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プロダクト イノベーション - J-Stage

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Academic year: 2023

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プロダクト イノベーション

ウイルス感染防御を統括するプラズマサイトイド 樹状細胞を活性化する乳酸菌の開発

* キリン(株)R&D 本部基盤技術研究所,* 2  小岩井乳業(株)技術 開発センター,* 3  キリン(株)R&D 本部酒類技術研究所

藤原大介 *

1

,城内健太 *

1, 2

,杉村 哲 *

3

背景

近年,食の健康機能性に関する研究は産官学いずれの 分野でも極めて活発に行われている.そのような健康機 能性研究において乳酸菌は最も多く対象として取り上げ られている素材の一つであるが,おそらくその根底には

①安全性における懸念が比較的少ないこと,②取り扱い が容易であること,③コスト・味覚面含めた食品適性が 高く事業化への道筋が描きやすいこと,などの背景要因 が寄与していると思われる.機能の多さにも特筆すべき ものがあり,これまでに報告されている機能性として,

整腸作用・腸内細菌叢改善,アレルギー改善,がん予 防,コレステロール低減,抗肥満効果,認知機能改善効 果,感染防御効果などが報告されている.これらのうち アレルギー・がん・感染防御といった機能は免疫に関す るものであり,これは乳酸菌が菌体成分として,TLR 

(Toll-like receptor)リガンドであるリポテイコ酸・ペ プチドグリカン・核酸,NLR (Nod-like receptor)リガ ンドであるムラミルジペプチド,などの免疫刺激物質を 数多く含むことから考えて,さまざまな免疫を介した形 質が現れることは合理的である.

季節性インフルエンザやノロウイルス感染症などの従 来のリスクに加えて,温暖化という地球規模での環境の 変化やヒト・モノのグローバルかつスピーディな移動に 端を発した①ウイルス流行地域の拡大,②ウイルス種の 増加,などウイルスに関連したリスクは飛躍的に増大し つつある.直近の話題では,昨年約70年ぶりに国内で デングウイルスが検出されたり,2009年にブタ由来新 型インフルエンザが流行し国内インフラがマヒ状態に 陥ったりしたことは記憶に新しい.このようななか,高 度情報化社会ならではの多種多様なストレスは,日常生 活のなかでエアポケットのような免疫力が著しく低下し

た時間を作り出すリスクがある.そこで食からのアプ ローチとして,ウイルスに対して免疫力を高めることに よって感染時の発症率を低下させる,あるいは重症化を 防ぐといった効果が得られれば非常に有用である.

乳酸菌の免疫刺激機能は,主にマクロファージやミエ ロイド樹状細胞(myeloid dendritic cell; mDC)といっ た自然免疫系によって菌が貪食され,IL-12に代表され る各種炎症性サイトカインが発現する結果,呼応する免 疫機能が活性化される.この免疫賦活効果によって得ら れるベネフィットのうち,最も代表的なものが感染防御 効果である.

感染防御機構の最前線を担う自然免疫系のうち最も重 要な細胞として,獲得免疫系への抗原提示機能を担う樹 状細胞が挙げられるが,大別すると上述のmDCとプラ ズマサイトイド樹状細胞(plasmacytoid dendritc cell; 

pDC)の2つに分類することができる.pDCはヒト末梢 血単核球の1%にも満たない極めてマイナーなサブセッ トである(1)が,ウイルス感染防御の司令塔とも言える極 めて重要な細胞であることがわかってから大きな注目を 集めている.pDCはウイルス核酸を認識するTLR7や TLR9を細胞内に高発現しており,ウイルス感染を認識 して大量のIFN-

α

およびIFN-

β

といったtype Iインター フェロンを放出する.type Iインターフェロンは2‒5A システムと呼ばれるウイルス複製阻害機構を活性化し,

直接的な抗ウイルス効果を発揮する(2).さらにpDCは,

CD8T細胞,CD4T細胞,B細胞など特定のウイルス を認識して生体から排除する獲得免疫系を活性化するこ とができる.獲得免疫系は感染後期の免疫応答を担い,

生体からの最終的なウイルスクリアランスを遂行する.

