第3学年○組 社会科学習指導案
指導者 A・Y
1 研究主題 観察・調査・資料収集を通して自らの課題解決に必要な調べ学習を行 い,自分なりに表現する力を育てる。
~子ども一人一人が具体的な活動を通して、社会的事象の意味や働きを考える社会科学習~
2 単元名 くらしをまもる ―火事がおきたら―
3 単元について
(1) 教材観
本単元では,以下の学習指導要領の目標と内容を受けて設定したものである。
目標(1)地域の産業や消費生活の様子,人々の健康な生活や良好な生活環境及び安全を守る ための諸活動について理解できるようにし,地域社会の一員としての自覚をもつ ようにする。
内容(4)地域社会における災害及び事故の防止について,次のことを見学,調査したり資料 を活用したりして調べ,人々の安全を守るための関係機関の働きとそこに従事し ている人々や地域の人々の工夫や努力を考えるようにする。
ここでは,災害の中でも火災を取り上げる。消防署を中心とし,警察署,病院などがそ れぞれの施設の整備や点検,訓練,広報活動などに取り組み,火災の予防や発生時に対す る備えをしていること,及び火災発生の緊急事態において関係諸機関が相互に連絡を取り 合い,消火や救助にあたるなど一刻を争って事態の対処をしていることを学習する。
災害や事故において人々の安全を守るために,関係機関が連携し,工夫や努力している ことを学習する。児童は,テレビのニュースなどで災害や事件を目にすることはあるが,
実際に消防署の人が働いている様子を目にしたことはほとんどない。普段どんな仕事をし ているか,どんな工夫をしているかなど,今まで知らなかったことを消防署の見学をする ことで初めて知る驚きや喜び,感動が得られると考える。また,そこで働いている人にイ ンタビューすることで,地域の安全を守るための関係機関の働きと,そこに従事している 人の工夫や努力について理解を深めることができると考える。
このような学習から,地域社会における災害から人々の暮らしを守るための仕事やその 仕組みについて理解し,それらの機関が互いに連絡をとって,緊急事態に対処する体制を とっていることを理解することができると考える。また,消防署や警察署が児童にとって 自分たちの日常生活を支える身近で重要な存在であることに気づき,さらに自分たちの住 む地域に対する理解をいっそう深めることができるであろうと考える。
(2) 児童観 調査実施日 平成22年9月28日(男子○名,女子○名,計○名)
設問 回答 人数
1 火事を知らせるときはどこに(何 番に)連絡しますか。
119番 わからない 110番
19 10 1 2 火事の連絡を受けた後,他にどん
なところに連絡がいきますか。
【複数回答】
警察署 病院 わからない 連絡しない 交番 市役所
10 7 6 3 2 2 3 消防署の人たちはどんな仕事をし
ているでしょう。
【複数回答】
火を消す
怪我した人を助ける 見回り
わからない 火災時の電話対応
26 2 1 1 1 4 火事は何が原因でおこりますか。
【複数回答】
火のつけっぱなし 火遊び
タバコ
ガスのつけっぱなし 花火
コンセントのタコ足づけ コンロ
ライター
20 3 3 4 1 1 1 1 5 写真の物を見たことがありますか
① 消火栓表示
② 防火水槽表示
ある
学校,公園の近く,道路,
マンションの近く,駐車場,
ない
ある
道路,マンションの近く,
家の前 ない
26
4 13
17
③ 消火器
④ 火災報知機
ある
学校,マンション,スーパー,
幼稚園,コンビニ,家 ない
ある
学校,マンション,デパート,
複合センター,病院 ない
28
2 22
8
6 事件や事故を知らせるときは,ど こに連絡がいきますか。
110番 わからない
110番・119番 990番
14 12 2 2 7 実際に家の人が消防署に電話した
り,行ったりしたことがあります か。それはどんなときですか。
ない 30
