2 0 2 0 年 度 第 1 回 京 大 本 番 レ ベ ル 模 試 国 語 ( 文 ) 採 点 基 準
1文(文章)で解答する設問の答案については、次のA項の加点要素の合計から次のB項・C項の減点要素の合
計を引いた得点をその設問の得点とします。ただし最低点は0点としマイナスの得点はつけません。
A
a以下の採点基準では、模範解答をいくつかの要素に分割し加点要素とします。答案中にその加点要素に相当す
る部分があれば、その加点要素に配点された得点を与えます。
bある加点要素は、その加点要素に配点された得点か0点で採点することを原則とします。たとえば5点配点さ
れた加点要素であれば5点か0点で採点することを原則とします。
ただし、その加点要素中の部分点を認める場合もあります。その場合それぞれの採点基準の中に明記されていま
す。
cある要素に加点するか否かが、他の要素と無関係に決まる場合と、他の要素との関係で決まる場合があります。
前者の場合は、その要素を単独採点(独立採点)すると言いその旨必ず明記されています。後者の場合は、他の要
素との関係について以下の採点基準で具体的に指示されています。
d解答通りという条件がある場合はいかなる部分点も認めません。
B
a答案中に大きな誤読と判定される内容(語句)などがある場合は、その内容(語句)を減点要素として示され
ている場合もあります。
b加点要素でも減点要素でもない部分もありえます。その部分は加点も減点もしません。
C
次に該当するものは、答案の形式上の不備として、一箇所につき1点の減点要素とします。
a誤字。漢字などの文字の明らかな誤りは誤字とします。
b脱字。
c文末の句点の脱落。
*字数指定のない場合、句点の脱落は誤字とし1点の減点とします。
dその他不適切と判断せざるをえない箇所。
e不適切な文末処理。設問の問い方に対応していない形で答案の文末を結んでいない場合は、適切な文末処理が
行われていないと見て形式上の不備による減点要素とします。
たとえば「…とはどういうことか?」という問いに体言で結んでいないものなどは適切な文末処理が行われてい
ないと見て形式上の不備とします。
また、理由が問われているのに、「から」「ので」などで結んでいないものなども適切な文末処理が行われていな
いと見て形式上の不備と見ます。
*ただし、「ことである」などの表現も「こと」などで結んでいるものと同様適切な文末処理が行われていると見ま
す。また、「からである。」などの表現も「から」などで結んでいるものと同様適切な文末処理が行われていると見
ます。
また文末の表現を問わない場合もありますが、その場合はその都度明記されています。
2日本語の表現として不適切なものは程度に応じて減点します。
3次の各項に該当するものは、部分点の要素があっても、その設問の得点を0点とします。
a答案が解答欄の欄外にはみ出しているもの。
b一行の解答欄に二行以上書いた場合もその設問の得点を0点とします。
c字数指定のある設問で、字数をオーバーしたもの。
d答案の文章が最後まで完結していないもの。
4古文あるいは漢文の訳を記述する設問の場合も以上に準じますが、文末の句点や文末の処理あるいは答案の完
結にこだわらなくともよい場合はその都度明記されています。
第一回京大本番レベル模試(文)
大問一 問一
基準
配点:1点×5■模範解答※解答例通り(漢字書き取り問題)
(ア)残虐 (イ)脚光 (ウ)排撃 (エ)不文律 (オ)傲慢
大問一 問二
■形式上の不備
・文末表現:要素C参照/理由説明の結び「~から」になっている場合は、要素C不可
・句点の扱い:1点減点
基準
配点:10点■模範解答※各要素同意表現可。ニュアンスが正しければ許容
A日本人は、唯一絶対的な存在である神の前における個の責任という道徳
原理を持たず、
B他人の前で恥をかかないことや世間の目を逃れれば何をしてもやましくはないと思う
ことを道徳原理とする点で、
Cまさにその場その場で都合のいい行動を取る存在であるということ。
■採点方法:各要素単独採点
■字数:解答欄四行二行以下のものは全体不可(0点)
■要素A日本人は、唯一絶対的な存在である神の前における個の責任という道徳原理を持
