注意これは講義ノートではありません。計算の要点を抜粋しただけのものです。統計力学II (後期) 2006/12/8, 0915-1045@3-371
注意 これは講義ノートではありません。計算の要点を抜粋しただけのものです。
9-A 調和振動子の状態密度
調和ポテンシャルに閉じ込められた粒子ε =hω
(
nx +ny +nz)
(但し、エネルギーの原点を零点エネルギーが零になるようずらした) ε
~
0 の範囲の状態数は右図より三角柱の体積N
( )
ε =Vpyramid = 61(
ε hω)
3なので、∴D
( )
ε ≈∂N ∂ε =12ε2( )
hω 39-B 調和ポテンシャル中のボース粒子(次頁上図)
粒子数を積分で近似した式は、
N′ =
∫
∞( ) ( )
=( ) ∫∞ − − = ( ) ∫0∞ − − 2 0 3
2
0 B 3
2 1 1 2 1
1
µ µ β
β ε
β β ω
ε ε ε ω
ε
ε x
e x d x e
d d f
D h h
βµ +
≡e−x
X とおくと X <1なので、
( ) ∫
∞ ⋅(
+ + + +)
= 0
3 2 2
3 1
2
1 L
h x dx X X X X β ω
これを二回部分積分すれば、
( )
⎜⎜⎝⎛ − − − ⎟⎟⎠⎞−
= L
h 3
3 3 2 3
3 1 2 3
1 βµ βµ βµ
ω β
e e
e
( )
(
C)
33 ω β
ζ
≤ h
低温にして行き、限界点µ =0(その温度をβ =βCとする)でも級数が収束してしまう。よって、
βC以下の温度で、N′<Nとなる。すなわち、ボースアインシュタイン凝縮が起こる。
・これがいわゆる 「アルカリ原子のレーザー冷却によるBEC」
・前回No.8の三次元の箱の中のボース粒子は、いわゆる「液体ヘリウムのBEC」 9-C 二次元の薄板に閉じ込められたボース粒子
状態密度は、
( ) ( )
π π ε ε π επ
π k m d
d k d
k d k k d k k
d ⎟ = ⋅ ⋅
⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛
= 2 2
2
2 1
2 2 2
2
2 h
r
π dε m 2 h2
= より、D
( )
ε dε =S⋅Adε 但し、2πh2
A= m , S =板の面積
これを使うと、
N
( )
∫
∫
∫
∞ − − = ∞ − − = ∞ − −= 0 βε βµ 1 0 βε βµ 1 β 0 βµ 1 ε
β β
ε
ex
x d A
e d A e
A d =
∫
∞(
+ + +)
0
3
2 X L
X X x A d β
⎟⎟⎠
⎜⎜ ⎞
⎝
⎛ − − −
−
= L
3 2 1
2 2 3
3
βµ βµ βµ
β
e e
e A
となるが、右辺は低温でも、µ →0とするといくらでも大きくなれる。
よって、この場合は、ボースアインシュタイン凝縮は起こらない。
注)実際、µ =0とすると右辺は、
4 L 4 4 4 4 4
4 3
4 4 4 4 4 4
4 2
1 4 4 3 4 4 2 1 3 2 1
+ + + + + + + + + + + + + + + +
= 16
1 15
1 14
1 13
1 12
1 11
1 10
1 9 1 8 1 7 1 6 1 5 1 4 1 3 1 2 1 1 1
+L + + + + + + + + + + + + + + +
> 16
1 16
1 16
1 16
1 16
1 16
1 16
1 16
1 8 1 8 1 8 1 8 1 4 1 4 1 2 1 1 1
+L +
+ +
+
= 2
1 2
1 2 1 2
1 1 = 発散
9-D レポート ━ Excel でBECを起こそう。
nx
nz
ny
ω ε h
問題:二次元調和 ポテンシャルでは どうなるだろうか?
注意これは講義ノートではありません。計算の要点を抜粋しただけのものです。統計力学II (後期) 2006/12/8, 0915-1045@3-371
三次元の箱に入れられたボース粒子: ′ =
∫
0∞ ( −ε)−1 εµ ε
β d
e A
N
( )
=
∑
− −≈
10 , 99 . 9
02 . 0 , 01 . 0 ,
0 1
Lε βε µ
ε e
1. まずkBT =1, µ =−1としてExcelで和を計算してみる。
2. N′ A=1となるように µの値を調節して、その値µ
(
kBT =1)
をメモ。3. 温度をkBT =0.9くらいに下げて、N′ A=1となるようにµの値を調節してメモ。
4. どんどん温度を下げて行くと、µをいくら変えてもN′ A=1に出来なくなる。それがBEC温度。
9-E 古典的調和振動子との比較[復習]
( )
∑
∞=
+
= − 0
2 1
n
e n
Z βhω
(
2)
sinh 2
1 1
2 1
ω β
ω β ω
β
h h
h ⎟=
⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛
= − − −
e e
( )
(
log2sinh 2)
log B
BT Z k T βhω
k
F =− = ∴S =−∂F ∂T, E =F +TS, C=∂E ∂T, etc.