8 親せきの人で消防署に勤めている 人はいますか。
いない いる
27 3 9 消防署の仕事をどんな方法で調べ
たいですか。【複数回答】
インターネット 見学に行く 本
ビデオ
13 8 9 1
【考察】
事故や火災などの緊急時の連絡先を110番・119番と答えられない児童が○名中
○人もいたことは,意外と知らない児童が多いことがわかる。身近な場所に交番や消防署 があるが,実際に家族が何らかの理由で関わったという回答は一人もおらず,日常の家庭 での会話の中でも「110番や119番」といった緊急時のことについてのやりとりが行わ れていないように思われる。
消防署の人たちがどんな仕事をしているかということについては,「火を消す」という書 き方をした児童が半数程度おり,代表的なイメージとしてとらえている。それ以外に防災,
訓練などに気づいている児童もほんの少数だがいる。他機関との連携については,「連絡し ない」や「わからない」といった回答も多く見られた。
防災や消火・安全のための施設や設備については,防火水槽表示以外はほとんどの児童 が見たことがあると答えている中で,どんな場所にあるかと聞かれると忘れてしまったと いう児童がいる。目にはしているが,どんな場所にあるのかまでは意識がいっていないよ
うに思われる。
(3) 指導観
児童は,消防署員は「火を消す」というようにとらえている。安全な暮らしを守るための 職業であることはわかっているが,自分たちとの関わりとしては漠然としている。本単元 の学習を通して,消防署がもっと自分の生活に密着したものとして感じられるようにかわ ればよいと思う。もしも火事になったのが自分の家だとしたら,という想像力を働かせ,「早 く消してほしい。」「家族を助けてほしい。」「命を救ってほしい」という切実な気持ちに少し でも近づき,消防署の人たちの存在が重大なことに気づかせたい。
消防署の見学は,消防自動車などの緊急車輌の仕組みや種類をしっかりと見ることので きるよい機会である。児童は,想像もしなかったたくさんの発見をすることであろう。そ のあらゆる所に一刻も早く消火活動をするための工夫があることにも気づかせたい。そし て,消防署の人たちは,活動の一つ一つに人々の安全を守るという願いを込め,使命感を もって行動していることをとらえさせたい。
消防設備の種類や設置場所の調査では,自分たちの生活を守るために計画的に設備され ていること,消防署の人たちたけではなく,自分を含む地域の人みんなで使う物であるこ とを気づかせたい。多くの人々の安全への願いを実現させるためにたくさんの人の努力や 工夫があること,いろいろな機関が連携し合って安全な暮らしを守っていることを理解さ せ,自分もその地域の一員であることがわかり,努力していこうとする自覚が持てるよう にしたい。
4 研究主題に関わる手立て
導入の段階では,資料をもとに話し合いをすることで児童の考えを引き出していきたい。
また,普段から発表することが苦手な児童が多いため,なるべく様々な意見を取り上げら れるよう教師側でも発問に気をつけたい。主に,消防署についての学習をするにあたって,
図書室を活用して調べたり,直接消防署に行き見学したりなどすることで児童の理解を深 め,そこでわかったことを絵や図にまとめて児童なりの発表方法を見つけさせ,社会科学 習だけではなく他の教科へもつなげていきたい。
5 単元の目標
○消防署で働く人について意欲的に調べようとするとともに,火事の備えた施設・設備に 関心を持ち,進んで調べようとする。 【関心・意欲・態度】
○火事からくらしを守る仕事の緊急性や重要性,関係諸機関の連携の必要性を考えること ができる。 【思考・判断】
○消防署の様子やまちの消防施設を調査・観察し,その結果を絵や表,地図などでわかり やすく表現することができる。 【技能・理解】
○火事からくらしを守る仕事や関係諸機関の連携,地域の火事に備えた施設設備の働きと 大切さがわかる。 【知識・理解】
