• Tidak ada hasil yang ditemukan

<「水濡れ」事故の特徴>

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "<「水濡れ」事故の特徴>"

Copied!
13
0
0

Teks penuh

(1)

1 2019年 3月日本 保険学 会関東部会報 告用レジ ュメ

【報告テーマ 】火災 保 険における保 険金不正 請求疑義事案 の傾向と 画像検知シス テムによ る対 応策について

【報告者】 黒澤 綾太(日本損 害保険協 会 損害サー ビス企画 部)

報告者 メールアドレ ス : [email protected]

【報告概要】

1.はじめに

火災保険は 、火災 や自 然災害等 、住まい に対 する様々なリ スクを補 償対象として おり 、カ バ ーする範囲が 広いため 、不正請求も多様 化、巧妙化するこ とが懸念 される。そこで、不正 請 求 事案の傾向や、対 応策 について整理 したとこ ろ、損傷の外観(事故 状況の写真等)か ら不 正疑 義を一定程度 感知でき るような特徴 がみられ た。

この特徴があ ることを 前提とすると 、事故状 況の画像から 、不正の 傾向を類型化 し判別で き るシステムが あれば 、これまで十分 に対応し きれていなか った不正 請求疑義事案 に対する 一定 の防御策にな るのでは ないかと考え 、画像検 知システムに よる対策を講じた。

内容を検討し た結果、 近年の画像検 知システ ムは、不正請 求疑義の 感知で要求さ れる条件 に合致する部 分が多く 、今後、これ ら技術を ベースにシス テム開発 を実現するこ とにより 、 適正な保険金 支払いに 大きく寄与す ることが 期待できると 結論付け た。

2.火災保険 における 不正請求事案 の傾向に ついて 2.1 火災 保険金の 支払い状況の 推移

ここ数年、火 災保険が 多く利用され る事故形 態について、 損害保険 料率算出機構 『火災 保険・地震保 険の概況 』の数値を基 に分析す ると、以下の ことが分 かった。

(1)自然災 害関係の 事故と「水濡 れ」事故 の支払件数が 多い

⇒母数が大き いため、 潜在する不正 請求件数 も多いと推察

(2)火災事 故・水害 は 1件あたり の支払金 額が高額

(2)

2

⇒損害保険契 約は、相 対的に小さな 拠出で大 きな給付を得 られるい わゆる射幸契 約に 属しているこ とから、1件あたりの 支払金額 が高い事故形 態には、 不正請求事案 、 とりわけ損保 会社側の 被害額が大き い事案が 潜伏している ものと推 察

<表1. 火災保 険 住宅 物件事故種別 支払統計 表 1

<表2. 火災保 険 住宅 物件事故種別 支払件数 推移 2

1 損 害 保 険 料 率 算 出 機 構 『 火 災 保 険 ・ 地 震 保 険 の 概 況 』(20184月 ) か ら 抜 粋 。( ※ 1 )「 件 数 」 お よ び

「 保 険 金 」 は 、 対 象 年 度 に 発 生 し た 事 故 に 対 し て 、 当 該 年 度 お よ び そ の 翌 年 度 に 支 払 っ た 件 数 お よ び 保 険 金 を 集 計 し た も の 。( ※ 2 )「 そ の 他( 水 濡 れ 以 外 )」は 、盗 難 、物 体 の 落 下 、破 損 ・ 汚 損 、電 気 的・ 機 械 的 事 故 お よ び 地 震 火 災 費 用 等 に 対 す る 保 険 金 を 集 計 し た も の ( 不 明 を 含 む )。

2 表 2 、 表 3 に つ い て は 、 損 害 保 険 料 率 算 出 機 構 ・ 前 掲 書 デ ー タ を 参 考 に 筆 者 作 成 。

7,711 16,428 86,004 30,434 4,197 29,113 117,572

8,058 31,223 104,308 33,388 3,860 32,260 126,328

7,574 30,842 69,299 205,864 3,549 33,785 121,141

7,500 26,423 68,796 23,812 3,379 35,376 132,516

7,150 16,408 148,551 30,924 3,608 40,152 167,264

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

(3)

