• Tidak ada hasil yang ditemukan

高校家庭科における予防的・開発的援助の試み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "高校家庭科における予防的・開発的援助の試み"

Copied!
8
0
0

Teks penuh

(1)

高校家庭科における予防的・開発的援勧の試み

高校家庭科における予防的・開発的援助の試み

西勝 ようこ寧a 青 本 真 理穂

 本譲文では,青年難にある高校亙年生に対する家庭科教育による「生きる力感の育成をめざす串 での,教育臨床の視点に立った予防的・開発的援跡について検討した。家庭科は人聞が生きること,

生活すること,自分自身の人生など「生きること」について総合かつ直接学ぶ教科であ辱,i年間 にわた琴経験釣・体験的に学習させることで,生徒自身の生活に目を海けさせ,生活の問題点や改 善点に気づかせて,生活者としての意識にはたらきかけることができた。また,謬3月の私へ董は自 分らしさとしてのアイデンティティ確立に関する自己理解を促すなど,家庭科における予防的・灘 発的援勘としての効果が示唆された。

〔キーワード) 予防的・雛発的援助  家庭科教育  高校  教育甕珠

玉 はじめに

 筆者(西勝)は高校で家庭科教緬として勤務し,家 庭科教育を通して青年期の自立と自律に重点を置いた 予防的・開発的援助を続けてきたが,近年,生徒の対 人関係スキルが低下し.今の生活に疑問や不安,悩み を抱えることなく,楽しければいいと羅常を送ってい る無気力・無関心,怠学傾向の生徒,授業の妨害・エ スケープなどの行動化を示す生徒が増え.憾みや不安,

辛さなどを抱えたり,自己選択や決定する問題解決ス キルや内省力,そして身体的・精神的バランスをコン トβ一ルするなどの「生きるカ」i〉の低下を強く感じ るようになった。

 そこで,「生きる力」を育成するためには,自分自 身を知ることが重要と考え,家庭科の授業を通して自 分自身と向き合う機会を設けたり,生活に密着した露 常の鐵来事などから生徒に問いかけ,自分で考えて自 分の意見を持てるよう,生活者としての自覚に働きか けてきた。さらに生徒の縄今 に焦点を当て,家庭科の 単元である「人の一生と家族・福被」において青年期 の発達課題である(精神的,生活的,経済的,性的)

自立の準備と,自分らしさとしてのアイデンティティ の確立を促すなど,教育臨床の視点での予防的・麗発 的援助を実践してきた。

 本論文では,筆者の行った家庭科の授業全般と,そ の中で実施した鉛丹の私へ妻というプログラムにつ いての意識調査を行い,家庭科教育が有する予防的・

開発的援助の機能とその有用性を検討することを目的

とする。

豆 家庭科教育の誕生,変遷2〉3〉4〉

 家庭科は,新憲法と新民法の理念に基づき,新学綱 の発足によって「女子罵教科ではない」「家事科・裁 縫科の合科ではない重「技能教科ではない」という三 否定の原則のもとで誕生した教科である。しかし小学 校では一部で男女別学教材が含まれ,中学校では大多

数の女子は職業科のうちの家庭を選択するとみなさ れ,高校の家庭科も女子が学ぶことを前提として作ら れていた。以下は,高等学校における家庭科に焦点を 当て述べる。

 i鱗7(昭和22〉年の学習指導要領家庭科編(試案)

のrはじめのことば」の中で,家庭科の目標を「家庭 建設」とし,i鱗8(昭和23〉年婆月発足の新翻高等学 校において,家庭科は「実業」の一つの選択教科とし て設けられ,家事経済,家庭看護,食物,被服,育 児の5分野を内容として示した。以後,改訂を経て,

欝7G(昭和45)年の高等学校学習指導要領家庭の改訂 ではギ家庭一般は全ての女子に履修させるものとし,

尋単位を下らないようにすること涯が示され,完全な 女子必修化となった。

 ig簿(昭和40年代後半)年代になると.欝本内外か ら男女共修・共学が求められるようになり,欝78(昭 和53〉年,高等学校学習指導要領総則および家庭科の 改訂が行われ,窪単位女子必修,男子選択が示された。

 欝79(昭和54〉年,国連第34回総会で,ゼ女子差購 撤廃条約」が採択され,条約の教育に関する内容とし て,「男女共学」の奨励も盛り込まれた。欝84(昭和 59)年,文部省は,「家庭科教育に関する検討会議」

を発足し,翌年,ゼ男女雇用機会均等法」が成立し,「女 子差別撤廃条約」が撹准された。教育課程審議会は撹 准との関連で,高等学校家庭科の男女共学を原則とし,

女子のみの必修の廃止を決定した。欝86(昭和僕〉年 の臨時教課審の答申で,「家庭の教育力の曝復を図る ために,家庭生活の意義や家族関係の重要性を理解さ せ,将来,よき家庭人となるための心,知識,技術を 習得させることが必要である]と指摘され,男女共修 運動がさらに進み,欝89(平成元)年,高等学校学習 指導要領総則および家庭の改定で,家庭科を普通教育 とし,「家庭一般」「生活技術」「生活一般」をおき,i 科目男女必修となった。

 欝98(平成io)年,教育課程審議会は完全学校遇5

*a:資本大学東北高等学校  *b:福島大学総合教育醗究センター教育相談部門

(2)

28 福島大学総合教育醗究センター紀要第3号

日麟の下,豊かな人聞牲や自ら学び自ら考えるカなど の「生きる力」の育成を学校教育の基本として掲げ,

家庭科については現代的課題への対応を学習内容とす るよう答申され,小学校家庭科及び中学校技術・家庭 科との一貫性を重視して改訂された。本改訂で普通教 育としての家庭科の目標を明確にし.「生きる力」の 育成をはじめ,男女共懸参爾社会の推進や少子高齢化 等への適切な対応,家族や生活の営みを人の一生との 関わりの申で総合的にとらえ,男女が協力して家庭や 地域の生活を創造する能力と態度の育成,家庭生活を 営むために必要な衣食住や消費生活などに関する知 識・技術を総合的に身に付けさせるという視点で目標 の改善が図られた。高等学校学習指導要領家庭科編で は「人間の健全な発達と生活の営みを総合的にとらえ,

