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porishirokisan yudotai no gosei to kino : hakushi ronbun waseda daigaku

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博士論文(早稲田大学)

ポリシロキサン誘導体の合成と機能

根 本 修 克

(早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻有機化学研究)

(3)

審査員 (主査)早稲田大学理工学部工学博士(早稲田大学)高宮信夫教授 早稲田大学理工学部工学博士(早稲田大学)土田英俊教授 早稲田大学理工学部理学博士(東北大学) 多田 愈 教授 早稲田大学理工学部理学博士(東北大学) 新田 信教授 序  文  本学位論文は、1989年から1992年の間に早稲田大学理工学 部化学科 高宮信夫教授の指導のもとで行なわれた新規直願型 ポリシロキサン誘導体の合成およびその触媒機能に関する研究 成果を集約したものである。  研究室に配属以来、6年間にわたり御指導いただき、本学位 論文の作成に御尽力いただいた早稲田大学理工学部教授 高宮 信夫博士に厚く御礼申し上げます。  本学位論文作成に多大なる御尽力を賜った早稲田大学理工学 部教授 土田英俊博士、同 多田 愈博士、ならびに同 新田 信博士に厚く御礼申し上げます。  千葉大学工学部助教授 池田幸治博士には、6年間の長きに わたり、有用な御助言をいただき本学位論文作成に御尽力いた だきました。ここに感謝の意を表します。  本学位論文第4章4節の執筆にあたり、実験機器を提供して いただき有用な御助言を賜った工学院大学工学部教授 大勝靖 一博士に感謝の意を表します。  本学位論文第5章6節の執筆にあたり、実験機器を提供して いただいた早稲田大学理工学部教授 松本和子博士に感謝致し ます。 1

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 早稲田大学本庄高等学院教諭 上野幸彦博士、ならびに高宮 研究室において研究を共にし本学位論文作成に多大なる御協力 をいただいた浅野真修士、小林栄孝修士、肆矢直川修士、朝倉 徹也修士、青柳重信修士、相潭正幸修士、石井博治修士、本郷 勇学士、昔宮伸一郎学士、飛田克之学士、井原学学士に感謝の 意を表します。  研究室での生活を共にし、本学位論文作成に側面から御協力 いただいた山田和仲修士、谷嶋元宏修士、長井圭治修士、水野 佳奈子修士に感謝致します。  最後に、現在に至るまで本学位論文筆者をさまざまな面から 支援いただいた筆者の両親 根本 保、根本冨美子両氏にこの 場を借りて感謝の意を表します。 早稲田大学理工学部化学科 高宮研究室 1992年2月

教本

II II

第1章 IIII Iり/︼9J4 第2章 n乙り/` 2 2 2 2 9︸り乙 9乙り乙 9乙9乙り乙 9乙9乙り乙 り乙り乙り心 ︱り乙 3 4 5 6 り乙n乙 N CN QりQJQJ 444 Ln Lrhn 序  論 目 緒  言 ポリシロキサン誘導体の合成 ポリシロキサン誘導体の機能 本論文の概略 参考文献(第1章)

官能基ペンダント型ポリシロキサンの合成 緒  言 コバルト(II)フタロシアニンペンダント型 ポリシロキサンの合成 1 序 2 ポリシロキサン側鎖へのコバルト(H)フタロシアニン   の導入 3 可視吸収スペクトル 4 実 験 ピリジンペンダント坦ポリシロキサンの合成 1 序 2 ポリシロキサン側鎖へのピリジン環の導入 3 実 験 イミダソールペンダント型ポリシロキサンの合成 1 序 2 ポリシロキサン側鎖へのイミダソール環の導入 3 実 験 側鎖型液晶性ポリシロキサンの合成 l 序 2 ポリシロキサン側鎖へのメソゲンの導入 3 実 験 結  言 参考文献(第2章) 1 1 ︰ 1 1 1 n cxMN。      11 20 22 22 2 2 3 3 3 3 3 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5 3 7 0 3 3 3 8 1 1 2 5 8 8 8 1 2 4

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第3章 QりっJ 3 3 3. 3. 1 9/︼Qり 4 5 6

官能基ペンダント型ポリシロキサンの無溶媒下に

おける凝集状態

緒  言 ポリシロキサンの分子間相互作用と主鎖の柔軟性 コバルト〔H〕フタロシアニンペンダント型ポリ シロキサンの凝集状態 ピリジンおよびイミダソールペンダンlヽ型ポリ シロキサンの凝集状態 実  験 結  言 参考文献(第3章) 第4章 44 4 4 99 1n乙1り 44 4 44 4 4 Lr︶C QJQJ 3 44 4 5 5 6 8 59 6 6 7 7 4 9 0 2

コバルト(II)フタロシアニンペンダント型ポリ

シロキサンを触媒とする3-メチルインドールの

原子状酸素添加反応

緒  言 3,メチルインドールの酸化的開裂反応の一一般論 コバルト(n)フタロシアニンペンダント型ポリシロキサン を触媒とする3-メチルインドールの酸化的開裂反応 1 触媒反応結果 2 ポリシロキサン鎖の柔軟性の影響 3 ESRスペクトル 基質の酸素取り込み機構 1 水系の反応速度次数 2 3-メチルインドールの阻害作用 3 3-メチルインドールの酸素化機構 実  験 結  言 参考文献(第4章) 1 (nC 77 8 8 8 8 8 8 9 9 9 9 0 0 0 2 4 7 7 0 2 5 8 0 第5章 Lr︶Lr︶ 5 5 LQ Lr︶ 5. 5. ¥N C9 Ln Lr︶ Lr︶Ln 4 rD戸り7n汽︶ m cn 44

ピリジンペンダント型ポリシロキサン配位子と

する銅(II)錯体のヒドロキノン自動酸化反応

に対する触媒機能

緒  言 反応の速度論的解析法 触媒反応結果 1 Michaelis,Menten速度論パラメーター 2 熱力学的および活性化パラメーター ポリシロキサン配位子の基質吸着能 1 透析平衡法 2 ピリジンペンダント型ポリシロキサンの4-メトキシ   フェノールに対する吸着能 ESRスベクトル 電気化学的測定 実  験 結  言 参考文献(第5章)

第6章

Qq︶ G︶G︶ 6 1n乙りa4rD N Lr︶ 00 11 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 1 2 2 2 2 3 3 3 3 9 9 4 1 1 2 6 0 2 5 7

ジアルキルアミノピリジンペンダント型ポリシロ

キサンを触媒とするρ-ニトロフェニルエステル類

の加溶媒分解反応

緒  言 触媒反応結果 基質アルキル鎖長の影響 実  験 結  言 参考文献(第6章) 第7章 結  論 QN りー4 11 1 1 1 1 4 5 5 5 7 0 2 3 1 5 4 -1V・ V ・

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序  論

1 1 緒  言 ポリシロキサン[POlyorganosiloxane 1940年代工業的に用いられるように 鎖を有する代表的な高分子として注目 なっ  (RR'SiO)ぷ は、 て以来、無機系の主 されてきている。  ポリシロキサンは、様々な特性を有するがこれらは主として 主鎖の分子構造に起因するものである。ポリシロキサン中の si-o結合距離は、ケイ素上の置換基にも依存するが、1.64Å であり、それぞれの原子半径の和(1.83Å)よりも小さい。これ は、結合がイオン性を帯びていることに起因している。また、 Si-O結合は熱的に安定であるとされているが、これは結合解 離エネルギーが、110kcal/mo1であり、C-085.5、C-C82.6 Si-C 76 kcal/m。Iに比べて大きいことから理解することができ る。  数あるポリシロキサンのうち、最も広く知られ、様々な分野 で応用されているものがポリジメチルシロキサン [Polydimethylsilo-xane(PDMS)]である。 PDMSは、大き なモル体積(75.5cm3/mo1)および小さな凝集エネルギーを有す る。これは、PDMSのメチル基が容易にSi-O結合を軸に回転 できるためであることが、熱力学的、分光学的研究により確か められている。さらに、非鴬に低いガラス転移温度(-123・C) 1−

