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Wagakuni seni sangyo no genjo to kadai

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わが国繊維産 業 の現状 と課題

溝下 雅子

辻村 和佑

2004 ver.1.0 April

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概 要 繊 維 産 業 とい え ば 我 が 国 で 産 業 空 洞 化 が か な り進 ん で い る と考 え られ る 業 種 で あ り、 と く に 衣 服 の 縫 製 分 野 で は 中 国 へ の 生 産 移 転 が 大 規 模 に進 行 して い る。 競 争 力 の な い 産 業 を保 護 す る 必 要 は な く 自然 淘 汰 に 任 せ る べ き との 主 張 も 聞 か れ る 。 し か しな が ら今 日の 我 が 国 の 置 か れ て い る状 況 は き わ め て 厳 しい 。 い ま や 過 去 の 栄 光 を 捨 て て 一 か ら国 際 戦 略 の 見 直 しを は か る べ き 時 期 に き て い る こ と を肝 に銘 じね ば な らな い 。 そ の 意 味 で繊 維 産 業 は 貴 重 な 生 き 証 人 で あ り、 こ の産 業 か ら学 ぶ こ と は 我 が 国 の未 来 を 見 据 え る上 で き わ め て 重 要 で あ る 。 な ぜ 産 業 が 空 洞 化 した の か 、 ど こ に 問 題 が あ っ た の か を 、 既 存 の 統 計 資 料 、 独 自 の ア ン ケ ー ト調 査 結 果 に 加 え て 生 産 現 場 を訪 問 し ヒ ア リ ン グ 調 査 して 分 析 す る の が 本 稿 の 目的 で あ る 。 結 果 を ま と め る と、 最 終 工 程 で あ る縫 製 工 程 の 付 加 価 値 生 産 性 の 低 さ が 産 業 全 体 の 空 洞 化 を 招 い て い る点 が 指 摘 され る。 ま た 繊 維 産 業 は 付 加 価 値 労 働 生 産 性 の 観 点 で 国 際 的 に 絶 対 優 位 を もつ も の の 比 較 劣 位 に あ り、 こ の 原 因 と して 生 産 性 向 上 に 不 可 欠 な ロ ボ ッ ト技 術 の 恩 恵 に あ ま り欲 し て い な い こ とが あ げ られ る 。繊 維 に代 表 され る伝 統 産 業 で は 過 去 の 蓄 積 ゆ え に 、 技 術 進 歩 の 恩 恵 が ス トレー トに産 業 振 興 に役 立 た な い 局 面 が あ り 得 る点 は 見 逃 せ な い 。 特 定 産 業 に 傾 斜 した 地 域 構 造 ゆ え に 、 技 術 進 歩 へ の 対 応 が 地 域 の 自 主 性 に任 され て い て は 、 そ の 恩 恵 を 十 分 に受 け る こ とは で き な い 。 そ こ に 政 策 介 入 の 必 要 性 が あ る と考 え られ る 。 技 術 開 発 を推 進 す る こ と と 同 時 に 、 中小 企 業 が 新 た な機 械 設 備 を 導 入 しや す い よ うな 条 件 整 備 が 必 要 で あ ろ う。 キ ー ワー ド 産 業 空 洞 化 、繊 維 産 業 、 付 加 価 値 生 産 性 、 比 較 優 位

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1 は じ,めに 繊 維 産 業 とい え ば 我 が 国 で 産 業 空 洞 化 が か な り進 ん で い る と 考 え られ る 業 種 で あ り、 と く に衣 服 の 縫 製 分 野 で は 中 国 へ の 生 産 移 転 が 大 規 模 に 進 行 して い る。 競 争 力 の な い 産 業 を 保 護 す る必 要 は な く 自然 淘 汰 に任 せ る べ き との 主 張 も聞 か れ る。 しか しな が ら今 日の 我 が 国 の 置 か れ て い る状 況 は き わ め て 厳 しい 。10年 前 に は 世 界 中 の 国 々 を制 覇 した か に 見 えた 日本 の 輸 出 産 業 も 、 昨 今 で は そ の プ レゼ ン ス は 目に 見 え て 低 下 して い る。 以 前 は諸 外 国 の 家 電 シ ョ ップ を 埋 め尽 く し て い た 日本 製 品 で あ る が 、 韓 国 や 欧 州 の 製 品 に 押 され て 今 日そ の 残 影 を 見 っ け る こ とす ら難 しい 。 長 年 に わ た る我 が 国 の 不 況 で 国 内 市 場 が 沈 滞 し、 円安 政 策 に の み す が っ て き た 日本 の 輸 出企 業 の 没 落 は 火 を 見 る よ り も 明 らか で あ る。 競 争 力 の な い 産 業 を 自然 淘 汰 に任 せ て い た の で は 、 輸 出 産 業 す べ て が 淘 汰 され か ね な い 。 自動 車 や 家 電 とい っ た 花 形 産 業 は 国 際 的 に も競 争 が 激 し く、 ア ジ ア で は 中 国 が そ の ラ イ バ ル と して の ろ し を 上 げ て い る 。 い ま や 過 去 の 栄 光 を 捨 て て 一 か ら国 際 戦 略 の 見 直 し を は か るべ き 時 期 に き て い る こ と を肝 に銘 じね ば な らな い 。 そ の 意 味 で 繊 維 産 業 は 貴 重 な 生 き証 人 で あ り、 こ の 産 業 か ら学 ぶ こ と は 我 が 国 の 未 来 を 見 据 え る 上 で き わ め て 重 要 で あ る。 なぜ産 業 が 空 洞 化 した の か 、 ど こ に 問 題 が あ っ た の か を 直 感 で は な く統 計 資 料 で 検 証 す る の が 本 稿 の 目 的 で あ る 。 2 デ ー タ に つ い て 繊 維 産 業 の 分 析 に あ た っ て 利 用 した デ ー タ は 経 済 産 業 省 『工 業 統 計 表 』 と財 務 省 『貿 易 統 計 』 で あ る 。 こ こ で は 両 統 計 の 産 業 ま た は 商 品 分 類 と分 析 対 象 の 範 囲 に つ い て 簡 単 に解 説 す る。 工 業 統 計 表 の産 業 区 分 に は 区 分 が 大 き い 順 に2桁 コー ド、3桁 コー ド、4桁 コー ド 分 類 が あ る。繊 維 産 業 とそ の他 の 製 造 業 を比 較 す る際 に は2桁 コー ド分 類 を用 い た 。付 表1 に 示 す よ うに2桁 コー ドは 製 造 業 を12食 料 品製 造 業 か ら34 .その他 の製 造 業 まで22種 類 に 分 け て お り、 そ の うち繊 維 産 業 に 該 当 す る の は14.繊 維 工 業 と15,衣 服 ・そ の 他 の繊 維 製 品 製 造 業 で あ る。 さ ら に繊 維 産 業 に っ い て は よ り詳 細 な 分 析 を 行 うた め に4桁 コー ド分 類 ま で お りた 。 そ れ らは 付 表2の よ うに繊 維 工 業 に つ い て39商 品 、衣 服 ・そ の他 の繊維 製 品製 造 業 に つ い て33商 品 に 分 かれ て い る。 同 じ繊 維 産 業 と い うカ テ ゴ リー で も これ らの 詳 細 な 商 品 で 見 た 場 合 ど の よ うな 差 違 が あ る の か を検 討 す る 。 貿 易 統 計 の 品 別 国 別 表 は 品 目 ご とに 国 別 取 引 金 額 と取 引 量 が 計 上 され て い る 。 金 額 は 輸 出 に つ い て はFOB、 輸 入 はCIF価 格 が 採 用 され1000円 単 位 で 表 示 され て い る。 品 目分 類

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で 分 類 され 上6桁 の番 号(NO)と 下3桁 の 細 分 番 号(sub.no)か ら な る 。 上2桁 は 第1類 「動 物(生 き て い る も の に 限 る)」 か ら第97類 「美 術 品 、収集 品及 び こっ と う」 まで の97 分 類 を表 して い る。 分 析 対 象 の 繊 維 産 業 は 第11部 「紡 織 用 繊 維 及 び そ の 製 品 」 に あ た り、 付 表3に 示 す よ うに 第50類 「絹 及 び 絹 織 物 」 か ら第59類 「染 み 込 ま せ 、 塗 布 し、 被覆 し 又 は積 層 した 紡 織 用 繊 維 の 織 物 類 及 び 工 業 用 の 紡 織 用 繊 維 製 品 」 を繊 維 工 業 、 第60類 「メ リヤ ス 編 物 及 び ク ロセ 編 物 」 か ら第63類 「紡 織 用 繊 維 の そ の他 の 製 品 、 セ ッ ト、 中 古 の 衣 類 、 紡 織 用 繊 維 の 中 古 の物 品及 び ぼ ろ 」 を衣 服 ・そ の他 繊 維 製 品 と して い る。 前 者 は 主 に 糸 や 織 物 等 の 原 材 料 、 後 者 は洋 服 、 小 物 な ど最 終 消 費 財 か ら成 る。 詳 細 な 品 目 ご とに 輸 出入 額 をみ る際 は 、 上4桁 分 類 で 集 計 を 行 っ た。 そ れ ぞ れ の 品 目数 は繊 維 工 業 が1091、 衣 服 ・ そ の 他 繊 維 製 品 が44で あ る。

