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nihon ni okeru futo ritoku ruikeiron no kanosei to henkan gimu no kozo : waseda daigaku shinsa gakui ronbun hakushi

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Academic year: 2021

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1 早稲田大学大学院法学研究科 2013年2月

博士学位申請論文審査報告書

論文題目 「日本における不当利得類型論の可能性と返還義務の構造」

申請者氏名: 宮田 浩史

審査委員:

主査 早稲田大学教授 近江 幸治

早稲田大学教授 三枝 健治

早稲田大学教授 山口 斉昭

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宮田浩史氏博士学位申請論文審査報告書

早稲田大学法学研究科博士後期課程三年宮田浩史氏は、早稲田大学学位規則第7条第1 項に基づき、2012年10月29日、その論文「日本における不当利得類型論の可能性 と返還義務の構造」を早稲田大学大学院法学研究科長に提出し、博士(法学)(早稲田大学) の学位を申請した。後記の委員は、上記研究科の委嘱を受け、この論文を審査してきたが、 2013年2月12日、審査を終了したので、ここにその結果を報告する。 一 本論文の課題と構成 1.本論文の課題 本論文は、民法の中でも大きな議論を引き起こしている703条以下の日本不当利得制 度につき、立法の原点に立ち返って、不当利得返還義務の法的構造を探ろうとする。すな わち、統一論と類型論が激しく対立する中、そもそも「不当な利得」という本質は何か、「法 律上の原因」がないとすることの現実的な形態に誤りはないのか、という制度本質の議論 について、改めて検討しようとするものである。 本論文は、まず、日本における不当利得論の通説的地位を占めている類型論について、 その発生過程・学説史及び実務における不当利得論の近時の展開を踏まえて、その内包す る課題を明らかにしようとしている。その検討成果を踏まえて、不当利得類型論の新たな 可能性を探り、不当利得返還義務の構造について、新たな視点を提示しようと試みる。そ して、これらの検討により、そもそも本来の「類型」とは何か、また、どのような類型論 が日本に適合するか、を明らかにすることを課題としている。 2.本論文の構成 本論文は、論文の目的を示す「序」に続き、「第1章 日本における不当利得論の展開」、 「第2章 日本における不当利得論の課題」、「第3章 日本類型論の可能性と返還義務の 構造」、「結語」、という構成で展開されている。第1章においては、日本における不当利得 学説の展開について、ドイツ学説の日本における受容を含め、再確認するとともに、代表 的不当利得学説について、詳細な検討を示し、日本類型論の実体を探ることを試みている。 第2章においては、第1章での学説の検討を踏まえ、日本類型論の問題点を明らかにする ことを中心課題として、主として、我妻説が示す類型論の問題点、実務の対応が示す類型 論の問題点、現行民法の解除制度が示す示唆、という3つの観点から、問題点と課題を示 す。第3章においては、日本類型論における新たな展開、及び債権法改正に関する近時の