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小さな表面張力および表面自由エネルギー、低誘電率のような 特性が知られているが、これらの性質は、小さな分手間相互作 用および主鎖の柔軟性に起因するものである。また、他の特性 としては、原子状およびプラズフ酸素に対する安定性、成膜性、 高い気体透過性、疎水性、界面活性、化学的、生理学的不活性 などが挙げられる。ここに記したポリシロキサンの特性につい てはごく最近の戒告にもまとめられている≒2)。  さらに、重要なことは、上述の特性はケイ素上の置換基の種 類、置換率、性質等により変化することである。本章では、ポ リシロキサン誘導体合成に用いられる主な反応に関して最近の 報告別を引用して説明した後、近年報告された直鎖型ポリシロ キサン誘導体の機能に関して述べ、最後に本論文の目的、意義 および構成について述べる。 −2 1 2 ポリシロキサン誘導体の合成  基本的に高分子合成においては、I)モノマー合成を行った後 重合する、2)簡単な高分子を合成した後高分子反応により修飾 を行う、のいずれかの方法がとられる場合が多い。ポリシロキ サンの合成においてもこれらのうちのいずれかが用いられるが その際、用いられる反応としては、ハロゲン化ケイ素とグリニ ャール試薬などのアニオン性試薬との間の置換反応、あるいは 金属錯体、金属塩、塩基、紫外光などを触媒とする炭素一炭素 不飽和結合へのSi-H結合の付加反応であるヒドロシリル化反 応のいずれかである。前者の反応は主としてシロキサンモノマ ー合成に用いられるものであって、高分子反応に用いられるこ とは稀である。なぜならば、重合の際に、選択的にSi-X(X:ハ ロゲン)結合を残存させるのがほぼ不可能であること、また、 Si-O結合のイオン性のためにアニオン性試薬が主鎖を攻撃す る可能性があるからである。 たとえば、Pittmanおよび MCManusは3)Scheme l.1 に示すように、まずグリニャール 反応によりメチルフェニルシランを合成した後、ポリ(メチル フェニルシロキサン)をシラノールーアミノシラン縮重合によ り目的物を得ている。一般的な1、3、5、7−テトラメチルー 1、3、5、7-テトラフェニルシクロシロキサンの開環重合では高 い反応温度が要求されその温度においては分解を招くためであ る。  (1)Mg &→ (2)CH3SiH2C1 N(CH3)2 一CH3 一一三巴匹L一一HO H 巾Na,C2H50H → (2)NaOH,CH30H,H20 ? Si一CH3 晶

Scheme l.1. Preparation of poly(metjlylphenylsiloxane)by Pittmall el aj.

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また、アルキルリチウムを用いた合成法も数多く報告されてい る。たとえば、Zeldinらはい、Scheme  l.2に示すように、 3−ピリジルリチウムをトリクロロメチルシランに作用させて 得られる3-ピリジルメチルジクロロシランに直接アンモニア 水を作用させることにより重合を行い、側鎖にピリジン環を有 するポリシロキサンを合成している。さらに、これを酸化し側 鎖に1-オキシピリジン環を有するポリシロキサンを得ている。 B 『  かBuLi → Li !{EUミミリダi●・-(cH3)3sio        CH3 j221iE!L〃,cl−sli-cl j21jl!ニ↓,       心

CI C03H

i(CH3)3→(CH3)3Sio

Scheme l.2.Preparation of polyorganosiloxanes functionalized with 3-Pyridyl or 3-(1-oxypyridiny1)groups  一方、ヒドロシリル化反応(Eq.0.1))は、シロキサンモ ノマーの合成および高分子修飾反応のいずれに対しても用いら れる反応であり、なおかつ最も頻繁に用いられているものであ る。   | −Si   l H +ン /X  C  一一   Cat. →   | | | −Si-C-C−   I I I Eq.(1.1) 本反応の均 ̄系触媒としてはヽRh(PPh3)3CIなどがよく知ら れてはいるか、最も頻繁に用いられ最も有効なものが、 Speiel触媒と呼ばれる塩化白金酸(H2PtC16)である5).本 反応機構については、詳細は明らかでなく幾つかの推測がなさ れているが一般的に受け入れられているのは、Scheme 1.3に ・ ・ ・ ・ ・ I I I ■ ● − ・ 4 示すようなChalkおよびHarrodが提案した機構である引。彼 らはまた、ヒドロシリル化反応においては酸素が不可欠である \/ SI/l゛I ≪ ・ | M− | 1 R3SiH → ← +  R3Si 〃RI  ← ﹄ S −M−  \/ R3 / 1 1

H 1

Scheme l.3.Chalk-Harrod mechanism for hydrosnation reaction with homogeneous catalyticsystems

ことを述べており、それに伴い、黄色の白金コロイドが生成さ れることも述べている。 Lipowitzら7)あるいはGrayら8)は、 触媒溶液調製後4週間以上経過したものにおいては、Pt(II)お よび Pt(O)が存在しており、これらのために白金コロイドが Eq、(1.2)に従い形成されることを報告している。 Eq.(1.2)に よると白金コロイド生成に際しては、シロキサン主鎖の架橋が 必然的に起きることになる。 2( ふ  |        |  | H)+Pt(II)十[O]→,-Si-O-Si一十Pt(O)十H2        1  1 Eq,(1.2) また、Scheme 1.3のような反応機構が存在するとすれば、炭 素一炭素多重結合と金属との間の相互作用が必要であり、触媒 に対し配位能力を有する官能基を用いた反応においては触媒被 毒が起きる可能性がある。たとえば、Mazurekら9)は、 Eq.(1.3)に示すようなジクロロジメチルシランと4、ビニル 5

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ピリジンとの間のヒドロシリル化反応において、その収率が (渋 CトSi   l l l CI

ベ   千1

 `NI  →   J12)2

Eq,(1.3) 15%以下となることを報告している。また、ヒドロシリル化 反応に対し、頻繁に用いられるもう1つの触媒がKarstedt触 媒と呼ばれるビス[ジ(η2-ビニル)テトラメチルジシロキサン] 白金(O)であるloコ)。 Karstedt触媒を用いたヒドロシリル化 反応の場合、酸素の存在が不可欠であり、それとともに白金コ ロイドの生成が報告されている。その反応機構についてLewis は、Schemel.4に示すような機構を提案している12)。 バペyト O  PtO  O H2十R"OSiR: H−0  R →-  R3・ H I − I I     S R"OH R"=H、alj `JPtxo(O-O)

denotes Ptxl': p】atinum col】oid

  H    I R3Si ゝ j Pty o i large colloid y>x 一 2十Silicon Products yPtj)(o-o)

Scheme 1.4.Mechanism for hydrosilation reaction with Kafstedt's catalyst ProPosed by Lewis 一 一 一 一   − 6 Lewisが提案したこの機構は、まず触媒とケイ素化合物が酸素 を助触媒として反応を起こしその後オレフィンが攻撃を行うと いう点でChalk-Harrod機構とは異なるものであり、白金コロ イドが触媒として作用し、さらに大きな白金コロイドに成長す ることにより、表面積の減少を招き失活していく過程や高分子 修飾反応においてはSi-Si結合形成により架橋を招く過程も説 明することができる。  次節では、本節で述べていないポリシロキサン誘導体の独特 な合成手法および近年報告がなされている直鎖型ポリシロキサ ン誘導体の機能について述べる。 7