3 繊維産業の空洞化の現状

3.1 繊 維 産 業 全 体 の概 観 繊 維 産 業 は 中 国 脅 威 論 の な か で 最:も国 内 産 業 の 衰 退 が 危 ぶ ま れ る 産 業 の ひ とつ で あ る が 、 実 際 の と こ ろ い か な る状 況 に あ る の か 、 工 業 統 計 表 と 貿 易 統 計 を用 い て そ の 現 状 を 捉 え て み よ う。 図1は1985年 か ら2001年 ま で の 繊 維 産 業 の 事 業 所 数 と従 業 者 数 の 推 移 で あ る2。 1985年 時 点 の 事 業 所 数 は66174で 、1980年 代 後 半 は わず か な 増 減 を繰 り返 す に と ど ま っ て い た 。 しか し 、バ ブ ル 崩 壊 後 の1991年 以 降 は 減 少 の 一 途 を た ど り2001年 は 半 分 以 下 の 31206と な っ た 。 と りわ け 減 少 率 が 著 しか っ た の は1994年 、1999年 、2001年 で 前 年 比 マ イ ナ ス8パ ー セ ン トを 下 回 っ て い る。 同 様 の傾 向 は 従 業 員 者 数 に も あ て は ま り、1993年 以 降 は 前 年 比 マ イ ナ ス5パ ー セ ン ト以 下 とい う状 況 が 毎 年 続 い て い る。 人 数 で は1985年 の 114万 人 か ら2001年 には51万 人 と、 や は り半 分 以 下 に ま で 減 少 して い る 。 さらに 同様 の 期 間 に っ い て繊 維 産 業 の 付 加 価 値 額 と製 造 業 合 計 付 加 価 値 額 に 占 め る繊 維 産 業 の 比 率 の 推 移 を み る と(図2)、 バ ブ ル 期 の1980年 代 後 半 は 付 加 価 値 が 伸 び て い た こ とが わ か る。 し か し、1991年 の5兆5623億 円 を ピー ク に 断 続 的 に減 少 し、2002年 にはつ い に2兆6202 億 円 に ま で 減 少 した 。 付 加 価 値 額 は 経 済 全 体 の 景 気 動 向 と連 動 して い る の で 、 そ れ を 勘 案 して 製 造 業 全 体 の付 加 価 値 額 に 占 め る繊 維 産 業 の 付 加 価 値 額 とい う指 標 で み る と、当初5.2 パ ー セ ン トか ら2001年 に は2 .5パ ー セ ン トと製 造 業 に 占め る繊維 産 業 の割 合 も低 下傾 向に 1メ リヤ ス編 物 及 び ク ロセ編 物 は2002年 か ら新 た に5つ に分 割 され た 。時 系列 で比 較 す る際 は そ れ らを統 合 した の で品 目数 は105と な る。 2工 業統 計 表 の2桁 分 類 に お け るの繊 維 工 業 と衣 服 ・そ の他 の繊 維 製 品 製 造 業 を合 計 した値 。1994 年 か ら 日本 標 準 産 業 分 類 の 改 訂 に伴 い 、繊 維 工 業 と衣 服 ・そ の他 の繊 維 製 品製 造 業 間で 相 互 に大 幅 な 産 業 移 動 が あ るた め 、 両 部 門 を合 計 して 比 較 して い る。

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あ る こ とが 明 らか に な っ た 。 これ らの 指 標 を ふ ま え る と、 国 内 の繊 維 産 業 が 特 に1990年 代 以 降 衰 退 の 危 機 に面 して い る こ と が 裏 付 け られ る 。 事巣所 数 70,000 so,ooo 50,000 ao,ooo 30,000 20,000 10。000 0 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998

図1 繊維産業の事業所数 と従業者数の推移

一 τ 『 」 郎 ⊥ 一一⊥ 直

1_ _亀 L 一 皇一 u } 一

匠壷 廴

一 一 『 } 1 1 J-LLiL_ 1 Y 1_1__1_i 一 一 一 一〇一従業者数 L } ⊥ 一 従 巣者数(人) 1,200,000 1999 2000 2001 1ρ00,000 800,000 600,000 aoo,ooo 付 加 価 値 額(億円) 60.000 50.000 40,000 30.000 20,000 io,ooo 0

fi; 而 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 鴇 鴇 η ゐ!!!' 〆 ' " 〃 〃 〃 〃 ゲγゲ〃 凶 ゐ ゐ ゐ ノノ!ノ! ' " ノ ' " 〃〃〃 〃' ' " 〃 〃 〃 〃 耀 〃 鴇 ぬ 鴇 乃 乃 ゐ 〃〃〃〃〃〃 〃 み 〃 〃 〃 〃 賦ゲ悩閉ヴツ 髭 勘 跖 〃 須 肋' ' ' " 〆 '㌶ ' ' ' ' ' ' "!!!〆!夙Z Z グゲヴヴヴゲゲゲ 一 鴇 ゐ 鴇 ゐ ゐ ゐ ゐ 〃〃〃〃〃〃些

〃 〃 〃 〃 製造業 計に 占める比 率 Oos 一{一 付 加価値 額 製 造業計に 占 割合 一 一 一 005 004 003 002 001 Ooa 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001

図2 繊維産業の付加価値額 と製造業計に占める繊維産業の比率の推移

国 内 生 産 が 減 少 した 分 、 国 内 の 繊 維 製 品 に 対 す る 需 要 を海 外 か ら の 輸 入 品 で ま か な っ て い る こ とが推 察 され るが 、 そ の 様 子 を示 した の が 図3で あ る。 こ こで は 前節 の とお り貿 易 統 計 の 第50類 か ら第59類 を繊 維 工 業 、第60類 か ら第63類 を 衣 服 ・そ の 他 繊 維 製 品 と分 類 して い る。 一 見 して 明 らか な よ うに 衣 服 ・そ の 他 繊 維 製 品 の 輸 入 が 圧 倒 的 に 多 く、 ま た 景 気

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低 迷 に も関 わ らず 増 加 率 も高 い 。 一 方 、輸 出 は 多 少 の 増 加 傾 向 が み られ る もの の1000億 円 余 りに す ぎず 、ネ ッ トで は2兆 円 以 上 の純 輸 入 で あ る。逆 に繊 維 工 業 は 近 年3000億 円 か ら 4000億 円 の 輸 出 超 過 で 、 輸 出 は横 ば い 、 輸 入 は 減 少 傾 向 に あ る。 これ は ひ とっ に は繊 維 工 業 の 輸 出 競 争 力 が あ る と も み られ る が 、 実 は繊 維 工 業 で 生 産 され る糸 や 織 物 を 原 料 と して 、 そ こ か ら最 終 財 で あ る洋 服 を製 造 す る 工 程 が 日本 に な くな りつ つ あ る た め 、 む し ろ輸 入 す る 必 要 が な い と も解 釈 で き る。 洋 服 とい う一 つ の 製 品 を 考 え れ ば 、 日本 は 中 間 財 で あ る 生 地 を 生 産 し て 海 外 に 輸 出 し、 海 外 で そ れ ら を加 工 し て も ら い 作 られ た 最 終 財 を 輸 入 して い る と い うサ イ クル を描 く こ とが で き る だ ろ う。 億 円 30000 25000 zoooa 15000 10000 SOOU 0

匡鱗 舞::剽

● 暉 ・・● 。 ,`▲ 隔 ▲ノ' 亀 囃・● '● ・・'● ,ρ 軸隔 ℃ 、 」● 軸●' 隔 ・▲ 、 ● 隔 、 巳 崗' ' し● ・ s ' ' 」▲ 、 ,▲ 鹽 ・r▲. ㌦ △ 一 魂 鰯 ・rぺ 口 ㌦ ▲ 噛 馬▲ ・.・▲ 噂 ・■▲ ・ ・r色 鄲■ ・▲ . 一 一 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

図3 繊維産業の輸出入額の推移

日本 の 生 産 と世 界 の 生 産 と の っ な が り と い う観 点 か ら貿 易 相 手 国 別 に み て い こ う(図 4 )。 まず 輸 入 額 が 大 き い 衣 服 ・そ の他 繊 維 製 品 の 大 部 分 は 中国 か ら輸 入 して お り、全体 の 8割 以 上 を 占 め て い る。 次 い で イ タ リア 、 ベ トナ ム 、韓 国 、ア メ リカの順 で あ る。 中国 とベ トナ ム は 、 豊 富 な 低 賃 金 労 働 に よ っ て 価 格 競 争 力 が あ る と考 え られ る が 、 イ タ リア 、 ア メ リカ か らの 輸 入 も多 い と い うの は 興 味 深 い 。 繊 維 工 業 に つ い て は 中 国 か ら の 輸 入 は3割 に と どま っ て お り、 衣 服 ・そ の 他 繊 維 製 品 に比 べ る とシ ェ ア は 低 い 。 次い で ア メ リカ9パ ー セ ン ト、イ ン ドネ シ ア8パ ー セ ン ト、イ タ リア と韓 国 が そ れ ぞ れ7パ ー セ ン トとな っ て い る。 ア メ リカ 、 イ タ リア 、 ドイ ツ 、 イ ギ リス な ど欧 米 各 国 か らの 輸 入 が 意 外 に 多 い の が 特 徴 で あ る。 次 に輸 出先 で あ る が 、 繊 維 工 業 は 中 国 が45パ ー セ ン トと半 分 近 く を 占 め て い る 。次 い で 香 港 、 ア メ リカ 、 韓 国 、ベ トナ ム 、 タ イ の 順 で あ る。 衣服 ・その他 の製 品 を 中国やベ ト ナ ム か ら輸 入 して い る こ とを 考 慮 す れ ば 、 中 国 、 ベ トナ ム で 衣 服 を つ く る た め の材 料 を 日 本 か ら輸 出 し、 完 成 品 で あ る衣 服 を 輸 入 す る とい う関 係 を 読 み 取 る こ とが で き る 。

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繊 維 工 業 の 輸 出相 手 国(2003年) フグ ピ 2% その他 一 ー・18% ドイツ イ ン ド,ネ2% 胆、 一 シア ー_ ` 中国 2%台 湾¥¥¥'.一 45% 3% 一1.ln , タイ IIIIlI s'^ 3% 攤 香 港 纖'10% ベ トナ ム 3% 韓 国 ア メ リカ 5% 7% 衣 服 の輸 出相 手 国(2003年) シンガ 英国 10% 繊 維 工 業 の 輸 入相 手 国(2003年) パキスタ ン リ カ % 韓 国 2% ベ トナ ム 3% イ タ リア 5% 衣 服 の輸 入 相 手 国(2003年) そ の他 ア メ リカ 8% 1% Illl l、, 国 % 中 81

図4 繊維製品の貿易相手国

3.2 工 程 別 に み た 現 状

前節で繊維産業全体の状況を眺めた ところ、 中間財 としての生地を生産す る製織工程で

は 日本 の 輸 出 競 争 力 は あ る も の の 、 川 下 に 位 置 す る縫 製 の 工 程 が 日本 か らな く な りっ っ あ る た め 、 そ れ に 引 っ 張 られ る形 で 繊 維 産 業 全 体 が 空 洞 化 しっ っ あ る 点 が 指 摘 され た 。 っ ま り、 一 つ の 最 終 消 費 財 が 完 成 す る ま で の 工 程 の な か で 、 世 界 的 な 分 業 体 制 が で き て お り、 綿 花 の栽 培 、 羊 の 飼 育 な ど気 候 や 地 質 な どの 地 理 的 な 状 況 に依 存 しな い 工 程 で あれ ば 、 よ り川 下 の 生 産 工 程 に生 産 拠 点 と して の 求 心 力 が 強 い と考 え られ る 。輸 送 にか か る時間 と コ ス トを考 えれ ば 、 糸 か ら衣 服 ま で 一 環 生 産 す る メ リッ トは 大 き い で あ ろ う 。 そ こ で 以 下 で は 繊 維 産 業 を 工 程 ご とに 分 割 して 、 詳 細 な 商 品 ご と に 国 内 生 産 と輸 出 入 の 状 況 を捉 え て い き た い 。 付 表4左 は 洋 服 が完 成 す る ま で の 生 産 工 程 を極 簡 単 に 示 した 図 で あ る。 ジ ャケ ッ

