企業年金を巡る近年の動向とその課題の諸相
日本保険学会 関東部会報告 2013年3月15日
日生協企業年金基金 資産運用管理課
江淵 剛
はじめに
本報告では、企業年金を取り巻く情勢やその課 題につき、諸外国の事例を交えて以下の内容を 中心にご報告させていただきます。
1.退職給付制度としての企業年金 2.諸外国に見る企業年金
3.わが国企業年金を取り巻く課題
1.退職給付制度としての企業年金
(1)わが国企業年金の概要
①退職給付制度の有無・実施企業の割合
勤め先企業による代表的な福利厚生制度として広く浸透
退職給付制度を講じている企業は8割となっている。中堅・大企業では9割に上る。
【1.退職給付制度としての企業年金】
②退職給付制度の概要
退職(一時)金
企業年金
確定給付型
・厚生年金基金
・確定給付企業年金基金 (税制適格退職年金:
2012年3月末で終了)
確定拠出型
・確定拠出年金
※この他、国が実施する
中小企業退職金共済制度(中退共)
特定退職金共済制度(特退共) など がある。
わが国では、退職金制度から企業年金制度への「移行」が進むかたちで、
企業年金制度が発展してきた。
【1.退職給付制度としての企業年金】
退職資金負担の平準化、損金算入、外部機関への掛金拠出(資産保全)、と いった企業年金の利点
③企業年金制度の概要(制度・加入者一覧)
【1.退職給付制度としての企業年金】
企業年金カバー率の低下が年々進み、現在では勤め人(第
2
号被保険者)の 半数未満の加入に厚生年金基金の代行返上や適格年金からの移行を受けて、現在は、
確定給付企業年金(DB年金)が最大の制度となっている
④企業年金 制度別加入者推移
【1.退職給付制度としての企業年金】
(出所)厚生労働省年金局『平成22年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』
厚生労働省『適格退職年金制度の動向』
『週間 社会保障 No.2690』法研,2012年 より作成
(2)変容過程にある企業年金
国内年金基金をめぐる環境変化イメージ(90年代後半から2000年代)
97 年
5:3:3:2
規制撤廃 運用の自由化へ00 年
退職給付会計導入 年金債務の時価評価
01 年
確定給付企業年金制度 確定拠出年金制度
年金制度の自由度の高まり
02 年
3年連続のマイナス運用
00年度:▲9.8% 01年度:▲4.16% 02年度:▲12.46%
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、現在にいたる企業年金変革の端緒となる出来事が生起。
○退職給付会計の導入(2000年)
・・・年金負債の認識、積立不足の表出
○企業年金二法(DC法・DB法)の施行
・・・
DC
制度(日本版401k
)の実施と、厚生年金の代行返上、確定給付企業年金の実施。
適格退職年金制度の終了(2012年3月末)
○企業年金運用の自由化
・・・投資顧問業の参入、運用規制「5:3:3:2」規制の撤廃
○
運用環境の激変【1.退職給付制度としての企業年金】
①資産別 収益率推移
長期にわたり低迷する国内経済や世界経済との関係性の高まり等を受け、
年金資産運用の主な投資先である国内外の債券・株式の収益率の変動性が 高まっている
(%)
※資産別の指数は以下のとおり
国内債券:Nomura-bpi 国内株式:TOPIX 外国債券:Citi WGBI 外国株式:MSCI-Kokusai 年度
【1.退職給付制度としての企業年金】
②国際分散投資の不振(不信)
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
5%
10%
15%
20%
25%
30%
2003年3月 2004年3月 2005年3月 2006年3月 2007年3月 2008年3月 2009年3月 2010年3月 2011年3月 2012年3月 標準偏差、相関 (3年ローリング) 標準偏差(年率換算) TOPIX 標準偏差(年率換算) MSCI KOKUSAI 相関 (右目盛)
サブプライム問題、リーマンショックなどの金融危機を契機に国内株式、外国株式の リスク(収益のブレ)、相関の高まりが確認される。「国内外」へと資産を分散させ、運用 リスクの低下、収益の安定化を図る国際分散投資の効用も得られにくくなっている
【1.退職給付制度としての企業年金】
③企業年金の収益率推移
企業年金の平均収益率は、内外の株式組入れから、毎年度大きく変動している
とりわけ、国内株式の収益率と高い相関を示し、国内株式の動向で企業年金の 収益率が左右される状況
05年度~11年度までの7年間の企業年金平均収益率は通期で6.07%、
年率0.85%となるなど、長期的な運用低迷が確認できる
