平成 23 年度 建築士制度等に関する資格・教育の国際比較検証調査(概要)
1. アーキテクト制度及び相互認証制度の骨格
今回、調査対象とした各国の建築設計資格制度の具体的な詳細は様々であるが、その基本的な 枠組みを図1に示す。
アーキテクトの資格を与える機関は、アーキテクトになって建築業務サービスを提供する者に 対して、本人が当該サービスを提供できうるだけの資質、能力を有することを確かめるため、教 育、実務及び試験の3つについて要件を定めている。そして、これらの3要件のそれぞれについ て申請者が満足していることを資格付与機関に対して証明するにあたり、教育、実務訓練または 試験を実施する機関や、それらの機関を認定する機関が存在する。
一方、資格を付与され、登録されたアーキテクトが人々に提供する建築業務サービスの品質 を維持できるよう、名称や業務の独占、職業倫理規準の遵守、継続職能教育の実行、資格の更新、
保険の加入、監督処分といった仕組みが各国それぞれにみられる。そして、これらの仕組みを資 格付与機関やアーキテクトで構成する職能団体が運営している。
図1 資格付与、認証の構成
以上の制度の枠組みや手続きは、国や州が定める法令、さらにはいわゆるアーキテクト委員会 が定める規則に従うことから、制度は当該法令等が適用される域内においてのみ適用される。一 方、実際には、資格取得前に域外において教育や訓練を受けることや、資格取得後に域外におい て建築業務サービスを提供することがみられる。そこで、アーキテクトになりたい者の資質能力 の水準について、あるいはアーキテクトが提供するサービスの品質について、互いに同等以上で あると認める各域の機関同士において、域内を超えた相互認証の協定を締結し、運営している。
資格付与とその登録
←教育の提供 ア
ー キ テ ク ト の 資 格 を 求 め る 者
ア ー キ テ ク ト と し て 登 録 さ れ た 者
←実務訓練の提供
←試験の実施
登録の更新
←名称の独占や業務の実施 独占
←職業倫理規準の遵守
←継続職能教育
同左 両者の項目のう
ち、たとえば教 育や資格などに ついて、同等な ものにつき、域 内相互の協定に 定めることがあ
←監督処分 ほか る。
別の域内(国内)
ある域内 ある域内(国内)
これらを当該域内での法令等に定める これらを当該域内での法令等に定める
2. 各国におけるアーキテクト制度及び相互認証制度 2-1.アーキテクト制度
当センターでは、これまで、欧米・アジア地域を中心に海外における建築士制度に関する基礎 的な調査を行ってきた。今回の調査では、欧米諸国及び APEC 域内で相互認証を進めている関係 諸国を中心に 10 カ国について、アーキテクトとしての資格取得前と資格取得後(主に登録の更 新)に着目して、関係する運営機関とその仕組みについて調査を行った。
表 1 にアーキテクト制度に関係する主要な運営機関を示す。これら以外にも、建築高等教育機 関、試験実施機関及びアーキテクトの職能団体なども制度の運営の一端を担っている。これら機 関では、多くの場合、法令の定めるところにより、アーキテクトの職能団体や建築高等教育機関、
さらには議会が指名する市民など、各界からの委員で構成される委員会を設置し、同委員会の判 断決定のもとに事務局がそれを執行する体制となっている。こうした仕組みにより、資格の付与 や剥奪、認定の付与や取り消しといった権限の行使にあたって公平性を確保している。
表1 アーキテクト制度に関係する主要な運営機関
国 主要な運営機関(日本語名称は仮称)
1.アメリカ合衆国 各州の建築家委員会が登録し、監督するほか、次の機関が州を越えて調整を図る。
i)各州での試験や実務などの標準化を図る全米建築家登録委員会協議会(NCARB:
National Council of Architectural Registration Boards),
ii)国内の大学教育課程を認証する全米建築 課程認定委員会(NAAB: National Architectural Accrediting Board)。
2.カナダ 各州の建築家協会が登録、監督するほか、カナダ建築関連認証委員会(CACB-CCCA:
Canadian Architectural Certification Board)が州を越えて調整を図る。
3.オーストラリア 各州の建築家委員会が登録し、監督するほか、全豪建築家認定協議会(AACA:
Architect Accreditation Councils of Australia)が州を越えて調整を図る。
4.ニュージーランド ニュージーランド登録建築家委員会(NZRAB: New Zealand Registered Architects Board)が登録、監督する。
5.イギリス 建築家登録委員会(ARB: Architects Registration Board)が登録、監督する。