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トを例 に と る と、 まず 原 料 と して 羊 毛 が あ り、 ① 羊 毛 か ら糸 が っ く られ(糸 の 製 造)、 ② 糸 を 撚 る な ど加 工 し(糸 の加 工)、 ③ 糸 を 織 っ て 生 地 を っ く り(生 地 の 製 造)、 ④ 織 物 を染 色 し整 え(染 色 ・整 理)、 ⑤ 生 地 を 裁 断 、 縫 うな ど して 洋 服 が 完 成 す る(縫 製)。 た だ し これ は 統 計 で 分 類 で き る 程 度 の 大 ま か な 工 程 に す ぎ な い 。 厳 密 に は 工 程 は も っ と複 雑 多 岐 に わ た っ て お り、 例 え ば 生 地 を 織 る 前 に 糸 を染 色 した り、縫 製 工程 で はボ タ ン付 けや柄 あわせ を した りす る。 よ り詳 細 な 工 程 に 関 す る分 析 は 後 述 す る と して 、 ここでは先 の簡 単 な5つ の 工 程 で み て い く こ と とす る 。 付 表4右 は 各 工 程 に 生 産 物(工 業 統 計 表 の4桁 コー ド分 類) を対 応 づ け た も の で あ る。 さ ら に 参 考 ま で に 可 能 な も の に つ い て は 、 原 料 に よ る分 類 、 加 工 法 に よ る分 類 も行 っ て い る。 こ の 分 類 を基 に 各 工 程 の 事 業 所 数 、従 業者数 、付加 価 値 額 を 集 計 した の が 付 表5で あ る 。 時 系 列 的 な 推 移 を見 る と、 どの 工 程 で も軒 並 み 事 業 所 数 、 従 業 者 数 、 付 加 価 値 額 が 一 様 に 減 少 して い る。 従 業 員 数 の 減 少 率 と付 加 価 値 額 の 減 少 率 を 比 較 す る と、 染 色 ・整 理 工 程 を 除 い て す べ て の 工 程 で 従 業 員 数 の 減 少 率 の 方 が 上 回 っ て お り、 な か で も糸 の 製 造 工 程 、 縫 製 工 程 で の従 業 員 数 の 減 少 率 が 相 対 的 に 高 い。 次 に 同 様 の 工 程 分 割 を 貿 易 統 計 に つ い て も行 っ た の が 付 表6 で あ る。各 工 程 に 貿 易 統 計 のHSコ ー ド(4桁)を 対 応 付 け て い る が 、糸 の製造 と糸 の加 工 工程 、生 地 の製 造 と染 色整 理 工 程 を 分 離 す る こ とが で き な か っ た の で 、 そ れ ぞ れ 統 合 して い る。 た だ し絹 、毛 、綿 と い っ た 原 料 に よ る分 類 は 、 貿 易 統 計 の 方 が 工 業 統 計 よ り も明 確 に 行 え る。 この分 類 に従 っ て 各 工 程 の 純 輸 出額 を描 い た の が 図5で あ る。 同 じ繊 維 産 業 で も原 料 は 輸 入 超 過 、糸 と生 地 の製 造 加 工 は 輸 出 超 過 、 縫 製 製 品 は 大 幅 な 輸 入 超 過 とな っ て い て 、 意 外 に も糸 と生 地3の 製 造 工 程 で は 今 も な お 競 争 力 を 保 っ て い る の で あ る 。 ひ とつ の 最 終 消 費 財 が で き る ま で の サ イ クル で み れ ば 、 日本 は 原 料 を 輸 入 して 糸 を 生 産 し 、 そ の 糸 か ら生 地 を つ く り、生 地 を 輸 出 して 海 外 で 縫 製 され て 出 来 た 製 品 を輸 入 し て い る とい うこ と に な る。 し か しな が ら、 原 料 の 純 輸 入 額 は ゼ ロ に近 づ き つ つ あ る 。 図6の 輸 入 額 の 推 移 か ら もみ て とれ る よ うに 、 最 終 財 で あ る縫 製 製 品 の 輸 入 額 は 増 加 の 一 途 を た どっ て い る の に 対 し て 、 糸 や 生 地 作 りに 必 要 な 原 料 の 輸 入 は 減 少 傾 向 に あ る 。ま た 糸 と生 地 の 輸 出額 は1990年 代 を 通 じて 横 ば い 状 態 で あ る(図7)。 こ の こ とは 最 終 工 程 で あ る縫 製 工 程 の 海 外 シ フ トに 伴 い 、 国 内 で 競 争 力 の あ っ た 糸 や 生 地 の 生 産 工 程 も今 後 は そ れ に 引 っ 張 られ て 空 洞 化 す る 恐 れ が あ る こ と を 示 唆 して い る 。 3織 物 の ほ か ニ ッ ト生 地 を 含 む 。

(10)

E 10000 5000 0 一5000 一10000 一15000 一zoooa 一25000

一一一L一一コ=一一 1 _ _1 一 ⊥一一_」 一一一一一一 止 _=二一一⊥一 一__一一 」一一一一一一一一旦

一_、

→ 一原料 一書一糸の製 造 、加 工 +生 地 の製造 、染色 ・整理 → ← 縫製 、 . 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

図5

工程別順輸 出額の推移

25000 20000 15000 10000 5000 0 〆!ト ー 『. ■トー』一一一■一一一_魯 _一」一一__一____一L一一一一一一一_.邑 1988 1989 1990 1991 =s _一L 1992 1993 1994 +原 料 +糸 の製 造、加工 +生 地 の製造、染 色・整理 →← 縫製

.邑 1.__一 一. 1995 1996 1997 }:旨=判 へ一 』◆一咽 一 十 一 ◆ .一且一一一一一一」一一一一一一. L 嘱丁 ... 一」 1998 1999 2000 2001 2002 2003

図6 工程別輸入額の推移

(11)

7000 5000 騒 ・… 3000 2000 1000 0 一一一嵐 }一 去一一 一一一 ▲

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一.

一__→ ←一_→←∼ 》← 一 →_→ ← → 匿つF一一一一一◆一 5 一◆一一a 一◇一一1一一一◆. L一 ◆ 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 一↓一一◇ 一」一一.◇一一J 一一◆一一」L一一◆. 一L一.◆一一一」L一一◎ 一」一一◆.一一J 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

図7 工程別輸出額 の推移

一 見 した と こ ろ 織 物 か ら縫 製 ま で 大 規 模 に 一 貫 生 産 で き れ ば 効 率 よ くか つ 川 下 工 程 の 空 洞 化 を 防 げ る よ うに 思 え るが 、 で は な ぜ 工 程 の 分 断 や 工 程 間 で 競 争 力 の 差 異 が 生 じ る の で あ ろ うか 。 これ を端 的 に 示 した の が1事 業 所 あ た りの 平 均 従 業 者 数 と付 加 価 値 生 産 性 を 工 程 間 で 比 較 した 図8で あ る 。糸 の 製 造 工 程 の1事 業 所 平 均 従 業 員 数 は41人 と圧 倒 的 に 大 き く、 糸 の 生 産 は 規 模 の 経 済 を 享 受 して い る と考 え られ る 。 そ れ に続 く 糸 の加 工 は 零 細 で 、 そ の 他 の 工程 は10人 か ら20人 と 中小 規 模 で あ る 。 この よ うに 工 程 に よ っ て 最 適 規 模 が 異 な る こ とが 工 程 分 断 す る ひ とつ の 要 因 と な っ て い る 。 縫 製 工 程 は 、 中国等 の映 像 で大 工場 に 大 勢 の 人 間 が 一 列 に 並 ん で ミシ ン を 掛 け て い る姿 を よ くみ る が 、現 在 の 日本 にお い て は 16人 程 度 と規 模 が 小 さ い 。これ は 中 国 で は 流 れ 作 業 で ひ とつ の衣 服 を 縫 い 上 げ る の に対 し、 日本 で は 一 人 が よ り多 くの 工 程 を受 け持 つ とい っ た 作 業 方 法 の 違 い を 示 唆 して い る 。 図8 の 折 れ 線 グ ラ フ で 示 され て い る 付 加 価 値 生 産 性 は 付 加 価 値 額 を 従 業 員 数 で 割 っ た 値 で あ る が 、輸 出競 争 力 が あ る 生 地 の 製 造 、整 理 ・染 色 工 程 で は 付 加 価 値 生 産 性 が 高 く1人 当 た り700 万 円 を越 え て い るの に 対 して 、 縫 製 工 程 は1人 当 た り400万 円 と最 も低 い の で あ る。 この 付 加 価 値 生 産 性 の 高 低 差 が 工 程 間 に 空 洞 化 の 程 度 の 差 を生 じ させ る 一 因 とい え よ う。 当然 の こ とな が ら付 加 価 値 生 産 性 が 低 い 場 合 は 、低 コス トで よ り多 くの 労働 力 を雇 える低 賃金 国 の 方 が 競 争 力 が あ る こ とに な る。

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平 均 従 巣 者 数(人/1事 業所) 40 35 30 25 20 15 10 5 0 ①糸の製造 付加価値生産性(百万円/人) 9

