p
進モジュラー形式のCOLEMAN
変形族とゼータ元落合理(大阪大学理学研究科)
Contents
1.
導入—
主結果の説明— 1
2.
言葉の説明—
擬測度,
指数写像— 5
3.
証明や構成の大事な点8
4. Coleman
変形の2
変数岩澤理論への展望9
References 11
1.
導入—
主結果の説明—
p
を奇素数として固定する. Q
の代数閉包Q
の複素埋め込みι
∞: Q , → C , p
進埋 め込みι
p: Q , → Q
p を固定する.
Coleman
はその論文[Col96], [Cole97a]
においてColeman
変形と呼ばれるHecke
固 有カスプ形式のp
進変形を構成した. Coleman変形は, ある意味ではそれ以前に知ら れていた肥田変形と呼ばれる肥田によるモジュラー形式のp
進変形(例えば, [Hid93]
を参照)の一般化と言える. 今回発表させていただいた仕事は,その
Coleman
変形の 円分変形においてBloch-加藤の指数写像を p
進補間するColeman
写像の構成である.この論説を通して次のことに触れたい
: (1)
言葉や状況設定の説明.
(2) Coleman
写像に関する先行研究との関連.
(3)
技術的なセールスポイントや注意点. (4) Coleman
写像を構成する動機.
証明は
,
込み入った不等式評価の積み重ねという感が強いので,
本論文の単なる和訳 以上の意味のある説明は無理そうである.
また,
技術的な性格が強い仕事なので,
こ の論説では証明の技術的な詳細については全く立ち入らず,
本論文に書かないような 気持ち的なことや言葉の説明を補う論説とさせていただきたい.
内容の詳細は本論文[NOch16]
を参照されたい.
先述のように
, Coleman
変形はそれ以前に存在した肥田変形の理論の一般化であ り,
(粗くいうと)逆にColeman
変形でスロープを0
に限定したものが肥田変形で ある.f = ∑
∞n=0
a
nq
nがp
進モジュラー形式で,f
がp
におけるHecke
作用素の固有 ベクトルとなっているとする. このとき, ordp(a
p(f )) ∈ Q
≥0∪ {∞}
をf
のスロープ と呼び,α(f) = ord
p(a
p(f ))
と記す.f
が重さk
0の通常の(代数的な)Hecke
固有カス プ形式のときには, 0 ≤ α(f ) ≤ k
0− 1
である.
もともと,
考えているp
進モジュラー1
形式に付随したフィルター
φ-加群の Newton polygon
の傾きに当たるので,スロープ という名前が付いている.[Cole97b], [Cole97a]
によってColeman
変形族と呼ばれるp
進モジュラー形式の変形 族を構成した.
それを紹介するために,
まず「重さ空間(weight space)
」の中のアフィ ノイド空間を設定する. p
と素な自然数N
を固定する.
以下で中心的な役割を演じるレ ベルN
の重さ空間W
N はリジッド解析空間であり, W
N( C
p)
はHom (
( Z /N p Z )
×, C
×p)
で添え字付けられるC
pの中の1
を中心とする半径1
の開円盤B (1, 1)
のφ(N p)
個の コピーである(
例えば, [Cole97b, Sect. B1], [CM98, Sect. 1.4]
を参照のこと).
また, C
pの勝手な閉部分体K
に対して,
W
N(K) = Hom
cont(lim ←−
n( Z /N p
nZ )
×, K
×)
が成り立つ.
定義
1.1. ω : µ
p( Z
p) → Z
×p をTeichm¨ uller
指標⟨⟨ ⟩⟩ : Z
×p→ 1 + p Z
pを, pro-p部分へ の射影x 7→ x/ω(x)
とする. 勝手な整数k
と勝手なmod N
のDirichlet
指標χ
に対し て, 指標χ ⟨⟨ ⟩⟩
k∈ W
N( C
p)
あるいはその指標から定まる組(χ, k)
を数論的点と呼ぶ.重さ空間の中のアフィノイド部分空間
X
(k0,i)[r]
をX
(k0,i)[r] := { ε
Nω
i} × B [k
0, r] ⊆ W
Nで定まる中心が
k
0∈ Z ,
半径r ∈ p
Zのp
進閉円盤とする.