【1.退職給付制度としての企業年金】
(出所)企業年金連合会 「資産運用実態調査結果と解説(2011年度)」 より作成
2.諸外国に見る企業年金
(1)先進各国の企業年金制度の趨勢
○公的年金機能の低下
・・・・支給開始年齢の引き上げ、年金財政の脆弱化
○政策による企業年金制度の充実
・・・・職域を通じての企業年金への自動・強制加入
DC掛金拠出率の引き上げ
○「公的年金+私的年金」という公的保障と私的保障が相互連関した 所得代替率の向上施策
【2.諸外国に見る企業年金】
米国の公的年金は一階建て。大多数の勤め人が
OASDI
に加入ベビーブーマ世代の本格的高齢化を契機として、公的年金では、年金財政の 脆弱化が進む。支給開始年齢も引き上げ予定
個人は、公的年金を土台として、補完としての企業年金(職域)、
IRA(個人退職勘定)の3層構造により老後の所得保障の準備に務めていく
(2)米国 ①年金構造
【2.諸外国に見る企業年金】
②米国の企業年金制度 概観
ⅰ)エリサ法
(適用範囲は広いものの)機能が限定されている公的年金を所与として、
「公的年金制度を補完する企業年金」を企図した法整備、環境整備が 行われてきた。
1974年施行のエリサ法は、「受給権」を明確化、労働者保護の概念を 反映させ、企業による健全な年金財政の保持を求めるとともに企業年金 制度の充実、機能向上を促してきた。
また、エリサ法では職域のみならず、個人の貯蓄形成促進として「個人退職 勘定」も定められ、「職域」、「自助」の両領域において、老後の所得保障準備 が図られた。
(出所)ジェイムズ・
A
・ウーテン(2009) 吉田(2012)
【2.諸外国に見る企業年金】
ⅱ)企業年金制度の情勢
企業年金への加入率は被用者の44.6%
趨勢として、DB⇒DCへの遷移が進んでいる。90年代初頭には逆転し、
足下では企業年金加入者のおよそ7割がDC加入
②米国の企業年金制度 概観
【2.諸外国に見る企業年金】
③米国 企業年金の課題
ⅰ)DB制度における積立不足
○ 2012年4月末 企業年金積立率:82.9%
○ 主要1,500社 積立不足額:5,430億ドル ○ 公務員セクター 積立不足額:7,570億ドル
積立率悪化要因
① 年金資産運用の低迷
② 年金債務評価に用いる 割引率の低下
積立義務が求められる DB 制度にあって、①年金運用の 低迷(資産側要因)、②割引率の低下(負債側要因)という 資産・負債の双方の要因から、積立不足となっている
【2.諸外国に見る企業年金】
(出所) John Ehrhardt, Zorast Wadia (2012),
THE PEW CENTER ON THE STATES(2012)
○割引率の低下
【主要国 長期金利推移】
頻発する金融危機、主要経済圏での金融緩和政策により主要各国の長期金利は、
歴史的低水準で推移
年金債務を評価する「割引率」(
AA
格の社債利回り)の低下も著しい【2.諸外国に見る企業年金】
③米国 企業年金の課題
ⅱ)退職給付制度における加入率の低迷・差異
DC先進国の米国にあっても、就労形態、勤め先、年齢などのファクターによる
加入率の差異が確認できる。とりわけ、官民、年齢での差異が顕著(出所)Craig(2012)
【2.諸外国に見る企業年金】
④課題への対応
ⅰ) DB 制度
○予定利率の見直し・・・予定利率を見直し(引き下げ)、運用目標を引き下げ、運用の ローリスク化を図るとともに、年金財政の持続可能性、安定化 を図る
○割引率の見直し ・・・低下傾向をたどる割引率への政策対応として、
直近の急激な金利低下の影響を緩和させる施策 割引率の参照期間の延長
ⅱ)退職給付制度参加率の底上げ
○年金保護法(2006年)・・・職域を通じた企業年金制度への自動加入 デフォルトファンド設定基準の緩和
○民間終身年金の普及促進・・・大統領経済諮問委員会にて終身年金(長寿 年金)普及を目指す方針。税制改正案の発表
(出所)松岡(2012)
【2.諸外国に見る企業年金】
(出所)小川(2007)
(3)英国
①年金構造
公的年金はわが国と同じ2階建て
しかしながら、公的年金の持続可能性の保持に向けた年金改革の一環として、
支給開始年齢の段階的引き上げが行われる予定
【2.諸外国に見る企業年金】
②英国 企業年金・資産形成準備の情勢
○芳しくない老後 所得保障準備
・700万人もの国民が十分な退職準備資本を持ち得ず
・民間セクターの被用者(約1,900万人)のうち、職域を通じた企業年金制度の 加入者は300万人にとどまる
○公的年金の所得代替率は31.9% (
OECD
) ○DB制度における積立不足(出所)ACA, “Workplace pensions:challengings times”,Figure23, January 2012.
