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シリコン・ナノデバイス構築に向けた
Si02/Si界面物性制御の研究
1996年2月
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目次
こ ・ ・ J ・ 第1童 序論 1-1 シリコン・ナノデバイス研究の現状 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 1-2 ナノデバイス材料としてのSiO9/Si界面の重要性と課題 … 3 1-3 本研究の目的と本論文の構成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5 第2章 SiO2/Si界面の熱的挙動 2-I SiO2/Si界面の熱力学…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 2-1-1 固相状態におけるSiO2とSiの相分離‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 2-1-2 Si表面の熱酸化過程‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8 2-1-3 SJMOX埋め込み酸化謨形成過程‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 2-2 Si(111)7×7表面の駱酸化膿成長初期過程の観察…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 2-2-1 13 16 2-2-1-I Si清浄表面と酸素との相互作用に関する研究の歴史…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 2-2-1-2 清浄表面における熱酸化初期過程研究の必要性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 2-2-2 実験方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥16 2-2-2-1 実験装置 2-2-2-2 試料の作成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥16 2-2-3 熱酸化膿成長初期過程の観察結果.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥18 2-2-3-1 燃焼モードと膿成長モードとを分離する臨界酸素圧力の 反射高遠電子線回折その場観察による決定.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥18 2-2-3-2 燃焼モードでのSiエッチングレート測定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥18 2-2-3-3 熱酸化膿成長観察のための酸化条件の決定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥22 2-2-3-4 酸化膿成長過程のX披光電子分光測定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥22 2-2-3-5 酸化膿成長過程の走査型トンネル顕微鏡観察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥23 2-2-4 走査型トンネJし顕微鏡観察結果と理論計算の比較‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥32 2-2-5 最近の外部研究結果との比較..‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥36 2-2-6 まとめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥382 3 極薄SIMOX-Si層の真空中における熱凝集過程の観察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥39 2-3-1 39 3-1 J 3-3-3 フッ素偏析過程のモデル化‥… 83 3-4 SiO2/Si界面近傍におけるフッ素の濃度分布…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥84 3-4-1 化学エッチングを用いる濃度分布測定方法…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥84 3-4-2 スバッタリング分析結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥85 3-4-3 化学エッチング分析結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥85 3-4-4 スバッタリング分析と化学エッチング分析との比較‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥87 