アフィノイド空間X
(k0,i)[r]
上のリジッド解析函数の環を
A
X(k0,i)[r]で記し, A
X(k0,i)[r]の中のpower bounded
な函 数たちのなす部分環をA
X0(k0,i)[r]で記す
. Coleman[Cole97b]
によって次の結果が知ら れている:
定理
1.1 ([Cole97b]). f
を重さk
0 レベルΓ
1(N p),
スロープα < k
0− 1
の古典的な 意味での正規化された固有カスプ形式とする. f
はNeben
指標ε = ε
Nω
i−k0 を持ち, p
の外では原始的であるとする.
簡単のため, f
のフーリエ係数はすべてZ
pに入ると 仮定する.
また, i = 0
のときに限って,
さらにa
2̸ = ε
N(p)p
k0−1 を仮定する(
ここで, a
はf
のU
p固有値とする).
このとき
,
各自然数n
で,
半径r
のA
X0(k0,i)[r]上で定義されて以下の条件たちをみた すリジッド解析函数
a
nによる形式的なq
展開F =
∑
∞ n=1a
nq
n∈ A
X0(k0,i)[r]
[[q]]
が存在して次をみたす
.
(1) k > α + 1
をみたす全ての整数k ∈ X
(k0,i)[r]
に対して, k
での特殊化で得られ る形式的なq
展開F
k=
∑
∞ n=1a
n(k)q
n∈ Z
p[[q]]
はレベルN p,
重さk,
スロープα ∈ Q
≥0,
指標ε
Nω
i−k を持つ古典的な意味での正規化されたある固有カスプ 形式f
kのq
展開と一致する.
2
(2)
重さk
0での形式的なq
展開∑
∞ n=1a
n(k
0)q
n∈ Z
p[[q]]
はf
のq
展開と一致する. (3)
空間X
(k0,i)[r]
は[Kis03, (5.2)]
の意味でa
p-small
である.
以下,
k
0と十分小さなr
を固定して,X
(k0,i)[r]
を省略してX
と記す.定理
1.2.
定理1.1
の状況のもとで, F
に付随する連続なG
Q,S作用を持つ階数2
の自 由A
X0 加群T
が存在する.
つまり,
付随する表現をρ : G
Q,S−→ Aut
A0X
( T )
で記し
, k > α + 1
をみたす全ての整数k ∈ X
の集合をZ
で記すとき,
任意のk ∈ Z
でρ
の特殊化ρ
kはf
kに対するDeligne-
志村のp
進ガロワ表現V
fkと同型である.
以下では,
V
fkを短くV
kと略記する. また,V = T ⊗
ZpQ
pとおく. 定理1.2
については
, Wiles
が[Wil88]
において定義した意味での「擬表現」を構成すればガロワ表現を構成できることが
[Wil88]
で示されており,
よって知られた事実である.
ただ,
擬 表現の構成は完備局所環であることが大事である1.
アフィノイド代数は完備局所環 でないので, Wiles
の議論をそのまま文字どおり真似するとまずいことに注意したい.
Coleman
変形族に対する擬表現の構成は, 文献に構成が見当たらなかったので,我々の論文
[NOch16]
のTheorem 2.12, Corollary 2.13
でも定理1.2
の証明を与えた.以下が紹介したい論文
[NOch16]
の主定理である(まだ,
定義されていない言葉も あるが次節で説明する).
主定理
(Nuccio-Ochiai). X , V ∼ = A
X⊕2, Z
を上の通り, G
cyc= Gal( Q
p(µ
p∞)/ Q
p), Λ(G
cyc) = Z
p[[G
cyc]]
とおく.
このとき,
次が成り立つ.
(1)
階数1
の自由A
X 加群D
が存在して, 勝手なk ∈ Z
でのD
の特殊化が標準 的にD
k:= D
cris(V
fk)
φ=ap(fk)と同型になる.
(2) Coleman
変形族V
のスロープに等しいかスロープより大きなh ∈ Z
≥0を固定する
.
剰余ガロワ表現ρ : G
Q−→ GL
2( F
p)
のG
Qp(µp)への制限が既約である とする.このとき, 一意的な
A
X⊗ b Λ(G
cyc)
線型写像EXP
V: D ⊗ b
ZpΛ(G
cyc) −→ lim ←−
nH
1(
Q
p(µ
pn), T ) ⊗ b
Λ(Gcyc)H
h(G
cyc)
が存在して
,
勝手なk ∈ Z
と勝手な1 ≤ j
なる数論的指標χ
jcycϕ : G
cyc−→Q
×p で, 次の図式が可換になる:D ⊗ b
ZpΛ(G
cyc) −−−−→
EXPVlim ←−
nH
1(
Q
p(µ
pn), T ) ⊗ b
Λ(Gcyc)H
h(G
cyc)
(k,χjcycϕ)
y y
(k,χjcycϕ)D
k⊗ D
dR(χ
jcycϕ) −−−→ H
1( Q
p, V
k⊗ χ
jcycϕ).