覃 飜 司

脇膿

②糸の加工 ③生地の製造 ④染色整理 ⑤縫製 8 7 8 5 4 3 z 1 0

図8 平均従業者数 と付加価値生産性の比較

4 詳細な商品別分析

4,1付 加 価 値 生 産 性 と資 本 装 備 率 の 分 析 前 節 の 工 程 別 に 集 計 した レベ ル で の観 察 か ら、 工 程 ご との 最 適 規 模 や 付 加 価 値 生 産 性 の 違 い が 指 摘 され た 。 こ の 原 因 や 空 洞 化 と の 関連 を 探 るた め に さ ら に 詳 細 な 商 品 で み て い こ う。 付 表7は 工 業 統 計 表 の4桁 ベ ー ス で 計 上 した2001年 の 事 業 所 数 、従 業 者 数 、付加 価値 額 、1事 業 所 あ た りの 平 均 従 業 者 数 と付 加 価 値 生 産 性 で あ る。平 均 従 業 者 数 は 同 じ工 程 で も ば らつ き が み られ る。 綿 紡 績 業 が91人 と最 も多 く、 こ の他 綿 ・ス フ ・麻 織 物 機 械 染 色 業 、 絹 ・人 絹 織 物 機 械 染 色 業 、 フ ェ ル ト ・不 織 布 製 造 業 、 上 塗 り した 織 物 ・防 水 した 織 物 製 造 業 で 平 均 従 業 者 数 が40人 以 上 と多 い 。 逆 に ね ん 糸 製 造 業 、 麻 織 物 業 、 横 編 ニ ッ ト生 地 製 造 業 ス カ ー フ ・マ フ ラ ー 製 造 業 、 帆 布 製 品 製 造 業 、刺 し ゅ う業 は10人 未 満 で あ る。 付 加 価 値 生 産 性 は フ ェ ル ト ・不 織 布 製 造 業 、 上 塗 り した 織 物 ・防 水 した 織 物 製 造 業 が 最 も高 く一 人 当 た り1000万 円 を越 え て い る。次 い で900万 円 を越 え て い る の は 、た て 編 ニ ッ ト生 地 製 造 業 、 編 レー ス 製 造 業 、 ボ ビ ン レー ス 製 造 業 、 手 袋 製 造 業 、 タ オ ル 製 造 業 で あ る。 同 じ縫 製 工 程 で もニ ッ ト製 寝 着 類 製 造 業 と タ オ ル 製 造 業 で は 付 加 価 値 生 産 性 が3倍 以 上 異 な っ て い る。

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こ の よ うな 付 加 価 値 生 産 性 の差 を 、生 産 関 数 の 労 働 と資 本 の 関係 で 考 え て み よ う。Yを 生産 物 、:Lを 労 働 投 入 量 、Kを 資 本 投 入 量 とす る と、 生 産 関 数 は 一 般 に Y=f(L,K) と表 され る。 これ をL-K平 面 に 描 い た の が 図9で あ る 。 生 産 量 が 等 し い等 量 曲 線 上 のa 点 とb点 を 比 較 す る と、aはbよ りも 労 働 集 約 的(bはaよ り も資 本 集 約 的)で あ る 。 こ こ で 資 本 装 備 率 は 資 本 投 入 量 を労 働 投 入 量 で 割 った 値 で(K1L)、 図9の 原 点 か ら各 点 を 結 ぶ 直 線 の 角 度 で 表 され る。aはbよ り も 資 本 装 備 率 が 低 く、付 加 価 値 生 産 性 が 低 い とい う こ と に な る。 つ ま り各 産 業 が どれ だ け 資 本 集 約 的 で あ る か が 付 加 価 値 生 産 性 の 高 い ひ とっ の 要 因 と な る。 K b a 0 L

図9 等量曲面 と付加価値生産性

こ の 付 加 価 値 生 産 性 と資 本 装 備 率 の 関 係 を 工 業 統 計 表 の4桁 レベ ル で み て い こ う 。 付 図1 か ら付 図3は 先 ほ ど の付 加 価 値 生 産 性 をYILの 代 理 変 数 、 工 業 統 計 表 の有 形 固 定 資 産(土 地 以 外 の もの)現 在 高 を 従 業 員 数 で 割 った 値 を 肌 の 代 理 変 数 と して 描 い た 散 布 図 で あ る。 明 らか に 両 変 数 に は 正 の 相 関 が み られ 、 資 本 装 備 率 が 高 い ほ ど付 加 価 値 労 働 生 産 性 が 高 い こ とが わ か る 。 そ こ で 、 付 加 価 値 生 産 性 を 資 本 装 備 率 で 説 明 す る 以 下 の よ うな 線 形 回 帰 式 を 考 え る。 た だ し、Fiは 付 加 価 値 生 産 性(説 明変 数)、 Eiは 資 本 装 備 率(被 説 明 変 数)を 表 す 。

Fi= α+βEi+Ui (i=1,… ,56)

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サ ン プ ル 数56で 回 帰 分 析 を 行 い 、 α と βの 最 小2乗 推 定 値 を推 定 した 。結 果 は以下 の よ う に な っ た(カ ッ コ 内 はt値)。 αの 推 定 値 、βの 推 定 値 と も に有 意 で あ り、決 定係数 は0.7515 で あ る。 Fi=一1.7395 + 0.7096 × Ei (一4.493) (12.782) R2=0.7515 この 結 果 に よ る と資 本 装 備 率 が1上 昇 す る と、付 加 価 値 生 産 性 が0.7096上 が る と推 定 さ れ る。 した が っ て 資 本 装 備 率 を 上 げ る こ と、 言 い 換 え れ ば 人 の 手 で 行 っ て い る 作 業 を 資 本 に代 替 させ る 資 本 財 の 技 術 進 歩 の 重 要 性 が 改 め て 想 起 され る。 た だ し、 工程 に含 まれ る商 品 数 は 染 色 整 理 ま で の4工 程 の 合 計 と縫 製 が ほ ぼ 同 じ く らい で あ る こ とか ら わ か る よ うに 、 縫 製 工 程 は そ れ 以 前 の 工 程 よ りも 多 品 種 に わ た っ て い る。 ま た 需 要 側 の 流 行 り廃 りの サ イ クル も早 く、 これ が あ る 反 復 的 な機 能 に 特 化 した 資 本 財 の 導 入 を 妨 げ て い る点 は 否 め な い 。 4.2純 輸 出 額 今 度 は 貿 易 統 計 の 詳 細 な 商 品 ご と に 国 際 競 争 力 の あ る 商 品 に つ い て み て い こ う。 付 表8 はHSコ._._ド4桁 べ 一 ス で み た 繊 維 製 品(5001か ら6310)の1988年 か ら2003年 に か け て の純 輸 出 額 の 推 移 で あ る。網 掛 け を して い る の は プ ラ ス つ ま り、輸 出超過 のセル で あ る。 綿 織 物 、 合 成 繊 維 、 合 成 繊 維 の 織 物 な どは 観 測 期 間 を通 じて 純 輸 出 で あ る の に対 し、 シ ャ ツ 、 ブ ラ ウス 等 の 縫 製 製 品 は ほ ぼ す べ て 輸 入 超 過 で あ る。 これ を用 い て2003年 に お け る純 輸 出 額 上 位10品 目 と下位10品 目 の推 移 を描 い た の が 図10と 図11で あ る。 まず 上 位 を 見 る と10品 目 中 半 分 が 合 成 繊 維 関 係 で あ る。 た だ し、純 輸 出 額 の 最 も多 い 合 成 繊 維 の長 繊 維 の 糸 の 織 物 の 純 輸 出額 は 大 幅 に 減 少 し て い る。 純 輸 出額 が比 較 的増加 また は安 定 して い る の は 、 メ リヤ ス 編 物 及 び ク ロ セ 編 物 、綿 織物 、 不織 布 で あ る。 不 織布 は最 も付加 価値 生産 性 の 高 い 品 目で あ っ た 。 メ リヤ ス 編 物 及 び ク ロ セ 編 物 につ い て は 輸 入 超 過 額 が 多 い 品 目 と 見 比 べ る と興 味 深 い 。 輸 入 超 過 額 が 多 い 品 目 と して ジ ャー ジー 、 プル オ ーバ ー 、カ ーデ ィ ガ ン な ど(メ リヤ ス 編 み 又 は ク ロ セ 編 み)、Tシ ャ ツ 、 シ ン グ レ ッ ト、肌 着(メ リヤス編 み 又 は ク ロ セ 編 み)が あ り、 中 間財 と して の これ ら の 生 地 を 日本 が 提 供 して い る と考 え られ る。

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zooo 1500 轟1… 500 0

,冷 ・… 一鬯'◆ 鹽 ・ ・◆ ㌦噛 ...◆" '・ ◆ ㍉ 』 ◆ 。'霤 ◆ ・ ・・ ・ … ◆ ●● .◆ ・ ・" 隔 '◆ 一.星 _..__一一一_L一一一一一一一.1 1_.__一L..一_.一1 1 - .一」_一_』.凵 一L一__ ⊥一一一一一一一 1 亅 .._一_L. .一」 → 一一合成繊維の長繊維の糸の 織物 一 昼.一合 成繊 維 の短繊 維① 一噛 一 メ リヤス編 物及 び ク ロセ 編 物 一→←一 綿 織物 ② 一→←一 合成 繊維 の 長繊 維の 糸 一 一●一 ・紡織 用繊 維 の織物 類 一+一 一再生 繊維 又 は半合 成 繊維 の長 繊維 の 糸の織 物 一 一 綿織物① 不織布 一・◆ ・・再 生繊 維 又 は半合成 繊 維 の長繊 維 の トウ 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 図10 純 輸 出額 の 推 移(2003年 上 位10品 目) 億円 0 一500 一iooo 一1500 一2000 一2500 一3000 一3500 一4000 一4500 1 一 一____⊥ 一.. ⊥一__一一一一⊥ __一 一」一._一_ユ 一L一 4 i _._.一- L .1 .一_一一一一一⊥ 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 」 一一◆一・・ジ ャー ジ ー、 プ ル オ ー バー 、 カー デ ィガ ンな ど(メ リヤ ス編 み 又 は ク ロセ 編 み〉 一 一a一女 子 用 の スー ツ、 ジ ャケ ッ ト、 ブ レザ ー 、 スカ ー トな ど 一 噛 一 男 子 用 の スー ッ、 ジ ャケ ッ ト、 ブ レ ザ ー、 ズ ボ ンな ど 一→ξ 一Tシ ャツ、シングレッ ト、肌着 (メリヤス編み又はクロセ編 み) 一 → ξ.一一女子 用の オ ー バ ー コー ト、 カー コ ー ト、 ケ ー プな ど 一 ●一一羊毛製又は繊獣毛製のもの 一 ・→一一一 トラ ック ス ー ツ、 ス キー スー ツ、 水 着 な ど 一一一..∼男 子 用 の シ ャ ツ 一一 ・一.一ベ ッ ド リネ ン、 テ ー ブル リネ ン な ど ・・◆ ・・女 子 用の ブ ラ ウ ス、 シ ャッ及 び シ ャ ツ ブ ラ ウス 図11純 輸 出 額 の 推 移(2003年 下 位10品 目)