家族・家庭の意義,家族・家庭と社会とのかかわりに ついて理解させるとともに,生活に必要な知識と技術 を習得させ,男女が協力して家庭や地域の生活を翻造 する能力と実践的な態度を育てる」とし,男女の協力 が初めて目標に掲げられた。高等学校の家庭科は,2 単位の「家庭基礎j,4単位の「家庭総合」と「生活技術」

が設けられ,3科目の重点のおき方は異なるが,家族・

家庭についての理解と 共に生きる蝉生活観の育成,家 庭生活事象の根底にある原理・原則についての科学的 理解,蓬解したことを実際の生活の場で実践するため の技術の習得,生活の総合的認識に基づく意思決定能 力,課題を解決する問題解決能力などの育成,家庭生 活や地域の生活を翻造できる能力と実践的態度の育成 を目指す目標と内容は共通している。玲99(平成ii)

年,高等学校学習指導要領総則および家庭科の改訂で 生徒の能力・適性,興味・関心等に応じて3科目の中か らi科目を選択して履修できるようにされ,2003(平 成婚〉年4月i8から適矯されている。

灘 家庭科教育が行う予防的・開発的援助 藩〉予防的・開発的援助

 家庭科は人聞が生きること,生活すること,自分自 身の人生など「生きること涯について総合かつ直接学 ぶ教科であり,申問5〉は家庭科教育において育成する のは生活問題解決スキル(自己管理スキル・人閥関係 スキル・対物関係スキル・意思決定スキル〉と述べ,

これは学校教育の基本方針「生きる力量の育成の中核 である主体的に問題解決する自己学習力,つまむ問題 解決スキルの育成に当たると考えられる。筆者はまた,

これは石隈瞬のいう学校心理学における心理教育援助 サービスである予防的援助(多くの生徒が出会う問題 に対して,生徒自身が元々持っている取り緩みに対越 するスキルという自助資源を開発させること,その開 題を乗り越えながら成長・発達すること,生徒の成長・

発達を問題が妨害したり深刻な状況に追い込まないよ うにすることを欝指すもの〉・開発的援助(生徒が学

2§§7−7

校生活を通して,発達上の課題や教育上の課題に取り 緩む上で必要な対人関係スキル,学習スキル.問題対 処スキルなどの基礎的能力の麗発〉にも当たると考え,

家庭科の授業を通して教育臨床の視点で予防的・開発 的援助を実践してきた。

 筆者の勤務する丁高校は,平成6年度の男女共修開 始により郵生活一般選の実施が始まり,平成n年3月 29欝の全面的改訂を受け,平成焉年度より翻家庭基礎逓

(2単位〉を実施している。表圭はX年度の年間指導計 薩であ弩,「自分を見つめる学習涯は単元に沿って筆 者が「教育臨床ま的視点に立って考案した授業内容で

ある。

2〉自分を見つめる学習

 高校時代は身体的・精神的バランスの悪さとアイデ ンティティ確立という課題のため,壁にぶつかり葛藤 を抱えることが期待される時難であるが,今の生徒た ちは,欝常生活において,自分を見つめ振り返む,自 分自身の気持ちや考えを言語化する機会をもつことが 少ない。また,自己表現力も低下し,憾むカも育たず 精神的葛藤が生じていることに気づけないでいると筆 者は考えている。そこで家庭科の内容に沿わせて自分 を見つめる学習を行った。

 i)13月の私へ垂

 高月の私へ盤というプログラムは筆者が考案し平成 鍍年度から実施している。筆者の教員生活i年目(平 成6年度〉に比べ生徒の精神年齢や行動が大きく変化 したが,その最大の変化は内省力の低下でばないかと 感じている。侮も考えていない,今さえよければいい

と思っている生徒など,内省しない,できない生徒が 目立つようになった。そこで「今」の自分自身に敏感 になって自分自身に気づき(自己発見),自分を知る(自 己遅解),自分を受け入れる(自己受容)ことを願い,

総局の私へ璽を実施することにしたのである。

 高月の私へ遜は,近い未来の自分(3月の私〉宛に 書かせ.手紙を書く過程を自分探しの旅とし,通常年 間5通(逢月最初の授業,夏休み前最後の授業,夏休み 明け最初の授業,冬休み前最後の授業,冬休み瞬け最 初の授業)の手紙を通して自分を見つめさせるもので

ある。

 年間5園の実施と,手紙を預かって保管することを 決め,それは①簓目での振り返鯵をさせる,②5通ま

とめて読むことで自己理解を深めさせる,③紛失予防 をねらいとする。

 また,筆者は手紙を読まないと約束したことは,評 価に関係ないありのままの自分をさらけ畠させること

と,約束を守る大人のモデルという効果もねらっての ことである。

 謬3月の私へ璽は,高等学校学習指導要領家庭科編警 では,「家庭基礎」の「人の一生と家族・福祉一生涯 発達と家族」,本校が使思している「家庭基礎」8》の

(3)

高校家庭科における予紡的・醗発的援跡の試み

教科書では,「第i編自分らしく生きるjにおける,青 年期の課題である自立・自律やアイデンティティ(自 分らしさ)の確立に対応したものとして位置づけて実 施している。

3〉自分を見つめるプリント学習

 家庭科は高等学校学習指導要領家庭科編で欝分5以 上を実験実習とし,調査・醗究,観察・見学も含む実 践的・体験的な学習をすることが定められており,こ の特性を活かして自分を見つめるプリント学習を行っ た。「高校i年でかかる費矯調査までは学費を払う保護 者への感謝の気持ちを持たせることや学習への動機付 けを行う。「これまでの人生」では焉〜賂年の人生を 振り返らせ退去・現在そして未来という連続性に気づ かせ.自分自身を客観的に見つめさせる。「私が思う 結婚.家族・家庭」では現在の家族などを客観的に見 つめさせて将来設計につなげさせる。「生活時間調査

