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Kyōdō kumiai soshiki no arikata ni kansuru keiyaku rironteki bunseki : Nōgyō kyōdō kumiai (JA) o taishō ni shite

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(1)Title Sub Title Author Publisher Publication year Jtitle Abstract. Notes Genre URL. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org). 共同組合組織のあり方に関する契約理論的分析 : 農業協同組合(JA)を対象にして 千野, 剛司(Chino, Takeshi) 岡部, 光明(Okabe, Mitsuaki) 慶應義塾大学湘南藤沢学会 2005-03 研究プロジェクト優秀論文 日本農業の非効率性の一つの大きな原因は、農協という中間組織の存在にある。このことは契約 理論を用いて示すことが可能である。農協組織を改革すれば日本の農業の効率性が増す可能性が 大きく、そのための各種政策を推進する必要がある。 岡部光明研究プロジェクト2004年秋学期 Technical Report http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=0302-0000-0585.

(2) 共. SFC-SWP 2004-A-005. 同組合組織 のあり方 に関す る 契約理論的分析 -農 業 共 同 組 合(JA)を. 2004年. 対 象 にして-. 秋学期 AUTUMN. 千野. 剛司 総合政策学部3年. 岡 部 光 明 研 究プロジェク ト 慶應義 塾 大 学 湘 南 藤 沢 学 会.

(3) 「 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト」優 秀論 文 推 薦 の こ とば. 千野剛司 君の論文 「 協 同組合 組織の あ り方 に関す る契約理 論的分析一 農業協 同組合(JA)を 対象 にして」 では、まず 日本農業 の非効 率性 を定量 的 に明 らか に して いる。次 いで、その 一 つの大 きな原 因が農協(JA)と. い う中間組織 の存在 にある ことを契約理論 を応 用す る ことに. よって示そ う とした論文で ある。論理 的展 開にやや 粗削 りな面 が残 されている ものの、従 来 あま りなされ る ことのなか った この領域 に新 らしい視点か ら切 り込 もうとして お り、そ こで 示された高 い問題意識 と意欲 的な研究姿勢 が 本論文 に如 実 に表 れて いる。 この ため優秀論 文 として推 薦 します。 慶應. 義塾大学. 総合政策学部教授 岡部光 明.

(4) 協 同組 合 組 織 の あ り方 に 関す る契約 理 論 的分 析 一 農 業 協 同 組 合(JA)を. 千 野. 対 象 に し て 一*. 剛 司. 総 合 政 策 学 部3年. 岡部 光 明研 究 会研 究論 文 2004年. 度秋 学 期(2005年2月. 改 訂). 本 稿 の 作 成 に あ た っ て は 、 日頃 か ら 定 年 で 親 切 な ご 指 導 を して く だ さ っ た 岡 部 光 明 総 合 政 策 学 部 教 授 に 深 く感 謝 と 敬 意 を 表 し た い 。 ま た 岡 部 研 究 会 の メ ン バ ー に は 、 研 究 会 や 共 同 研 究 室(κ201)で. の議 論 に お い. て 有 益 な コ メ ン トを 頂 き 感 謝 し て い る 。本 稿 は イ ン タ ー ネ ッ ト上(http:〃www.sfc-keio.ac.lp1∼okabe/paper) に お い て も 全 文 ア ク セ ス お よ び ダ ウ ン ロ ー ド可 能 で あ る.本 稿 に 関 す る コ メ ン トや 問 題 点 等 は,著 者 に ご 連 絡 い た だ き た い(電. 子 メ ー ル ア ド レ ス:[email protected]). ホ 本稿 は ,千 野(2004)「NO!今 日の 問題 先 送 りは 明 日の 農 業衰 退 ∼ 契 約 理 論 に よ る農 協 制 度 の理 論 分析 ∼ 」(第15回 ヤ ン マ ー 学 生 懸 賞 論 文 入 賞 作 品)を 大 幅 に 加 筆 ・訂 正 を 行 っ た も の で あ る ..

(5) 概要 近 年,我 が 国 の 農 業 は,株 式 会 社 の 農 業 参 入 が 試 験 的 に 実 施 さ れ る な ど,抜 本 的 な 改 革 に 向 け た 道 を 歩 み 始 め て い る.こ. う した 中,世 間 で は 改 革 に 対 す る 肯 定 的 議 論 が な さ. れ る 一 方,い ま だ に 日本 農 業 に 対 す る 悲 観 的 意 見 も 根 強 い.こ の よ うな 改 革 に 対 す る議 論 は ど の よ う に 評 価 す れ ば よ い の だ ろ うか.何. よ り も 重 要 な こ と は,日 本 農 業 の 本 質. 的 ・根 本 的 問 題 に 立 脚 した 改 革 で あ る の か ど うか を 判 断 す る こ と,す な わ ち 改 革 は 何 を 解 決 し,何 が 解 決 され な い の か を 理 解 す る こ と で あ る. そ こ で 本 稿 で は,ま ず,日 本 農 業 の 本 質 的 ・根 本 的 問 題 を機 能 上 の 問 題 と構 造 上 の 問 題 に 分 類 し,厳 密 な 議 論 を 行 う こ と で 問 題 意 識 の 明 確 化 を 行 っ た.そ の 結 果,株 式 会 社 の 農 業 参 入 と い っ た 画 期 的 な 試 み や,今 後 の グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 と い っ た 外 生 的 な 要 因 に よ っ て も解 決 され な い で あ ろ う問 題 が 農 業 協 同 組 合(以. 下,農 協)制. 度 に 関 す る諸. 問 題 で あ る こ と を 明 ら か に した.次 い で,こ の よ うな 農 協 制 度 に 関 す る 諸 問 題 を 分 析 す る た め に 本 稿 で は 経 済 学 的 な ア プ ロ ー チ を 採 用 し,近 年 発 展 が 著 し い 契 約 理 論 を 援 用 し て 以 下 の2つ 1つ. の 分 析 を 行 っ た.. 目 は,農 協 の 公 的 組 織 と し て の 性 質 か ら,農 協 と行 政 当 局 の 関 係 に お け る ソ フ ト. な 予 算 制 約 の 問 題 を 分 析 した も の で あ る.分 析 の 結 果,① 農 協 経 営 者 は 損 失 が 発 生 して も 当 局 が 救 済 して く れ る こ と を 予 想 す る た め,適 切 な イ ン セ ン テ ィ ブ を 持 ち 得 な い こ と,② 当 局 が 仮 に 事 前 に 救 済 し な い 旨 を 表 明 し た 場 合 で も,経 営 者 は こ れ を 信 じず,し た が っ て 適 切 な イ ン セ ン テ ィ ブ を 持 ち 得 な い 可 能 性 が 大 き い こ と,③ こ の 問 題 を 解 決 す る た め に は,農 協 を 複 数 の 組 織 に 分 割 し,単 一 組 織 に 集 中 し て い る リス ク を 分 散 させ, そ れ に よ っ て 当 局 が 農 協 を 救 済 す る 必 要 性 を 低 下 さ せ る こ と が 効 果 的 で あ る こ と,が わ か っ た. 2つ. 目は,農 家 の 農 協 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トが も た ら す 影 響 に つ い て,両 者 の 獲 得. す る 利 益 の 観 点 か ら 分 析 した も の で あ る.そ の 結 果,農 家 の 農 協 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トの 程 度 に つ い て,① 農 家 の 利 益 最 大 化 が 目的 で あ れ ば,コ. ミ ッ トメ ン トは 最 小 限 に す. る 必 要 が あ る こ と,② 農 家 が 農 協 に 強 く コ ミ ッ ト し て い る 現 状 は,農 協 の 利 益 最 大 化 を も た らす 一 方,農 家 の 利 益 は 最 大 化 さ れ な い こ と,③ 高 度 経 済 成 長 期 以 前 の 段 階 に お い て は,農 協 の 利 益 最 大 化=農. 家 の 利 益 最 大 化 で あ っ た た め,農 家 は 農 協 に 強 く コ ミ ッ ト. す る の が 得 策 で あ っ た が,そ の よ うな 環 境 で な く な っ た 現 在 で は,農 協 の 存 在 は む し ろ 農 家 の 利 益 を 減 ず る 大 き な 要 因 に な っ て い る こ と,が わ か っ た. 最 後 に これ ら の 分 析 結 果 を 踏 ま え,農 協 改 革 に 向 け た1提. 案 と して,農 協 を 複 数 の 組. 織 に 分 割 す る 一 方,農 家 に 対 して ど の 組 織 に 加 入 す る の か と い う選 択 権 を 与 え る こ と が 望 ま しい こ と を 述 べ た.. キ ー ワー ド:農 協,契 約 理 論,ソ. フ トな 予 算 制 約 の 問 題,農 家 の 利 益 最 大 化.

(6) 目次. は じめ に. 1. 第1章. わ が 国 の 農 業 の 根 本 的 ・本 質 的 問 題. 3. 1-1機. 能 上 の問題. 3. 1-2構. 造 上 の問題. 6. 1-3. 株 式 会社 の農業 参入 は効 き 目1/3の. 第2章. 処 方箋. 9. 農協 制度 の理論 分析. 11. 2-1. 農協 問題 の上 部構 造 と下部 構造. 11. 2-2. 上部 構 造 に 関す るモデ ル 分析. 13. 2-2-1ソ. フ トな予 算制約 の 問題(s0ft. budget. c0nstraint. syndr0me). 13. 2-2-2モ デル分析. 14. 2-2-3農. 16. 2.3下. 協 と行 政 当局 の望 ま しい関係. 部 構 造 に 関す るモ デ ル 分 析. 17. 2・3・1個 人 の組 織 に対 す る コ ミ ッ トメ ン トの程 度 と獲 得 利 益. 17. 2-3・2モ デル分析. 18. 2-3-3イ. 20. 第3章 補論. ンプ リケー シ ョン 結 論 と改 革 に 向 け た1提. 案. 投 資 決 定 に お け る 農 家 と農 協 の 利 害 対 立. 参考 文献. 22 24 26.

