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(1)

2011年 秋号 生活科・総合通信

■授業実践

生命と向き合う! 子どもが変わる!

̶生命と向き合う学習を中核とした 生活科の学習と学級経営̶ …

3

東京都渋谷区立富谷小学校  主幹教諭 島野 歩

ストップ地球高温化 エコライフかわぐち

〜地域で協働  52万人の1歩〜 ………

7

埼玉県  川口市役所  環境部環境総務課 高橋 和孝

■こだわり館嘆符!  第1回

唐澤博物館

(東京都練馬区)

実物が語りかける教育史の力強さ ……

11

■巻頭言

子どもと共に保護者も育つ生活科を

………

1

東京都大田区立久原小学校校長 

清水 一豊

(2)

 家庭や地域に軸足を置いた夏休みの子どもた ちの生活。その一つをPTAが主催するラジオ体 操が担う。清々しい朝,体操を終え出席カード に印を押し,PTAが作成した「今日の問題カー ド」が手渡される。そこには「桃太郎のお話が 伝わるのは何県?」と問題が記され,県名の一 文字を解答しながら今夏の標語を完成させてい く。問題と答えを巡って,会話が始まる。低学 年には難しい問題ゆえに上級生や親への質問と なって会話が生まれる。

 一枚のクイズカードにも他者と言葉を交わす 仕掛けが装置されている。母親たちが子どもた ちを育てるささやかな仕組みを創りあげている。

 生活科が誕生する以前,学習指導要領の第1 学年社会科では「家庭」「家族」のことについて 次のように記されている。

<社会> 第1学年

内容(4) 家庭生活を支えている家族の仕事の様子に 気付かせるとともに,日常生活で使われている水,電気,

ガスなどの大切なはたらきに気付かせる。

昭和54年 学習指導要領

<生活>       

内容(2) 家庭生活を支えている家族のことや自分で できることなどについて考え,自分の役割を積極的に果 たすと共に,規則正しく健康に気を付けて生活すること

子どもと共に保護者も育つ生活科を

東京都大田区立久くがはら小学校校長

清水 一豊

巻 頭 言

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

1

■母親たちが子どもを育てる仕組みを創る

■保護者と授業を創るという意図

が出来るようにする。 平成 20 年 学習指導要領  社会科では身近な社会のしくみを気付かせ,生 活科では主体的に生きる生活者を育てることに ある。

 内容(2)は,いわゆる家族単元とも呼ばれ「い っしょがいいね」の単元のように内容(2)(9)

で構成されることが多い。この単元の難しさは,

学習の中心となる内容や体験的な活動が,子ど もそれぞれの家庭でおこなわれること,さらに 子どもが生活する家庭環境は多様であり,プラ イバシーや人権への配慮やそれに伴う指導の工 夫が必要とされるところにある。

 しかし,授業のなかで見せる子どもの輝きや,

保護者の子どもへの温かなメッセージなどはそ れぞれの家庭・家族のよさや成長に気付く機会 となっている。

 また,保護者がこの単元で学習活動に関わる ことを通して,子育てや我が子の成長,親とし ての成長を振り返るなど,我が子の成長と共に 親としての自覚を高める機会にしたい。

 1年 単元「みんな だいすき」     *注

  ~かぞくにこにこ大作戦~  

 本単元では家族と一緒に一定期間活動する体 験を2回実施( の時間)する指導計画を作成 した。

<単元指導計画> * は家庭での活動  1,家族っていいな       ④

■日々の暮らしのなかにある家族・家庭の価値

(3)

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

2

 2,うちの人といっしょにしよう ②   

 3,楽しかったことを発表しよう ③  4,冬休み お楽しみ大作戦   ②  5,もうすぐ2年生       ② 

<学習の流れから>

 家族の素敵なところを見つける学習をしたり,

おうちの人のだれかについて調べたりして,そ のことを友達と発表し合ったりした。

 また,家庭での活動「 」については,「お 手伝い」という内容に偏らず,一緒に遊ぶこと や読み聞かせ・読書,散歩など家族で過ごすこ とにも楽しさがあり,家族と過ごすことのよさ に気付くようにしたいという担任の意図を保護 者会などで伝え,理解を求めた。

 学習が始まった頃は,「○○を買ってもらって うれしかった」,「○○へ連れて行ってもらって楽 しかった」など非日常的なことを挙げる傾向が 見られた。しかし,2回の「 」の活動を経ると,

家族が自分のためにいろいろなことをしてくれ ていることに気付いたり,家族と一緒にいるこ とがうれしかったり,安心したり,家族が大好 きだからがんばれる,など家庭の日常的な光景 にも子どもたちは価値を見出すようになってい った。