(家族も含む擁では家族の一員であるという自分の再 認識や,時間の有効活用を考えさせる。「一週間の食 事調査」では自分の食生活に対する意識を高めさせる。

「行事食調査までは,羅本の文化・伝統行事を学ばせ ると共に,自分の家の特務行事に気づかせるなどをね らいとして実践した。

w 調査

肇)アンケートの目的

 本アンケートは,X年度i年生に対する家庭科全般 と,筆者が考案して実施した欝月の私へ盤について の意識調査を目的として実施した。

2〉調査の対象

 筆者がX年度に教科担当したi年生6クラス2鶴名(男 子欝4名,女子85名〉

3〉実施・方法

 各クラス家庭科の最後の授業(X年度3月)に筆者 が実施し,睡収率は鎗○%であった。

4)アンケート内容

 i)家庭科の授業に関する内容:「家庭科の授業で役 にたったこと」「印象に残っていること」に関する項 目に複数掻答可でたずね,r役にたった点葺印象に残っ た点」についての自由記述を求めた。また.家庭科の 授業に関しての感想の自由記述を求めた。

 2)爵月の私へ聾に関するもの汀最初の授業で手紙 を書こうと言われたこと」,「手紙を筆者が預かったこ と」.「手紙を書いた醤数」について5件法でたずね,「自 分自身へ手紙を書くことがどんな体験として残ってい るか」と曜3月の私へ璽の感想」については,自由記 述を求めた。

表i.X年度年闘指導計画

等学期

2

3

単元 内容

第薩編自分らしく生きる

 葉.自分を見つめるZ生きるということ3.青年期を生きる 第3編生活をつくる2章衣生活を作るエプ縫ン製作 第2編入とかかわって生きる嘩章家族とかかわって生きる  嘩パートナーと鐵会う2家族ってなんだろう

 3、家族と法律塩生活を支える仕事と生活時閣 第2偏人とかかわって生きる

3章高齢者とかかわって生きる

 等.高齢社会に生きる私たちのくらし2歳を重ねるということ  3.ゆたかな高齢魏を逢えるしくみ

4章社会とかかわって生きる

 薩ささえあう暮らしとは2.地域で暮らす、みんなで暮らす 第2偏人とかかわって生きる2章生活をつくる

①食生活をつくる

 薩.私たちの食生活をみつめる2.栄養と食品のかかわ》

 3食品の選び方と安全鳳食生活をデザインする  ※講理実習2回

第2編人とかかわって生きる2章子どもとかかわって生きる  tみんなで育てる2.生命誕生3心身のゆたかな発達  鑑子どもの生活を知る5.すべての子どもがすこやかに 第2偏人とかかわって生きる2章生活をつくる

③建生活をつくる

 薩.人と住まいのかかわ琴 2挟通な住まいづ轡  3.健康的で安全な住まい覆境 4.住環境と地域環境  5よ馨よい住生活を窟鑓する

第2偏人とかかわって生きる2章生活をつくる

②衣生活をつくる

 葉.私たちの衣生活Z衣服は侮からできているのか  3よ》よい生活を創造する

霞分を見つめる学習 0欝欝の私へ塵鱗α1〉

む高校薩年時費罵調査

0自分を見つめるにれまでの人生・影響を受けた 人・モデル人物・自分らしさ・生活設計)

0私が患う結婚、家族・家庭、

0磯靉靆査(家族を含む)

罐3月の私へ曇轡。.2)

G船籍の私へ盤嬢O.3〉

G喋遼闘の食事調査 G行事食調査

。性の護青年潮の健康

・憧錆報、薬物、Sτ0  生命に対する責任

・桂における意思決定.望まない妊娠、新しい生  命への責任、パートナーヘの配慮、人工妊娠

 中絶

・喜びの性・悲しみの牲 0影月の私へ璽劔。.4〉

o爵薄の私へ璽(餐。.5〉

雛》VO鑑賞ギ生命誕生ま

母鉢の胎芽・胎晃、新生発の発達 0瀦月の私へ盤の返却

29

條ヤ 鰺時間 総時間

(4)

福轟大学総合教育醗究センター紀要第3馨

5)結果・考察

(i)家庭科全般アンケート結果

 〔〕は質問項目を,「達は生徒の感想を示す。教 科書の単元を質問項目として〔家庭科の授業で役に 立ったと思えるもの〕と〔具体的に役に立った点〕に ついての回答結果を表レ①に示す。表中の%は全生 徒申の侮%に当たるかを示す。食生活(調理実習含む〉

が一番多く.役に立った点として「やればできると思っ た」や「料理がおもしろいと思うようになった」など が答えられた。次に子どもと関って生きるが多く,「子 どもを産む・持つ責任を考えさせられた」や「命の大 切さを考えさせられた」と挙げている。その飽として 多く答えられたのは「家庭科全般が現在.これからの 生活に役立つと思う涯であった。

