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aru sankai no jiritsukei ni mirareru hisenkei rikigaku gensho ni kansuru kenkyu

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(1)’iリ副1大学審だ学位論文(ほ士). あ. る. 階. の. 自 律 系. 象. 〃 −■ 〃 −〃. こ ″¥. 非 線形. ⊇. み. ら. れ る. 関 す. る. 研 究. -ミ. ㎜I・皿 一一.

(2) -=.・,-. ある3階の自律系にみられる 非線形力学現象に関する研究. 岡崎. 秀晃. エ998年3月.

(3) J. 日. 次. 百. 第1章 1. 序論. 1. .1本研究の目的. ! .. I. .2従来の研究 1.2.1. 3. Lj6nard方程式系の結合系として記述される 流体機械系と電気回路系に関する現在までの研究. 1.2.2. 3. 非線形系に現れるカオス的振る舞いと分岐現象 に関する現在までの研究. 1.2.3 1. 6. 1台のターボ形流体機械系のサージ現象に関する現在までの研究. 3本研究の概要. 12. 14. 第2章. 大局的振る舞い. 17. 2.1. 典型的なLi6nard方程式系のの結合系を表す3階の自律系. 17. 2 2. 1. 1. 1. 3階の自律系. 2. 自律系の非線形要素fl,f2の合成特性と系の平衡点の数及び. 17. o n 2 2. その性質の関係 1. 2. 3. 座標変換とフリップーフロップ回路との双対性. 2.3. 系の有界性. 2.4. 系の完全安定性. 2.5. 系の大局的不安定性. 6. n rn. 2. 29 ( rN n. 相反性と混合ポテンシャル. 26 27. 2.2. まとめ. 3.1. 区分線形モデルと基礎ベクトル場. /む m. 区分線形モデル. /り m. 第3章. 2. 部分空間における区分線形ベクトル場. 1. /o l 3 4. ︱. ︱. 3 3 1. 区分線形モデル(区分線形系).

(4) 四-_. 3.2. 区分線形ベクトル場の幾何学的性質と平衡点の類別 3.2.1. 43. 区分線形系の平衡点の数、位置及び、 r¥]4 ︶ 4. その性質とパラメータの関係 3.2.2. 区分線形ベクトル場の幾何 48 52. カオス的と思われる非周期的振る舞いと分岐現象. 3.4. まとめ. 第4章. 周期解の分岐. 4.1. ポアンカレ断面とポアンカレ写像. 4.2. サドルノード分岐と周期倍分岐. 55. 4.3. 分岐の数値計算法. 56. 4.4. 分岐過程. 1周期解の分岐集合. 4.4.3. 2周期解の分岐集合. 4.4.4. 3周期解の分岐集合. 1り r]'/ )0 ″. 4.4.2. 60 60. 分岐の概観. Lfl. 4.4.1. 4 4 Lrl. 3.3. 67. 4.5. まとめ. 第5章. カオス的振る舞いの発生. 73. 5.1. 境界写像. 73. 70. 5.1.1. ベクトル場の性質. 73. 5.1.2. 境界の局所座標系の定義. 75. 5.1.3. 境界写像の定義. 76. 5.3. ポアンカレ写像による圧縮、引き伸ばし、折り畳み作用. 5.4. ポアンカレ写像の1次元近似とリアプノフ指数. 5.5. 多様な分岐. m 9. ポアンカレ写像. 7 r a kx gj ︵X︶. 5.2. 周期的状態の分岐. 5.4.2. カオス的状態の分類と分岐. 系のパラメータ空間の分岐図. 93 95. 1. j−yij. m 9. 5.6. 5.5.1.

(5) 四-・. 5.6.1. GIパラメータ分岐の様相. 5.6.2(BI,B2)パラメータ分岐の様相 5. 5. 7. 不動点の安定および不安定多様体の様相. 8. まとめ. 95 !00. 107. !10. 第6章結論. !12. 付録. H9. 参考文献. 128. 謝辞. 129. 本論文に関連した研究業績. 136. IH.

(6) 四-・. 第1章. 1.1. 序論. 本研究の目的. 風の渦による建物の振動、翼のフラッター、トンネルダイオードの発振、ある化学反応 の振る舞い、ターボ形流体機械の大局的不安定性(サージング)等の、エネルギの発生と 散逸が振動の1サイクルの中で平衡を保っている状態の持続振動が、多くの物理的間題に みられる。これらの持続振動は、負性抵抗に起因するリミットサイクルを持つvan. der Pol. の方程式系を拡張したLi6nard方程式系: mdx/dt=y-f(x) Fdy/dt=-x+g(y) によって記述できることが少なくない(36)。このようなLi6nard方程式系の工学的応用の広さ から、Li白nard方程式系に関する研究山一(13)は、従来極めて多くの研究者及び技術者の関心 の的となってきた。事実、Li6nard方程式系の安定条件、発振限界条件、振幅、振動数、波 形等のいくつかの基本的な様相が明らかにされ(13)、多くの重要な結論や技術上の知見が得 られている。例えば、. ターボ形流体機械系(送風機、圧縮機、ポンプ系等)にみられる. サージ現象の発生機構の解明、そして、振幅、振動数、波形等のサージ現象のいくつかの 様相は、右上がり特性を持つ流体機械を含む管路系全体を"振動系¨として捉え、その" 振動系"のモデルである非線形自律常微分方程式で記述される力学として捉えることに よって初めて解明できる(16)。 サージの研究の初期の段階において、流体機械系全体を"振動系¨として捉え、非線形 振動の概念を用いて、系の振る舞いを予測するという、いねば、"非線形振動輪的考察" の重要性が認識され、この考察を様々なターボ形流体機械に発生するサージに適用して、 ターボ形流体機械に発生するサージは、少なくとも原理的には自励的な非線形振動である という理解ができることが確認されている(18)・(24)。 このように、Li白nard方程式系に関する多くの研究は、技術の問題、特に機械系および電 気系の振動または振る舞いに沿って行われてきた。しかしながら、自然における非線形現 象が、一度数学モデルに抽象化されれば、その結果が他の分野に適用され得ることは明ら かであり、事実、Li6nard方程式系に関する研究は、数学、理学、工学、生物学等の広範囲 な研究分野で、互いに影響を及ぼしながら発展しつつある。 そして、流体機械を直列にまたは並列に接続した、流体機械の複合系や非線形要素を並. 1.

(7) 四-.. 列にまたは直列に接続した電気回路系等の応用上良く現れる、重要な機械系は、自律的な Li6nard方程式系の結合系によって記述できることが少なくない。例えば、化学産業におけ るガス反応処理系、発電所または発電用原子炉等における排気または冷却系等、大流量の 必要性または安全性の確保のために、2台もしくはそれ以上の台数の流体機械を、並列に 運転する場合が代表例である。これらの系は、次のような自律的なLi白nard方程式系の結合 系: 一−. midなdt−y−fi(xi). =1,...,n. n. Fdy/dt. 一 一. Σ-xi+9(y) Σ. !−. =1. によって記述される。 この流体機械の並列運転系の大局的安定性(特に、完全安定性)及び不安定性の解明 は、現在でも極めて興味深い工学技術問題として、しばしば取り上げられている。これま での研究では、水ポンプの並列運転系に対して、関数fい=1、…、nと9が非線形なLi6nard方程 式系の結合系には通常、複数の平衡点が存在すること、そしてその平衡点の個数、局所的 安定性が系のパラメータに依存する(14)、(29にとが明らかにされている。また特別な場合と して、トンネルダイオードのフリップフロップ回路の結合系の場合には、同じL弛│nard方程 式系の結合系が完全安定となるパラメータの条件が得られている(15)。 自律的なLi6nard方程式系の完全安定性、さらには不安定領域での大局的振る舞いは、ほ とんど解明されていないのが現状である。技術的には、安定それも完全安定な系の設計 に、工学技術的な関心があるので、安定領域のすぐ近傍にある不安定領域での系の振る舞 いを明らかにすることは極めて大きな意味があるにも関わらずこのような系の大局的振る 舞いは、現在まで、ほとんど解明されていない。このような自律的なLi6nard方程式系の結 合系の典型例である送風機の並列運転系とフリップフロップ回路等を想定した3階の自律 系のシミュレーションによって、この系の不安定パラメータ領域では、スパイラル型のサ ドルとリペラの平衡点の結合が多く現れ、この平衡点の結合の時、系には、つぎのような さまざまな持続的な振る舞いが発生することが著者らによって見いだされている。(1) カオス的な非周期的と思われる振舞い、(2)さらに系のパラメータを変化させた時に周 期的状態からカオス的な非周期的状態へと変化する分岐現象、いねば周期相とカオス相の 相転移現象や、(3)複数の非静止アトラクタ(周期的・カオス的な非周期的)と、それ ぞれのアトラクタの間に不安定な閉軌道であるサドル型閉軌道が共存する。. 2.

