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講習会開催報告 ニール講習会のレポート - 岡山理科大学紀要

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Naturalistae 21: 111-115 (Feb. 2017)

© 2017 by Okayama University of Science, PDF downloadable at http://www1.ous.ac.jp/garden/

- 111 -

講習会開催報告

ニール講習会のレポート

太田 謙

1

・正木智美

1

・松尾太郎

1

・西村直樹

1

1.〒700-0005 岡山県岡山市北区理大町1-1 岡山理科大学自然フィールドワークセンター Nature Fieldwork Center, Okayama University of Science, 1-1 Ridai-cho, Kita-ku, Okayama-shi, Okayama-ken 700-0005, Japan. E-mail: [email protected]

I

.ニールについて

ニールとは,

NEAL

(

Nature Experience Activity

Leader

:自然体験活動指導者)の略語であり,全国

体験活動指導者認定委員会から認定される.全国体 験活動指導者認定委員会は,青少年に対して自然体 験などの体験活動を通じて健全な育成を図るべく,

体験の機会と場を提供することのできる指導者を養 成するための活動を行っている(

http://neal.gr.jp/

全国 体験活動指導者認定委員会 自然体験活動部会 2016 年11月確認).

開催にあたり,

CONE

(

Council for Outdoor & Nature Experience

NPO

法人自然体験活動推進協議会)へ招 致開催を要請し,主任講師として,菊間彰氏(愛媛 県の一般社団法人 をかしや)を紹介された.自然フ ィールドワークセンターでは,一般にも参加者を募 り,

NEAL

の自然体験活動指導者の基礎となる

NEAL

リーダー講習会を開催することが決定した.

NEAL

リーダー講習会は,2016年8月22日,23 日,24日の三日間にわたって,合計18時間が行われ た.受講生は岡山理科大学の学生,職員,教員を中 心として,13名であった.講習会は,本学博物館学 芸員課程の博物館館務実習と併催して行った.

II

.講習会の準備

2016年6月29日には,菊間講師に岡山を訪れて実 習予定地を下見していただき,実施場所の確認と,

講習会の内容を検討した.事前の打ち合わせの段階

では,講習会の内容は岡山理科大学の近辺で行う予 定であった.しかし,講習会に最も適した場所とし て,自然フィールドワークセンターの自然植物園の 敷地内で行うこととなった.講習会では,実際に自 然植物園内の森林の下草や低木を切り開いて一から 活動の場所を作り出し,その場を用いて自然体験活 動の企画を作る練習を行うことになった.切り開く 場所は,高木層にコナラやアベマキが優占する落葉 広葉樹林であり,亜高木層にカクレミノやソヨゴ,

アラカシがあり,低木類にヒサカキやコバノミツバ ツツジ,ヤマウルシがみられ,草本層にケネザサや ヤブムラサキ,ジャノヒゲなどが生育していた.

III.講習会

講習会では最初に,菊間講師と受講生の顔合わせ を行い,自己紹介を行った.そこでは,「アイスブ レイク」と呼ばれる簡単なレクレーションのゲーム を行い,参加者同士の緊張感を取り除き,コミュニ ケーションを取りやすくする工夫がなされていた.

1.実践・活動の場所を切り開く-自然体験は,

まず実践-

アイスブレイクの後は,いよいよ野外に出て,自 然植物園内の森林を切り開く作業を開始した(図1).

切り開く目標は,「快適に感じる森の中の広場」とし た.使用する道具は,ノコギリを用いた.鉈や鎌な どは,安全上の懸念があるため使用しなかった.概

(2)

- 112 - - 112 -

ね,根元の直径が10

cm

以下の樹木を伐採し,ササ などを刈り取った(図2).作業は半日にわたって行 い,およそ20

m

×20

m

の範囲について,森の中の広 場を作り出すことができた(図3).

2.フィールドに潜む危険-安全管理=安全+管 理-

野外活動を行う上で重要となる安全管理につい て,森林を切り払った体験をもとにして,どのよう な危険が存在していたか,受講生全員で検討した (図4).フィールドに潜むリスクとしては,リスク (危険因子)とハザード(明らかな危険)の2種類に分 類して整理すると,把握と対策の検討がスムーズで あった.

(1)危険-リスクとハザード-

フィールドに潜む危険のうち,リスク(危険因子)

は,直接は危険につながることはないが,事故の要 因となりうるものである.ハザード(明らかな危険) に分類されるのは,崖地や壊れた橋など,明確な危 険箇所である.

(2)リスクの細分-外的要因と内的要因-

危険のうちリスクには,外的要因と内的要因があ るとの解説が行われた.受講者全員で,植物園の森 林を切り払い,そこで見つけることのできたリスク は表の通りであった(表1).