  表嘩一①.役に立ったと患えるもの・役に立った点(複数園答〉

項 欝 自 浅 記 違

自分に

ツいて

5

濤分らしく生きようと思った・自分らしさを考えるように

ネった壱分のことを改めて考えることができた

家縷の大燐さを考えた

高齢蒼 高齢者との縫わ琴、接し方を知bた 社会関 2

擦父母の気持ちが少し分かるようになった

ミシンが使えるようになった・蒙で作るようになった

3 服麟麟鰍こ逡みたいので

朝食、夕食と趨分で作るようになった・自分でもやれ ばできると思った・食事の時バランスを考えながら食

べるようになった・栄養素、講蓮などの知識を得られ た・食生活を見直すようになった

2 快適な生活空聞について学べた

子どもを産む、もつ養儀を考えさせられた・保霧縫係 子ども

p

に進みたいと愚っているので・子どもの行動などを少 オは理解できるようになった・命の大切さを考えさせ られた

響3湾の рヨ遍

7

窪分と海き合え、自分を見直し考えた・葭分の変化に C付けた・自分らしく生きていける気がした

3倉

金離が現在、これからの生活で役に立つと患

麦生の人生談は自分の視点とは違ったので、

その弛 3輩 新しい発見がたくさんだった・生活していく上でのいろんな知識を得られた・今後の生活に役

立つ・生きる意味がわかったような気がする 人聞としての生き方を学べた

 〔家庭科の授業で印象に残っているもの〕と〔印象 に残った点〕についての蟹答結果を表ト②に示す。

半数以上の生徒が調理実習と答え,「みんなで協力し て楽しく作れたから」が印象に残っている理由として 一番多く述べられた。次いで性の話と答え,「性の話

鰍)7−7

によって正しい知識を得られたから雌と理由を述べて

いる。

 〔家庭科の授業に関しての感想)についての結果を 表レ③に示す。約4蓄の生徒が「現在・将来に向けて いろいろ学べた楽しい授業だった」と答え,約3割の 生徒が「先生(筆者〉の授業を受けられて良かった」

と答え,特に筆者の「実体験や人生観といった話が聞 けたことを良かった」という意見であった.その飽と して約i割の生徒からやや否定的なことも述べられた。

 表嗜一②醸象に残っているもの・離家に残っている熱複数轡答〉

項緯 霞  由  認  達

みんなで協力して楽しく作った・露分たちで作った料

57 理びおいしかった・失敗した・家で料理をしたいと患っ 実習

たから

翻実習ミシンが使えた・エプ嚢ンを作るのに苦労した・糊乍》

ェ楽しかった

栄養素 含まれる栄養について知れた

婬嬢、生命に慰する責任を考えさせられた趨分を大 性の話 燐にしょうと強く思えた・正しい知識を得られた・性に

ついて考えて行動しなくてはならないと患った 懲分の気持ちがきちんと表れていて、自分の心の成 窪3月の

長を深く知ることができた・自分の成長、変化に気付 私へ璽

けた・あま》やらないことなのでおもしろかった 生きていく上で必要な知識に絶鰐なったと思う・一人 暮らしのテクニック・先生の話・今、灘系ないと思うの その糖 6

ではなく、大人になっていくには大燐なことだと実感し たから

表ト③.家庭秘の授業に関する感態(%、懲密記述〉

自 由 認 述

 ㊧サ在・将来に晦けて、いろいろ学べた楽しい授業だった 37 先生の授業を受けられてよかった僕体験や人生観を交えた慧が Jけた高校家庭科は好きになった〉

講蓬実習をもっとや馨たかった、葵響が嚢かった § 自分を見つめた辱、人生を考えさせられた(欝病の私へ曇を含む〉 § 家庭科の大塚さを鰻つた 2・3年生になっても授業を受けたい 5

分か》やすい授業だった 2

その弛

テストがムズイ・授業とはいえあま夢裏藏譲こや修すぎる フは一権年闘のお欝謡にな琴ました・進度が皐かった v点をまとめるのが難しい・交実した授業だった・2時闘 A続は峯かった・つまんない・先生の真っ直ぐさを続けて

「ってください・もうちホつと楽1こ授業を受1ナたかった

§

(2)家庭科全般アンケートの考察

 家庭科全般と蓼3月の私へ過についてのアンケート は.i年生時の家庭基礎最後の授業の中で実施したが,

授業の終盤に手紙を返隷し暗闘の都合上,最低i通を 読ませ,慌しくアンケートに回答してもらったため,

(5)

高校家庭科における予防的・騰発的援跡の試み 3豊

自由記述で無羅答が目立った。無回答は,ただ書きた くないという意思表示とも考えられるが,時間的余裕 のある中で手紙を読ませアンケートの醗答を求めたな ら,無回答はもう少し減少したとも考えられる。

 〔役に立ったと思えるもの〕で多くの生徒が「食生 活」と答えたのには,食生活の内容が日常生活におい てより身近で,活婿できるものであるためだろう。食 生活の内容は栄養素の働きや食品の種類,調理実習な どであるが,料理は女性がするものなどの性鍵役割分 業意識や,男女とも8常生活で料理をする機会に恵ま れない生徒が多い申,調理実習の体験が「料理もやれ ばできると思った」や「料理がおもしろいと思うよう になった」と意識の変化を起こさせたと思われる。ま た,自分自身の食生活を見直させることを目的として 巨週間の食事調査(朝食・昼食・夕食・間食(飲料も 含む)のメニュー記入と主食・主菜・離菜の記入,時 間,誰と食べたか,気付いたこと,改善点)]を実施 して,バランスのとれた食生活を心がけるよう話して きたことで.「バランスを考えて食べるようになった」

やゼ食生活を見直すようになった」などの答えが述べ られた。このことは撮む返ることで自分自身の食生活 に対する意識を持たせる授業であったことが示唆され る。次いで「子どもと関わって生きる」が挙げられた。

この単元はi2月末からi月にかけて学習したが,年聞 通して行っている性教育の一貫でもあった。母体・胎 児の妊娠経過の模型や新生児の人形を使い,親になる ことや生命の尊さや責任について通常の聴覚だけの授 業ではなく,視覚的にも訴えたことで,「子どもを産む・

持つ責任を考えさせられた」や「命の大切さを考えさ せられたまと述べられたと思われる。その飽として「家 庭科全般が現在,これからの生活に役立つと思う]と 多くの生徒が答えた。しかし,家庭科が受験科目でな いことや,「家庭科瓢家事,裁縫・料理まのイメージ をもたれがちであることから,4月当初は消極的な態 度をとる生徒もいた.牧野§〉は教緬が家族・家庭,保育,

家庭経営などの領域は,人間が生きる上で大切である と認識しているにも関わらず,長い歴史の申で指導内 容や指導方法が醗究され確立してきた食物・被服領域 に比べ,教麟がやや消極的で説瞬のみの授業となり生 徒にとって楽しくない授業になりがちだと指摘してお り,そのことは上述の生徒の態度からも裏付けられる。