(8) l-、. これまで多くの研究者によって研究されているカオス的アトラクタを持つ系はサドル型 の平衡点の結合を持つ系である。そして、スパイラル型のサドルの平衡点の結合を持つ代 表的な系に観測されるdouble. scroH アトラクタ(88)、とスパイラル型とノーダル型のサドル. の平衡点の結合を持つ代表的な系に観測されるLorentzアトラクタ(68)が、極めて異なった 振る舞いを示すこと等から、平衡点の組み合わせが系の大局的振る舞いに大きな影響を与 えることが知られた事実である。しかしながら、その他の平衡点の結合を持っている系、 例えば、系のパラメータを変化させた時にHopf分岐を起こして、安定な平衡点が不安定と なる時に良く見られる、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合を持つ場合の系の 大局的振る舞いについてはほとんど研究されていない。 パラメータ安定領域のすぐ外で、さきにも述べたように多様な現象が生じることを考え ると、不安定領域における大局的振る舞いの研究も重要であると考えられる。典型的な自 律的なLi白nard方程式系の結合系である3階の自律系の多様な大域的現象を、非線形振動論 の立場から扱い、系の不安定パラメータにおける大局的振る舞い(特に、非静止アトラク タ)を解明することは、単に振勣論的にみても極めて意味がある。 そこで自律的なLi6nard方程式系の結合系である3階の自律系の大局的振る舞い、特に、 カオス的な非周期的振る舞い、分岐のメカニズムとカオスの発生を明らかにすることを本 論文の主たる目的とする。 具体的に本論文では大きく分けて以下の2つの項目について考察または調査する。 [1]非線形要素からなる3階の自律系の大局的振る舞い: 系の特徴やパラメータと系の有界性、大局的安定性(完全安定性)と不安定性の関係、 [2]非静止アトラクタ(周期的・カオス的な非周期的)が存在するときの不安定パラ メータ領域における、系の大局的振る舞いの詳細: 特に、周期解の分岐プロセス、カオス的振る舞いの発生、多様な分岐の過程等を明らかに する。. 1.2. 従来の研究. 本節では、本論文の研究に関連する従来の研究について概説する。. 1. 2.1. Li6nard方程式系の結合系として記述される 流体機械系と電気回路系に関する現在までの研究. 3.

(9) =.I.-_. ここでは,本論文の研究の発端となったLi白nard方程式系の結合系: midxi/dt=y−fi(xi),i-1,...,n n. Fdy/dt. Σ. -. xi+9(y). (1.1). ・I. =1. によって記述される、流体機械を並列に含む管路系等の複合系に生じる系の大局的不安定 現象(特にサージ現象)を非線形振動論の立場から解析する研究と、上に示した結合系に よって記述される電気回路系に関する研究について簡単に述べる。 化学産業におけるガス反応処理系、発電所または発電用原子炉等における排気または冷 却系等、大流量の必要性または安全性の確保等のために、2台もしくはそれ以上の台数の 流体機械を、並列に運転する実用的状況が非常に多くあることから、並列運転系を記述す るLi6nard方程式系の結合系の完全安定性と、系の強い非線形性のために生じる結合系の不 安定パラメータ領域における系の大局的振る舞いの解明は、極めて興味深い工学問題とし てしばしば取り上げられているにも関わらず、実際そのような研究はほとんどなされてい ない。流体機械の並列運転系においては、藤井の他には、Emmonsと、Ehrichの研究がわず かにあるだけである。藤井は、多自由度の振動系の安定性と非線形振動の概念を用いて、 流体機械系を並列に接続した複合系の安定性の問題(サージング)について初めて明解に 論じている。そして、彼は1つのタンクに右上がり特性を持つ水ポンプを含むn個の管路 を並列に接続した簡単ではあるが、実用的な応用上重要な並列運転系を設定し、その並列 運転系の局所的安定性について論じている。そして、2台の水ポンプを並列に持つ場合の複 合系を用いて、並列運転系に関する平衡点(動作点)の個数と局所的安定性について研究 を行っている(14)。また、続く論文(17)では、2台の水ポンプを並列に持つ単純な系に対して 位相空間を用いた解析を示し、準静的絞り過程における基本的な運転状態の変動を与えて いる。現在、彼の水ポンプを並列に接続した水ポンプの複合系の方程式系は、先に述べた Li6nard方程式系の結合系と等価であることが判明している。また、このような複合系の局 所的安定性の研究に先だって、. 彼は、右上がり特性を持つ水ポンプを含む管路をタンク. に接続した簡単な系の考察を通して、サージ現象は流体機械それ自体に発生するのではな く、流体機械系全体に発生する自動的な非線形振動であると認識できると論じている。彼 は最初に、サージの発生機構を解明し、2階の自律形常微分非線形方程式で記述される彼 のポンプ系の力学の数学的な解析を通して、振幅、振動数、波形等のサージ現象のいくつ かの様相を明らかにしている(16)。このポンプ系の力学の方程式もまた、Li6nard方程式系で. 4.

(10) J. あることが判明している。このような藤井のサージに関する理論的研究について、再考す るならば、彼の議論の正確さ及び広範囲さ、非線形振動論の黎明期である1947年から1948年の間に、彼が、もうすでに、van. der Polの弛緩振動と初期の常微分方程式論で用い. られるいくつかの概念と言葉をサージとその防止の説明のために適用していたこと、そし てまた、彼の並列運転系を記述するLj6n. ard方程式系の結合系に複数個の平衡点が存在し、. 系のパラメータによって、その平衡点の局所的安定性が変化することを、早くも指摘して いることは敬意に値する。Emmons(29)は、ターボ形流体機械の並列運転系の合成特性と絞 り弁の負荷特性のグラフを用いて、系の動作点の個数と局所的安定性について論じてい る。Ehrich(3o)は、ガスタービンエンジンの環状の燃焼室の前に用いられる分岐ディフュー ザ系の大局的不安定性を調査するために、系の非線形方程式を導出している。そして、系 の平衡点の局所的安定条件を与えるだけでなぐ、系のいくつかのパラメータ条件の下で、 ディジタルコンピュータシミュレーションによる典型的な系の時間応答を求めて、系のパ ラメータが系の振動の振幅、波形、周波数に及ぼす影響について明らかにしている。現 在、Ehrichが導出した分岐ディフューザ系の非線形方程式もまた、先に述べたLi白nard方程 式系の結合系と等価であることが判明している。 一方、上に示した結合系によって記述される電気回路系に関する研究については、Moser が行った、トンネルダイオードによるコンピュータの基本演算要素のフリップフロップ回 路の研究がわずかにあるだけである。 Moser(15)は、トンネルダイオードによるフリップフロップ回路について考察している。こ の回路が1ポートの要素のみから構成されることにより、 この回路の方程式: °. 1,2. J. 1. 2 Σ. ぐ. 附. 図. EO−Ri. 一一. Ij. 一I. Cjdvj/dt. vj. ト1 には、あるパワーの次元を有するポテンシャルが存在することと、そのポテンシャルを用 いて、この方程式がある種の9radient系で記述できることを示している。そして、そのポテ ンシャルを含むあるスカラー関数を用いて、Liapunov関数を構成し、この回路(fi、i=1、…、n が非線形抵抗要素、そして9が線形抵抗要素を表す関数からなるLj6nard方程式系の結合 系)が完全安定となるパラメータの条件を与えている。さらに、このフリップフロップ回 路の研究がきっかけとなり、Braylonとともに、一般の非線形RLC回路網の解析につい. 5. 2).