 他の教科,他の単元と異なり,本単元は,各 家庭が学びの場であり,そのため体験する活動 も,気付く内容も個別的である。それだけに,

教室では子ども一人一人の体験を共通の学びと するための工夫が必要とされるところである。

しかし,家庭で向き合う親と子の学びには教室 では得られない大きな価値の在ることに心を留 めておきたい。

 以下,いくつかの保護者の感想を紹介したい。

◇我が子へのメッセージ 

 ~手あそび唄楽しかったね! いつもお母さんは忙しく て,遊ぶことってほとんどなかったね。だから,みんなで 笑いながら過ごした時間はお母さんにとって大きな発見で した。~

 ~妹とけんかして泣くこともよくあるよね。ママがおこ って「どうしてなかよくできないの? そんなにいやなら よそに行きなさい。」といったとき,あなたは「大好きだ から,なかよしだからけんかするんだよ。」と妹に言って いたね。覚えているかな? ママは一瞬わからなかったけ れど「家族だから言いたいこと言えるし,いっぱいけんか もするんだ。でも大好き同士だからすぐニコニコ笑えるん だ。そんな家族って幸せだな。」ってあなたの言葉で気付 かされたんだよ。あなたのおかげでママになれて,初めて の感動をたくさんもらったよ。ありがとうね。~

◇1月 学校公開の感想より

 ~生活科の「家族にこにこ大作戦」は,今までにはなか った取り組みで,興味深く参観しました。親が授業の構成 員として,より踏み込んだ形で学習にかかわり,さらに子 どもの学びを参観で確認できるというダイナミックな試み で,学校と家庭の相互作用で子どもを育てるということを 改めて実感できました。子どもにも保護者にも思い出に残 る授業だったと思います。~

 内容(2)は保護者と子どもとのかかわる学 習活動を通して,家族・家庭に対する思いを相 互に働き掛け合いながら気付きを深めていく。

保護者は子どもに育てられているのである。

 生活科を中心にして視野を広げることで,子 どもの生活を取り巻くさまざまな事象の中に授 業づくりへの要素が見えてくる。担任は子ども を育てる教育課程,そして,家庭や地域社会と いう視座に留意して生活科の学習を創ることに 心を懸けたい。

*注 本校 高橋有希子教諭の21・22年度の実践から引用

■保護者を育てる子どもの「学び」と「育ち」

■豊かな「学び」と「生活」は生活科の学習から

(4)

集団の育ち 個の育ち 生命との出会い

豊かな知的好奇心

表現への意欲

子ども

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

3

 低学年,特に1年生入学時の心身の発達は,幼稚 園から小学校中・高学年への過渡期的な段階であり,

幼児教育と小学校教育の接続の大切な時期である。

 そして,この時期は,具体的かつ体験的な活動を 通して思考するという発達上の特性がある。

 しかし,現実的には,快適さや効率を求める社会 において,ますます人工的・人為的なことが増え,

子どもたちの自然離れや,日常生活に必要な技能す ら体験不足であることは否めない。

 そのような現実を踏まえつつ,子どもは本来,知 的好奇心にあふれ,自分の思いや考えを表現したい 意欲にあふれているという,私自身の子ども観に基 づき「生命との出会い」を設定してきた。

 生活科は,子どもたちをとりまく学校・家庭・地 域など,生活圏が学習の場である。学習の場から生 活の場へ,生活の場から学習の場へ,相互をいった りきたりしながら,くり返し気付きを深め,広げて  この3つの内容を軸に,生命とかかわる力を育み,

一人一人の気付きを認め学級集団に広めていくこと は,すなわち一人一人が輝く学級経営につながって いくと考える。

 個の育ちから集団の育ちへ,「学び」を意識しな がら実践をすすめてきた。その一端を紹介したい。

  はじめに

生命と向き合う! 子どもが変わる!

—生命と向き合う学習を中核とした 生活科の学習と学級経営—

東京都渋谷区立富谷小学校 主幹教諭

島野 歩

授業実践

「生命と向 なぜ 今 き合う学習 」か!

生活科での 学びから

一人一人が 輝く学級経 営へ!

身近な自然を観察したり,季節や地域の行事にかかわ る活動を行ったりなどして,四季の変化や季節によっ て生活の様子が変わることに気付き,自分たちの生活 を工夫したり楽しくしたりできるようにする。

内容(5)

身近な自然を利用したり,身近にある物を使ったりな どして,遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,その 面白さや自然の不思議さに気付き,みんなで遊びを楽 しむことができるようにする。

内容(6)

動物を飼ったり植物を育てたりして,それらの育つ場 所,変化や成長の様子に関心をもち,また,それらは 生命をもっていることや成長していることに気付き,

生き物への親しみをもち,大切にすることができるよ うにする。

内容(7)

  地域・学校に根ざした

  「生命と向き合う学習」学習材の開発  新学習指導要領には内容(5)(6)(7)として,季節 の変化と生活,自然や物を使った遊び,動植物の飼 育,栽培が挙げられている。

(5)

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

4

 各学校に根ざした学習材を子どもたちと共に研 究・開発していくことも,生活科の魅力なのではな いだろうか。以下は今までの実践例である。

「ぼくらのたけとりものがたり」

東久留米市立第八小学校 1

学年での実践

校庭の一角に竹林が!