3-5 フッ素界面佃析の熱処理雰囲気、基板面方位、および基板ドーバント濃度依存性‥‥‥‥‥‥87 3-6 界面欠陥密度とフッ素界面儡析量との関係…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥92 3-7考察………92 3-7-I SiO2謨中のフッ素の結合状態‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥92 3-7-2 フッ素原子のSiO2/Si界面欠陥の終端効率‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥95 3-7-3 今後の課題…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥95 3-8 まとめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥96 参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥97 第4章 4-1 Si02膜を介するトンネル電流を用いた電子波干渉および量子閉じ込め効果の検出 101 101 115 2-3-1-1 物質輸送過程としての熱凝集‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥39 2-3-1-2 SIMOX-Si層の熱的挙動研究の目的‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥41 2-3-2 実験方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥41 2-3-2-I SIMOX-Si層の腫厚地一性とSi雇薄層仕法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥41 2-3-2-2 原子問力顕微鏡および走査型オージエ電子頴微鏡観察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥43 2-3-3 実験結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥44 2-3-3-1 真空加熱後の表面構造の原子間力顕微鏡および走査型オージエ電子顕微鏡観察‥‥‥44 2-3-3-2 熱凝集したSi雇の形状の詳細‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥53 2-3-3-3 埋め込みSiO,の表面凹凸とSi熱凝集との関係…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥55 2-3-4考察………55 2-3-4-I Si熱凝集初期過程の駆動力…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥57 2-3-4-2 Si熱凝集の結晶方位依存性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥59 2-3-5 今後の課題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60 2-3-6 まとめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60 参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥62 第3章 フッ素のSiO2/Si界面偏析を利用した界面欠陥制御 4-1-I SiO2謨中の電気伝: 4-2-4 4-1-1-I Fowler-Nordheim電流と直接トンネル電流…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥102 4-1-1-2 Fowler-Nordheim電流に見られる電子波干渉効果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥104 4-1-2 トンネル分光による量子化準位の検出‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥104 4-1 -3 SiO2/Si系での量子効果発現に対する極薄SiO2謨の役割‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥107 4-2 Fowler-Nordheim電流に見られる電子波干渉効果に封する有効質量の影響‥‥‥‥‥‥‥‥108 4-2-1 多重階段ポテンシャルを用いた透過確串の計算方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥108 4-2-2 計算結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥110 4-2-2-1 透過確率に見られる振動構造の振幅の有効質量依存性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥110 