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血管が減少することによる皮膚硬化が表皮幹細胞老化を誘導する

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Glycative Stress Research

Online edition : ISSN 2188-3610 Print edition : ISSN 2188-3602 Received : July 26, 2022 Accepted : August 14, 2022 Published online : September 30, 2022 doi:10.24659/gsr.9.3_126

Glycative Stress Research 2022; 9 (3): 126-128 本論文を引用する際はこちらを引用してください。

(c) Society for Glycative Stress Research

Review article

Ryo Ichijo

Department of Biosystems Science, Institute for Frontier Life and Medical Science, Kyoto University, Kyoto, Japan

Glycative Stress Research 2022; 9 (3): 126-128 (c) Society for Glycative Stress Research

Skin stiffness due to decreased blood vessels induces epidermal stem cell senescence

(総説論文:日本語翻訳版)

血管が減少することによる皮膚硬化が表皮幹細胞老化を誘導する

一條 遼

京都大学医生物学研究所生命システム研究部門組織恒常性システム分野

連絡先: 一條 遼 京都大学医生物学研究所

生命システム研究部門組織恒常性システム分野  TEL:075-751-4040 FAX:075-771-5699 e-mail:[email protected]

抄録

皮膚上皮の大部分を占める角化細胞(ケラチノサイト)は、表皮幹細胞から分化し、基底膜から上層に移行す るにつれて、分化が進み、最後は垢となって剥がれる。表皮幹細胞は皮膚の新陳代謝を担い、創傷治癒や生 理的な変化に対して柔軟に変化する。しかし、表皮幹細胞老化に影響する因子については未解明のままであ る。本研究では、皮膚真皮の“かたさ”を認識して活性化するメカノイオンチャネルPiezo1に着目し、機械的 環境が 表皮幹細胞の老化を誘導する機序を明らかにした。加齢に伴い真皮の線維芽細胞からPtx3の発現が 上昇し、それが血管減少と真皮の硬化を誘導し、Piezo1を介したカルシウムの長期流入による表皮幹細胞の 加齢変容を誘発するという新たな皮膚老化機構が明らかとなった。本所見は新しい作用機序「Ptx3制御」を 有する新規機能性成分の開発に役立つ可能性がある。

KEY WORDS:

表皮幹細胞、皮膚老化、真皮硬化、血管の減少、Ptx3、Piezo1

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Fig. 1. Schematic of the mechanism of age-associated IFESC dysregulation.

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Glycative Stress Research

はじめに

皮膚は表皮、真皮、皮下組織から形成される。表皮は分 化段階の異なる複数の細胞層から構成されており、上層か ら角質層、顆粒層、有棘層、基底層となる。基底層に存在 する基底細胞は、基底膜に結合することによって表皮幹細 胞としての機能を維持している。表皮幹細胞は恒常的に増 殖するとともに分化し、基底膜から剥がれて上層に移行す ることによって段階的に分化が進み、最後は垢となって剥 がれるという一連の新陳代謝を繰り返す。表皮幹細胞は創 傷治癒や生理的な変化に対して柔軟に反応し、増殖能を一 時的に増加させることが可能である1-3)

表皮幹細胞は加齢によって機能が低下し、基底膜との接 着が 弱くなり、細胞分裂の方向性も異常になることが知 られている4, 5)。この表皮幹細胞の加齢変容は、酸化ストレ スなどによって生じるDNA損傷など細胞内部の変化が要 因であることが報告されている6)。しかし、表皮幹細胞を 取りまく周囲の環境の加齢変化やそれが表皮幹細胞に及 ぼす影響については未解明であった。

本研究では、表皮を裏打ちする真皮の“かたさ”に着目 することで、表皮幹細胞の機械的環境の加齢変容が、表皮 幹細胞老化を誘導するメカニズムを明らかにした7)。 若齢皮膚と高齢皮膚の違い

若齢、高齢マウス足底部表皮の違いに着目し、両者の違 いについて検討したところ、高齢マウスの表皮幹細胞では、

基底膜との接着を支えるヘミデスモソームの減弱化、基底 膜に対する縦分裂の増加、分化マーカーの異所性発現と いった加齢変容が確認された。この加齢変容の原因を同定 するため、表皮幹細胞の遺伝子発現を若齢マウスと高齢マ ウスで比較したところ、高齢マウスで発現が上昇していた 遺伝子群には、カルシウムシグナルに関する遺伝子が有意 に濃 縮していた。カルシウムはケラチノサイトの分化や ヘミデスモソームの乖離を誘導することが培養細胞を用い た研究で報告されている8)

そこで、生体マウスの足底部表皮幹細胞のカルシウムイ メージングを実施したところ、高齢マウスでは若齢マウス に比べて、20秒以上の長期にわたるカルシウムパルスが頻 発していることを見出した。この原因として、細胞にかか る力学変化を感知して活性化するイオンチャネルが関わっ ているのではないかと考え、組織の「かたさ」が変化して いる可能性について検討したところ、高齢マウスでは若齢 マウスよりも真皮が 硬くなっていることが 明らかとなった。