自分のお気に入りの「たけのこ」に 名前をつけて成長を見守る!

校庭がたくさんの「木」

で囲まれている学校!

お気に入りの「マイ・トゥ リー」の四季折々1年間 を追う!

一人一匹 かぶとむしの 飼育に挑戦!

代々木八幡を

「かぶとむし の森」に ! !

「ひとつぶの種」から「いのち」を感じる取り組み! 

校庭にはどんぐりの木がいっぱい!

「どんぐりの木」の生命と向き合う!

「たねから はじまる わくわく! どきどき!」

渋谷区立富谷小学校 1

学年での実践

「どんぐり  どんどんものがたり!」

東久留米市立第八小学校 1

学年での実践

「すてき! 大すき! 木! 木! 木!」

東大和市立第八小学校 1

学年での実践 一人一匹 かぶとむしの

「だいす渋谷区立富谷小学校 1き! かぶとむし!」

学年での実践

いく。学校・家庭・地域を一体化して考えると,子 どもにとっての魅力的な学習材は当然,「地域・学 校に根ざした」ものにむかっていく。

(6)

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

5

(1)  単元の目標

①かぶとむしを大切に育てたり世話をしたりする活 動を通して,生き物に親しみをもとうとする。

 (生活への関心・意欲・態度)

②かぶとむしの飼育を通して,その成長の様子を表 現することができる。

 (活動や体験についての思考 ・ 表現)

③かぶとむしにふれあう活動を通して,それらの成 長や生命の大切さに気付いている。

 (身近な環境や自分についての気付き)

(2)  単元構想

 一人一匹のかぶとむしを育てる取り組みを通し て,かぶとむしとふれあい,その成長や生命の大切 さに気付く。

(3)  本単元において大切にしてきたこと

○かぶとむしの「成長」と「確かな生命」に気付か せ,生命にかかわっていけることの喜びを今後に つなげる!

      そのための手立てとして

①「かぶとむしタイム」で毎日繰り返しかかわらせる!

 教室に「かぶとむし 発見・ふしぎコーナー」を設置!

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

① 国語との関連「書く力」「話す力」へ  「かぶとむしの作文」タイム!

  実践事例

朝の始業前に,毎朝「かぶとむしタイム」を設定し繰り 返しかかわらせることで,かぶとむしの成長と確かな 生命に気付かせる。気付いたことはすぐに書き込める ようにワークシートを用意したコーナーを設置した。

かぶとむしの生命の魅力は圧倒的である。かぶとむし を見ながら,子どもたちは発見したことを「伝えたい」

という意欲であふれている。その意欲をぜひ国語と関 連させ「書く力」「話す力」につなげたいと考えた。

「生命」と向き合うと不思議と心が優しくなる。発表 タイムやワークシート等,子どもからあふれてくる「語 彙」も意識して心に響くものや,子どもらしい素直な 表現を取り上げ,豊かな表現が子どもたちに広く沁み るよう意識してきた。教師である私自身も情意的な言 葉かけができるようこころがけてきた。

東京都渋谷区立富谷小学校  1学年での実践

単元名

「 だいすき! かぶとむし! 」

(13時間)

○ 「気付き」を表現したい意欲を「書く力」「話す力」

につなげる!

      そのための手立てとして

② 豊かな「言葉」「表現」をひきだす!

生活科から学級経営へつなげる「要」

○「伝えたい」意欲をもたせる学級の雰囲気づくり

○「優しい言葉」が行き交う学級集団づくり

(7)

6

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

(4)  子どもが変わる!

(生活科・学級経営の視点から)

<S.Y君の事例>

 S. Y君は,入学時からおとなしく言葉数も少な い男の子であった。自分から積極的に友達にかかわ っていく場面もほとんどなかった。

 5月,かぶとむしの幼虫との出会い。虫が苦手で,

かぶとむしの幼虫も触れない。「こわい」とつぶやく。

 6月,友達のかぶとむしが次々と蛹室を作ってい く中,S. Y君のかぶとむしは蛹室が作れず,土の 上でさなぎになった。生活科の時間に,S. Y君の さなぎについて子どもたちが発言。

「ちゃんと成虫になれるといいね。」「かわいそう。」

「成虫になれるよう,みんなで応援するよ。」

「生きててよかったね。」幼虫を励ますと同時に,

S. Y君を励ます優しい子どもたちの声に,S. Y君 の表情も明るくなった。

 その後,子どもたちは,S. Y君のかぶとむしを 気にかけ,毎日S. Y君に声をかけるようになる。

友達が気にかけてくれる様子に感化されてかS. Y 君も毎日さなぎの様子を見るように…。担任にも

「今日動いたよ。」等よく報告に来るようになる。

 かぶとむしの成長を通して自分も成長し,友達と かかわれるようになった姿に,S. Y君の大きな心 の変容を感じる。

(5)  実践を振り返って

 かぶとむしの「生命」のもつ魅力は,子どもたち にとって,圧倒的なものである。「わたし,虫苦手!」

「ぼく,かぶとむしこわい!」といっていた子ども

たちをも,あっという間にとりこにしてしまった。

「一人一匹」のかぶとむしが育てられる環境にあっ たことも大きい。「わたしの○○ちゃん」「ぼくの○

○」と,まるで自分の子どものように愛着をもって 育てる様子がうかがえた。

 「生命」をもった生き物である以上,当然変態に 失敗する様や「死」とも向き合っていかなくてはい けない。そのことも一つ一つ流さず,一匹のかぶと むしの変化を,学級みんなのこととして悩み,考え,

乗り越え,育ててきたことで,この単元は大きな意 味をもつものとなった。

生命と向き合う! 子どもが変わる!