(7) は じめ に 我 が国の農業 は今,長 く深い眠 りか ら覚 めつつ あ る. 狭 い 国土,細 分 化 され た農 地,耕 作放棄 者 の増加,農 業 団体お よび農 林行 政 当局 の 既 得権 益 維持 へ の 志 向,農 村 特 有 の横 並 び意 識,族 議 員 の利 益誘 導 政 治 な ど,地 理 的 ・社 会的 ・政治的様 々な要因 が農 業の発展 を阻害 し,衰 退へ の道 を強いて きた.こ の よ うな状況は,敗 戦後 の農 地改革 に よって全 ての農家 が 自作農へ と転 身 した ときか ら, ほ とん ど変化 す る こ とな く現在 へ と続 い てい る.そ の間,幾 度 とな く行政 当局 に よっ て農業構 造改革 が試 み られて きたが,ど れ も成功 と呼べ る よ うな結 果 を もた らした と は言 い難 い. で は,い った い何 が 改革 を阻ん でい るのだ ろ うか.ど の よ うな政策 手段 を用 いれ ば 有効 なの だろ うか.多 種 多様 な議論 が な され る中,非 常 に残 念 な こ とに,我 が国の農 業の根本 的 ・本質 的な 問題 を踏 ま えた上 でのそれ は極 めて少 ない よ うに思 われ る.根 本 的 ・本質的 な問題 を置 き去 りに,如 何 に も魅力 的なアイデ アを主張 した ところで,そ れ は現 実 と乖 離 した絵空 事 にす ぎない.現 在,我 が国 の農 業 に求 め られ るの は,こ う した絵 空事的 な議論 では な く,的 確 な問題 意識 に拠 った現実 的な政策論 では なか ろ う か. ところで,最 近,我 が 国 の農 業 の起死 回 生 を賭 けた画 期 的 な試 みが話 題 となっ た. 株 式会社 の農 業参入で ある。この試 み 自体 は昨年(2003年)4月. か ら,小 泉 内閣に よ. って設 け られ た構 造改革特 区(以 下,特 区)に お いて開始 され,将 来 的に は農地法 の改 正に よ り,現 在禁止 され て い る株 式 会社 の農 業参 入 を認 めよ うとす るもので ある .詳 細な議論 は本章2.2に. おいて展 開す るが,仮 に株式会社 に よる農業参入 が認 め られれ. ば,我 が国 の農 業が抱 える根本 的 ・本 質的 な問題 に対 す る極 めて有効 な処方箋 となる であ ろ う. 一方 で,株 式会 社 の農 業参 入 が,既 存農 家の行 動 に対 して即座 に影 響 を与 える可能 性 は現状 では低 い.換 言 す れ ば,既 存農 家 にお け る諸 問題 とい う,株 式会社 の農 業参. 1.

(8) 入 が 即 効 性 の あ る 特 効 薬 と は な り得 な い 根 本 的 ・本 質 的 問 題 が 依 然 と して 残 さ れ,そ れ に 対 し て の 処 方 箋 は 未 だ に だ され て い な い の で あ る. 本 章 で は,こ の よ うな 現 状 を 鑑 み,既 存 農 家 に お け る 根 本 的 ・本 質 的 問 題 の1つ て 農 業 共 同 組 合(以. とし. 下,農 協)制 度 を 取 り上 げ,① 近 年 そ の 発 展 が 著 し い 契 約 理 論 に よ. る モ デ ル 分 析,② 求 め ら れ る 改 革 案 の 議 論 を 行 う. 本 章 の 構 成 は 以 下 の 通 りで あ る.2.2で. は,我 が 国 の 農 業 の 根 本 的 ・本 質 的 な 問 題 を. 議 論 し,分 類 す る こ と で,本 章 で の 問 題 意 識 を 明 確 化 す る.続 く2.3で. は,農 協 に 関 す. る モ デ ル 分 析 を 行 う.2.4で 本 章 で の 結 論 と求 め られ る 改 革 案 を 述 べ る.. 2.

(9) 第1章. 我 が 国 の農 業 の根 本 的. ・本 質 的 問 題. 我 が 国 の 農 業 問 題 を 議 論 す る 場 合,そ を 区 別 す る 必 要 が あ る.こ い る 諸 問 題 を 意 味 し,具 構 造 上 の 問 題 と は,具. こ で い う 機 能 上 の 問 題 と は,個. 体 的 に は 生 産 性,収. 体 的 に は,法. 問 題 が そ う で あ る よ う に,農 存 在 し,そ. 律,制. 益 性,労. 度,政. 業 の 場 合 も ま た,機. 々 の 農 業 従 事 者 が 直 面 して. 働 力 等 に 関 す る 問 題 で あ る.一. 策 等 に 関 す る 問 題 で あ る.多. 方,. くの 社 会. 能 上 の 問 題 に 根 本 的 ・本 質 的 な 原 因 が. の 解 決 を 構 造 上 の 問 題 が 阻 ん で い る.以. 問 題 を 指 摘 し,我. 1.1機. こ に 内 在 す る 機 能 上 の 問 題 と構 造 上 の 問 題 と. 下 で は,機. 能 上 の 問 題 と構 造 上 の. が 国 の 農 業 問 題 の 概 観 を 述 べ る.. 能 上 の 問 題1. 表2-1農. 業 の 実 質 労 働 生 産 性 ・土 地 生 産 性 ・労 働 の 土 地 装 備 率 ・ 農 家 の 平 均 経 営 土 地 面 積 規 模 の 国 際 比 較,1995年. '. 注)農 家以外 の農 業事業全体 を含 む.ア メ リカ とイ タ リアについ ては1992年 の統計 に基 づき作成 され た. 農 業産出=各 種農 産物の産 出量か ら農業 中間財(種 子,飼 料)と して用い られ たものを差 し引き,小 麦 との相対 価格 を乗 じて集 計.有 業者数=ILOの. 定 義に よる経 済人 口 耕 地=耕 地+樹 園 地. 農用地=耕 地+樹 園地+永. 年 牧草地 出所)Hayami,. Y. and Ruttan,. revised edition, Balitimore:Johns the Eur0pean. C0mmunities,. v. W.,!18η 幅側Z`掘θ ノ」 ρθ払θ ∫ ρρ甥θηポ/㎞ 血 飴㎜a孟ioηalPerspective,. Hopkins University Press, 1985,. Agriculture:Agri-cultural. 1本 節 の 作 成 に あ た っ て は ,速 水 ・神 門(2002)を. Statistics2000,. 参 考 に した.. 3. Appendix A;Statistical Officeof 2000;FA0,. FAOSTAT.

(10) Database,2000;農. 水省. 『農 業 セ ン サ ス 』.(速. 水 ・神 門(2002)に. よ る 引 用). .. 機能 上の 問題 は全 て,日 本 の農家 が極 めて乏 しい土地 で生 産 を行 ってい る こ とに 帰 結す る.土 地が乏 しいため に,労 働 生産性 が低 くな り,1人 も自ず と低 くなって しま う.表2-1は,日. あた りの生産性,収 益性. 本 を含 めた先進5力 国の農 業労働生産性 を比. 較 した もので あ る。これ に よる と,日 本 は土地生 産性 では他 を大 き く リー ドして い る にもかかわ らず,乏 しい土地面積 ために労働生産性 はア メ リカの約8分 の1 ,ヨ ー ロッ パ諸国 の2分 の1か. ら4分 の1程 度 にす ぎない こ とがわか る.. 図2ー1 我 が国の農業の機能上の問題 【 状態1】細分化された農地での の経営. 灘. 【 状鯉 】個々の農家での最適化 労働力の削誠と機械化. 条縛. 一. 越. 条 雛械. 労働力. / 更なる取益性の向上. 【 状態3]マクロレベルでの最適化. *薯竜作破. 4. 労働集.

(11) 図2-1は 我 が国の農業 の構 造上 の問題 を図示 した もので ある.こ こではAとBの2 つの農家 が独 立 して経営 を行 ってい る もの とす る.状 態1は. 両農家 がそれぞれ3単. 位. の労働 力に よって労働集約 型 の経 営 を行 ってい る状態 であ る.こ れ は高度経 済成長 以 前の 日本農 業 にあては ま るが,こ の よ うな労働 集約型 の経 営に よる労働生産性 の低 さ は,必 ず しも農 業 の国 際競争 力 の低 さを意 味す る もの では なか った.な ぜ な ら,経 済 大 国 とな る以 前の低所 得 国段階 にお いて は,労 働 賃金 は相対 的 に安価 であ り,資 本や 土地が節約 され れば生産 費 は高 くな らな い.狭 い土地 に多 くの肥 料や労働力 を投入 し, 土地生産性 を高め る労働 集約的 ・土地節約 的技術 は高度経済成 長以前 の 日本 農業 にお いては効率的 な生 産方式 であった. しか し,高 度経 済成長 と ともに労働 賃金 は相対 的 に上 昇 し,こ の よ うな生産 方式 は 急 速 に非 効率化 して い った.こ の よ うな高賃金経 済下 におい ては,収 益 性の 向上 のた めに は労働 力 を削減 す る と同時 に機 械化 を行 う必 要が あ るが,こ れ を示 したのが状態 2で ある.こ れ が達成 され る と個 々の農 家にお いて は,よ り少 ない労働 力 に よって経 営が可能 にな る,す なわ ち労働 生産性 の 向上 とそれ に伴 う収益 性 の向上 とい う意味 に お いての最適化 が達成 され る. 現 状にお ける農家 は状 態2を 目指 し,機 械化 を進 め,労 働 生産性 を高めて いるが,マ ク ロ的な視点 か ら見れ ば更な る労働 生産性 の向上 とそれ に伴 う収 益性 の向上 が可能 で ある.こ れ は状態3と. して示 した.こ の達成 には,状 態2で. 農家AとBが. 営 してい る耕 地 と機械 を統合す るな ど して,よ り少 ない労働 力(こ. 独 立 して経. こでは1単. 位 の労. 働力)で 既存 の経営耕 地以上 の面積 の経営 を行 う必 要が あ るが,現 状 において は次の 1.2で 述べ る構造上 の諸 問題 が これ を阻んでお り,状 態3が 達成 され ない のであ る. 以上 よ り,現 状 にお ける我 が 国の農業 の機能 上 の問題 は,低 い労働 生産性 を向上 さ せ,収 益性 を向上 させ るた めの一 人 あた りの耕 地面積 の拡 大が,構 造 上 の諸問題 に よ って達成 され ない こ とにあ る とい え る.. 5.

