都市経済学 2017 年期末試験 解答
問題 1
1-1
家計の所得は、住宅費とそのほかの財の消費、そして都心までの通勤費用の ために支出される。家計は都心で働き、月にy(円)だけの所得を得るとすると、
都心からx(km)だけ離れたところに立地するときの予算制約式は
y=z+r x q+tx
右辺第 1 項はほかの財の消費、第 2 項は住宅費で、第 3 項は通勤費である。
数値を代入すると、
330,000=z+75r x +6,000x (1) を得る。
1-2
個人の効用水準はu z, q =z・q=2,250であるとき、z= =30 万/月 と なる。この z を(1)に代入することにより、付け値地代関数
r x =330,000-300,000-6,000x
75 400 80x
を得る。
1-3
都市の境界(都心からの距離がbの地点)における地代は 0 となるので、
r b =400 80b=0 が成立する。これよりb 5 km である。
都市全体の土地の需要はN・qであり、土地の供給はπb である。土地の需要 と供給の均衡条件、Nq πb 、より
75N 3b
を得る。左辺の単位が ・人であることに注意して、上で求めたb 5km 5000mを代入すると、
N=100万人 が得られる。
1-4
都市 B では、企業が月に 36 万円の賃金を支払うので、予算制約式は次のよ うになる。
360,000=300,000+75r x +6,000x そして付け値地代関数は
r x =800 80x となる。
1-3 と同じように、都市境界における付け値地代の条件と土地の需給均衡よ り、次の二つの式が成立する。
r b =800 80b=0 25N=b これらを解くことにより、
b 10km N 400万人 を得られる。
問題 2
2-1
賃金水準は労働の限界生産性によって決まる。生産性の高い企業が立地する 都市では賃金が高くなる。都市間で生産性の違いが生じる原因として集積の経 済効果が重要である。たとえば都市化の経済効果がある場合、都市規模が大き くなるほど生産性が高くなり、賃金も高くなる。労働者は高い賃金を求めてそ のような都市に流入するが、その結果、都市規模はさらに大きくなり生産性も さらに上昇する。しかしこのようなプロセスはいつまでも続かない。1-4 で示 したように、都市の規模が大きくなると労働者の通勤距離は長くなり、住宅の 価格も上昇するので、効用水準が低下する。したがって企業は労働力を確保す るために高い賃金を払って不利益を補償しなければならない。賃金の上昇は生 産費用の増加をもたらすので、高い賃金を支払うことのできない企業は都市か ら撤退する。均衡においては、現実に見られるように大都市と小都市が存在し、
大都市では小都市よりも高い賃金が実現するが、効用水準は等しい。
2-2
目的は外部不経済の損失を小さくすることである。工場や商店からの大気汚 染や騒音が住環境に及ぼす外部不経済に対して、住宅と工場、商店の立地を分 離させるよう用途規制を設ける。また住宅地内の日照を確保し、騒音被害を防 ぐため、建蔽率、容積率を規制する。容積率規制は、市街地における混雑の外 部性を抑える手段でもある。
市街化区域と市街化調整区域の区分は、無秩序な市街地拡大を抑え、公共施 設の費用を節約する役割を果たしている。
文責 経済学研究科 2 回生 劉芳宇