3

<表3. 火災保 険 住宅 物件事故種別 支払件数 ・保険金(2015年度) >

2.2 不正 請求手口の 分析

一般社団法人 日本損 害保険協会( 以下、「損 保協会」とい う。)の「 保険金不正請 求ホッ トライン」3(以下 、「ホ ットライン 」という 。)に寄せられた 通報情報 をベースに分 析した と ころ、以下の 傾向が分 かった。

・火災保険に おける不 正行為疑義者 は「契約 者・被保険者 」が最も 多く、傾向と して、契 約者企図型 4の案件が多 い

・修理業者が 関与する 不正請求疑義 件数は全 体の約1/4を構成 して おり、第三者 企図型と なるような案 件につい ては、修理業 者による 活動が目立っ ている

2.3 実際 の不正請 求防止事案の 特徴と不 正請求発見の 端緒

(1)過去の 不正請求 防止事案につ いて

2013年度~2017年度に損保協会で 実施した、「保険金不正 請求防止事 案担当者表彰 式」

5のうち、火災 保険分野 に関する全 15 事案の分 析を行った 6

3 損 保 協 会 で は20131月 に「 保 険 金 不 正 請 求 ホ ッ ト ラ イ ン 」を 開 設 し 、以 降 損 害 保 険 の 保 険 金 不 正 請 求 に 関 す る 情 報 を 収 集 し て い る ( 損 保 協 会 ニ ュ ー ス リ リ ー ス (13-022) 参 照 )

http://www.sonpo.or.jp/news/release/2014/1402_01.html

4 社 団 法 人 日 本 損 害 保 険 協 会『 わ が 国 に お け る 保 険 金 詐 欺 の 実 態 と 研 究 』20084月 )P17参 照 。不 正 行 為 当 事 者 の 違 い と い う 観 点 で 分 類 す る と 、 契 約 者 自 身 が 不 正 行 為 の 当 事 者 も し く は 共 謀 者 で あ る ( ア ) 契 約 者 企 図 型 と 、 契 約 者 が 関 与 し な い()第 三 者 企 図 型 に 分 け る こ と が 出 来 る 。

(4)

4

<表4. 2013~2017年 度不正請求防 止事案( 火災保険分野 )特徴>

事故 形態

事案件数

(件) 発見の端緒・ 対応

放火 10

・油性反応が 検出され た。

・空家かつ無 人状態で の出火だった 。

・警察より火 災保険加 入歴について 照会があ った。

・被保険者が 負債を抱 え税金を滞納 していた 。

・不正請求等 防止制度 による情報を 参照した 。

破損 偽装

(家財)

2 ・類似事案が 頻発して いた。

・過去の支払 書類の振 込口座が一点 に集中し ていた。

破損 偽装

(業者結託)

1 ・複数の契約 者から相 次いで複合機 等の破損 事故が報告さ れた 。

雪災

(修理業者介 入) 1 ・雪災であ れば通常 発 生する部位に 損傷が見 当たらず、不自然な 損傷形態であ った。

盗難偽装 1

・被害品購入 資金の出 所が確認でき なかった 。

・侵入の痕跡 が不自然 。

・契約者が、2年前に も同様な高額 被害にあ っていた。

5 一 般 社 団 法 人 日 本 損 害 保 険 協 会 『 日 本 損 害 保 険 協 会 百 年 史 』(2017522) P265266参 照 。 こ の 制 度 は 、 警 察 と 連 携 を 図 り 、 保 険 金 不 正 請 求 の 防 止 に 貢 献 し た 、損 保 協 会 会 員 会 社 の 事 案 担 当 者 を 表 彰 す る も の 。 損 保 業 界 で は 、 保 険 金 不 正 請 求 対 策 の 一 つ と し て 、 警 察 と の 連 携 強 化 や 損 害 保 険 会 社 の 事 案 担 当 者 の 意 識 向 上 を 目 的 と し て 、「 保 険 金 不 正 請 求 防 止 事 案 担 当 者 表 彰 式 」 を 2013年 度 か ら 毎 年 実 施 し て い る 。

6 1回 開 催 ~ 第7回 開 催 時 の 表 彰 対 象 事 案 を 取 り ま と め 、 筆 者 起 案 。

(5)