1実際, Wilesが元々考えていた肥田変形の場合は基礎環である肥田のHecke環は完備局所環であっ た.
3
ただし,
H
h(G
cyc)
はlog
h-order
を持つG
cyc上の擬測度のなす加群であり, 次 節において説明される. また,E
p(f
k, j, ϕ) =
1 − p
j−1a
p(f
k) ϕ = 1, ( p
j−1a
p(f
k)
)
ordp(ϕ)ϕ ̸ = 1.
とすると, 可換図式の底部の写像は,
( − 1)
j(j − 1)!E
p(f
k, j, ϕ)exp
BKVk⊗χjcycϕ
で与えられる.
先行結果との関係を述べる
.
注意
1.1. (1)
肥田変形の場合には,
今回の仕事の原型となる2
変数Coleman
写像の理論
[Och03]
がある.
肥田変形は重さ空間全体上の大域的な変形で, Coleman
変形は重さ空間において局所的な変形である
.
また,
肥田変形の構成は代数的であり
, Coleman
変形は過収束p
進モジュラー形式のなすp
進Banach
空間での
p
進コンパクト作用素U
pの固有空間を張り合わせる解析的な構成で ある.
このように,
そもそも土台となる変形空間の構成が大きく違うが,
本主定理は
[Och03]
の主定理と見かけ上は酷似しており,
その意味で[Och03]
のnon-ordinary
な一般化であるとみなせる.(2)
構成の技術的な側面でも, 今回の研究と先行研究[Och03]
の手法は全く異なる.
[Och03]
では, 一番本質的な部分で古典的な円単数のColeman
ベキ級数の理論に帰着できた
.
このアイデアは, Coleman
変形のようなnon-ordinary
な ガロワ変形では全く意味をなさない.
よって,
我々の主定理を示す手法はむしろ
Perrin-Riou
の先行研究[PR94]
と関係が深く,
直接的なコサイクル計算に基づいて構成している
.
(3) Perrin-Riou[PR94]
は,
クリスタリンなp
進ガロワ表現V
に対して,
円分塔(cyclotomic tower)
でBloch-
加藤の指数写像exp
BKV⊗χjcycϕ を補間する「
1
変数のColeman
写像」を構成した.
本研究は,
技術的には, [PR94]
におけるp
進ガロ ワ表現V
を肥田変形やColeman
変形などのガロワ変形に置き換えた一般化 であるとも言える.
そして,
そのような変形への一般化が得られるためには,
[PR94]
で曖昧にしても事足りた途中の函数方程式の解の分母の評価計算を全て明示的にすることが本質的である
.
本研究では,
そういった分母の評価と同時に
, [PR94]
でわかりにくかった詳細を埋めて,
洗練化した別構成を与えることにも努めた
.
(4)
さらに, 定式化の側面では,[PR94]
の主定理を変形の状況にそのまま翻訳し ただけでは本質的にうまくいかないことにも注意したい.[PR94]
の結果では,D
crys(V )
全体上で定義されたexp
BKV⊗χjcycϕ を補間する. 今, もし
Coleman
変 形の中でp
進ガロワ表現V
fk を変動させると, D
crys(V
fk)
全体上で定義されたexp
BKVfk⊗χjcycϕの補間因子の分母は有界でない
.
また, Coleman
変形に現れるV
fk4
たちは必ずしもクリスタリンとは限らない. 本研究のアイデアは,
D
crys(V
fk)
全体を考えず, 部分空間D
cris(V
fk)
φ=ap(fk)に制限すると全てがうまく機能す るということである.D
cris(V
fk)
φ=ap(fk)の補間である階数1
の自由A
X 加群D
は主定理の(1)
で与えられているが, このD
の構成はKisin [Kis03]
による(
Coleman
写像とは全く無関係な動機で)構成したフィルター加群の変形空間に依存している
.