  実践を通して

  子どもが教えてくれた大切なこと

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

適切かつ魅力的な学習材との出会い

学習材とくりかえしかかわる時間と場の保証 教師の確かな子ども理解と気付きの価値付け 一人一人の気付きを他へ広げる支援と場の設定

など

 実践を振り返り,子どもが輝く生活科の授業の要 素には,以下のようないくつかのポイントが挙げら れる。

 これらを実践していくための土台として,「自分 が伸び伸びと表現できる学級」が母体となっている ことは,日々実感するところである。

 「子どもたち一人一人」に内在する輝きが,授業・

(4)  子どもが変わる!

生命と向き合う! 子どもが変わる!

学級において放たれる よう,今後も充実 した授業創り,

学級経営をめ ざし,力を尽 くしていきた い。

学級において放たれる よう,今後も充実

(8)

 本市は埼玉県の南端に位置し,荒川を隔 て東京に接しています。現在は,人口 52 万人・23万世帯を超える市民が暮らしてお り,年々人口増加の傾向となっています。

 このように多くの人が生活する街である ことから,生活や経済活動による環境への 負荷は大きく,他の街に比べ家庭や事業所

(民生部門)から排出される二酸化炭素の 割合が高く,この問題を解決するには,市 民のみなさんの地球高温化※に対する意識 の向上が解決の鍵となっています。

 各家庭や事業者から排出される二酸化炭素を削減 して行くには,太陽光発電などの補助金交付のよう なハード面での取り組みも必要ですが,やはり日常 生活での意識の向上が不可欠であり,最終的には環 境学習や環境教育が必要と考えています。

 このことから本市では,まずは「知る・理解する」,

次に「行動する」,最後に「協働する」を基本的な 方針として,さまざまな取り組みを進めてきました。

まずは,「知る・理解する」について,地球環境は 私たちの日常生活から世界情勢まで,多種多様な要 因が関係しており,正しい情報の習得をし,自ら判 断してもらうことが必要と考えています。次の段階 の「行動する」については,まず自分のできること から環境に良い行動を実践してもらうことを呼びか けています。最終的には個々の取り組みだけでなく,

市民・事業者・市の 3 者がそれぞれのできることを 役割分担し,協働して取り組みを実践する方針のも

「エコ・スクールン」

と,市民の関心具合に合わせ段階を経て事業を展開 してきました。

 「環境」とりわけ,「地球環境」に関しては,私たち の日常生活と大きく関わってきており,正しい情報 の習得は必要不可欠となっています。このことから,

本市では環境学習に力を入れていますが,ただの講 座や講演会などの勉強では,多くの人に興味をもっ てもらうことは,正直言って難しいのが現状です。

 そこで,6 月の環境月間や 12 月の地球温暖化防 止月間などでは,公立の環境機関や大学,環境NP Oや環境に力を入れている企業などによる専門的な 講演会を開催していますが,その他の事業に関して は,子どもや子育て中の若いお母さん,ご年配の方 など,年齢や状況に合わせた取り組みを実施すると 共に,行政からの一方的な情報発信ではなく,参加 してみて「なるほど!」と興味を持ち,身近な問題 として実感してもらえる事業となるよう心がけて企 画しています。  

 本市における市立の学校数は,小学校47,中学校

7

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

  はじめに

  環境学習

ストップ 地球高温化 エコライフかわぐち

〜地域で協働 52万人の1歩〜

※本市では,暖かくて過ごしやすいイメージの「温暖化」

という言葉を,より危機感の伝わる「高温化」に代え て使用している。言葉から受けるイメージは重要であ り,現在置かれている地球規模の危機感を少しでも認 識してもらえればとの願いを込めている。

埼玉県 川口市役所 環境部環境総務課

高橋 和孝

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24,高校3校であり,学校や子どもに関連する取り 組みとして,川口市発祥の一日版環境家計簿「エコ ライフDAY」,子どもが家族と共に自宅での環境 マネジメントシステムを運用する「キッズISO 14000 プログラム」,環境活動をしている個人や団体,

企業による環境出前授業の「エコ・スクールン」,

一年をとおし見沼の自然を調査する「親と子の自然 観察会」,12 月の地球温暖化防止月間の事業として

「地球高温化防止絵画コンクール」,同じく 12 月に 東京ビッグサイトで開催されている日本最大の環境 展であるエコプロダクツで学ぶ「ワンダーバスツア ー」等々を実施しています。