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1 3 ポリシロキサン誘導体の機能  本節では、1節で述べたようなポリシロキサンの機能の向上 のために、近年報告された主な側鎖官能性ポリシロキサンにつ いてその特徴および問題点について述べる。  まず、ポリシロキサンの耐酸化性の向上を図った例として PittmanおよびMCManusは3)、ポリ(メチルフエニルシロキサ ン)(PMPS)を用い、Cr(CO)6との錯体化を行い、がートリカ ルボニルクロム錯体を有するポリシロキサンを合成し、その熱 分解にoいて検討している.C「(CO)6との錯体化においては、 C「(CO)6の存在によりシロキサン宝鏡の切断が進行すること を報告している。また、窒素雰囲気下ではPMPSに比べ、錯体 化されたものは熱安定性に欠けるが、酸素存在下においてはま ずクロムの酸化が進行するため、酸素に対する抵抗性が増加す るとしている。  ポリシロキサンの耐熱性を利用した一例としてガスクロマト グラフィーカラムにおける液相への応用が挙げられる。一般に はヽPDMSが頻繁に用いられているが、BayerおよびFrank口) は、立体選択的な分離能の向上を図るため、Seheme l.5に示 すようにポリシロキサン側鎖へ光学活性部位の導入を行ってい る。 この液相は70-240・Cの温度範囲で安定であり、200・C で一ケ月以上おいても変質しないと報告している。ジメチルシ ロキサンユニットは疎水性相互作用を増大させるのに有効であ り、側鎖官能基間相互作用を緩和させ光学活性部位と基質の間 の水素結合形成による相互作用を発現させるのに有効であると している。  また、ポリシロキサンは生物学的に不活性であるとされるこ とからドラッグキャリアーとしての研究もなされている。たと えば、Bachrachらは14)、ジメチルシロキサンーメチルシロキ サン共重合体にヒドロシリル化反応によりカルボキシル基、ア ミノ基、水酸基を有する側鎖を導入したものに対し、ジシクロ ヘキシルカルボジイミドを縮合剤として用い薬物を導大してい 8 C1− CH3 1 Si−CI+CH2=CH-CH2-CNIH Γ−にIIL

H2PtC16    (か →cl−¥一cl        (CH洵        &   CH3 cHrsli y[   脳 ご Im

ご首ニこ。訂天

CHI  I SiO・ .!.. (CHz)3

一犬

y‰ jH3 CH3 SしCH, & 3  clo  & 。C!H.l・  c!oxE・・

Scheme l.5.Prearation of chiral organofunctional polysiloxane for stationary liquidsin gas chfomatography

る。 しかしながら、このヒドロシリル化反応においては、いず れの官能基も導入する際に保護が要求される。側鎖にカルボキ シル基あるいはアミノ基を有するポリシロキサンの合成に関す る他の報告もなされているのでここで紹介しておく。 Ohyanagiらは15)、3-シアノプロピルメチルジクロロシランを 原料とし、Eq.(1.4)に示すような手法でポリ[(3-カルボキシ プロピル)メチルシロキサン](PCPMS)の合成を報告している。 CI− ?3 Si-CI  I (S;2)3 三こ

号升。

ユーL

馬O町︲︲ C一一−卯一一 H Eq.〔1.4〕 9−

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さらに、Katayamaらは16へPCPMSが硫酸触媒下、メタノー ル、エタノール、エチレングリコールにより容易にかつ定量的 にエステル化を受けることを報告している。 PCPMSに関して は、酸素透過膜としての報告もなされており17)、カルボキシ ル基を有することにより酸素透過性は1/500になるが、酸素の 窒素に対する選択性は2.5倍に向上するとしている。酸素透過 膜としての研究に関しては、その側鎖アルキル鎖長やベンゼン 環の有無に関して詳しく述べた報告もなされている18)。また Koyamaらは19)、側鎖にアミノ基を有するポリシロキサンを Eq. (1.5)に示すように、ポリ[(3-シアノプロピル)メチルシ ロキサン]を水素化リチウムアルミニウム(LiAIH4)により還元 することにより合成している。    LiAIH4 →HO H Eq.(1.5)  次に、ポリシロキサンのガラス転移点が異常に低いことを利 用している一例として側鎖型高分子液晶の主鎖に用いたものが 最近数多く報告されている。一般に、側鎖型高分子液晶はガラ ス転移点以上の温度において液品性を示す。より低温で液晶性 を発現させるためにその主鎖としてポリシロキサンを用いるの である。最初の報告例はFinkelmannら2o)によりなされたもの で、ポリ(メチルシロキサン)に対しコレステロールやビフェニ ル系のメソゲンをヒドロシリル化反応により導入したものであ る。その後、さまざまなメソゲンが導入されているが2ぃ、ポ リシロキサン側鎖への導入にはヒドロシリル化反応が主として 用いられている。最近では、シクロアルカン22)、スチルペン 23,24) クラウンエーテル25.26)、フルオレン271のような骨格を 有する、あるいはフォトクロミズムを示すスピロピラン部位を 導入した もの2s)、あるいはbiaxialネマティック相を示す2oo) 10 側鎖型液晶ポリシロキサンの合成が報告されている。  ポリシロキサンの疎水性に着目した研究例も多数報告されて いるが、ここでは、最近の報告について幾つか紹介する。 Niinoらは31)ヽEq.(1.6)に示すように、ポリ[(3-クロロプロ ピル)メチルシロキサン]をピリジン中で還流することによりカ チオン性の水溶性ポリシロキサンを合成し、メチルオレンジの 吸着について検討している。彼らはピリジニウムカチオンと共 重合化されるユニットの官能基を変化させることによりメチル オレンジの吸着に疎水性相互作用が大きく関与していることを 報告している。

千千十

   Pyridine → m石︲l ユL R=-CH=CH2,-(CH2)5-CH3,-(CH幽でH3.-(CH2)17-CH3,,cyclohexyl, phenyl Eq.(1.6)  Koyamaらは32)、側鎖にアミノ基を有するポリシロキサン の銅(II)錯体に関して、アスコルビン酸およびヒドロキノンの 酸化反応に対する触媒機能についての報告を行っている。彼ら はシロキサン主鎖の柔軟性のために銅(II)錯体は比較的コンパ クトなコンホメーション状態をとるため、疎水性ドメインの形 成が効率良く行われ、ドメイン中の銅(II)イオンの局所濃度の 増大および基質のドメイン中への取り込みに有効であることを 報告している。また、電子移動過程における大きな速度定数値 についてもポリシロキサンの疎水性効果のためと説明している。 さらに、コンホメーション状態が水素イオン濃度に対して鋭敏 に反応し中性領域において有効な疎水揚が形成されることを 6-ニトロベンズイソオキサゾールー3−カルボン酸の脱炭酸反応 の速度定数値の増大から確認している。 しかしながら、反応の 熱力学的側面からの議論はなされていない。 1 1 −

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 また、Zeldinらは33・34)、側鎖にオキシピリジル基を有する ポリシロキサンを合成し、酸塩化物とカルボン酸塩からの二相 系カルボン酸無水物合成および二相系ジフェニルホスホロクロ リダートの加水分解における相聞移動触媒に用いている。彼ら の報告によると対応する低分子触媒アナログおよびビニル系ポ リマーよりも高い活性を示し、ポリシロキサンにジメチルシロ キサンユニットを導入した共重合体ではさらに高い活性を示す ことをその反応収率の向上から報告している34)。また、より 親油性の基質を用いることにより収率が増大することとあわせ て考察し、ポリシロキサン触媒が高活性を示すのは反応初期の 触媒と基質の錯合体形成がポリシロキサンの疎水性のために効 率良く行われるためであるとしている。  ポリシロキサンの疎水性に着目した触媒機能に関する報告は 以上の通りであるが、触媒の再利用性等坦持高分子として扱っ た2、3の報告例を以下に紹介する。  Kavanらは35)、Scheme 1.6に示すように、紫外光触媒によ るヒドロシリル化反応により、ジフェニルホスフィン部位をポ リシロキサン側鎖に導入し、Rh(I)との健作化を行い Wilkinson型触媒を合成し、1-ヘプテンの水素化反応に対す る触媒機能について検討している。       CH3         CH3 Ph2PC1+C2H50−Sli−OC2H5こC2Hざ○−Sli−OC2H5