(12) 1.2. 構造 上の問題. 以上の よ うな機能 上の問題 を解決 す るた めには,農 業従事者1人. あた りの経 営耕地. を増加 させ る こ とが必 要不可 欠で あ るこ とが わか る.し か しなが ら,理 論 的 には正 し くて も現 実 には一向 に進 まないの は,先 述 した よ うに,構 造上 の 問題 が これ を阻 んで い るか らである.構 造上 の問題 は,具 体的 には次 の3点. と して理解 され る。. 1点 目は,農 地制度 の制約 である.現 行農 地法で は,農 地 の農 業以外の転用 または投 機 目的 の保 有 を防 ぐため,農 地 の所 有 は実際 に耕作 を行 う主体 に限定 されてお り,し たが って農 業 を経営 で きるのは農 家 の他,農 家 を中心 として農業経 営 を行 う農業 生産 法人 に限 られ てい る.そ のた め,資 金潤 沢な株式 会社 な どの大 規模経 営者 が外 部 か ら 農 業 に参入 す る場 合,自 らが農業 生産法 人 として の要件 を満 たす か,子 会社や 関連 会 社 として農業生産法人 を設 立す る必 要があ る. この よ うに他 の市場 には見 られ な い よ うな参入 へ の高い障壁 は,外 部 か らの大規模 な参入 を容易 に しない.確 かに,株 式 会社 は利潤 の追 求 が最 大 の 目標 で あ り,農 地 の 長期保 有 が得 策で はない との判 断 を下 した場合 には,即 座 に転 用 または売却 を試 み る であ ろ う.ま た,日 本農 業 は伝 統的 にム ラ単位 で協 力 して共同 で行 って きた とい う歴 史的経 緯が あ り,そ のた め,外 部 か らの新規 参入者 に対 しては 「よそ者 」感情 が働 く, といった ことも考 え られ る.現 行 法は この よ うな理 由か ら新規 参入 に対 して は,極 め て高い 障壁 を設 置 してい るが,一 方 で,こ の よ うな障壁 が存 在す るこ とは,よ り効 率 的 な経営 を行 う者 は よ り豊 富 な資金 を手 に入れ,こ れ に よって経営 を拡 大 して い く, といった よ うな市場原 理 が機 能 しない こ とを意 味す る.無 論,農 業 とい う限定 的 な市 場 内にお いては,効 率 的 な経 営 を してい る農 家 が経営 を拡 大す る とい った,あ る程度 の市場原 理が機 能す る可 能性 はあ ろ うが,そ の資金力 ・経営規模 は外部 か らの大規模 参入希望者 には到底及 ばない小規模 なもの であ ろ う. 2点. 目は,行 政 当局に よ る農業保護 政策 で ある.行 政 当局が農業保 護政 策 を行 う理. 由には様 々な要 因が考 え られ るが,主 と して対 外的要 因 と対 内的要因 に分類す るこ と. s.

(13) が で き る.前 者 は,国 外 か ら 相 対 的 に 安 価 な 農 作 物 が 輸 入 さ れ る こ と に よ っ て,国. 内. の 農 家 が 損 失 を 被 る こ と を 防 ぐ た め に 設 け られ る 関 税 障 壁2に 代 表 さ れ る.ミ ク ロ経 済 学 的 な 理 解 で は,国 外 か ら 安 価 な 農 産 物 が 輸 入 され る こ と は,本 来 で あ れ ば 生 産 者(農 家)の 余 剰 を 減 少 させ る も の の,消 費 者 余 剰 の 増 加 分 が そ れ 以 上 で あ る た め,社 会 的 総 余 剰 は 増 加 す る こ と が 知 られ て い る3.し か し,消 費 者 の 数 は 生 産 者 よ り圧 倒 的 に 多 い の で,消 費 者 に お い て は 一 人 あ た り の 余 剰 の 増 加 分 は ご く 僅 か な も の と な る が ,生 産 者 に お い て は 一 人 あ た りの 余 剰 の 減 少 分 が 膨 大 な も の と な る.そ の た め,一 般 的 に 輸 入 自 由 化 問 題 に 関 して は,消 費 者 は 無 関 心 に な り が ち で あ る 一 方,生. 産 者 は 激 し く反. 対 す る た め,こ の こ とが 政 策 に も 反 映 され て しま う の で あ る4. 後 者 は,国. に よ る 米 の 買 上 制 度 や 農 地 に 対 す る 固 定 資 産 税 の 低 さ な ど に 代 表 され る. 農 業 保 護 政 策 で あ る.行 政 当 局 が 国 内 に お い て こ の よ うな 保 護 政 策 を 行 う主 た る 目 的 は,国 内 の 他 産 業 か ら農 業 を 保 護 す る こ と に あ る.農 業 は 他 産 業 に 比 較 し て 労 働 生 産 性 が 低 く,所 得 格 差 が 発 生 しや す い.こ. の よ う な 所 得 格 差 の 調 整 は,国. 内 自 給 率 問 題5. や 環 境 保 全 問 題6と い う名 目 に 置 き 換 え ら れ て,暗 黙 的 に 行 わ れ る た め,一 般 的 な 反 感 を 買 う こ と は あ ま り な い.確. か に,国. 内 自給 率 問 題 や 環 境 保 全 問題 に お け る農 業 の 重. 要 性 は 否 定 で き な い が,こ れ ら の 名 目 に よ っ て 農 業 が 過 保 護 に さ れ 続 け て き た と い う 面 は 否 め な い で あ ろ う.こ の 所 得 格 差 調 整 に よ っ て,極. め て 労 働 生 産 性 の 低 い零 細 農. 家,兼 業 農 家 が 生 き 残 る 結 果 と な り,効 率 的 な 大 規 模 経 営 を 阻 害 す る 大 き な 要 因 と な っ て き た の で あ る7.. 2経 済の グローバル化 ・ボーダー レス化 が進 展す る今 日に あって も ,1994年 のGATT(関 税及び貿易 に関 す る一般協定)第19条 に よって,急 激 な輸入増加 とい う緊急 時に限 って ではあるが,締 結 国は国内産業 を保護 す る措置(セ ー フガー ド)を 行 うこ とが認 め られ てい る. 農林水 産省 ホー ムペ ージ 「 セー フガー ド関連情 報」に詳 しい. 3こ れ は どの ミクロ経 済学の教科書 で も扱 っている基本的 な議論 であ る.伊 藤(2002)や 武 隈(2002) な どに詳 しい. 4よ り厳密 には,行 政 当局が補助金 な どに よって輸入 自由化 に よって減少 した生産者余剰 を補填 す るこ とが可能 であ る. 5農 業 と国内 自給率問題 について は ,生 源 寺(1998)序 章や速水 ・神 門(2002)第9章 を参照せ よ. 6農 業 と環境保 全問題 にっいては,環 境保 全型農業技 術指針検討委 員会(1997)や 生源寺(1998)第 皿 部な どを参 照せ よ. 7速 水 ・神 門(2002) ,242-248ペ ージに詳 しい.. 7.

(14) 3点. 目 は,農 協 に よ る 小 規 模 農 家 の 保 護 と政 治 力 学 で あ る.日 本 で は,農 協8と い う. 欧 米 に 類 を み な い 独 特 な 生 産 者 組 織 が 存 在 し て い る.農 協 の 特 徴 と し て は,① 農 業 組 合 組 織 と し て 唯 一 の 組 織 で あ る こ と9,②3段. 階 の ピ ラ ミ ッ ド構 造 を 持 つ こ と,③ 幅 広. い 活 動 内 容 が あ る こ と,④ 加 入 義 務 が な い に も か か わ らず,暗. 黙 の 了 承 と し て,全. て. の 農 家 が 地 元 農 協 に 正 組 合 員 と し て 加 入 して い る こ と,が 挙 げ ら れ る.こ の よ う な4 つ の 特 徴 を 持 つ こ と は,行 政 当 局 の 指 導 方 針 が 末 端 の 農 家 ま で 迅 速 に 伝 達 さ れ る,と い っ た 意 味 に お い て は,非. 常 に 効 率 的 で あ る.高 度 経 済 成 長 以 前 の 段 階 に お い て は,. 行 政 当 局 が 強 い リー ダ ー シ ッ プ を 発 揮 して,い 行 う こ と が,国. わゆ る 「 護 送船 団方式」 の産業政策 を. 際 競 争 力 を 高 め る 上 で 有 効 で あ っ た た め,農 業 に 関 し て も 唯 一 の 生 産. 者 組 織 が 作 られ た の で あ る.し か し な が ら,日 本 が 経 済 先 進 国 と称 さ れ る に 至 っ た 現 在 に お い て は,こ の よ うな 組 織 形 態 は 以 下 の2つ 1つ. の 弊 害 を も た ら して い る.. は,農 協 に よ る 小 規 模 農 家 の 保 護 で あ る.農 協 組 合 長 は 組 合 員 の 投 票 で 選 ば れ. る た め,多 数 の 小 規 模 農 家 の 利 益 を 尊 重 す る 傾 向 が あ る.一 方 で,自 前 の 販 路 開 拓 や 設 備 導 入 に 積 極 的 な 大 規 模 農 家 は,農 協 の 独 占 的 地 位 を 脅 か す 存 在 で あ り,農 協 との 利 害 対 立 が 発 生 す る 場 合 が あ る.こ の よ う に,農 協 が 生 産 効 率 の 悪 い 小 規 模 ・零 細 農 家 を 保 護 し,生 産 効 率 の 高 い 大 規 模 農 家 と対 立 す る,と い っ た 構 図 が 機 能 上 の 農 業 問 題 の 解 決 を 阻 む 大 き な 要 因 と な っ て い る. 2つ は,小 規 模 農 家 保 護 の 政 治 力 学 の 存 在 で あ る.経 済 理 論 的 に は 正 し く て も,こ れ が 一 向 に 政 策 に 反 映 さ れ な い,と. い っ た 事 態 が しば しば 政 治 で は 発 生 す る.こ れ は,. 経 済 の 理 論 と政 治 の 理 論 の 相 違 か ら 起 こ る も の で あ る.農 業 に 関 して い え ば,農 協 と い う単 一 組 織 に 全 て の 農 家 が 加 入 し て お り,選 挙 時 に は 農 業 保 護 政 策 を 公 約 に 掲 げ る 政 治 家 に 組 織 単 位 で 投 票 す る た め,国 政 に お い て も 農 業 保 護 が 反 映 され て し ま うの で. 8農.rは1991年 以降, JAと い う愛称 を用 いているが,本 章 では,と くに断 らない限 り,農協 と表現す る. 9正 確 には農協 は各地域 に単位農 協(以 下,単 協)が あ り,独 立 した経営 を行 っているが,現 行 の農 業協 同組合法(以 下,農 協法)に お いては各 地域 に1つ の単協 の設 立 しか認 め られ てお らず,農 業生産活動 を 行 う主体に とってみれ ば この単協 に加盟す る他 はな く,事 実 上唯一の生産者組織 であ るといえる.. 8.

