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PDF 奈良女子大学 理学部化学生命環境学科化学コース 物性物理化学研究室

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オレオサイエンス 第 16 巻第 1 号(2016)

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研 究 室 紹 介

はじめに

奈良女子大学は,2009 年に創立百周年の大きな節目 を迎えた伝統ある国立女子大学です。文学部,理学部,

生活環境学部の 3 学部から成り,理学部は,数物科学科 と化学生命環境学科の 2 学科で構成されています。数物 科学科は数学コース,物理学コース,数物連携コースに 分かれ,化学生命環境学科は化学コース,生物科学コー ス,環境科学コースに分かれています。筆者は,理学部 化学生命環境学科化学コースの所属になります。大学院 は人間文化研究科があり,博士前期課程は化学専攻,後 期課程は共生自然科学専攻に属しています。化学コース の教育研究分野は「物性物理化学」「分子創成化学」「生 命機能化学」「物質機能化学」の 4 大分野から成り,現 在 17 名の教員で教育・研究を展開しています。化学コー ス 1 学年あたり 30 数名の学生が在籍しており,4 年生 で研究室に配属されて,6~7 割が大学院に進学して研 究を続けています。研究面では本大学の特徴である少人 数教育で行われ,学生一人一人に対してきめ細かい指導 ができ,学生は日々熱心に研究に取り組んでいます。筆 者は,「物性物理化学」研究分野の「物性物理化学」研 究室に属しています。現在の筆者のメンバーは,教員 1 名(吉村),大学院博士前期課程 2 年 2 名,1 年 2 名,

学部 4 年生 2 名の計 7 名で構成されています。

最近の研究内容

研究室では,「合成」と「物性」の両方に力を入れて

研究を進めています。性能の向上や高機能性の発現を目 指して,新規構造を有する界面活性剤や両親媒性高分子・

オリゴマーの創製に一貫して取り組んでいます。最近で は,ポリオキシエチレン鎖およびポリオキシプロピレン 鎖に分布をもたない単一鎖長の非イオン界面活性剤,分 子内に炭化水素とフッ化炭素の異種の疎水鎖を有するハ イブリッドジェミニ型界面活性剤,ジェミニ型を延長し た構造の直鎖状および星状トリメリック型界面活性剤,

デンドリマー骨格にアルキル鎖を導入した Tadpole 型 両親媒性デンドリマー,糖またはポリオキシエチレン鎖 のモノマーを重合させた低重合度の両親媒性オリゴマー など,様々なユニークな構造の両親媒性化合物を分子設

奈良女子大学 理学部化学生命環境学科化学コース 物性物理化学研究室

2015 年度研究室メンバー

SPring-8でのX線小角散乱の実験の様子

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オレオサイエンス 第 16 巻第 1 号(2016)

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計・合成しています。これらの水溶液中での基礎的な物 性を曇点,クラフト温度,静的および動的表面張力,電 気伝導度などの測定により調べ,水溶液中で形成する会 合体のナノ構造を動的および静的光散乱,X 線および中 性子小角散乱,レオロジー,低温透過型電子顕微鏡など を用いて詳細に検討しています。小角散乱の実験では,

SPring-8 や J-PARC などの施設を積極的に用いて研究を 進めています。これらの施設の小角散乱装置を用いるこ とで低濃度溶液のミセルの構造や会合体のコア・シェル 構造など,詳細なナノ構造の解析に役立っています。最 近の研究例を次に紹介します。

①‌‌単一鎖長ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン系 非イオン界面活性剤

ポリオキシエチレン(EO)鎖を親水基に有する EO 系非イオン界面活性剤は,EO 鎖とアルキル鎖の両鎖長 によって親水性と疎水性のバランス(HLB)を自在に 変えることができるため,化粧品や洗浄など多岐にわた る分野で使用されています。一般の EO 系非イオン界面 活性剤のほとんどは,アルキル鎖と EO 鎖の両鎖長に分 布があり単一な鎖長ではないため,各鎖長における物性 を正確に把握することは困難とされています。そのため,