澗レ

 E

H31 ︵ y 馬

耳訃L

(( IH2)3CI H H y°65mo1-% 2ゴヱこなHO  紗 (( 5 H2)3 脳 2

(C2H50)2Si(CH3)2

一司万一-計L

H £j=2.5 mol-%

Scheme 1.6.Preapration of polyorganosiloxanes functionalized with diphenyl phosphine by Kavan el 「. 12 高分子化された触媒は、低分子健作触媒と比較して特に速度定 数を向上させるわけではないが、健体間相互作用が起きにくい ため、失話しにくくまた、同じポリシロキサン触媒であれば、 同じ理由により健体音量の少ないものが高活性を示すと報告し ている。要約すれば、ポリシロキサンの柔軟性が遂に活性を減 少させる一因となり得ることを述べたものである。  Aw1らは36)、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(ジフ ェニルシロキサン)、および、はしご型のポリ(フェニルシルセ スキオキサン)をCr(CO)6と健作化させ、Eq.(1.7)に示すよ うな水素化反応に対する触媒機能について検討し、3-ヘキセン 酸メチルが98%の収率で得られることを報告している。ポリ スチレン ̄C「(CO)3健作に比べて、熟安定性および錯体白身 の安定性が増大しており、再利用が可能であると報告している。 cHfH=cHCH=cHcoocH3+H2→, CHfH2 XC=C/ G!2(rx)CH3 + CH: H/ `H :y<7゛゛)c`Ecl.(1.7)  以上のように、ポリシロキサンの触媒機能に関する報告にお いては工業的な応用面について検討されているもの、あるいは その疎水性に着目してはいるものの反応収率あるいは速度定数 の向上のみから議論を展開しているものが大部分である。  ここでは、詳細には述べなかったが、最近ではイオン伝導膜 として用いるためにオリゴ(オキシエチレン)を37-39)、抽出剤 として用いるためにクラウンエーテルを40、41)、また、電極被 膜として用いるためにフェロセン42)やビオロゲン43)を導入し たポリシロキサン誘導体の合成も報告されており、これからさ らに、さまざまな機能を有するポリシロキサン誘導体の合成や 機能についての研究が待たれるところである。 13

(13)

1 4 本論文の概略  3節で述べたように、ヒドロシリル化反応を適用しないポリ シロキサン誘導体の合成に関する報告も近年増加してきてはい るか、シロキサン主鎖のイオン性のため強酸あるいは強塩基を 反応に用いることが困難である等の理由により高分子修飾反応 においては用いられる反応に限界がある。シロキサンモノマー の合成が容易であれば好都合なのではあるが、シロキサンモノ マーは一般的に化学的に不安定(加水分解性)なものであり、 また、嵩高いあるいは会合し易い官能基を有するモノマー合成 は生成物が高沸点を有するようになり、その精製が困難となる 場合が多い。モノマーの精製が困難な場合は、反応系中におい て直接縮重合を行う方法もあるが、モノマー合成にヒドロシリ ル化反応を用いた場合は、金属触媒存在下での重合となるため 結局高分子修飾反応を行った場合と同様に金属鉄鉢触媒から生 成する金属コロイドの除去という点で問題が残る。また、2節 で述べたように金属配位能を有する官能基を用いるヒドロシリ ル化反応においては、触媒被毒のために反応が進行しにくくな る場合もある。さらには、Scheme 1.4に示したように幾つか の副反応も不可避なものとなる。以上のような問題点のために これまでのポリシロキサン誘導体合成には限界があった。  そこで、まず本論文では、酸塩化物を側鎖に有するポリシロ キサン(ポリ[(3-クロロカルボニルプロピル)メチルシロキサ ン])を合成し、水酸基あるいはアミノ基を有する化合物との 高分子修飾反応による数種の官能基の導入について第2章で述 べる。本研究では、共役系大環状配位子を有する金属フタロシ アニン、検索芳香環であるピリジンおよび活性イミノ基の保護 が要求されるイミダゾール、また、液晶性を示すコレステロー ルやビフエニル系のメソゲンを取り扱った。特に、金属フタロ シアニン、ジアルキルアミノピリジン類およびイミダゾール環 を有する直類型ポリシロキサンに関しては初めての合成例であ る。続いて第3章では、合成されたポリシロキサン誘導体の無 一 14− 溶媒下における凝集状態について述べる。ポリシロキサン主鎖 の柔軟性のために官能基間相互作用が発現し易くなるものと予 想されるが、凝集状態に影響する要因についてDSC測定およ びIRスペクトルから検討した結果について述べる。  さらに、上述のような性質が高分子触媒への応用に有効であ ると考えた。これまでになされているポリシロキサンの高分子 触媒機能についての研究においては、3節で述べたように、工 業的な応用面について検討されているもの、あるいはその疎水 性に着目してはいるものの反応収率あるいは速度定数の向上の みから議論を展開しているものが大部分であり、ポリシロキサ ンの疎水性や柔軟性といった特性について、基本的な動力学的 あるいは熱力学的定数等の詳細から明確な説明を与えている報 告例は皆無である。本論文ではポリシロキサン誘導体の高分子 触媒機能について検討する際に、ポリシロキサンの特性が触媒 反応の様々な過程において有効であることを触媒反応における 熱力学的定数あるいはポリシロキサンの凝集状態や溶存状態等 から明らかにした。  まず、第4章では、コバルト(II)フタロシアニンペンダント 型ポリシロキサンを触媒とする有機溶媒中における3-メチル インドールの酸化的間数反応について述べる。 3-メチルイン ドールの酸化的間髪反応は、トリプトファンー2、3−ジオキシ ゲナーゼのモデル反応としてこれまでに金属錯体触媒を用いた 反応例が知られているが、高分子触媒を用いた例は一例もなく また、その反応機構に関しても確立されていない。本研究では コバルト(II)フタロシアニンペンダント型ポリシロキサンの触 媒効果について反応収率あるいは触媒の溶存状態から述べると ともに、反応中の酸素消費量から求められた反応速度式および 錯体のESRスペクトルからの反応機構へのアプローチについ ても述べる。第5章では、ピリジンペンダント型ポリシロキサ ンを高分子配位子とする銅(II)錯体のヒドロキノンの水系溶媒 中における自動酸化反応に対する触媒機能について述べる。異 なる構造を有するポリシロキサン配位子を用い、Michaelis、 15

(14)

Menten速度論パラメーターから算出された熱力学的および活 性化パラメーターからポリシロキサンの特性が本触媒反応に顕 著に現れていることをポリシロキサンの基質吸着能、錯体周辺 部の環境とあわせて説明する。本章の結果は、水系溶媒中でポ リシロキサンを高分子触媒として用いた際に、その疎水性の効 果も認められるが、それとともに主鎖の柔軟性の効果が顕著で あることを明らかにするものである。 さらに、第6章では、 SuPernucleophileと呼ばれるエチルメチルアミノピリジンお よびピペリジノピリジン部位を側鎖に有するポリシロキサンの 求核的触媒作用について述べる。基質としては、アルキル鎖長 の異なるρ-ニトロフエニルエステル類を用いている。 5章の場 合と同様にMichaelis-Menten速度論パラメーターから算出 された熱力学的および活性化パラメーターについて検討したと ころ、触媒一基質間の疎水性相互作用の存在を明確に説明する ことが可能であった。本章の結果は5章で述べた基質取り込み 段階の疎水性相互作用の寄与を支持するものである。  最後に、第7章では本論文を総括し結論を述べる。 一 16− 参考文献(第1章)

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(16)