たず:3点
・「個の責任」について触れていない場合、2点減点。
・日本人がヨーロッパ文化におけるこの責任という道徳原理を持たないことを説明してい
ないものは、要素A加点なし
・不可例:ヨーロッパの人々は唯一絶対的な存在である神の前における個の責任という
道徳原理を持つが
■要素B他人の前で恥をかかないことや世間の目を逃れれば何をしてもやましくはない
と思うことを道徳原理とする点で:4点 ・「他人の前で恥をかかなければいい」という内容がない場合、2点減点。
・日本人の道徳原理として、「恥をかかないこと」「世間の目を逃れれば何をしてもいい」ということの説明がどちらもないものは、要素B加点なし ・同意例: 他人の前で恥をかかないことや世間の目を逃れれば悪行を働いても背信行
為ではないとする点で
■要素Cまさにその場その場で都合のいい行動を取る存在であるということ:3点 ・「典型的なオポチュニスト」の意味をわかりやすく説明していないもの
は、要素C加点なし
大問一 問三
形式上の不備
・文末表現:要素D参照/理由説明の結び「~から」になっている場合は、要素C不可
・句点の扱い:1点減点
基準
配点:11点■模範解答※各要素同意表現可。ニュアンスが正しければ許容
A戦時中にみられた世間体を重んじる日本人の心情は、
B恥の意識として批判するベネディクトの指摘やそれに基づく自らの反省によって、罪
の意識という欧米的な姿勢に変えられようとしたため、
C表面的には消滅したかのようになったが、
D実は、恥の意識は日本人にとっての日本的な基底感情として存在し続け
ているという■採点方法:各要素単独採点
■字数:解答欄五行二行以下のものは全体不可(0点)
■要素A戦時中にみられた世間体を重んじる日本人の心情は:2点
・「戦時中」という要素がない場合1点減点。
・傍線部の主語にあたる「世間体を重んじる日本人の心情」のしてきをしていないもの
は、要素A加点なし
■要素B恥の意識として批判するベネディクトの指摘やそれに基づく自らの反省によっ
て、罪の意識という欧米的な姿勢に変えられようとしたため:3点 ・ベネディクトの批判と日本人の反省という要素に触れていない場合、2点減点。・「伐採されて」という比喩表現を一般化した「欧米的な姿勢に変えられようとした」
と説明していないものは、要素B加点なし
■要素C表面的には消滅したかのようになったが:3点 ・「その姿は地上から没した」という比喩表現を一般化した「消滅した」などの表現に
なっていないものは、要素C加点なし
■要素D実は、恥の意識は日本人にとっての日本的な基底感情として存在し続けていると
いうこと:3点
・「竹の地下茎」という比喩表現を一般化した「基底感情」を用いての説明をしていな
いものは、要素D加点なし
大問一 問四
形式上の不備
・文末表現:要素D参照/内容説明の結び「~もの」で終わり、「~と考えている」がな
くても可
・句点の扱い:1点減点
基準
配点:14点■模範解答※各要素同意表現可。ニュアンスが正しければ許容
A世間体とは、親から結婚を反対される女性や姑との関係で子育てに悩む女性のあり方
からすると、
B周囲に気がねして表面を取り繕うためのものであるという面を持つが、
C商人が自らの命を賭して周囲との関係における不文律を守ったことや浪花商人が何よ
り面子を重んじる契約書を交わしたことからすると、
D周囲との関係における当人の名誉にかかわるという日本人にとって重
んじるべき面も持つものであると考えている。
■採点方法:各要素単独採点
■字数:解答欄六行三行以下のものは全体不可(0点)
■要素A世間体とは、親から結婚を反対される女性や姑との関係で子育てに悩む女性のあ
り方からすると:4点
・本文に即して「結婚を反対される女性」「姑との関係に悩む女性」の話題をまとめて
いないものは、要素A加点なし
■要素B周囲に気がねして表面を取り繕うためのものであるという面を持つが:3点
・ 「気がねする」の意味や気がねする相手を限定している場合、2点減点
・要素Aを一般化し、「世間体とは周囲に気がねして表面を取り繕うためのものである」
ことを説明していないものは、要素B加点なし
■要素C商人が自らの命を賭して周囲との関係における不文律を守ったことや浪花商人が