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繊 維 産 業 は 全 体 と して 付 加 価 値 生 産 性 の 低 い 産 業 で あ る ゆ え に 、 賃 金 のylplい日本 で は 価 格 競 争 に勝 ち 目は な い と い うの が 当 然 の 帰 結 の よ うに 考 え られ て い る。 確 か に 縫 製 工 程 の 付 加 価 値 生 産 性 の 低 さ を み る と、 そ の よ うな 現 状 で あ る こ とは 事 実 で あ る。 しか し、 世 界 の 国 別 貿 易 額 を み て み る と意 外 にEU諸 国 の 輸 出 が 多 い こ とに 驚 か され る。 図12は 繊 維 工 業 と衣 服 ・そ の 他 繊 維 製 品 そ れ ぞ れ に つ い て の 世 界 の 取 引 に 占 め る 各 国 の割 合 を 示 した グ ラ フ で あ る。 繊 維 工 業 も衣 服 ・そ の他 の繊 維 製 品 もEUの 輸 出 が36パ.__.セ ン トと、 中国 を 抑 え て トップ で あ る。 域 内貿 易 を 含 ん で は い る とは い え他 国 に 輸 出 して い る こ と に は 変 わ りな く 、 競 争 力 は 単 純 に 人 件 費 だ け の 問 題 で は な い と い え る。 繊 維 工 業 と衣 服 ・そ の 他 の 繊 維 製 品 の 違 い と して は 、 前 者 は ア メ リカ 、 日本 な ど先 進 諸 国 の 輸 出 が 多 い の に 対 して 、後 者 は イ ン ド、 バ ン グ ラ デ ィ シ ュ な ど発 展 途 上 国 が 多 い 点 で あ る 。 縫 製 よ り前 の 工 程 は 縫 製 工 程 よ り も 資 本 や 技 術 を 要 す る こ と が 再 確 認 で き る。 日本 の繊維 産 業 の見 本 と して注 目さ れ るEUで あ る が 、 そ の 背 後 に は 輸 送 コ ス トの 問 題 や イ タ リア 、 フ ラ ンス 等 に代 表 され る ブ ラ ン ドカ は も ち ろ ん で あ る が 、 繊 維 製 品 を 生 産 す る た め の 資 本 設 備 を 生 産 して い る とい う こ と も重 要 で あ ろ う。 こ の 点 に っ い て は さ らに 分 析 をす す め て い き た い 。 パキ潔 イJf`' 4%

繊維製品 世界の輸出割合 15% 36% その 黌国 2%カ 繊維製 品 世界の輸入割合 メ陣 シ コ 香 港 4% 7% 8%

衣服 ・その他 世界の輸出割合 衣服・その他 世界の輸入割合 韓国

イン ドネ シア鑷 バング シ % ド

%

メキ シ コ4% 4% 4% カナダ メキ劣 港 艦 器 番 6

アぎ 。1カ EU 37% 図12 世 界 の 取 引 シ ェ ア 出 所:WTO

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5 生産性 の国際比較

前 節 で は 我 が 国 の繊 維 産 業 の 現 状 を詳 細 に分 析 した 。 こ の 結 果 、 製 織 を 中 心 とす る繊 維 工 業 で は 輸 出超 過 を維 持 す る な ど 国 際 競 争 力 を 持 っ も の の 、縫 製 に代 表 され る衣 服製 造 業 で は 輸 入 超 過 と な り、 国 内 の 産 業 空 洞 化 が 深 刻 で あ る こ とが 確 認 され た 。 本節 で は この 問 題 を世 界 の 視 点 か ら仔 細 に 分 析 す る こ と とす る 。 ま ず 繊 維 、 衣 服 の 両 産 業 に お け る付 加 価 値 労 働 生 産 性 を 国 際 比 較 して み た の が 付 図4で あ る4。 比 較 対 象 は 日本 の ほ か 中 国 、 米 国 と ル ク セ ン ブ ル ク を 除 くEU14力 国 で あ る 。 これ を見 る と 日本の生 産性 は繊維 では比 較 した 各 国 中 で1位 で あ り、 これ が 裏 づ け とな っ て輸 出超 過 を 維 持 して い る こ とが わ か る。 一 方 で 衣 服 で は デ ンマ ー ク 、 米 国 、 ア メ リカ の 生 産 性 が 日本 を 上 回 っ て い る も の の 、 オ ラ ン ダ と ほ ぼ 同率 の4位 で あ り必 ず し も生 産 性 が 低 い と決 め っ け る こ とは で き な い 。前 節 で世界 の 輸 出 に 大 き な シ ェ ア を もつ こ とを 指 摘 したEU各 国 よ り も 日本 は 付 加 価 値 労 働 生 産 性 で 上 回 っ て い る こ と に な る 。 さ らに 我 が 国 の 輸 入 先 と し て ま ず 思 い 浮 か ぶ 中 国 との 比 較 で は 圧 倒 的 に 日本 に 軍 配 が 上 が り、 単 な る 生 産 性 の 比 較 だ け で は 空 洞 化 を 説 明 す る こ とが 困 難i な こ とが わ か る。 ち な み に我 が 国 の輸 出 で 過 去 に 中心 的 な役 割 を 果 た して き た ラ ジ オ ・テ レ ビ受 信 機 と 自動 車 で 同様 に 付 加 価 値 労 働 生 産 性 の 比 較 を 試 み た の が 付 図5で あ る。 この場 合 に は ラ ジ オ ・テ レ ビ受 信 機 で は1位 を イ ギ リス に譲 っ た も の の 、両 分 野 で 日本 は世 界 に 冠 た る 生 産 性 を 有 し て お り、 生 産 性 が す べ て を 説 明 す る わ け で は な い も の の 、 これ が 国 際競 争 力 の 原 動 力 と して 重 要 な 要 素 で あ る こ とは 間 違 い な い 。 そ こ で 思 い 浮 か ぶ の が 貿 易 理 論 の 基 礎 と して 名 高 い デ ビ ッ ド・リカ ー ドー の 比 較 生 産 費 説 で あ る。 こ こで は そ の含 意 を 卑 近 な ハ ン バ ー ガ ー の 店 を例 に確 認 して お こ う。た とえ ば1 年 前 か ら アル バ イ トを して い るA君 はハ ンバ ー ガ ー1個 を 作 る の に2分 か か り、 フ ラ イ ド ポ テ ト1袋 を 作 る の に3分 か か る 。 同 じ店 で 新 た にB君 が2時 間 だ け 一 緒 に ア ル バ イ トす る こ とに な っ た 。B君 はハ ン バ ー ガ ー一一1個 を 作 る の に3分 か か り、 フライ ドポテ ト1袋 に4 分 か か る。 どち らを 作 っ て も熟 練 して い るA君 の ほ うが だ ん ぜ ん 速 い 。 これ をA君 は ど ち ら の財 に対 して も 、B君 に 対 して 絶 対 優 位 に あ る とい う。 こ の 場 合 に 、① も し2人 が1時 間 交 代 で ハ ンバ ー ガ ー と フ ラ イ ドポ テ トを 作 る とす る と、2時 間 で は ハ ン バ ー ガ ー を50個 (A君 が30個 、B君 が20個)と フ ラ イ ドポ テ ト35袋(A君 が20袋 B君 が15袋)を 産 で き る。 しか し2人 が 手 分 け を して ②A君 が ハ ンバ ー ガ ー だ け を 作 れ ば2時 間 で60個 B君 が フ ラ イ ドポ テ トだ け を 作 れ ば2時 間 で30袋 生 産 で き る。逆 に ③A君 が フ ラ イ ドポ テ トだ け を 作 れ ば2時 間 で40袋 、B君 が ハ ンバ ー ガ ー だ け を 作 れ ば2時 間 で40個 生 産 で き る。 も し こ こ で ハ ン バ ー ガ ー1個 と フ ラ イ ドポ テ ト1袋 が と も に100円 だ と す れ ば 、 ① の 場 合 の 売 上 は8500円 な の に 対 し て 、 ② で は9000円 、 ③ で は8000円 と な る 。 し た が っ て 、 4生 産 性 の 比 較 に 用 い た デ ー タ は 、 経 済 産 業 省 「工 業 統 計 表 」(日 本)、 国 家 統 計 局 「中 国 統 計