(11) J. て、完全回路という概念を定義レ混合ポテンシャルと呼ぶ関数を導入して、回路網のダ イナミクスの構成法と主に回路網の安定性の解析法を示している(47)、(48)。そして間接的 に、Brayton(49)や、多くの研究者らによって続けられている、一般の非線形RLC回路の 相反性と混合ポテンシャルおよび回路網のダイナミクスの関係する研究に寄与している。 以上に述べたように、先に示したLi6nard方程式系の結合系の完全安定性、さらには不安 定領域での大局的振る舞いは、ほとんど解明されていないのが現状である。技術的には、 安定それも完全安定な系の設計に、工学技術的な関心があるので、安定領域のすぐ近傍に ある不安定領域での系の振る舞いを明らかにすることは極めて大きな意味があるにも関わ らずこのような系の大局的振る舞いは、現在まで、ほとんど解明されていない。. 1.2.2. 非線形系に現れるカオス的振る舞いと分岐現象に関する現在までの研究. ここでは、本論文の研究に影響を与えている非線形系に現れるカオス的振る舞いと分岐 現象の研究概況について述べる。また、非線形系に現れるカオス的振る舞いと分岐現象に 関する研究は、非常に幅広くかつ豊富である。これらの詳細な研究に関する著名な教科 書、論文がいくつか出版されており、詳細については、(13)そして(33)・(40)等の成書を参照 されるものとする。 van. derPol(1)-(5)は、3極真空管を持つ電気回路の発信器の波形を説明するために、真空. 管の非線形特性を考察して、 次のようなvander. Polの方程式;. dx/dt=y一日(x3/3−x) dy/dt=−x. (1.3). を導出し、この方程式にみられるエネルギの発生と散逸が平衡を保っている状態の典型的 な持続振動、すなわち、リミットサイクルと弛緩振動の広範囲にわたる重要な研究を行っ ている(1)。そして、彼は、van. derMarkとともに、van. der Pol方程式の強制振動系につい. ても研究し、サブハーモニクスの発生、ヒステリシス、パラメータの”雑音”領域、多様 な分岐現象等を観測している(5)。このような彼らの研究が、後のカオス的振る舞いと分岐 現象の研究の発展に非常に寄与している。 van. der Pol の”雑音”の実験結果に触発されたCartwright、Litllewood(5o)とLevinsonく51). は、それぞれ、この”雑音”が、天体運動の研究の中で、Poincar6(42)−(45)によって発見 された極めて複雑な不規則な振る舞い(カオス的振る舞い)の原因となるホモクリニック. 6.

(12) J. 的な力学であるという推測を基にして、Pojncar6の位相幾何学的解析と研究を継承し、発 展させたBirkhoff(52)−(55)の抽象的な不連続な写像力学の解析(ポアンカレ写像による解 析)だけを用いて、van. der Pol 方程式の強制振動系のような3次元の力学(Li6nard方程式. 系の強制振動系)が、全てのBernoulliの数列(すなわちコイン投げの数列)の族と同じほ どカオス的である解の族を持つことを数学的に証明し、Birkhoffによって発見された抽象的 なアトラクタの物理的力学の例を示している。さらに、Levinsonのvan. der Pol 方程式の強. 制振動系に関する解析結果はSmale(56)、(57)を触発し、Smaleは、その解の集合のひとつがあ らゆるBemouljiの数列とも1対1対応がつけられる単純な抽象的な写像(いわゆるSmaleの 馬蹄形写像)を発明している。Smaleの写像力学はまたLevjnsonのカオス解の集合である Ko集合と比較して、いくつかの類似性と他の相違点を持っている。. Smaleはまた、Poincar6. の発見したホモクリニックな軌跡が数学的な意味で、カオス的極限集合であることを証明 している。 そして、アナログと特にディジタルコンピュータの発達により、非線系の研究に、いく つかの重要な研究成果がもたらされている。 DUffin9の方程式の強制振動系: dx/dt=y、 dy/dt=叩y. −ax-. sx3−Bcost. (1.4). について、林(57)、(58)は、専用アナログコンピュータを構築し、サブハーモニクスについ て調査し、3つの調和解とn=3低調波解の構造、ホモクリニック構造等を明らかにしてい る。そして、上田(59)−(61)は、このD洲in9方程式の強制振動系に、初めて、カオス的アト ラクタ(いわゆるジャパニーズアトラクタ)とカオス的運動のパラメータ領域を見いだし ている。また、Lorentz(68)は、大気の運動を記述する3階の自律系常微分方程式である Lorentzの方程式: dx/dt=(y(y−x) dy/(jt=x(r-z)−y dz/dt=xy− bz. (1.5). を導き、この方程式のあるパラメータの値に対するコンピュータの数値解か不規則な振舞 い(カオス的振る舞い)を示すことを見いだしている。 アナログと特にディジタルコンピュータのシミュレーションによる、Duffin9の方程式の 強制振動系とLorentzの方程式のカオス的振る舞いや分岐過程の発見に鼓舞されて、常微分. 7.

(13) -■-.. 方程式系のカオス的振る舞いや分岐過程が注目され、いくつかの解析手法が提案されてい る。カオス的振る舞いの著しい特徴である鋭敏な初期値依存性は、異なった初期条件を持 つ有界の2つの近接した軌道の時間発展における拡大または縮小の割合の指数平均を表す 数であるLiapunov指数(74)-(76)によって測定できる。そして、LjapUnov指数は頻繁に、カオ ス的振る舞いの診断テストに用いられ、正のLiapunov指数は実用的には有界な軌跡を持つ 力学系におけるカオス的挙動を示すと考えられている。また、3次元力学系のカオス的ア トラクタを典型例として考えた場合、カオス的アトラクタの近傍の相空間の体積は紙のよ うにつぶれていくけれども、カオス的アトラクタの中の互いに近くにある軌道は、指数的 に拡がる際に、紙を幾重にも折だたんだようになっていると考察されている。そして、3 次元力学系のカオス的アトラクタは、2次元の紙より複雑な構造を持っていると考えられ ている。一般的なカオス的アトラクタが有する、このような構造の複雑さは、以下の式で 与えられるjとj+1の間の非整数値になるLiapunov次元によって定量的に評価されている。 Liapunov次元(78):. Σλi k−1. lj. L。・j+. Σ λk・0,Σλk<0. (1.6). 4:リアプノフ指数、λ1ンλ2.…ンλn(k=1、2、…、n)、j:上の(1.6)の式を満足する整数。 Oseledec(74)は、常微分方程式系のLiapUnov指数の存在の証明を与えている。そして、 ShimadaとNagashima(75)は、コンピュータによるLiapunov指数の計算法を提案してい る。また、川上(62)-(66)は、あるクラスの周期的な外力項を持つ電気回路の余次元1の分岐 と余次元2の分岐を取扱い、これらの場合について周期解の分岐点を計算するための有効 なアルゴリズムをいくつか与えている。 非線形系の時間・位相空間における大局的な振る舞い、そして分岐現象等の非線形現象 を調査する常套手段は位相空間で調査することであり、その力学系のPoincar6写像の振舞 いを調査することである。機械的及び、電気的振動等が観測される高次元の力学系におい て、Poincar白写像はしばしば2またはそれ以上の次元の写像となる。特に、3次元力学系 のPojncar6写像は、2次元写像となる。しかしながら、3次元力学系のカオス的アトラク タのLiapunov次元は2に極めて近い値を取ることが多く、2次元Poincar白写像の振る舞い を、元の2次元写像の大局的振舞いの特徴を有する1次元近似写像を用いて、解析できる 場合が少なくないことが報告されている(79)べ84)。一方、May(69)らを含む多くの研究者に. 8.

(14) J. よって、多くの1次元写像の力学系は、周期倍分岐とカオス的振る舞いを含む非常に複雑 な振る舞いを示すこと、例えば、分岐パラメータを増加するにつれて、多様な種類の周期 の系列が. Sharkovsky(7o)の順序にしたがって観測され、カオス的振る舞いの領域が出現. し、カオス的振る舞いの領域には、多様な周期ウィンドウが存在する分岐過程もまた見い だされることが報告されている(33)、(lol)。Metropolis、とStein(71)、とFeigenbaum(72)は、1 次元写像の分岐過程の定性的に普遍的な特徴を発見している。さらに、LiとYorke(73)は、 1次元写像に数学的な意味でのカオスが存在する十分条件を求めている。現在もなお、1 次元写像に関する多くの標準となる定理が求められつつある。. 1次元写像に関する多くの. 定理によって、高次元の力学系の大局的振舞いの性質及び特徴を非常に有効に解析できる ので、高次元のポアンカレ写像から系の大局的振舞いの特徴を有する低次元、特に1次元 の近似写像の導出法について研究されている。 R6ssler(85)-(87)は多様な形態のカオス的振る舞いを生み出す最小限の力学的性質を解明す るのに有効な、次のような単純な多くの数学モデルを発展させ、そして、ペーパー(折り 紙)モデルと1次元近似写像によって、彼のアトラクタの解が混ぜ合わせられる多くの様 相を描写している。 R6sslerの方程式: dx/dt=−(y+x) dy/dt=x十ay dz/dt=♭+z(x−c). (1.7). 松本らは1つの線形受動的抵抗、1つの線形受動的インダクタ、2つの線形受動的キャ パシタと3つのセグメントの1つの区分線形負性抵抗から或る単純な回路を提案し、その 回路に対して、精密な解析手法を用いて、double. scroH (88)と呼ばれるカオス的アトラクタ. を示している。 double scroμChuals. circuit)の方程式:. dx/dt=a(y−x-f(x)) dy/dt=x−y+z dz/dt=うy. (1.8). 万万ワFjミジラ≧7 f(x)5 1. 9.