5

<表5. 2013~2017年 度不正請求防 止事案( 火災保険分野 )請求額 別件数>

<表6. 2013~2017年 度不正請求防 止事案( 火災保険分野 )行為者 別件数>

不正行為当事 者 件数 備考

契約者・被保 険者 12 契約者・被保 険者と

第三者の結託 2 業者結託事案 、 修理業者介入 事案 第三者 1 放火事案に 1件

(2)不正を 防御しや すい事故形態 の特徴

⇒契約者の挙 動から不 審感を得られ る契約者 企図型の事案 、支払保 険金が高額な 事案等

・表4につい て

放火事故の件 数が圧倒 的に多く、「発見 の端緒・対応」を見ると、油 性反応の分析 技術 等の進歩や、不正 行為当 事者の不審な 挙動を感 知するノウハ ウが保険 会社に備わっ てい ることが分か る。

→火災事故は 比較的防 御しやすい事 故形態で あることが推 察できる 。 0

1 2 3 4 5 6

0~500 5,000~10,000 10,000~50,000 50,000~100,000 100,000~

事案数(件)

不正請求額(千円)

不正請求額別件数分布

(6)

6

・表5につい て

不正請求防止 事案のほ とんどが 500万 を超え る高額な請求 を行って いる事案であ る

(中でも不正 請求額が 1億を超える 事案が 5/15件(約 33%) もある)。

→高額請求事 案は防御 しやすいこと が推察で きる。

・表6につい て

ホットライン 通報事案 と同様、不正 請求防止 事案も契約者 企図のも のが多い。

→①契約者の 挙動から 初動で気付き を得られ ること、②「 不正請求 等防止制度」7の 活用が理由か 。

(3)損保会 社で対応 に苦心する事 案につい て

【仮説】

損保会社で対 応に苦心 している不正 請求事案 は、契約者企 図型では ない事案(第 三者 企図型、第三 者積極介 入事案)と、 請求額が 少額な事案で ある。

〇第三者が企 図もしく は積極介入し ている事 案

・保険金請求 に関与す る修理業者等 の第三者 は、損害保険 に対する 豊富な知識を 有し、

巧みに保険金 詐欺を偽 装できること から損保 会社で不正を 感知する ことが難しい 8

・修理業者の 介入を事 前に排除する ような対 策は、法的に も難しい 問題 9を孕んでいる

⇒しかし、

2.2で記載のとおり通報件数は多い。

7 損 保 協 会 は 、適 正 な 保 険 金 支 払 い を 実 現 す る た め 、保 険 金 の 不 正 請 求 ま た は 不 正 の 疑 い の あ る 事 案 に つ い て 、 損 保 会 社 間 で 情 報 交 換 を 行 う 環 境 情 報 交 換 制 度 を 実 施 し て い る ( 一 般 社 団 法 人 日 本 損 害 保 険 協 会 『 日 本 損 害 保 険 協 会 百 年 史 』(2017522) P264参 照 )。 ま た 、 不 正 請 求 防 止 を 目 的 と し た 「 保 険 金 請 求 歴 お よ び 不 正 請 求 防 止 に 関 す る 情 報 交 換 制 度 」を2018105日 か ら 開 始 し 、記 名 被 保 険 者 や 車 両 所 有 者 な ど 、 情 報 交 換 を 行 う デ ー タ 項 目 を 拡 充 し 、 保 険 金 請 求 歴 や 不 正 請 求 防 止 に 関 す る 多 く の 情 報 を 、 各 社 間 で 共 有 す る こ と で 、 不 正 請 求 防 止 態 勢 の 強 化 を 図 っ て い る ( 一 般 社 団 法 人 日 本 損 害 保 険 協 会 ニ ュ ー ス リ リ ー スNo.18-031)。

8 社 団 法 人 日 本 損 害 保 険 協 会・前 掲 書(20084月 )P18抜 粋 「 … こ う い っ た 第 三 者 は 、保 険 金 請 求 に 必 要 な 証 明 書 を 偽 造 す る こ と が 容 易 な 立 場 に あ っ た り 、損 害 保 険 に 対 す る 豊 富 な 知 識 を 有 し て お り 、巧 み に 保 険 金 詐 欺 を 偽 装 す る こ と が で き る こ と か ら 、損 害 保 険 会 社 が 保 険 金 詐 欺 で あ る こ と を 見 抜 く こ と が 著 し く 困 難 と な る 傾 向 に あ る 。」

(7)