第2章

2 1−ム目

旨基ペンダント型ポリシロキサンの合成

1 緒  言  近年、直談型ポリシロキサンの側鎖に様々な官能基を導入し その機能の向上を図る試みがなされてきていることは、第1章 で詳しく述べた。第1章で述べたように、ポリシロキサン誘導 体合成に適用される主な反応としては、シロキサンモノマー合 成にはケイ素−ハロゲン結合に対するアニオン性試薬との置換 反応およびヒドロシリル化反応が、また、高分子修飾反応では ヒドロシリル化反応が挙げられる。これらの合成法における問 題点を解消するために、本研究では、側鎖に酸塩化物を有する ポリシロキサンを合成し、これとアミノ基や水酸基を有する化 合物との高分子修飾反応に 金属フタロシアニンの中で り よ も 官能基を導入した。 2節では 酸化触媒活性についての報告が数 多くなされており、また、ビタミンB12モデルとしての研究が なされているコバルト(II)フタロシアニンのポリシロキサン側 鎖への導入について述べる。 3節では、金属イオンと錯形成が 可能な官能基としてピリジン環の導入について、4節では、活 性イミノ基の保護が要求されるイミダゾール環の導入手法につ いて述べる。第1章で触れたように、近年側鎖型液晶性ポリシ ロキサンの合成が数多く報告されているが、触媒の還元により 生成する金属コロイドの除去の問題は依然解決されておらず、 20 高分子液晶の場合その光学的性質を考慮すると、この問題は生 成物に大きな影響を与えることが考えられる。 しかしながら、 本合成法を用いることにより触媒を用いることなくメソゲンが ポリシロキサン側鎖に導入される。これを5節で述べる。 21

(17)

2 2 2 2 1 コバルト ポリシロ 序 (II)フタロシアニンベンダン キサンの合成 ト 型  金属フタロシアニンは、テトラアザポルフィリン骨格を有 する極めて安定な大環状配位子の金属健作であり、大きなπ電 子系の中という特殊な電子環境の中に金属イオンがおかれてい る。従来、金属フタロシアニンは顔料や染料として使用されて きたが、近年、触媒や電子、エネルギー変換などの機能分子と して注目されている1・2)。金属フタロシアニンが触媒として用 いられる理由は次のとおりである。1)配位子が高度に共役化さ れているのに加え、平脂性が高く第5、第6配位座に他の電子 供与性分子が結合し易い、2)多核芳香環は電子供与作にも電子 受容体にもなり得る、3)中心には種々の金属が入り、触媒反応 の種類が多い、4)耐熱性が高い。また、金属フタロシアニンは 溶媒への溶解性に乏しく中心金属のアキシャル位において相互 作用を生じるような電子供与性の溶媒にのみ溶解する。溶解性 の向上のために、様々な官能基を有する金属フタロシアニンが 合成されてきているが、高分子側鎖にこれを導入するのも一つ の手段となる。一方で、金属フタロシアニンは、溶液中におい て会合する傾向がある。金属フタロシアニンの会合は、触媒活 性点となり得る第5、第6配位座への反応基質の接近を阻害す ることになる。これを高分子側鎖に導入するということは、高 分子鎖の立体障害により会合を阻害するという観点からも有効 な手段となる。  このような観点から、金属フタロシアニンを高分子側鎖に導 入し、高分子触媒としての機能3'7)、特に、酵素類似反応に関 する研究報告が近年なされている3・4)。本研究では、トリプト ファンー2、3−ジオキシゲナーゼのモデル反応として知られる 3-メチルインドールの原子状酸素添加反応に対する触媒とし て用いるため(第4章で詳しく述べる)に、コバルト(II)フタ 22 ロシアニンを側鎖に有するポリシロキサンをポリ[(3-クロロ ルボニルプロピル)メチルシロキサン](PCCPMS,2)およ 2,9,16 ,23−テトラアミノフタロシアニナトコバル (II)(TACo(H)Pc,3)から合成した。 2 2 カ び ト 2 ポリシロキサン側鎖へのコバルト(II)フタロシア ニンの導入 Scheme 2.1に、原料となるポリマー2の合成経路を示す。   皆 C1−Si−CI    I   (CH2)3    1   CN  H20 →  SOCI2 →HO (gH3 slio ̄− (( y H2)3 Joc1 2   H20 →HO   H十 ∼“2C ∼ よ H 1

Scheme 2.1. Preparation of poly[(3-chlorocarbonylpropyl)methy】siloxane]

まず、 ジクロ られる H Ohyanagiらの手法8)に従い、3、シアノプロピルメ ロシランを原料とし、これを加水分解することによ 環状オリゴマーを50vo1.-%の硫酸で開環重合する チ り W 心 ル 得 と によりポリ[(3-カルボキシプロピル)メチルシロキサン](1)を 得る。ポリマー を作用させるこ 1に対し、クロロホルム溶媒中、塩化チオニル とにより定量的にポリマー2を得ることができ た。 カルボキシル基の酸塩化物への変換は、IRスペクトルC 23

(18)

HO HO (曹 SiO−  | (SH2)3 COC1 TACo(II)Pc(3) →  H20 TACo(II)Pc(3) CH30H 勁 'SiO−  l ((iH2)3 COOH H2N χ 尹 SiO − (CH2)3 j。 如 5

別I 勁 Sio l ((iH2)3 COOH H2N ((iH2)3 . cooc町 2 y H

器−匹

−ぷ

NH2 4a-d 2

Scheme 2.2.Preparation of polyorganosiloxanes functionalized with phthalo-cyaninatocobalt(II)moiety 一 24 y おける1700cm-1のカルボニル伸縮振動の吸収バンドが 1800cm-1に現れることから確認した。  ポリマー2へのコバルト(II)フタロシアニンの導入は、 Scheme 2.2に示すように、ポリマー2とTACo(II)Pe(3)を 1-メチルー2-ピロリジノン(MP)溶媒中窒素雰囲気下で24時間 撹拝することにより行った。ポリマー5は反応系中に同時にメ タノールを加えることにより合成した。 MPを溶媒としたのは、 反応を均一系で行うためである。  反応仕込時の酸塩化物残基に対するTACo(II)Pcあるいはメ タノールのモル比および生成物の組成をTable 2.1に示す。

Table 2.1. Results of the preparation of polyorganosiloxanes(POS)functionalized

with phthalocyaninalocobalt(II)moiety Polymer  102 Ratio        ofr3]/「COCI」        inlhefied 4a 4b 4C 4d 5わ 1.94 4.79 10.3 21.3 5.00 Ratio of [melhanol]/[COC]] inthe&ed 一 一 一 一 − 一 一 一 一 − 5 102Ratio of[3]to{[31+ [COOH]lin resultingPOS 0 , 3 , 4 , 1 , 1 64 44 69 98 71 avalues

calcula紀d from the mole number of mononlerunjts. bDegreeofmethyl-esterincationwas88.50mol-%. Yieldα in% 46 38 34 14 75 ポリマー4a-dは、TACo(II)Pcが溶解するN、N-ジメチルホ ルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)だけでな 25

(19)

く、アセトン、テト およびメタノールに ラヒドロフラン(THF)、1、4-ジオキサン も溶解する。ポリマー5はさらに、クロロ ホルムやジクロロメタンにも溶解する。  仕込時のモル比が0.103以下の場合、ポリマー4中の TACo(II)Peユニットの含有量は、仕込時のモル比の増加に従 い、増加している。 しかし、含有量の増加の割合は仕込時のモ ル比の増大に従い、減少している。これは、嵩高い官能基であ るTACo(H)Peが導入されていくにつれ、立体障害の影響が顕 著になるためと考えられる。一方で、仕込時のモル比が 0.213 になるとTACo(II)Pcの含有量は減少している。 これ は、TACo(II)Pcが4官能性であることに起因しており、仕込 時のモル比が増大すると分手間酸アミドの形成により架橋生成 物が増加してくるためであると考えられる。 このことは、 5mol%以上のTACo(II)Pcユニットを有する生成物は得られ ないことや収率がTACo(II)Peユニット含有量の増加に従い減 少してくることからも推察される。 このような傾向は、 W6hrleら9)により他の同様な系において報告されている。こ こで示した結果をまとめると、仕込時のモル比が大きくなる 架橋生成物が増加し、生成物の収率が滅少してくるというこ と と になる。  また、酸塩化物残基を加水分解しカルボキシル基とするため 反応後、反応溶液を水中に注ぐ操作が必要であるが、この操作 の前に反応系中にクロロホルムを加えている。これは、生成物 の架橋を防ぐために必要となる。これを加えない場合、反応溶 液は即座に水と混合し、生成物が沈澱してくる。その際、沈澱 した高分子中で、部分的に加水分解されたカルボキシル基と酸 塩化物残基との間で説塩化水素により酸無水物構造が形成され 架橋を生じる。このことはここで生じる架橋生成物のIRスペ クトルにおいて酸無水物構造の存在を示す1820cm-1の吸収バ ンドが観測されることから示唆される。反応モデルをFig. 2.1に示す。 26 →