(15) J. そして、彼らは、2次元Poincar白写像および1次元近似写像を利用して、この方程式のカ オス的振る舞いの構造および分岐集合についても詳細に調査している(a⊃)。さらに、 Shilnikovの示した数学的な意味でのカオスが、その回路に存在することを区間解析による コンピュータ援用証明により与えている㈲)、(80)。そして、斉藤(9o)-(92)は、ヒステリシス特 性を持つカオス発生回路や、ダイオードを含むカオス発生回路を、. 0. 1. −v26. ⑤. ダ p︵/︶. 八戸. ー26. 0 v. ぐ 卜. x叫 y 可 S. 一 一 xy ダ. よ り幻 可叫. 区分線形拘束方程式(Li白nard方程式系の強制振動系に相当);. )on. s.. .バx,y,zlx≧−1,z−x=2}. S_ョ{x,y,zlx≦1,z−x=−2}. (1.9). で記述されるカオス発生回路として理想化することにより、回路のPoincar白写像を1次元 写像として厳密に導出レLi-Yorkeの意味でのカオスの発生条件を明らかにしている。ま た、稲葉く93)、(94)は、ダイオードを理想スイッチとしてみなす手法によって、ダイオードを 含むカオス発生回路(Li6nard方程式系の強制振動系に相当); dxノdt=y dy/dt=26y−(b+1)x+bf(z) dz/dt=♭(x−f(z)). (1.10). ぐ ︼=. Iノ Z μ. az,zぢ1/a l,Zき1/α. のPoincar白写像を1次元写像として厳密に. 導出し、カオス発生の厳密な考察を行ってい. る。 AndronowそしてWjtl(13)らによって提案され、また後に、カオスの存在を証明するため に. Levinson(51)が用いた、非線形系の非線形要素の関数を連続的な区分線形関数に置き換. えて、非線形系を空間的に連続的に区分線形にし、それぞれの領域で簡単に積分できる区 分線形近似する方法が、ポアンカレ写像等を用いて、非線形系の定性的大局的振舞いを詳 細に解析するいねば、常套手段に近い手法として広範囲な研究分野で用いられ発展してき ている。そして、位相空間のそれぞれの部分線形空間で異なった型の力学的挙動を結合し て構成される連続的な区分線形系は、次の3つの理由から非線形系の中で非常に興味深い. 10.

(16) --.. クラスの系として多くの研究者㈲)、(82)-(84)、(88)によって盛んに研究されている。 (1)それぞれの部分領域で線形に振る舞うように作用する力学条件は、極めて厳しい制 限を系に加えているようにみえる。しかし、十分小さい領域に分割すれば、いかなる非線 形系も区分線形系を用いて、いかなる精度でも近似できる。(2)系の基本的な大局的挙 動が区分線形幾何学によって把握でき、かつ系の全ての解が解析的に定義されるので、コ ンピュータを用いた時の計算誤差が厳密に評価できる。また、区分線形幾何学的構造か ら、工次元近似写像が導出できることが少なくない。(3)位相空間がわずか2、3の線 形部分領域から構成される区分線形系でさえも、非常に豊富な定性的挙動を示すことが多 くの研究者によって見いだされており、このような単純な区分線形系の様相は区分線形系 が任意の非線形系を近似できる能力よりも興味深く、単純な区分線形系の挙動の詳細な調 査と線形部分領域の結合の分類は、非常に重要な問題となっている。 表1.1に代表的な3次元力学系のカオス的アトラクタの平衡点の結合の種類、 Liapunov指数、とLiapunov次元を示す。このとき、平衡点の型の最後の数字は、不安定な 固有空間の次元を表している。多くの研究者によって研究されているカオス的アトラクタ を持つ系はサドル型の平衡点の結合を持っている系である。そして、スパイラル型のサド ルの平衡点の結合を持つ代表的な系に観測されるdouble. scrollアトラクタ(88)、とスパイラ. ル型とノーダル型のサドルの平衡点の結合を持つ代表的な系に観測されるLorentzアトラク タ(68)が、極めて異なった振る舞いを示すこと等から、平衡点の結合の種類が系の大局的振 る舞いに影響を与えることが知られている。しかしながら、その他の平衡点の結合を持っ ている系、例えば、系のパラメータを変化させた時にHopf分岐を起こして、安定な平衡点 が不安定となる時に良く見られる、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合を持つ 場合の系の大局的振る舞いについてはほとんど研究されていないのが現状である。. 11.

(17) −-IF・ ̄. J. 表1.1. 代表的なカオス的アトラクタの平衡点の結合の種類とLiapunov指数と次元. 系. パラメータ値. 平衡点の. 平衡点の結合の種類. 個数 Rむssler Band (1.7)式. a=0.15,b=0.20,. 2. C=10.0. LorでntzMask (1.5)式. (Jニ16.0,bz4.0,'yニ. 3. 40.0. Liapunov指数:λ1 Liapunov次元:Ld. サドルースパイラルー1と. λ1゛0.09,λ2=0.00,. サドルースパイラルー2. λ3ニ‘9・77,. サドルースパイラルー2と、中. λ1=1.37,λ2=0.00,. 心の平衡点のみ、サドルー. λ3ニ`22.37,Ld=2.06. Ld=2.01. ノーダルー1 Double Scroll. (1,8)式. 1.2.3. a=9,β=14(2/7),. 3. サドルースパイラルー2と、中. λI°0.23,λ2=0,00,. a=-8/フ,. 心の平衡点のみ、サドルース. 入3=,1.78,Ld=2.13. b=-5/フ. パイラルー1. 1台のターボ形流体機械系のサージ現象に関する現在までの研究. 本論文の研究は、流体機械の並列運転系のサージ現象に関する研究に起因しており、流 体機械系のサージ現象の研究と関連している。ここでは、並列運転系のサージ現象に関す る研究の基礎となる、1台のターボ形流体機械を含む管路系等の流体機械系に生じるサー ジ現象を、非線形振動論の立場から非線形モデルを用いて解析する研究について簡単に述 べる。 1.2.1で、述べたように、最初に、サージの発生機構を解明し、2階の自律形常微 分非線形方程式で記述されるポンプ系の力学の数学的な解析を通して、振幅、振動数、波 形等のサージ現象のいくつかの様相を明らかにしたのは、藤井である。. 藤井の研究のあ. と、多くの研究が続いている。代表的なものとして、Pearson、Huppert、甲藤、Emmons 、そしてGreitzer(18バ24)等の研究が挙げられる。彼らは送風機、圧縮機系を取り扱ってい る。特に、小型のファンダクト系の共鳴サージの研究を通して、甲藤(20)。(21)はファンダク ト系が集中定数の慣性と容量性で置き換えられ、ファンの瞬時特性がその静特性と同じで あるという仮定から得られる理論的な結果と実験結果が振動の振幅、周波数、絞り弁の摩 擦効果等に関して、お互いに極めて良く一致することを見いだしている。また、Emmons (22)によって、サージを引き起こす原因となる右上がり特性は流体機械の翼の失速と呼ばれ. 12.