6.ドイツ 各州の建築家会議所( BAK: Bundes Architekten Kammer) が登録、監督し、連邦 建築家会議所が統括する。
7.フランス 建築家協会(OA: Ordre des Architectes) が登録、監督する。
8.中国 中華人民共和国住宅都市農村建設部執業資格登録センターが試験、登録、監督を する。
9.台湾 中華民国内政部、直轄市、県が登録、監督し、考試院などが試験業務を担う。
10.韓国 国土海洋部と大韓建築士協会とが試験を行い、同協会に登録する。社団法人韓国
建築教育認証院が大学認証する。
各国のアーキテクト制度を概括すると、次のとおりである;
(1)アーキテクトの資格登録を得るために
ある域内にある運営機関は、大学等において建築に関する高等教育を修了し(教育要件) 、ア ーキテクトの所属する事務所等において実務訓練を積み(実務要件) 、試験に合格(試験要件)
した者にアーキテクトの資格を与え、登録をする。これらの要件の具体的な内容は各域内であら かじめ指定されており、域毎に多様である。このほか、例えば域外など指定されたもの以外での 要件を満足する申請者であっても、資格付与や登録をすることができる場合がある。
(2)登録されたアーキテクトとしての建築実務の実施
登録されたアーキテクトは、アーキテクトと名乗ることができ、アーキテクト事務所に所属あ るいは事務所を開設して建築実務に携わる。なお、建築許可申請へのアーキテクトの関与、事務 所の登録や損害保険への加入などをその法令に定める域内もみられる。なお、建築実務の実施に あたっては職業倫理規準の遵守が求められ、運営機関は、クライアントなどからの不服申し立て などトラブルあれば、これを調査し、必要に応じて当該アーキテクトに監督処分を行う。なお、
アーキテクトに対して継続職能教育を積むことを登録の更新の要件とする域内もみられる。
2-2.相互認証制度
表2では、今回、調査の対象とした相互認証制度を一覧として挙げた。
認証の対象となるものは、高等建築教育課程やアーキテクト自身など多様ではあるが、それら が互いに実質的に同等であると認めることで、国や州、エコノミーを超えての教育課程やアーキ テクトの流動性を高めることに資する仕組みを目指している。特に、アメリカ合衆国内の各州、
アメリカとカナダ、オーストラリアとニュージーランドの間では、高等教育課程や実務経験の相 互認証や試験の共有がすでにみられる。例えば米国では、他の州で認められたアーキテクトを時 には固有の試験を追加するなどして、自らの州のアーキテクトとして認める場合があり、いわば 国境(厳密にいえば州境)が存在しない、完全に流動的なものとなっている。この他にも、APEC 各国や EC 各国では、固有の条件を審査付加した上で資格を相互認証するといった様々な態様の 流動性が模索されている。
表2 主な相互認証制度
相互認証制度 概要
APEC アーキテクト制度 実務経験などについて一定レベル以上にあると認められるア ーキテクトに対し、APEC 域内での共通の称号を与え、その登録 を APEC 域内で統一的に行う制度
APEC エンジニア制度 実務を独立して行うことにふさわしいプロフェッショナルエ
ンジニアとして評価された APEC エンジニアについて、相互認
証することによって APEC 域内における活動を促進させる制度
キャンベラ合意 各国内における大学等での建築学に関する教育課程を認定す る制度が実質上同等であることを認め、互いに利用可能とする ことを合意したもの
ワシントン合意 工学学位課程への認定を業務とする機関の間で、これらの機関 が認定する工学学位課程が実質的に同等であることを認めた 上で、いずれかの機関が当該課程を修了したと認めたものにつ いては、他の機関は高等教育履修要件を満足していると認める ことを合意したもの
UNESCO-UIA 建築教育憲章及び UNESCO-UIA 建築教育認定制度
国際社会における建築教育のあるべき姿について宣言し、大学 等が提供する建築教育を認定する仕組みを提唱
EU 指令 EU 域内における建築家の相互認証を図ろうとする指令 ボローニャ宣言 主に EU 各国における教育の相互認証を目指す宣言
3.おわりに
今回の調査では、建築・住宅国際機構の協力を得て、各国のアーキテクト制度またはその相互 認証制度を担う機関や職能団体が提供する web 頁及び文献を参照し、アーキテクトになるまでの 制度とアーキテクトになってからの制度に関する記事を抽出整理するとともに、これを補足する ため各国の制度について調査・研究されている有識者からヒアリングを実施した。また、これら の制度の根拠となる法令や建築許可制度との関係についても可能な範囲で情報収集し、とりまと めた。