4-2-2-2 透過確率に見られる振動構造の周期の有効質量依存性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥113 4-2-3考察………115 3-1 -I SiO2/Si界面欠陥概説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥66 3-1-1-I SiO2/Si界面構造と界面欠陥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥66 3-1一1-2 SiO2/Si界面欠陥がMOSデバイスに汲ぽす影響‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69 3-1-2 SiO2ノSi界面へのフツ素導入によるMOS特性向上の外部報告例 73 3-1-3 SiO2/Si系におけるフッ素拡散および界面傀析過程研究の必要性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥74 3-2 実験方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥74 3-2-I F・イオン注入とその後熱処理によるフッ素のSiO2謨への導入‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥74 3-2-2 フッ素濃度の深さ方向分布測定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥75 3-2-3 電子スピン共鳴法による界面欠陥密度測定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥75 3-3 フッ素の熱拡散とSiO2謨への値析過程の観察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥77 3-3-I Si中でのフッ素の熱拡散‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥77 3-3-2 SiO,腫への俑析過程‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥77 │ │ 4-3 極薄SIMOX-Si層エッジに形成された量子閉じ込め状態のトンネル分光による抽出‥‥‥‥‥116 4-3-1 測定の目的‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥116 4-3-2 トンネル分光用素子の構造と素子動作‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥116 i i i
4-3-3 素子作製プロセス‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥118 4-3-4測定結果………120 4-3-4-1 極薄SIMOX,Si層を有するMOSFETの特性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥120 4-3-4-2 トンネル分光用素子の特性‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 124 4-3-5考察………131 4-3-6 5-4 第6章 134 154 156 159 − J 1
序論
1、1 シリコン・ナノデバイス研究の現状 情報化社会を支える集積回路技術は、デバイスの微細化と集積度の大規模化によって進展してきた。現 在では、DRAMにおけるMOS(melal oxide semjconducl。r)トランジスタのゲート長は、実用化レベルで0.35-0、4μm、研究レベルでは0.1μm以下となっている。デバイスのサイズが0.1メjmを切り、10 nm (ナノ メートル)のオーダーになると、電子の波としての性質が顕在化してきたり、デ‘バイス特性に関与する電子 数が減少し、その数を数えられるようになってくる。これらのナノメートルサイズの系で見られる特徴を積 極的に利用し、従来のデバイスとは動作原理の異なる新デバイスを構築しようという動きが高まっている。 新原理デバイスを中心としたナノメートルサイスI・の素子はナノデバイスと呼ばれている【11。 ナノデバイスの研究は、化合物半導体を用いたものが主流である。これは、シリコン(Si)に比べ、ヒ 化ガリウム(GaAs)等の化合物半導体では、電子の弾性散乱長とコヒーレント長が長いこと、および薄膜 の積層技術が優れていることに起因している。これらの特徴を生かし、高移動度デバイス、電子波干渉デバ イス、共鳴トンネルデバイス等の研究が活発に行われている【2】。また、1次元、0次元といった低次元電子 系の研究も盛んである。量子細線や量子ドット構造の作製により、1次元サプバンド構造に起因したコンダ クタンスの量子化[3、4]やクーロンブロッケード現象{5-81に起因したチャネルコンダクタンスの振動19}が観 測されている。特に、後者のクーロンブロッケード現象については、単電子トランジスタ(SET)等、既に 具体的な素子構造が幾つか提案されており、その動作も確認されている19-12]。