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3 動向、ドイツと英米法下における不当利得議論の近時の動向といった不当利得議論の動向 を踏まえ、日本類型論のあるべき姿を探ろうと試み、結語において、日本類型論の目指す べき方向性として論者の見解が示されている。 二.本論文の内容 1.序 本稿の目的 「序」では、問題意識と本論文の目的が示される。ここでは、現在、通説化している日 本の不当利得類型論が、比較法的視点からあるべき日本の不当利得論を模索するものが主 流であったことから、日本独自の不当利得論について十分に認識されていないとし、この 点の把握を試みること、日本類型論のあるべき姿を探るため、判例を中心とした実務の動 向から課題を探ること、類型論と矛盾しない形での統一的な理念を再認識する必要性があ ることが述べられる。 2.第1章 日本における不当利得論の展開 第1章では、これまでの日本における不当利得学説の流れを確認することによって、日 本類型論とドイツ類型論の差異を再確認するとともに、日本類型論の形成・発展期の代表 的見解を掲げ、論点ごとに分析検討することによって日本類型論の実体が明らかにされる。 第1節から第3節では、日本の類型論がドイツにおける類型論の強い影響を受けて展開 してきたことを踏まえて、ドイツにおける類型論の流れを示すとともに、ドイツの類型論 が日本に紹介されたときの日本の学説状況を確認する。 ドイツ類型論を本格的に日本に紹介したのは、川村泰啓教授である。しかし、同教授に よりドイツ類型論が紹介された時点においては、日本ではドイツのように、「統一説→類型 論」という流れで学説が展開しておらず、むしろ、「類型的考察→統一説」といった流れで 学説が展開していたと本論文は指摘する。そして、川村教授による紹介は、その独自の立 場により、体系的視点が重視されたものであったこと、一方、日本で統一説と位置付けら れている我妻衡平説も、実際には類型論の存在を一定程度受容したうえで、衡平説を維持 したことを指摘し、このように学説状況がドイツと日本とで異なり、そのことが日本類型 論の特徴にも反映されたこと、その結果、日本類型論を基礎づける特徴は、「財貨移転秩序 と財貨帰属秩序」という体系的視点の重視にあったといえることを主張している。それゆ え、日本における不当利得類型論と我妻衡平説は実際には対立軸が曖昧となっており、そ の対立軸の曖昧さが、日本において、「不当利得の本質を統一的に説明するか否かという問 題」と、「『法律上の原因』の内容を統一的に説明すべきか否かという問題」という、本来 は異なる問題が、明確に区別されないまま議論がなされることにつながったと本論文は指 摘する。

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4 そのうえで、第4節以下で、代表的学説として、我妻衡平説のほか、加藤雅信説、鈴木 禄弥説、四宮和夫説をとりあげ、その横断的な視点による分析により、日本の類型論の実 態を解明している。その結果として、本論文は、類型論に立ち体系的差異を重視すること と、「法律上の原因」の内容を統一的に説明することの可否とは、必ずしも同じレベルの問 題ではないこと、また、給付利得類型について、その機能の中心が法律関係のいわば巻き 戻し的清算にあることは、我妻衡平説以外は一致しており、「表見的(あるいは基礎的)法 律関係の反映」に、類型論の説得性が存在していること、一方、給付利得類型における返 還義務の範囲決定については、論理的必然性はなく、有効な解決策が導き出されていない ことを示唆している 3.第2章 日本における不当利得類型論の課題 第2章では、第1章での学説の検討を踏まえ、主に以下の三つの方向性から日本類型論 の課題が明らかにされる。 第 1 に、我妻衡平説が提示していた課題に注目する。すなわち、我妻衡平説は、類型論 が紹介された後も、一部自説を修正したものの、敢えて自覚的に衡平説を維持したという 経緯から、類型論の課題を認識していたと考えられることを指摘し、そこで示されていた 課題が、再認識されるべきことを指摘する。その課題とは、「不当利得の多様性からくる類 型化の不都合性」、「実際に役立つ指針を示せない」、「統一的基礎づけの重要性」である。 第 2 に、実務の動向から窺われる課題を示すため、いくつかの裁判例が検討される。ま ず、「法律上の原因の有無」が直接の争点となった、数少ない裁判例の中から、東京高裁平 成21年12月21日判決(判例時報2100号43頁)及び最高裁平成21年4月24 日小法廷判決(民集63巻4号765頁)を検討し、実体法上の権利が否定されたわけで はないにもかかわらず、「法律上の原因」が不存在と評価される余地があることなどを指摘 する。そして、その結果、「法律上の原因」の判断について「具体的法律関係の有無という 点で考えても判断がつかないため、紛争となっている」点を指摘し、社会の変化や、法制 度の変化にともなって不当利得の問題が生じることは必然であるが、「法律上の原因」の判 断を、「具体的法律関係の有無」という点で考えるのは限界があり、実際にもそぐわないと の指摘がなされる。 また、実務の動向との関連において、近時多発する過払金返還請求訴訟につき、これを 検討した上で、受益者の帰責性を理由に返還義務の範囲を拡大させることが類型論からは 正当化できないこと等を指摘する。このことにより、「悪意の受益者」という要件につき、 給付利得類型における機能を再考する必要があること、過払金返還請求事案のように「違 法により法律上の原因が否定された場合」には、通常の給付利得の清算方法とは異なる清 算方法を検討する必要の有無などを考察し、「給付利得類型のさらなる分類的考察の必要 性」、「具体的判断基準の提示必要性」、「要件論を再考する必要性」を明らかにし、類型論 がこれら課題に答えることができていないことを示唆している。