各国のアークテクト制度及びそれを相互認証する制度の骨格は相似であるといえるが、その具
体的な詳細は国別あるいは同一国内であっても地域により多様であり、しかも時代とともに変遷
しつつある。このため、今後とも様々な方法により情報収集を継続していくことが必要である。
2012年3月調査時点 その他
国
学歴要件(大学相当は○) 名称独占の
有無と名称
業務独占の
有無と範囲 CPD
(①内容②実施主体等)
その 他 各州他が定め
るアーキテクト 法(Architect Practice Act)*
*50州の他、グ アム、プエルトリ コ等 の4準州の 計54
NAABが認定する123大学等*
*1 建築学の154課程(学士58,修士95、博士 1)のいずれか1課程を修了
*2 各課程では最低、学士150、修士168、又 は博士120単位が必要。
*3 州により4年生専門学校、高校卒であって も学歴要件可(但し実務年数を付加:例えば ニューヨーク州では各々5年、12年)
*4 特に大学の所要年数は明記していない が、米国アーキテクトからのヒアリングによると 学位取得は最低でも4年必要。
「アーキテクト
(Architect)」
(各州のABへの 登録が必要)
州により相異*(CA州では以下の通り)
*1 全ての建築物(但し病院の構造設計以外
(structural engineerが実施))に係る建築実 務を提供、実践又は監督
*2 1、2階建の木造枠組み壁構造の戸建て住 宅はアーキテクトでなくても設計可能(但し構造 安全性に影響を与える部分は除く)
全州で更新が必要*
*殆どの州が1~2年で更 新
多くの州ではあり。
①44州等が資格更新条件*
*州によりCPDの内容や時間は 多様で、CA州はユニバーサル デザインに関して5時間、NY州 は健康、安全及び福祉で36時 間
②NCARBは他州で取得した CPDも認めることを推奨する他 自己学習用専攻論文集をCPD 教材として発行。
無 州により相異*
*CA州及びNY州では、アーキテクトの 業務は個人、会社、有限責任会社、或い は職業組合(組合員はいずれも免許を 得ている必要がある)など形態は多様で あるとしたうえで、これらの事務所を登 録。
105,312人 (2010)
AB:Architects Board(アーキテクト 委員会)
NAAB:the National Architectual Accrediting Board(全米建築課程認定 委員会)
NCARB:National Council of Architectual Registration Board(全米 建築家登録委員会協議会:各州の行政 組織である建築家登録委員会の委員等 で構成され、各州のアーキテクト法策 定のガイドラインや各州が実施する標 準的建築試験問題等の作成やCPD制度 に係る教材の発行等を行っている。)
各州が定める
アーキテクト法CACBが認定する11大学。これらに替わ りうるものとしてRAICが提供するシラバス
「アーキテクト
(Architect)」 Ontario州では、築実務(建築物の建築、
増築または改造に関する設計、評価、アド
Ontario州では毎年 更新
Ontario州では、コア学習と選 択学習とで2年間を1期として義
無 Ontario州では建築実務を市民に 対して申し出かつ/または提供する
Ontario州で は2 934人
CACB-CCCA:the Canadian Architectural Certification Board(カナ ダ建築 連 会)
各州のアーキテクト協会が提供する3年間(分野毎 に必須時間あって計5600時間)のInternship in
資格者人数
(資料年度)
項目 根拠法
資格取得前
①CACBが開発するExACと呼ばれる試験
②プロジェクトの企画編成、現場分析、コストマネジメント、
資格取得要件 備考
アメリカ合 衆国
(州単位)
実務要件 試験
(①実施主体②試験内容)
①各州のAB
②7科目(建築設計、構造設計、設備設計等)にお ける多肢選択式とスケッチ試験(Graphical Quesutions)*
*1 標準的試験問題(ARE)はNCARBにより作成されパ ソコン上により実施される
*2 州によっては更に、科目等の追加や面接有り
資格取得後
卒業後5,600時間*
*1 NCARBが運営監理する実務経験( IDP : Intern Development Program )を卒業後インターンとして獲得す ることが各州ABに推奨されている
*2 44州はIDPを採用しているが、10州では、この実務要 件基準の年数等を増減したり、独自の実務経験を設定して いる
資格の 更新制 の有無 資格固有の独占
事務所登録の必要性 継続教育の義務等
主要国建築家資格制度比較表
法
(The Architects Act)