Figure 2.1 Reaction modeHor the crosslinking of POS by formation of carboxylic anhydride structures. 酸塩化物残基が加水分解を受けていないポリマーは、クロロホ ルムに溶解するため、生成物が広がったコンホメーション状態 をとったまま水との界面で加水分解が進行した後沈澱してくる ため、酸無水物を形成することなく可溶性の生成物を得ること ができる。 2 2 3 可視吸収スベクトル  Fig. 2.2(a)にTACo(II)Pc、ポリマー4a、5のDMF中に おける可視スペクトルを、また、Fig.2.2(b)には、メリマー 4aのメタノール中、ポリマー5のメタノール、THF、ジクロ ロメタン中の可視スペクトルを示す。ポリマー4aおよび5の 極大吸収波長がTACo(II)Pcのそれと異なるのは TACo(II)Pcが溶旅中においてポリマードメイン中に存在して いることに起因している。フタロシアニンのQ-バンドに関し ては、賛波長側の吸収バンド(例えば4aのDMF中の場合、 680nm)および短波賛仰のそれ(例えば4aのDMF中の場合、 620nm)は、それぞれフタロシアニン単量体お 起因する吸収バンドであることが報告されている 27 よび二量体に 10‘ 1 2 )。

(20)

eQueqJosqV eoueqjosqv 2.0 1 500 2.0 0 1 500 600 700

Wavelength

in nm

600 700

VVavelength in

Figure 2.2(a)Visible spectra of TACo(II)Pc(・

 800 nm 900 900 ),polymers 4a (一一一一),and5 )and 5 in Table 2.2にはそれぞれの場合の極大吸収波長およびQ-バン ドにおけるshoulder peakの波長をまとめてある。 DMF中に おいては、ポリマー4a、5 のいずれも単量体がより多く存在 していることが明らかである。これは、DMFとフタロシアニ ンアキシャル位との間に相互作用が働いているoパ4)か、ある いは、ポリマー鎖の立体障害の影響のためであると考えられる。 一方、メタノール中においては、4aの場合、DMF中のスペク トルと大きな差異は見られないが、5の場合、メタノール中で はDMF中と比較してフタロシアニン単量体の二量体に対する 存在比が小さくなっている。 メタノールはフタロシアニンアキ シャル位との相互作用はほとんどないものと考えられる。ポリ マー4aと5の差はカルボキシル基の含有量であり、4aの場合 フタロシアニンを合むユニット以外の全てのユニットがカルボ キシル基を有しており、5ではカルボキシル残基の約90%がメ チルエステル化を受けている。これらの結果からポリマー4a では、カルボキシル残基問やカルボキシル残基とフタロシアニ ン環のアミノ基との間の水素結合形成のためにフタロシアニン

Table 2,2. Wavelength of maximum absorption for solutions of TACo(II)Pc,4a. and5. Compound TACo(II)Pc a a 44555″3 Solvent DMF DMF Methanol DMF Methanol THF Dichlorometh皿e       Wavelength/ nm

Maximum absorption Shoulder peak

29 706 680 680 677 671 682 673 640 620 614 620 627 630 625 (-・-一一)inDMF; (b)visible spectla of polymers 4a in methanol (・

−28−

●    ・    − ■■

methanol(-一一一一),inTHF (-一一)and in dichloromethane(-・・-・・-);concentration of phthaJocyanine unit: 2.0 × 10'5 mol dm'3.

(21)

のスタッキングが抑制を受け、ポリマー5では、 素結合がほとんど存在しないため、フタロシアニ キングが容易に起き得ると考えられる。 2 1 このよう ン環のス な水 タッ .2.4 実 験 試薬: 合成反応および吸収スペクトル測定に用いた溶媒 一 一 ル リ た せた溶液をろ過した。ろ液に対し、50wt.-%の水酸化カリウ ム水溶液をpHが9になるまで加えると沈澱が生じた。この沈 澱物をろ過により回収し、水、メタノールの順に洗浄を行い、 減圧下80・Cにおいて乾燥することにより目的物を得た。 元素分析: C32H2oN12Co(631.5)Calc.C 60.85、H 3.20、N 26.62、 Co 9.33       Found C 60.53、H 3.27、N 26.50、Co 9.04 吸収スペクトル(DMF): λ、。。/nm(ε(d 「mol'l cm-1))= 322 (77800)、640(27800)、706(67600)  ポリマー4aの合成:  窒素雰囲気下三つロフラスコ中、 0.0839g『O』33mmol)のTACo(II)Pcを20mlの1-メチルー2-ピロリジノンに溶解させた。この溶液に、1.65g(6、85mmo1) のポリマー2のMP溶液を滴下し室温で24時間撹拝した。次に 反応溶液に対し20m1のクロロホルムを加えた後、酸塩化物残 基をカルボキシル基へ加水分解するため、この溶液を11の水 に注ぎ、30分間撹挫した。暗青色の生成物が沈澱した後、上 澄み液を傾斜法により除き、残留物に20mlのTHFを加え、未 反応のTACo(II)Pcおよび架橋生成物を除くためろ過した。溶 媒であるMPを除くため、ろ液を11の水に注いだ。この再沈 澱の操作は3度繰り返した。さらに、未反応のTACo(II)Pcを 完全に除くため、アセトン/水系で同様の操作を3度行った。 残留した生成物を水で洗浄した後、5m1の1、4-ジオキサンに溶 解させ、この溶液をナス型フラスコ中で薄膜状に凍結させた後 凍結乾燥することにより目的物を単離した。 TACo(H)Pcの含 有量は、原子吸光分析から求められたコバルト含有量より決定 した。  ポリマー5の合成:  窒素雰囲気下三つロフラスコに 0.2163g(0.343mmol)のTACo(II)Pcを1.1 0 g (34.25mmol)のメタノールとともに20mlの1−メチルー2−ピロ リジノンに溶解させた。この溶液に、1.65g(6.85mmol)のポ リマー2のMP溶液を滴下し室温で24時間撹挫 応溶液に対し20m1のクロロホルムを加えた後、 31 した。次に、反 酸塩化物残基 は全て関東化学より購入し適当な脱水剤を用いて蒸留すること より精製した後、用いた。 4−ニトロフタル酸は東京化成よ り購入したものを、また、無水塩化コバルト(II)、尿素、モ ブデン酸アンモニウム、塩化チオニルは関東化学より購入し ものをそのまま用いた。

ポリl(どコ三三包三笠

ン】(2):  Ohyanagiら プ ー 8) ロピル)メチルシロキサ の報告に従い合成した 1.0g(6、85mmol)のポリL(3-カルボキシプロピル)メチルシロ キサン](1)を三つロフラスコに取り、これに窒素雰囲気下、溶 媒として乾燥クロロホルム20mlを加えた。 さらに、 24.45g(205.5mmo1)の塩化チオニルを加え、室温において4 時間撹抑した。クロロホルムと過剰の塩化チオニルを減圧下除 去することにより目的物を得た。 IR(NaCI): 1 1700 cm’1(vs,C=O),2 1800 cm-1(vs, C=O)。 平均分子量:M。・18000; MwノM。・1.8(THF溶媒中ポリス チレン標準のGPCより決定) ル 2,9,16,23 テトラア ミノフタロシアニナトコバルト (目)圭TACO トラニトロフ 目 Pc,隻1: タロシアニナ 化ナトリウムで還元するこ Zwartら15)の報告に従い、  TACo(II)Pcは、2、9、16、23-テ トコバルト(11)(TNCo(II)Pc)を硫 とにより得た。TNCo(II)Peは、 4-ニトロフタル酸、無水塩化コバ ト(II)、尿素、モリブデン酸アンモニ した。 た。 合成されたTACo(II)Pcに対し ウムを原料として合成 次のような精製を加え 1.0gのTACo(H)Pcを11の0.3mo11 の塩酸に溶解さ 30