外的要因は,野外活動を行う環境に起因するリス クである.たとえば,今回講習会をおこなった森の 広場であれば,切り株や石がゴロゴロして滑りやす いことにより,参加者が転ぶリスクである.また,

ハチやヘビなどの出現や,雷雨・寒さなどの天候に ついても,外的要因にあげられる.

内的要因は,野外活動の参加者のあせりや不安,

図1.切り開く前の森林.

図2.自然植物園内の森林を切り開く作業.

図3.森の中の広場.

図4.講習会の様子.

(3)

- 113 - - 113 -

恐怖,関係性など,人間の心理や行動に起因するリ スクである.たとえば,参加者が子供の場合は,木 に登りたくなる,急に走り出す,石を投げるなどを 想定することができた.他にも,エリアの外に行き たくなる,参加者同士の人間関係など,参加者の行 動や心理によって発生するリスクもあることが解説 された.

(3)危険への対策-適応と排除-

野外活動を行う上では,リスクマネージメント(安 全管理)が重要である.リスク(危険因子)についての 対策は,基本的には適応することである.外的要因 に起因するリスクであれば,環境に起因するため,

切り株や石がゴロゴロしていることに危険があれ ば,参加者に十分説明して,適応してもらうことが

外的要因 内的要因

入り口が入りづらい 切り株

枯れ枝が落ちてくるかも 石がゴロゴロ

かぶれる植物・棘有り植物 ヘビ・ダニ・毛虫・ハチ・ムカデ 落ち葉・枯れ枝で滑る

廃材の釘

雨が降るとぬかるむ、坂になっている 斜面が凸凹

森林の中は暗くなるのが早い

エリア外に行きたくなる 木に登りたくなる

上ばかり見て歩く(足元不注意)

何にでも触る ツルにぶら下がる 石を投げたくなる

段差から飛び降りたくなる ハチの巣をつつきたくなる 不安で動けなくなる 棒でチャンバラしたくなる 過信してしまう、油断する トイレが使えるか不安

表1.森の中の広場で検討したリスク.

図5.ねぎまモデルによるプログラムイベント構成の例.

(4)

- 114 -

重要である.同様に,ハチやヘビなどの生物は,完 全に排除しようにも新たに侵入してくる可能性もあ る.そのため,あらかじめそれらの存在を予想し,

出くわした場合の対処を考えておくことが重要であ る.また,雷雨・寒さなどのリスクは,服装を工夫 するなどして適応することが適切な対応である.

一方,内的要因に起因するリスクは,参加者の心 理によるものである.たとえば,子供が木に登るこ とは,子供は自制心が働かず思わず登りたくなるこ ともあるため,完全に避けることが難しい.そのた め,木登りを禁止するのではなく,安全な範囲で木 登りできるように準備する方が適切である.また,

参加者が感じる不安やあせりなどについても,あら かじめどのような場面で不安を感じるか予想してお くことが必要である.

講演ではハザード(明らかな危険)についての対 策は,排除することであると説明された.ハザード として,壊れた橋や崖地がある場合は,自然体験プ ログラムを実施する際にそもそも近づかないことが 最ものぞましい.そのため,ハザードについては下 見を十分に行うことによって,事前に存在するハザ ードを洗い出しておくことが需要である.しかし,

十分に下見を行ったとしても,たとえば河川の流量 などは時々刻々と変化するため,気が付かないうち にハザードに近づいている場合もあるため,注意を 要する.

そして,もっとも重要なのは,野外で活動する 以上,危険を全くゼロにすることはできないという 点である.また,野外活動に参加する人が,危険に 対する知識や対策は十分でない可能性が高い.しか し,野外の危険を危惧するあまり,野外の活動を単 純に禁止してしまっては,自然に触れる機会を失う ことになってしまう.そこで,リスクをコントロー ルできるのであれば,危険を把握した上で安全管理 を行い,野外活動を行う姿勢が野外活動指導者には 必要である.

3.企画のイロハ-ねぎまモデル-

講習会の後半は,プログラムイベント(企画)を

班ごとに考えた.プログラムイベントの構成の設計 は,はじまりとおわりの時間の中にストーリー(流 れ)があり,アクティビティ(活動)をコンセプト(全 体を貫く概念)が貫きプログラム(製品)を成す構造 となっている(図5).

(1)企画の構成要素

今回の講習会で学んだプログラムイベントの組 み立て方に基づき,試行を行っている旭川カヌーエ コツアー(太田ほか 2015,太田ほか 2016)の内容を 企画した(図5).

まず,プログラムイベントに用いる用語を個々に 説明する.プログラムイベントを構成する最小単位 がアクティビティである.アクティビティは,たと えばカヌーの基礎練習や,ヤナギの生態の観察など に該当する.そのため,製品全体からみれば部品に 相当する部分である.