何より面子を重んじる契約書を交わしたことからすると:4点
・本文に即して「火事に飛び込んだ商人」「面子を重んじる契約書を交わした商人」の
話題をまとめていないものは、要素C加点なし
■要素D周囲との関係における当人の名誉にかかわるという日本人にとって重んじるべき
面も持つものであると考えている:3点
・要素Cを一般化し、「世間体とは当人の名誉にかかわるという日本人にとって重んじる
べき面も持つものである」ことを説明していないものは、要素D加点なし
・同意例:周囲との関係において責任を果たすことや信用を守るという日本人にとって
重んじるべき面も持つものであると考えている
大問一 問五
形式上の不備
・文末表現:要素C参照/内容説明の結び「~こと」になっている場合は、要素C不可
・句点の扱い:1点減点
基準
配点:10点■模範解答※各要素同意表現可。ニュアンスが正しければ許容
A強大な封建権力によって統治された徳川時代に、鎖国体制や身分制度といった形で、閉鎖的で孤立した集団が生み出されたため、
B人々は自分の周囲のあり方こそが世界のすべてであるという見方をすることになり、
Cそれが世間体を重んじるあり方の基礎になっているから
。
■採点方法:各要素単独採点
■字数:解答欄四行二行以下のものは全体不可(0点)
■要素A強大な封建権力によって統治された徳川時代に、鎖国体制や身分制度といった形
で、閉鎖的で孤立した集団が生み出されたため:4点
・「強大な封建制度」「鎖国体制」「身分制度」を軸として、「閉鎖的な集団が生み出された」ことを説明していないものは、要素A加点なし
■要素B人々は自分の周囲のあり方こそが世界のすべてであるという見方をすることにな
り:3点
・要素Aの結果、「人々がそれをすべてだとした」ということの説明がないものは、要
素B加点なし
■要素Cそれが世間体を重んじるあり方の基礎になっているから:3点 ・要素Aと要素Bのあり方が「世間体の基礎になっていること」の説明がないものは、
要素C加点なし
二○二○京大模試(文)第二問採点基準・採点例
二(50点)
■採点の原則 ①全ての答案について各要素単独採点とするが、答案が全く日本語の文(章)の体をなしていないと判 断される場合は、要素の有無に関係なく0点とする。
②漢字の誤り、送り仮名の誤り、句点の抜けについては、一つごとに1点減点する。
問一
■形式上の不備 ・文末表現は要素E参照
基準配点8点
■模範解答例※各要素同意表現可。 A B 夢の中で出会った漱石の孤独があまりに深く、残酷ささえ感じるものであったので、その孤独を共有するこ C D
とさえできない自分自身の至らなさに対して抱く歯がゆさと空しさ。
■採点方法:各要素単独採点
■要素A「漱石の孤独があまりに深く、残酷ささえ感じるものであった」:2点 ・「孤独・孤立」という語があれば1点与える。
・さらに漱石の孤独が限りなく深いものであるということが答案に示されていれば2点与える。
■要素B「その孤独を共有することさえできない」:2点 ・漱石の孤独感が、他者には共有、共感し難いもの、他者の想像を絶するものであるというニュアンス があれば2点与える。説明が曖昧であると判断される場合は1点だけ与える。
■要素C「自分自身の至らなさに対して」:2点 ・傍線部の「気持」が筆者のある種の自責の念であることが読み取れれば2点与える。
■要素D「歯がゆさと空しさ」: ・ほぼ同等と見なしうる心情語が示されていれば2点与える。
・但し「さびしく・つらく・哀れに・可愛そうに」などは1点とする。
■要素E文末は原則として「気持ち・思い・心情」などか、要素Dにあるような心情を示す語になってい ればよい。そうなっていないなら1点減点。
問二
■形式上の不備 ・文末表現は要素E参照
基準配点8点
■模範解答例※各要素同意表現可。 A B C
誰からも顧みられず、周囲から完全に切り離された孤立の中に沈みつつも、その近づきがたい孤高さが、向
D
き合う者を惹きつけてやまないオーラのようなものを発している姿。
■採点方法:各要素単独採点
■要素A「誰からも顧みられず、周囲から完全に切り離された孤立の中に沈み」:3点 ・周囲から完全に隔絶し孤立しているというニュアンスが読み取れるなら3点与える。