(22)

をカルボキシル基へ加水分解するため、この溶液を11の水に 注ぎ、30分間撹拝した。 クロロホルム層を分取し、ろ過した 後、水で3度洗浄した。無水硫酸ナトリウムによりクロロホル ム層を乾燥し、クロロホルムを留去した。減圧下、80・Cにお いて乾燥し、目的物を単離しか。  装置: 可視吸収スペクトルは、日立U-2000分光光度計に より測定した。原子吸光分析は、島津製作所AA-640-01原子 吸光分光光度計により行った。 32 2 2 3 3 1 ピリジンペンダント型ポリシロキサンの合成 序  第1章で述べたように、近年金属イオンに対し、配位能を有 する官能基をポリシロキサン側鎖に導入する試みが数例報告さ れている。しかしながら、金属イオンに対し、配位能を有する ということはヒドロシリル化反応において触媒との相互作用の 発現すなわち触媒被毒に帰着することが考えられる。実際、 Mazurekら16〕は、メチルジクロロシランと4-ピニルピリジン との間のヒドロシリル化反応においては低収率に帰着すること を報告している。そこで、本節では高分子金属錯体触媒の配位 子として用いる目的(詳細は弟5章で述べる)で、ポリ[(3-ク ロロカルボニルプロピル)メチルシロキサン](2)とアミノ基や 水酸基を有する数種のピリジン誘導体(4-アミノピリジン、 4-ピコリルアミン、4-ヒドロキシメチルピリジン、4-(2-アミ ノー1-エチル)ピリジン、4-(3-アミノー1-プロピル)ピリジン 4-[(2-ヒドロキシエチル)メチル]アミノピリジン 、4-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジノ]ピリジン)との間の高分子修飾 反応によるピリジン環のポリシロキサン側鎖への導入に関して 述べる。 2 3 2 ポリシロキサン側鎖へのピリジン環の導入  Seheme 2.3に、本研究で達成されたピリジンペンダント型 ポリシロキサンの合成経路および組成を示す。また、Table M ︶ 3にはピリジンペンダント型ポリシロキサンの合成結果につ てまとめた。ポリマー9−13の合成においてはカルボキシル 残基は全てメチルエステル化を受けている。 るいは生成してくるポリシロキサンがメタノ 富み容易に反応が進行することに起因するも 33 これは反応中のあ ールとの相溶性に のと考えられる。

(23)

HO・ (西 SiO − (CH2)3 Jocl 2 6 7 8 9 10 11 12 3 4 1 1 15 H Pyridine derivatives HO・ -OCH3 ゜OCH3 °OCH3 (西 SiO ・ (CH2): ぬ (西 SiO 一 (( 5 H2)3 Joが 6-15 Py: -《111JN H Table 2.3.ResultsofthepreparationofPOSsfunctionalizedwithpyridylmoiety

Polymer Ratio of     Ratio of      [pyridyld 殼ative][methanol]/      /[COC1]inthe弛ed[COC1]        inthefeed 678910 ¥ ePfMM4 I I I 1 1 run 0 4 4 0 4 4 1    1 り£ 2 − 一 一 一 一 − − 一 一 一 − 一 一 一 一 1 1 1 1 1 − 一 一 一 一 xa   yわ (mo1-%)(mol-%) 4 9 5 3 3 5 8 つ`8 7 7 7 7 7 7 7 100 100 6 1 5 7 7 5 2 8 ︲︲1 2 2 2 2 2 2 2 一 10'3肘ご MノMj 1 , 1 , 2 , 3 , 2 , 2 , 3 , 4 , 6 9 0 3 1 2 3 4 一 一 一 一 − O I  ■ II I フ ー  ー ーー ー n 7  l lI I 1 , 2 , 7 4 j j

吻)egree of pyridyl substitution(see Scheme 2.3) かContent

of unitsnot containing pyridyl groups (see Scheme 2.3) cDetermined by GPC with polystyrene standardsin THF eluent jMn°dMw脚nofPrepoly"ler(2)11sed

゛ere 2600 and 1.5,respectively・

一 一 一 一 − j d ポリマー8および11の場合を除き、収率は80-90%であった。 ここで注目すべきことは、ピリジン誘導体として4-ヒドロキ シメチルピリジンを用いた合成反応の場合のみ架橋生成物が両 生してくるため収率が50-60%にとどまったことである。 これ に関しては以下のように考えた。ピリジンは求核的にカルボニ ル基を攻撃しカルボニル基を活性化することが知られている。 活性化されたカルボニル基はアミノ基や水酸基を攻撃する(主 35 R1 -NH-Py -NH,CH2-Py -O-CH2-Py -NH-Py -NH-CH2-Py -0-CH2-Py -NH-(CH2)2-Py -NH-(CH2)3-Py      CH      13 -O-(CH2)2-N-Py -O-(CH2)2−CN−Py R2 -OH -OH -OH 'OCH3 -OCH3

Scheme 2.3.PreParation of polyorganosiloxanes functionalized with Pyridyl groups

(24)

mに燃 (CH2)3 ごぺ  C=O 姑 →・ mに 影 (CH2)3 l S I

ぐjcIJH

R

-O-Si-O-Si,    毀 →ヤー    (CH2)3    (にo    O-Si-O-十 | 別−01別 ︲C | s−O−別

Lengthening of main chain (西 ヤ' (CH2)3 (にo O-Si-O-+ 賢 一s匹 (CH2)3 昌 IO︲C−  ((7H2)3  -SiO- 岫 Crosslinking

Scheme 2.4.Mechanism for crosslinking and lengthening of main chain resulting from activationof carbonyl group by pyridyl group

反応)とともC・ 主鎖を攻撃する可能性(副反応)がある。 (Scheme 2.4)ここで述べた副反応の存在はポリマー2にピ Jジンを作用させると架橋が生じることから確認している。 Fig・ 2,3に同じ高分子前駆体(2)から合成されたポリマー6と 8のGPCクロマトグラムを示すが、これによるとポリマー8の 場合、高分子量側への分子量分布の広がりが観測される。これ 36 もScheme2.4の妥当性を支持している ミノ基を有するピリジン誘導体の場合、 化エネルギーに大差 はなく、反応生成物 の安定性のために活 性化されたカルボニ ル基は選択的にアミ ノ基と反応するが、 水酸基を有する4-ヒ ドロキシメチルピリ ジンを用いた合成反 応では、主反応によ る生成物と主鎖を攻 撃した際の生成物と のエネルギー差が小 さいため主鎖をも攻 撃するものと考えら れる ) (Fig.2.4参 。ジアルキルア ミノピリジン類のよ うに求核性が特に強 い、換言すれば、触 媒作用の強い官能基 を導入する際には、 主反応と副反応のい ずれについても活性 化エネルギーを著し く下げるため反応が 熱力学的にかつ選択 的に進行するものと 考えた。 4 1 ものと考えられる。ア 主反応と副反応の活性 18  22 26  30 Elution volume

Rgure 2.3.GeI Permeation chfomatogTams

of polymers 6 (-…−)and 8 (

37

)in THF

(25)

