• Tidak ada hasil yang ditemukan

大豆蛋白質2 ダイズのポストゲノミクス - 化学と生物

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "大豆蛋白質2 ダイズのポストゲノミクス - 化学と生物"

Copied!
1
0
0

Teks penuh

(1)

445

化学と生物 Vol. 54, No. 6, 2016

大豆蛋白質2 ダイズのポストゲノミクス

森田雄平 著

A5判209頁本体価格2,500円

西村信天堂2015年      (照会先森田雄平 [email protected]

大豆は優れた脂質を多量に含むことから,長年,油糧 種子の代表的存在とされていた.一方,大豆は良質のタン パク質にも富む.前世紀後半,栄養上必須のアミノ酸のパ ターンが国連の機関によって発表されると,大豆タンパク 質は乳・卵・食肉に匹敵する栄養面をもつことがわかり,

大豆は油糧種子と呼ばれるよりもタンパク質源と呼ばれる ことが多くなった.とりわけ,大豆から分離したタンパク 質の呼称であるsoy protein isolate(SPI)は栄養面のみな らず加工物性にも優れていることから,新しい食素材とし て世界を席巻したかの感があった.これにかかわる研究者 も世界的に増加した.その中のトップランナーこそが本書 のプロローグともいうべき「大豆蛋白質」光琳(2000)の 著者・森田雄平先生であった.大豆の主要タンパク質であ るグリシニン(旧名 11Sグロブリン)とβコングリシニ ン(旧名 7Sグロブリン)の構造と性質がここでは詳し く論述され,併せて,当時ようやく関心が高まり始めたト リプシンインヒビタ,リポキシゲナーゼ,βアミラーゼな どへの言及もあって,大豆タンパク質の貴重な手引き書と なった.利用された読者も多いと思う.

時は移り,今世紀に入ると主要な動物・植物・微生物 のゲノム解析がほぼ完了した.生物界は 個々の遺伝子の 解明を競う段階(ゲノミクスの時代) から 解明された 遺伝子情報の利用を競う段階(ポストゲノミクスの時代)

へと大きく舵が切られた.こうした時代背景を踏まえて編 纂されたのが本書「大豆蛋白質2̶ダイズのポストゲノミ クス」である.

その内容を概括すると,第1章「はじめに」と大豆タン パク質の研究抄史を俯瞰した第2章に次ぐ第3章「新しく 注目された種子蛋白質」すなわちアレルゲンGly m4,レ グインスリンとその結合タンパク質,液胞プロセッシング 酵素,ユビキチン・プロテアソーム,カルモジュリン,ジ

スルフィドイソメラーゼ,シャペロン,熱ショックタンパ ク質,脂肪合成系酵素,フェリチン,ショ糖結合タンパク 質,シグナル伝達タンパク質14-3-3などの生命科学的に重 要なタンパク質を大豆ホモローグとして取り上げている.

しかも,これらは一次構造というよりもプレプロ体(すな わちN末端はすべて開始メチオニン)で列記してある.要 するにこの章は,読者に知識を与えるというよりも,一歩 踏み込んで,「あなたの試料から同様のホモローグを見つ け出すのに利用してください」という研究情報の提供なの である.第4章「ダイズのゲノミックス」と第5章「ダイ ズのプロテオミクス」は,タンパク質生合成のセントラル ドグマ(DNA→mRNA→プレプロタンパク質→成熟タン パク質)のレビューともいえるセクションである.特記す べきは,遺伝子サイレンシング,エピジェネティクスと いった最近の生命科学の普遍的知見にまで踏み込んでいる 点である.大豆タンパク質の研究者・学徒に「各論を知る だけではダメですよ」と諭してくださっている感がある.

そして話は巡り巡って再びグリシニン,βコングリシニン ンに回帰する最終章「大豆蛋白質の性質と利用」を迎え る.これはポストゲノミクス時代を反映するタンパク質利 用科学であり,いわば起承転結の 結 にあたる.アップ デートされたSPIの記述は目を見張るものがある.

読者諸氏におかれましては,著者・森田雄平先生の形 而上下にわたる論述から,先生のタンパク質に馳せる千載 の夢の一端を感じ取られ,それぞれの研究・教育に生かし ていただければ幸甚である.

(阿部啓子)

Copyright © 2016 公益社団法人日本農芸化学会

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

書評

Book Review

Book Review

Referensi

Dokumen terkait

産物中には,様々な親電子性物質あるいはその前駆体が 多数発見されている(3).ブロッコリースプラウトに含ま れるスルフォラフェンやウコンに含まれるクルクミンな どの親電子性物質はその代表的なものであるが,今日こ れらの親電子性物質は解毒化酵素を誘導して発がんを抑 制する物質として研究の対象となっている. Nrf2/AREを介した誘導性防御系