このほか,pDCが産生するtype Iインターフェロンは 自然免疫の一部であるNK細胞の活性化必須因子として

(2)

感染初期応答を制御している.このようにpDCはウイ ルス感染初期および後期の免疫応答を制御する極めて重 要な役割を果たしている.実際,pDCを欠損させたマ ウスでは,ウイルス抗原に対するCD8T細胞の応答反 応・IFN産生が起こらなくなるなど重篤な抗ウイルス機 能における欠陥が起こることが確認され,その重要性が 浮き彫りになっている(3)

pDC活性化乳酸菌の探索

われわれは研究開始に先立って,食品適性が高く,免 疫を刺激しうる乳酸菌というポテンシャルの高い素材が 仮にウイルス感染防御の司令塔たるpDCを活性化でき れば非常に有用であると考えた.そこで,pDC活性化 乳酸菌の探索を行うこととしたが,前述のようにヒト pDCは末梢血からわずかしか取得できず,マウスにお いてもpDCを選択的に誘導する系が確立されていない ことから,マウス骨髄細胞から誘導するpDC/mDC混 合培養細胞を用いて,スクリーニングを行うこととし た.pDCの活性化指標としては,mDCがほとんど産生 できないIFN-

α

を用いた.

31菌種からなる計125株の乳酸菌株をpDC/mDC培養 細胞に死菌体として添加し,IFN-

α

の産生量をELISA測 定したところ,ほとんどの乳酸菌株で産生は検出され ず,一般的に乳酸菌株にはpDC刺激能がないことが判 明した.この点,mDC/マクロファージは大半の乳酸 菌が活性化可能であること(4)と対極的であった.しか し,3株において100 pg/mL以上,13株において50 pg/

mL以上のIFN-

α

産生が認められた(表1.非常に興味 深いことに100 pg/mL以上の産生を誘導した3株はすべ て     に 分 類 さ れ,50 pg/

mL以上の産生誘導を示した株もすべて乳酸球菌に分類 されるものであった.ただし,乳酸球菌でも多くの場合 で活性は検出されなかった.このことは,球菌であるこ とがpDC活性化の必要条件であることを示唆している.

その後の解析により,100 pg/mL以上の産生を誘導し た3株のうち最も安定にpDCを活性化しうる菌として  JCM5805株 を 選 択 し,

さらなる解析を行った(5)

JCM5805株の におけるpDC活性化効果 JCM5805株を でマウス骨髄由来pDC/mDC培 養細胞に添加した場合の効果を図1に示す.ポジティブ コントロールとしてTLR9を介してpDC活性化するこ とがわかっているCpG DNAを用いた.JCM5805株添 加によってCpG DNA同様にMHC class IIをはじめと するpDC活性化マーカーの発現亢進が認められた.ま た,同時に制御性T細胞の誘導にかかわることが報告 されているICOS-LやPD-L1の上昇も認められた.すな わち,JCM5805株はpDCを活性化させる一方で過剰な 免疫活性化を防ぐ仕組みを働かせることができることを 示唆している.

さらに産生するIFNsの濃度について測定を行ったと ころ,図2に示すように,JCM5805株添加によりIFN-

α

以外にIFN-

β

, IFN-

λ

の誘導が認められた.これらのサ イトカイン産生は対照乳酸菌株(

)の添加によっては起こらず,改めてJCM5805株が 特異なサイトカイン誘導能をもっていることを示唆して い る.一 方 で,type II IFNで あ るIFN-

γ

に つ い て は JCM5805株と対照乳酸菌で同等の誘導効果を示してお り,この点に関しては一般的な乳酸菌と同様な機構で誘

表1マウス骨髄由来pDC/mDC培養細胞におけるIFN-α産生誘導乳酸菌

菌株名 IFN-α (pg/mL)

JCM 20101  subsp.  212.53

JCM 5805  subsp.  187.62

NRIC 1150  subsp.  113.00

JCM 1180  subsp.  95.03

NBRC 100934 94.09

NBRC 12007  subsp.  86.87

NBRC 12455   86.67

NRIC 1540   75.32

TA-45 74.55

JCM 11040  subsp.  64.42

NBRC 100676  subsp.  62.41

JCM 5886 58.31

JCM 16167  subsp.  50.35

骨髄細胞から試験管内で誘導したpDC培養細胞に乳酸菌死菌体を添加・培養後,上清中のIFN-α量を測定した.

(3)

導されているものと思われた.

近年,抗ウイルス効果においてIFN-

α

, IFN-

β

といった type I IFNに加えて,type III IFNであるIFN-

λ

が脚光 を浴びており,特にロタウイルスのような腸管感染性ウ イルスの排除に重要であることも示されている(6).この

ことは,特に乳酸菌のような食素材は腸管に直接届くた め,特に有用な形質であると考えられる.