さらに、Siにはない直接遷 移型のバンド構造を有しているので、光一電子複合デバイスの研究は化合物半導体の独壇場である。 一方、Si系は、素子の大規模集積化に伴い発展してきた優れた加工技術をもっており、これを用いるこ とにより、MOS反転暦の電子系をさらに別の方向へも閉じ込めることが比較的容易である。このため、Si 系におけるナノデバイス研究は、1次元、0次元電子系に集中している。Warrenらは、GaAs系における量子 化コンダクタンスの観測【3、4】似前に、2重ゲート構造型の多重量子細線を作製し、チャネルコンダクタンス に1次元電子系の状態密度を反映した微細構造を観測している【131.コンダクタンスの量子化の観測以降は、 1次元電子系の研究も化合物半導体を中心に行われているが、Si系においても幾つか研究がなされており、2 重ゲート構造の多重量子細線型【141、2重ゲート構造の単一量子細線構造型115】、狭チャネル反転層型【161、 ポイントコンタクト反転眉型[171等の構造が作製されている。クーロンブロッケード効果によるコンダクタ ンス振動についても、Sco11-Thomasらにより2重ゲートのMOS構造において、GaAs系での観測【9】以前に観 測されていた【18】。しかし、当初彼らはこの振動がcharge density waveに起因していると解釈していた。 Si系におけるこれらのデバイス構造は、MOS反転層を電気的に細めることにより低次元電子系を作製 するという手法を基にするものであり、化合物半導体系で行われているものと類似している。これに対し、 1 参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥135 第5章 極薄SIMOX-Si層のフォトルミネッセンス特性 5-1 背景………136 5-1-1 ナノスケールSiからの発光現象‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥136 5-1-2 極薄SIMOX-Si雇の発光特性研究の目的‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥137 5-2 試料作製方法とフォトルミネッセンス測定方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥138 5-2-I SIMOX基板作製方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥138 5-2-2 極簿Si眉作製法とSi謹厚測定法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥138 5-2-3 フォトルミネッセンス測定方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥140 5-3 フォトルミネッセンス測定結果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥140 5-3-1 フォトルミネッセンスのSi謹厚依存性と発光モデル..‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥140 5-3-1-1 フォトルミネッセンスビークエネルギーとピーク強度のSi膜厚依存性‥‥‥‥‥‥140 5-3-1-2 3領域モデルによるフォトルミネッセンスビーク強度のSi謹厚依存性の解析‥‥‥‥143 5-3-2 発光中心に対する考察‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥147 5-3-2-1 フォトルミネッセンスに対する界面構造欠陥の影響‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥147 5-3-2-2 励起光強度依存性測定による3つの発光中心の観測‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥148 5-3-3 フォトルミネッセンスに対するSi腫厚ゆらぎの効果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥148 5-3-4 フォトルミネッセンスの測定温度依存性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥151 参考文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥155 本論文に関する研究業績,.‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥160 IV
シリコン酸化膜(SiO2)の障壁のみを用いて電子を閉じ込めるという新しい手法がMorimotoらによって報 告された[191.彼らは、4方をSiOご囲まれたSi量子絹綿を作製し、その電気伝導特性を調べている。 SiO、 は、電子トラップ等の少ない良質な絶縁膜であり、この安定した絶縁膜を持つことがSi系のもう1つの特徴 である。Morimotoらが作製した構造は、この特徴をよく活かしたものであるといえる。 SiOjよSiのイ云導帯電 子に対する障壁高さが約3evであり[201、室温での熱エネルギー(約26mev)に比べ格段に大きい。した がって、電子の閉じ込めにSiO2の障壁を用いることは、ナノデバイスの室温動作に向けて応用上極めて重要 なことである。 Morimotoらの報告の後、コンダクタンスの量子化、クーロンブロッケード等の室温観測を 目指し、SiO2障壁を積極的に用いる素子構造の研究が盛んになってきた。