(15) あ るlo.こ こ に お い て も,小 規 模 農 家 の 保 護,大. 規 模 経 営 の 阻 害 と い っ た 構 図 が 働 き,. 機 能 上 の 問 題 解 決 を 阻 ん で い る.. 1.3. 株 式 会 社 の 農 業 参 入 は113の. 処方箋. 本 節 で は,最 近 話 題 に な っ た 株 式 会 社 の 農 業 参 入 を 議 論 す る と と も に,本 章 で の 問 題 意 識 を 明 確 化 す る. 前 節 で 議 論 した よ う に,現 行 法 に お い て は,株 式 会 社 の 農 業 参 入 に は 高 い 参 入 障 壁 が 設 定 され て い る.こ れ に 対 し て,規 制 を 緩 和 して,株 め よ う とす る試 み が 特 区 に お い て 昨 年(2003年)4月. 式 会 社 の農 業 参 入 を 容 易 に認. か ら 実 施 さ れ て い る の で あ る.具. 体 的 に は,参 入 を 希 望 す る株 式 会 社 が 特 区 内 に お い て,耕 作 放 棄 地 を 行 政 当 局 か ら 借 り入 れ て 農 業 経 営 を 行 うが,主. と し て 外 食 産 業 が 参 入 し て い る.参 入 企 業 の 経 営 が 順. 調 で あ れ ば,政 府 は 今 秋(2004年)に. も農 地 法 の 改 正 を 含 め て,全 国 的 に 株 式 会 社 の. 農 業 参 入 を 認 め る 方 針 で あ る.従 来,株 式 会 社 の 農 業 参 入 に 高 い 参 入 障 壁 が 設 定 さ れ て き た 理 由 に は,① 農 業 以 外 の 転 用 を 防 ぐ た め,② 投 機 を 目 的 と し て の 短 期 的 な 保 有 を 防 ぐ た め,③ 企 業 は 農 村 の 伝 統 的 な 規 則 や 慣 習 を 遵 守 しな い 可 能 性 が あ る た め,な ど が あ っ た が,ど. れ も 実 証 さ れ た 上 で の 議 論 で は な く,あ. く ま で 推 測 の 域 を で な い.. ① や ② は 株 式 会 社 に 限 ら ず,一 般 の 農 家 に 対 して も 考 え 得 る も の で あ る し,③ に 関 し て は,行 政 当 局 が 株 式 会 社 と農 家 が 共 存 で き る よ うな 制 度 を 作 る こ と に よ っ て,回 避 で き る 可 能 性 が あ る か ら だ.こ. の よ うな 発 展 的 な 議 論 が な さ れ ず,戦. 後 の 長 き 問 に渡. っ て 株 式 会 社 の 参 入 が 阻 ま れ て き た 経 緯 を 顧 み る と,今 回 の 試 み は 日本 農 業 の 問 題 が 抱 え る 構 造 上 の 問 題 の 一 つ を解 決 す る 処 方 箋 と な る で あ ろ う. しか しな が ら,前 節 で 議 論 した よ うに,農 業 問 題 に お け る構 造 上 の 問 題 は3つ 株 式 会 社 の 農 業 参 入 は そ の うち の1つ され た 処 方 箋 は 全 体 の1/3で,残. あ り,. に 対 す る 処 方 箋 と し か な り得 な い.つ ま り,だ. され た2つ. の 側 面,す. な わ ち 農 業 保 護 政 策 と農 協 問 題. 10戦 後の長期に渡 って国政を担 当 し続 けて きた 自民党が農村 を支持基盤 とす る政 党で ある ことは,周 知 の事 実であ る.. 9.

(16) に は未 だ処方 箋は 出 されて いない ので あ る.農 業保護 政策 に関 して は,近 年 のグ ロー バル化 の進 展 に ともな って,今 後行政 当局 が これ まで と同様 に これ を行 って い くこ と は考 え難 いが,農 協問題 に関 して,こ の生産者組 織 が先 述 した よ うな組織 上 の特 徴 を 維 持 してい く限 り農 業問題 の構造上 の問題 とな り続 け るで あろ う. 本章 では以上 の よ うな問題 意識 か ら農協制 度 に関す る理論 分析 を行 い,改 革 に向 け た1提 案 を行 う.. 10.

(17) 第2章 2.1農. 農 協 制 度 の理 論 分 析 協 問題 の 上 部 構 造 と下 部 構 造. 前 節 で 指 摘 し た よ う に,我 が 国 の 農 業 に は,農 協 と い う他 国 に は な い 農 独 特 な 生 産 者 組 織 が 存 在 し て い る.農 協 の 特 徴 と して は,事 実 上 の 国 内 唯 一 の 生 産 者 組 織 で あ っ て,ほ. と ん ど 全 て の 農 家 が こ れ に 加 盟 し て い る こ と に あ る.無 論,各. 地域農 協 を独立. し た 組 織 と す る 考 え 方 も あ る が,現 行 の 農 協 法 で は 地 域 ご と に 設 立 で き る農 協 は1つ の み と さ れ て お り,農 家 は 他 の 地 域 の 農 協 に 加 盟 す る こ と が で き ず,ま. た,こ れ らの. 地 域 農 協 を ま と め る 組 織 と し て 全 農 と い う上 層 組 織 が あ り,こ れ ら を 考 慮 し,こ こ で は 農 協 を 国 内 唯 一 の 農 業 生 産 者 組 織 で あ る と し て い る.加. え て,農 協 の 管 轄 官 庁 と し. て 農 林 水 産 省 が 存 在 し,こ の 指 導 に よ っ て 農 協 が 活 動 し て い る.こ れ は 農 協 が,戦 後 直 後 のGHQや. 日本 政 府 に よ る 「上 か ら の 指 導 原 則 」 に よ っ て 設 立 さ れ た こ と に 由 来. す る.高 度 経 済 成 長 以 前 の 段 階 で は,当. 局 が イ ニ シ ア テ ィ ブ を と っ て,迅 速 に か つ 的. 確 に 政 策 や 指 導 方 針 を 末 端 の 農 家 ま で 行 き 届 か す に は,効 率 の よ い 組 織 形 態 で あ っ た の で あ る.し か しな が ら,農 協 の こ の よ う な1地 域 に1つ. の 農 協 しか 設 立 で き な い 現 状,. 歴 史 的 な 設 立 過 程 を 顧 み る と,協 同 組 合 の 基 本 原 理11に 基 づ き,農 民 が 主 体 性 を も っ て,自 主 的 に,自 由 に,民 主 的 に,自 分 た ち の 論 理 で も っ て,結 成 さ れ た 農 業 組 合 で は, な い と言 わ ざ る を 得 な い12.そ こ で こ こ で は 農 協 を 公 的 組 織 と み な して 議 論 を 行 う. 農 協 が 国 内 唯 一 の 生 産 者 組 織 で あ る こ と及 び 公 的 組 織 で あ る こ と は,次 に 示 す よ う に 上 部 構 造 か ら下 部 構 造 に 渡 っ て,権 限 や 資 本 が 農 協 に 集 中 す る こ と を 意 味 す る.ま ず,上. 部 構 造 か ら の 権 限 ・資 本 の 集 中 に 関 し て は,農 協 の 監 督 官 庁 で あ る 農 林 水 産 省 か. ら の 農 協 へ の 権 限 や 資 本 の 委 託 が あ る.農 協 は 国 内 唯 一 の 生 産 者 組 織 で あ り,ほ ぼ 全 て の 農 家 が こ れ に 加 盟 して い る た め,農 林 水 産 省 が 農 業 政 策 を 実 施 す る 際 に は 農 協 に 権 限 や 資 本 を 委 託 し て こ れ を 行 う こ と が 効 率 性 を も た ら す た め で あ る.一 方 の 下 部 構 11協 同組 合 の基本原 理 とは,経 済的弱小 主体(中 小産者)が その経済 的被 制約性 を有す るた めに,集 団的 経済 力を もって,資 本に代替す る ことによって各組 合員の経 済活動(生 産,流 通,消 費)の 維 持 ・発展 へ の助成 を企図す る(西 山(1996)),と い った ものであ る. 12西 山(1996)参 照.. 11.

(18) 造か らの権 限や 資本 の集 中に関 して も,上 部 か らの集 中 と同様 に,農 協 が国 内唯 一 の 生産者組織 で ある こ とによってい る.個 々の農家 は 田畑 の管理か ら作 物の生産,出 荷, 販 売,は たま た資産 の管理 まで農 協 に委託す る場合 が多 く,農 協 に権 限や 資本 が集 中 す る結果 となってい る.以 上,農 協 に対す る上部 ・下部構造 か らの権限 ・資本の集 中を ま とめたのが図2・1で あ る.. 図2-3. 農協 に対す る権限 ・資本の集 中. 上 部. ソフトな予算制約の. 選 醐 こ関する分析. ↑ ↑. 嘉 騰 定行動における. 権限・ 資本. 構 獲i得 利益に関する分析. ㊥ ㊥ ㊥ ㊥ ㊥ ㊥ *薯 者作扇. と こ ろ で,経 済 学 的 な 観 点 か ら言 え ば,こ の よ う な 農 協 に 対 す る 権 限 ・資 本 の 集 中 は, 農 業 が 農 協 とい う組 織 を 中 心 に 集 権 的 な 市 場 と し て 成 立 し て い る こ と を 意 味 して い る. 集 権 的 な 市 場 に お い て は,特 定 の プ レイ ヤ ー に 権 限 や 資 本 が 集 中 す る た め,非 効 率 な. 12.