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も し原 材 料 費 を無 視 して 売 上 高 を 最 大 に した い な らば 、 店 長 はA君 に ハ ンバ ー ガ ー を 、B 君 に フ ラ イ ドポ テ トを 作 っ て も ら え ば よ い。 この よ うに2人 で 同 じ もの を 生 産 す る の に要 す る コ ス ト(こ の 場 合 で は 時 間)に 違 い が あ る場 合 に は 、 お 互 い に 「相 対 的 」 に得 意 な 分 野 に特 化 す る こ と に よ り分 業 の利 益 が 得 られ る。 こ の 単 純 な 例 で は 、 ハ ン バ ー ガ ー と フ ラ イ ドポ テ トの 価 格 が 同 じ とい う前 提 で 、A君 が ハ ンバ._._ガー を 作 る の に 要 す る 時 間 は フ ライ ドポ テ トの3分 の2、 これ がB君 で は4分 の3と な っ て い る。 こ こで 、 23一く一 3 4 とな っ て お り、 これ をA君 はB君 に対 して ハ ンバ ー ガ ー で 比 較 優 位 を も つ とい い 、そ の裏 返 し と して 、B君 は フ ラ イ ドポ テ トでA君 に対 して 比 較 優 位 を もっ とい う。 つま り、 それ ぞ れ が 比 較 優 位 を もっ 財 の 生 産 に特 化 す る こ とに よ り、 双 方 は 分 業 の 利 益 を 享 受 で き る わ け で あ る。 リカ ー ドー は こ の 原 理 を 国 際 貿 易 に 応 用 して 、2国 間 の 貿 易 を説 明 し よ う と した の で あ る。 こ の 例 を我 が 国 の 現 状 に あ て は め る と 、 そ も そ も衣 服 の 労 働 生 産 性 が 他 国 とい うよ りは む しろ 国 内 の 他 産 業 に 比 べ て 低 い こ とが 、 日本 が 衣 服 で 輸 入 超 過 に な っ て い る 原 因 と考 え られ る。 そ こで 日本 の 製 造 業 全 体 の 付 加 価 値 労 働 生 産 性 を1と して 、 工 業 統 計 の2桁 レベ ル で 各 産 業 を 比 較 した の が 付 図6で あ る。 こ の 結 果1位 とな っ た の は 化 学 産 業 の2 .65、 ほ ぼ 同 率 の2位 が 飲 料 ・た ば こ ・飼 料 で2 .61で あ り、この2産 業 が他 を大 き く引 き離 してい る。 これ に 続 くの が 石 油 ・石 炭 製 品 の1.81、 鉄 鋼 の1 .52で あ る。 我 が 国の代 表 的な輸 出産業 と 目 され る 輸 送 用 機 械 器 具 は1.26で5位 、 電 気 機 械 器 具 は0,95と1を 割 り込 み10位 と な っ て い る 。一 方 で 本 稿 で 着 目 して い る 衣 服 は0 .36で 最下位 、輸 出超過 を保 って い る繊維 も0.60 で 下 か ら第3位 で 、 相 対 的 に は 生 産 性 が き わ め て 低 い 。 こ の結 果 を 見 れ ば 、世界 的 に はま ず ま ず 高 い 生 産 性 を あ げ て い る に もか か わ らず 、 日本 が 衣 服 で 輸 入 超 過 に な っ て い る の も 当然 と合 点 が 行 か な く も な い 。 しか しな が ら前 述 の とお り比 較 生 産 費 説 で これ を説 明 す る た め に は 、 他 国 に お け る繊 維 も し くは 衣 服 とい っ た 産 業 の相 対 的 な 位 置 付 け を知 らね ば な ら な い 。 そ こで まず 、ま った く 同 じ試 み を 中 国 に っ い て 行 っ た の が 付 図7で あ る。 日中 両 国 の 産 業 分 類 に は か な りの 相 違 が あ る が 、 こ こ で は と りあ え ず こ の 点 に は 目 をつ ぶ り大 ま か な傾 向 を観 察 す る 。 中 国の 製 造 業 で は た ば こ が8.88と 付 加 価 値 労 働 生 産 性 で は 他 を圧 倒 して お り、石 油 精 製 ・コ ー ク ス が これ に続 く。 ま た 電 気 通 信 機 械 が2.00で3位 とな っ て お り相 対 的 な 生 産 性 の 高 さが 際 立 っ て い る。 これ に 対 して 日本 の 衣 服 と繊 維 に 対 応 す る 縫 製 服 装 と紡 績 は と も に0 .58で 最 下 位 か ら2位 と3位 に 甘 ん じて い る。 つ ま り衣 服 や 繊 維 とい っ た 部 門 は我 が 国 の み な らず 、 実 は 中 国 で も低 生 産 性 部 門 の 代 表 に位 置 付 け られ て い る こ とが 見 て とれ る の で あ る 。 それ で は 米 国 は ど うで あ ろ うか 。 こ こで は 石 油 精 製 ・コー ク ス ・核 燃 料 が4 ,11で 他 を引 き離 して 1位 、 化 学 の2.05が2位 の 順 とな っ て い る。 自動 車 は1 .53で6位 、 ラ ジ オ ・テ レ ビ受 信 機 は11位 な が ら1.06と 製 造 業 平 均 の1を 上 回 っ て い る 。 しか し こ こで も衣 服 は0 .53で 最 下

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位 、繊 維 が0.57で 下 か ら2位 と両 産 業 の 付 加 価 値 労 働 生 産 性 の 低 さ が 目立 っ て い る 。 以 下 、付 図8か ら付 図22にEU各 国 で 同様 な部 門別 生 産 性 比 較 を行 っ た 結 果 が 一 覧 され て い る。 い ず れ の 国 で も装 置 産 業 で あ る石 油 精 製 ・コ ー クス ・核 燃 料 や 化 学 が 上 位 に 位 置 す る も の の 、 国 ご とに 順 位 の 変 動 が 見 られ る。 ち な み にEU14ヶ 国 中 で 石 油 精 製 ・コー ク ス ・ 核 燃 料 が 最 上 位 を 占め る の が8力 国 、 化 学 が3力 国 で 、 フ ィ ン ラ ン ドと ギ リシ ャ で は 通 信 用 機 器 が 、 イ ギ リス で は ラ ジオ ・テ レ ビ受 信 機 が そ れ ぞ れ1位 とな っ て い る。 注 目の 衣 服 は 14力 国 中、 オ ー ス トリア 、 ベ ル ギ ー 、 ス ペ イ ン、 ス ウ ェ ー デ ン の4力 国 で 最 下 位 、 フ ィン ラ ン ド、 フ ラ ン ス 、 ポ ル トガ ル 、 英 国 で 下 か ら2位 と な っ て い る 。 製 造 業 全 体 を1と した 相 対 指 標 で見 て も、 ア イ ル ラ ン ドで0.20、 フ ィ ン ラ ン ドで0、33、 ス ウェ ー デ ン で0.33、 オ ー ス ト リア で0 .37、 ベル ギーで0.45、 スペ イ ンで0 .47な ど衣服 は 軒並み0.5を 割 り込 ん で い る 。 しか しな が ら 同 じ衣 服 で も、 デ ン マ ー クで は0 .79、 イ タ リアで0.75、 ドイ ツで0.70 と他 国 と の 比 較 で は 高 い 相 対 指 標 を示 して い る の が 注 目 され る 。 ま た 繊 維 に つ い て も 毛 織 物 で 有 名 な 英 国 で 最 下 位 、 ア イ ル ラ ン ドで 下 か ら2位 に な る な ど、 相 対 的 に は 付 加 価 値 労 働 生 産 性 が 低 い 部 門 に属 して い る 。 そ の 他 のEU諸 国 で は お お む ね 下 か ら5位 な い し9位 に位 置 して い る が 、 ス ウ ェー デ ン で は 下 か ら13位 、 ベ ル ギ ー で は 同11位 と国 ご との 変 動 が 激 しい 。 これ を 製 造 業 全 体 を1と した 相 対 指 標 で 見 る と、 アイ ル ラン ドが0.20と 極 端 に 低 い ほ か は お お む ね0.5を 上 回 って お り、 と くに ス ウ ェ ー デ ン で は0 .87、 デ ンマー ク とイ タ リア で と も に0.84と 比 較 的 高 い 値 を 示 して い る。 これ ら の 結 果 を1枚 に ま と め た の が 付 図23で あ る。 お お ま か に言 え ば 、 この 図 の右 に位 置 す る 国 々 は 繊 維 で 、 上 に位 置 す る 国 々 は 衣 服 で そ れ ぞ れ 比 較 優 位 を も っ て い る と考 え ら れ る 。 と く に 図 中 の 右 上 方 に位 置 す るデ ンマ ー ク 、 オ ラ ン ダ 、 フ ラ ン ス 、 ドイ ツ、 イ タ リ ア とい っ た 諸 国 は 、 い わ ゆ る川 上 か ら川 下 ま で 繊 維 産 業 全 体 で 比 較 優 位 を 有 す る国 々 とみ な す こ とが で き る。 これ を 見 れ ばEU各 国 が 世 界 有 数 の繊 維 ・衣 服 の輸 出 国 で あ る こ と も首 肯 で き よ う。 こ こ で 注 目す べ き こ と は 、 上 述 の5力 国 はEUの 中 で も と りわ け 製 造 業 全 般 に 強 み を もつ 技 術 大 国 だ と い う事 実 で あ る。 しか も これ ら の 諸 国 は 相 対 的 に1人 あ た り国 民 所 得 が 高 く、 賃 金 水 準 も高 い と考 え られ る 国 々 で あ る。 同 じEU域 内 で も1人 あ た り国 民 所 得 が 低 位 に あ る ギ リシ ャや ポ ル トガ ル に 比 べ て も 、 こ れ ら5力 国 が と く に衣 服 の 分 野 で 圧 倒 的 な比 較 優 位 を誇 っ て い る こ と は 驚 愕 に値 す る。 一 方 で 日本 は ア イ ル ラ ン ドや ギ リシ ャ と と も に 図 中 の 左 下 の グ ル ー プ に属 して お り、 繊 維 産 業 全 体 と して 比 較 劣 位 に あ る こ とは 明 確 で あ ろ う。 こ こ で 日本 と 中 国 を 比 べ れ ば 日本 は 繊 維 で か ろ う じ て 、 中 国 は 衣 服 で 圧 倒 的 な 比 較 優 位 を も っ て お り、 日中 間の 貿易構 造 の 舞 台 裏 を 垣 間 見 る こ とが で き る 。 し か し こ こ で 注 目す べ き こ と は グ ロー バ ル な 視 点 で は 必 ず し も 中 国 が 繊 維 産 業 全 般 で 比 較 優 位 を も っ て い る と は 言 い が た い とい う事 実 で あ る。 先 に も 見 た とお り繊 維 や 衣 服 と い っ た 分 野 は 中 国 国 内 で も 相 対 的 に低 生 産 性 分 野 で あ り、上 述 のEU5力 国 は も ち ろん 、米 国や 英 国 に対 して さえ 比 較 劣 位 に あ る 。 した が っ て リカ ー ド ー の 貿 易 理 論 を 前 提 とす れ ば 、 中 国 は や が て 繊 維 産 業 全 般 か ら撤 退 を 余 儀 な く され る 可 能