 環境に関心をもってもらうきっかけ作りの取り組 みとして市全体で実施しています。今年度(H23)に は約8万人の参加がありました。このエコライフD AYの 10 周年記念事業として,前年同月比の電気 使用量を削減する取り組み「チャレンジ・エコライ フ」を平成 21 年度から始めました。  

 特に今年の夏は,東日本大震災による電力不足が 大きな問題となり,昨年比 15%の節電が求められ ていることから,市全体で節電に

取り組む「チャレンジ・エコライフ」

を埼玉県と連携し,市民に呼びか けると供に,教育委員会としての 取り組みとして,小中高の生徒全 員に応募用紙を配布しました。

 この「エコライフDAY」は,

市内の主婦を中心とした団体から 提案された事業からスタートし,

平成 18 年度から市と,その翌年か らは教育委員会と共催して実施し ています。この3者の共催におい ては,NPO・教育委員会・市が 同じことをするのではなく,それ ぞれが得意とすることを役割分担

しています。 

 市はNPO法人とのチェックシートの内容構成

(小学校低学年・高学年・中高校生・一般の4種類)

や印刷,広報紙にシートの掲載や掲示板を含めた 940箇所に周知ポスターを掲示するなどの広報活動 のほかに,参加人数や二酸化炭素の削減量などのデ ータを集積し,その結果を市民に報告します。

 NPO法人は,シートの構成のほか,印刷された シートの仕分けと運搬,提出されたシートの集計,

最終的に報告書の作成を行っています。

 教育委員会では,各校で事業の趣旨の説明とシー トの配布,実施後の回収と集計などを行います。こ の集計にあたっては,珠算協会と連携して,珠算教 室の子どもたちの力強い協力によりとても助かって います。他市でも実施したいと,よくご相談をいた だきますが,成功の要因のひとつは,環境NPO法 人の積み重ねてきた努力と,各校の校長先生をはじ めとする先生方のご理解・ご協力によるものが大き いと思います。

 環境活動をしている個人や団体,環境学習や取り

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教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

一日環境家計簿「エコライフDAY」

チェックシート

環境出前授業の「エコ・スクールン」

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組みに力を入れている企業などに事前に登録しても らい,学校からの依頼により環境に関する授業を行 うものです。登録を希望する場合は,環境基本計画 の委員や環境総務課の職員に対しプレゼンテーショ ンをしてもらい,学校での授業として適切な内容か どうか,進行や手法などは適切であるかどうか,審 査を受けてもらっています。そして,校長会や各先 生に配布される教育広報紙などで,授業内容や対象 学年,実施可能人数や条件をお知らせし,環境教育 に活用していただいています。

 このような出前授業は他市の学校でも実施してい るとは思いますが,知り合いの先生の口コミや各団 体や企業が単独でPRしているケースが多く,また NPO法人やその他の団体は手弁当で実施している 場合が多いようです。本市では,わずかな額ですが 講師報償金をお支払いし,正式な講師として活動し てもらっています。内容もさまざまで,学校の敷地 内での生き物調査や近くの川の生態系調査,試薬を 使った水質検査,学校給食で使用した食用油を精製 し給食用のトラックの燃料として使っているトラッ ク組合の取り組み,電気やガスのエネルギーの講義 や実験,地球高温化やごみの問題等々があります。

平成 22 年度では 24 回の環境出前授業を実施。平成 23 年度の登録数は個人及び団体と合わせ 12 講師と なりました。

 一般の市民向けの事業としては,日常生活に関わ る環境問題や家庭でできる取り組みなど,聞いてみ て参加してみて「そうなのか!」「なるほど!」と 市民の方が興味をもち,身近な問題として実感して もらうように心がけ,事業を企画しております。 

 例えば,グリーンカーテン。公共施設での設置は もちろんですが,プランター作りの講習会やゴーヤ の料理教室も開催しました。環境映画鑑賞から,日 本の経済成長と地球高温化の進行を時間軸から見た 地球環境の講義を行う「環境大学」。日常生活に関

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

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連のある環境問題を取り上げ,企業や子どもたちに も参加してもらい開催する「環境フォーラム」。東 京ガス㈱のオープンスタジオで専門の講師により本 格的な料理を省エネで作る「エコクッキング」。市 内で育ち伐採された屋敷林を箸に加工し,福祉施設 で箸袋の作成や袋詰めしてもらって純川口産のマイ 箸として販売する「かわぐちマイ箸プロジェクト」

などの取り組みを行っています。ちゃんとした講座 や講演会も大切ですが,ただ聴いて学ぶだけでなく,

自分たちが参加し,それが何かの結果として活かさ れる事業を徐々に実施しています。

 7月7日のクールアースデーの周知事業として開 催しています。初年度は,急な実施だったこともあ り市販の耐熱ガラス入りのキャンドル1,000本を購 入し,川口駅前の広場で参加者全員でキャンドルを 灯しただけでした。そこで,2年目は,環境面で良 いことや,市の方針でもある市民や事業者さんとの