このD
上では分母は有界になるし,
この定式化はp
進L
函数と
Euler
系を結びつける将来的な応用とも相性の良い定式化である. Kisin
によるフィルター加群の変形空間と
Coleman
写像の融合は,
今までのColeman
写像の諸々の研究にはなかった新しいアイデアであるように思われる. (5) [PR94]
の結果を(Φ-Γ)
加群を用いた“
別証明”
がColmez, Cherbonnier, Berger
らによってなされている
([Colm98], [CC99], [Ber03]
を参照のこと).
しかしながら
,
これは, [PR94]
のColeman
写像の構成の完全な別証明というわけではなく
,
構成の一部分の別証明のように思われる.
例えば,
上述の主定理のよ うな擬測度H
h(G
cyc)
を用いたColeman
写像を復元するには,
現れる分母を評 価しなければならず,[PR94]
のように具体的に計算して方程式を解く必要が ある.(Φ-Γ)
加群で現れるRobba
型のp
周期環の構成だけではH
h(G
cyc)
は復 元しなさそうである.(6) Colmez, Cherbonnier, Berger
らの構成では, Perrin-Riou
の結果のようなガ ロワ表現V
に対するクリスタリンやstable
の仮定は必要ない.
また,
クリス タリンやsemi-stable
でない悪いV
f を持つカスプ形式f
でもBeilinson–
加藤 元は全く同様に存在する.
なので,
例えば, semi-stable
でないbad reduction
を持つ楕円曲線の場合にも, Colmez, Cherbonnier, Berger
らの結果の応用に よって, Beilinson-
加藤のEuler
系から1
変数円分p
進L
函数が新しくできそ うに思える.
しかしながら,
上述のような理由で,
この場合の(Φ-Γ)
加群に よるColmez, Cherbonnier, Berger
らの構成を, semi-stable
でない楕円曲線のBeilinson–
加藤元に適用しても, reduction
が悪い場合のp
進L
函数や岩澤主 予想ができるわけでもないようである.H
h(G
cyc)
に擬測度を持つようなよいColeman
写像を構成した本研究では, 古典的で地味な方法に基づいて分母を正確に評価することが仕事の大きな部分を占める.
2.
言葉の説明—
擬測度,
指数写像—
前節の仕事の紹介で, 定義を述べなかったり説明しなかった言葉がいくつかある.
定義や関連する事柄を簡単に説明しておきたい.
Bloch-
加藤の指数写像: Fontaine
によって定義されたp
進周期の環B
cris⊂ B
st⊂ B
dR がある. Q
pの絶対ガロワ群G
Qpの作用を持つ位相的Q
p代数であり, B
dRはde Rham
フィルトレーション, B
cris(resp. B
st)
はフロベニウス作用素(resp.
フロベニウス作 用素とモノドロミー作用素)などの付加構造を持つ. これらの環はp
進Hodge
理論の 比較定理などで大事な役割を演じる(p
進周期環の定義については[Fon94]
や同論文 の参考文献を参照のこと.p
進Hodge
理論についても同論文が収められた同じプロ シーディングAst´ erisque 223
内の他の論文を参照のこと).
5
これらの環に対して, fundamental exact sequenceと呼ばれる以下の
G
Qpの作用を 保つ完全列が[BK90, Proposition 1.17]
などによって与えられた.
(1) 0 −→ Q
p−→
iB
cris−−−−−−−−−→
bx7→
(
(1−φ)x,x
) B
cris⊕ B
dR/B
dR+−→ 0
[BK90, Remark 1.18]
において説明されたように,
勝手なp
進ガロワ表現V
に対して(1) ⊗ V
で得られる短完全列:
(2) 0 −→ V −→ (B
cris⊗ V ) −→
b⊗id(
B
cris⊗ V ) ⊕ (B
dR/B
dR+⊗ V ) −→ 0
における全射
b ⊗ id
は連続なQ
p線型切断を持つ. よって, ガロワコホモロジーをと ることで長完全列が得られる.
定義
2.1. K
をQ
pの有限次拡大, V
を連続かつK
線型なG
Qp作用を持つ有限次元K
ベクトル空間とする. V
のde Rham
フィルター加群D
dR(V ) = (B
dR⊗
QpV )
GQp を考 える.
各自然数n
に対して,
上述のガロワコホモロジーの長完全列の連結写像として 得られるK
線型写像exp
BKV,Qp(µpn)
: D
dR(V ) ⊗ Q
p(µ
pn) −→ H
1( Q
p(µ
pn), V )
を
V
に対するQ
p(µ
pn)
上のBloch–
加藤の指数写像(Bloch-Kato exponential map)
と 呼ぶ.