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5 第 3 に、解除制度との関係から、不当利得論の課題を考察している。ここで論者は、鈴 木禄弥教授が解除の効果に関する自説を不当利得体系の点から改説したことに注目し、そ の鈴木教授の改説という態度に、日本類型論の課題の一つが示されていること、また、類 型論の中心的主張である「表見的法律関係の反映の重視」という点からすれば、「解除」こ そが、「契約関係の清算」の基本型と考えうること、を指摘している。 以上を踏まえ、本論文は、①類型論による「表見的法律関係の反映」によっては具体的 妥当性が図れないこと、②具体的妥当性を図るためには個別の対応が必要となり、類型論 の重視する体系的視点が意味をなさなくなること、③実務上社会の変化に対応するために は一般的規定に頼らざるを得ない可能性があることを示し、このように、類型化を厳格に することによる弊害を避けつつ、体系化をいかに実現するかの点に日本の類型論の課題が あるとしている。 3.第3章 日本類型論の可能性と返還義務の構造 以上の成果を踏まえ、第3章では、日本類型論の可能性(解決の方向性)を示すととも に、返還義務の構造を明らかにすることを試みている。 (1)第 1 に、日本に適合する不当利得論の可能性をさぐるため、その素材として、近時 におけるいくつかの学説を検討している。ここで最初に取り上げられるのは、給付不当利 得については「給付」を基礎づける法律関係の存否から「不当な利得」を判断すべきとす る一方、侵害不当利得については、財貨移転を基礎づける法律関係を厳密に考える必要は なく、損失と受益の関連性を社会的公平性の観点から判断すればよいとする考え方(近江 説)である。筆者がこの考え方に注目する理由は、これまで日本の類型論が、もっぱら要 件の判断との関係のみにおいて類型化を図ってきたのに対し、この考え方が、むしろ返還 法理という観点から学説を整理しているからであり、このような考え方が、第 2 章で示さ れた、類型化を厳格にすることによる弊害を避けつつ、体系化をいかに実現するかという、 日本における類型論の課題を解決する可能性を秘めていると指摘する。また、給付利得類 型における利益調整要素を示す見解については、藤原正則説や松本説、ひいては鈴木禄弥 説を示し、給付利得類型の効果論について、「表見的法律関係の反映」というだけでは不十 分であるという問題意識を改めて提示する。 第 2 に、わが国に紹介されているドイツおよび英米法の展開を検討し、これらの検討か ら日本類型論の可能性につきヒントとなる点を指摘している。ドイツについては、松坂佐 一教授によって紹介されたドイツの新統一説登場の動きに着目するとともに、新統一説と 類型論の対立は、日本における我妻説とる類型論の対立とはそもそも異なる面があり、そ こに、日本類型論の可能性が見出しうることを指摘する。また、英米法の対応については、 英米法下の不当利得たるunjust enrichmentについて、ドイツの影響を受けるという点で は日本と共通する部分があることから、ドイツ法の受容の過程で、どのような現象が生じ ているかを検討し、その結果、ドイツ法受容の結果、「理論に縛られると創造的でなくなっ