■要素B「近づきがたい孤高さ」:2点 ・「孤高」という語が正しく使われていれば2点与えてよい。 ・「孤高」とほぼ同意の説明と判断できる場合も2点与えてよい。 ・説明が曖昧であると判断される場合は1点だけ与える。
■要素C「向き合う者を惹きつけてやまない」:2点 ・対する者を「惹きつける・魅了する」というニュアンスが読み取れれば2点与える。
■要素D「オーラのようなものを発している」:1点 ・ほぼ同意の説明とみなせるものには1点与える。
■要素E文末は「姿・様子」、あるいは「…姿をしていること」なども可。的外れな文末と判断される場 合は1点減点。
問三
★答案には、漱石の小説の二つの読み方が対比されている必要がある。
■形式上の不備 ・文末表現は要素D参照
基準配点10点
■模範解答例※各要素同意表現可。 A B 漱石の小説を、それまでのように仮構世界として読むのではなく、小説が書かれた時代、その登場人物の現 C 実感を楽しみながら、それを漱石の個人生活と重ね合わせながら読み解いていくこと。
■採点方法:各要素単独採点
■要素A「漱石の小説を、それまでのように仮構世界として読むのではなく」:4点 ・「仮構世界」は「架空世界」「虚構」など可。 ・説明が曖昧であると判断される場合は2点だけ与える。
■要素B「小説が書かれた時代、その登場人物の現実感を楽しみながら」:3点 ・「時代」という語を欠く場合は2点とする。
■要素C「漱石の個人生活と重ね合わせながら読み解いていく」:3点
*要素B・Cは本文の「漱石の小説についても、その時代、その登場人物の現実感を楽しみながら、それを
漱石の個人生活と重ねあわせて考える」という記述に対応している。それぞれほぼ同意の説明と判断できれ
ば加点してよい。説明が曖昧であると判断される場合は1点だけ与える。
■要素D文末は原則として「~ということ」となっていればよい。「~から・ので」など明らかにズレた 形の場合は1点減点。
問四
■形式上の不備
・文末表現は要素E参照
基準配点12点
■模範解答例※各要素同意表現可。
A B 漱石が「彼岸過迄」という小説で自身の現実体験である急死した娘に対する手向けの一章を書いたことで、 C D 仮構を徹底して意識しながら作品を書いている作家であるという筆者の漱石観が覆されたかのように感じた
から。
■採点方法:各要素単独採点
■要素A「『彼岸過迄』という小説で」:1点 ・「違和感」を抱くきっかけとなった作品名が明示されていること。
■要素B「自身の現実体験である急死した娘に対する手向けの一章を書いた」:4点 ・漱石が「彼岸過迄」に書いた仮構ではない具体的な体験内容が明示されていること。
・説明が曖昧であると判断される場合は2点とする。
・亡き娘への手向けという具体的説明を欠いている場合は2点。
■要素C「仮構を徹底して意識しながら作品を書いている作家であるという筆者の漱石観」:4点 ・筆者の既成の漱石観の内容を提示する。
・説明が曖昧であると判断される場合は2点とする。
■要素D「覆されたかのように感じた」:3点 ・筆者の既成の漱石観と齟齬していたということが読み取れればよい。
・説明が曖昧であると判断される場合は1点とする。
■要素E文末は「~から・ので・ため」など理由説明の形になっていること。そうなっていないなら1点 減点。
問五
■形式上の不備
・文末表現は要素D参照
基準配点12点
■模範解答例※各要素同意表現可。
A1 B A2 作品を書き始めた小説家は、その内容が虚構か現実体験の記述かというような区別などに囚われず、ともか
く作品を仕上げるという自己の責任を全うするしかなく、読者もそうした作品から新たな文学の可能性を学
んでいくこと。
■採点方法:各要素単独採点 A1 A2
■要素A「作品を書き始め小説家は…ともかく作品を仕上げるという自己の責任を全うする」:4点 ・本文の「小説家は小説を書きはじめた以上、どんなことが起きても書きつづけるしかない。それが小 説家の責任なのだ」に基づく。A2の内容が的確に示されていればよい。
・「仕上げる」は「書き続ける」でもよい。
・「責任」という語を欠く場合は2点とする。