欝常生活で活かすことに重点をおいた授業展開によ り,生徒の「家庭科=家事,料理・裁縫jといった認 識を,「家庭科瓢生活まという認識へ移行させ,生徒 は生活全般に役立つ教科であるという思いに至ったと 思われる。なお,東京都高等学校家庭科教育麟究会鋤 の「高校で学んだことが生きていく上で役に立つ教科3 というアンケート調査でも,家庭科がi番の結果が畠

ている。

 〔印象に残ったもの3では半数以上の生徒が「調理

実習まと答えた。調理実習は,2時跨(50分×2と休 み時間鎗分〉で3晶目の調理・試食・片付けまでを行 う授業であ鞍,5〜7名からなる現員のチームワーク が要求される。ギみんなで協力して楽しく作れたからま が印象に残る理由として一番多く答えられたのは,筆 者が斑舗鯵を行うため,クラスメートであ辱ながら初 めて話す班員も存在する中,時間内においしいものを 作るという調理実習最大の目標に向って班員が協力せ ざるを得ないためであろう。飽に「自分たちで作った 料理がおいしかったから」や「失敗したから」,「調理 実習をきっかけに僻良くなった」などの答えがあり,

調理実習は作る楽しさや達成感,そして失敗からの学 びになるといえる。また,目標に向って一致団結して 過程と結果を共有する調理実習は,対人関係スキルを 育てる上でも意義があると考える。さらに,家庭科を 教室での座学,エプロン製作実習,調理実習と大周し た場合,筆者の目にも調理実習での生徒が一番活き活 きとして険っていた。次いで多かったのは葺性の話葺 であり,特に学校という枠から開放される休み前など には.授業から脱線した形ではなく休み前の話と,「子 どもと関わって生きる』の単元で醤常的に性教育を実 践してきた。性教育の中でも筆者が重点をおいて伝え たのは,自分の意志を持つことや自分を守るのは自分 であることなどの精神的な部分であり,このことが「妊 娠,生命に対する責任を考えさせられた藩「自分を大 切にしょうと強く思えた」「性について考えて行動し なくてはならないと思った」などが印象に残っている 点として答えられたと考えられる。また,中・高生の 性に関する情報源が先輩や雑誌メディアなどによる もので,誇張され間違った知識を持っていることが多 い欝ことから「正しい知識を得られた」との騒答であっ たと思われる。

 〔家庭科の授業に関する感想〕では「現在・将来に 向けて,いろいろ学べた楽しい授業だった」「家庭科 の大切さを知った」を合わせて半分近い生徒が答え,

前述した「家庭科全般が生活に役立つと思う涯と講様 の結果が得られた。再度述べると,家庭科が衣食住は 勿論のこと,人聞が生きる上で必要な輻広い知識やス キルの習得を促し,生徒たちの生活者としての自覚に 働きかけることのできる教科であるからと考える。次 いで「先生の授業を受けられて良かった盛と多く述べ られた。筆者は生徒との関係を作る上で自己開示が大 きな役割を果たし,関係性が軽楽しい鱒 おもしろい坤と いう感情を生み,学習効果を上げると考えてきた。ま た,生徒は大入の言葉を求めていると考え,実体験や 人生観を話し自己開示したことが,生徒に受け入れら れたと考えられる。家庭科は生活に密着しており,飽 教科に比べ自己開示しやすいといえるが,筆者の実体 験や人生観を話すことで生徒の理解を高めることにな り,i人の人聞モデルとしても共感されたと思われる。

(6)

32 福轟大学総合教育講究センター紀要第3号

X年度は学校行事が例年になく多かったため,調理実 習は2醸のみの実施となり,「調理実習をもっとやむた かったまという感想が述べられた。青年鶏の発達課題 であるアイデンティティ確立を促すために野3月の私 へ垂を代表として自分らしく生きるとはと闘い続け,

振鞍返りや生徒自身に考えさせ.自分の意見を持つよ う話してきたことで「自分自身を見つめたり,人生を 考えさせられた」と感想が生まれたと考えられる。そ の飽として「要点をまとめるのが難しかった」「つま んない」や「充実した授業だったま「先生の真っ直ぐ さを続けていってください3など,筆者の授業に対す る肯定的,否定的感想が述べられたが,今後の授業へ の改善点として受け止めたい。

3〉総月の私へ遺のアンケート結果

 5件法で蟹答を求め,その結果を「はい」「どちらか といえばはい」をくはい>,ぜいいえ」「どちらかとい えばいいえ」をくいいえ>とまとめ,<はい><どち らともいえない><いいえ>の3つでとらえて考察す る。〔最初の授業で手紙を書こうと言われどう感じた か〕についての結果を図iに示す。〔①一無意味だと思っ た〕〔③一面倒くさいと思った〕ではくいいえ>と答 える生徒が多く,〔②一締を書いていいのか悩んだ〕〔④ 一自分のことを考えられると思った〕〔⑥一楽しそう と思った〕〔⑦一おもしろそうと思った〕ではくはい

>と答える生徒が多かった。

 ⑳無意蘇  ㊤憾んだ

③饑くさ疑

@考えられる

⑤懸ず齢し赫  ⑥熟そう

⑦おもしろそう

   簾     婁纏     鵬     垂簾     鵬     蟹購    鰯蕊曝どち勢掛灘瀞盤菖らと趨磯旗燈どち赫噸集え醸聯蒐欝講疲

轡葉.最初の授業で手紙を書こうといわれどう感じたか

 筆者が巨年閥手紙を預かったことをどう思うか〕

についての結果を図2一①に示す。筆者が手紙を預かっ たことをほとんどの生徒が〔良かった〕と答え,理浅 として〔失くさないですんだから〕,〔i隼後に読むこ とで変化を感じられると思ったから〕と答えられた(麟

