

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Gap (mm)

Attraction (mN)

100mA 200mA 300mA 400mA 500mA

  (b) Gapped core with Co amorphous

Fig. E-2 Analytical result of attraction 解析結果をFig.E-2に示す.

F  形態係数が 1 の場合の放射伝熱量の計算  無限の大きさの平行な2平面の一方の面の温 度がT1,他の面の温度がT2でT1 >T2とする.

今,両平面が平行で,各面から出た放射エネルギ ーは全部他の面に伝わる程度に接近している場 合を考える.このような場合,形態係数F1,2 およ びF2,1の値はともに1である.平行2平面がとも に黒体でないとき,Fig.F-1において,面1,2か らの放射能をそれぞれE1 ,E2,反射率をε1 , ε2とする.今,面1の単位面積から単位時間に 放射される放射エネルギーE1 は面2 に達すると,

面2の吸収率はε2であるから,ε2E1だけが面2 に吸収され,残りの(1−ε2)E1は吸収される.こ

E1

(1−ε2)E1

(1−ε1)(1−ε2)^2 E1 (1−ε1)(1−ε2)E1

(1−ε1)^2(1−ε2)^2 E1

1 2

ε1(1−ε2)E1 ε2E1

ε2(1−ε1)(1−ε2)E1

ε1(1−ε1)(1−ε2)^2 E1

ε2(1−ε1)^2(1−ε2)^2 E1 吸収率a1

放射率ε1

吸収率a2 放射率ε2

Fig. F-1 Heat emission

の反射された放射エネルギー(1−ε2)E1は,面1 に達すると,面 1 の吸収率はε1であるから,ε

1(1−ε2)E1だけが吸収され,残りの(1−ε1)(1−

ε2)E1は反射される.

  このような操作が順次繰り返されるから,

Fig.F-1 に示すようにして,面1の単位面積から

単位時間に放射したエネルギー,すなわち放射能 E1のうち面2が吸収した放射エネルギーQ2

1 2 2 2 1 2

1 2 1

2 1 2 2

) 1 ( ) 1 (

) 1 )(

1 (

E E E

Q

(F.1)

この値は,次のようになる

) 1 )(

1 (

1

1 2

1

Gambar

Fig. 1-1 Magnetic bearing
Fig. 2-1    Concept of magnetic levitation 
Fig. 2-2 Ring-gap type magnetic circuit
Fig. 2-5 Lines of magnetic flux   
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Referensi

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