SIMOX(separatjon by implanted oxygen)【21】に代表されるSOI(Si on jnsulator)作製技術は、このよ うなSiO2障壁を用いる構造を作製するときには非常に有用である。SIMOXは、Si基板に多量の酸素をイオン 注入し、続いて1300℃以上の高温熱処理を行うことにより、単一の酸素析出物(埋め込み酸化膜)上に単 結晶Si暦を形成するという技術である。 SiO2膜上にあらかじめSi層が形成されているので、このSi層を熱酸 化しSi02膜でキャップすることにより、2次元Si層を比較的容易に作製することができる。この2次元Si層を 加工することにより、1次元、O次元構造の作製が可能となる。 Nakajimaらは、SIMOX基板を用いて Morimotoら[19]と同様の4方をSiO。で囲まれたSi量子細綿を作製し、100K以上の高温でコンダクタンスの量 子化を観測した【221.これは、それまでの観測温度が液体ヘリウム温度(4.2K)以下程度であったことを考 えると、室温動作へ大きく前進した結果であるといえる。また、最近ではやはりSIMOX基板を用いて、室温 で動作するSETも作製されている[23]。これらの報告は、室温での量子効果観測を実現するために、SOj層 を用いることが有用であることを示している。 以上述べてきたようなSi量子効果デバイスの研究とならんで、Si光電子デバイスの研究も始まっている。 これはヽCanhamによる多孔質Siからのフォトルミネッセンスの観測に端を発する【241.ここでは多孔質Sj からの発光のメカニズム解明が中心的な課題となっている。 Canhamは、多孔質Si中の極微絹縮領域がバン ド変調を受け、直接遷移型バンドギャップを特つようになることが発光の直接原因であることを示唆した。 それ以後、ナノスケールSiの光学特性が盛んに研究されている[24]。一方、発光中心はSiOI/Si界面に存在し ているというモデルも提案されている。現在のところ、発光メカニズムについてははっきりとした結論は得 られていないが、いずれにしてもSiO2を含むナノスケールSiが重要視されている。 このような背景から、SiO2/Sj界面を用いたナノデバイス研究は、今後ますます活発化することが予想 される。 2 − 1-2 ナノデバイス材料としてのSiojSi界面の重要性と課題 KahngとAtallaによる1960年のMOS型電界効果トランジスタの開発[251以来、SiO凛ならびにSi0、/Si界 面はSi集積回路において最も重要な系となっている。絶縁膜材料としてSiO、が使用されてきた理由には、(i) 絶縁性に優れ、絶縁耐圧強度が他の絶縁膜より優れている、0謨厚が均一である、(iii)Siとの界面が平坦であ り且つ欠陥密度が少ない、(iv)Siの熱酸化現象を利用して簡便に作製でき、謨厚の制御性も優れている、等 が挙げられる。これらのSiO。の特徴はSiナノデバイス研究においても重要となってくる。高い絶縁性は電子 の強い閉じ込めを可能にし、室温での量子効果発現に有利に働くことは既に述べた。謨厚均―性と界面平坦 性は、原子レベルのオーダーで寸法を制御しなければならないナノデバイスにとっては必要不可欠である。 また、熱酸化プロセスは、デバイス形状によらず使用することができるので、これを用いることにより構造 の自由度を大きくとることができる。さらに、上記4つの特徴以外に、極薄SiO2膜のトンネルイ云導性も重要 な性質である。クーロンブロッケード、共鳴トンネルに代表されるように、ナノデバイスにとってトンネル 現象は非常に重要な量子現象である。したがって、安定したトンネル特性を特つ極薄SiO2膜は、トンネル伝 導膜材料として用いられる可能性がある。さらに、前節で述べたように、発光材料としてのSiO2/Si界面も 最近注目を集めている。 SioySi界面をナノデバイス材料としてとらえた場合、検討すべき課題には以下のものが挙げられる。 (1)SiO・謹厚,SOI眉の謹厚,およびSiO,/Si界面平坦度の原子レベJしでの制御 (2)SiO,/Si界面欠陥密度の低滅 (3)極薄SjO,譜のトンネル軸性の把握 團発光に封するSiO,/Si界面の効果解明 (1)は、ナノデバイスを制御性よく作製するために重要である。量子閉じ込めを利用するようなデバイスで はSi膜厚は数ナノメートル程度のものが要求される。このため、均一な極薄SiO2膜の成長技術、SOI暦の界 面平坦化技術が重要となる。(2)はデバイス特性の安定性のために重要である。界面欠陥は、従来型MOSト ランジスタにおいて特性劣化を引き起こすばかりでなく、発光デバイスに対しては非発光中心として慟くこ とが予想される。また、SETのような帯電効果を利用したデバイスにおいては、オフセット電荷として素子 特性に非常に大きな影響を与えることが指摘されている。したがってその密度低減技術は極めて重要である。 (3)(4)は、それぞれトンネル効果を用いたデバイスと光電子デバイスの作製に直接の指針を与えるであろう。 3