■要素B「その内容が虚構か現実体験の記述かというような区別などに囚われず」:5点 ・本文の「その内容がたとえ、例外的に小説の仮構世界から逸脱しようとも、とにかく小説として書き つづける」に基づく。ほぼ本文をなぞった説明でもよい。
・説明が曖昧であると判断される場合は2点とする。
■要素C「読者もそうした作品から新たな文学の可能性を学んでいく」:3点 ・筆者は、仮構(虚構)か「私小説」かという区別を超えた、定義づけのしにくさに文学(小説)のお もしろさを感じとっている。そのニュアンスがうまく答案に示されていれば3点与える。
・説明が曖昧であると判断される場合は1点とする。
■要素D文末は原則として「~ということ」となっていればよい。「~から・ので」など明らかにズレた 形の場合は1点減点。
1
2020年度第1回京大本番レベル模試国語(古文)採点基準文系
三古文50点
◆各設問共通
▲内容説明の設問では、末尾の句点がないものは▲1点減点。ただし、現代語訳の設問では、句読点は不問。
問一(1)10点
※傍線部(1)を、言葉を補いつつ現代語訳する設問
(模範解答)
A○5点 (『古今和歌集』には)多くの時代において知識・教養の深い人々が著した注釈書等がたくさんあって、
B○5点
疑問の残っているような箇所も存在していないようであるのに、
(10点)
◆各加点要素の加点の条件【A・Bに関して部分採点】
A「(『古今和歌集』には)多くの時代において知識・教養の深い人々が著した注釈書等が
たくさんあって」(5点)
※「注釈どものあまたありて」の訳
×「(『古今和歌集』には)注釈書(等)がたくさんあって」というような記述がなけれ ば×。0点。
○「(『古今和歌集』には)注釈書(等)がたくさんあって」というような記述があれば○。
※「世々にものよく知れりし人々の」の訳
△「知識・教養の深い人々が著した・十分な学識がある人々が書いた・知識人が記した」というような記述があれば、○4点。
2
○+「多くの時代において・それぞれの時代に・代々」というような記述が△に加わ
れば○+1点。
B「疑問の残っているような箇所も存在していないようであるのに」(5点)
※「残れる節もあらざんなるに」の訳
×「ないようであるのに・ないと聞くのに」という「伝聞・推定」の訳がなければ×。
0点。
「…だろう」のような推量の訳は×。0点。
○「疑問の残っているような箇所も・問題の残っている一節」というような記述があれば、○5点。
3
問一(4)10点※傍線部(4)を、言葉を補いつつ現代語訳する設問
(模範解答)
A○5点
横井千秋殿の、いつもの、この上もないほど深く熱心な国学に対する情熱においては、
B○5点
「耳成山の神」ではないが、私も耳がないわけではないので、聞き過ごすことなどできない。
(10点)
◆各加点要素の加点の条件【A・Bに関して部分採点】
A「横井千秋殿の、いつもの、この上もないほど深く熱心な国学に対する情熱においては」
(5点)
※「いと深くまめなる心ざしは」の訳
×「この上もないほど深く熱心な(学問への)情熱は・本当に深く誠実な(学問への)愛情 は・大層篤く熱意ある(学問への)誠意は」というような記述がなければ×。0点。
「国学に対する志・学問に対する志」は可とする。
※「例の」の訳
△「いつもの・いつものような・いつものように」というような記述があれば、○4点。
○「横井千秋(殿)の」というような記述が△に加われば○。
B「『耳成山の神』ではないが、私も耳がないわけではないので、聞き過ごすことなどできない」(5点)
※「さて過ぐすべくもあらず」の訳
×「(何もせず)聞き過ごすことなどできない・(そのまま)聞き過ごせない」というような 記述がなければ×。0点。
○「(『耳成山の神』ではないが)私も耳がないわけではないので」というような記述があれば、○5点。
4
問二傍線部(2)について、作者は「かの注釈といふ筋」の特性をどのようなことと考えているか、説明させる問題。 A○3点
注釈者がどんなに詳細に説明したとしても、
B○4点
伝聞の情報は限界があるので、
C○3点
古今集の歌の意味を追体験するような理解は得られないということ。
(10点)
◆各加点要素の加点の条件【A・B・Cに関して部分採点】
