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小中社会科の系統的な接続と指導のポイント

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Academic year: 2024

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小中社会科の系統的な接続と指導のポイント

公民的な内容—主権者教育を例に—

社会科における小中連携

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2 はじめに

社会科教育が目ざす最終的な目標は「公民的資質の基礎を養う」ことである。現在の学 習指導要領にも盛り込まれたが,社会参画にまで学習を深めることで,他人事でない主体 的な学びが生まれ,社会へ関心をもち,参加しようとする意欲を育てることが大切にされ るようになってきた。

本稿では,その公民的資質を培う単元として,小学校・中学校での政治学習の具体例を 挙げ,小中で連携することで生まれる学びのあり方について考えてみたい。

1 小学校における取り組み (1) 指導計画の工夫

小学校社会科においても,授業時数は限られている。本来であれば,すべての単元で時 間をかけて問題解決型の学習を展開するのが望ましいが,現実的にはなかなか難しい。特 に6年生の社会科は,歴史学習に力点が置かれがちで,政治学習の展開には工夫がなされ ていないことが多い。しかし,先に述べたように「公民的資質」を育てるためにも,自分 の身のまわりの社会に目を向け,そこから政治や人権についての学習をじっくり展開した い。指導計画の作成にあたっては,「公民的資質」を育てるという観点にたって,柔軟な発 想で一年間の見通しを立てることが大切である。

(2) 小中一貫の学習テーマ「みんなが幸せに生きることができる社会を目ざして」

小中一貫の学習を考えるとき,小中で共通した大きなテーマを設定し,そのテーマに関 わる個別の課題について学習を通して追究していくことが望ましい。その際,知識として 用語を覚えることを目ざすのではなく,様々な資料を活用したり,地域社会で活躍する人々 から話を聞いたりして,社会の一員としての自分の考えを,仲間と意見交換しながら深め ていく学習を目ざしたい。ここでは一例として,公民的な内容の学習を「みんなが幸せに 生きることができる社会を目ざして」という大きなテーマで括り,なおかつ,具体的な課 題として「男女共同参画社会」を取り上げて,学習を展開してみよう。

(3) 指導の実際

実践例①「憲法ってなんだろう?『法のもとの平等』を中心に考える」

「憲法ってなんだろう?」という問いかけをもとに学習を進めていく。基本事項として,

憲法の定義や三原則「国民主権,基本的人権の尊重,平和主義」は教科書(本稿では教育 出版 平成27 年度版『小学社会 6下』)を使っておさえておく。その上で,教科書 p.32 の資料ア「日本国憲法に定められている国民の権利と義務」の挿絵を使って,基本的人権 について具体的に確認していく。そして,挿絵の中から「法のもとの平等」に注目させる。

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挿絵には男の子,女の子が描かれていることをとらえさせ,男女の平等について具体的に 追究していくための意識づけを行う(【別表】で学習の流れを参照)。

「今の社会は,男女が平等になっているだろうか」という学習課題のもと,地域に出か けて調査活動をしたり,市役所の担当部署の方から話を聞いたりするなど,具体的な事例 を通して学習を深めていく。

最後にクラスの仲間と,感じたことや考えたことを話し合い,共有し合う活動を通して 自分の考えをまとめる。学区の小・中学校の教員どうしが連携し合えるならば,このまと めを本人,教師の双方が保存して,中学3年の学習時に再掲出するとよい。単に「よくわ かった」だけではなく,自分なりの学びを振り返り,学習が深まったという実感とともに,

自発的な問題意識をもって学習を締めくくることができるであろう。

2 中学校における取り組み (1) 中学校における課題

小学校に比べ,中学校は学習内容がさらに多くなる。しかも,高校入試に向けてより多 くの知識を習得することが優先されてきたため,「中学校では問題解決的な学習ができない」

という声を聞くことが多かった。

しかし,いつまでもそこに留まっていては,主体的な学びや協働的な学びを生み出すこ とはできないだろう。次期の学習指導要領では「アクティブ・ラーニング」が重視され,

学習指導の転換・充実が求められる見通しである。中学校においても,問題解決的な学習 に重点的に取り組む単元を積極的に設定していきたいものである。

(2) 具体的な問題をみんなで考える~自分のこととして社会を見つめる視点を育てる~

小学校でも,地域社会の人にインタビューして,感じたり考えたりしたことを話し合う 場を設けたが,中学校ではそれをさらにステップアップして実施したい。

中学校では,「男女共同参画社会」について歴史的な側面から考えられるような資料を用 意し,その読み取りの中から子どもたちの問題意識を高めたい。戦後 70 年という節目を 迎えたが,その僅か 70 年前までは女性の参政権が認められていなかったことは,多感な 時期の中学生にとって「なぜ,女性はそれで黙っていたのか」という強い疑問をもつだろ う。

そうした社会の背景にある,当時の封建的な考え方や通念を知ることで,現代にも残る

「男は仕事,女は家事」といった風潮の根底に流れているものをとらえることが大事であ る。そうした事実を知ることで,これから自分たちが生きる社会を自分自身に関わってく ることとしてとらえ,よりよい方向について主体的に考えるよう学習を展開していきたい。

