7ュ 997年 (平 成 9年 )4月 25日 翻
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プレア党首側近のアラス テア・キャンベル報道官
︵元ミラー紙政治部長︶は ︑
保守党の地盤であるイング メージャー首相が5月1
日の総選挙実施を発表した 翌日 ︑英国で最大の発行部 数を誇る日刊大衆紙﹁サン﹂ の1面は﹁サンはブレア︵労 働党党首︶を支持する﹂と いうベタ黒見出しで埋ま り︵読者をして﹁あのサン が﹂と驚かせた ︒ 最後まで接戦を演じた5 年前の前回総選挙でサンは 投票日当日に ︑キノック労 働党党首︵当時︶の顔を電
球に見立てて﹁最後に英国
を去る人は明かりを消して 下さい﹂との見出しで労働 党政権拒否を呼びかけたこ とが今でも語り車になって
いるからである ︒ ランド中部の声を代弁する
サンとデーリー・メールは 党にとっても重大な新聞で あることを認めている ︒そ のサンが今回は﹁我々を奮 い立たせてくれるビジョン と勇気を持ったブレア氏が 指導者として最適だ﹂と宣 言してくれたのだった ︒や
はり 〃サン効果〃ほ支持率 室報道で他紙をリードした
サンほ ︑世界のメディア王 といわれるルパート・マー ドック氏の支配下にある ︒ さらに高級紙﹁タイムズ﹂ ︑ 日曜大衆紙﹁ニューズ・オ ブ・ザ・ワールド﹂ ︑電波 では﹁スカイ・テレビ﹂も 同氏の傘下だ ︒
党首就任翌年の1995 加えて ︑保守系紙もデーリ
に﹁
.メールを除いては ︑サ ンほどではないが ︑保守党 に厳しい報道が目立つ ︒汚 職疑惑議員の再立候補 ︑欧 州政策をめぐる 〃分裂選挙〃 など保守党のゴタゴタも派 手に報じられた ︒ タイムズ紙に政党支持率
を発表している世論調査会 政権交代を望む読者層の存
在がサンにそういう紙面を 作らせているのだ﹂と解説
した ︒
さらに同氏は﹁国民は労 ルパ ート・マ ードツク氏
ヽ﹁引聞甲豪M卸灘桐 坪 父の新聞社を引き継いだ後 ︑各地の新聞社を買収し ︑ 7 9 年に﹁ニューズ・コーポレーション﹂を設立 ︒その 働党勝利を予期している ︒ ただ地滑り的勝利を望まな い人ほ棄権に回るだろう ︒
自由民主党は健闘しそう 後も世界の新聞・出版・放送企業を買収 ︑同社を複合メディア企業に成長させた ︒米ニューヨーク・ポスト紙や米
2 0 世紀フォックス ︑香港スターテレビも傘下 ︒
だ ︒与野党差は
前後な8 0に るのではないか﹂と予想し ている ︒︻ロンドン・三瓶 良一︼ =おわり
1 3 版
ウ ー ス ター ・ M O R I 社 長
を伸ばす上で大きい ︒ サンのライバルであるミ ラー紙も﹁保守党は
1 8
年前 ︑
﹃労働党政権ほ機能してい ない﹄とのスローガンで政 権に就いた ︒今 ︑機能して いないのは英国である﹂と の社説を掲げ ︑ブレア支援 を表明している ︒
ダイアナ妃離婚に至る王 年 ︑マードック氏の地元オーストラリアに招かれ講漢
を行い ︑関係改善を行った ともいわれているブレア氏 は﹁政権を取ってもマード
ック氏の影響に左右されな
い﹂と言明している ︒ 今回の選挙では以前から 労働党寄りのミラー︑ガー
ディアン ︑オブザーバーに ブレア支持を表明した3月
︲ 8 日付の﹁サン﹂ 社MORIのロバート・ウースター社長は﹁サンのブ
レア支持表明が話題になっ たが ︑何もサンが読者をリ ードしているのではない ︒ 市場調査ではサンの読者の 5 6 物が労働党支持だった ︒
今回の英選挙で新聞紙上
などにさかんに登場してい
る言葉にスピン・ドクター
という言葉がある︒多くの
英国民にはまだ耳償れない
が ︑選挙のいろいろな作戦
展開を自陣営に有利に演出
する宣伝マシンの責任者の
ことをいう ︒
米国政治からの輸入語
で ︑選挙で多用されている
が ︑政治一般の中でも使わ
れる︒政治指導者の政策 ︑
演説などの宣伝効果を高め
られるようスピン︵紡ぐ ︑
回転させる︶する役割を担
った参謀や縮佐官 ︑報道官
までも含めた関係者の総称
でもある ︒マスコミ対策も
むろん彼らの仕事である ︒
﹁サン紙の労働党支持宣 言は ︑同党のスピン・ドク