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6 てしまう」という、日本不当利得論の課題克服の側面と共通する指摘がなされていること などを示している。 第 3 に、近時進められている債権法改正の動きについて検討している。すなわち、改正 作業の過程において、不当利得については、無効や取消等において、給付利得類型の清算 にかかわる条項を入れることが検討されており、さらに具体的な判断基準をしめすべきか、 具体的な判断基準は敢えて示さない方がいいのか、議論がなされている。このような債権 法改正の動きは、これまで論じてきたような類型論の課題を反映するとともに、少なくと も給付利得類型の効果の精緻化の要請を示す可能性があることを指摘する。 (2)結論(返還義務の構造と給付利得類型の効果論の精緻化) 筆者は、これまでの考察を踏まえて、不当利得返還義務の構造と類型論における給付利 得類型の効果論に関して、一定の方向性を示している。 まず、不当利得とは、返還に関わる場面であるため、表見的法律関係の反映といっても、 それはあくまで返還法理であるということを確認すべきであるとしている。すなわち、「表 見的法律関係の反映」ということを重視すると、返還関係のことを論じているにもかかわ らず、表の法律関係を重視するかのように考えがちであるが、あくまで返還法理であると 考えるべきであるとする。 次に、類型論の特徴である体系的視点については、表見的法律関係とは別個に、「返還関 係における前提的法律関係」を提示する考え方に着目し、このような発想が、これまでの 類型論の抱える課題の一つである「類型化に伴う硬直性」を克服する可能性があることを 主張する。もっとも、他方で、一般条項を規定することにより、類型論の有する硬直性を 克服する可能性についても指摘している。 さらに、給付利得類型における判断基準の精緻化と要件論について、加藤雅信説のよう に、判断基準を示すことはできないとして事案の研究を試みるというアプローチと、藤原 説のように、一定の判断基準を示そうとするアプローチがあることを指摘し、後者のアプ ローチを採用し、「開かれた基準」として、判断要素を提示できるよう、実務の対応を踏ま えた検討を重ねるべきであることを指摘している。 また、給付利得類型といっても、過払金返還請求事案のように金銭消費貸借契約の場合 には、金銭の不当利得が当初から問題になり、それは要件論として問題にした方が、当事 者間の争点も明確になると考えられるとの指摘を行う。そのため、給付利得といってもそ れをさらに分類し検討を加える必要があり、その際、ニュートラルな返還関係というより も、法律上の原因を欠いたことについて、帰責性があるかといった点を考慮に入れるべき であることを提言している。 三.本論文の評価 本論文は、現在の不当利得における通説的見解といってもよい「類型論」について、そ

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7 の問題性を改めて問うことにより、類型論を深化させ、日本に適合した独自の不当利得の あり方を探ろうとする研究である。不当利得に関しては、すでに多数の研究があるが、不 当利得の事案の類型化という方向では一致しているものの、類型の方法等に関しては、必 ずしも一致を見ていない。そのような中で、あえて「日本における」独自の類型論があり うるとの問題意識からなされた本研究は、以下の点において評価に値する まず、少なくとも学説上、通説としてのゆるぎない地位を占めている類型論が、判例実 務上は受容されていないという現実を踏まえ、類型論の問題性・課題を明らかにするため、 日本における不当利得学説の展開を、ドイツ法の受容経緯を踏まえ、丁寧に検討している 点である。現在、多くの研究が、類型論自体についてはさほど疑いを持たずに、比較法的 視点からあるべき姿を目指す傾向にある中、わが国独自に発達した不当利得論の展開を改 めて検討し、その特殊性や課題を明らかにしたことは、手法的にも不当利得法学に一石を 投ずるものとして高く評価される。 次に、このような手法による研究成果として、従来、類型論によって批判対象とされて きた、衡平説の代表としての我妻説を、正当に再評価している点が挙げられる。すなわち、 我妻説は、それが主張された当時、すでにドイツでは類型論が台頭し、学説に大きな影響 を与えていたことが知られており、我妻説も当然にそのことを認識した上で、なお日本民 法の構成を考慮しての衡平説を主張していたものであった。このことは、我妻説が、類型 化の可能性は十分に認識しつつも、給付不当利得以外の不当利得は多様で類型化が困難で あり、類型固有の要件・効果を観念できない以上、衡平説的に不当利得を統一的に基礎づ けるほかないとしていたことを示すものである。このように、本論文は、我妻衡平説が、 むしろ、類型論に対する批判として成立したものであるという前提を十分に踏まえ、その 上で、類型論がそれだけでは十分な解決法を示すことができず、統一的基礎づけが必要で あることを示唆しており、この点においても、学界への再検討を求めるという意味で評価 しうる。 また、給付不当利得類型の効果について、鈴木禄弥教授が解除の効果に関する自説を不 当利得体系の点から改説したことに注目し、契約を白紙に戻す「解除」こそが「契約関係 の清算」の原型であり、したがって給付不当利得の基本型であるとする点は、重要な指摘 である。 さらに、類型論の問題点を判例実務の視点から実証的に示している点も、評価すべき点 として挙げられる。すなわち、近時の裁判例でも、例えば、①執行取消しを理由とする不 当利得返還訴訟において、実体法上の権利が否定されたわけではないにもかかわらず、「法 律上の原因」が不存在と評価される余地があること、②過払金返還訴訟において受益者の 帰責性を理由に返還範囲が拡大させることが類型論からは正当化できないこと等を、裁判 例の検討から示し、このことにより類型論が十分に機能していないことを明らかにしてい る。類型論に関する研究が極めて多数存在するにもかかわらず、最近になって現れてきた 裁判例との関係において類型論の評価を行った研究がほとんど見当たらない中、このよう