縦軸は各々の積立率区分に属する企業年金基金の構成比率。
【2.諸外国に見る企業年金】
③ 将来の所得保障充実を図る政策対応
○
NEST
の実施国民の老後所得保障準備の遅滞、低い企業年金カバー率、DB制度における 年金財政(積立不足)といった諸課題を受けて、政府は2008年の法改正にて、
2012年10月より
NEST
(the National Employment Saving Trust)
の開始を 決定企業年金に未加入の低中所得層の被用者が対象となる。DC制度を主軸とする 適格な年金スキームに「自動加入」させるもの。事業主、従業員による掛金の マッチング拠出により、年金資産の運用、積立に務めていく
NEST
の創設により、最大1,000
万人もの国民が職域を通じた企業年金制度に 新たに参加することが可能と見られている。また、今回の取組みにより、「公的年金+私的年金」とを併せた「所得代替率 70%」を 目指すものとされている
【2.諸外国に見る企業年金】
(出所)杉田
(2010)
(4)オーストラリア ①年金構造
税を財源とした公的年金制度
公的年金制度の上に、勤め先事業主が掛金を(強制)拠出する 企業年金「スーパーアニュエーション」が位置する
②スーパーアニュエーション
1993年に導入。早くから事業主による掛金の強制拠出による老後所得保障 準備の形成が促進される
事業主が拠出する掛金率もこれまで段階的に引き上げられてきた 3%
⇒ 9% ⇒ 9.25% ⇒ 12%
(2002) (2013) (2019)
事業主掛金の他、従業員も掛金を拠出する「マッチング拠出」も一般的
【2.諸外国に見る企業年金】
(出所)野村年金マネジメント研究会
(2012)
③企業年金残高の積み上がり
早くからの職域を通じた企業年金参加率向上の取組みや段階的な掛金の 引き上げ等が奏功し、オーストラリアにおける企業年金資産の積立の進捗 が確認できる
【2.諸外国に見る企業年金】
3.わが国企業年金を取り巻く課題
(1)要請される企業年金運営の高度化
○退職給付会計基準の変更
2012年5月 企業会計基準委員会(
ASBJ
) 退職給付に関する新たな会計基準公表 ・母体企業BS
負債部分への企業年金積立不足(未認識数理債務など)の即時認識 ・企業年金運営に関する開示項目の追加、詳細化
a.年金資産の内訳(ポートフォリオ)
b.基金が設定する期待収益率の設定根拠 など
企業年金運営(資産運用)の結果がより大きく母体企業財務に影響を与えることとなる
また、財務諸表における企業年金の運用状況の詳細開示により投資家から企業年金に 対する関心が高くなることが見込まれる
母体企業と年金基金のコミュニケーションの深化
現行の予定利率(運用目標)の妥当性等を検証するとともに企業年金の持続可能性 維持に注力した安定的な企業年金運営
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
(2)年金基金のガバナンス強化 ─受託者責任を中心に ─ ①受託者・委託者としての年金基金
年金 基金
信託銀行 生命保険会 社
投資顧問会 社
加入 企業
掛金拠出
年金資産管理・運用
運用委託
掛金の拠出、多額の年金資産運用・管理を加入企業より受託
年金基金は、信託銀行、生保、投資顧問会社に年金資産の運用・管理を委託
年金基金は、加入企業に対する受託者責任から、委託先運用機関のモニタリングに 務めることや制度運営、資産運用状況等について加入企業や加入者への説明責任 を有している
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
②年金基金のガバナンス強化施策
○会計士監査を通じた外部チェック機能の強化
日本公認会計士協会
『年金資産の消失事案を受けての監査及び会計の専門家としての提言』
・年金基金の受託者責任の観点から、年金財務検証における監査法人の活用 ・基金が委嘱する会計士による、基金の委託先運用機関が取得する監査報告書、
当該運用会社における資産運用、管理に係る業務(受託業務)における内部 統制の検証報告書の受領確認
※内部統制の検証報告書には、米国公認会計士策定基準のSSAE16、日本公認会計士協会策定基準の 第
86
号に基づく検証報告がある。【米・英の事例】
米・・・・公認会計士による監査証明に加え、年金数理に係る報告書はアクチュアリーに
よる承認が求められる
英・・・・全てのDB制度について会計士による会計監査が求められる
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
(出所)日本公認会計士協会『年金資産の消失事案を受けての監査及び会計の専門家としての提言』2012年 日本公認会計士協会『年金資産の運用に関連する会計監査業務等の状況に係る研究報告』2012年