次に、基質の「かたさ」を認識して活性化 するメカノイ オンチャネルであるPiezo1に着目した8)Piezo1を表皮特 異的にノックアウトしたところ、加齢で誘発される長期カ ルシウムパルスが 抑制されるとともに、表皮幹細胞の加齢 変容も抑制されていた。従って、加齢による真皮の硬化が 表皮基底細胞でのPiezo1の持続的活性化を誘導し、カルシ

ウムが持続的に流入することによって、表皮幹細胞の加齢 変容が誘発されることが分かった。

加齢に伴う皮膚真皮への影響

加齢による真皮硬化の原因の解明を試みた。我々はこれ まで、表皮幹細胞の増殖には血管が重要であることを同定 していた9)。そこで、加齢マウスの真皮に存在する血管を 調べたところ、加齢マウスの真皮の血管が減少しており、

遺伝子改変マウスを用いて人為的に血管を増加させると、

加齢に伴う真皮の硬化が抑制され、表皮幹細胞の加齢変容 も抑制されることが分かった。逆に、若齢マウスにおいて 遺伝子改変により血管を減少させたところ、真皮の硬化と 表皮基底細胞の加齢変容の表現型が誘導された。

次に、加齢に伴う血管減少の原因の同定を試みた。若齢、

高齢マウスの皮膚真皮について1細胞解析技術(single cell

RNA sequence)を行った結果、高齢マウスでは血管新生阻

害作用を持つ分泌因子であるPentraxin 3Ptx3)を高発現す る線維芽細胞の割合が増加していることを見出した10)。ま た、Ptx3ノックアウトマウスでは、加齢による血管減少が 抑制され、真皮の硬化が改善され、表皮幹細胞の加齢変容 も緩和されていた。さらに、ヒトの皮膚サンプルを用いて解 析したところ、高齢者の皮膚では若齢者の皮膚よりもPtx3 が真皮に多く蓄積していることが分かった。

結論

血管の減少と真皮の硬化

以上の結果から、加齢に伴い真皮に存在する線維芽細胞 からPtx3の発現が上昇し、それが血管の減少と真皮の硬 化を誘導し、Piezo1を介したカルシウムの長期流入による 表皮幹細胞の加齢変容を誘発するという新たな皮膚老化機 構が明らかとなった(Fig. 1)。本所見は、Ptx3制御といっ た新しい作用機序を持つ薬剤や化粧品の開発に役立つ可 能性がある。

Fig. 1. Schematic of the mechanism of age-associated IFESC dysregulation.

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血管減少による皮膚硬化と表皮幹細胞老化

利益相反申告

著者らは、本研究に関して申告すべき利益相反はない。

謝辞

本研究は、日本学術振興会科研費番号21K16209の支 援を受けて実施した。

参考文献

1) Hsu YC, Li L, Fuch E. Emerging interactions between skin stem cells and their niches. Nat Med. 2014; 20: 847- 2) Aragona M, Dekoninck S, Rulands S, et al. Defining stem 856.

cell dynamics and migration during wound healing in mouse skin epidermis. Nat Commun. 2017; 8: 14684.

3) Ichijo R, Kobayashi H, Yoneda S, et al. Tbx3-dependent amplifying stem cell progeny drives interfollicular epidermal expansion during pregnancy and regeneration.

Nat Commun. 2017; 8: 508.

4) Watanabe M, Natsuga K, Nishie W, et al. Type XVII collagen coordinates proliferation in the interfollicular epidermis. Elife. 2017; 6: e26635.

5) Liu N, Matsumura H, Kato T, et al. Stem cell competition orchestrates skin homeostasis and ageing. Nature. 2019;

568(7752): 344-350.

6) Behrens A, van Deursen JM, Rudolph KL, et al. Impact of genomic damage and ageing on stem cell function. Nat Cell Biol. 2014; 16: 201-207.

7) Ichijo R, Maki K, Kabata M, et al. Vasculature atrophy causes a stiffened microenvironment that augments epidermal stem cell differentiation in aged skin. Nat Aging.

2022; 2: 592-600.

8) Bikle DD, Xie Z, Tu CL. Calcium regulation of keratinocyte differentiation. Expert Rev Endocrinol Metab.

2012; 7: 461-472.

9) Ichijo R, Kabata M, Kidoya H, et al. Vasculature-driven stem cell population coordinates tissue scaling in dynamic organs. Sci Adv. 2021; 7: eabd2575.

10) Rusnati M, Camozzi M, Moroni E, et al. Selective recognition of fibroblast growth factor-2 by the long pentraxin PTX3 inhibits angiogenesis. Blood. 2014; 104:

92-99.

Referensi

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