JCM5805株のIFN-

α

産生誘導メカニズムの解析 JCM5805株のpDC活性化において必須なTLRシグナ ルを探索するため,各種TLRノックアウト(KO)マウ スを用いた解析を行った.その結果,TLR9 KOマウス およびMyD88 KOマウス由来のpDCでは完全に消失し た(図3)ことから,JCM5805株はTLR9/MyD88シグ ナルを介してIFN-

α

産生誘導していることが示唆され た.TLR9のアゴニストとしては前述のCpG DNAが知 られており,JCM5805株においてもDNAが活性本体 であることが考えられた.そこで,対照乳酸菌およ びJCM5805株由来DNAのIFN-

α

誘導活性を検討したと ころ,JCM5805株由来DNAは特に強い活性を示した

(data not shown).し た が っ て,JCM5805株 固 有 の DNA配列がTLR9リガンドとなってpDC活性化を誘導 することが示唆された.また,TLR4 KOマウス由来の pDCでは部分的な抑制が観察され,おそらく細胞壁成 分もTLR4を介して協調的に働いていることも示唆され た.

TLR9はエンドソームに発現する内在性レセプターで あり,pDCがJCM5805株を貪食し,菌体中のDNAが 溶出しなければリガンドとして作用することができな い.すなわち機能を発揮するうえで,pDCに貪食され るかどうかが重要と思われた.そこで,蛍光ラベルした JCM5805株をpDCに添加し,蛍光顕微鏡観察を行った.

その結果,図4に示すように対照乳酸菌はpDC外部を 取り囲むように分布し,細胞内部に取り込まれないのに 対して,JCM5805株はpDCの内部に取り込まれること がわかった.なぜこのようにpDCへの取り込みが乳酸 図1JCM 5805添加によるpDC上表面分子の発現の変化

pDC培養細胞に乳酸菌ないしはCpG DNAを添加し,培養後フ ローサイトメーターにて細胞表面マーカーの発現を観察した.  

*無添加サンプルに対して <0.05で有意差あり,MFI: Median  Fluorescence Intensity.

図2乳酸菌株のpDCへの添加によるIFNs誘導産生量比較 pDC培 養 細 胞 に 乳 酸 菌 な い し はCpG DNAを 添 加 し,培 養 後 ELISAにて各種IFNsの産生量を測定した.*無添加サンプルに対 し て <0.05で 有 意 差 あ り,Pam3CSK4=TLR2L, LPS=TLR4L,  CpG-A=TLR9Lの各ポジティブコントロール,対照乳酸菌=

 ATCC53103株.

図3IFN-α産生におけるTLR関連KOマウスでのJCM 5805 添加の効果

各種KOマウス骨髄からpDCを誘導,乳酸菌ないしはCpG DNA を 添 加 し,培 養 後ELISAに てIFN-α量 を 測 定 し た.*野 生 型

(WT)マウス由来DCにおける反応に対して <0.05で有意差あ り.

(4)

菌菌株の違いによって大きく異なるのかについては,現 在研究中である.

JCM5805株の経口投与による  pDC活性化効果 食品としての有効性を考えたときに,経口投与で

においてpDCの活性化が実際に起こるかどうかは,

たいへん重要なポイントである.そこで,マウスに経口 投与し,腸管所属リンパ節のpDCが活性化しうるかど うかを検討した.その結果,腸間膜リンパ節pDCの MHC class IIおよびCD86の発現量がJCM5805株摂取 群で有意に上昇することが示された(図5.このこと からJCM5805株の摂取により, でpDCが活性化 されることが示唆された.

JCM5805株のヒトに対する効果

次にヒト細胞に対する効果を検討した.まず,ヒト末 梢 血 単 核 球 に 対 し て でJCM5805株 を 添 加 し pDCの活性化の有無を調べた.その結果,図6に示すよ うに2例のドナーどちらにおいてもJCM5805株添加に よってpDC上の活性化マーカーの有意な上昇が認めら れた.