*粒子がお互いに触れ合うかどうかが、古典統計か、量子統計かのわかれめ。
9-F 光子の状態密度S =1, m = 0, 群速度dω dk=c, µ =0
一辺Lの金属箱(空洞、導波管、あるいは“溶鉱炉”)の中に定在波が立っているとする。
(箱の表面は「節」、つまり表面では電場=0)。すると、
電場は、Er
( )
rr,t =Er0sinkr⋅rr⋅sinωtとなる。 但し、kα =
(
π L)
nα(
α =x,y,z; na =1,2,3L)
∴ x2 2y z2 nx2 n2y nz2 c L
k k k c k
c = + + = + +
= π
ε h h h
ε より小さなエネルギーの状態数は、 nx2 n2y nz2
c L + +
> π
ε h を満たす
(
nx,ny,nz)
の数で、( )
{{
3 3
8 1
3 3
4 8
2 1 ⎟
⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
⋅ ⎛
⋅
= π
ε π π ε ε π
3 h 2
1hr c L
n c
L
向 球 方
波 偏
N となる。
9-G 光子の偏波モード数による縮退
前項で、同じ
(
nx,ny,nz)
であっても、振動電場ベクトルの方向で二重に縮退している。∴独立な電場Er0
の方向は、進行方向kr
に対して直交する二つ ⇒ 二つの自由度
∴
( )
=∂
=∂ ε Nε
D 2
3ε π π⎟
⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛ h c
L ──単位エネルギー幅あたりの状態密度
注)光子をスピンを持った粒子と見ると、偏波方向による自由度は、スピン自由度に対応している。S
=1なので、本来、自由度は3であるはずなのであるが、m=0なので、質量の粗密波である縦波が存 在せず、自由度2となる。たとえば、(0,0,1)の波は下図の二つある。
9-H 単位振動数幅あたりの状態密度
光は振動数で扱うことが多いので、状態密度も「単位周波数幅」あたりで言うと、
( ) ( )
π ν νν ν ν
ν d
c d V
D = 8 3 ⋅ 2
∂
=∂N
となる。
同じ関数名
Dを使って書くことが多いので注意が必要。
z
y
x x z
y
1/8
球の体積
古典
量子
注意これは講義ノートではありません。計算の要点を抜粋しただけのものです。統計力学II (後期) 2006/12/8, 0915-1045@3-371
10-A 波の状態密度
三次元の箱に閉じ込められた波を考える。境界条件は、両端節とすると振幅は、
( )
r t E k r t Er r, = r0sin r⋅r⋅sinω但し、 = n
(
= x,y,z; na =1,2,3L)
k πL α
α α
∴ x2 2y z2 nx2 n2y nz2 c L
k k k c k
c = + + = + +
= π
ε h h h
ε より小さなエネルギーの状態数は、 n2x n2y nz2
c L + +
> π
ε h を満たす
(
nx,ny,nz)
の数 この不等式が球を表すことと、nrの成分は全て正であることから、
( ) ( )
{ 3
( )
38 1
6 3
4 8
1 ⎟
⎠
⎜ ⎞
⎝
⋅ ⎛
⎟ =
⎠
⎜ ⎞
⎝
⋅ ⎛
⋅
= π
ε π π
ε ε π
3 h 2
1hr c
L
n c
L
モード数
モード数
球
N ,
( )
ε ε
∂
= ∂N D
10-B モード数
同じ
(
nx,ny,nz)
に縮退している状態の数のこと。・スピン縮退=2S+1 (質量ゼロの粒子を除く)
・光子=横波(水平偏波・垂直偏波)の二つ
【余談】日本の地上波
TVは水平偏波、欧州は垂直偏波が多い
・単原子物質の格子振動=縦波1つと横波2つ(水平偏波・垂直偏波)の三つ
・化合物の格子振動=構成元素数×3 10-C 光子集団のエネルギー分布
箱に閉じ込められた光子(溶鉱炉など)の振動数の分布
まずモード数は、2つなので
( )
2( )
3 23 ε
π ε π
π π
ε h ch
V c
D L ⎟ =
⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛
( ) ∫
∫
∞ − = ∞ −= 0
3
0 ε ε1 ε ε 1 ε
βε
βε d
A e e d
E D
( ) ( ) ( ) ∫
∫
∞⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛
∞
≡
= −
= −
0