27
(3)老後所得保障機能を向上させた企業年金の在り方 ①公的年金との連関の深化
【諸外国】
○ 企業年金が「公的年金の補完」としてコンセンサスが醸成 ○ 受給権保護の強い意識 支払保証制度の設置
○ 国民の老後所得保障充実を視野に入れた企業年金制度の環境整備
・・・・自動・強制加入、掛金率の引き上げなど
【日本】
○ 「退職一時金」からの移行により、企業年金制度が順次、発展・浸透
○取り組み状況、組入れ割合など、企業ごとに多様性が見られ、画一化されていない ○「公的年金の補完」としての位置づけに対する意識は高くない
・
10
年有期型の給付設計・老後の所得保障の太宗は、公的年金で
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
28
②職域を通じた老後所得保障 充実を図るメニュー
ⅰ)制度における税制優遇
ⅱ)制度への自動・強制加入
(私的年金加入が任意の場合、加入率は
50%
未満。強制加入等の場合は70%
超までに)
ⅲ)国・地方からの補助金 など
国民への投資による資産形成、ライフプラン等の教育の必要性を醸成する施策も重要
Ex) ニュージーランドや韓国における先行事例
ニュージーランド:国の機関である退職委員会がDC制度加入者に対して投資教育を行なうが、 特色として 教育の範囲のなかでも「生活設計」の分野が広い
韓国:2005年 勤労者退職給与保障法施行。DC、DBといった制度を問わず、制度内容や現況報告、離職時の
手続きなどに関する加入者教育が義務化
(出所)
OECD(2012)
,遠藤(2010
),蔭井(2012
)公的年金の機能低下が不可避となる中で、「職域を通じた」老後所得保障の獲得、一層の充実を 図っていく必要性が高まっている
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
【社会保障給付費用と社会保険料収入の推移】
③現下の企業年金改革議論
○2012年2月24日 AIJ投資顧問の巨額年金資産消失事件の発覚
○企業年金(厚生年金基金)の脆弱な年金財政と運用ガバナンスの露呈
○厚労省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」の設置
7月公表の同会議での「報告書」
a.資産運用規制のあり方
①受託者責任の明確化 ②基金の資産運用管理体制の強化
③外部の専門家等による支援体制や行政等による事後チェックの強化
b.財政運営のあり方
①予定利率の引下げを促進する措置の導入 ②給付減額基準の明確化(緩和)
c.厚生年金基金制度のあり方
「代行制度が厚生年金本体に及ぼすリスク」や「中小企業の企業年金の維持・普及に 果たしてきた役割との観点」から制度そのものの廃止、維持について両論併記。
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
③現下の企業年金改革議論(続き)
ⅰ)厚生年金基金制度の段階的廃止方針
○有識者会議では、制度廃止については「両論併記」となっていたものの「厚生年金基金等の 資産運用・財政運営に関する特別対策本部」では制度の段階的廃止方針が示された
○2012年11月には、「厚生年金基金の段階的廃止」に関するスケジュールが示され、
「専門委員会」(社会保障審議年金部会の下に設置)にて制度の持続可否について検討を 開始
○2013年2月専門委員会でも廃止方針が示される。今国会にて制度廃止が盛り込まれた 法案提出予定
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
③現下の企業年金改革議論(続き)
ⅱ)有力な後継制度創設に向けた議論の遅滞
○現存の総合型厚生年金基金において、その加入事業所1社あたりの加入者はおよそ40人
現存の厚生年金基金は、中小の企業の福利厚生制度に深く根付いており、同一業種、地域
といった連帯の下で永く機能してきた同制度の重用性は看過できない○また、「総合型」基金の創設によって、小規模な企業でも公的保障(厚生年金)に参加しなが
ら、職域での「退職金調整」を可能としてきた厚生年金基金制度の柔軟な制度設計は、顧みら れるべき○厚生年金基金と同じく、かつて多くの企業において代表的な退職給付制度であった「適格年 金」から後継制度への移行も芳しくない
○厚生年金基金の制度廃止を前提とした議論が先行するだけでなく、企業年金の将来像を見
据え、有力な後継制度創設に向けての本格的議論が求められる
ⅲ)厚生年金基金制度廃止議論で看過されている観点
a.受給者 b.加入者 c.事業主 d.金融市場への影響(国内株式は3.7兆円の売却圧力?)