(18) J. る翼の表面の流れの剥離から生じることが確認されている。これらの後に続く研究は様々 なターボ形流体機械に発生するサージが少なくとも原理的には自励的な非線形振動である と統一的に理解できることを指摘している。また、流体機械を通過する流れを正確に記述 するために、流れの性質における突然の不連続性を産み出す人工的なデバイスとして定義 されるアクチュエータディスクを用いた理論(31)が発展してきている。流体機械の翼列をア クチュエータディスクとしてモデル化することにより、流体機械の翼列を通過する流れを 極めて良く近似して記述できるので、アクチュエータディスクは、流体機械の基本的なモ デルとして用いられ、特に、ターボ形流体機械の設計に使用されている。そして、ターボ 形流体機械系にみられるサージを解明するために用いられるサージ現象をシステムの非定 常現象としてとらえる方法、すなわち、流体機械を含む管路系等のシステム全体を"振動 系"として取り扱う方法で使用される流体機械の非線形モデルもまた、対象とする流体機 械を特微づけるアクチュエータディスクを用いて構築できる。 そして、1台の機械を含む流体機械系の安定性と不安定性は非常に盛んに研究され、現 在では、初期のサージの研究でなされた流体機械の直列及び並列運転系の大局的振る舞い の解析を行うことよりも1台の流体機械の内部流れ、特に旋回失速等の流体機械の内部で 発生する失速現象とサージ現象との複合問題に関心がもたれている。 一方、1.2.2でも述べたように、非線形現象の研究の立場からみれば、Li白nard方程 式系の強制振動系及びいくつかの非線形系には、多様な非線形現象、特にカオス的振る舞 い等を含む大局的振舞いと分岐現象が観測され、非線形系の大局的振舞いと分岐現象に極 めて大きな関心が寄せられている(33)、(34〉。しかし、流体機械系の大局的振舞いと分岐現象 の研究は、MCCaughan(32)の報告のように1台の流体機械を含む系から行われ始めているの が現状である。. 13.

(19) −-一一−. J. 1.3本研究の概要 本論文は6章から構成されている。以下、各章の概要について述べる。 第1章では、本研究の目的、従来の研究および本研究の概要について述べる。そして、 本論文に関連する従来の研究として、(1)Lj白nard方程式系の結合系として記述される流 体機械系と電気回路系、(2)非線形系に現れるカオス的振る舞いと分岐現象、(3)1 台のターボ形流体機械系のサージ現象、に関する現在までの研究について概説する。. 第2章では、Li白nard方程式系の結合系の典型例である送風機の並列運転系とフリップフ ロップ回路等を想定した3階の自律系を対象に、その自律系の非線形関数を持つ系の特徴 やパラメータと系の有界性、大局的安定性と不安定性の関係について明らかにする。この 自律系は、座標変換を適切に与えれば、トンネルダイオードを用いたフリップフロップ回 路の方程式と同型であり、かつフリップフロップ回路と双対な関係にあることを示す。ま た、この力学系には、相反性が成立し、混合ポテンシャルが存在すること示す。そのうえ でこの力学系の解の有界性を証明し、さらに解の完全安定性の条件を与える。この力学系 には、複数個の平衡点が全て不安定である場合、安定な平衡点以外の非静止アトラクタが 存在することを明らかにする。. 第3章では、3階の自律系に、非静止アトラクタ(周期的・カオス的な非周期的)が存 在するときの不安定パラメータ領域における、系の大局的振る舞いの詳細、特に、周期解 の分岐プロセス、カオス的振る舞いの発生、多様な分岐の過程等を明らかにするために、 自律系に用いられている非線形関数を空間的に連続的な区分線形関数によって近似し、そ れぞれの領域で厳密解を求めることができる区分線形近似する方法を適用して、系の非線 形特性を分割された領域ごとに区分線形近似して簡単化し、いわゆる区分線形モデル(区 分線形系)を提示する。次に、この区分線形系と基礎ベクトル場、ベクトル場の幾何学的 性質と平衡点の類別等、ベクトル場の性質と区分線形系のパラメータの関係を明らかにす る。そして、非線形関数を有する3階の自律系のシミュレーションによって、この系の不 安定パラメータ領域では、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が多く現れ、こ の平衡点の結合の時、系には、つぎのようなさまざまな持続的な振る舞い:(1)カオス 的な非周期的と思われる振舞い、(2)さらに系のパラメータを変化させた時に周期的状 態からカオス的な非周期的状態へと変化する分岐現象、(3)複数の非静止アトラクタ. 14.

(20) J. (周期的・カオス的な非周期的)と、それぞれのアトラクタの間に不安定な閉軌道である サドル型閉軌道が共存する、が発生することが見いだされている。したがって、区分線形 系の不安定パラメータ領域で、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が顕著に現 れ、この平衡点の結合の時、上の(1)一(3)の大局的振る舞いが観測されるような区 分線形系を構築する。. 第4章では、3章で提示した区分線形モデルを用いて、系のパラメータを変化させた時 に周期的状態からカオス的状態へと変化する分岐現象、すなわち周期解の分岐プロセスを 解明する。したがって、周期解の個数、およびその性質に影響を与え、発生及び消滅を支 配している周期解のサドルノード(SN)分岐と周期倍(PD)分岐に注目して、その分岐集 合を求める。そのために、ポアンカレ断面上のポアンカレ写像の不動点の分岐を利用した 数値計算法を用いて分岐過程の様相を解明する。 系のどのパラメータ(BI、B2、GI)を変化させた時も、最初に出現する1周期の安定なal、1 周期の不安定なサドル型β1、1周期の安定なXIの3つの閉軌道を、基本として、カオスヘと 至るいくつかの分岐現象が見いだされている。ここでは、これらの1周期解が、カオスヘ と発展していく分岐過程の初期段階である1、2、そして、3周期解の分岐過程を明らか にする。3つのパラメータ(BI、B2、GI)のうち、パラメータ(BI、B2)は、系の平衡点の位置と 数には関与しないで平衡点の性質のみに影響を与えるので、2パラメータ(BI、B2)に関する 周期的状態からカオス的状態へと至る周期解の分岐プロセスは、系の基本的な特徴を示す と考えられる。したがって、2パラメータ(BI、B2)領域において、系の単純な定常解である 1、2、そして3周期解のサドルノード及び周期倍分岐を調査する。. 第5章では、区分線形系の解の振る舞いを、それぞれの線形部分空間の2つの境界面の 間の点の変換として記述する境界写像を解析的に定義レポアンカレ写像を境界写像の合 成写像として定義できることを述べる。そして、それらの写像の組み合わせとその性質を 用いて、系の大局的振る舞い、特に、典型的なカオス的状態にいたる動的な振る舞い、す なわち、カオス的振る舞いの発生機構を調査する。系の不安定パラメータ領城中に、スパ イラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が芹在するある範囲において、ポアンカレ写像 が、Smaleの馬蹄形写像の場合に極めて良く知られている圧縮、引き伸ばレ折り畳みの操 作を持っていることを示し、その操作から、カオス現象を予測する。. 15.

(21) J. さらに、境界写像の合成写像からなるポアンカレ写像の性質から、ポアンカレ写像の引 き伸ばしと折り畳みの操作を支配している特定の方向への射影関係を定義し、ポアンカレ 写像の分岐の発生および振る舞いを与えるポアンカレ写像の1次元近似写像を定義する。 そして、この1次元近似写像を用いて、系の多様な分岐の発生、すなわちHopf分岐、サド ルノード分岐、周期倍分岐、ホモクリニク分岐、ヘテロクリニック分岐、Li-Y. orke と. Shilnikovの意味のカオスの存在、ブルースカイ分岐を求める。またLiapunov指数を用い て、カオス的状態の程度を推定する。. 1次元近似写像による解析を通して、系に発生する. 多様な分岐プロセスを明らかにする。特に、周期相とカオス相の相転移現象及びその分岐 過程の様相、カオス的状態の種類等を明らかにし、さらにはカオスの存在するパラメータ 領域についての詳細な調査が可能になることを示す。そして、系の平衡点の位置と数には 関与しないで平衡点の性質のみに影響を与えるパラメータと系の平衡点の位置と性質に関 与するパラメータを用いて、系のパラメータ空間の分岐図を作成する。 さらに、4章で明らかにされたカオスヘと発展していく分岐過程の初期段階である1、 2、そして、3周期解の分岐過程も用いて、周期解の分岐過程、周期解のホモクリニック 及び、ヘテロクリニックの分岐過程、及びブルースカイ分岐、そして、. Li-. Yorkeと. Shilnikovの意味のカオスの存在領域の様相と関係についても調査する。そして、平衡点の ホップ分岐で、発生した1周期解が周期倍分岐を起こして誕生したサドル型閉軌道XIが周 期解の分岐に重要な役割を果たし、特に、サドル型閉軌道XIのホモクリニック分岐が系に カオス状態をもたらすことを明らかにする。また、ポアンカレ写像のサドル型閉軌道X1の 安定多様体と不安定多様体の近似曲線から、ホモクリニック分岐の基本的な様相と1次元 近似写像上のホモクリニック軌道との関係についても考察する。. 第6章では、結論として、本研究で得られた結果を総括して述べるとともに、今後に残 された問題点を示す。. 16.