プログラムは,部品であるアクティビティを束ね た一連の活動である.そのため,今回の例では「カヌ ーによる岡山旭川エコツアー」に該当し,参加者に提 供する製品のそのものとなる.

そして,コンセプトはプログラムイベントの,全 体を貫く基本的な主題である.今回の例では「川の流 れと生き物たち」が該当する.コンセプトは,必ずし も参加者に見えるように設定する必要は無いが,明 確に言語化することが極めて重要である.

(2)“ねぎまモデル”によるプログラムイベン トの企画

今回の講習会を通して,プログラムイベントを企 画する際には,コンセプトが全体を貫くことの重要 性を学んだ.図5にあるように,コンセプトは複数 あるアクティビティを貫いたうえでストーリーを形 成する必要がある.コンセプトにアクティビティが 貫かれていないと,全体として出来上がるストーリ ーが見えにくくなり,プログラムイベントそのもの が成立しなくなる.

そのため,良いプログラムイベントを作るポイン トは,参加者を惹きつけるコンセプトを見出し,良

(5)

- 115 -

質なアクティビティをコンセプトで貫き,全体のス トーリーを作ることであろう.

菊間講師は,コンセプトがアクティビティを貫く プログラムイベントの構造を,焼き鳥の“ねぎま”

にたとえて,“ねぎまモデル”とよんでいた.“ね ぎま”とは,串に鶏肉とネギを差して焼いたもので ある.企画の考え方を表すモデルの名称として,明 確でありながらユニークな名称である.

IV

.まとめ

講習会では,野外において自然活動を指導する時 の基本的な知識を得ることができた.今後は,今回 の講習会で学んだ自然体験活動の企画の手法を自身 の知識に定着させるべく,実際のイベントの企画を 行っていく必要があるだろう.

謝辞

講習会で講師を務めていただいた一般社団法人 を かしやの菊間彰講師に感謝いたします.

引用文献

太田 謙・正木智美・松尾太郎(2015).カヌーによ る旭川エコツアー -水の上から川を見ると,い つもと違ったものが見えてくる-.

Naturalistae

19: 75-78.

太田 謙・正木智美・松尾太郎・西村直樹(2016).カ ヌーによる旭川エコツアー -水の流れと生き物 たち-.

Naturalistae

20: 103-107.

(2017年1月6日受理)

Referensi

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○取組2:日本語支援者スキルアップ研修会 (1) 体制整備に向けた取組の目標 (2) 取組内容 (3) 対象者 外国人への日本語支援活動に関心のある方 (4) 参加者の総数 31人 (出身・国籍別内訳 日本30人 ブラジル1人 ) (5) 開催時間数(回数) 21時間 (全7回) 回数 開講日時 時間数 場所 参加人数国籍(人数)取組のテーマ 内容

1 第3学年 社会科 学習指導案 1.小単元名『市の様子の移り変わり』 (教科書:『小学社会3』p.140~155/学習指導要領:内容(4)) 2.小単元の目標 交通や公共施設が整備されたり,人口が増えたり,土地利用の様子が変わってきたりしている ことを調べる活動を通して,熊本市や人々の生活の様子を捉え,それらの変化を考えられるよう にする。

1 第5学年 社会科 学習指導案 1.小単元名『自動車づくりにはげむ人々』 (教科書:『小学社会5上』p.108~131/学習指導要領:内容(3)ア,ウ) 2.小単元の目標 自動車を生産し出荷する人々の仕事の様子について調べ,効率よい生産を進めるため,あるいは 消費者のニーズに応えるために,多くの工夫や努力,新しい技術開発がなされていることを捉える。

1 第3学年 社会科 学習指導案 1.小単元名『農家の仕事 ~全国トップブランドのミニトマト』 (教科書:『小学社会3・4上』p.86~95/学習指導要領:内容(2)ア,イ) 2.小単元の目標 ・ミニトマト農家を見学する計画を立て,見学を通して農家の仕事の様子を捉える。

1 第5学年 社会科 学習指導案 1.小単元名『自然条件と人々のくらし(暖かい地域)』 (教科書:『小学社会5上』p.20~29/学習指導要領:内容(1)イ) 2.小単元の目標 気候や地形などの自然条件の異なる地域の人々の生活を,自分たちの住んでいる地域の生活と比 較しながら具体的に調べ,国土の自然の特色や,自然条件に適応してくらしている人々の工夫・願

1 第5学年 社会科 学習指導案 1.小単元名『自動車づくりにはげむ人々』 (教科書:『小学社会5上』p.108~131/学習指導要領:内容(3)ア,ウ) 2.小単元の目標 自動車を生産し出荷する人々の仕事の様子について調べ,消費者のニーズに応え効率よい生産を 進めるために,ジャスト・イン・タイム方式による多くの工夫や努力がなされていることを捉える。

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