6 指導計画(8時間扱い)
学習過程 時配 学習活動と内容 評価規準(評価の観点) つかむ
(本時1/8) 予想
1 ○写真資料から,火災現場での 消化活動の様子や周りの様 子について,気づいたことや 疑問を出し合う。
○自分たちから出た疑問をも とに,学習問題をつくる。
○予想をする。
・すぐに駆けつける訓練をして いるだろう。
・消防自動車などの点検をして いるだろう。
◇資料をもとに話し合い,安全な 暮らしを守るための仕組みや 人々の働きについて関心をも つ。
(関心・意欲・態度)
◇学習課題を明確にすることが できる。(思考・判断)
◇今までに見たり,聞いたりした ことをもとに予想を立てるこ とができる。(思考・判断)
計画 1 ○調べる計画を立てる。
・火事が起きたときにはどのよ うに仕事をしているのだろ うか。
・火災を起こさないためにはど のような工夫をしているの だろうか。
◇予想をもとに消防署の仕事に ついて調べる計画を立てるこ とができる。(関心・意欲・態度)
調べる 4 ○調べ活動をする。
・図書館資料や写真等自分で考 えた方法で調べる。
調べ活動①
・消防署の見学をする。
調べ活動②
◇調べたことを自分の言葉で表 現し,絵や図などを使ってわか りやすくまとめることができ る。
(技能・表現) 消防署の人たちは,人々の安
全を守るためにどんな仕事や 工夫をしているのだろうか。
火事が起きたと きの仕事につい て調べよう。
火事を防ぐため の工夫をしらべ よう。
・学校周辺の防災のための設備 を調べる。
・防災のための消防署の働きを 調べる。
確かめる 1 ○調べた内容を発表し合う。
・火災発生時の仕事や防火のた めの工夫について発表し合 い,質疑応答をする。
◇防火や消火活動のための努力 や工夫,関係機関との連絡体制に ついて考え,理解することができ る。(知識・理解)
まとめる 1 ○学習問題を振り返り,まとめ をする。
○単元の感想を書く。
7 本時の指導(1/8)
(1) 目標
○火災が発生したときついて,資料をもとに話し合い,安全な暮らしを守るための仕組み や人々の働きについて関心をもち学習課題を明確にすることができる。(関心・意欲・態度)
(2) 展開
時配 学習活動と内容 指導上の留意点◇評価 資料 5
10
1.「火事だ!」という場面か らどんなことを考えるか 話し合う。
・早く消防車に来てほしい。
・すぐに火を消してほしい。
・中にいる人を助けてほしい。
2.消防車の活動について考 える。
・119番通報で出動する。
・5分くらいで駆けつける。
・たくさんの水を使って火を 消す。
◇もしも自分の家で火災 が起きたらという観点か ら緊急時について考える ことができる。
◇自分の知識や現場写真 の様子などから,消防 署の仕事について考え ることができる
◇火災現場の写真を掲示 し,その様子から活動 の 様 子 を と ら え さ せ る。
・火事のイラスト
・火災現場の写真 消防署で働く人たちは,早く
火を消すためにいつも訓練し ている。火事がおきないよう に工夫や努力をしている。
10
7
10
3
3.消防署の仕事についての 疑問をノートに書き,発 表する。
・どうして5分くらいで駆け つけることができるのか。
・西白井消防署には何台の消 防車があるのか。
・消防車が足りなくなったら どうするのか。
4. 学習問題をつくる。
5.予想をする。
・早く出動する練習(訓練)を しているだろう。
・消防車が足りなくなったら 近くの消防署に応援を頼む と思う。
7.振り返りをする。
◇自分が感じた疑問を書 くことができる。
○どんなことでも自分が 疑問に思ったことを自 由に書くように助言す る。
○火災発生時に限らず,
消防署の人の活動に関 する疑問を書くように する。
◇消火活動の様子や,日 頃目にしていることな どから予想を立てるこ とができる。
◇今日の授業についての 振り返りをすることが できる。