2 (a) k:以  CH3 -SSiO-+  l ((7H2)3 ?o CI (b) (c) したものを用いた。4-(2-アミノー1−エチル)ピリジン、4-(3-アミノ−1−プ゜ピル)ピリジンは、Mayerらの方法17)を参照し て合成した。4-[(2-ヒドロキシエチル)メチル│アミノピリジ ン、4-[4-(2−ヒドロキシエチル)ピペリジノ]ピリジンは、 Derataniらの方法18)を参照して合成した。  ピリジン誘導体のポリマー2側鎖への導入: 典型的な手 法を示す。窒素雰囲気下三つロフラスコに1.65g(6.85mmo1) のポリマー2を50mlの乾燥THFに溶解させた。 この溶液に適 当量の(Table 2、3参照)ピリジン誘導体(および乾燥メタノ ール)の乾燥THF溶液100mlを滴下し室温で24時同視拝した。 次に,反応溶液に対し20mlの水を加え溶液を均一とした後, 水中で再生セルロースチューブを用いて透析し精製した。ポリ マー8および11の場合は,透析後,生成物をクロロホルムに 溶解させ,ろ過することにより架橋物を除いた。最後に減圧下 80°Cにおいて乾燥することにより目的物を単離した。 IH−NMR(δ,ppm): 6(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m,2H,

Si-CH2-aL2),2.1-2.5(t,2H,CH2-COO),7,3-7.7(d,pyridyl),8.0-8.4(d, pyridyl)。 7(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),I.3-1.9(m,2H, Si'CH21 Si'CH2 Si'CH2 心ま2 ・ 2 , ) ) 2.1-2.5(t、2H、CH2-COO)、4、4(s、CO-NH-Q!2)、7.1 2.1-2.5(t,2H,CH2-COO),5.2(s,COO-CH2),7.2・ 2),2.1-2.5(t,2H,CH2-COO),3.6(s,COOCH3),4.4(s,CO-NH-39 娠・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ Primary readon ・・、 一一一一一一    l    Side reaction  賄゛z o (西 (阿) CI (;H20H

 CH3 -S l iO- |((7H2)3 C=O と I + 〃 ミ ゝ Cll3 4−(cH2)20H

Figure 2.4. Energy pronle for the reaction of polymer 2 with (a)4-picolylamine, (b)4-pyridinemethaJlo1,and(c)dialkylaminopyridines 3 3 実 験 試薬: 合成反応に用いた溶媒およびメタノールは、関東 38− 7.5(d,pyridyl),8.3-8.7(d,pyridyl). 8(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m,2H, 公L 7.6(d,pyridyl),8.4-8.8(d,pyridyl). 9(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m,2H, Si'CH24112)・2.1‘2.5(t・2H・CH2'COO),3.6(s,COOCH3),7.3-7.7(d,pyridyl),8.0-8.4(d,pyridyl). 10(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m,2H, 心ニL 化学より購入したものをそれぞれ適当な乾燥剤を用いて蒸留精 製して用いた。 4-アミノピリジン、4-ピコリルアミン、およ び4.ピリジンメタノールは、東京化成より購入したものを4-アミノピリジン、4-ヒドロキシメチルピリジンはベンゼンか らの再結晶により、4-ピコリルアミンは減圧蒸留により精製 Q!2),7.1-7,5(d,pyridyl),8.3-8.7(d,pyridyl). 11(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m,2H, Si'CH24112)・2.1‘2.5(t・2H・CH2-COO),5.2(s,COO-CH2),7.2-7.6(d,pyridyl),8.4-8.8(d,pyridyl).

(26)

12(CD30D):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),I.3-1.9(m,2H, Si-CH2-Q!2),2.1 3.6(s,COOCH3), 2 7 . 5(t,2H,CH2-COO),2.6-3.5(m,-NH-(Q!2)2-) 1-7.5(d,pyridyl),8.3-8,7(d,pyridyl). 13(CD30D):0.1(s・ 3H・ CH3'Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-3.5(m,Si-(E2-£瓦・CH2-COO, and-NH-(Qお)3-),3.6(s,COOCH3),4.4(s,CO-NH-Q!2),7.1-7.5(d,pyridyl),8.3-8.7(d,pyridyl). 14(CDC13): 0.](s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1.3-1.9(m Si-CH24!!2),2.1-2.5(t,2H,CH2-COO),3.0(s,3H,CH3-N-),3.4・ -CH2-N-),4.0-4.5(t,2H,COO-CH2-),6.4-6.7(d,2H,pyridyl) 2H m cx︶ 8(t、2H、 0-8.4(d. 2H,pyridyl). 15(CDC13):0.1(s,3H,CH3-Si),0.3-0.7(m,2H,Si-CH2),1,0-2.0(m,7H,

Si-CH24H2 and piperidine),2.2-2.5(t,2H,CH2-COO),2.6-3.1(t,2H,・

CH2-piperidine),3.3-4.0(m,4H,piperidine),4.0-4.3(t,2H,COO-CH2-) 6.5-6.9(d,2H,pyridyl),8.0-8.5(d,2H,pyridyl) 40− 一 2 2 4 4 1 イ 合 ミヘ 成 ダソールペンダント型ポリシロキサンの 序  従来より、加水分解酵素のモデルとして、ポリビニルイミダ ゾールやその共重合体のエステル加水分解触媒能についての研 究報告がなされている19)。その中で触媒と基質との間の疎水 性相互作用や高分子側鎖官能基による分子内協同作用などによ る触媒活性の向上が報告されている。ポリシロキサンは第1章 で述べたようにその宝鏡の柔軟性およびアルキル側鎖に起因す る疎水性に優れた高分子である。主鎖が柔軟であるということ は、側鎖官能基間の相互作用を容易にすることが予想され、ま た、疎水性に優れることから疎水性ドメインが効率良く形成さ れることが考えられる。以上のような観点からポリシロキサン 側鎖へのイミダゾール環の導入が達成されれば、興味深い高分 子が得られるものと考えられる。イミダゾール環には金属イオ ンと相互作用を行う可能性のあるピリジン型窒素が存在するた め、ピリジン環の導入と同じ理由によりイミダゾール環の導入 は、困難なものとなることが考えられる。本研究の方法を適用 するために、イミダゾール誘導体として4(5)-ヒドロキシメチ ルイミダゾールを用いた。これをポリシロキサン側鎖に導入す るためにはイミダゾール環のイミノ基の保護が不可欠となる。 イミノ基の保護基としては一般的には酸塩基処理により脱離が 可能なものを用いる。 しかし、シロキサン主鎖はイオン性を有 するため酸塩基に対し不安定であり、分解や再分配平衡を誘発 する可能性があるためそのような保護基を用いることは不適当 である。そこで、保護基として可視光照射により容易に脱離さ れる2-ニトロベンジル基(Seheme 2.5)2o)を用いたところ、 副反応を起こすことなく目的物を得ることができたので、本節 ではこの手法について述べる。 41

(27)

皿N/ 叫y C    叫  七  AN 011聚ごH 宍y 16 IAg(NH3)2卜 9H2B「

四y

皿聚ごI四

17 02

Scheme 2.5. Protection of imino group of 4(5)-hydroxymethylimidazole by 2・ nitrotx2nzylbromide

2 4 2 ポリシロキサン側鎖へのイミダソール環の導入

 Seheme 2.6に、本研究で達成されたイミダソールペンダン

ト型ポリシロキサンの合成経路を示す。また、Table 2.4には ポリマー18a-fの合成結果についてまとめた。

nble 2.4.Results of the preParation of POSs functionalized with imidazolyl group

Polymer 18a 18b 18C 18d 18e 18f Ratio of [17]/[COC1] inthe feed 0 , 0 , 0 1 1 2 5 7 9 0 5 0 Degree of imidazolyl substitution (mo1-%) 11 20 01 17 tr%C Ft∼ 10'3Mn 3 , 4 . 5 , 4 , 4 3 7 2 3 3 6 0 馬/馬 1 1 11 4 6 8 3 りー″`J II 42 一 HO 馬0 ︲に謳 C︲y−叩︲C 2

HずにH。

   加 →HO CH. J.ご Sio  l (CH:  L ご ー (ぐH2)3 COOH (?H3ISL O

(7?

?o︲ で F、 19a-f ご .t_.

゛  ‰/

ヅー゜︲で=、

18a-1 H 02 y H

Scheme 2.6.PrePalation of polyorganosiloxane functionalized with imidazolyl group・

一 43−

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