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性 が き わ め て 強 い 。 裏 を 返 せ ば 中 国 を生 産 拠 点 と して 重 視 す る 日本 の アパ レル 企 業 の 戦 略 は 、 近 い 将 来 も ろ く も崩 れ 去 る運 命 を暗 示 して い る と言 っ て も過 言 で は な か ろ う。 以 上 の 議 論 を 前 提 とす れ ば 我 が 国 が 繊 維 産 業 の あ り方 そ の も の を 問 い 直 す 時 期 に き て い る こ とは 明 白 で あ る。 しか し我 が 国 に と っ て 繊 維 産 業 は 製 造 業 の ほ ん の 一 角 で あ り、 そ も そ も 比 較 劣 位 に あ る産 業 を 切 り捨 て て 比 較 優 位 分 野 に 特 化 す れ ば とい う議 論 も 当 然 に 成 り 立 ち得 る。 そ こで 我 が 国 の代 表 的 な 輸 出産 業 の 現 状 を ラ ジ オ ・テ レ ビ受 信 機 と 自動 車 を例 に 見 た の が 付 図24で あ る 。 これ を 見 る とた しか に 日本 は こ の2分 野 で 多 く のEU諸 国 に 対 し て比 較 優 位 に あ る が 、 そ の 差 は 必 ず し も圧 倒 的 と は言 え な い 。 し か も ラ ジ オ ・テ レ ビ受 信 機 で は イ ギ リス や 中 国 に対 して 比 較 劣 位 に あ る ほ か 、 自動 車 で も ポ ル トガ ル や ア メ リカ 、 さ らに は フ ラ ン ス に 対 して も比 較 劣 位 の状 態 に あ る 。 自動 車 で は か ろ う じて 中 国 に対 して 比 較 優 位 に あ る が 、 そ の 差 は 肉 薄 し て い る 。 つ ま り今 や 日本 は製 造 業 の どの 分 野 に お い て も 圧 倒 的 な 比 較 優 位 に あ る とは 言 い 難 い 状 態 で 、 比 較 劣 位 に あ る か ら と言 っ て 安 易 に繊 維 産 業 を 切 り捨 て る こ とは 許 され な い の が 現 状 で あ る。

そ こで我が甲繊維産業の生産性 向上を如何 にすれば達成できるかを考 えなけれ ばな らな

い 。 と りあ えず 我 が 国 の 製 造 業 を 例 に 生 産 性 の 高 さの 根 源 を 見 据 え る べ く 、資本 装備 率 と 付 加 価 値 労 働 生 産 性 の 関 係 を 見 た の が 付 図25で あ る。 ど ち らの 指 標 も製 造 業 全 体 を1と し て 基 準 化 し相 対 指 標 と して あ る。 これ を 見 る と明 らか に 両者 に は 正 の相 関 が 見 られ る 。EU に つ い て は 残 念 な が ら こ の 種 の 資 料 が 得 られ な い た め 、 と りあ えず 中 国 に 関 して 同様 の こ とを 試 み た の が 付 図26で あ る。 日本 ほ ど明 確 で は な い が 、 こ こ で も 両者 に は 明 らか に正(b 相 関 が観 察 され る 。 そ の 中 で 繊 維 や 衣 服 は も っ と も原 点 に 近 く位 置 して お り、 と りわ け 衣 服 の 資 本 装 備 率 の 低 さ が 際 立 っ て い る こ とが わ か る。 前 節 に お け る繊 維 産 業 の 細 分 類 の 分 析 で も 資 本 装 備 率 と付 加 価 値 労 働 生 産 性 との 間 に は 正 の 相 関 が 観 察 され て お り、 資 本 装 備 率 の 上 昇 こ そ が 生 産 性 向 上 の鍵 で あ る こ とが 理 解 され よ う。 し か しな が ら付 加 価 値 労 働 生 産 性 につ い て は 、 上 述 の よ うに 日本 は む し ろ他 国 に 対 して 絶 対 優 位 を も っ て い る こ と も事 実 で 、 これ を 向 上 させ る こ とは 他 国 か らの 技 術 導 入 に頼 れ な い こ と も 認 識 し な け れ ば な ら な い 。次 節 で は ミ ク ロ レベ ル の 工 程 の 観 察 を 通 じて 、生 産 性 向 上 の 余 地 を探 る こ と とす る 。

6 実 態調 査 の分析

今般、 日本商工会議所 と慶應義塾大学産業研究所 は、産業空洞化を ミクロの レベルで分

析 す る た め に 、 共 同 で 我 が 国 製 造 業 の 実 態 調 査 をお こ な っ た 。 実 態 調 査 の 中 心 は 調 査 票 記 入 方 式 に よ る もの で あ る が 、 一 部 の 企 業 な い し事 業 所 で は 現 地 に赴 い て 詳 細 な 工 程 調 査 を 実 施 して い る。本 節 で は 製 織 、縫 製 、ニ ッ トの 各 部 門 に お け る実 態 調 査 の結 果 を踏 ま え て 、 繊 維 産 業 の 問 題 点 を 探 る 。 この う ち製 織 で は5社 の 実 態 調 査 を お こな い 、 うち1事 業 所 の 実 地 調 査 を 実 施 した。 この うち の2社 が 中 国 で の 生 産 を お こ な っ て い る が 、 うち1社 は 中

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国 で は衣 服 の縫 製 を 行 っ て お り、 日 中両 国 で 繊 維 の 生 産 を行 っ て い る の は1社 の み で あ っ た 。 ま た 縫 製 で は9社 の 実 態 調 査 をお こ な い 、 うち1事 業 所 の 実 地 調 査 を 行 う こ とが で き た 。 こ の うち4社 が 中 国 で も 生 産 を行 っ て お り、 うち1社 は 日本 国 内 に は デ ザ イ ン 部 門 の み を 有 し、 生 産 は 全 量 中 国 に集 約 して い る。 ニ ッ トに つ い て は 本 調 査 で 該 当 事 業 所 が な か っ た た め 、 別 途 実 態 調 査 を 実 施 した 。 い ず れ も標 本 が 小 さ く充 分 とは 言 い 難 い が 、 こ こで は 主 と して 工 程 調 査 の 結 果 を も とに 製 織 工 程 、 織 物 製 品 の 縫 製 工 程 、 ニ ッ ト製 品 の生 産 工 程 につ い て そ れ ぞ れ の 特 徴 と問 題 点 ま と め る こ と とす る。 6,1製 織 工 程 製 織 工 程 で は 前 工 程 と後 工 程 が き わ め て 重 要 な 意 味 を 持 っ 。 これ らの 工 程 は 同 一 事 業 所 内 に 一 貫 して 配 置 され る場 合 も あ る が 、 地 場 産 業 と して 発 展 を 遂 げ た 我 が 国 で は 多 か れ 少 な か れ 複 数 の 事 業 所 で 分 業 体 制 を と る こ とが 多 い 。 しか しい ず れ の 場 合 も製 織 事 業 者 が 織 物 の デ ザ イ ンか ら 品 質 管 理 ま で を 統 括 す る コ ン ダ ク タ ー で あ り、 必 要 に 応 じ て 工 程 の 一 部 を 賃 加 工 の か た ち で他 の 事 業者 に 委 託 す る の が 一 般 的 で あ る。 製 織 事 業 者 は 原 糸 を購 入 し、 柄 物 の 場 合 に は 糸 染 め 業 者 に 染 色 を委 託 す る が 、 礼 服 の よ うに 単 色 の 生 地 は 白糸 を そ の ま ま 原 料 と して 使 用 す る。 これ 以 外 の 工 程 は 両 者 に 共 通 で 、 まず 原糸 を ワイ ン ダー に よ りボ ビ ン な どに 巻 き 返 す 。 こ の 時 点 で 不 良 箇 所 を 除 去 し、 糸 を長 くっ な ぎ 合 わ せ て 加 工 の 準 備 を す る 。 必 要 に 応 じて こ の 糸 を 束 ね機 械 で撚 りを か け る 作 業 が 撚 糸 工 程 で あ る。 撚 糸 は 強 度 を 上 げ る な ど機 能 性 の 付 加 と同 時 に 、 織 物 の 風 合 い を決 定 付 け る重 要 な 要 素 で あ る。 し た が っ て 製 織 事 業 者 自身 が 撚 糸 機 を保 有 して 手 が け る こ と も あ る が 、地場 産 業 では気 心 の 知 れ た 専 門 業 者 に委 託 す る の が 通 例 で あ る。 次 の 整 経 工 程 以 降 は 整 織 と一 体 の 作 業 で あ り、 通 例 で は 整 織 事 業 者 の 事 業 所 で 一 貫 して 実 施 され る。 整 経 は織 機 に くべ る た め の 縦 糸 を 織 物 の デ ザ イ ン に した が っ て 準 備 す る 工 程 で あ り、 整 経 機 で 経 糸 ビー ム に 巻 き 取 っ て い く。 こ の 経 糸 を 織 機 に セ ッ トす る 工 程 は機 上 げ と 呼 ば れ 、 綜 絖 と呼 ば れ る金 属 の 輪 に 経 糸 を 通 す 経 通 しは 長 年 手 作 業 で 行 わ れ て い た 。 現 在 で は こ の 工 程 も機 械 化 が 進 ん で お り、 今 回 の 調 査 対 象 企 業 で は ス イ ス のUster社 製 の 自動 引 込機 が 使 用 され て い る 。 こ の 工 程 を経 る とい よ い よ製 織 で あ る が 、我 が 国で は 毛織 物 は も ち ろん 綿 タ オ ル な どで も 日本 製 に加 え て ス イ ス のSulzer社 製 の 織 機 が 広 範 に 用 い ら れ て い る。 調 査 企 業 で は 中 国 の事 業 所 にお い て も 、 中古 で は あ る がSulzer社 製 の 織 機 を 使 用 して い る との こ と で あ っ た 。 製 織 の 工 程 そ の も の は 完 全 に 自動 化 され て お り、従 業員1 名 が 数 台 の 織 機 の 監 視 業 務 に あ た る の み で あ る 。 こ う して 出 来 上 が っ た 織 物 は 検 反 され 、 必 要 に 応 じ て 補 修 が 行 わ れ る。 これ らの 作 業 は 人 手 に よ り行 わ れ 、 とくに補 修 はき わ めて 労 働 集 約 的 な 作 業 で あ る 。 した が っ て 工 賃 が 低 廉 な 中 国 で は 製 織 事 業 所 内 で 行 わ れ て い る が 、 日本 国 内 で は 専 門 業 者 に 委 託 され る 場 合 も 多 い 。 ま た 礼 服 の よ うな 無 地 もの で は 糸 染 め が 省 略 され る 代 わ り に 、 織 り上 げ られ た 白地 の 織 物 に反 染 め に よ り染 色 され る。柄 物 で

