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韓国語母語話者は無声・有声の対立をどう捉えるか

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Academic year: 2024

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韓国語母語話者は無声・有声の対立をどう捉えるか 

金周熙 

 

1.  はじめに

  本研究は韓国語母語話者が日本語の語頭破裂音における有声音と無声音の対立を、

母語音韻においても対立として捉えているか、捉えているならどのように捉えているか を明らかにするものである。

日本語の破裂音が有声・無声の2項対立であることに対し、韓国語の破裂音は激音・

濃音・平音の3項対立であるため、韓国語を母語とする学習者は日本語の有声・無声破 裂音の識別が知覚・生成ともに困難であることが知られる。特に語頭における有声・無 声の弁別が知覚上困難であることは多くの研究で指摘されてきた(梅田 1985、白 1993、

中東 1998、松崎 1999、福岡 2005)。語中での弁別が困難でないことについては有声・

無声の対立を平音・濃音の対立として捉えていると考察されているが、語頭の知覚が困 難であることに対しては特にどのように捉えているかについて考えられていない。

2.  調査概要

  本研究の調査は、刺激語を用いた知覚調査と紙面上の調査語を用いた意識調査に分か れる。以下に調査対象者と調査語、調査方法について述べる。 

2-1 調査対象者 

  韓国語を母語とする学習者40名。日本在住の日本語学習歴1年以上の人を対象とした

。 

2-2 調査語 

知覚調査 : 硬口蓋破裂音(カ行)・歯茎破裂音(タ行)・両唇破裂音(パ行)の子音とアイ ウエオの母音の組み合わせて且つアクセントを高低型と低高型に実現した刺激語を作成 した。有意味語52個、無意味語156個で合計208個である。刺激語は日本語母語話者の女 性の音声で録音し、7秒置きにランダムに並べ替えてCDに作成した。 

意識調査 :   硬口蓋破裂音(カ行)・歯茎破裂音(タ行)・両唇破裂音(パ行)の子音とア イウエオの母音の組み合わせた調査語を作成した。有意味語を無意味語を合わせて52個 である。 

2-3 調査方法 

  知覚調査は、CDを聞いて即核仮名とハングルで表記するようにした。意識調査は、紙 面で仮名で書いている調査語を提示し、ハングルで表記するとともに知っている語彙か 知らない語彙かもチェックするようにした。 

3

調査結果

3-1知覚調査の結果

(2)

知 調査の結果、有 音は平音で無 音は激音で表記している率が非常に多かった。詳

細を表1に示す。 字は項目 であり、全体の割合をパ セントで表示した。

表1.知覚調査のハングル表記率

有声音 無声音

平音  激音  濃音  平音  激音  濃音  有意味語  917(97%) 

20(2%)  8(0.8%)  168(16%)  823(81%)  17(1%) 

無意味語  2838(95%)  97(3%)  28(0.9%)  909(30%)  2002(67%)  41(1%) 

有声音の場合、有意味語・無意味語に関係なく平音で表記している割合が圧倒的に多 い。一方、無声音の場合は激音で表記している割合が全般的に多いが、無意味語と有意

味語では 20%に近い開きがある。そこで、無声音を激音で表記した場合と平音で表記

した場合の仮名正答率をみてみると、表2のようである。

表2.無声音のハングル表記と正答率

無声音を激音で表記した場合は有 意味語・無意味語に関係なく正答 率が高いことに対して、平音で表 記した場合は正答率が低い。特に、

有意味語と無意味語の間に40%の差があり、語彙情報が大きく影響していることを示 唆する。

有意味語 無意味語

平音 43% 平音 3%

激音 96% 激音 95%

3-2 意識調査の結果

紙面で提示された調査語に対しては、それを知っているか知っていないかに関係なく、

有声音は平均99%が平音で表記、無声音は93%が激音で表記された。

4.まとめと課題

以上の結果から、韓 語母語話者は日本語の語頭破裂音における有 音 無 音の 立を

平音 激音の 立として捉えていることが分かった。知 調査の結果から、有 音は常に平

音に近いと判 されるが無 音は場合によって平音に近いと判 されていることが分かり、

また平音に近いと判 された場合は語彙情報がない場合、97%が有 音と判 され、誤答 声 ・

となっていることが分かった。今後はこのような捉え方が 際有 無 の識別にはどのよ うに関 与しているかについて考えていきたい。

[  参考文献  ] 

<梅田博之(1985)「韓国人に対する日本語教育と日本人に対する韓国語教育」『日本語教育』55号,48-58> 

<白同善 ( 1993 ) 「 日本語および韓国語の音声習得における言語間干渉 」 『 言葉の科学 』 6  名古屋大学言語文化 部言語文化研究委員会、79-95> 

<李炫宰(1991)「韓国人日本語学習者の音声教育に関する研究―発音及び聞き取り上の問題点を中心に」『日本 語と日本文学』12,21-38筑波大学国語国文学会> 

(3)

<福岡昌子(2005)「韓国人学習者の日本語破裂音の縦断的習得研究―知覚―」『三重大学留学生センター紀要』

7号,25-34> 

<松崎寛(1999)「 韓国語話者の日本語音声―音声教育の観点からー」『音声研究』日本音声学会26-35 

金ジュヒ

[email protected]

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