(19) 経 済 行 動 が 発 生 しや す い.農 業 に お い て は,上 部 ・下 部 構 造 か ら の 集 中 が 起 こ っ て い る た め,上 部 構 造 一 農 協 と下 部 構 造 一 農 協 と い う二 段 階 に お け る 非 効 率 な 経 済 行 動 が 発 生 す る 可 能 性 が あ る.以 下 で は,上 部 構 造 一 農 協 の 関 係 に お い て ① ソ フ トな 予 算 制 約 の 問 題 が 発 生 す る 可 能 性 を 指 摘 し,下 部 構 造 ー 農 協 の 関 係 に お い て ② 農 家 の 農 協 へ の コ ミ ッ トメ ン トの 程 度 に よ っ て 両 者 の 獲 得 利 益 が 変 化 す る こ と,を モ デ ル 分 析 す る.. 2.2 2.2.1. 上 部構 造 に 関す るモ デ ル 分 析 ソ フ トな 予 算 制 約 の 問 題(Soft. Budget. Constraint. Syndrome). 公 的 企 業 の 大 き な 特 徴 の 一 つ と し て,利 益 を 上 げ ず 赤 字 が 発 生 し て も,一 般 私 企 業 の よ う に 倒 産 せ ず,行 政 当 局 に よ っ て 赤 字 が 補 填 され る 傾 向 が あ る こ と が 挙 げ られ る. 例 え ば,発 電 業 や 鉄 道 業 と い っ た 限 界 費 用 逓 減 産 業 で は,初 期 費 用 が 膨 大 で あ る た め, 参 入 障 壁 が 高 く,自 然 と独 占 や 寡 占状 態(自. 然 独 占)に. よ る 規 制 か 当 局 に よ る 直 接 的 な 運 営 が さ れ て い る.加. な りや す い.そ の た め,当 局 に え て,こ. の よ う な 産 業 で は,完. 全 競 争 市 場 と 同 様 に 限 界 費 用 を 価 格 と して 設 定 し,効 率 性 を 高 め て も,損 失 が 発 生 し て しま う と い う性 質 が あ り こ の た め,当 局 に よ る 補 填 が 行 わ れ る の で あ る. し か し な が ら,こ の よ う な 公 的 企 業 の 特 徴 は,同 時 に,公. 的企業 の経営者 の経 営努. 力 に 対 す る イ ン セ ン テ ィ ブ を 損 ね て し ま う.な ぜ な ら,努 力 せ ず に 赤 字 に な っ て も, 結 局 は 当 局 が 補 填 し て くれ る こ と を 予 想 す る た め で あ る.本 来 的 に は,予 算 は 一 度 決 定 さ れ れ ば,変 更 され な い が,公 的 企 業 の 場 合 に は これ が ソ フ トに(緩 あ り,経 営 者 の 規 律 付 け と し て 機 能 し な く な る.こ な 予 算 制 約 の 問 題 と 呼 ば れ る が,国. く)な. りが ち で. の よ う な 問 題 は,一 般 的 に ソ フ ト. 内 唯 一 の 農 業 生 産 者 組 織 で あ る 農 協 に お い て も,. こ の よ うな 問 題 が 発 生 す る 可 能 性 は 十 分 に あ る.な ぜ な ら,全 て の 農 家 が 暗 黙 の 了 承 と し て 農 協 に 加 入 し て い る 現 状 で は,農 協 の 損 失 は す な わ ち 日本 農 業 の 損 失 を,農 協 の 崩 壊 は 日本 農 業 の 崩 壊 を 意 味 し,当 局 は 農 協 に 対 し て 損 失 の 補 填 を 行 う こ と が 考 え ら れ る た め で あ る.以 下 で は,契 約 理 論 を 援 用 し て 農 協 経 営 者 の イ ン セ ン テ ィ ブ 問 題. 13.

(20) を 分 析 す る. 2.2.2. モ デ ル 分 析13. こ こ で は,農 協 の 利 益 が 経 営 者 の 努 力 水 準 に よ っ て 左 右 され る モ デ ル を 考 え る.モ デ ル の 単 純 化 を 図 る た め,経 営 者 の 努 力 水 準 はe"とe`の2つ. と し,ど ち ら を 経 営 者 が. 選 択 し た と し て も 経 営 者 の 私 的 コ ス トは 発 生 し な い も の とす る.一 方 で,経 営 者 に は 私 的 な 利 得14が 発 生 し て い て,こ れ は 努 力 水 準 に よ っ て 変 化 す る も の と仮 定 す る.更 に,努 力 水 準 の 選 択 の 結 果,農 協 に は 経 営 者 の 利 得 以 外 の 農 協 と して の 利 得 が 発 生 す る が,こ れ は 当 局 の 利 得 と す る. 経 営 者 がheを 一方. 選 択 し た 場 合,農. 協 の 利 得 は ーR"とな り,経 営 者 の 利 得 はBhと. な る.. ,経 営 者 が1eを 選 択 し た 場 合 に は,当 局 か ら の 追 加 的 な 援 助 が な け れ ば,農 協 の. 利 得 は ゼ ロ,経 営 者 の 利 得 も ゼ ロ と な る と仮 定 す る.た だ し,政 府 か ら の 追 加 的 な 援 助 が あ れ ば,農 協 の 利 得 は(援. 助 を 差 し 引 い て も)R`と. な り,経 営 者 の 利 得 はBIと. な. る も の とす る.変 数 間 の 大 小 関 係 は 以 下 の よ う に 定 義 す る. ま ず,e`よ. り もehを 選 択 した 方 が 社 会 的 に よ り望 ま しい た め, ehを 選 択 し た 方 が 全. 体 の 利 得(R+B)が. 大 き く な る 必 要 が あ る.よ っ て,. R"+Bh>R1+B`. (2.1). と な る.ま た,当 局 の 利 益 と う観 点 か ら見 て も,heを. 選 ぶ 方 が 望 ま し い か ら,. Rh>R`>0. (2.2). と な る.し か し,経 営 者 の 利 得 は,当 局 が 救 済 し て くれ る か ぎ り,e`を. 選 択 した 方 が 大. き く な る の で, 0<Bh<B`. (2.3). と な る. 当 局 が 救 済 して くれ る と い う こ と を 前 提 に す れ ば,(2.3)式. よ り,経 営 者 は 社 会 的 に. 13こ こでのモデル は柳 川(2000)を 参考に した. 14例 えば,経 営者 が 自らの効用 を高め るた めに,必 要以上の労働者 を雇 った り,必 要以上 にオ フィス を 豪華 につ くった り,部 屋に高価 な絵画 を飾 った りす る ことな どが考 え られ る.こ れ らは企業内で の眼に見 えない非効率 とい う意味でX非 効率性 と呼ばれ る.. 14.

(21) 望 ま し く な いe'を 選 択 し て し ま う.加 え て,当 局 も 経 営 者 が!eを 選 択 し た 後 で は,救 済 す る と い う選 択 肢 を と っ た 方 が,社 会 的 に も,当 局 に と っ て も利 得 が 高 く な る の で, 救 済 す る と い う行 動 を と っ て し ま う.す な わ ち,上 記 の よ う な 状 況 で は,経 局 が 必 ず 救 済 し て くれ る と い う こ と を 見 越 して,!eを 系 ゲ ー ム で 表 記 した の が 図2-2で. 図2・2. 営者 は 当. 選 択 す る の で あ る.こ れ を 展 開. あ る.. 経 営者 の選択 が先 に行 わ れ る場合. 経営者 (0・の. 救済する *. くR1,B1) 柳 川(2000)を. 参考 に薯 者作 成. しか し な が ら,以 上 の よ う な 経 営 者 の 行 動 は,経 営 者 が 当 局 に 先 立 っ て 選 択 を 行 う と い っ た 仮 定 に 依 存 して い る.当 局 が 経 営 者 に 先 立 っ て,た. とえ 農 協 が 経 営 危 機 に 陥. っ て も,絶 対 に 救 済 し な い と い っ た 意 思 表 明 を 行 い,こ れ を 経 営 者 が 信 じれ ば,社 会 的 に も 当 局 に と っ て も 望 ま し い 努 力 水 準heを こ れ を 表 記 し た の が 図2-3で. あ る.. 15. 経 営 者 に 選 択 さ せ る こ と が 可 能 で あ る..

(22) 図2・3. 当 局 が 事 前 の 意 志 表 明 を 行 う場 合. 当. (0,0}. (R1,B1} 当 局 が 事 前 に 「救 済 せ ず 」 と い う 選 択 を 行 う こ と を 表 明 しaこ れ を 経 嘗 者 が 信bれ ばaehを 選 択 させ る こ と がで き る *. 柳 川(2000)を. しか し な が ら,た と え 当 局 が 意 思 表 明 を し た と こ ろ で,実. 参 考 に薯者作 成. 際に農協 が経営 危機 に陥. れ ば,当 局 は 救 済 し た 方 が 高 い 利 得 を 得 る こ と が で き る た め,経 営 者 は こ の 意 思 表 明 を 信 じず,θ'を 選 択 し て し ま う可 能 性 が あ る.ゲ ー ム 理 論 で は これ を 「か ら の 脅 し」 と 呼 び,こ の よ うな 状 況 下 で は 経 営 者 の 適 切 な イ ン セ ン テ ィ ブ を 引 き 出 す こ と が で き な い.. 2.2.3. 農 協 と行 政 当 局 の 望 ま し い 関 係. 先 述 し た よ うな ソ フ トな 予 算 制 約 の 問 題 は,経 営 者 が 当 局 の 意 思 表 明 を か ら の 脅 し と し て 捉 え る と こ ろ に 由 来 して い る.こ れ は,農 協 が 国 内 で 唯 一 の 農 業 生 産 者 組 織 で あ り,か つ,全. て の 農 家 が 暗 黙 の 了 承 と し て こ れ に 加 入 し て い る た め,仮 に 当 局 が 救. 済 し な か っ た ら,国 内 の 農 業 は 多 大 な 悪 影 響 を 被 る こ と に な り,当 局 は 必 ず 救 済 す る だ ろ う,と の 認 識 を 経 営 者 が 有 し て い る た め で あ る.農 協 と 当 局 が 望 ま しい 関 係 を 築 く た め に は,経 営 者 が こ の よ う な 認 識 を 捨 て 去 る 必 要 が あ り,こ れ を 可 能 とす る た め に は,農 協 を 複 数 の 組 織 に 分 割 す る の が 効 果 的 で あ る.複 数 の 組 織 に 分 割 す る こ と で, 現 状 で は 農 協 と い う1つ. の 組 織 に 集 中 し て い る リス ク を 分 散 させ る こ と が で き る.こ. れ は 当 局 の 農 協 を 救 済 す る 必 要 性 が 低 下 す る こ と を 意 味 す る た め,経 営 者 も 望 ま し い 努 力 水 準 を 選 択 せ ざ る を 得 な い.ま. た,分 割 さ れ た 組 織 が 様 々 な 特 色 を 持 ち,組 織 間. 16.