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は 後 工 程 で の 染 色 は 必 要 な い が 、 い ず れ の 場 合 も洗 浄 した り、 蒸 気 や 薬 品 で 後 処 理 を行 う 必 要 が あ り、 こ れ を 整 理 工程 と呼 ん で 専 業 の 業 者 が 多 数 存 在 し大 規 模 な 設 備 を 保 有 す る も の も 少 な く な い 。 この 整 理 工 程 も織 物 の 風 合 い や 機 能 性 に重 大 な 影 響 を 及 ぼ す き わ め て 重 要 な部 分 で あ り、 地 場 の 慣 れ 親 し ん だ 取 引 先 に 委 託 され る の が 通 例 で あ る。 海 外 に進 出 し た 場 合 に は この 後 工 程 が 問 題 とな る こ とが 多 く、 今 回 の 調 査 対 象 企 業 で も進 出 した 競 争 企 業 同 士 で 余 剰 設 備 の相 互 利 用 をす る な どの 方 法 が と られ て い る。 6,2織 物 製 品 の 縫 製 工 程 こ う して 織 物 が 完 成 す る と今 度 は こ れ を 衣 服 に 縫 製 す る こ と に な る 。 衣 服 が 最 終 消 費 財 で あ りフ ァ ッ シ ョン 性 の あ る商 品 で あ る以 上 、 デ ザ イ ン の重 要 性 は 協 調 す る ま で も な い 。 そ して こ の 机 上 の デ ザ イ ン を 製 品 と して 具 現 化 す る に は 、 これ を型 紙 に翻案 す る作業 が必 要 と な る。現 在 で は この 作 業 はCADに 委 ね られ る場 合 も多 く、デ ザ イ ン と縫 製 作 業 が 遠 隔 地 で 行 わ れ る 場 合 に はCAMデ ー タ を 電 送 す る こ と も 一 般 化 して い る。実 際 の縫製 作業 に先 立 つ 最 初 の 作 業 は ス ポ ン ジ ン グ と呼 ば れ 、生 地 に 蒸 気 を 当 て て 寸 法 を 安 定 させ る。この後、 柄 物 で は 柄 合 わ せ の た め の 針 刺 しが 手 作 業 で 行 われ 、 い よい よ型 紙 に 合 わ せ て 裁 断 が 行 わ れ る 。 裁 断 は バ ン ドナ イ フで 行 うの が 一 般 的 で あ るが 、 今 回 の 調 査 企 業 の 中 に は 日本 製 の CAM裁 断 機 を用 い て い る例 が あ る。 現 在 は 無 地 も の の み の 対 応 で あ る が 、柄物 に も対応 可 能 な1着 断 ちCAMの 導 入 を 検 討 中 と の こ とで あ る。衣 服 の種 類 に よ っ て 多 少 の 変 動 が あ る が 、 ジ ャ ケ ッ トや コー トで は裁 断 に 続 い て 低 温接 着 機 に よ る 芯 材 の 接 着 工 程 が 加 わ る そ の 後 は い よ い よ縫 製 作 業 で あ る が 、 ま ず は パ ー ツ の 製 作 で あ る 。 こ の 工 程 は 特 殊 ミシ ン に よ り一 部 は 省 力 化 が 進 め られ て お り、CAMデ ー タか ら飾 りベ ル ト等 の小 物 パ ー ツ を治 具 を 含 め て 自動 製 作 す る な どが 実 用 化 され て い る 。 ま た 調 査 企 業 の 中 に は フ ラ ッ プ の 取 り 付 け ま で も含 め て ポ ケ ッ トを 自動 で 縫 い こむ 機 械 を 導 入 して 、6人 分 の 作 業 を1人 で こ な せ る よ うに な っ た と い う事 例 も あ っ た 。 本 縫 い は ボ デ ィ に 袖 を と りつ け 、 最後 に襟 付 け とい っ た 具 合 に分 業 体 制 も 可 能 で あ り、 こ の 場 合 に は 作 業 目的 ご と に 専 用 の ミ シ ン を使 用 して い る。 汎 用 ミ シ ン の 多 く は 日本 製 で あ る が 、 上 述 の 自動 化 機 械 を含 め て 特 殊 用 途 の も の の 中 に は ドイ ツ 製 のDuerkoppの よ うに 輸 入 品 も少 な く な い 。 こ う して縫 い あ が っ た も の に ボ タ ン 等 を 縫 い 付 けれ ば 完 成 で あ る 。 こ の ボ タ ン 付 け に つ い て も専 用 の ミシ ンが 開 発 され て い る が 、 高 級 品 で は裾 纏 りや 飾 り縫 い と と も に 内 職 先 を利 用 す る と い う調 査 先 も あ っ た 以 上 で 縫 製 作 業 は 完 了 で あ るが 、 こ の 後 ま だ プ レス や ア イ ロ ン とい った 工 程 が 残 っ て い る。 プ レス は 専 用 の プ レ ス機 を 用 い 、 ア イ ロ ン は 完 全 に 手 作 業 で あ る 。実 地 調査 を実施 した事 業 所 で は 縫 製 は ほ ぼ 全 数 が 女 子 な の に 対 し て 、 プ レス や ア イ ロ ン は ほ とん ど男 子 と対 照 的 な 人 員 配 置 と な っ て い た 。 こ の 後 、 検 針 機 な ど の 機 械 や 目視 に よ る 出 荷 検 査 が 行 わ れ 、 タ グ 付 け が 終 わ れ ば 出荷 とい うの が 一 般 的 な 工 程 で あ る。 縫 製 の 仕 上 げ 工 程 や ア イ ロ ン は 熟 練 が 必 要 な 工 程 で あ り、 男 子 か 女 子 か の 違 い は あ っ て

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も 共 に 高 齢 化 して お り、 後 継 者 の 育 成 が 必 ず し も順 調 に進 ん で い な い の が 現 状 で あ る 。 自 動 化 機 械 や 特 殊 ミシ ン の 導 入 は 単 な る 省 力 化 に 止 ま らず 、 熟 練 工 の 節 約 とい う観 点 か ら も そ の 重 要 性 が あ らた め て 強 調 され ね ば な る ま い 。 しか しな が ら現 状 の 自動 化 は 平 面 上 で の 縫 製 作 業 に 止 ま っ て お り、 立 体 縫 製 とい う洋 服 の 製 作 に 不 可 欠 な 部 分 を代 替 す る ま で に は 至 っ て い な い 。 た と え ば 平 面 縫 製 だ け で 事 足 りる タ オ ル や リネ ン類 、 カ ー テ ン 、 シー ツ な .どで は 近 年 日本 製 の 自動 縫 製 機 が 開 発 され 、 無 人 操 業 が 話 題 を 呼 ん で い る 。 も っ と も 自動 化 が 先 行 した タオ ル で は 付 図27 に 示 す よ うに 、 こ こ数 年 で 物 的 生 産 性 の 指 標 と な る不 変 価 格 の 付 加 価 値 労 働 生 産 性 が 急 上 昇 して お り、 自動 縫 製 機 開 発 の 重 要 性 を 如 実 に 物 語 っ て い る 。 そ も そ も 我 が 国 の 繊 維 産 業 が 今 日不 遇 を か こ っ て い るの は 、 織 機 や 縫 製 機 械 の 分 野 で 世 界 に 君 臨 す る企 業 を 国 内 に 持 た な い こ とに 原 因 が あ る とい っ て も過 言 で は な い 。 す で に 見 た よ うに 、 国 内 の 生 産 で も 品 質 や 生 産 性 を 決 定 付 け る重 要 な 部 分 に 欧 米 か らの 輸 入 機 械 が 使 用 され て お り、 現 場 の ニ ー ズ が 必 ず し も生 産 設 備 に フ ィ ー ドバ ッ ク され て い な い 点 は 憂 慮 す べ き で あ ろ う。 逆 に これ らの 機 械 を製 造 し て い る 国 々 が 、 繊 維 縫 製 で 比 較 優 位 を も つ こ と に も注 目せ ね ば な らな い 。 6.3ニ ッ ト製 品 の 生 産 工 程 ニ ッ トとい うの は1本 の 糸 で ル ー プ を 作 っ て い く こ とで あ る。 材 料 の 糸 は 綿 、 毛 、 麻 、 合 成 繊 維 な ど基 本 的 に は 何 で も よ く、 そ の 一 本 の 糸 か らつ く られ る ル ー プ が 複 雑 に 組 み 合 わ さ る こ とで 、 日常 の イ ンナ ー か ら芸 術 的 な 模 様 の セ ー ター に ま で 七 変 化 す る の で あ る。 生 産 とい う と画 一 的 で 管 理 され た も の を 想 像 して し ま うが 、 ニ ッ トの 生 産 と い うの は 非 常 に ク リエ イ テ ィブ か つ 芸 術 的 な 面 が 強 い の で あ る。 しか しニ ッ トメ ー カ ー 社 長 の 言 に よれ ば 「ニ ッ トづ く りに は 限 界 が な く とて も 楽 しい 。 しか し、 い く ら凝 っ て も売 れ な け れ ば 趣 味 に 終 わ っ て し ま う」。 他 の 産 業 と違 って 洋 服 と い うの は 、 誰 も が 身 に付 け る た め に 買 うけ れ ど も 、 技 術 が 高 い 、 新 素 材 で あ る 、 難 しい デ ザ イ ン で あ る と い っ た 技 術 的 に優 れ て い る と い う こ とが 、 必 ず し も売 上 に 直 結 し な い 世 界 で あ る。 ゆ え に モ ノ作 りの 技 術 とそ れ を 経 営 に の せ る とい うバ ラ ン ス の難 し さ が 強 く印 象 に 残 っ た 。 日本 に お け る ニ ッ ト産 業 は 、 ア パ レル が 生 産 受 注 を して 、 生 産 者 は そ の 指 示 どお りに 製 品 を つ く り出 荷 す る とい う下 請 け の 関係 に あ る。 した が っ て デ ザ イ ン や 原 材 料 な どの 製 品 の 企 画 は ア パ レル が 行 い 、 生 産 者 は そ の 指 示 に した が っ て 、 デ ザ イ ナ ー の イ メー ジ どお り の 製 品 を 作 り上 げ る と い う こ とが 求 め られ る。 製 品 の 在 庫 リス ク は ア パ レル が と る の で 、 そ の 点 生 産 者 は モ ノ 作 りに の み 集 中 す れ ば よ い こ とに な る が 、 そ の 分 ア パ レル の バ ー ゲ ニ ン グ ポ ジ シ ョ ン は 高 い 。 昨 今 の 不 況 で ニ ッ ト製 品 が 売 れ な い 、 ま た 安 価 な 中 国 製 品 が 大 量 に 輸 入 され る 状 況 が 続 く と、 ア パ レル か ら注 文 が こ な くな っ た り、 大 幅 な値 引 を 迫 られ た りす る こ と とな る 。 こ の よ うな受 注 生 産 が ニ ッ ト生 産 の 大 き な 流 れ で あ る が 、 以 下 で は 受 注 か ら出 荷 ま で の 工 程 をみ て い こ う。

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