A「(注釈者が)どんなに詳細に説明したとしても」(3点)
※「既存の注釈書の限界」という内容
×「(注釈者が)どんなに詳細に説明したとしても(古今集の歌を身近なものとして理解す ることは不可能)」というような記述がなければ×。0点。
○「(注釈者が)どんなに詳細に説明したとしても(古今集の歌を身近なものとして理解することは不可能)」というような記述があれば、3点。
B「伝聞の情報は限界がある」(4点)
※「人づての耳はかぎりしあれば」の理解
×「伝聞の情報は限界があるので」というような記述がなければ、0点。
○「伝聞の情報は限界があるので」というような記述があれば、○4点。
C「古今集の歌の意味を追体験するような理解は得られない」(3点)
※「近くて見る目のまさしきにはなほ似るべくもあらざんめる」の理解
×「古今集の歌の意味を追体験するような理解は得られない・古今集の歌を身近なものとし て体感することはできない」というような記述がなければ×。0点。
○「古今集の歌の意味を追体験するような理解は得られない・古今集の歌を身近なものとして体感することはできない」というような記述があれば3点。
5
問三冒頭の和歌の「雲のゐる遠き梢」と「峰のもみぢ葉」は、あることの比喩となっている。このことを踏まえて、筆者がこの和歌で主張したいことを説明させる問題。
(模範解答例)
A○3点
『古今和歌集』の古語の深い意味内容も、
B○3点
口語訳してみると、
C○4点
わかりやすく身近な口語として具体的に理解できるということ。
(10点)
◆各加点要素の加点の条件【A・B・Cに関して部分採点】
A「『古今和歌集』の古語の深い意味内容も」(3点)
※「この遠き代の言の葉の紅深き心ばへ」の理解
×「『古今和歌集』の(古)語の深い意味(内容)」というような記述がなければ×。
0点。
○「『古今和歌集』の(古)語の深い意味(内容)」というような記述があれば、○3点。
B「口語訳してみると」(4点)
※「近く手染の色にうつして見する」の理解
×「口語訳してみる・現代語に訳してみる」というような記述がなければ×。0点。
○「口語訳してみる・現代語に訳してみる」というような記述があれば、○4点。
C「わかりやすく身近なものとして具体的に理解できる」(3点)
※「ただここもとにうつりきて」の理解
×「身近なものとして理解できる・わかりやすく理解できる・具体的に理解できる」という ような記述がなければ×。0点。
○「身近なものとして理解できる・わかりやすく理解できる・具体的に理解できる」というような記述があれば3点。
6
問四傍線部(3)について、誰が、どのようなことによって、どうしたことか、説明させる問
題。
門人である横井千秋が発案し、叱咤激励してくれたことによって、本居宣長が一念発起して、『古今和歌集』の口語訳である『古今集遠鏡』を書き上げることができたということ。
A○3点本居宣長が
B○4点
(門人である)横井千秋が発案し、叱咤激励してくれたことによって
C○3点 (『古今和歌集』の口語訳である)『古今集遠鏡』を書き上げることができた。
(10点)
◆各加点要素の加点の条件【A・B・Cに関して部分採点】
A「本居宣長が」(3点)
※「こたみかくものしつる」の主体
×「本居宣長が・筆者が」というような記述がなければ×。0点。
○「本居宣長が・筆者が」というような記述があれば、○3点。
B「(門人である)横井千秋が発案し、叱咤激励してくれたことによって」(4点)
※「はやくより乞ひ求められたる筋」の理解
○「横井千秋が発案」というような記述があれば2点。
※「いかにいかにとしばしばおどろかさるるに、あながちに思ひおこして」の理解「(横井
千秋が)叱咤激励」というような記述があれば2点。
C「(『古今和歌集』の口語訳である)『古今集遠鏡』を書き上げることができた。」(3点)
※「こたみかくものしつる」の内容
×「『古今集遠鏡』を書き上げることができた・『古今和歌集』の口語訳を完成させることが できた」というような記述がなければ×。0点。
7
○「『古今集遠鏡』を書き上げることができた・『古今和歌集』の口語訳を完成させることができた」というような記述があれば3点。