1-3 本研究の目的と本論文の構成 本論文は、ナノデバイス材料としてのSiojSj界面に対する上記(1)-(4)の課題を前提として行われた研究 結果である。 2-5章の構成は以下のとうりである。6章で総括的結論を述べる。 2^:SiOSi の 白ヽ 第2章は課題(1)に関係している。ここでは、均一な極薄SiO、膜、極薄SOI層の作製技術を確立するため に重要であるSiojSi界面の熱的挙動について議論する。2、1節では、Si表面での酸化膜成長過程とSIMOX埋 め込み酸化膜形成過程を例にとり、SiO、/Si界面の熱力学について概説する。2-2節では、Si(111)7×7表面の 初期酸化過程の観察結果をもとに、酸化膜成長初期過程をモデル化する。2-3節では、極薄SjMOX-Si層の真 空中での熱的挙動について述べ、外的に安定なナノスケールSi薄膜作製の指針を与える。 3'!`:フ・ヽ` による 「 第3章は課題(2)に関係している。 3-1節でSiO、/Si界面欠陥について概説した後に、SiojSi界面に異物質 (フッ素)を導入することによる界面欠陥の不活性化技術について述べる。イオン注入によりSiO2/Si系に 導入されたフッ素が、その後の熱処理によりSiO2膜内の界面近傍3.5nm以内に偏析すること、および、これ らの界面偏析フッ素により界面欠陥の密度が低減されることを示す。 一 一 〃・ 第1章参考文献 11]K.Murase,NTT R&D 44, 308(1995)バinJapanase) 12]F. Capasso and S. Datta, PhysicsToday43,74(1990).
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【22】Y.Nakajima, Y. Takahashi. S. Horiguchi,K. lwadale.H. Namalsu, K. Kurihara and M. Tabe. Appl. Phys. Lett.65, 2833(1994),jpn. J. Appl. Phys. 34,1309(1995).
【231 Y. Takahashi, M.Nagase,H. Nanalsu, K. Kurihara.K. lwadale. Y. Nakazima, S. Horiguchi.K.Murase and M. Tabe,Elecrlon.Letl.31,136(1995).
【24】s白erels.[2H19]ofchap.5.
1251 D. Kahng and M. M.Alalla,IRE-IEEE Solid Slale Device Research Conference. Carn白gie lnstituteofTechnology. Pillsburg.Pa.,1960.
5
第4章は課題(3)に関係している。 4-1節においてSjO、腹中の電気伝導機構とトンネル分光法を概説した
後に、4-2節では、室温でも観測できる電子波干渉効果として知られている、極薄SiO、膜のトンネル電流に
みられる振動構造について数値解析した結果を述べる。この振動構造の解析をもとに、SiO、伝導帯の有効質
量を調べる方法等を議論する。4-3節ではナノスケールSiの電子状態をトンネル分光により調べるという試
みについて述べる。 5nm厚のSIMOX-Si層の側壁に極薄SiO2腹をつけた構造において、この極薄SjO2膜を介
したSM⊃X、Sj層からのトンネル電流を調べ、これが印加電圧に対して階段型に変化することを見いだした。
この階段構造が、側壁SiO2膜近傍のSIMOX-Si層の電子状態を反映したものであることを示す。
5 :SIMOX-Si のフ トルミ`、・ヽセンス 第5章は課題(4)に関係している。ここでは、ナノメートルのオーダーに薄層化したSIMOX-Si層からの フォトルミネッセンスについて述べる。SiO2膜で挾まれたSIMOX-Si層の膜厚が3nm以下程度になると、多 孔質Siからのものと類似した発光が起こることを見いだした。発光のSi膜厚依存性等から、発光にはSiO。/Si 界面が関与していることが強く示唆された。 4第2章 SiO2/Si界面の熱的挙動
2-I SiO2/Si界面の熱力学 本章では、Si表面における熱酸化謨形成、およびSIMOX-Si層の熱凝集というSiO2/Si界面の2つの熱的過 程について議論する。そこで本節では、これらの研究課題の基礎となるSiO2/Sj界面の熱力学について概説 する。 2-1-1項ではSiと酸素の2元素混合系における相図について解説し、この系ではSiO2とSiの相分離が本 質的であることを述べる。2-1-2項では、Si表面の熱酸化謨成長過程を過去の研究経過を踏まえながら解説 する。2、1-3項では、SIMOX基板の埋め込み酸化膜形成過程について述べる。 2-1-1 固相状態におけるSiO2とSiの相分離 図2.1(a)、(b)はSi、酸素混合系の相図である【1、2】。図2.1(a)はSiと酸素の混合比が同程度の場合、図2.1( b)は酸素の混合比が小さい場合である。図2.1(a)が示すように、Siと酸素が同程度の量で混合されている場 合、約1200℃以下では、Siとβ-quartz、α-quarlz、α-tridymiteといったSiO2との相分離が熱力学的に安定 な状態となる。これ以上の温度になると酸素の混合比に応じて、SiとSiOもしくはSiO2とSiOの混合体とな る。