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新START条約 - 日本国際問題研究所

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新 START 条約

目次

1.基本的義務...1 2.ミサイル防衛との関係...1 3.検証措置...2

米国のオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は、

2010年4月8日、プラハにおいて、「戦略攻撃兵器の一層の削減

および制限のための措置に関する米国およびロシアの間の条 約」(新START条約)に署名した。条約は前文および16か条で 構成され、さらに165ページに及ぶ議定書が附属されている。

米露は、STARTⅠが失効する2009年12月までに新START条約

を成立させるべく交渉を続けたが、検証措置、ならびに米国の ミサイル防衛計画や、ICBMおよびSLBMに通常弾頭を搭載す る「即時グローバル打撃」計画を巡る問題などで議論が続き、

目標より4ヶ月遅れての合意となった。以下は、これらの問題 に焦点を当てつつ、条約を概略したものである。

1.基本的義務

新START条約では、発効から7年後(条約の有効期限は10年 で、最大5年間の延長が可能)に、配備される大陸間弾道ミサ イル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)および戦略 爆撃機(heavy bomber)を700基・機に、また配備・非配備の ICBM発射基、SLBM発射基および戦略爆撃機を800基・機と すること、配備ICBM・SLBMに搭載される弾頭(warheads)

お よ び 配 備 戦 略 爆 撃 機 に 搭 載 さ れ る 核 弾 頭 (nuclear

warheads)を1550発とすることが定められた(第2条)。

ICBMおよびSLBMに搭載される弾頭数は実際に搭載された 数が、また戦略爆撃機に関しては1機につき1発の核弾頭を搭載 していると見なして計算される(第3条2項)。この計算方法を 米露の現在の戦略核戦力にあてはめると、米国は1650発(実際 は2100発)、ロシアは1740発(実際は2600発)の戦略核弾頭し か配備していないことになり、さらにSTART後継条約の下では 実際には2002年の戦略攻撃能力削減条約(モスクワ条約)より

も多い戦略核弾頭を配備し得ることになると指摘されている1。 他方、上述の上限について留意すべきは、核弾頭を搭載して いないICBMおよびSLBM、ならびにICBMおよびSLBMに搭 載される核弾頭以外の弾頭も計算に含まれると解釈される点で あろう。条約第2条では、戦略爆撃機については「核弾頭」と 明記しているのに対して、ICBMおよびSLBMについては「弾 頭」とのみ記述されている。また、戦略爆撃機に関しては、

8000km以上の航続距離を有し、長距離核ALCM(空中発射巡 航ミサイル)を搭載するものと定義されているのに対して(議 定書第1部23項)、ICBMについては射程距離が5500kmを超え る地上配備弾道ミサイル(議定書第1部37項)、SLBMについて 潜水艦に含まれ、あるいは潜水艦から発射される射程距離が

600kmを超える弾道ミサイル(議定書第1部77項)を意味する

とされ、核任務と通常任務との区分がなされているわけではな い。

上述のような解釈が正しければ、新START条約の下では、通 常任務に転換されたICBMおよびSLBM、ならびにこれらに搭 載される通常弾頭についてもカウントされることになる。米国

が3月27日に示した条約の概要では、米国のミサイル防衛計画

や長距離通常攻撃能力の実験、開発あるいは配備に対するいか なる制約も含んでいないとしていたが2、(上述のような解釈が 正しければ)少なくともICBMおよびSLBMを用いる長距離通 常攻撃能力に関してはロシアに譲歩したことが伺える。

なお、条約では、核弾頭の廃棄に関する義務は課されていな い。

2.ミサイル防衛との関係

米露が条約交渉において最後まで対立したのが、ミサイル防 衛問題であった。ロシアは、米国のミサイル防衛能力に一定の

1 Hans Kristensen, “New START Treaty Has New Counting,” FAS Strategic Security Blog, March 29, 2010

<http://www.fas.org/blog/ssp/2010/03/newstart.php>, accessed on March 31, 2010.

2 Office of the Press Secretary, “Key Facts about the New START Treaty,” March 26, 2010 <http://www.whitehouse.

gov/the-press-office/key-facts-about-new-start-treaty>, accessed on March 27, 2010.

