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金属内包フラーレン生成の分子シミュレーション

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Academic year: 2025

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(1)

金属内包フラーレン生成の分子シミュレーション

東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻

やま

ぐち

口 

やす

たか

隆,

まる

やま

山 

しげ

夫,

ほり

堀 

しん

いち

はじめに

 金属内包フラーレンは単層ナノチューブと並んで広く注目を集めており,実験,理論の両面 からのアプローチにより,その構造,電子状態などが明らかになりつつある.しかし現状では 中空のフラーレンと異なり生成効率が極めて低いため,試験用としても十分なサンプルを得る のが困難な状況にあり,物性解明,および工学的応用に向けてはその生成効率の向上が必須で ある.そもそもフラーレンなどのケージ構造がどのように生成されるかという生成メカニズム 自体が未だ解明されておらず,この生成機構を吟味することが,生成効率向上への有力な手が かりとなると考えられる.

これまでに著者らは,分子動力学法を用い孤立炭素原子群のクラスタリング過程をシミュ レートすることにより,生成するクラスター構造の温度依存性(1,2),フラーレン構造の形成の可

能性(3,4)などを検討し,中空のフラーレンの生成機構に関するモデルを提案した(4).本報では,

同様の手法を用いて新たに金属内包フラーレン生成過程のシミュレーションを試みた.

分子動力学シミュレーション

 シミュレーションの第一歩として,金属−炭素,金属−金属間に等方的な Lennard-Jones ポテ ンシャルE(r)=4ε

{

(σ/r)12 (σ/r)6

}

を仮定して計算を行った.ただしr は原子間距離を表す.こ こでは金属原子としてイットリウムを想定して,エネルギー,結合半径などから TABLE 1 に示 すように各パラメータの値を適当に定めた.

Fig. 1は初期条件として500個の孤立炭素原子と5個の金属原子を一辺342 Åの立方体のセル

に配置し,制御温度Tc = 3,000 Kで計算を行った系において得られた代表的な金属内包型クラス ターの成長履歴を示したものである.ここで横軸は時間,縦軸の幅はクラスターサイズを示す.

9

67 63

46 43 45

16

2000

time t (ps)

3000 2500

60 40 20 0

32 cluster size n

Fig. 1 Growing process of a metallofullerene

(2)

金属原子の付着したC9の環状のクラスターに,約 t =

2,200 ps の時点で C32のクラスターが衝突し,さらに

C2の小型のクラスターを付加することにより C43の半 ケージ状構造が形成される.この開殻構造を保ったま

まC46程度にまで成長した後,約t = 2,750 psでC16のクラスターとの衝突により,金属原子を内 包したC63のケージ状構造が形成され,その後も更に成長を続ける.

ここで注目すべき点は,中空のフラーレンの生成過程(3,4)ではC30-40付近でランダムなケージ構 造を取っていたのに対し,金属原子が付着した系では開いた半ケージ状の構造が維持されると いう点であり,生成メカニズム自体に相違がみられる.すなわち,この半ケージ状の構造は,

中空のフラーレン生成過程で存在するランダムなケージ構造と比較して,金属原子の影響によ りアニールの自由度が低いと考えられるため,最終的なケージ構造が初期的な段階での履歴に 影響を受けやすいということになる.また,付着した金属原子はクラスタリングの途中段階で 長時間に渡って表面に露出しているため,他の金属原子との衝突によりクラスター化する確率 が高くなっている.実際にこの系における他の4つの金属原子は,各2個ずつが対になって 別々のケージ構造に内包されており,この金属原子同士のクラスター化が内包構造形成への障 害となっているものと考えられる.このことは炭素に対して1 %以上の金属が加えられた場合に,

金属内包フラーレンの収率が極端に低下するという実験的事実と対応するものと考えられる.

ただし,ここで用いた単純なL-Jポテンシャルでは,金属内包フラーレン内部での金属原子か らフラーレンケージへの電荷移動などは考慮されておらず,計算結果の妥当性に疑問が残る.

そこで新たに,金属原子を含む小型のクラスターに関して分子軌道計算を行い,その結果に基 づいて,電荷移動による相互作用の変化などを考慮した,より現実的なポテンシャルを構築し ている.このポテンシャルを用いて分子動力学シミュレーションを行った結果は,当日発表の 予定である.

参考文献

(1) 山口・丸山, 日本機械学会論文集, vol. 63, No. 611B (1997), p. 2398.

(2) Y. Yamaguchi & S. Maruyama, “A Molecular Dynamics Simulation of the Formation Process of Fullerene,” Chem. Phys. Letters, submitted.

(3) 丸山・山口, 日本機械学会論文集, vol. 63, No. 611B (1997), p. 2405.

(4) S. Maruyama & Y. Yamaguchi, “Molecular Dynamics Demonstration of Annealing to the Perfect C60

Structure,” Chem. Phys. Letters, submitted.

連絡先

〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 丸山茂夫 TEL: 03-3812-2111 (内線6421) FAX: 03-5800-6983 E-Mail: [email protected]

TABLE 1 L-J Potential Parameters ε (eV) σ (Å) metal-carbon 0.6290 3.267 metal-metal 1.648 3.164

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