SjOはSiやSiO2に比べ蒸気圧が極めて高く、Siと酸素の2元素系における安定な気相状態である。さらに 高温になると溶融SiとSjOとなり、2500℃以上ではSiは気化しSiOも分解してしまう。一方、酸素の混合比 が下がってくると酸素はS冲に固溶する方がSiO2として相分離するよりも熱力学的に安定となる(b)。しか し、その境界を与える酸素濃度(固溶限界)は、例えば1000Kで∼1015cm-3と非常に低いことがわかる。Si 中における酸素の固溶限界は、【○】=9×1022exp(-1.52ev/kT)cm`3で与えられることが報告されている[31. また、固溶状態の酸素はSi中の格子間位置に入り、Sj、0-Siの形で存在していることが、赤外吸収スペクトル の分析により明らかとなっている。 以上からわかるように、Si中の酸素はその混合比がかなり低い場合でも、SiとSjO2の相分離が熱力学的 に安定な状態である。このことは、4価のSi(SiO2)が1価のサブオキサイド(Si-○-Si)に比ベエネルギー 的に安定であることに起因する。すなわち、SiとSiO2の相分離は、エネルギー的に不安定なサブオキサイド を減らすように系が動いた結果であると言える。 SiとSjO2の相分離の最も顕著な例はSi表面の熱酸化過程に見ることができる。高温下でSi表面に酸素が 暴露されると、Siは酸素と反応して速やかにSiO2膜を形成する。これはリンやボロンがSi中深く拡散し、一 様分布をとろうとすることと対照的である。 SiO2/Si界面にはエネルギー的に不安定なサブオキサイドが多 く存在しているので、界面のエネルギーは極めて高い。したがって熱酸化の過程では、Si02/Si界面は常に その面積を減らすように動き、連続騰の場合は平坦な界面を作ろうとする。このことにより、極めて平坦な 熱酸化膿とSiの界面が実現されている。 6 -EJS-一一 oOON ○○∞f O〇91 00t4 ︵︶oa ︵︶○○″ 009 O09 (〉0∃Sn1∀S∃d㈹ヨ1 e↓ljDqo↓sjJC)∼ 刃4 01S ○○寸 ︵ ︶ O N ○ ︵?EQ︶ZOこ・4y一・`︲Z3:︶ZOりZ39AXO。ぶ︶01 ZZ OZ 8L gL h a1 01 ︷ssDuJxq%︸ ︵︶ψ ○の NO11Vlj1N3;︶NO:︶N39AXO ○寸 ︵︶i2 0Z 01 0 1z4jlS(z)W¥ZIS ' !S 1' al [040一切]ao II7’ ̄ ̄ ̄ 。09t7g トり 1 1 1 r l o ● − C 乃 中 ■ − C / ) -/ / 回り ーーーー ︻○吟 IS]SDO (D) / / / 1 III。︲。・ l / NN″ [O!S+!S] / S06 十 &laS el!ujgp!4 Lに謳r いIXx l/ / i009UnoqV/ / IIII oOZH X \ \ at4t4 IIIIIIIIj /1 e08U jZ9  ̄71 oZ98 `tE つI﹂↑−冶十!S O!SfjS z4jonD︲Z41S z1JDnb.94!S zo。;iぶ
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7 00g引き上げ法(CZ法)によって作製されたSiウエハの熱処理過程でSiO2が析出する過程は、SiとSiO2の 相分離のもうーつの例である。CZ法によるSiウエハ作製過程では、Sj融液は石英るつぽと反応し、通常 lx1018cm-3程度の酸素が混入する。Siの凝固点付近の温度ではこの濃度は固溶限界以下であるので、酸素は 固溶状態にある。この固溶状態はSi結晶の急冷により室温においても保持される。したがって、as-9rownの CZ-S冲の酸素は過飽和の状態にあることになり、その後の熱処理プロセスによりSi02が析出する現象が見 られる。析出するSiO2の形は多面体[4]やdisk型[5、6]など熱処理温度により異なるが、いずれも界面は平坦な ものとなっている。 SIMOX基板における埋め込み酸化膿の形成過程は、酸素を多量に含んだSi中でのSiO2の析出過程と見る ことができる。 SIMOX基板作製には1300℃以上の高温熱処理が用いられる。このような高温下では、安定 に存在できるSi02の臨界半径が極めて大きくなるので、連続膜であるところの埋め込み酸化膜が唯一の安定 な析出Si02である。この埋め込み酸化膿と上層Siとの界面は原子層のオーダーで平坦にできることが報告さ れている。 2-1-2 Si表面の熱酸化過程 熱酸化のkineticsに関する初期の研究では、乾燥酸素中および水蒸気中での熱酸化膜成長速度が、単純 なparabolic則で説明できるという結果が得られていた【7、8】。この結果は、当時対象としていた熱酸化膜の膜 厚が0.5μm以上であり、酸化温度も1000℃以上の高温であったことを考えると当然であるといえる。しか し、より広い酸化膜厚と酸化温度に対する実験データが蓄積されてくるに従い、parabolic則から外れる領域 が存在することがわかってきた。これらのデータを統一的に説明するための、より複雑なモデルがDealと Groveにより提案された19、101.このモデルはlinear-parabolicモデルと呼ばれ、現在でも広く受け入れられて いる。このモデルは次式で表現される。
到+尨≒=z?(r+7)