分布をもたない単一鎖長の EO 系界面活性剤を用いて物 性を評価することは必要不可欠です。そこで筆者らは,

既存の EO 系非イオン界面活性剤に対してさらなる性能 の向上ならびに機能性の発現を目指して,分布をもたな い EO 系非イオン界面活性剤の EO 鎖末端に分布のない ポリオキシプロピレン(PO)鎖を導入した,単一鎖長 PO-EO 系非イオン界面活性剤を新規に分子設計・合成 し,水溶液中におけるさまざまな物性評価を行っていま す。末端に PO 鎖を導入することで,EO 系と比べて気

-液界面における吸着・配向状態が変わり,高濃度領域 においてヘキサゴナル液晶の形成を抑制できることを明 らかにしています。

②直鎖状および星状トリメリック型界面活性剤

2 疎水鎖 2 親水基構造のジェミニ型界面活性剤の研究 は,1990 年頃から現在まで膨大な数の論文が報告され ています。一方,ジェミニ型構造を単に延長した 3 疎水 鎖 3 親水基構造のトリメリック型界面活性剤は,分子設 計・合成が難しく,合成に使用する試薬が高価であるな どを理由に研究は多くありません。筆者らは,出発物質 としてジエチレントリアミンやトリス(2- アミノエチル)

アミン,塩化シアヌルを用いることで,数種類のトリメ リック型界面活性剤の開発に成功しました。モノメリッ ク型からジェミニ型構造になると,高い界面活性やユ ニークなミセル特性を発現することが知られています が,ジェミニ型からトリメリック型に構造が変わったと

きに,臨界ミセル濃度(CMC)やミセル構造にどのよ うに影響を及ぼすかについてはほとんど明らかにされて いません。また,モノメリック型からジェミニ型,さら にトリメリック型に構造が変わるときのアルキル鎖数

(オリゴマー度)と物性との関係について調べた研究は ほとんどなく,従来のモノメリック型界面活性剤ではア ルキル鎖長と物性との関係が知られているように,類似 構造を有するモノメリック型,ジェミニ型およびトリメ リック型界面活性剤のオリゴマー度と物性との関係を調 べることは大変興味深いです。最近では,トリス(アミ ノアルキル)アミン(アルキル=エチル,プロピル)を 骨格に用いた星状トリメリック型カチオン界面活性剤の 合成を収率よく行い,水溶液中における物性評価を行っ ています。

③‌‌糖またはポリオキシエチレン鎖を用いた両親媒性オリ ゴマー

著者らは以前より,モノマーと連鎖移動剤のモル比に よって重合度が調節できる低分子量のオリゴマー(テロ マー)に着目して,分子内にアルキル鎖と種々の構造の 親水部を有する両親媒性オリゴマーの開発を行ってきま した。最近では,親水部に糖やポリオキシエチレン鎖を 用いて,末端に 1 本のアルキル鎖を有する単鎖型,複数 のアルキル鎖を有する多鎖型の両親媒性オリゴマーを分 子設計・合成し,それらの物性に及ぼす重合度やアルキ ル鎖長の影響を検討しています。

さいごに

現在,いくつかの企業や大学,研究機関と共同で研究 を進めています。少人数の研究室ながら,学生一人あた りの研究内容は多岐にわたり,新規界面活性剤の合成か ら物性測定,放射光施設を用いた希薄系でのミセルのナ ノ構造解析など,全員が日々研究に励んでいます。

2016 年 9 月 7 日(水)~9 日(金)に日本油化学会第 55 回年会が奈良女子大学で,後藤景子教授(生活環境 学部)を実行委員長として開催されます。大学のキャン パスは奈良市中心部の交通至便な場所に位置し,大阪難 波駅や京都駅から近鉄奈良駅まで最速で約 35 分,近鉄 奈良駅からキャンパスまで徒歩 5 分と恵まれた環境にあ ります。大学近くには世界遺産で知られる東大寺や興福 寺,春日大社,鹿で有名な奈良公園があります。いずれ も大学から徒歩圏内ですので,年会の合間をみて足を運 ばれてはいかがでしょうか。この時期の奈良は観光客で 賑わいますので,早めに宿泊を確保されますことをお勧 めします。皆様の年会へのご参加を心よりお待ちしてお ります。

(紹介者:吉村倫一)

Referensi

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