りうるものとしてRAICが提供するシラバス プログラムに基づく見習い実習。
(Architect)」
(各州のアーキテ クト協会への登録 が必要)
増築または改造に関する設計、評価、アド バイス、検査など)はアーキテクトや右の実 務証明書を得た会社が行う。
更新 年間ライセンス料 (annual License fees)を支払う。
択学習とで2年間を1期として義
務付け。 対して申し出かつ/または提供する
会社等はOAAが発行する実務証明 書(Certificate of Practice)が必 要。
は2,934人
(2011) ダ建築関連証明委員会)
各州にあるAssociation of Architects(アー キテクト協会)
ARBが認定する29大学。
(part 1)
各州等が定め るアーキテクト 法(Architect Act)*
*ビクトリア、
ニューサウスウ エールズ等5州 とタスマニア等 3地域 計8州等
オーストラリア建築学課程信用付与制度 に基づきAACA、AIAが審査し、ARBと 共に承認した5年制大学の建築教育課 程(豪内で16大学32課程)を修了
「登録アーキテクト
(Registrated Architect)」
(各州のARBへの 登録が必要)
州により相異*
*1 Vic州やNSW州では建築物の計画、設計、
建設、増築、維持、修復又は改造等の建築に係 るサ-ビス*を提供する者は登録アーキテクトの資 格を有する必要があるとアーキテクト法で規定(*
企画、土地利用計画、都市設計、予備調査、設 計、モデル化、製図、仕様書や技術文書の作成 等)
*2 NSW州ではアーキテクトの資格等を持たな いデザイナーでもはデザイン、製図に係る役務 は可能
毎年更新*
*VIC、NSW州等では建 築家は登録費の更新が 毎年有り(理由なくARB に納入しないと登録は保 留))
①州により相異*
*例えばVic州及びNSW州では毎 年登録においてCPD実績の報告を 求め、年間20時間以上(公的 CPD10時間以上とそれ以外(自己 学習等)を義務付け
②AIAがCPD制度を運営
(CPDプログラム提供主体は多 様であり、ARBは特にプログラ ム認定しない)
無 州により相異*
*例えばVic州では事務所/共同経営体を 承認登録制とし、この場合各々最低1名 の損害保険加入した登録アーキテクトが 必置。NSW州では建築実務の責任者を the nominated architectsとして事務 所を登録)
9,500人
(2003)
AACA:Architect Acceditation Councils of Australia(オーストラリア 建築家認定協会)
AIA:Australian Institute of Architects(オーストラリア建築家協 会)
ARB:Architects Registration Board
(建築家登録委員会)
APE:Architectual Practice Examination(建築家実務試験
(AACAがARBと共に運営))
ARB:Architects Registration Board
(建築家登録委員会)
RIBA:Royal Institute of British Architects(王立英国建築家協会)
上記、part 1及びpart 2に替えてARBが行う試験による合格でも可能
オーストラ リア
アーキテクトの監督下で2年以上(うち1年以上は豪 国内)における7分野(設計、法令、契約等)での 3,000時間以上の業務実績
無 無 アーキテクトという名称をその社名に
用いる者は、「建築に関する実務を 登録アーキテクトの監督と運営の下 で行う」趣旨の確認書をARBに提出 し、登録が必要(ARBが法に基づき 定めた規約による)。
「アーキテクト
(Architect)」
(ARBへの登録が 必要)
アーキテクト法には「建築家のみが役務を 提供できる」としているが、法的にはその具 体的な内容は例示されていない。
但し、建築確認やリサイクル法、バリアフ リー法などの手続きにおいて、アーキテクト の関与(assist)はある。
毎年更新*
*登録維持費(annual retention fee)の更新が 毎年有り(ARBに納入し ないと登録簿から削除)
イギリス
アーキテクト法
(Architect Act 1997)
登録されたアーキテクトの監督下で、学歴要件*1の 取得後に1年、学歴要件*2の取得後に1年、合計最 低2年建築実務を修了(part 2)
カナダ
に必須時間あって計5600時間)のInternship in Architectural Programに参加し、登録アーキテクト であるMentorから指導を受けて仕事をする。
工程調整、設計、契約締結、現場管理、プロジェクトマ ネージメント、技術基準の収集整理から出題。州によって 法制度等に関する講習の受講。.