7

〇請求額が少 額である ような不正請 求事案

・迅速に保険金 を支払 うために見積 書と写真 のみで支払判 断をする ことが多いと いう意 見もある

⇒費用対効果 を考える と、少額な不 正請求の 防御のために 人員と時 間を割き難い ので はないかと推 察される 。

3.「水 濡れ」損 害に潜 む不正請求事 案につい て

<「水濡れ」事故の特徴>

・保険金 支払い件 数 が年々増加し ている( 表2参照)

・1件あたり の保険金 支払額も比較 的安価(表 3参照)

・修理業者( 主に水道 管修理業者) 介入事案 が多い(以下 表8参照 )

⇒【仮説】で 立てた事 案の一つと考 える。

(1)「水濡 れ」損害に おける不正請 求疑義事 案についての 各所ヒア リング結果

・「水濡れ 」損害の不 正疑義請求は 年々増加 傾向にある

・修理業者 介入事案 も多く、第三 者企図型 や契約者との 通謀事案 になるケース が多い

・請求額が少額の事 故であると 、迅速な支 払のために立 会調査を 行わず見積書 と損害箇 所 の写真を判断 材料とし て保険金を支 払うこと がある

・不正請求 疑義事案 (一部)の特 徴は以下 のとおり

9( 参 考 )大 野 澄 子『 特 定 修 理 業 者 に お け る 法 律 上 の 問 題 点 』2015125日 鑑 定 人 フ ォ ー ラ ム 配 付 資 料 ) に 下 記 の と お り 記 載 ( 要 約 )。 下 記 の と お り 、 法 的 に も 修 理 業 者 対 応 は 難 し い 問 題 と な っ て い る 。

① 修 理 業 者 が 関 わ っ て い る 現 場 に お い て 、 損 害 保 険 従 事 者 が 保 険 契 約 者 に 対 し 、「 最 近 こ の 地 域 を 巡 回 し て い る 悪 徳 業 者 が い る の で 気 を 付 け て く だ さ い 」と 言 う こ と は 、場 合 に よ り 違 法 と な る と 考 え ら れ る 。当 該 発 言 に 事 実 が 存 在 し な い 場 合 、名 誉 棄 損 罪 が 成 立 し う る 。②「 こ の 業 者 は 特 定 修 理 業 で あ る 」と 伝 え る こ と は 、 場 合 に よ り 違 法 と な る と 考 え ら れ る 。「 詐 欺 的 な こ と を し て い た 前 例 が あ る こ と 」 を 伝 え る こ と は 、 事 実 を 適 示 し て 人 の 社 会 的 評 価 を 棄 損 す る 行 為 と い え 、 名 誉 棄 損 罪 の 構 成 要 件 に 該 当 す る 。

(8)

8

<表8.各所から ヒアリ ングした「水 濡れ」の 不正請求疑義 案件特徴 >

(2)損害箇 所の写真 から得られる 気付き

人工的に作ら れた損害 には、不自然 さが分か る特徴があり 、写真を 見た段階でも ある 程度の不審点 を感知で きる。

<表9.損害箇所 の写真 から分かる不 正疑義事 案の特徴>

No 特徴 備考

1 上階水道管か らの漏水 の主張をして いる が、天井と壁 の濡損が 分離している

上階からの漏 水で壁が 濡れているの であれ ば、天井の濡 損と連結 していないと おかし い。

2 壁の濡損が線 状に伸び ている

漏水損害であ れば、円 状に広がる可 能性が 高い。線状に 伸びてい るのは、水分 を多量 に含んだスポ ンジ等で 故意に濡らし た可能 性が考えられ る。

3 天井に細かい 水滴が複 数付着してい る

上階から染み 出た水分 が水滴となっ て現れ た場合、大き な水滴と なる可能性が 高い。

故意に吹き付 けをした 可能性がある 。

4 シミに灰汁が でていな い 木造住宅であ れば木材 の灰汁がでる 可能性 が高い。

5 トイレからの 溢水にも かかわらず 、汚物が 少ない

不自然に汚物 を模した ものが散りば められ ている。実際 の逆流で あれば広範囲 に汚物 が付着すると 考えられ る。

6 同じ写真を複 数会社に 提出している 等

使いまわして いること が気付かれな いよ う、明暗の調 整やトリ ミングを行っ ている。

NO. 特徴概要 備考

1

水道管 から漏水

上階水道管か らの漏水 により、天井 部分、壁 部 分に被害が広 がったこ とを主張

修理業者の介 入 可能性あり 2 床へ溢水した 被害を主 張

3 トイレが溢水 (汚物が 逆流)した被 害を主張 4 給排水設備を 故意に凍 結させ漏水

5 スノーダクト 屋根から の漏水 6 建物内部へ故 意に水を 散布

(9)