財団法人日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センター

軍縮・不拡散問題ダイジェスト

Vol.1, No.11(2010年4月9日)

主任研究員 戸 﨑 洋 史

(2)

2 制約を課したいと考えてきたこともあり、この問題が条約でい かに扱われるかが注目されていた。

条約では、まず前文で、「戦略攻撃兵器と戦略防御兵器の間の 相互関係の存在を認識」するとし、「この相互関係は戦略核兵器 が削減されるにつれて、より重要になること、現在の戦略防御 兵器は両当事国の戦略攻撃兵器のviabilityおよび有効性を損な わないこと」という、おそらく両国のそれぞれの立場が盛り込 まれている。ただ、「地表に位置しない物体を迎撃およびカウン ターするためにのみ開発および実験されるミサイルは、この条 約の条項を適用する弾道ミサイルとは見なされない」(第2条7

項(a))とされ、ICBM発射基およびSLBM発射基をミサイル防

衛インターセプターの配置(placement)のために転換も使用 もしてはならず(条約署名以前になされたものを除く)、またミ サイル防衛インターセプターの発射基をICBMおよびSLBMの 配置のために転換も使用もしてはならないという規定(第5条3 項)を除けば、新START条約ではミサイル防衛に関する特段の 義務は課されていない。ただ、ロシアの視点で見れば、第5条3 項の規定を持って、米国のミサイル防衛に一定の制限を課した ということになるのであろう。

オバマ大統領は、署名後の記者会見で、脅威の評価ついての 情報の交換など、ミサイル防衛に関する議論を拡大していくこ とでメドベージェフ大統領と合意したと述べ、脅威評価の完了 後、ミサイル防衛に関する米露協力についての真剣な対話を開 始したいとした3

他方、ロシアは、新START条約は米国のミサイル防衛システ ム能力の質的・量的改善がないという条件において有効なもの であり、条約からの脱退を規定した第14条3項4で言及される

「異常な事態」には、ロシアの戦略核戦力を脅かすような米国 のミサイル防衛システム能力の改善が含まれるとの声明5を発 表した。

3 “Remarks by President Obama and President Medvedev of Russia at New START Treaty Signing Ceremony and Press Conference,” Prague, Czech Republic, April 8, 2010 <http://

www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-oba ma-and-president-medvedev-russia-new-start-treaty-signing -cere>, accessed on April 9, 2010.

4 条約は、脱退通告を他の当事国が受領した日から3ヵ月後に終 了する。

5 “New START Treaty Signed,”Russian Strategic Nuclear Force, April 8, 2010 <http://russianforces.org/blog/2010/04/

new_start_treaty_signed.shtml>, accessed on April 9, 2010の 英訳による(原文は、ロシア大統領府のウェブサイトに、

“Заявление Российской Федерации относительно противоракетной обороны,” April 8, 2010 <http://news.

kremlin.ru/ref_notes/511>, accessed on April 9, 2010として掲 載されている)。

この声明に関して、米NSCのBrian McKeonは、こうした一 方的声明が出されるのは米露(ソ)軍備管理の歴史において珍 しいことではないこと、米露の合意事項を述べたのではなくロ シアの立場などを明らかにしたに過ぎないことという見方を示 すとともに、米国は今後もミサイル防衛システムの開発および 配備を継続する計画であるとする一方的声明を発表したことを 明らかにした6

3.検証措置

2002年の戦略攻撃能力削減条約(モスクワ条約)7とは異な

り、新START条約では、以下のような検証措置が規定されてい る。

 データの交換および通告(第7条)

 ICBMおよびSLBM発射に関するテレメトリー情報を

均衡の原則(parity basis)で交換(第9条)

 国家の検証技術手段(NTM)(第10条)

 現地査察(第11条)

現地査察については、ICBM、SLBMおよび戦略爆撃機のそ れぞれの基地において、目的は、配備・非配備の戦略攻撃兵器 の数および種類、配備ICBM・SLBMに搭載された弾頭数、な らびに配備戦略爆撃機に搭載された核兵器の数を確認すること を目的として実施される(2項)。非配備戦略攻撃兵器、転換あ るいは廃棄された戦略攻撃兵器なども現地査察の対象となる

(3項、ならびに議定書第5部7項)。

ま た 、 二 国 間 協 議 委 員 会 (Bilateral Consultation

Commission)を設置して(第12条)条約の遵守や履行に関す

る問題が生じた場合には協議することなどが定められている。

6 Brian McKeon, “A New START in Prague,” The White House Blog, April 8, 2010 <http://www.whitehouse.gov/blog/

2010/04/07/a-new-start>, accessed on April 9, 2010.

7 モスクワ条約は、新START条約の発効をもって終了する(新 START条約第14条4項)。

(財)日本国際問題研究所

軍縮・不拡散促進センター

〒100-6011

東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビル11階 TEL:03-3503-7558 FAX:03-3503-7559 Homepage:http://www.cpdnp.jp/

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