e.個別性の高い運用戦略での解約困難性
(インフラ、不動産ファンド、プライベートエクイティなど)(出所)「年金情報」(2012年11月5日)
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
④わが国企業年金における強み
ⅰ) DB
制度への志向の高さⅱ)超低金利下におけるDB制度の浸透と制度運営
職域を通じた老後所得保障の充実施策、企業年金機能向上を図るとともに、ガバナンス、
持続可能性を高めた企業年金運営を通じて、加入者・受給者の重要な生活保障資源としての 機能発揮が求められる
【3.わが国企業年金を取り巻く課題】
公的保障、私的保障の役割を明確化させ、両領域が有機的に連関した保障システムの 構築が重要
参考文献
・厚生労働省,『平成20年就労条件総合調査』 (http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/08/3c.html) ・厚生労働省年金局『平成22年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』
・厚生労働省『適格退職年金制度の動向』(http://www.mhlw.go.jp/) ・企業年金連合会(http://www.pfa.or.jp/)
・企業年金連合会 「資産運用実態調査結果と解説(2011年度)」 2012年 ・企業年金連合会「新しい企業年金基礎資料」2012年
・泉本小夜子『退職給付会計の知識<第2版>』日本経済新聞出版社,2010年
・ジェイムズ・A・ウーテン・みずほ年金研究所訳『エリサ法の政治史』中央経済社,2009年 ・吉田健三『アメリカの年金システム』日本経済評論社,2012年
・U. S. Department of Labor,“Private Pension Plan Bulletin Historical Tables and Graphs”, March 2012
・Craig Copeland “Employment-Based Retirement Plan Participation:Geographic Differences and Trend,2011”, EBRI Issue Brief, November 2012
・John Ehrhardt,Zorast Wadia “Milliman analysis:Corporate pension funded status declines in April for first time this year” , Milliman 100 Pension Funding Index, May 2012.
・ THE PEW CENTER ON THE STATES, “The Widening Gap Update” , June 2012.(http://www.pewstates.org) ・松岡博司「終身給付に舵を切った欧米生保の高齢化社会対応」『生保・損保特集 2012版』東洋経済新報社,2012年 ・小川貴史「2006年年金保護法施行1年後の米国の401(k)制度の状況」『みずほ年金レポート2007.11/12』
みずほ年金研究所,2007年
・ ACA(Association of Consulting Actuaries), “Workplace pensions:challengings times”, January 2012 (http://www.aca.org.uk) ・OECD,“ PENSIONS OUTLOOK 2012”,MEDIA BRIEF, 2012. (http://www.oecd.org)
・OECD, “Private Pensions Outlook 2008 Executive Summary”, 2009.
・杉田浩治「『自動加入方式』を採用する英国の新個人年金制度─行動経済学を取り入れた改革─」『証券レビュー』第50巻第1号,
日本証券経済研究所,2010年
・蔭井将己「韓国の公的年金制度と退職年金制度」『生命保険経営 第80巻第6号』生命保険経営学会,2012年
・遠藤忠彦「オーストラリアとニュージーランドの確定拠出年金の動向」『年金と経済 第29巻第2号』 年金シニアプラン総合研究機構,2010年 ・野村年金マネジメント研究会『年金ニュース解説 No.618』 2012年
・日本公認会計士協会『年金資産の消失事案を受けての監査及び会計の専門家としての提言』2012年 ・日本公認会計士協会『年金資産の運用に関連する会計監査業務等の状況に係る研究報告』2012年 ・『年金情報 2012.11.5』格付投資情報センター,2012年
・TIMコンサルティングねんきん研究室「社会保障とその財源」『企業年金 10月号』企業年金連合会,2012年
・Broadbent, J., M. Palumbo and E. Woodman (2006), “The Shift from Defined Benefit to Defined Contribution Pension Plans: Implications for Asset Allocation and Risk Management”, Prepared for a Working Group on Institutional Investors, Global Savings and Asset Allocation established by the Committee on the Global Financial System of the Bank of International Settlement (BIS)