3 0 3
3 3
,
1 8
1
8 dv
T u
e h c v V
h e d
h ch
V
h h
4 48 4
47
6 ν
ν π ν
π
ν β ν
β
プランクの熱輻射式
(
T)
u ν, のグラフを右下図に示す
山の頂上の位置を求めるために微分すると、 ∝3 2
(
−1)
− 3 =0∂
∂ ν β ν ν β β ν
ν
h
h he
u e
となり、
1 β ν β3hν e h =
− − という超越方程式になる。
(指数関数や三角関数などを含んだ方程式) これでは、解の個数さえわからない。
こういう場合、グラフに書いて考える。
ν βh
x= と置いて、 x e−x
=
− 3
1 となるので、
グラフにすると、交点
x=0及び約2.82が解とわかる。
L 82 . 2
B
=
=
∴ k T
hν hν β
これが「ウィーンの偏移則」
(Wilhelm Wien, 1911ノーベル賞)
0 2 4 6 8 10
0 0.5 1 1.5
T=1
T=0.707
T=0.5
ピーク位置∝T 面積∝T
4エネルギー∝ν
光子の数∝
ux f (x)
3 1−x e−x
1
3
注意これは講義ノートではありません。計算の要点を抜粋しただけのものです。統計力学II (後期) 2006/12/8, 0915-1045@3-371
10-D なぜ、緑の星はないのか。
温度を上げると、最も多い光子の振動数は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、と
増えて行くはず。しかし、現実には緑の星は無い。⇒ 高温ではいろいろな色が混って白色になる 10-E 光子集団の全エネルギー
( )
∫
∫
∫
∞ − = ∞ − −− = ∞ − + − + −= 0
2 3
0 3 3 0 3
3
3 8 1
1 8
1
8π ν ν π ν ν π ν β ν β ν β ν ν
ν β
ν β ν
β h e e e d
c d V e
e h c
d V e
h c
E V h h h h
h
h L
( )
∫
∞ − + − += 0
2 3
3
8π ν βhν βhν L
e e
c h V
ステファンボルツマンの法則
3 3
4 4 B 5
15 8
h c
T π k
= :意味=温度を上げると光子のエネルギーも上がる(青 が増える)し、光子数も増えるので、全エネルギーは、温度の4乗となる。
10-F 固体の格子振動
【フォノン】振動している状態を粒子(フォノン)が居る と見なす。そうすると統計力学で簡単に扱える。
【準粒子】フォノンのような粒子を準粒子と呼ぶ。固体 の中には他にも様様な準粒子が居る。
【光との違い】 格子振動には、最大波数(最小波長)
が存在する。これをデバイ波数と呼ぶ。
飛び飛びに存在している格子点を振動させると、細 かい振動は、振動していないのと同じ(右図)。
よって、エネルギーを求める積分を行う際に、積分範 囲が∞でなく、上限が付く。
⇔ 光子は、いくらでも細かく振動できる(=大きな波 数を持てる)のでそういうことはない。
10-G デバイ近似(Debye) 1) 波の速さを一定とするω =ck
⇔ 実際は振動数によって異なる。一次元鎖ではω ∝sinka
2) 最大波数を全自由度(=粒子数×モード数)から決定する:
∫
0 D( )
=ε D ε dε 3N 一つの粒子の自由度は、xyzの各方向に振動できるので3つである。
( )
33 3232 π
ε ε π
⎟h
⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛
c
D V より、 N
c
V 3 3
2 3
3 3 3 D
3 =
π ε π
h 但し、εD ≡デバイエネルギー これから、デバイ振動数ωD=εD h、デバイ波数kD =ωD cなどが求まる。
10-H デバイ近似による固体の比熱
∫ ( )
−∂
= ∂
∂
= ∂ D
0 1
ε ν βε ε ε e d
D T
T
C E h = ∂∂
∫
0D −3
1
ε ε β
ε ε e
d A T
→0
T では、 ≈∂∂
∫
D − = ∂∂∫
0D − 3 40
3 x x
x d e x A T T
d e T A
C ε ε βε ε 但し、xD= βεD なので、積分範囲を∞にしてよくて、C ≈T3×const. ─Debye比熱
フェルミオン フォトン(ボソン) マグノン(ボソン)
金属の比熱=自由電子の比熱+格子振動の比熱 + スピンの比熱 +・・・・・
γT aT3
0 2 4 6 8 10