(22) J. 第2章. 大局的振る舞い. 流体機械を直列にまたは並列に接続した、流体機械の複合系や非線形要素を並列にまた は直列に接続した電気回路系等の応用上良く現れる、重要な機械系は、Li白nard方程式系の 結合系によって記述できることが少なくないにも関わらず、Li白nard方程式系の結合系の完 全安定性、さらには不安定領域での大局的振る舞いは、ほとんど解明されていないのが現 状である。これまでの研究では、水ポンプの並列運転系を記述する非線形要素からなる Li6nard方程式系の結合系には通常、複数の平衡点が存在すること、そしてその平衡点の個 数、局所的安定性が系のパラメータに依存する(14)、(29にとが明らかにされただけである。 また特別な場合として、トンネルダイオードのフリップフロップ回路の結合系の場合に は、同じLi白nard方程式系の結合系が完全安定となるパラメータの条件が得られているだけ である(15)。技術的には、安定それも完全安定な系の設計に、工学技術的な関心があるの で、安定領域のすぐ近傍にある不安定領域での系の振る舞いを明らかにすることは極めて 大きな意味があるにも関わらずこのような系の大局的振る舞いは、現在まで、ほとんど解 明されていない。このようなLi白nard方程式系の結合系の典型例である送風機の並列運転系 とフリップフロップ回路等を想定した3階の自律系のシミュレーションによって、この系 の不安定パラメータ領域では、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が多く現 れ、この平衡点の結合の時、系には、つぎのようなさまざまな持続的な振る舞いが発生す ることが著者らによって見いだされている。(1)カオス的な非周期的と思われる振舞 い、(2)さらに系のパラメータを変化させた時に周期的状態からカオス的な非周期的状 態へと変化する分岐現象、(3)複数の非静止アトラクタ(周期的・カオス的な非周期 的)と、それぞれのアトラクタの間に不安定な閉軌道であるサドル型閉軌道が共存する。 系のパラメータ安定領域のすぐ外で、このような多様な現象が生じることを考えると、 非線形要素からなる3階の自律系の大局的振る舞いについて考察または調査することは、 極めて重要である。本章では、非線形要素からなる3階の自律系を対象に、系の特徴やパ ラメータと系の有界性、大局的安定性(完全安定性)と不安定性の関係について明らかに する。. り乙 2. 1. 典型的なLi白nard方程式系のの結合系を表す3階の自律系. 1. 1. 3階の自律系. 17.

(23) J. 本研究で対象とするLi6nard方程式系の結合系の典型例である、2台の送風機の並列運転 系とその集中定数モデルを、それぞれ図2.1と図2.2に示す。図2.2のモデルは、 送風機を含む2つの管路、プレナムと絞り弁から構成されている。 そして、このモデルについて以下 の仮定を設ける。 (1)振動(サージ)の波長が系 の管路等の代表的寸法に比べて十 分に大きい。 (2)プレナム内の流体は断熱変. 図2.1 典型的な送風 機の並列運転系. 化する。. (3)絞り弁側管路の慣性は送風機側出口管路慣性に比べて小さく、絞り弁側管路の慣性 は無視できる。 (4)サージ現象下においても、送風機の特性はその静特性と一致する。 (5)送風機の特性は、圧力と流量を表す軸と正の側で交わり、その第一象限で右上がり 特性(局所活性)を持つ。そして、ある流量qoが存在して、lql>lqolの流量域で、圧力と 流量はたがいに他の減少関数となっている(図2.5(a)参照)。. 司、こ’こ. Q. ∂. 81ower. 81owel・・2. 7 図2.2. 並列運転系のモデル. 18.

(24) J. このとき、(1)は、系を集中定数系として扱うことができる条件を示している。(2) は、Greitzerらく24)等の実験的研究結果から得られている実用上有効な仮定である。(3) は、動的な振る舞いを記述する絞り弁側管路の流体(絞り弁側慣性)の運動方程式の代わ りに、絞り弁特性を用いて近似できる条件を示している。(4)は、甲藤(74)、(75)等の研究 によって指摘されている、静特性を基礎に解析したサージ現象に関する理論結果は、実験 結果と良く一致するという結果に基づく解析上有効な仮定である。(5)は、送風機特性 が一般的に満足している性質である。このように、上記の(1)−(5)は、特殊な状況 ではなく、多くの実用的な応川上に現れる一般的な状況を表している仮定である。 これらの仮定の下で、送風機は関数fk(k=1、2)、で記述されるアクチュエータディスクとし てモデル化でき、並列運転系のモデルのダイナミクスは、次の無次元化された3階の自体 系で与えられる。 3階の自律系: 送風機の管路の流体の運動方程式;. 一 dt. 、幻 幻. 一 一. dl dy. ・ 一 ” & ’ 5 ″M.応. B1 B2. dx. (2.1). 一 一. プレナムにおける連続の式: dz 1 (x+y−g(z)) 笛゜ BI+B2. g(z)=. 上 酉. (2.2). sgn(z)J ̄可 (2.3). 刈 ぺ. (2.1)、(2.2)、(2.3)式の記号は以下のとうりである。. x °ml/9UOAI,. (Jj≡. C0,. y=m2/9UOA2,z≡. UO Bk° 2(DLk. Ak2/(AIA2),1=ωt. ((AI/LI)+(A2/L2))/VP. mk :送風機の出ロダクト質量流量,p:プレナムの圧九VP:プレナムの容量,Lk:送風機の ダクト長さ,Ak:送風機のダクト断面積,9:空気密度,cO:音速,Uo:ロータ周速度,fk 静特性,0:絞り弁特性,G:絞り弁開度. 19. : 送風機.

(25) J. 状態変数(x、y、z)はそれぞれ管路1.2における流量、そしてプレナムにおける圧力を表す。 そして、9(z)は、図2.1に示す絞り弁開度Gを持つ絞り弁の圧力差を変数とするルート関 数である。BI、B2はそれぞれの管路の慣性とプレナムの容量性の比で決定される系のパラ メータである。したがって、この3階の自律系は、(BI、B2、G)の三つのパラメータを持ち、 三つの非線形要素fl、f2、9を持っている。また、この自律系は、多自由度の振動系の方程式系 の非線形振勅諭的考察を用いて、藤井(14)が、水ポンプを並列に接続した複合系の安定性の 問題の基礎的な解析に川いた並列運転系モデルの絞り弁側管路慣性を無視した系の方程式 であり、極めて単純であるが、多くの実用的な応用上に現れる典型的な流体機械の並列運 転系の基本的なモデルの方程式となっている。したがって、この自律系の大局的振る舞い の解明は、流体機械の並列運転系の設計、及び運転に関して、多くの重要な結論や技術上 の知見をもたらすと考えられる。. 2.1、. 2. 自律系の非線形要素fl、f2の合成特性と系の平衡点の数及びその性質の関係. 関数fl、f2の合成特性は、以下に示す2式によって表わされる。 fl(x)-z=0、 f2(y)-z=O. (2.4). この合成特性は、物理的には、送風機の合成特性に桐当している。そして幾何学的には、 合成特性は、曲面の交線として与えられるので、系の平衡点(動作点)は必ず、この合成 特性上に存在する。さらに、(x、y、z)の相空間における関数9のグラフは以下の(2.5)式で 与えられる。 x+y−9(z)=O. (2.5). 関数9のグラフは、物理的には、(x、y、z)の3次元椙空間における絞り弁特性(負荷特性)に 相当している。したがって、この系の平衡点(Ep)は、合成特性と(2.5)式のgのグラフ を表す曲面との交点として決定される。全ての平衡点は合成特性ヒに存在しているので、 平衡点の個数及び位置は、関数9のパラメータGに依存する(図2.3)。そして、系の平 衡点の性質、すなわち平衡点の近傍の解の振舞いは、次の固有多項式の固有値であるCE. .叫. ︱ +. 9り λ. ︱ ム ハ剖ノ. (特性指数)によって与えられる。. 9. BlflB2f2+1‘百7?iii (slトsゐ). BI 十B2 ︱. BIB2. 卜. ト. ・●・ ● ● /jl j’ こj・ (fl i2 g −fl −f2). (2.6). BI+B2 20.

(26) J. zよ づ八. ∂2. y. ∂4. →. B{ower. ch. χ. ∂.41. 図2. 3. 合成特性と平衡点の関係. 21.