G
をG
m やアーベル多様体のようなQ
p上の可換p
進Lie
群, V = T
pG ⊗
ZpQ
pと すると,
自然なKummer
写像により, G( Q
p(µ
pn)) ⊗
ZQ
p−→ H
1( Q
p(µ
pn), V )
がある.
また, D
dR(V ) ⊗ Q
p(µ
pn)
はtan(G( Q
p(µ
pn)))
と同一視される.
今, [BK90, § 3]
などで 論じられているように次の可換図式がある:
tan(G( Q
p(µ
pn)))
expclG,Qp(
µpn)
−−−−−−−→ G( Q
p(µ
pn)) ⊗
ZQ
p
y y
D
dR(V ) ⊗ Q
p(µ
pn) −−−−−−−→
expBKV,Qp(µpn)
H
1( Q
p(µ
pn), V )
ただし,
上の行の写像exp
clG,Qp(µpn) は
p
進Lie
群に対する古典的な指数写像であるとする
.
かくして, Bloch–
加藤の指数写像は可換p
進Lie
群上の古典的な指数写像のガロワ表現への一般化とみなすことができる
.
対数的分母を持つ擬測度の加群: ベキ級数環
Q
p[[X]]
の中で次のような分母の増大度 が抑えられた良いクラスの元が大事な役割を演じる.定義
2.2.
整数h ≥ 0
に対して,
次の加群H
h=
{ ∑
∞i=0
a
iX
i∈ Q
p[[X]] inf {
ord
p(a
i) + hℓ(i) }
i∈Z≥0
> −∞ }
6
を考えて,
H
h の元を対数的次数h
を持つベキ級数と呼ぶ. また,h ≤ 0
のときはH
h= H
0と定める. ただし,i ∈ Z
≥0に対して,ℓ(i)
はp
j> i
をみたす最小の整数j
と して定まる. 同値な言い方として以下のようにもℓ(i)
を定義できる:ℓ(0) = 0 and ℓ(i) =
⌊ ln(i) ln(p)
⌋
+ 1 if i ≥ 1.
H
hの元となるベキ級数の係数の分母のp
進付値は対数的p
進付値hℓ(i)
より速く は増えないので,
勝手なh ∈ Z
で, H
hのベキ級数はC
pの中の開球B(0, 1)
において 収束し,
値を考えることができる.
h = 0
のとき(つまりordinary
のとき)には特に馴染みがあるかもしれないが, f (X) ∈ Q
p[[X]]
に対して(3)
ψ ◦ ϕ = 1,
ϕ ◦ ψ(f)(X) =
1p∑
ζp=1
f (
ζ(1 + X) − 1 )
をみたすψ
作用素ψ : Q
p[[X]] −→ Q
p[[X]]
が一意に定まる.
H
0+∼ = Z
p[[X]]
のX
へのg ∈ G
cycの作用をg · X := (1 + X)
χcyc(g)− 1
で定めること によるG
cyc作用をZ
p線型にΛ(G
cyc)
作用に伸ばすことで,
Λ(G
cyc) · (1 + X) = Z
p[[X]]
ψ=0なる
Z
p同型がある.
よく知られているように, Λ(G
cyc)
はG
cyc上のZ
p値の測度たち のなす加群である. Λ(G
cyc) = Λ(Γ
cyc) ⊗
ZpZ
p[( Z /(p))
×]
にも注意する.
混乱を避ける ためにX
と異なる不定元Y
をとることで, 非標準同型Λ(Γ
cyc) ∼ = Z
p[[Y ]]
がある. 同 様に, H
h(G
cyc) ∼ = ( H
h)
ψ=0, H
+h(G
cyc) ∼ = ( H
+h)
ψ=0なるG
cyc 上の適当な増大度の分母 を持つQ
p値の擬測度たちの加群が定まる.
u
を1 + p Z
pの生成元とする. 各j ∈ Z
≥0で,ω
[j]n= ω
[j]n(Y ) = (
u
−j(1 + Y ) )
pn− 1
とおく.l ≤ l
′なるl, l
′∈ Z
に対して,Ω
[l,ln ′]= Ω
[l,ln ′](Y ) =
l′
∏
j=l
ω
n[j].