2一②)。

多難梅たこと1

窪纏      継      轟雛      暮籔   雛蝕めた雛轟轟鍼畷猟㌔醗褒《犠鵠

園2一①.手紙を預かったことをどう思うが

蓄{鵬

変鷺を慰むる 一 央くさ旗

纏 童鑛、    4雛 鶴      彗磯      重蟹轟 羅紋継窪どちら齢と疑え羅!隷馨懸どちらと春野愛な欝欝どちら熱と験え慧継疑え盤継継え

園2一②.預がつたことを良がったと思う理由

2砦昏7ヲ

 筆者が〔読まないと鯵つたことを信用できたか〕に ついての結果を緩3一①に示す。多くの生律が鐵会っ て約i時間の関係にもかかわらず読まないといったこ とを〔最初から信罵できた〕と答え,〔最後には信罵 できた〕も換えると警割以上の生徒から信頼された。

しかし5%の生徒は〔信用できなかった〕と答えた。

また,〔読まないと言ったので素直に書けた〕と生徒 が答えた(図3一②〉。

穰羅できた掛

雛       騰 鐡       鵬

1醸勧灘蕨籔i鐘鍵雛灘で数『錘簸でき鯵蕪。

醒3一①.読まないといったことを信罵できたか

総籬

棄藤こ継妻た 護家為ても

簾   童雛      鱗      轟繊      鍵臨     筆織 簗雛礎ちら絡灘鎌継鑓ち憂秘義魏礎騒毒遜灘ま義畷臨戦

醒3一②.謹まないといったことをどう患うか

 〔実施回数はどうだったか〕の結果を図縷に示す。約 8割の生徒は〔適当だった〕と答えたが.欝%の生徒 は〔少なかった〕と答え,〔少なかった〕と答えた生 徒に適当と思われる掻数をたずねると憩渥以上(月i 図〉を希望し,全生徒の憩%に上った。

羅数

鰍 2簾

懸達聾  雛愛嬢熱  雛多難、・

4脇      修籔

園4.5躍という猿数はどうだったか

  表2.自分露身へ手紙を書くことは どんな体験として残っているか。(%,複数穰答〉

縦購

欝分を理解ぞきた 2蓬

振琴返謬ができた 潅5

内的成長や変化を感じられた 葉3

いい体験、貴嚢な体験

普段の生活にはない不思議な感覚 9

窪分を見つめられる、見薩すことができる 8

議み返すのが楽しみだった、楽しい、おもしろい 6

いい思い出になった 6

将来彊標を考えられる 将来につながる 5

恥ずかしかった 4

その他 欝分の手紙からエネルギーをもらった

竄チてよかった.残っていない ストレス発散 7  〔自分自身へ手紙を書くことはどんな体験として 残っているか〕を自由記述で求めた結果(表2〉,逡%

の生徒は無醤答であった。自由記述は筆者がカテゴ リー化し,「自分を理解できた」「振り返りができた」

「内的成長を感じられた」と答えられ,その飽を含め ても全体的に肯定的な体験として受け止められた。

 〔総月の私へ涯についての感想〕を自由記述で求め た結果(表3),日綴%の生徒は無回答であった。自由記 述は筆者がカテゴリー化し,「自分を理解できてよかっ

(7)

高校家庭科における予防的・麗発的援跡の試み 33

た」「おもしろかったまザまたやりたい達「振り返むが できた」の感想が述べられた。

 また,「後輩にも続けてほし晒」と8%の生徒が答え た。ゼその飽」として「やりたくなかった」「やめたほ うがいい」ゼ昔には興味がない」「面樋くさかった」と いう否定的な意見が各i名からあった一方,「きちんと 書いておけば良かった」「読んで泣きそうになった∬気 持ちがよみがえった」などの園答が挙がった。

表3.盤月の私へ璽についての感想 (%,複数嬢答〉

自分を理解できたのでよかった 20

おもしろかった 罐。

またや捗たいと患う 8

後輩こ続けていって欲しい 8

やって良かった、自分のためになった 7

宝物になった 5

恥ずかしかった 4

振馨返抄ができた 4

その地 できれば書きたくなかった やめたほうがいい ま琴昔には興味ない きちんと書けばよかった

「っぱい恋しました 議んで漉きそうになった 烽チと総かくその時のことを書けばよかった

8

4〉酷月の私へ遜についての考察

 自分を見つめるプリント学習などで生徒に考えさせ 文章化させてきたが,生徒たちは長年,家庭だけでな く学校などの欝常生活において,自分の気持ちや考え を文章化以前に言語化する機会が滅鯵,自分自身に鈍 感にな鯵自己表現力も低下していると筆者は感じてい る。そして悩む力も育たず精神的葛藤が生じているこ

とに気づけないでいると考えている。

 気づきを援助する方法として考えられるのは言語化 させる関係,つまむカウンセリングである。しかし,

学校教育の多くを占める授業では.i人の教緬と釣船 人の生徒が向き合うため,クライアントに言語化させ カウンセラーが整理し,クライアントに不明確な気持 ちを気づかせるというカウンセリングの導入は不可能 に近い。そこで自分を見つめるプリント学習によって 自分を見つめさせ,高月の私へ量を筆者が考案した。

これは,筆者自身,思春期・青年難に精神的葛藤を抱 え自問自答を繰り返す中で,自分の気持ちを文章化し て不明確な気持ちを整理し,読み返すことで憾んでい る進行形の自分や,こんなこともあったと過去形に思 える自分などに畠会い,自己理解や精神的成長につな がったという経験と,数年蔚の教育稽談に関するワー クシ鍵ップで,自分に宛てて手紙を書くという不思議 な経験に基づいている。

 お月の私へ遷はほとんどの生徒が初めての経験で あったため,自分自身へ手紙を書く意義の説明を十分 行ったことで,多くの生徒が第i醸欝から手紙を書く ことは自分を考えられる,侮らかの意味があるととら え,面倒がらずに楽しみながら書くことができたと考