さらにヒトにおけるJCM5805株摂取の効果を検討す るために,健常人ボランティアを対象とした二重盲検試

験を行った(7).20代から50代の被験者38名を無作為に 19名ずつ2グループに分け,それぞれJCM5805株を含 む食品,またはプラセボ食品を4週間(2011年8月)飲 用させた.試験開始時,終了時に採血を行い,末梢血単 核球中のpDC活性化度をHLA-DRおよびCD86の発現 量で評価した(図7その結果,本試験期間中両グ ル ー プ でpDC活 性 は 低 下 す る 傾 向 が あ っ た が,

図4乳酸菌のpDCによる取り込みの違い

pDC培養細胞に蛍光標識した乳酸菌を添加し,蛍光顕微鏡観察を 行った.

図5JCM 5805摂取1週間後の腸間膜リンパ節pDCの活性化度 マウスにJCM5805を経口摂取させた後,腸間膜リンパ節中のpDC 活性化度合をフローサイトメーターで観察した.

図6ヒトpDCに対する乳酸菌添加効果

上段・下段にそれぞれのドナー由来pDCの反応を示した.ヒト pDCに乳酸菌あるいはCpG DNAを添加後,フローサイトメー ターで細胞表面マーカーの発現量を測定した.***無添加に比べ てそれぞれ <0.01, 0.05で有意差あり.

図7JCM 5805含有食品摂取のヒトpDCに対する効果 健常人ボランティアにプラセボないしはJCM5805を含有する食品 を摂取させ,開始前後の血中pDC活性化度合をフローサイトメー ターで測定した.*両グループ間に <0.05で有意差あり.

(5)

JCM5805株を含む飲料摂取グループではpDCの低下が 小さく留まり,試験終了時にHLA-DR・CD86ともにプ ラセボグループに比べて有意に高い値を示した.本試験 は盛夏期間に行われたが,樹状細胞の活性は温度ストレ スによって低下することが知られている(8).このことか ら,ヒトにおいてJCM5805株を経口摂取することによ りpDC活性が低下するような環境・コンディションに おいても平常値に維持されることが示唆された.

動物を用いたパラインフルエンザウイルス感染実験 JCM5805株の経口摂取により,ヒトpDC活性を維持 する効果が認められたが,実際にウイルス感染防御効果 をどの程度発揮するのかをヒトにおいて詳細に検討する のは極めて困難である.そこで,マウスおよびパライン フルエンザウイルスを用いて致死率をはじめとするウイ ルス感染防御効果を検討することとした.

マウスを無作為に2群に分け,JCM5805株摂取・非摂 取群とした.摂取量は1 mg/日に設定し,混餌投与し た.投与開始から2週間後,両群のマウスに対して致死 量のパラインフルエンザウイルスを経鼻感染させた.そ の結果,図8に示すように感染10日以内にJCM5805株

非摂取群のマウス12匹は全滅したが,JCM5805株摂取 群では13匹中9匹が試験終了まで生存した(9).ウイルス 感染3日後の肺組織病理切片像を図9に示す.非摂取群 のマウスの肺では顕著な好中球の浸潤が認められ気道の 閉塞が起こっているが,JCM5805株摂取群では細胞の 浸潤の明らかな低下が観察された.以上の結果,pDC を活性化させるJCM5805株の摂取により顕著なウイル ス感染防御能を獲得できることが示唆された.

そのメカニズムの解明のため,JCM5805株を摂取さ せたマウスの腸管および肺組織の解析を行った.その結 果,経口摂取されたJCM5805株は小腸パイエル板上皮 直下,さらに粘膜固有層に取り込まれていることが判明 した(data not shown).さらに非常に興味深いことに,

腸管から遠く離れた肺組織中におけるインターフェロン 誘導性抗ウイルス因子の発現量がJCM5805株摂取群で 上昇していた(図10.すなわちJCM5805株は経口摂取 することにより,ウイルス増殖局所である肺の免疫反応 を強化することができ,その結果パラインフルエンザウ イルス感染に対して強い抵抗性を示したものと考えられ る.

JCM5805株の抗ウイルス反応制御機構に関する考察 冒頭に述べたようにpDCの抗ウイルス免疫における 重要な役割が次々と明らかになっており,pDCを直接 活性化しうるJCM5805株の可能性は大きい.その想定 作用機構について図11に示す.よく知られているよう

図8マウスパラインフルエンザウイルス感染モデルにおける JCM5805株経口投与の効果

2週間前からJCM5805株を含む餌あるいは含まない餌を投与し,

ウイルス感染させ,生存率を測定した.**  <0.01で有意差あり.