(27) J. (2.6)式の記号は、以下のように与えられる。 dfl f四石. f2 xe. dy. ye. 岫. Ze. (xe,ye,ze):系の平衡点。. 本研究では、平衡点はx座標の大きい方から小さくなる順に番号づける。それらはEpi、 i=1、‥・、Nのように記述する。そして、Abraham(95)によって、分類された3次元の系の平衡 点の性質を表すCEの名称を適用する。式(2.6)の係数は、実数なので、(2.6)の CEは、3つの実固有値(7n、n=1、2、3)またはひとつの実数(7)と共役複素数固有値(. jω)の組. のどちらかである。前者をラジアル型、後者をスパイラル型と呼ぶ。また、CEの型の終わ りに付けられた数字は、不安定な固有空間の次元数を表す。 Bk(k=1、2)>0及びい=o. なので、式(2.6)の係数の性質から、この系にあらわれる. 双曲型の平衡点のCEの型は、flとf2のそれぞれの傾き、f、ともの正と負の3つの組合せ: (i)f140、も<O、(ii)f、、o、も40(またはfげO、も。0)、(iii)も、o、も50から 生じるCEの型と一致する。さらに、関数fl、f2の合成特性上の平衡点の位置とその性質の関 係を表2.1に示す。 表2.1. 関数fl、f2の合成特性上の平衡点の位置とその性質の関係. fl,f2の合成特性上の 平衡点の位置. 平衡点の安定性 安定. (1). 平衡点の性質(CE) E‰(k=1,2)の値によって、 CEは、Tn40,n=1,2,3 または、ド〇とd=jω,(J<〇の組 のどちらかになる。. flcO、かつも40. (2). Bk(k=1,2)の値によって、CE. flンO、ち40 または. 不安定. はヽ^yl(O,T2>0,T3>〇または、 7〈〇と頑ω,(y>〇の組のどちら かになる。. または または. fl<O、ち・0. 安定 Bk(k=1,2)の値によって、CE はヽ知゛O,n=1,2,3または、び0 とcy土油,(=y<〇の組のどちらかで ある。. (3)fl>O、かつも>0. 不安定. j Bk(k=1,2)の値によって、CE Bk(k=1,2)の値によって,CE Iはヽ?1゛o・ 72<0,73<o,?0 に度に(ここに=j・ ln=1,2,3のいずれかとなる。. 22.

(28) J. さらに、表2.1の(2)と(3)から、平衡点が合成特性の正の傾きを特つ位置に存在 するという幾何学的条件(図2.3の影の部分)は、平衡点が不安定になる必要条件となる ことが、みいだされる。そして、(2)と(3)の不安定なCEの型の中には、それぞれ、 サドルースパイラルー2(yOとdjω、(y>O)とりペラースパイラルー3(やOと泄知、(J >O)が存在している。したがって、図2.3の場合を例として考察すれば、式(2.5) の9関数が有する2次関数特性から、(2)と(3)の位置、すなわち、図2.3の影の部 分に複数個の平衡点が存在する場合があることは明らかである。それゆえに、この系の不 安定パラメータ領域において、スパイラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が現れるこ と、さらには、flとf2の関数の特性によっては系の不安定パラメータ領域において、スパイ ラル型のサドルとリペラの平衡点の結合が多く現れることが理解できる。. 2.1.3. 座標変換とフリップーフロップ回路との双対性. 回路設計の目的の為に完全安定(大局的漸近安定)条件を、Moser(15)によって幅広く 調査されていた、ディジタルコンピュータの基本要素である、フリップーフロップ回路と 送風機の並列運転系が、双対であることについてはすでに報告している。本節では、この 双対性について簡潔に説明する。 系のエネルギ源は非線形要素fk(k=1、2)であり、そのエネルギ源の特性は、図2.2の関 数特性fk(k=1、2)で与えられている。したがって、圧力zを電圧V、流量x、yを電流iい2に 対応させて、そして、fk(k=1、2)を定電流源iok(>〇)、k=1、2と非線形抵抗hk(ik)、k=1、2の並列接 続として表す次の座標変換を導入する。. j. 1. j. J. 1 0 2 0. II −lj. 一一. ゛り‘りV. X+. y十1.. (2.7). Z. このとき、定電流源iok(>O)は、fk(iok)=Oを満足する唯一の解として決定される。図2.4に 示すように、この座標変換は、幾何学的には、x、yを表す水平軸を、fkの関数特性が横切る 点iokを原点として、x、yを表す水平軸を逆方向に折り返す変換となっている。そして、この 変換によって、fkの関数特性は、原点を通って、第一と第三象限に存在する非線形抵抗特 性hk(ik)として表すことができる。さらに、定電流源iokは、図2.6のフリップフロップ回. 23.

(29) J. 路中では、それぞれの定電流源の和lo=iol+io2を用いて記述されている。. 1− ぐ k. h. 似r). xooryo (iok)=0. 図2.4. 座標変換. 座標変換(2.7)式を用いて、3階の自律系(2.1)、(2.2)を書き換えて、 次の方程式を得ることができる。 2. dik dて. =V−hk(jk). (k=. c登。 (2.8). Σ. 一−. Lk. 1,2). Jo−g(V)−Σ. dt. k. (2.9). k=1. 2.8、2.9式の記号は、以下のとうりである。 2. 2. hk(ik)・fk(iok −r),(k=いr−x,k・24r=y),Lk≡1/Bk,C≡X. Σ k=1. Bk,lo−. Ok k=1. 上記の関数hkとgについて以下の仮定を設ける。 (a)hkはCI級、∀ik(・O)、ikhk(ik)>Oかつik=Oの時に限りhk(O)=O。 (b)戻≧隅cの時、dhk/dik>Oを与えるような、∃M、戸Oが存在する。 (c)kトヤ・の時、ikhk(ik)一回・。 (d)V(≠O)、vg(V)>Oかつ、V=Oの時に限り、9(O)=0、かつdg/dv.0. (e)lvド∽の時、V9(V)一々・を示す。 このとき、(a)、(d)は、hkとgが原点を通り、座標平面の第1、第3象限に存在していること を示している。特に、9は正抵抗特性をもつことを示している。(b)は、hkがlikl≧Mkの範囲 では正抵抗性を示す実質的な抵抗であることを示している。そして、(c)、(e)は、jkhk(ik)と V9(V)が逆関数を持つ条件である。また、晦(すなわち、送風機特性)は、一般的に、性質. 24.

(30) J. (a)(b)(c)を満足している(図2.5)。 方程式(2.8)、(2.9)は、Moserのフリップーフロップ回路の方程式と同型であ る。そして、表2.1の対応の下で、送風機の並列運転系を記述する3階の自律系とフ リップーフロップ回路は、双対である(図2.6参照)。 I. 表. ︵Z. 送風機の並列運転系とフリップーフロップ回路の対応. 送風機の並列運転系. フリップーフロップ回路. キャパシタ. インダクタ. インダクタ. キャパシタ. 定電流源. 定電圧源. 電流制御型の非線形抵抗. 電圧制御型のトンネルダイオード. と並列接続. と直列接続. 1,k・Mk 水. (a)送風機静特性 図2.5. (b)絞り弁特性 送風機と絞り弁特性. 25.

(31) .J. へ. る ∂. 図2.6. 2.2. 等価回路. 相反性と混合ポテンシャル. 方程式(2.8),(2.9)の右辺をそれぞれ以下のようにおく。 (2.8)、(2.9)の右辺をそれぞれ以下のようにおく。 =V-hk(ik) (k−1、2) Fk(il,i2,V)=v−hk(ik)(k−1,2) 2 Fミ3(il,i21V)=lo−g(V)−Σi,i k−1. (2.10). そして,(-FI,-F2,F3)を(il,i2,V)空間のベクトル場とみなす。このとき,以下の可積分条件を 満足することから, ∂F3 ∂ik. ∂-FI 一 ∂12. 1,2). (2. ︱. ∂'-F2 ∂il. ∂-Fk =0,(k= ∂V. 1). =0. 次のポテンシャルP(iぐ2,V)が存在することを見いだすことができる。. 2Σい. 2 P= 10V−VΣ:ik+. (2.12). k-1. そして、上のポテンシャルPから. ∂ik∂V. ∂V∂ik. ∂2P. k. ∂2P. ぐ. ∂2P. ∂2P. =1,2). の関係が得られるので、. ∂il∂i2. ∂i2∂il. (2.11)式の可積分条件が、系の相反性(97)そのものを表すこ. 26. lk.