えられる.しかし半数の生徒が樗を書いていいのか憾 んだことは,運3月の私へ董という漠然としたテーマの 提示の影響もあると思われるが,小林鋤が現代の若 者は「感じられないから考えられない」と指摘するよ うに,内省力の低下によるものとも考えられる。さら に,多くの生徒は自分に手紙を書くことが初体験であ り,コミュニケーシ鍵ンの手段は携帯電話やメールが 主流となった今日,手紙を書くことが少なくなってい ることも何を書いていいのか悩んだ一要霞と考えられ る。自分自身に手紙を書く体験は欝欝的なことではな いために,「おもしろそう」と半数の生徒が答えたと

思、われる。

 手紙を「読まない」と議したことをほとんどの生徒 が信耀したことは,筆者と生徒が患会って約i時闘を 共有し様々な話をしたことで,生徒特有のアンテナ感 覚,角蟹欝のいう生徒の教懸を「直感的に見抜く力」

が働き,筆者の教緬としての姿勢を直感のようなもの で「信用できる」と感じてもらえたからと考えられる。

一方で,単に2GO名以上に及ぶそれぞれの5通の手紙を 読むはずがないと思われたからとも考えられるが,信 臆してもらえたことは教緬冥孝彗に尽きると感じてい る。最初から信じてもらえたことは授業進行に好影響 を及ぼし,さらに「最初から信用できた」とゼ最後に は信用できた」を合わせると.9割以上の生徒から信 頼されたことになり,約i年に及ぶ生徒との関係牲が 良好だったといえる。しかし,約i蓄の生徒は信耀し なかったという事実も真摯に受け止める必要があると 考える。筆者が手紙を読まないことにしたのは.次の 理由による。仮に,筆者が読むことにしたなら読まれ て差し支えのない内容を書き,高月の私へ遜の目的で ある自己発見や自己理解,自己受容が促進されないの ではないか。筆者が読まないからこそ,正しい・正し くないという評懸に関係ない本音を書かせることがで き,目的の促進がされるのではないか。筆者が読まな いと話したことで多くの生徒は素直に書けたと答えて おり,自分自身と向き合う時間になったといえるだろ

う。

 5翻の実施緩数,筆者が預かったことをそれぞれ適 当だった,良かったとほとんどの生徒が答えたことか らも意味があったといえる。また白井鶏は自己理解 の発達の観点において,青年簸後難は主体としての自 己を過去と現在と未来の自己の関係を連続性でとらえ ると述べているが,欝月の私へ盤は題1のみではなく5 睡実施したことで連続した自分をとらえることにつな がったと考えられる。さらに,5通の手紙をまとめて 読むことにより,憾んでいた(とらわれていた〉こと が憾み(とらわれ〉ではなくなっている.まだ講じこ とで悩んで(とらわれて)いる,磯な悩み(とらわれ)

に変わっているなどに気づけ,連続した自分をより効 果的にとらえられると思われる。

(8)

福島大学総合教育醗究センター紀要第3号

 岡田諭は「自分への手紙」の進驚指導への活用を例 に挙げ,自己受容につながると述べている。鉛丹の私 へ遜は進路指導を目的に行った訳ではないが,生徒か らは「自己理解になった」r振り返弩ができた」「内的 成長や変化を感じられた」と感想が述べられ,自分に 宛てた手紙は予防的・開発的援助の手段として穂環極 値が広いといえる。

 高月の私へ璽の感想として,「自分を理解できてよ かった」と多くの生徒が答えたのは,高月の私へ曇を 通して自分を見つめ,i年間の自分自身の変化を感じ られたことで,自己発見や自己理解,自己受容につな がったことを示すと思われる。多くが「おもしろかっ た掻「またやりたい」「振鯵返むができた」と感じてい ることも,「やって良かった・自分のためになった」

との感想につながる。また,高月の私へ量を良かった 体験として評慰するからこそ,多くが「後輩にも続け てほしい」と答えたと考えられる。否定的な感想と無 醗答率を合わせても約3G%であり,全体的には高月 の私へ墨を肯定的に受け止めているといえる。

 エンカウンターの実践から和田麟は「書く」「読む重 を通して本音が引き鐵されると述べており,筆者も隅 棟に文章化するということは,文字が鏡の役目を果た し,不明確であった気持ちに気づかせ,さらに形とし て残るため振り返りができるなどの利点があると考え ている。また,自分に宛てた手紙は,授業という形で 集羅を対象にしながらも,一人一人の異なる内省力を 促進する効果があるといえる。

 岡田搬の実践ではi回のみの実践だったが,総月の 私へ逓はi年間の節目となる時期に5圏行ったことで,

連続性のある自分を認識することになったと思われ る。また,目的によって懸数の検討が必要であると考

える。

 年間を通して手紙を書きたくないと考えていた生徒 もいたと感じているが,書きたくないなら書かなくて いいではなく.書きたくない生徒がいるという認識を 教緬が持った上で,書きたくないなりに自分と向き合 う時間となるよう,実施の度に実施意義を充分話すこ とが重要であろう。

V まとめ

 筆者は,青年期にある高校i年生に対して「生きるカ」

の育成を,家庭科教育による教育臨床の視点に立った 予防的・購発的援助によって実践してきた。筆者の考 える教育臨床の視点での予防的・開発的援助とは,授 業の中での情報伝達などによる問題発生予防と.自立・

自律能力の開発,そして問題の深刻化による精神的健 康の低下予防のための問題の早期発見と適切な対応で

ある。

 筆者の実践してきた予防的・開発的援助は,家庭科 の授業を中心に展開し,授業という集露に対して行う

2倉§7イ

援助と,授業と授業以外で個人に対して行う援助に分 かれる。本論で述べたのは授業という集団に対して 行った総月の私へ遍を代表とする自分を見つめる学 習を購いた家庭科教緬としての援助である。言い換え れば自分を見つめる学習は教科の特性を活かした援助

といえる。

 本論では,人聞が生きること.生活すること,自分 自身の人生という「生きること』を総合かつ直接学ぶ 家庭科の特性を活かし,自分を見つめる学習による予 防的・開発的援助の有馬性について述べた。今後は,