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4 (3) 指導例

実践例②「ともに生きる社会を考えよう!~男女共同参画社会を切り口に~」

中学校では,小学校の時につかんだ子どもたちの問題意識を,多彩な資料を活用しなが ら,さらに発展させていく。「男女共同参画社会」という言葉は,小学校の時に市役所の担 当者などから聞いてはいるが,そうした言葉が生まれる日本の社会的,時代的な背景につ いて子どもたちは理解していない。

これを理解するためには,戦前までの社会観をさぐる必要がある。また,戦後も遅々と して進まなかった改善が,いくつかの節目で「法整備」されることで,一気に変化してい く様子もとらえさせていきたい(ここに法教育の重要性がある)。

最後に,今の社会における様々な課題を具体的にとらえたところで,これからの社会の あり方をみんなで話し合う場を設ける。人権については,たゆまざる努力が重要であるこ とをまとめとして,自分はどうするかという視点で,小中学校の学習のまとめとしたい。

3 連携するための手立て

小中学校の教員が,学期に一度は互いの授業を見学したり,授業後には授業研究会を開 いて交流し合ったりすることで,それぞれの授業の様子を知るとともに,それぞれが大切 にしていることを学び合う場を持つことが重要である。

特に公民分野については,小学6年生で学習した後,次の学習機会は中学3年生である。

3 年の期間をはさんでの実践には,事前の打ち合わせのみならず,発達段階に応じてどの ように問題解決的な学習を進めるか,互いに意見を出し合ってすり合わせる必要がある。

そうした意味では,校種を超えた教科研究会の場を設けることも大切な手立てとなろう。

社会科特有の学びのあり方を探ることが大切である。

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【別表】公民的な内容における小中一貫指導の構想

小学校(ページは教出平成 27 年度版 6 下教科書) 中学校(ページは教出平成 28 年度版中学社会公民教科書)

小中一貫の学習テーマ 「みんなが幸せに生きることができる社会を目ざして」

指導事例案「男女共同参画社会」を切り口にした,連続性のある小中学校での学び

憲法ってなんだろう?

「法のもとの平等」を中心に考える

ともに生きる社会を考えよう!

~男女共同参画社会を切り口に~

・憲法の学習で,基本的人権について考えた。

・男女の平等について学んだ。

p.463「男女の地位の平等感」のグラフ

・男性が優遇されていると感じている人が多い。

p.474「育児休暇取得率の男女比」のグラフ

・女性の取得率は伸びているが男性の取得率 は殆ど伸びていない。なぜなのだろう。

・男性の取得率が伸びない背景は何だろう。

p.602「選挙権の拡大」のグラフ

・女性の参政権獲得は約

70

年前。それ以前 は不平等とは思わなかったのだろうか。

➡戦前の男女の平等に対する社会通念を知る。

「戦前からの考え方が今も残っているの!?,

他についても男女平等の現状を調べたい。」

・市内小中学校の教頭・校長の男女比

・国会議員の男女比(諸外国との比較も)

・男女別の労働者数(または男女比)

DV

,セクハラ,マタハラ等の問題もある

「本当の男女平等の社会を築くためにはど うしたらよいのだろう。」

グループ討論会の後,全体討論会を実施

➡人権意識は育てるもので,もとからあるも のではない。努力して守ることが大切だ。

➡基本的人権だけではなく,憲法を大切にして,

すべての人が幸せに生きられる社会をつくっ ていきたい。

・近年の動きとして女性活躍推進法制定を紹介

p

.20「2 憲法とわたしたちの暮らし」

p.28~35

「基本的人権の尊重」

・職業を選ぶ自由

・住む場所,信教の自由…

p.32

の挿絵「法のもとの平等」

・この絵は何を表しているのだろう。

・「男女の性別による差別」ってあるのかな。

・男だから…,女だから…という見方がある。

・男性ばかりの職業,女性ばかりの職業がある。

・給料や待遇に差はあるのだろうか。まちの 人々に聞いて調べてみよう。

(駅員,交番,コンビニ,お店等)

➡法律ができて,男女の区別なく仕事につくた めの条件は整っている。でも実際には完全に 平等とはいえず,課題が残されている。

・今も残る課題を解決するための取り組みにつ いて,市役所の人に話を聞いてみよう。

・「男女共同参画社会」を実現するための市の 取り組みは…,国の取り組みは…

(共働きしやすくするための,法律や保育園な ど条件の整備等)

➡男女の性別に関わりなく,誰もが自分の夢を 叶えられる社会に少しずつ変わってきている。

➡まだまだ,そうはなっていないようだ。

➡残されている課題について,解決するために これからも考えていきたい。

「基本的人権のことについては,中学

3

年生 でさらに深く詳しく学びます。今の自分のま とめを大切にしておきましょう。」

学んだことや考えたことをまとめよう。

わたしたちの社会では,男女は平等にな っているでしょうか。

本当に男女平等になったといえるでしょうか。

小学校での学習を覚えていますか。

学んだことや考えたことをまとめよう。

Referensi

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