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8 な地道な検討により、実際の問題点を明らかにした点は評価されてよい。 そして、本論文は、複数の代表的な不当利得学説について、基本となる問題点を提示し、 その問題点ごとの比較を経て、全体的な構造を検討するというアプローチを採用し、その ことによって、従来の類型論が、細かい類型による有効な説明に成功しておらず、「給付不 当利得」と「他人の財貨からの不当利得」の二類型以上には有益でないことを示している。 もとより、このようなアプローチ自体は単純な方法であり、目新しいものではないが、学 説の錯綜する不当利得の分野において、そのような視点で学説を整理し・評価したものは ほとんど存在しなかった。本論文は、このような地道な作業を行うことにより、従来の類 型論が十分に成功しておらず、結局は二つの類型に還元されうるのではないかとの示唆を 与えている点も評価に値する。 このような検討を踏まえ、本論文は、これまで日本の学説が、「類型」とは何か、どのよ うな類型が社会に適合的であるかという検討は必ずしも十分ではなく、とりわけ、効果の 部分における類型論の機能については、解明が不十分であったとの認識を示す。その上で、 日本の類型論が、基本的には「給付不当利得」と「他人の財貨からの不当利得」に還元され るべきとし、給付不当利得とは契約理論に基づく契約の白紙還元であり、したがって、そ の原点は契約「解除」にあるという考え方を示すことにより、「類型」と 「効果」の理論 的関係につき明確な立場を示している。このような、効果との関連における類型的検討は、 これまで学説がほとんど意識してこなかった点であり、新たな視点を示すものとして高く 評価されよう。 一方、課題としては以下の点があげられる。 まず、本論文の目的からしてやむを得ないところではあるが、外国法(特にドイツ法) の議論については、すでに日本に紹介し尽くされているため、日本の議論に影響を与えた 範囲で検討されている一方で、英米法の議論については、不法行為規範との関係で日本法 とは接合しないことが予想されるが、そうであるならその点を批判的に指摘して欲しかっ た。そのような視点からの外国法の検討も、不当利得法の改正(民法改正)との関連で重 要であることは、筆者においても十分に意識されているところではあるが、今後の研究課 題と思われる。 また、裁判実務から問題点が指摘されている点が本論文の評価されるべき点の一つであ ることは上記のとおりであるが、そのような実務との関連を重視する以上、さらに多くの 裁判例の分析が必要となるであろう。 このような課題を含め、論者が今後取り組むべき課題は複数存在するが、本論文は、現 時点での、錯綜した日本における不当利得類型論の問題点を明確に指摘し、その問題性を 克服するための方向性を明らかにしている。そのことは、これまで極めて重要な分野であ るにもかかわらず、学説と判例実務とが必ずしも一致せず、百花繚乱ともいえる多数の見 解が示される中、十分に意義のある研究成果であると評価することができる。

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9 四.結論 以上の審査の結果、後記の審査委員は、本論文の執筆者が博士(法学)(早稲田大学)の 学位を受けるに値するものと認める。 2013年2月12日 審査委員 主査 早稲田大学教授 法学博士(早稲田大学)近江 幸治 早稲田大学教授 三枝 健治 早稲田大学教授 山口 斉昭

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