(32) J. とを簡単に示すことができる。さらに、この相反性は、Brayton-Moserによって定義された 相反性(47)を満足するので、式(2.12)のポテンシャルPは、Brayton.Moserの方程式 (96)を生成する混合ポテンシャルそのものになることがわかる。そして、この混合ポテン シャルを用いて、方程式(2.8)、(2.9)は、次のBrayton-Moserの方程式の形式に 書き換えることができる。. ぞ娠. dik. Lk. dt. (k=1,2),C dv. 一 一. 否゜. ∂P ∂V. (2.13). したがって、対象としている3階の自律系の方程式が、相反性が成立する微分方程式のク ラスである混合ポテンシャル系(47)、(96)の典型的な系であることは明らかである。. 2.3系の有界性 3階の自律系の解の有界性、完全安定性と不安定性に関して、得た重要な定理と補厘に ついてはすでに報告している。本2.3節と続く2.4、2.5節では、方程式(2. 8)、(2.9)を通して、系の有界性、完全安定性と不安定性について簡潔に説明し、 議論を簡便に進めるために、hkをと絞り弁特性gをそれぞれ、CI級の関数と区分的に微分可 能な関数と仮定する。また、hk、9が区分線形関数の場合も同様に議論できることは明らか である。系の解の有界性について次の2つの定理を与える。. 定理1. トトMk. jkhk(ikドGI♂. の条件を満足すれば、. 方程式(2.8)、(2.9)の解は有界である。. 定理2 領域Dを以下のように定義する。 DE{(i,V)ER3. 叱lvj<GI♂. iklぢMklk=1.2}. このとき、以下のことが、成立する。 (1)方程式(2.8)、(2.9)の解は、領域D内にt一りっで進入し、ある有限tを超 えればその中に入る。(2)方程式(2.8)、(2.9)の全ての平衡点は領域Dに含ま れる。. 27.

(33) J. 定理1の証明 今、lk(j、V)≡(V−hk(ik))/Lk及び、V(i、v)≡(lo−g(V)-il さ削, こ,エネルギ関数W:(il,i2,V)ER34. wづ丘Ljづヅ. -i2)/Cとおく。. Rを次のように定義する。. (2.14). k,1. このとき,方程式(2.8),(2,9)の解に沿ってのWの時間微分.dW/dtは以下のよう になる。 2 一 一. −Σ. -dt. djk. −CV Lkik dt. k=1. d’. V. dt. 2 =−(ΣL4. 2 八+CVV)=Σh八十V(g(V)−lo)(2.15) II. dW -. k=1. k=1. 系の平衡点では、dW/dt=Oである。いま、hkは2.1.3の(b)と(c)の性質から、㈹>Mk の領域で、h函>Glo3を満足するようなMjk=1、2)が必ず存在する。また、次のような十分 に大きなW・Woの値を与えるような領域(il、j2、V)ER3について議論を限定する。. W゛M)づメ汗囲づ(刈づj汁囲づc(聞)2. (2.16). ここに、vo=g ̄1(lo)である。 Wの表現式から、3つの座標(iぐ2、V)の内少なくとも1つは十分大きいことがわかる。この 時、Vンvo=Glo2. または、li kl>Mk(k=1、2)を満足する領域でなければならない。1番目の. 条件が満足されるとき、式(2.15)より、常に-dW/dらOである。1番目の条件が満足 されない場合、少なくとも、2または3番目の条件likl>Mkが満足されている。このとき、V はvivoの範囲に存在し、hkik. . Glo3が成立している。次の2つの場合について考える。V4. 0の場合、−dW/dらV9(V)≧Oである。V:、0の場合、V≦voなので、−dW/dtンGlo3 Gり+V9(Vトvolo=vg(V)≧Oである。以上により、w>woすなわちVンvo=Glo2. 4-V9(V)-Vloき. または、岡. >Mk(k=1、2)を満足する領域で-dW/dt>Oが成立することが示されたので、系の方程式の解は 有界であるだけでなく、定理2で定義される領域D内に進入してその中に留まることも証明 された。. 定理2の証明 定理2の1番目の証明は定理1の証明の過程によって明らかにされたので、2番目の領 域D内に系の平衡点が全て存在するかどうかだけを検討すれば良いことがわかる。送風機特. 28.

(34) J. 性fk(r),(k=1りr=x,k=2りr=y)と絞り弁特性9(z)の性質から,系の全ての平衡点(x゛,y゛, z゛)は(x,y,z)空間の第一象限にしか存在しないことがわかる。したがって,r・. c iok,k.19. =x゛,k=2りr゛=y゛であり,平衡点は絞り弁特性上に存在しなければならないので,(2. 5)式から 2. 2. z゛=G(x゛+y゛)2<G(Σ‰)=(司. (2.17). k=1. が成立する。方程式(2.8)、(2.9)の平衡点を(ド、y、V゛)とおくならば、(2. 7)式の座標変換より、ik'. Jok、 (k=1、2)とV゛<G(娠)2=G. lo2の条件が得られる。したがっ. て、Mk>iokとなるように十分大きなMkの値を取れば、D内に系の方程式の全ての平衡点が 存在することがわかる。以上により、定理2は示された。. 2.4. 系の完全安定性. いかなる初期条件に対しても、系の方程式の解が平衡点の集合の中のいずれかの一つの 点に収束する(系の平衡点の集合が大局的に漸近安定になる)とき、系は完全安定である と言われる。このとき、系には、周期的及び、非周期的アトラクタ等の振動現象が全く存 在していない。例えば、流体機械系に生じるサージ現象の場合は、サージが生じると装置 の機能を低下させるばかりでなく、装置やその運転に数々の弊害をおよぼす。また、流体 機械の翼をめちゃめちゃにしてしまったりして、しばしば非常に危険なことにもなる。し かも、流体機械を起動し正常運転まで加速の途中で、しばしば系の流体圧力と流量が、 サージを生じる領域を経過して上昇する場合や、たまたま正常運転に至った時の系の流体 圧力と流量の状態が、サージを生じる領域に存在する場合など、装置の常用運転の範囲で サージが生じないからといって、それだけではすませぬ場合がある。したがって、正常運 転に至った時のいかなる初期運転条件に対しても、系の状態が、系の動作点の集合の中の いずれかの一つの点に収束することを保証する完全安定性の条件は、工学上においても重 要である。特に、複数の動作点が存在する流体機械の並列運転系においては、正常運転に 至った時の系の流体圧力と流量の状態をいつでも同じ状態に保てるとは限らないので、完 全安定性の条件を得ることが不可欠となる。完全安定性を保証するリアプノフ関数を用い るLaSalleの定理(98)、(99〉と、フリップーフロップ回路の完全安定条件を求めるために、 Moserが用いたスカラー関数と双対なスカラー関数を、系の方程式に適用して、系の完全安 定性の十分条件の定理を与える。また付録A.1において、典型的な実系について系のパラ. 29. r・.

(35) wwly. J. メータ空間の完全安定領域を完全安定条件を用いて具体的に求めた例を示す。. 定理3 系が以下の条件を満足するとき、方程式(2 dhk 1 +− C dik. 土 Lk. d9 dv. >O(k. 8)、(2.9)の解は完全安定である。. =1,2). '6. =㈹=. ただし、M. Glo2で`ある。. 定理3の証明 Moserのスカラー関数と双対なスカラー関数Sを次のように与える。. S. い て. づcv2. ΣLj. 十λP. (2.18). k=1. P:混合ポテンシャル、λは正の実数。 -. 一. 1-. 丸-. に、. lk(j,V)・(V−hk(ik))/Lk,V(i,V)≡(lo−g(V)−il. -j2)/Cである。. Vまたはikに関するSの導関数∂S/∂Vと∂S/∂ikは以下のように求められる。. -= ∂V. Q︶ d. ∂S. (. 4c)示. ・. dv. 2 +Σ=. dik. k=1. ∂S 一一 ∂lk. 2. dv. Σ 一. dhk. ( ・. − dt. dik. +λ収). dik. - dt. (2.19). k=1. したがって、方程式(2.. 8)、(2. 全てのSの極値は領域D内1.. W L. 9)の平衡点とSの極値は一致している。そして、. 存在する。さらに. 混合ポテンシャルPは次のような別の表現. 式で表すことができる。 3G. P=−. -4. (2.20). sgn(V)9(V)(CV)2+K(i,V). このとき、K(i、V)は以下のように与えられる。 k. 1 また、g(V)とd9/dvには次のような関係が存在する。. 30. ゛|唄 d. k h. 11. K(i,V)= 言Sgn(V)9(V)(CVづ{9(V))24ゾシ.

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