①ARB
②建築に関する分析的論文と裏付ける図書等 (supporting materials)とをARBに提出し、必要 に応じ面接を行い、実務試験を実施(part 3)*
*これに代えて、RIBAにおいて演習や職業経験を積んで 筆記試験と面接に合格することでも良い。
①各州ARB
②全国一斉のAPE*
*多岐選択式筆記試験(1時間)と面接試験(実務経験等 に関する1時間程度の面接)
アーキテクト法 (Registered Architects Act 2005)
NZRABが承認(recognise)する大学建 築教育課程でニュージーランドで3大 学、オーストラリアで15大学、たはシンガ ポールで1大学。
「登録アーキテクト (Registered Architects)」
(NZRABへの登 録が必要)
何人も、a Registered Architectでなけれ ば、建築物を設計し、建築物の計画と仕様 とを定めたり、建築物の建築の監理を、
アーキテクトというタイトルを用いて、行うこ とはできない
毎年、手数料を支 払って、登録証明を得 る。
Actは継続的職業開発の枠組 を定め、NZIAが参加者、プログ ラム、プロバイダー登録を運営。
無 1624人
(2011)
NZRAB:New Zealand Registered Architects Board(ニュージーランド・アー キテクト登録委員会)
NZIA:New Zealand Institute of Architects(ニュージーランド・アーキテクト 協会)
中華人民共和 国登録建築師 法令
①建築、建築設計学科、又は建築関係 学科の学歴を大学(4、5年制以上*)か 専門学校(2、3年制)で卒業 又は
②その他工科学科を大学(4、5年制以 上)で卒業
*通常、大学における建築学学位は4年 で取得
「登録建築士(一 級)」
(PQRCへの登録 が必要)
建築設計に関する業務 2年更新*
*業務実績、法遵守状 況、CPD等により審査
①更新に当たり80時間以上(う ち40時間は必修)が義務付け
②NABARの指導の下、PQRC により実施
無 建築専門技術者が設計活動に従事 することに対して開業資格登録管理 制度に基づく登録が必要 なお事務所はPQRCによる設計技 師事務所標準の要件を満足したう え、工業・実務管理機関に登録
19,533人
(2011)
NABAR:National Administration Board of Architectural Registration
(全国登録建築師管理委員会)
PQRC:Practice Qualification Registration Center of Ministry of Housing and Urban-Rural Development of the People's Republic China(住宅都市農村建設部業務資格登 録センター)
大学4年或いは5年生、及び大学院2~
3年制が主(建築関係の学部を有する大 学は計29校 大学の認定は教育部が行 う)
建築工程科の試験に合格しており、かつ 建築工程の仕事経験が満4年以上あり
3,421人
(2011.6)
※開業登記 している建築 師の人数 6年ごと。過去6年内
の累積点数が300点 以上の研修証明書が 必要。
左記の点数が該当する様子。
管轄は内政部営建署。
「建築師」
職業証明書の発 行機関は内政部 営建署。
建築師証明書を 有し、2年以上建 築工程経験がある 者は、開業証明書 を申請しなければ
建築師法の規定に基づき、建築師は委託 人の委託を受けて、建築物及びその実質 環境の調査、測量、設計、建造監督、見積 り、検査、鑑定等各種業務を行うとともに、
委託人に代わり、建築許可の申請、入札、
施工契約の策定及びその他工程上の協議 事項等を処理する。
台湾
(建築師)
建築師法 1971年制定
(2009年改 訂)
実務経験は、試験合格後2年以上を原則とする。
なお、受験前に、3~5年の実務経験を有するか、ま たは応募資格に合致する建築学者で、1~3年以 上、建築関係の授業を2科目以上教授した経験があ る者は、1科目のみ試験免除となる。
ニュージー ランド
140週間以上の関連する実務経験(うち少なくとも45週間以上はニュージーランド又はオーストラリアの登 録アーキテクトの監督の下で行われるもの)。さらに、これら実務経験は、申請者と2名の評価官との対面で の専門技術に関する討論で評価を受ける。この討論では、申請者が関わった、複雑な建築物でのプロ ジェクトを一以上含む最大3までのプロジェクトでケーススタディするが、これは複雑な建築物を設計できる 能力が登録には必要とThe Registered Architects Rules 2006に定めているためである。
