行列の累乗
戸瀬 信之
年月
戸瀬 信之 行列の累乗 年月
はじめに
を次正方行列とします。
なぜ を計算する必要が生じるか説明します。
ベクトル値の差分方程式
:次正方行列
:によらない定値ベクトル
差分方程式 ½ 初期条件 ¼ ¼
前提: は正則行列とする。
このとき ½と定めると
が成立する。
さらに ½ から
¼
が従う。
戸瀬 信之 行列の累乗 年月
乗数効果について
以下では「国民所得 消費 投資」を考える。
第期の国民所得:、消費:、投資
第期の消費は前の期の所得に比例するとする。
½
において、は を満たす「消費性向」と 呼ばれる定数である。
投資は、「独立投資」と「誘発投資」に分けら れる。
独立投資は、政府の公共事業への投資や新規の発 明などの製品化などのための投資である。
誘発投資は、消費が増加して生産が間に合わなく なるときに、設備を増強するための投資である。
乗数効果(その2)
以下では、毎期一定の独立投資がある場合を考 える。
½
が成立する。
これを解くと から であるので
¼
が成立する。
¼
ならば ½ ½
½
とすると ½
½
となり、「投資乗数」 ½
½
倍の所得を生み出すこと になる。
戸瀬 信之 行列の累乗 年月
2国間貿易のある場合
国と国で閉じた形で貿易が行われるとする。
国民所得 国内消費 輸出 投資 を考える。
国について、第期の所得:
国の国内消費 ½ ½、輸入額 ¾ ½ (¾ を「輸入性向」とよぶ。)
前提:½ ¾ かつ ½ ¾
国と国にそれぞれ独立投資とが各期にあ る(一定)。
国について: ½ ½ ¾ ½
国について: ¾ ½ ½ ½
2国間貿易のある場合(その2)
½
¾
¾
½
½
¾
½
¾
¾
½
½
½
¾
¾
½
½
½
½
から¾ は正則である。
戸瀬 信之 行列の累乗 年月
2国間貿易のある場合(その3)
¾
½
とおくと
¾
が正則であることを用いると
½
½
¼