(23) 競 争 を 行 う こ と に よ っ て,個 々 の 組 合 の サ ー ビ ス 水 準 が 向 上 し,そ れ が 農 業 全 体 の 生 産 性 の 向 上 に 寄 与 す る 可 能 性 も 考 え られ る.. 2.3. 下 部 構 造 に 関す るモ デ ル 分 析. 2.3.1個. 人 の 組 織 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トの 程 度 と 獲 得 利 益. 組 織 に 対 す る個 人 の コ ミ ッ トメ ン トの 程 度 は 様 々 で あ る.仮 に コ ミ ッ トメ ン トの 度 合 い が 極 端 に 高 い 場 合,組. 織 に 対 す る 影 響 は ほ と ん ど 変 化 す る こ と な く,個 人 に 対 し. て も た ら さ れ る.逆. ミ ッ トメ ン トの 度 合 い が 極 端 に 低 い 場 合 は,組 織 に 対 す る. に,コ. 影 響 も 個 人 に は ほ と ん ど 関 係 の な い も の と な る.こ の よ う に,個 人 の 組 織 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トの 度 合 い は,個 人 と組 織 そ れ ぞ れ の 利 益 を 考 え る 上 で も 非 常 に 重 要 な 要 因 と な る. 農 家 と 農 協 の 関 係 に お い て も,農 家 が ど の 程 度 農 協 に コ ミ ッ トす る か に よ っ て,両 者 の 獲 得 す る 利 益 が 変 化 す る で あ ろ う.こ こ で は,こ れ を 農 家 が 投 資 を 行 う 際 の 決 定 権 の 問 題 と して 扱 う.つ ま り,農 家 が 農 協 に コ ミ ッ トす れ ば す る ほ ど,農 家 は 農 協 の 指 示 を 仰 い で 投 資 を 行 う よ う に な る た め,こ. の 場 合,実 質 的 な 投 資 の 決 定 権 は 農 協 に. あ る も の とす る.一 方,農 家 が ほ と ん ど 農 協 に コ ミ ッ ト し な い 場 合,農. 家 は 独 自の 判. 断 に よ っ て 投 資 を 行 うた め,投 資 の 決 定 権 は 農 家 に あ る. ま た,投. 資 機 会 に 関 し て は,投. 資 に 関 す る 知 識 が 増 え れ ば 増 え る だ け,正. を 行 え る よ う に な る だ ろ うか ら,こ こ で は,正. しい 投 資. し い 投 資 機 会 を 発 見 す る確 率 が 知 識 レ. ベ ル の 増 加 関 数 で あ る と す る .但 し,農 家 に と っ て の 望 ま しい 投 資 と農 協 に と っ て の そ れ が 一 致 す る こ と は 考 え 難 い た め15,こ れ を 割 引 率 ρ(0<ρ<1)に. よ っ て 表 現 す る.. 具 体 的 に は,農 協 に 実 質 的 な 投 資 決 定 権 が あ る 場 合,農. 協 はBの. き る が16,農 家 が 投 資 決 定 権 を 持 っ て い る場 合 は,pBの. 利 益 しか得 られ な い もの とす. る.同 様 に,農 家 に 投 資 決 定 権 が あ る 場 合,農 家 はbの. 利 益 を 得 る こ とが で. 利 益 を 得 る こ と が で き る が,農. 15詳 細な議論は付論 にて行 う. 16こ こでい う農協 の利益 とは農協 の経営者 に発生す る非金銭 的な私的利益 であ るとす る.. 17.

(24) 協 が 実 質 的 な 決 定 権 を 持 っ て い る 場 合 は,pbの 2.3.2. 利 益 しか 得 られ な い も の とす る.. モ デ ル 分 析17. こ こ で は,議 論 の 単 純 化 の た め に,知 識 レベ ル が 外 生 的 に 与 え られ,か つ,農 家 が 農 協 に 完 全 に コ ミ ッ トす る か,完 全 に コ ミ ッ ト し な い か,と 農 協 が 投 資 決 定 権 を 持 っ て い る 場 合,農. 協 は 確 率E←. を 発 見 す る.こ れ に よ り農 協 の 投 資 利 益 はBと. い う両 極 端 を 考 え る.ま ず,. 定)に. よ っ て 正 しい投 資 機 会. な り,農 家 の 投 資 利 益 はpbと. た,農 協 が 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 で き な い 確 率 は(1--E)で. あ る が,そ. な る.ま. の 場 合,農. 協は. 農 家 に 実 質 的 な 投 資 決 定 権 を 返 却 す る た め,換 言 す れ ば,農 家 は 農 協 に コ ミ ッ ト し な く な る た め,農 家 は 確 率e(一 た が っ て,農 家 は 確 率e(1-E)に はbを 場 合,両. 定)に. よ っ て 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 す る も の とす る.し. よ っ て 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 し,農 協 はpBを,農. 得 る.ま た,農 家 は 確 率(1-eXl‐E)で. 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 で き な い が,こ. 者 と も 投 資 利 益 は ゼ ロ に な る と す る.以. 図2・3. 上 を ま と め た も の が 図2-3で. 家 の. あ る18.. 農 協 に 投 資 決 定 権 が あ る 場 合19. (pB,b). (a.の. *. 柳 川(2000)を. 蓼 考 に薯者 作成. 172.2-2の モ デ ル は柳 川(2000)を 参 考 に した . 18図 自体 は 展 開 系 ゲー ム に酷 似 して い る が,ゲ ー ム を表 した もの で は な く,単 に 利 益 構 造 を表 現 した も の で あ る. 19括 弧 内 の利 益 は 左 が 農 協 ,右 が 農 家 で あ る.. 18.

(25) よ っ て,農 協 の 期 待 利 益Aは A=EB+e(1‐E)pB. (2.4). と な り,農 家 の 期 待 利 益Fは F=Epb+e(1‐E)b. (2.5). と な る. 一 方,農. 家 が 投 資 決 定 権 を 持 っ て い る 場 合,農. を 発 見 す る.こ れ に よ り農 協 の 投 資 利 益pBと. 家 は 確 率eに. よ っ て 正 しい 投 資 機 会. な り,農 家 の 投 資 利 益 はbと. 農 家 が 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 で き な い 確 率 は(1-e)で. あ る が,そ. な る .ま た,. の 場 合,農. 家 は農協. に 実 質 的 な 投 資 決 定 権 を 譲 渡 す る,換 言 す れ ば,農 家 が 農 協 に 完 全 に コ ミ ッ トす る よ うに な る た め,農 協 は 確 率Eに っ て,農 協 は 確 率e(1-E)に. よ っ て 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 す る も の とす る.し た が. よ っ て 正 し い 投 資 機 会 を 発 見 し ,農 協 はBを,農. を 得 る.ま た,農 協 は 確 率(1-eX1‐E)で. 正 しい 投 資 機 会 を 発 見 で き な い が,こ の 揚 合,. 両 者 と も投 資 利 益 は ゼ ロ に な る とす る.以 上 を ま と め た も の が 図2-4で. 図2・4. 家 は ρ6. あ る。. 農 家 に投 資決 定権 が あ る場合. (B.pb). (o,o). *. 柳 川(2000)を. 参 考 に薯 者 作 成. よ っ て,農 協 の 期 待 利 得A'は A'=epB+(1‐e)EB. (2.6). と な り,農 家 の 期 待 利 得F'は. 19.

(26) F'=eb+(1‐e)Epb. (2.7). と な る. 以 上 の 分 析 結 果 を 踏 ま え,農 家 の 農 協 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トの 有 無 が 両 者 の 投 資 利 益 に 与 え る 影 響 を 考 察 す る.但 ま ず は,(2.4)式 コ ミ ッ ト し,農 (∵A>A').一. し,知 識 レベ ル は 外 生 的 に 与 え ら れ て い る.. と(2.6)式 よ り,農 協 の 利 益 最 大 化 と い う観 点 か ら は,農 家 は 農 協 に 協 に 実 質 的 な 投 資 決 定 権 を 譲 渡 す る べ き で あ る こ とが わ か る 方,(2.5)式 と(2.7)式 よ り,農 家 の 利 益 を 最 大 化 す る た め に は,農 家 は. 農 協 に 対 し て コ ミ ッ トせ ず に 独 自 に 投 資 決 定 を 行 う べ き で あ る こ と が わ か る (∵F>F').更. に,(2.4)式 ∼(2.7)式 よ り,農 協 の 利 益 と農 家 の 利 益 の 合 計 最 大 化 を 達. 成 す る た め に は,B+ρ. わ(コ. ミ ッ トす る 場 合)とpB+b(コ. ミ ッ ト しな い 場 合)の. 大. 小 に よ っ て,農 家 が 農 協 に 対 して コ ミ ッ トす べ き か 否 か が 決 定 さ れ る.な ぜ な ら,コ ミ ッ トす る 場 合 の 利 益 の 合 計 はA+Fな. ので. A+F=E(B+pb)+e(1‐E)(pB+b). (2.8). で あ り,コ ミ ッ ト しな い 場 合 の 利 益 の 合 計 はA'+F'な. ので. A'+F'=e(pB+b)+E(1‐e)(B+pb) で あ り,(A+F)一(A'+F')に. よ っ て 不 等 号 の 条 件 を 調 べ れ ば,. (A+F)ー(A'+F')=(E-e)(B+ρ と な り,こ こ で はEもeも. (2.9). の-(Eーe)(P$+b). 一 定 で あ る た め に,(2.10)式. (2.10) の 正 負 はB+pbとpB+bの. 大. 小 に よ っ て 決 定 され る た め で あ る. 2.3.3. イ ン プ リケ ー シ ョン. 以 上 の よ うな,農 家 が 農 協 に 対 し て コ ミ ッ トす る か 否 か と い う問 題 は,農 家 と農 協 の ど ち ら の 利 益 を 最 大 化 す る の か と い う点 に お い て 非 常 に 重 要 な 示 唆 を 与 え て い る. 上 記 の 分 析 で は,議 論 の 単 純 化 の た め に,完 全 に コ ミ ッ トす る か ・完 全 に コ ミ ッ ト し な い か,と. い う両 極 端 の 場 合 を 扱 っ た が,よ. り一 般 化 す れ ば,農 家 の 農 協 に 対 す る コ ミ. ッ トメ ン トの 程 度 問 題 と して 考 え る こ と が で き る.具 体 的 に は,農 協 の 利 益 を 重 視 す. 20.

(27) れ ば 農 家 は 農 協 に 強 く コ ミ ッ トす る 必 要 が あ り,逆 に 農 家 の 利 益 を 重 視 す る の で あ れ ば,農 家 は 農 協 に あ ま り コ ミ ッ ト し な い 必 要 が あ る. し か し な が ら,農 協 と い う組 織 が 生 産 者 の 利 益 の 拡 大 ま た は 保 護 を 目 的 と し た 協 同 組 合 で あ る 以 上,農. 家 の 利 益 が 重 視 さ れ な け れ ば な ら な い.そ. の た め に は,農 家 が 自. 己 の 利 益 最 大 化 を め ざ し て,農 協 に 対 す る コ ミ ッ トメ ン トを 最 小 限 に しな け れ ば な ら な い.但. し,現 実 的 に は 農 協 の 利 益 を 完 全 に 無 視 す る こ と は 不 可 能 で あ る か ら,農 家. の 利 益 を 重 視 し な が ら も,農 協 の 利 益 も あ る 程 度 考 慮 す る 必 要 が あ る.そ の た め に は, (2.10)式. に お い てB+pb<pB+bが. 成 立 し,農 家 の 利 益 が 優 先 され た 上 で,ど の 程 度. 農 協 の 利 益 を確 保 す る の か と い っ た 議 論 を 行 う余 地 が あ る. 加 え て,上 記 の 分 析 結 果 は,農 家 の 農 協 依 存 に 関 し て も 非 常 に 興 味 深 い 示 唆 を 与 え て い る.先 の 分 析 に お い て は,知 識 レベ ル は 外 生 的 な も の と し て 扱 っ て い た た め,農 家 が 自 前 で 投 資 を 行 っ て も そ れ に 関 す る 費 用 は 発 生 し な か っ た が,実 投 資 機 会 を 発 見 す る た め に は 費 用 が か か る.そ の た め,仮 にEや. 際 に は,正 確 な. ρ が1に. 近 い値 を と. る 場 合,換 言 す れ ば,農 協 が 正 確 な 投 資 機 会 を 発 見 す る 確 率 が 高 い 場 合 や 農 家 と農 協 の 利 益 が ほ と ん ど完 全 に 一 致 す る 場 合 は,農 家 は 農 協 に 投 資 決 定 権 を 委 譲 した 方 が 利 益 を 高 め る こ と が で き る.先 述 し た よ う に,高 度 経 済 成 長 以 前 の 発 展 段 階 に お い て は, 横 並 び の 小 規 模 経 営 が 農 家 に と っ て 効 率 的 な 経 営 規 模 で あ っ た た め,農 協 と農 家 の 利 害 対 立 は ほ と ん ど な く,し た が っ て,EもPも る.そ の よ うな 環 境 に お い て は,農. 極 め て1に. 近 い 値 で あ っ た と 考 え られ. 家 は 農 協 に 決 定 権 を 委 譲 す る こ と,つ ま り は 農 協. に 強 く コ ミ ッ トす る 方 が 得 策 で あ る が,そ の よ うな 環 境 が 著 し く 変 化 し て し ま っ た 現 状 に お い て は,農 家 は 自 前 で 投 資 を 行 う こ と,つ ま り は 農 協 に あ ま り コ ミ ッ ト し な い 方 が 得 策 で あ る,と 言 え る.. 21.