「協働」で何かできないかといろいろと試行錯誤し   市民・事業者との「協働」の取り組み

「キャンドル・ナイト」

キャンドル・ナイト

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ました。そして,①結婚式場や 葬祭場で廃棄していた使用済み のロウソクを提供してもらう 

②そのロウソクを市内の福祉団 体で仕事としてリメイクしても らい①と②を環境NPOに統括 してもらう ③ロウソク入れに は小学校の「こどもエコクラブ」

からプリンなどの容器を提供し てもらう ④キャンドルの配置 デザインやアルミ缶のオブジェ は,子ども工作教室の先生に無 償で作成してもらう ⑤間引い て廃棄する竹をオブジェとして 使うため業者さんから提供して もらう ⑥子育て支援事業で週 末に工作を教えているプレイリ ーダーさんに竹の加工をしてもらう ⑦当日のキャ ンドルは,公募した市民ボランティアや「こどもエ コクラブ」の子どもたちと一緒に設置することを調 整して実施。

 今年はさらに,キャンドル数も3,000本として,

東日本大震災のチャリティーイベントも兼ねて開催 しました。福祉団体からリメイクした100本のエコ キャンドルの無償提供を受け,義援金をお預かりし た方にプレゼントしたり,太陽光パネルで発電した 電気を蓄電地企業からお借りして音源やマイクの電 源にしたりと,多くの人や団体が自分のできること を協力していただくイベントとなり,大勢の人に参 加いただき盛大に開催することができました。イベ ント終了後は,見ていた人達が自主的に片付けをし てくれ,小さな子どもがいる若いお父さんやお母さ んが,子どもが火傷などしないようしっかりと見守 り,子どもに灯を吹き消させたり,一緒にカップを 集めたりしてくれていました。この3回の開催で,

環境をとおし参加された人達の気持ちの輪が広がっ たイベントになったと思いました。

 これからの未来を担う子どもたち。昔に比べて,

生活や物には不便せず,さまざまなことを体験でき,

選択肢もたくさんあるように思う反面,何もかもい ろいろとありすぎて目に見えないシガラミに囲まれ ているような気がします。勉強や知識はとても大事 ですが,子ども時代に経験したちょっとしたことや 感覚が,人の性格形成に大きく影響していると思っ ています。

 私たちの取り組みに参加してくれた子どもたちに は,「そういえば,小さいとき,両親とたくさんの キャンドルの灯を見たけど,そうか,電気を無駄に しないでと言っていた,エネルギーを大切にしよう,

日本はエネルギー資源があまりない国,それなのに 何でこんなに街は明るいの,これでよいの?」と,

繋がればよいと思っていますし,そのように考えて もらえるよう取り組んでいます。

 これからの私たちの生活に身近な問題となってき ている「環境問題」。ゲリラ豪雨や記録的な猛暑,

輸入に頼っている食料やエネルギー事情など,高度 経済成長を遂げてきた日本ですが,東日本大震災の 甚大な被害を教訓として,これからの子どもたちに,

いままでの「負」を押し付けないよう,私たち大人 もここでしっかりと立ち止まり,これからの日本の こと,これからの社会のあり方,家族や自分の将来 のあり方を,見直してみる時期であることを呼びか けています。

 それには,まずは「環境」に目を向けて,耳を貸 してもらえるよう,次に関心をもってもらい正しい 知識の習得をしてもらう。その次の段階として自分 や家族でできることの実践と,これからの社会のあ り方を考えてもらえるよう,市民に一番近い自治体 として,今後もわかりやすく身近な問題として捉え ていただけるような取り組みを進めて行きたいと思 っています。

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ストップ地球高温化 エコライフかわぐち

  さいごに

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

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実物が語りかける教育史の力強さ

 平成5年に開館以来久 しぶりの賑わいを見せて いる。きっかけはテレビ 朝日放映「ちい散歩」に 紹介されたから。俳優の 地井武男氏が散歩のおす すめコースを紹介する人 気番組だが,大江戸線新 江古田の回で「明治~昭 和の教育資料に地井感 激」と当館を紹介。この 番組をご覧の方が「ああ,

懐かしい!」と実物を見 に多数来館された。

 筆箱,弁当箱,ランドセル,チャイムの前身振鈴,

国定教科書,敗戦直後に黒く塗りつぶした墨塗り教 科書,式日に頂いたお菓子の木型,評価が甲乙丙丁 の通知簿,最敬礼をさせられた御真影奉安殿,校長 先生が白手袋をして読んだ教育勅語,こまやメンコ,

おままごと等々,一瞬映し出された映像に数十年前 の思い出が走馬灯のように蘇り,何としても本物を 見てみたいと思われたご高齢の方が多かった。子ど もの頃に遊んだり,勉強したり,お手伝いしたり,