9

(3)不正疑 義感知の ための仕組み

上記特徴の知 見を蓄積 していけば、 修理業者 が巧みに調査 を妨害し てきた場合や 、 迅速な保険金 支払いの ためにペーパ ーベース での支払い判 断となる 場合でも、早 い段 階で不正疑義 を感知で きるようにな るのでは ないかと推察 した。

【懸念点】

・火災保険だ けで年間40万件近く、水濡れ事故 単体でも年間 約 4万件 の支払いがあ る 中で、逐次不 審点を見 つけて対応す るために は、マンパワ ーが不足 している。

・表9No.6 のような写 真の使いまわ し事案は 人的対応では 限界があ る。

【対応策】

〇デジタル技 術の導入

画像解析技術 の導入に より、契 約者等か ら提 出された写真 を判別す ることによっ て、

保険金不正請 求を防御 できるか。

4.画像 検知シス テムに よる不正請求 疑義事案 の初動対応支 援の考察

カメラ技術と 画像解析 技術に詳しい 、キヤノ ンITソリューショ ンズ 株式会社(以 下「キ ヤノン ITS株 式会社 」という。)にヒアリ ング を行うととも に資料を 提供いただき 、画 像解 析技術導入に よる保険 金不正請求防 御の実現 可能性を探っ た。

4.1 「生 育情報測定 技術」を用い た不正疑 義損害の検知

(1)「生育 情報測定技 術 10」について

「イチゴの栽 培・輸出 技術体系の確 立により 、各県が掲げ る地域戦 略目標を達成 するこ とを目的 11」とした 技術 である 12。同技術の 資料 を検討した結 果、不正 請求疑義事案 の 画像検知シス テムとの 親和性を感じ られた。 以下に同技術 の概要 13を示す。

10 キ ヤ ノ ン マ ー ケ テ ィ ン グ ジ ャ パ ン 株 式 会 社 開 発 の 、 カ ス タ ムAIを 作 る 開 発 実 行 基 盤 で あ る 「LaiGHT を 基 盤 と し た 、 同 社 と 九 州 大 学 で 共 同 開 発 技 術 。

11 『 革 新 的 技 術 開 発・緊 急 展 開 事 業( う ち 地 域 戦 略 プ ロ ジ ェ ク ト )』「 イ チ ゴ の 省 エ ネ 栽 培・技 術 予 測・低 コ ス ト 輸 送 技 術 の 融 合 に よ る 販 売 力 ・ 国 際 競 争 力 の 強 化 」 よ り 抜 粋 。

(10)

10 ア.画像情報 の収集

IoTカメラ により定 点観測を行い 、カメラ を中心に半径 10m以内 を撮影範囲( 6列 の畝が範囲と なる)と して1日当た り8,145 枚の画像情報 を収集・ 蓄積する。

イ.生育情報 の計測

ア.で蓄積 したデータ から、イ チゴの生 育状 況を数値化し 、以 下図 1.のようにイ チ ゴの成熟度を 判別する 。なお、図1.では五段 階の成熟度を 定義し、 収穫可能な実 を 熟練度5とし て、画像 (左)で可視 化表示し ている。

<図1.イチゴの 成熟度 判断 生育情 報の計測 結果(左)果 実の成熟 度定義(右) >

ウ.計測 の精度

ア.で収集し た画像情報 から、学習用デー タ1945件、テスト用デ ータ 400件を用い て、計測の精 度を算出 した結果以下 のとおり となる。

12 ( 参 考 )2016712日 『 日 刊 工 業 新 聞 』、2017817日 『 日 経 産 業 新 聞 』 に 技 術 開 発 に つ い て 掲 載 さ れ た 。

13 政 井 隆 之 、岡 安 崇 史 、安 武 大 輔 、北 野 雅 治 、西 沢 駿 人 、原 康 平 、田 中 泰 洋『 イ チ ゴ 栽 培 に お け る 画 像 を 用 い た 生 育 情 報 測 定 お よ び 収 量 予 測 の 実 証 研 究 』 を 参 考 。