と定義する. また, Γcycを副有限群
G
cycのp-Sylow
部分群とする. Γcycは1 + p Z
pと 同型であり,G
cyc/Γ
cycは位数p − 1
の巡回群である.命題
2.1. h
を非負整数として,l
′− l ≥ h
なるl, l
′∈ Z
をとる. このとき,H
+0(Γ
cyc)
加群の同型H
+h(Γ
cyc) ∼ = lim ←−
nH
h+(Γ
cyc)/Ω
[l,ln ′]H
h+(Γ
cyc)
がある
.
係数拡大⊗
ZpZ
p[( Z /p Z )
×]
をとることで, H
+0(Γ
cyc)
加群の同型H
+h(G
cyc) ∼ = lim ←−
nH
+h(G
cyc)/Ω
[l,ln ′]H
+h(G
cyc)
7
も得られる.
この結果は
, [NOch16]
でも論じられるが,
本質的にはAmice
とV´ elu
による結果で ある.
ちょっと,
わかりにくいかもしれないが, h = 0
のときのときの命題2.1
は岩澤 代数の一致の定理を表している. h = 0
のとき, H
+0(Γ
cyc)
は岩澤代数にほかならず,
無限個の点で値を決めるとそのベキ級数が特徴付けられてしまうことが, Weierstrass の準備定理を用いて示される.h > 0
のときは, 無限個の点で値を決めてもそのベキ 級数は必ずしも特徴付けられないが,h
に比べて十分大きな幅の区間の全ての数論的 な点で値が特徴付けられれば,
そのベキ級数が特徴付けられるのである.
その意味で,
適切な比喩であるかはわからないが, H
h(Γ
cyc)
の元は正則関数とC
∞函数の中間くら いの函数であるようにも思われる.
[NOch16]
で論じた上の命題に関する様々な結果によって,
次もわかる.
系
2.1. h
を非負整数として, l
′− l ≥ h
なるl, l
′∈ Z
をとる. 1
の原始p
ベキ乗根のノル ム系{ ζ
pm}
m∈Z≥1を固定する. ζ
が1の原始p
ベキ乗根をわたる∏
l′j=l
∏
ζ
( K ⊗
QpQ
p[ζ])
の中で, z = (x
[j]ζ)
j,ζ∈ Z
が次で特徴付けられる部分集合Z
を考えよう:
(i)
任意のσ ∈ G
cycで(x
[j]ζ)
σ= x
[j]ζσ が成り立つ.(ii)
各元z
に依存する整数δ = δ(z)
が存在して,
任意の整数j ∈ [l, l
′]
と任意の1
の原始p
ベキ乗根ζ
に対して, p
n(ζ)h+δx
[j]ζ∈ O
K⊗
ZpZ
p[ζ]
が成り立つ.
ここ で,n(ζ)
はζ
pn(ζ)= 1
をみたす最小の整数である.(iii)
任意の整数j, j
′∈ [l, l
′]
に対して,p
n(ζ)h+δx
[jζ′]≡ p
n(ζ)h+δx
[j]ζ⊗ { ζ
p⊗m(j′−j)}
m∈Z≥1mod p
n(ζ)O
K⊗
ZpZ
p[ζ].
なる合同がある
.
このとき
, σ ∈ G
cycをζ
pσm に送る自然な単射Z
p線型写像H
h(G
cyc) −→ ∏
l′ j=l∏
ζ
K [ζ]
は
Z ⊂ ∏
l′ j=l∏
ζ
K [ζ]
の上への同型を引き起こす.
この結果が
, [NOch16]
の主定理(2)
の写像の構成の最後の張り合わせの議論で大事 な役割を演じる.3.
証明や構成の大事な点フィルター加群の変形族:
Kisin[Kis03]
は, 過収束モジュラー形式のガロワ表現に対 して, Fontaine-Mazur予想を示すために,D := (
( A
X⊗ b
QpB
cris+)
φ=ap(F)⊗
AXV )
GQpなる対象を導入した. [Kis03]では, 与えられた
Coleman
変形族上でD
が階数1
の自 由A
X 加群であることは明示的に述べたり示したりはしていないが, [NOch16]にお いては若干の議論と合わせてD
が階数1
の自由A
X 加群であることやD
がA
X0 上自 由なガロワ安定格子を持つことなどを示している.
8
D
の構成の元になるこのKisin
の仕事は, Hodge-Tate表現の変形族に関するSen
に よる一連の先駆的な仕事[Sen72], [Sen73], [Sen80]
に基づいている. (Φ,Γ)
加群やde Rham
フィルター加群の変形族に関しても, Berger–Colmez[BC08]やBellovin[Be15]
の仕事がある
.
