(50点)
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解答
講評
■出題のねらい
熱化学や反応速度について高校で習った化学の基本的な事項を理解しているかを問いま した。
■採点講評
全体的に基本的な問題ばかりですが,できはあまりよくありませんでした。特に問題の 後半になるほど得点率が低下していました。
〔1〕図1はどの教科書にも載っているもので,熱化学の一番基本的なものです。(1)
〜(3)は比較的よくできていました。(4)の活性化エネルギーとは,出発物質(反応物)
が化学反応を起こすために必要なエネルギーの山を越えるのに必要なエネルギーであるこ とをよく覚えておいてください。(5)の結合エネルギーが解けなかった人は,この図の 見方をもう一度復習してください。化学反応とは化合物の結合の組み換えです。10kJ の 発熱反応ということは,HI の結合エネルギーは反応物の H2,I2の結合エネルギーの合計 より 10kJ 分大きい,つまり HI は H2,I2と比較してより安定な化合物ということです。
10kJ は,H2と I2の結合エネルギーの合計に加えないといけません。
〔2〕この問題の正答率は〔1〕よりかなり低かったです。採点していますと解答でき た人とできなかった人の違いは,A+B→Cが1mol のAとBが反応して1mol のCが できること,つまり全部反応すると全量2mol が1mol になることをわかっていたかどう かという気がしました。これと,気体は種類に関係なく同一の温度と圧力下で同体積であ ることを知っていたら解ける基本的な問題です。できなかった人は,もう一度高校の化学 の基礎を復習してください。
■出題のねらい
芳香族化合物の名称・構造・反応に関する内容を通じて,有機化学の基礎的な知識を問 いました。
■採点講評
芳香族化合物の基本的な反応や性質についての理解度を測る意図で出題しました。問題 文に記した実験操作をイメージしながら解答することが必要です。
(1)〜(3)は,基本中の基本であるベンゼンのニトロ化とそれに続く還元によるアニリ ンの生成についてです。(1)の誤答でかなり多かったのが「ベンゼンスルホン酸」です。
「硫酸」という言葉を見て短絡的に解答したのではないかと思いますが,濃硝酸と濃硫酸
Ⅰ
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Ⅱ
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講評
の混合物は混酸とも言われ芳香環のニトロ化剤です。これはしっかりと覚えておきましょ う。また(2)のように,化合物を取り扱う場合には注意すべき点があり,その理由を理解 しておくことは,実験室での安全確保には必要です。
(4)と(6)は化学反応式と構造式を記す問題ですが,よくできていました。ただしイオ ン化合物に関しては,プラス電荷とマイナス電荷を正確に構造式に記せるようにしましょ う。(7)〜(9)は教科書に必ず記されている事柄に関するもので,これも正答率は高かっ たです。
問題 を採点していて気がついたのは,白紙に近い答案も少なからずあったことで す。おそらく有機化学の分野まで受験勉強の手が回らなかったものと想像していますが,
やはり高校の教科書に記載されている内容程度のことはしっかりと押さえておいてくださ い。
■出題のねらい
炭酸ナトリウムを工業的につくるアンモニアソーダ法(ソルベー法)を題材に,化学の 基礎となる化学反応式および溶液の濃度に関する基本的な知識を確認することをねらいと しました。
■採点講評
(1) : イ で「水素」という間違った解答が一部みられましたが,全体的には非常に よくできていました。丁寧な字で化学反応式やイオン反応式を書くように心がけ てください。
(3) :「アンモニアソーダ法(ソルベー法)」,「ハーバー・ボッシュ法」あるいは「オ ストワルト法」などを区別できていない解答がみられました。工業的に大切な反 応は,名称とともにしっかり理解しておきましょう。
(5) :比較的よくできていました。係数も含め,化学反応式をしっかり書けなけれ ば,反応式を用いた計算問題は正しく解けませんので注意してください。
(6) :正答率が低かった問題です。質量パーセント濃度やモル濃度などの濃度の計算 が苦手なようです。濃度の計算は化学の基本となりますので,しっかりできるよ うに勉強してください。
(7) :正答率が低かった問題です。「蒸発」,「水和」,「昇華」,「潮解」,「縮合」など 様々な解答がありました。物質の状態が変化する様子を表す用語についてもそれ ぞれを区別して理解できるように勉強してください。
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