(28) 第3章. 結 論 と改 革 に 向 け た1提. 案. 本章 では,ま ず,日 本農 業にお ける本質 的 ・根本的 問題 を機 能上 の問題 と構 造上 の問 題 に分類 し考察 した.更 に,昨 今 議論 が活発化 してい る株式 会社 に よる農 業参入 を説 明 し,こ れ に よって も 日本農 業 には依 然 として解決 され ない問題が存在 す る ことを述 べ た.続 い て,未 だに解 決の 目処 が立ってい ない本質 的 ・根 本的問題 と して農協 問題 を 取 り上 げ,現 状 の農協 制度 が もた らす影響 につ いて,① 上 部構造 で は ソフ トな予算制 約 問題,② 下部構 造 では,農 家 の農協 に対す るコ ミッ トメ ン トの程 度 と獲 得利 益 に関 す る問題 を契約 理論 の援用 に よ り分析 した.主 な分析 結果 は以 下の通 りで ある.. (1). 農協経 営者 は,仮 に損失 が発 生 して も当局 が これ を補填 して くれ るこ とを 予想 す るため,適 切 なイ ンセ ンテ ィブ を持 ち得 ない.つ ま りソフ トな予 算 制約 問題 が発 生す る.こ の問題 を防 止す るた めには,経 営者 に仮 に経 営危 機 にな って も当局 は救 済 して くれ ない,と い うこ とを認識 させ る必要 があ る.加 えて,こ のた めには農協 を複数 に分割 し,リ ス ク を分散 させ る こと が効果 的で ある.. (2). 農業 の集権化 ・分権化 に関す る問題 につ いて,農 家 の利 益最 大化が 目的で あれ ば,農 家 は農協 に あま りコ ミッ トしない必 要が あ る.現 状 では ほ とん どの農 家が農協 に対 して強 くコ ミッ トし,農 業 は集権 的であ る といえ るが, これは農協 の利 益最 大化 をもた らす一方,農 家 の利 益は最大化 され ない こ とを意 味す る.. (3). 高度 経済成長 以前 の経 済発展段 階 にお いては,農 協 の利 益最 大化=農 家 の 利 益最大化 で あった ため,農 業 は集 権的 で ある方 が得 策で あった が,様 々 な環境 が変 化 した現在 で は,む しろ農家 の利 益 を減ず る大 きな要因 となっ てい る.. 22.

(29) 以 上 の 結 論 を 踏 ま え,農 協 改 革 に 向 け た1提. 案 を 行 う.望 ま しい 農 協 制 度 を 議 論 す. る 上 で 最 も 重 要 な の は,農 家 が 農 協 に 何 を 求 め る の か,と. い う こ と で あ る.仮 に そ れ. が 零 細 経 営 の 維 持 で あ れ ば,農 家 ・農 協 両 者 に と っ て の 最 適 な 行 動 は 現 状 を 維 持 し,大 規 模 経 営 を 阻 害 す る こ と で あ る.し か し,農 家 が 経 済 学 的 な 意 味 に お い て の 利 益 最 大 化 を 目指 す の で あ れ ば,農 協 は そ の 在 り方 を 根 本 的 に 見 直 さ な け れ ば な ら な い.本. 章. で 議 論 し た よ う に,農 協 を 複 数 の 組 織 に 分 割 す る こ と は 改 革 案 と し て 効 果 的 な 手 段 で あ ろ うが,現. に 米 国 で は 生 産 者 組 織 は 複 数 存 在 し,農 家 が ど の 組 織 に 加 入 す る の か は. 自 由 に 選 択 で き る20.こ の よ う な 制 度 下 で は,生 産 者 組 織 間 に 競 争 原 理 が 働 き,個 々 の 農 家 は よ り 自分 に 適 し た サ ー ビ ス を 提 供 し て く れ る 組 織 に 加 入 す る こ と が 可 能 と な る. 重 要 な の は,農 家 に ど こ の 組 織 に 加 入 す る の か,と い っ た 選 択 権 を 与 え る こ と で あ る. 協 同 組 合 の 存 在 意 義 は,経. 済 的 弱 小 主 体 の 利 益 を 保 護,拡. 日本 の 農 協 が 真 に 協 同 組 合 に な る た め に は,個. 大 し て い く こ と に あ る.. 々 の 農 家 の 利 益 最 大 化 を サ ポ ー トす る. こ と が 主 な 活 動 内 容 で な け れ ば な ら な い.農 協 が 国 内 唯 一 の 生 産 者 組 織 で あ る 以 上, こ れ を 達 成 す る こ と は 極 め て 難 し い だ ろ うか ら,先 述 し た よ う な 複 数 組 織 へ の 分 割 が 望 ま れ る.た だ し,農 協 自身 の 手 に よ っ て 分 割 が 行 わ れ る こ と は 考 え 難 い た め,当 局 に よ っ て 分 割 され る こ と が 望 ま し い.農 協 が 農 家 自身 に よ っ て 設 立 さ れ た 組 織 で は な く,当 局 の 意 向 に よ っ て 設 立 さ れ た も の で あ る な ら,こ れ を 分 割 し,望 ま し い 農 協 制 度 を 設 計 す る の も 当 局 の 責 務 で あ る. 我 が 国 の 農 業 は 今,長. く深 い 眠 りか ら覚 め つ つ あ る.し か し,農 協 が 農 家 の 利 益 最 大 化. を サ ポ ー トす る組 織 に 生 ま れ 変 わ っ て 初 め て,こ の 眠 りは 真 に 過 去 の も の と な る の で あ る.. 以上. 20米 国の生産者組織 にっいて の説 明は,Christpher D. Merrett/Normau Cobia(2003)な どを参照 された い.. 23. Walzer(2003)やDavid. W..

(30) 補論. 投 資 決 定 に お け る 農 家 と農 協 の 利 害 対 立. 本 章 第2節. で は,農 業 の 集 権 化 ・分 権 化 に 関 す る 問 題 に つ い て,投 資 決 定 権 に 基 づ. く両 者 の 獲 得 す る 利 益 の 観 点 か ら の 分 析 を 行 っ た.し 組 合 で あ る た め,農 家 が 投 資 決 定 権 を 有 し,独. か し な が ら,農 協 は 農 家 の 協 同. 自の 判 断 に 基 づ い て 投 資 を行 っ た 場 合. で も,農 協 は 直 接 的 な 不 利 益 は 被 る こ と は な く,利 害 関 係 は 成 立 し な い の で は な い か, との 指 摘 を 受 け る こ と が 予 想 さ れ る.そ こ で 以 下 で は,こ の 指 摘 に 対 し,「 組 合 の 利 益 最 大 化 と 個 人 の 利 益 最 大 化 の 相 違 」21と 情 報 入 手 コ ス トを 説 明 す る こ と で こ れ に 対 応 す る. ま ず,農. 家 と農 協 そ れ ぞ れ の 利 益 最 大 化 を 定 義 す る.言. 最 大 化 と は 労 働 生 産 性 を 向 上 させ,よ に は,本 章 第1章. うま で も な く,農 家 の 利 益. り 多 く の 収 入 を 手 に す る こ と で あ る.こ の た め. で も 指 摘 し た よ うに,1人. 当 た りの 耕 作 面 積 を 増 や す 必 要 が あ る 他,. 自 分 の 耕 作 地 に よ り適 し た 農 機 や 肥 料 を 用 い る こ と等 が 必 要 で あ る.一 方,農 協 の 利 益 最 大 化 は 必 ず し も 経 済 学 的 な 意 味 で の 利 益 最 大 化 を 意 味 し な い.先 述 した よ うに, 農 協 の 経 営 者 は 農 協 組 合 員 の 投 票 に よ っ て 選 出 され る た め,ど 小 規 模 農 家 有 利 の 経 営 に 傾 き が ち で あ る.加. う し て も圧 倒 的 多 数 の. え て,大 規 模 農 家 が 効 率 的 な 経 営 に よ っ. て 経 営 面 積 を 拡 大 し,よ り安 価 で 上 質 な 作 物 を 市 場 に 供 給 す る こ と は 小 規 模 農 家 を 圧 迫 す る こ と に な る の で,経 営 者 は 小 規 模 農 家 保 護 の 点 か ら こ れ を 阻 止 す る 必 要 が あ る. つ ま り,農 協 に と っ て の 利 益 最 大 化 と は,小. 規 模 農 家 を 保 護 す る こ と に よ っ て ,経 営. 者 の 地 位 や 名 誉,そ れ に 伴 う給 与 な ど と い っ た 個 人 的 利 益 が 保 護 され る こ と に あ る. ま た,農 協 が 個 々 の 農 家 に サ ー ビ ス を 提 供 す る 場 合,個. 々の農家 の土地や経営状 況に. 関 す る 情 報 を 入 手 す る 必 要 が あ り,こ れ に は 費 用 が 発 生 す る.こ の 費 用 は 個 々 の 農 家 が 画 一 的,横 持 ち,独. 並 び の 経 営 を し て い る 状 況 で は 低 く抑 え られ る が,農 家 が 投 資 決 定 権 を. 自 の 判 断 に よ っ て 自 分 の 土 地 に 適 し た 投 資 を 行 い,特 色 を 持 つ こ と に よ り増. 加 す る.つ ま り,農 家 が 投 資 決 定 権 を 持 っ た 場 合,農 協 は,個 々 の 農 家 に 関 す る 情 報 入 21こ れ と同様 の議論 は国際協 同組合 同盟1992年 の世界大会 にお ける 「 べ一 ク報告」の 「 第5章 ・将 来に 向けての協同組合 の有効性 と効率」 において議論 され てい る(三 輪(1997)に. 24. よる引用)..