中華人民 共和国
(一級登録 建築師)
卒業後2年~11年の実務*
*2年(大学の建築、建築設計学科の修士課程及び建築関 係学科の博士課程修了者)から11年(専門学校の建築関係 学科2年制修了)まで学歴により15段階有り
建築師法の規定によれば、建築師 が開業する場合、建築師事務所を 開設しなければならない。二人以上 の建築師が共同で建築士事務所を 開設しても構わない。所在地の直轄 市・県(日本の都道府県レベルに相 当)において登記開業の手続きを行 う。業務執行地域は全国となる。
①NABARの指導の下、PQRCが実施する全国統 一試験
②多肢選択式筆記試験(6科目16.5時間)と製図試 験(3科目15.5時間)
国家試験レベルの専門職業及び技術人員高等試 験建築師試験。毎年一回実施。
①考選部
②建築師試験は筆記試験であり、必須科目は6科 目(①建築計画と設計、②敷地計画と都市設計、③ 営繕建設法規と実務、④建築構造、⑤建築構造と 施工、⑥建築環境コントロール)
同必須科目の出題類型は以下のとおり。
(1)③及び⑤:選択式試験
(2)④及び⑥:論文式及び選択式の混合 建築工程の仕事経験が満4年以上あり、
右証明書を有する者
建築分野実務経歴(9年以上)(※1)
建築士法
(2012年5月 31日施行)
KAABが認定する大学 72大学(5年生)と4大学院 (2011年5月)
「建築士」
(国土海洋部長官 に登録)
建築物の設計と工事監理に関する業務 3年更新 更新前に実務教育が必要 建築法による建築士の業務を行う場 合は、建築士事務所を開設し、国土 海洋部長官に開設届出を行う 大学 4年(※2)
短大 2 or 3年(※2)
高専 5年(※2)
旧専門学校 2年(※2)
下記資格取得者の受験可 ・二級建築士
建築設備士
343,650人
(2011.3.31
)
※1 2009.12.31まで有効
※2 いずれも国土交通大臣の指定する建 築科目を修めて卒業した者に限る。なお、年 数は学校教育法、もしくは旧専門学校令によ るもの。
※3 大学院の課程におけるインターンシッ プも実務経験として認められている。
3年(3年制卒の場合)
4年(2年制卒の場合)
4年
左記資格取得者としての実務が4年
無 無 定期
講習
(3年 毎)(事 務所に 属する 建築 士の み)
「一級建築士」
(中央指定登録機 関である日本建築 士会連合会への 登録)
・RC、S造等で延べ面積300㎡、高さ13m 又は軒高9m超
・延べ面積1000㎡超、かつ、階数2以上 学校、病院等で延べ面積500㎡以上
・木造で高さ13m又は軒高9m超 実務経験3年以上
日本
(一級建築 士)
建築士法 2年(※3) ①都道府県への事務所登録が必要
(5年更新)
②開設者は無資格でも可
③管理建築士を置く必要有
①国土交通大臣施行
(試験は、大臣指定機関が実施)
②学科(5科目6.5時間一次試験相当)、設計製図
(6.5時間二次試験相当)
現在施行令制定中
16,587人
(2009.6.30
)
KIRA:Korea Institute of Registered Architects(大韓建築士協会)
大学については、KAAB(Korea Architectual Accreding Board)の 建築教育プログラムあり(5年生大学-73 校
建築専門大学院-4校(2010年1月)
短期大学(建築分野卒業)→実務経歴(2年以上)
高等学校(建築分野卒業)→実務経歴(4年以上)
建築物の設計と工事監理に関する業務 無 無 実務経験
(5年) →
建築士試験(2026年まで)
①国土海洋部とKIRA
②製図のみ(敷地計画、建築 計画Ⅰ、Ⅱ、各3時間、計9時 間)
「建築士」
(国土海洋部長官 に登録)
韓国
建築士法 大学(4又は5年の建築分野卒業あるいは卒業予定者)
→
建築士予備試験(2019年まで)
①国土海洋部とKIRA
②多肢選択式筆記試験(建築計 画, 建築構造, 建築施工, 建築法 規 合わせて160分)
→
を申請しなければ ならず、建築師は 開業証明書を取 得するまでは、業 務を行ってはなら ない
無 建築法による建築士の業務行う場 合は、建築士事務所を開設し、国土 海洋部長官に申告
( )④及び⑥ 論文式及び選択式 混合
(3)①及び②:論文式試験
各科目100点満点とし、全て60点以上を合格とす る。一部科目の合格者は、科目合格の権利を3年 保留でき、不合格の科目について連続3年内に受 験しなければならない。
・建築設備士 み)