(11)

11

<表 10.イチゴの花 ・ 果実の検出精 度 14

クラス 再現率 15 適合率 16 F値 17

花 0.879 0.732 0.799

成熟度1 0.786 0.451 0.573 成熟度2 0.588 0.678 0.630 成熟度3 0.725 0.724 0.725 成熟度4 0.691 0.523 0.595 成熟度5 0.751 0.616 0.677 全クラス平均 0.737 0.621 0.667

(2)「生育 情報測定技 術」の不正請 求疑義検 知への応用に ついて

・精度の高 さ

各成熟度にお いて再現 率(検出漏れ の指標)の高さが伺え 18、図1の ような軽微 な 成熟度の違い であって も、検出漏れ を起こし にくいことが 分かる。

⇒「水濡れ」損害では、「天井と壁の 濡損が分 離している」等、イチ ゴの成熟度の ような 軽微な差異で はなく、顕著に違いが 現れる。“ 担当者に気づ きを与え ること”を目 標 とすると、有 意義なも のとなる。

14 政 井 隆 之 、 岡 安 崇 史 、 安 武 大 輔 、 北 野 雅 治 、 西 沢 駿 人 、 原 康 平 、 田 中 泰 洋 前 掲 書 よ り 抜 粋 。20183 月 か ら の 検 証 に お け る 解 析 デ ー タ を 掲 載 し て い る 。

15 再 現 率 : 漏 れ な く 検 出 で き て い る か を 表 す 指 標 。 高 い ほ ど 検 出 漏 れ が 少 な い 。

16 適 合 率 : 誤 検 出 な く 検 出 で き て い る か を 表 す 指 標 。 高 い ほ ど 誤 検 出 が 少 な い 。

17 F値:再 現 率 と 適 合 率 の 調 和 平 均 。高 い ほ ど よ い 。再 現 率 と 適 合 率( 漏 れ な く 、誤 検 出 少 な く 検 出 で き る か ) は ト レ ー ド オ フ ( 一 般 に 、 再 現 率 の 高 い シ ス テ ム は 適 合 率 が 低 く 、 適 合 率 が 高 い シ ス テ ム は 再 現 率 が 低 い 傾 向 に あ る ) の 関 係 に あ る た め 、 両 者 を バ ラ ン ス 良 く 見 る た め の 指 標 。

18 (参 考1)キ ヤ ノ ンMJ社 か ら の 回 答 に よ る と 、「 生 育 情 報 測 定 技 術 」で の 検 出 対 象( イ チ ゴ の 花 果 )は 、隠 れ や 重 な り が 大 き く 、ま た 成 熟 度 と い う 連 続 的 な ク ラ ス の 分 類 を 対 象 と し て お り 、過 去 の 前 例 も な い こ と か ら 定 量 的 に 数 値 を 評 価 す る こ と 自 体 難 し い が 、 最 終 的 な 数 値 目 標 と し て 、 平 均 のF(再 現 率 と 適 合 率 の 調 和 平 均)90% を 目 指 し て い る と の こ と で あ っ た 。な お 、20191月 時 点 で の「 全 ク ラ ス 平 均 」は 、再 現 率 : 74.7% 適 合 率 :76.3% F値 :75.3% で あ り 、F値 に つ い て は 1年 間 で 約10ポ イ ン ト 上 昇 し て い る 。

( 参 考2OCROptical Character Recognition: 光 学 文 字 認 識 ※ ) 技 術 で 製 品 化 さ れ て い る も の は 、 再 現 8098% 程 度 。

※ 機 械 的 に 文 字 を 認 識 す る 技 術 。技 術 参 考:富 士 通 株 式 会 社『 画 像 デ ー タ か ら の テ キ ス ト 抽 出 技 術 に つ い て 』

(12)

12

・キヤノンITS 株式会 社ヒアリング 結果

実証実験等で 故意的な 損傷痕の学習 用データ を集め 19、不正(損 害作 出)の痕跡情 報 の定義付けを すれば、 システム構築 は可能で あるとの見解 を頂いて いる。

4.2 類似 画像検出 技術を用いた 損害状況 写真の使いま わしの検 知

(1)類似画 像検出技 術について

この技術は、ディープ ラーニング技 術とは異 なり、データ ベース( 以下、「DB」とい う)