(31) 手 の た め の 費 用 が 増 加 す る こ と に よ っ て,損 失 を 被 る の で あ る. 以 上 の2点. よ り,農 家 が 投 資 決 定 権 を 持 ち,独. 自の 判 断 に よっ て 投 資 を行 った 際 に. 農 協 が 得 られ る 利 益 は,農 協 が 投 資 決 定 権 を 持 ち 投 資 を 行 っ た 際 に 得 ら れ る 利 益 以 下 に な る こ と が 考 え られ る.こ の こ と を 表 現 す る た め に,本 章 で は 割 引 率 を 導 入 し,農 業 の 集 権 化 ・分 権 化 の 度 合 い と 両 者 の 獲 得 利 益 を 分 析 し て い る.. 25.

(32) 参. 考. 文. 〔1〕. 伊 藤 元 重(2003)『. 〔2〕. 環 境 保 全 型 農 業 技 術 指 針 検 討 委 員 会(1997)『. 〔3〕. 生 源 寺 真 一(1998)『. 〔4〕. 武 隈 慎 一(1999)『. ミ ク ロ 経 済 学(増. 〔5〕. 中 泉 拓 也(2004)『. 不 完 備 契 約 理 論 の 応 用 研 究 』,関. 〔6〕. 西 山 久 徳(1996)『. 日 本 農 協 の 理 論 と 課 題 と 展 望 』,文. 〔7〕. 速 水 佑 次 郎/神. 〔8〕. 三 輪 昌 男(1997)『. 農 協 改 革 の 新 視 点 ∼ 法 人 で な く 機 能 を 』,農. 〔9〕. 柳 川 範 之(2002)『. 契 約 と 組 織 の 経 済 学 』,東. 〔10〕Christpher. ミ ク ロ 経 済 学 』,日. 献. Merrett. (和 訳 版)』,家 〔11〕David. W.. 世 社.. 農 業 経 済 論(新. Norman. 京 大 学 出 版 会.. 東 学 院 大 学 出 版 会. 化 書 房 博 文 社.. 版)』,岩. 波 書 店. 山 漁 村 文 化 協 会.. 洋 経 済 新 報 社.. Walzer(2003)『. ア メ リカ 新 世 代 農 協 の 挑 戦. ア メ リ カ に 見 る 農 協 の あ り 方 一 農 業,農. 訳 版)』,オ M.. 協,共. 存 共 栄 の. ー ル イ ン ワ ン 出 版 部.. and. Decentralized. (13)Kornai,. 補 版)』,新. の 光 協 会.. の 光 協 会.. 〔12〕Dewatrip0int, and. and. C0bina(2003)『. シ ナ リ オ(和. 環 境 保 全 型 農 業 技 術 』,家. 現 代 農 業 政 策 の 経 済 分 析 』,東. 門 善 久(2002)『. D.. 本 評 論 社.. E.. Maskin(1995),"Credit. and. Economics,"ReviewofEconomic. J.(1979a),. "Resource. Efficiency. in. Centralized. Studies,62,27-41.. constrained. versus. Demand-constrained. Systems,"Econometica,47,801-9. 〔14〕. Kornai,」. Post. (1979b),. socialist. 〔15〕Kornai,. (16)Kornai, Li, Re. System,"Japan Place. the 0f. Econornlcs. D.(1998),"Theories. the. vie w」PヨP鋸an Y. and. C.. Budget. Constraint. Soft. Budget. Constraint. tive-Economics,26(1), ofShortage,. of. the. the. Soft. under. the. Economy,8,135-51.. Theory,"Journal-of-Compara J.(1980),. (18)Qian,. of. and. J.(1979c),"The. Economic. (17]. ``且ardening. Syndrome. in. March,11-7.. North-Holland. Budget-Constraint,"American. Economic. d、凸rooθ θ磁 ロ1鐸,89(2),421・5. Xu(1998),"Power. in. a Theory. of the. Firm,"Quarterly. Journal. oiEconomlcs. 〔19〕. 農 林 水 産 省 ホ ー ム ペ ー ジ jp/sogo. shokuryo/sg. kanren!sg. 「セ ー フ ガ ー kanren.. 26. ド 関 連 情 報 」,http:〃www. htm.. maff.. g0..

(33) 岡 部 研 究 会 優 秀 論 文-覧. ■ 次 の 論 文 は 、 研 究 会 優 秀 論 文 と して 認 め られ 、 湘 南 藤 沢 学 会 か ら 出 版 さ れ た も の で あ る 。. ■ 各 論 文 は 、 メ デ ィ ア セ ン タ`2階. の 指 定 図 書 棚 に 「岡 部 研 究 会 優 秀 論 文 」 と して フ ァイ ル. さ れ て い る 。 ま た 、 す べ て の 論 文 は イ ン タ ー ネ ッ ト上 で も 閲 覧 お よ び 全 文PDFフ ウ ン ロ ー ドが 可 能 で あ る 。 〈http://web.sfc.. ke io.ac.jp/∼okabe/pape. ァイ ル の ダ. r/〉. ■ こ れ ら の 論 文 は 、 岡 部 光 明 編 『金 融 お よ び 日本 経 済 の 研 究 』 第1巻(1994∼1996年 第2巻(1997∼1998年 2003年. 2004年. 度)と. 度)、. 第3巻(1999年. し て 刊 行 さ れ て い る(メ. 度)、. 第4巻(2000年. 度)、. 度)、. 第5巻(2002∼. デ ィ ア セ ン タ ー 蔵 書)。. 度 秋学 期. ・日本 の 金 融 シ ス テ ム は ど う 変 質 しつ つ あ る か?一 な ら び に 市 場 型 間 接 金 融 の 実 証 的 検 討-一. メイ ンバ ン ク制. 一-一--ー. 一一. 一. 藤井. 恵 ・光 安 孝 将. 一 一 一---ー. ー千 野 剛 司. ・協 同 組 合 組 織 の あ り方 に 関 す る 契 約 理 論 的 分 析 一 農 業 協 同 組 合 σA) を 対 象 に し て 一----一--一. 2004年. 一 一--一-一-一. 一-一. 度春学期. ・職 務 発 明 制 度 に 関 す る 理 論 分 析:法. 律 論 ・ゲ ー ム 理 論 ・契 約 理 論 の 視 点 か ら 一. ・日本 企 業 お よ び 公 共 投 資 の 効 率 性 に 関 す る 実 証 分 析-一--一. 2003年. 一. 杉 山 貴 昭 ・村 上 淳 也. 度 秋学 期. ・企 業 の 資 金 調 達 に お け る 転 換 社 債 の 意 義:リ. ス ク ・ガ バ ナ ン ス ・. イ ン セ ン テ ィ ブ の 視 点 か らの 理 論 的 分 析 一 ー 一 一 一 一--ー--ー.ー-一-. ・日本 企 業 の ガ バ ナ ン ス 構 造 と 企 業 パ フ ォ ー マ ン ス:株 雇 用 調 整 に 関 す る 実 証 研 究-.ー--一. 2003年. 千野剛 司. 光安孝将. 式持合および. ー-一--ー--ー. ー-ー. 藤井. 恵 ・杉 山 貴 昭. 度春学期. ・日本 企 業 の 資 金 調 達 と コ ー ポ レ ー ト ・ガ バ ナ ン ス ー 一 ・日本 資 本 主 義 の 地 域 構 造:人. 一一. 一-一. 類 学 的 下 部 構 造 か ら み た 生 産 と 消 費-----(1). 一. 一. 藤井. 恵. 遠藤倫生.

(34) 2002年. 度秋学期. ・金 融 制 度 と 経 済 発 展:多. 国 デ ー タ に 基 づ く 実 証 研 究--一--一. ・情 報 技 術 革 新 の 経 済 効 果:先. 2002年. 。--一. 行 研 究 の 展 望 と 実 証 分 析 一 ー-一--. 加 藤 卓 也 ・赤 野 滋 友. 度春学期. ・企 業 債 務 と 設 備 投 資:デ. ッ トオ ー バ ー ハ ン グ 効 果 の 実 証 分 析-一. ・保 育 制 度 と 女 性 の 就 業:児. 2000年. 童 福 祉 政 策 の あ り 方-一. 一---一. 一. 倉重雅一. 一一. 福元千佳. 一 一 一 ー 一 一 ー-ー. 度秋学期. ・銀 行 の 合 併 は 経 営 の 効 率 性 と 安 全 性 を 高 め る か?一-一--一 ・銀 行 の 経 営 資 源 と そ の 役 割 に 関 す る 研 究 一 一-一-ー ・排 出 許 可 証 の 価 格 形 成 に 関 す る 確 率 解 析[特. 2000年. 山 口 陽 平 ・嶋. 一 一-. 山 本(島. 別 掲 載 論 文]一-ー. 元)洋. 一 一--一. 輔. 頼彦. ・大 井 暁 道. 一-堀. 田朋也. 度春学期. ・技 術 進 歩 の 要 因 と 影 響 に 関 す る 実 証 研 究 。-一--一. 一. 青 柳 直 樹 ・永 井 秀 児 ・堀 田 朋 也. ・ 日 韓 自 由 貿 易 圏 形 成 に 伴 う 経 済 効 果 の 実 証 分 析 一 ー 一 一--一. 1999年. ー. 北 川 英 弘 ・松 村 音 彦. 度 秋学 期. ・判 別 分 析 の 手 法 に よ る 銀 行 の 健 全 性 評 価 一 ー 一 一--一. ・設 備 投 資 の 決 定 要 因 に つ い て の 実 証 分 析:資 関 係 の 影 響-一--一-一-一. 99年. ー 鈴木卓実. 一-一. 一 一 ー ー 一 ー--一. 一. 廣 田雄 一. 産価 格 変 動 と メイ ンバ ン ク. ー ー 一-一. 一 一-一. ー-. 大 井 暁 道 ・山 本 洋 輔. 度春学期 ・市 場 規 律 の 強 ま り の 影 響 に 関 す る 研 究:コ と 銀 行 リ ス ク ー--ー. ー ポ レ ー トガ バ ナ ン ス. ー 一 ー-ー--一-一-ー. 一--一. ・東 ア ジ ア の 高 成 長 の 源 泉 に 関 す る 実 証 的 再 検 討 一-一--一. (2). ー 一-一. 一 浜 田 紘 子 ・嶋. 一 ー-一. 一 一-. 頼彦. 堀 田朋 也.

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