(1 − φ) F e = F
の解と分母の計算: F ∈ H
hが与えられたとき,
次の方程式を考える.
(E
Fh;λ) (1 − λφ
H) F e = F
この方程式の解
F e ∈ H
hの存在や,解F e
の係数であるp
進数たちの分母を議論したい.以下では,
t ∈ R
に対して, 函数⌈ t ⌉
をt
以上の整数の中で最小のものとして定める.定理
3.1. h = ⌈− ord
p(λ) ⌉
とする. F ∈ H
h が与えられたとき,
上述の方程式(E
Fh;λ)
の解に関して次が成り立つ.(1)
次の2
条件のどちらかが成立するとき,
方程式(E
Fh;λ)
はH
hの中に解F e
を持つ: (a)
閉区間[0, h]
の勝手な整数に対してλp
i̸ = 1
が成り立つ.(b)
ある整数j ∈ [0, h]
があって,λp
j= 1
かつ∆
j(F ) = 0
となる.(2)
上の記述(1)
における(a)
の場合には, 方程式(E
Fh;λ)
の解F e
は一意である.(3)
上の記述(1)
における(b)
の場合には, 方程式(E
F;λh)
の解F e
はQ
p· log
j(1 + X)
の元による和をのぞいて一意である.
(4) [NOch16]
で論じるH
h上のBanach
ノルムに関するH
hの整部分をH
h+と記 す. F ∈ H
h+と仮定する.
このとき, p
とh
のみに依存する[NOch16]
で計算さ れた定数c(h) ∈ Z
≤0 によって次が成り立つ:
(a)
上の記述(1)
における(a)
の場合には, 方程式(E
F;λh)
の一意的な解F e
はp
c(h)H
+h に入る.(b)
上の記述(1)
における(b)
の場合には, 方程式(E
F;λh)
の解F e
でp
c(h)H
+hに入るものがある. また,
p
c(h)H
+h に入るすべての解は, あるa ∈ Z
p に よってF e + a · p
2h−plog
j(1 + X)
と表される.このような方程式を解くことが
, EXP
V の構成に密接に関係する.
そのあたりの関 係は技術的な領域に踏み込むので省略したい.
興味のある方は[NOch16]
の§ 5
を参照 されたい.
4. Coleman
変形の2
変数岩澤理論への展望主定理では
Bloch–
加藤の指数写像を補間したが, Bloch–
加藤の指数写像の数論にお ける重要性は, L
函数の特殊値との結びつきである.
例えば, V = Q
p(1) = lim ←− µ
pm⊗
ZpQ
pのとき, Kummer
理論よりH
1( Q
p(µ
pn), Q
p(1)) = lim ←−
mQ
p(µ
pn)
×/( Q
p(µ
pn)
×)
pm⊗
ZpQ
p 9となる. 円単数
∑
g∈Gal(Qp(µp)/Qp)
ω
a(g)(1 − ζ
pg) ∈ H
1( Q
p(µ
p), Q
p(1))
のlog
での値をみると,log
∑
g∈Gal(Qp(µp)/Qp)
ω
a(g)(1 − ζ
pg)
= − L(ω
a, 1)
となる. かくして, Dirichlet
L
函数の特殊値と円単数が指数写像を介して結びつく.log
は指数写像の逆写像であるから, Bloch–加藤の指数写像exp
BKによって円単数のEuler
系とL-value
が結びついていると言える.幾何的なガロワ表現に対しては
, exp
BKのKummer
双対であるexp
BK,∗を考えるこ とも多い. f
が重さk
の楕円カスプ形式, V
fがf
に付随したp
進ガロワ表現であると き,f
の複素周期Ω
±f∈ C
を選ぶごとにexp
BK,V∗ ∗f(1−j),Qp
(z(j, Ω
±f)) = L
(p)(f, j) (2π √
− 1)
jΩ
f· δ
fをみたす
Beilinson–
加藤元z(j, Ω
±f) ∈ H
1( Q , V
f∗(1 − j))
が加藤[Ka04]
によって構成 された. ここで,j
は1 ≤ j ≤ k − 1
をみたす整数である. expBK,V∗ ∗f(1−j),Qpの像は
1
次元Q
pベクトル空間Fil
0D
dR(V
f∗(1 − j))
であることに注意する. δ
f は, f
から標準的に 定まるFil
0D
dR(V
f∗(1 − j ))
上のQ
p基底である.