日本人の生活の身のまわりに当たり前にあったモノ がいとも簡単に処分され,今やかえって希少な存在 となっている。こういったポピュラーで価値を認め られず処分されるようなモノこそ,実は日本人の人 格形成に多大な影響を与え,作った人,使った人,

大事にとっていた人の知恵と心が込められている。

失われたが最後,百万言費やしても実物のもつ情報 量にはかなわない。教育史の研究資料として大切な

これら実物の保存の意義を熱心に語り,教育関係者 やマスコミ,多くの人々を巻き込んで数万点の資料 を収集したのが,館の創設者唐澤富太郎である。

 子どもの頃の我が家は父・富太郎が集めたモノに 埋もれて生活していた。モノが主役,家族は研究の 邪魔をせず慎ましく暮らすことが掟だった。最終電 車の空いた時間を見計らって,両手に抱えられない ような大荷物を運んで帰ってくることしばしば。あ る時は鳥取から貨車1台を借り切り,明治期の木 造校舎の一部を運び込んだが,当時の重厚でモダン な階段の手すりは現在も堂々博物館に据えられてい る。墨塗り教科書など古書店で手に入らないモノは リヤカーで廃品回収をしていた人を呼び止め,入手 でき次第破格の値段で買い取った。

 父はこれらの実物を通して現実にその時代を生き

執念のコレクション

代表 唐澤るり子

教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

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唐澤博物館

(東京都練馬区)

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ありそうでないモノ

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 新潟県出雲崎出身の教育学・

教育史研究家。元東京教育大 学名誉教授。近代教育史の三 部作『教師の歴史』『学生の歴 史』『教科書の歴史』を著す。

特に,国内外の教科書の調査 研究で知られる。一方,「実物 に勝るものはない」と,子ど もの教育や遊びに関する資料 の収集に執念を燃やした。全 国各地から集められた資料の 数は数万点にも及ぶ。博物館に展示された約七千点の資料は,

わが国の教育の歴史を雄弁に語りかけてくる。

教育を受けた 側,子ども目 線の教育の実 態に迫ろうと した。学校で はどんな教材 で学び,どん な道具で筆記 し,どんな作 品を作ったのか,その子はどう評価されたのか,家 庭ではどんなお手伝いをし,どんなおもちゃで遊び,

どんなしつけを受けたのか,そんな生きた教育史研 究を目指し児童を取り巻くモノを通して実態に迫ろ うというのだから,集める資料も膨大だ。しかも,

集められるモノは全部集めるという主義で,地域は 北海道から沖縄まで,時代は江戸期の寺子屋から戦 後まで,ざっと百年の子ども生活文化資料の収集と なった。この型破りな収集 ・ 研究活動を始めたのが,

教科書研究が一段落ついた五十歳を超えてからのこ と。ピアノだ,机だ,臼だ,杵だ,玉川上水の木管 だと大きく重いモノ,おびただしい数の展示物を見 るたび,気力,体力がよく続いたと思う。

 時代の変化に追いつくのに忙しく,目先のことば かりに気をとられるが,過去を知らずして未来を作 ることは危うい。過去の成功からも,失敗からも学

ぶべきことは多いはず。教育立国として誇りをもて た日本,戦意高揚を学校でも教え,軍国主義の道を 突き進んだ日本,そんなありのままの姿を知ること は,これからの教育を考える上でも大切だと思う。

時に子どもの評価の仕方に悩まれた先生が昔の通知 簿を参考にされたり,大正期の算数教材が算数セッ トより役立つと復刻されたりと今に蘇るモノもあ る。古いばっかりではない先人の知恵が込められた モノを是非一度ご覧いただければ嬉しい。

未来は歴史の上にある

●歯医者

●TOTO

交番●

千川通り

目白通り 環七通り

●ファミリーマート 豊玉第二小学校

●そば屋

西武池袋線 至 練馬

至 池袋

▲至 王子

▼至 高円寺

至 目白 至 谷原

桜台駅

新江古田駅 大江戸線

豊玉陸橋

豊玉北

豊玉北2

●三菱自販

肉の万世

唐澤博物館

開 館:電話予約制(電話 03-3991-3065)

入館料:大人700円 中高生300円 小学生200円 所在地:東京都練馬区豊玉北 3-5-5

最寄り駅 西武池袋線・桜台駅より徒歩 12 分      都営大江戸線・新江古田駅より徒歩 12 分

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教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

唐澤博物館

から

さわ

とみ

ろう(1911〜2004)

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紙上 博物館 — 学校が出来た頃の教材

 明治 5 年「学制」頒布に先立ち,文部省は旧幕府昌平 坂学問所の建物を利用し師範学校を開設した。教室は広 間の畳をはがし板張りにし,机や椅子,黒板などの校具,

教科書,教具に至るまで西洋に倣うというスタイルをと った。『師範学校小学教授法』(明治 6 年)では見開きで 授業の様子を紹介しているが,洋装の教師が鞭で指し示 しているのが掛図である。掛図とは指導法がそれまでの 個別教授法から一斉教授法となり,それにふさわしい教 材としてアメリカのチャートを翻案して作られた大判 の絵図や表のこと。この掛図を用いて当時まだ目新しい 椅子に腰掛けた