内にある画像 に関する データと 、検索対 象画 像をマッチン グする仕 組みである 。一般 的な 類似画像検索 技術との 大きな違いは 、DB 内 に画像ファイ ル自体で はなく、画像 解析を行 い被写体の特 徴を抽出 し数値化され たデータ が保存されて いる点で ある。以下に 技術の概 要を示す。

ア.画像 全体の一 致度で なく、部分 的な特徴 の 類似度で画像 を検索で きる(切り 取った画 像 や、スキャン した画像 でも検索が可 能)。

イ.画像 を用いず、数値 でのマッチン グを行う ので、検索用 DBの容量 は大容量にな らない。

ウ.数値 でのマッ チング を行うので大 量データ の中から高速 で検索が できる。

(2)類似画 像検出技 術の不正請求 疑義検知 への応用につ いて

・不正請求疑 義事案に 用いられる写 真判断

写真内の部分 的な特徴 の類似度で検 出ができ、これまで感知 できなか った事案であ って も、機械的に 不正疑義 のある写真を 抽出する ことが期待で きる。

・データ量の 軽減化

各損保会社の 画像デー タを業界共通 の DBに 集約したとし ても、数 値情報を保存 するだ けなので、デ ータ量が 軽減できる。

⇒フィージビ リティの 高い検討がで きる。

19 ( 参 考 )学 習 サ ン プ ル に つ い て は 、①1パ タ ー ン で 最 低100枚 の サ ン プ ル が 必 要 ② サ ン プ ル 数 に は 上 限 が あ り 、上 限 を 超 え て 記 憶 さ せ る と 逆 に シ ス テ ム 機 能 が 低 下 す る ③ 上 限 は 案 件 ご と に 違 う 、と い う 特 徴 が あ る 。

(13)

13 5.まとめ

画像解析技術 で、契約 者等から提出 された写 真の特徴を蓄 積し 、類 似性を判別す る、類似 画 像検出技術が 現時点で もあることが 確認でき 、不正請求 疑義事案 の 感知にあたっ て要求さ れる 条件に合致す る部分が 多いことがわ かった。

今後、さ らに研究 を進 めて行けば 、修理 業者 が巧みに調査 を妨害し てきた場合や 、迅 速な 保 険金支払いの ためにペ ーパーベース での支払 い判断となる 場合でも 、早い段階 で不正疑 義 を感 知できるよう になると 思われ、適 正な保険 金 支払いに大き く寄与す ることが期待 できると 考え られる。

参 考 文献

・政井 隆之、岡安 崇史 、安武大輔、北野 雅治 、西沢駿人、原康 平、田中泰洋『イチ ゴ栽培 にお ける画像を用 いた生育 情報測定およ び収量予 測の実証研究 』

・大谷孝一 江澤雅彦 利洪茂 土 田武史 中出哲(2008) 『保 険論』成文堂

・一般社団法 人日本損 害保険協会(2017)『日 本損害保険協 会百年史 』

・社団法人日 本損害保 険協会(2008)『 わが 国における保 険金詐欺 の実態と研究 』

・損害保険料 率算出機 構(2018)『火災 保険 ・地震保険の 概況』(2018)

・『革新的技 術開発・緊 急展開事業( うち地域 戦略プロジェ クト)』「 イチゴの省エ ネ栽培・ 技 術予測・低コ スト輸送 技術の融合に よる販売 力・国際競争 力の強化 」

・2016 年7月 12日 『 日刊工業新聞 』

・2017 年8月 17日 『 日経産業新聞 』

Referensi

Dokumen terkait

【平成29年度大会】 自由論題(法律系) 報告要旨:桜沢 隆哉 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― - 1 - 第三者のためにする生命保険契約における権利の調整 京都女子大学法学部 桜沢隆哉 Ⅰ.はじめに 本報告は、第三者のためにする生命保険契約において、保険金受取人とそれをめぐる利

【令和元年度 日本保険学会全国大会】 シンポジウム「保険法10年の経験と今後の課題」 報告要旨:山本 哲生 直接請求権に関する問題と傷害保険における外来性 北海道大学 山本 哲生 1 直接請求権の金額、請求権代位に関する問題 自賠責保険では、被害者が加害者の保険会社に対して支払を請求することができる、いわ