図9感染初期の肺胞域病理切片

感染3日後の両群より無作為に選択したマウスの肺組織をヘマト キシリン・エオジン染色した.

図10JCM5805株摂取マウスの肺組織中 抗ウイルス因子の発現

2週間前からJCM5805株を含む餌あるいは含 まない餌を投与し,肺組織中の各種抗ウイル ス因子の発現量をRT-PCRで測定した.補正 にはGAPDHを用いた.***非摂取群に比べ てそれぞれ <0.01, 0.05で有意差あり.

(6)

に一般的に乳酸菌はマクロファージやmDCを活性化す るため,一連の細胞性免疫反応を賦活することができ,

Th1細胞さらにはNK細胞の活性化が期待できる.それ がウイルス初期感染時に重要な自然免疫応答能を高める ことにつながれば,一定の抗ウイルス効果が得られるこ とが考えられる(図11A).これに比して,pDCはウイ ルスに対する特異的な免疫系,たとえばウイルス抗原特 異的なCD8T細胞,B細胞をも制御することが可能な 点が大きく異なる.すなわち,pDCはそれ自身がウイ ルスに対する自然免疫応答であるだけでなく,獲得免疫 応答のブリッジ役をも果たしているのである.したがっ て,pDCを活性化しうるJCM5805株はウイルス排除に かかわるさまざまな免疫応答を一義的に賦活化する可能 性があり,したがってこれまで述べたような顕著な抗ウ イルス効果が発揮されたと考えている(図11B).

おわりに

JCM5805株は に分類さ

れる菌であり,この菌種は広くチーズ製造のスターター として用いられる.したがって生菌として利用すると チーズ様の匂い(ダイアセチル)が強く発生するが,今 回見いだしたpDC活性化効果は死菌・生菌どちらでも 同等レベル認められるため,死菌として利用することに より発生する香気に対する懸念がなくなり,さまざまな 形態に加工することが可能となる.

ウイルス感染リスクが拡大している昨今,手軽な手法 で免疫力を高めることにより感染リスクを低下させるあ るいは重症化を防ぐというアプローチは有用であると考 えており,さらなるJCM5805株の抗ウイルス免疫賦活 機能の解明を進めていきたい.

図11JCM5805株の想定作用メカニズム

(7)

文献

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  9)  K. Jounai, T. Sugimura, K. Ohshio & D. Fujiwara: 

10, e0119055 (2015).

プロフィル

藤原 大介(Daisuke FUJIWARA)

<略歴>1995年東京大学大学院農学生命 科学研究科修了/同年キリンビール株式会 社基盤技術研究所入社/1999年博士(農 学)/2005年理化学研究所免疫アレルギー 研究センター訪問研究員/2005〜2007年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部 ポストドクトラルフェロー,現在キリン株 式会社基盤技術研究所主査<研究テーマと 抱負>免疫と食品に関する研究<趣味>音 楽・映画鑑賞,ランニング

城内 健太(Kenta JOUNAI)

<略歴>2007年日本大学生物資源科学部 食品科学工学科卒業/同年小岩井乳業株式 会社東京工場品質管理部/2008年同社横 浜開発センター/同年キリンホールディン グス株式会社フロンティア技術研究所駐 在/2013年キリン株式会社基盤技術研究 所駐在,現在に至る<研究テーマと抱負>

JCM5805の 開 発,乳 酸 菌 と 免 疫 の 関 係

<趣味>ソフトテニス,散歩 杉 村  哲(Tetsu SUGIMURA)

<略歴>2008年東北大学大学院農学研究 科修士課程修了/同年キリンビール株式会 社入社/同年キリンホールディングス株式 会社フロンティア技術研究所(現・キリン 株式会社基盤技術研究所)/2013年キリン 株式会社酒類技術研究所<研究テーマと抱 負>「美味しさ」に「新機能・新価値」を 加えることで,食品や飲料の可能性を広げ ていきたい<趣味>サッカー,ビール Copyright © 2015 公益社団法人日本農芸化学会

DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.53.626

Referensi

Dokumen terkait

はじめに 本論は、 社会学部付属研究所の一般研究プロ ジェクト 「介護保険制度に関する実証的研究」 2004年度 の一環として実施された調査研究 リサーチ の成果にもとづく論文である。 こ の研究プロジェクトは、 介護保険に関するさま ざまな統計データを収集し、 それらを量的に分 析する調査研究と、 特定の自治体 都道府県・ 区市町村