Beilinson-加藤元の円分 Z
p拡大でのノルム系を考え, それにColeman
写像を施すと, Manin, Amice–V´
elu
やVishik
らによって構成されたf
の1
変数円分p
進L
函数 のBeilinson-
加藤のEuler
系を用いた別構成が得られる.
一方で, Beilinson–
加藤のEuler
系は円分塔に伸びるので,
円分塔上のf
のSelmer
群Sel
Af( Q (µ
p∞))
の大きさがBeilinson–
加藤のEuler
系で抑えられる.
このことから, [Ka04]
の主結果として,
「f
が虚数乗法を持たない」などの適当な仮定のもとで,
(4) (f
の1
変数円分p
進L
函数) ⊂ char
Λ(Gcyc)(Sel
Af( Q (µ
p∞)))
∨が得られた
.
つまり,
モジュラー形式の岩澤主予想の等式の片方の包含関係が示さ れた.
注意
1.1
でも述べたように, [Och03]
では論文[NOch16]
の主定理のordinary
な場合(つまり
,
肥田変形の場合)の類似を得ていた. Beilinson-
加藤元は,
モジュラー曲線Y
1(N p
r)
のレベルのp
ベキに関する射影系をなし,
また肥田変形は, Y
1(N p
r)
のガロワ 表現のレベルのp
ベキに関する射影極限である.
よって, Beilinson–
加藤元は肥田変 形F
に延長される. [Och03]と[Och06]
をBeilinson–加藤元は肥田変形 F
への延長に 適用すると, Mazur, 北川, Greenberg-Stevensらが構成したF
の2
変数p
進L
函数の 別構成が得られる. 一方で, [Och05]のEuler system bound
の理論によって, 円分塔 上のF
のSelmer
群Sel
AF( Q (µ
p∞))
の大きさが肥田変形上のBeilinson–
加藤のEuler
10
系で抑えられる. これらの結果を総合して, (4)式の結果の
2
変数への一般化(5) ( F
の2
変数p
進L
函数) ⊂ char
Hn.oF(Sel
AF( Q (µ
p∞)))
∨が得られた. ただし,
H
n.oF は肥田による2
変数のnearly ordinary
なHecke
環であり, これは,
肥田変形に対する2
変数岩澤主予想の等式の片方の包含関係を示した結果で ある.
さて
, Coleman
変形は肥田変形のnon-ordinary
な一般化であるから,
上で紹介した[NOch16]
の主定理の応用として, non-ordinary
な状況での(5)
式の一般化をはじめと する「Coleman
変形の2
変数岩澤理論」の建設が期待される.
実際,
これが[NOch16]
の主定理の動機であった
.
まず
, Coleman
変形に対する2
変数のSelmer
群のPontrjagin
双対はねじれ加群に ならない.
よって,
代数側でのこのような問題によって(5)
の類似は期待できないこ とに注意する.
一方の解析側では, Coleman変形上の
Beilinson-加藤の Euler
系がもしあったとす るならば, [NOch16]の主定理を施すことで, Coleman変形に対する2
変数のp
進L
函 数が構成される.Selme
群のPontrjagin
双対はねじれ加群でなくても, Coleman変形へのEuler
系の 延長がありさえすれば, ordinary
のときとは違う形の岩澤主予想もおそらく定式化で きるだろう.
大きな問題点は
, Coleman
変形は肥田変形のように単なる逆極限では得られない こと, Coleman
変形の数論的な点上には, “pointwise”
には,
加藤によってBeilinson-
加藤
Euler
系があるが,
そのEuler
系のColeman
変形上への延長の存在は自明ではないことである
.
少なくとも,
現時点ではEuler
系の延長に関する正しそうな証明は見 当たらない.
ただ, “pointwise”
にはEuler
系はあるので,
「Beilinson–
加藤のEuler
系の
Coleman
変形上への延長」は正当化できるかもしれない.
この辺りの正確な結果を確立し
, Coleman
変形の2
変数岩澤理論を完成させるために次の一歩を進めたい.
謝辞 今回声をかけていただいた尾崎学氏, 集会前と集会中にいろいろとお世話にな りました坂田裕氏に感謝申しあげます. また, 集会はどの講演も入念に準備されてい ていたのが印象的で
,
全体を通して非常に楽しませていただきました.
ありがとうご ざいました.
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