生徒に教える姿 は,多くの本の 挿絵や錦絵にも なり,最新の学 校情報として広 く伝えられた。

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掛図を用いた授業

近代小学校の象徴

 学制期の「下等小学教則」には第六級(現在の小学2 年生前期)の読物で「地球儀」が課目として記されてい る。鎖国で閉ざされていた子どもの目を一気に世界の 国々へ,そして天体としての地球の理解へと導こうとし たのであろう。地球儀には黄道や回帰線なども記されて おり,国語科の授業で世界地理と同時に理科的内容も併 せて教えていたのがわかる。日本は「日本諸島」とあり,

カラフト,エゾ,サド,東京,大阪,四国,九州,長サ キ,琉球だけが地名として書かれている。

 授業は問答形式で進められ『文部省新訂地球儀略解』

(明治 8 年)を例にとれば

 「北より南へ引きたる数線あり これを何というや」

 「経線といい各国の首府を以て首とし之を算する故に 其首府の東にあるを東経線といい其西にあるを西経線と いいます」

 とあり,当時の日本の学校では東京を経度0として扱 っていた。

文部省正定翻刻地球儀

(明治8年)

高さ16.5センチの小さな地球儀

 「凡世界に住居する人に五種あり ○亜細亜人種 ○欧 羅巴人種 ○メレイ人種 ○亜米利加人種 ○亜弗利加人 種なり ○日本人は亜細亜人種の中なり」の書き出しで,

久しく東洋の片隅に閉じこもっていた日本人に新鮮な知 識を広め,当時は魚屋の小僧まで膾炙した人気の教科書。

小学読本

巻一 文部省編纂(明治 6 年)

日本最初の国語教科書

この開巻の言葉以降はアメリカの『ウィルソン・リーダー』

を直訳した文章が大部分を占める。たとえば野球を紹介 したページでは「Do you see the boys at play ?」が「彼 は球を蹴りて遊べり 汝はそれを見しや」と現代人には 余程訳文の方が難解な翻訳的な口調である。また,挿絵 もリーダーをまねて画かれているが,この野球の挿絵で はバットを持つ少年が3人,ボールも2個飛んでいるな ど,当時の日本人がルールを理解していない様子がよく わかりおもしろい。

左:小学読本巻一 右:ウィルソン・リーダー 日本の教科書では,左 の3人の少年がバット を持ち,球も中央天と 地に2個描かれている。

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 明治初期の日本人男子の平均身長は 155 センチ。西洋 と対等に渡り合うには身体強化も重要課題であり,政 府は明治 11 年に米国人の医学士リーランドを招聘した。

体操伝授を主目的として来日するが,このとき体操伝習 所や師範学校の生徒に教えたのが手具を用いた軽体操で あり,これを伝習した生徒が全国に散らばり,唖鈴体操,

球竿体操,棍棒体操が日本国中の学校に広まった。唖鈴

(アレイ)はダンベル DUMBBELL を直訳した言葉,材 質は木製で現代のように金属製アレイを用いて筋力アッ プというより,姿勢を正しくする整容を目 的とした。華やかで時代をリードした体操 は天皇陛下の御前で披露するなど世間の注目 を浴び,多くの錦絵にも描かれている。

プというより,姿勢を正しくする整容を目 的とした。華やかで時代をリードした体操 は天皇陛下の御前で披露するなど世間の注目 は天皇陛下の御前で披露するなど世間の注目 を浴び,多くの錦絵にも描かれている。

唐澤博物館

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教育出版 そよかぜ通信 11年秋号

唖鈴・球

きゅう

竿

かん

・棍棒

明治の花形体操用具

 算数掛図の一種。当時は加減乗除を九九で暗記させた が,これはその中の割り算九九である。横の一から九ま でが割る数,縦の一から九までが割られる数,その交差 した数が商となる。江戸期の和算書「塵劫記」に珠算の ための割声“八算”が紹介されているがこれはその系譜 だろう。例えば,割る数が二,割られる数が一では「二一 天作五」「にいちて

んさくのご」と読 み,二で一を割れ ば五分となる,と の意味である。同 様に「三一三一」「さ んいちさんじゅう のいち」は三で一 を割れば商が三分,

余りが一のこと。

じょ

さん

九九図

(明治8年)東京師範学校

割り算も九九で暗記

上:小学体操図解 明治19年 探景画 中:棍棒(男子生徒用)

右:唖鈴(重さ 160 g)

下:球竿(長さ 125cm)

(16)

生活科・総合通信 そよかぜ通信 〔2011年 秋号〕2011年9月30日  発行 編 集 :教育出版株式会社編集局   発 行:教育出版株式会社 代表者:小林一光 印 刷 :大日本印刷株式会社    発行所:

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平成23年度用教科書の下記の部分に訂正がございます。ご指導の際には,ご留意くださいますようお願い申し上げます。

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