家庭科に隈らず,飽の教科にも癒瑠できる予防的・開 発的援助についても検討していきたい。

<参考文献>

i〉文部省(ig98〉

2〉醗部井恵美子:家庭科教育の歴史1醗部発恵美子・池  鰭喜美恵・内野紀子・青木幸子(2倉§2/:家庭科教育  学文社鎗ト2倉2

3〉石耀愚子1家庭科の歩み:中開美砂子・青木幸子・石  燐尚子・内野紀子・大竹美登科・櫻発純子・長澤由喜子・

 星野洋美(2倉縫〉1家庭科教育法 建畠社 捻一32 垂)朴木佳緒留:ジェンダーと家庭科の深い関係:斉藤弘  子・鶴蟹敦子・朴木佳緒留・丸岡玲子・望月一枝・穂懸  紀子(2倉00):ジェンダー・エクエイティを拓く家庭科   かもがわ韻版  5逢一83

5/中開美砂子1家庭科のカリキュラムづくむ 前掲書3/53  −78

6)石蟹麟紀(欝98):学校心理学 誠信書房 懇4一焉§

7/文部省(2倉倉0〉1高等学校学習指導要領解説家庭編 開  隆堂

8/宮本みち子 飽殿名(2§艇):家庭基礎 実教患版 弱牧野カツコ(欝96〉1人聞と家族を学ぶ家庭科ワークブッ  ク 東京書籍 3−7

鎗〉東京高等学校家庭科教育概究会(鐙99〉:家庭科につ  いてのアンケー←調査(生徒対象〉

n〉東京馨幼稚圏・小・串・高・心薩性教育醗究会(2碁倉2  年〉:児童・生徒の惟一東京都幼・小・中・高・心障学級・

 養護学校の性意識・性行動に関する調査報告 学校穰書 鴛/小林道雄(200の二「懸盤」なんかいらない1 講談社  欝6

捻)角田豊:学校現場における体験と関係性の理論:森  谷寛之・醗中雄三(2倉○○)1生徒指導と心の教育入門編   培風館 67−79

錘〉白井稀明1自己形成のみちすじ 1白井稀明・都筑学・

 森陽子(2倉巻2〉1やさしい青年心理 有斐閣アルマ 20  −36

i5)瞬震弘:継続した計画の立て方.短:國分康孝(欝9密:

 エンカウンターで授業が変わる 高等学校編 39 欝〉秘懸倫明:得得構報 エンカウンターで授業が変わる1  國分康孝(欝99):エンカウンターで授業が変わる 高  等学校編 菊

       (2007隼4月27臼受理)

Referensi

Dokumen terkait

休校中、家庭が変わった二つの事例から • A家・B家共に家族構成は同じ、経済水準なども同等 • 父(会社員/管理職)、母(パート主婦)、長男(高2)、長女(小6) • 長男は中堅公立高校の2年生。学校でも家でも寡黙。友人は少ない。趣味 のオンラインゲームに熱中。家族で一番話すのは母だが、反抗的態度 • 一斉休校が終わって…

1 財團法人台灣兒童暨家庭扶助基金會 111 學年度第一學期「韌世代」獎助學金申請辦法 111 年 7 月修訂 第一條 目的 財團法人台灣兒童暨家庭扶助基金會簡稱家扶基金會本著「基督的愛心、社工的專業、及 時的幫助、溫暖的關懷」的組織使命與精神,對於因遭遇家庭經濟困境、限制或特殊經驗而

2021令和 3 年)年度 技術・家庭科 非常勤講師 募集要項 求人先 学校名 大妻多摩中学高等学校 学校長 谷林 眞理子 所在地 東京都多摩市唐木田2-7-1 小田急多摩線「唐木田」駅より徒歩7分 創立32年の私立中高一貫の女子校。生徒数約1000名。 募 集 家庭科 非常勤講師 募集人数 1名 任用期間 2021令和3年4月1日付

熱中症予防対策マニュアル 須磨学園高等学校・中学校 保健体育科・保健部 1、熱中症とは <熱中症の病型> (1)熱失神 皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流量が減少して起こるもの で、めまい、失神などがみられる。脈は速くて弱くなる。 Ⅰ度 軽症度 (2)熱けいれん 大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、

臺北市立建國高級中學成年禮系列活動--「我的傳家菜」競賽實施辦法 111.10.31 一、活動目的: 配合本校成年禮儀典的舉辦,特辦理「我的傳家菜」競賽,以期透過學生向長輩學習傳家菜, 傳承家族或家鄉飲食,增進家人互動、傳承家庭價值。 二、主辦單位:本校家政科、學務處訓育組。 三、參加對象:高一學生。

学力要件等 経済要件 保証人 事業名 高等学校等就学支援金(授業料充当金)【公立分】 事業主体 文部科学省 事業概要・目的 全ての意思ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、生徒に授業料に充 てる高等学校等就学支援金を支給し、家庭の教育費負担を軽減する制度 貸与・支給の別 支 給 授業料との相殺又は還付 対象者 次の要件を全て満たす者

1 財團法人台灣兒童暨家庭扶助基金會 111 學年度第一學期「韌世代」獎助學金申請辦法 111 年 7 月修訂 第一條 目的 財團法人台灣兒童暨家庭扶助基金會簡稱家扶基金會本著「基督的愛心、社工的專業、及 時的幫助、溫暖的關懷」的組織使命與精神,對於因遭遇家庭經濟困境、限制或特殊經驗而

Ⅰ.はじめに 1.研究の背景 わが国は 2009 年に「本格的な高齢社会」となっている1。国の人口動態統計では、家庭 内の不慮の事故は高齢者が多く、種別では溺死でき水が多い 2。東京消防庁の不慮の救急 事故の統計では、高齢者は転倒事故が多く場所は居間が多い 3。調べた限りでは、家庭内 事故の体系や分析方法が明確でないと思う。高齢者自身の事故予防に対する意識について、