ターとサン紙経営者マード ック氏との接近の産物 ︒サ ン紙はこれまでずっと保守 党支持路線をとってきたた め ︑はた目にはやや意外な 驚きとして受け止められた が ︑事情通には予想された ことだった﹂
メディア評論家のロイ・ グリーンスレード氏は ︑こ
の国最大の発行部数を誇る タブロイド判大衆紙サン
︵約四百万部︶が ︑総選挙 が決まった翌日の先月十八 日︑大々的に労働党支持を 打ち出したことについて ︑ 内幕話をこう切り出した ︒
オーストラリア出身のル パート・マードック氏は ︑
英国でサン紙のほか ︑ 一般 紙タイムズ ︑日曜紙サンデ ー・タイムズ ︑さらに躍進 する衛星テレビ﹁Bスカイ B﹂などを支配している ︒
かつてサンデー︐タイム 年前から見限っていたとい
︶つc 一方 ︑四期連続の保守党 政権を許し︑雪辱を果たし
たい労働党は ︑前回選挙の
際 ︑事前の世論調査で優勢
とされながらも敗北したの われた ︒
その後も隠密会談が行わ
れたが ︑九五年夏 ︑ブレア
党首は ︑オーストラリアで
行われた ︑マードック氏が
主宰するグループ企業の最
高経営者会議に招かれ ︑自
分がサッチャー革命の自然
な後継者であると演説 ︑マードック氏の共感と当面の
信頼を得ることになった ︒
グリーンスレード氏は ︑
﹁接戦区で数方のくら警え
票があれば ︑全体の勝敗を 左右することもありうる﹂
という ︒
マードック系新聞だけが
政治色が濃いわけではな
い ︒一般紙では ︑最大部数
のデイリー・テレグラフ紙︵約百万部︶やデイリー・
メール紙などは保守党支
持 ︑ガーディアン紙やデイ
リー・ミラー紙などは労働
党受持と︑社説などで支持
宣言をしている ︒
﹁労働党は ︑実はテレグ
ラフ紙の経営者コンラツド ・ブラック氏にも接近した
が ︑テレグラフは最終的に
今回も保守党支持を表明し
た﹂ .グリーンスレード氏
はこうも語り︑新薗のあり
かたに中立性から批判の声
もあることを認めながら ︑
﹁国民に多様な見方を提供
しているという考え方をし
ている﹂と主張する︒
︵ロンドン
!清
本 修身︶︵第二部おわり︑第三部
は5月3日付から始める予
定です︶
■ □ ■
これ まで 保 守 党 支 持 だ った が 、 労 働 党 支 持 へ の 転 換 を 1面 で 打 ち 出
した 「ザ ・サ ン J(3月 1 8 日、 ロ
ン ドン市 内 で 鈴 木 竜 三 撮 影 ) ズ紙副編集長の経験もある グリーンスレード氏による と︑マードック氏は ︑保守 党サッチャー前首相の自由 主義革命の熱烈な信奉者 で ︑その後継者のメージャ ー現政権が勝利した九二年 選挙では保守党支持を宣言 したものの ︑メージャー首 相の優柔不断さに嫌悪感を
持つようになり︑すでに数 は ︑サン紙が投票当日︑保
守党支持宣言をしたことも
響いた ︑と分析していた ︒
こうした背景からスピン
・ドクターたちは ︑党改革
を実現したトニー・ブレア
党首をマードック氏に売り
込み ︑理解を求めようとし
たといわれる ︒両者の初会
談は九四年九月 ︑ロンドン
市内のレストラン個室で行 新間は公職選挙法上 ︑
自由な報道のみならず ︑ 自由に意見を表明するこ 陀 税
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毎 陶 京 特 定 の 支 持
鮮 ︑
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の日本新聞協会編集委員 できる ︒ などを社是や綱領に掲げ
会は﹁政党などの主張や しかし︑日本の新聞は ︑ ているとはいえ ︑個々の
政策 ︑候補者の人物 ︑経 選挙中に特定の支持を鮮 政策や政治的問題には ︑
歴 ︑政見などを報道した 明にすることはない ︒全 社論で﹁是々非々﹂を表り︑これを支持したり反 国紙に限って言えば ︑そ 明しているのが普通だ ︒ 対したりすることはなん の発行部数がけた外れら制限を受けない﹂との で ︑ 一方への支持を打ろ
統一見解を出しており︑ 出すことによる影響があ
特定の政党や候補者の支 まりにも大きいものと予
持表明もしようと思えば 相
いさ
れるからだ ︒