(2-1) ここにxcは時刻1での酸化膿厚、A、8、7は定数である。(2-1)式は熱酸化が、酸化種(02あるいはH20)の(a) 酸化膿表面での吸着、叫酸化膿中拡散、(c)界面でのSiとの反応、という3つの過程より成っており、これら の過程が定常状態にあるという仮定に基づいている。(2-1)式で表されるモデルは、謹厚の厚い領域では parabolic(X。2=日t)、薄い領域ではlinear(X、・(B/A)(t+r))な表式を与える。日およびB/Aは、それぞれparab ・c rate constant 、linearrate constanlと呼ばれ、表面吸着および界面反応の反応速度定数、酸化膿中
の拡散係数といった基本量と次式で関係づけられている。 8 -。 ・ ・ S s 一 一 j lW 0︲け 心 Z弧=
β
ヱニ
J 一冶 27)C y C 仙 一一 yん十/1 SI -2X十八 馬 2X十Å2 9 ・ − ・ コ フ - j t ゛  ̄ - − 一 一 ・ (2-2) (2-3) (2-4) (2-5) ここに、Dは酸化種の酸化膿中での拡散係数、Cは酸化膿中の酸化種の平衡濃度、Nは酸化膿単位体積当たり の酸化種濃度、kとhはそれぞれ界面と表面の反応速度定数である。 linear-parabclicモデルは、酪酸ィヒ膿成長速度をよく説明するものであったが、さらに研究が進み、より 広い条件で酪酸ィヒ実験が行われるにつれて、このモデルからのずれが幾つか顕在化してきた。これらのう ち、酸化膿成長初期過程に関するものを挙げると、(i)乾燥酸素中の初期酸ィヒ(0-30 nm)過程における酸化 速度の増加と、(ii)熱酸化前のSi表面処理依存性の2点となる。 乾燥酸素中での初期(o-30nm)酸化過程では、酸化速度がlinear-parabolicモデルが予測するよりも速く なることが知られている。(水蒸気酸ィヒではこのような増進酸ィヒはない。)デバイスに用いられていた酸 化膿の謹厚が厚かった時代には、この問題を定数7(時刻oでの酸化膿厚に対応)をフィ・ンティングバラ メータとして撮うことにより回避してきた。しかし、デバイスの微細化により薄い酪酸化膿が必要となるに 従い本格的に研究され始め、幾つかのモデルが提案された。これらを挙げてみると、空間電荷効果、酸化膿 構造効果、応力効果、表面および基板効果、並行酸化効果などである。この中で、並行酸ィヒという考え方 が、広い範囲の酪酸化条件において実験結果との一致をみており、有力視されている。このモデルでは酪酸 化が次式で与えられるII変形されたIIlinear-paraboliC則に従うとしている。 すなわち、(2-1)式に従う、反応定数の異なる2つの酸化過程が並行して進行しているとするものである。 HanとHelms[11]はこの表式を用いて報告されている実験データを解析し、理論と実験とが広い酸化温度、 酸化膜厚にわたってよく一致することを示した。 HanとHelmsは酸化の初期過程に寄与する第2の反応に は、原子状酸素や酸素空位が酸化種として関係しているのではないかと推測している。 一方、(ii)の酸化に対する表面処理効果は、ここ数年で非常に活発となった研究分野である。近年のS廣面洗浄技術の進歩により、初期酸化に対する表面の活性度を制御できるようになってきた。例えば、フッ酸 迪油で処理された表面は、ダングリングボンドが水素により終端されており、く少なくとも室温での大気中 あるいは水中での)酸化に対して極めて強い耐性があることが示されている【12-14】。また、(111)表面に関 しては、緩衝性フッ酸溶液で処理することにより、原子レベルで平坦な表面を作製できることが示されてい る【15、16】。最近ではこれに関達して、室温酸化と熱酸化の両方において、酸化量が時間とともに階段状に 変化すること等が様々な分析手法を用いた実験において見い出されている117-19]。これらの実験結果か ら、初期酸化が1層ごとに進行するという、いわゆるlayer by layar酸化モデルが提案されている。 2-2節においては、我々のSi(111)7×7表面の熱酸化過程の観察結果に基づいて、layarbylayer酸化モデ ルを含めた、熱酸化膿成長初期過程のモデル化を議論する。 2-1-3 SIMOX埋め込み酸化膿形成過程 2-1-1項で記したように、SIMOX基板の埋め込み酸化膿は、多量にイオン注入された酸素による析出 SiO2である。したがってその形成過程は、酸素のイオン注入量、熱処理温度、および熱処理時間に強く依存 し、SIMOX基板の品質もこれらの条件によ・J大きく変わってくる。埋め込み酸化膿の形成過程を、これら条 件の広い範囲にわたって観察したものに、Nakashimaらの報告がある120]。ここでは、彼らの報告を中心 に、埋め込み酸化膿の耐圧、埋め込み酸化膿から上層Si表面に抜ける転位(貫通転位)の密度、界面の平坦 性という3つの観点から、SIMOX埋め込み酸化膿形成過程を解説する。 図2.2は、埋め込み酸化膿の形状の熱処理温度、酸素イオン注入量依存性を、Nakashimaらが自身の
TEM観察結果を基に総括したものである。注入量が0.2-0.25×1018cm-2程度に低い場合、注入直後(以下as-implaと表記)の状態(al)では埋め込み酸化膿は形成されておらず、多くの欠陥(multiple laulted defects: MFD)が発生する。1250℃程度の低温熱処理(a2)では、析出酸化物がイオン注入の射影飛程(R、)とダ メージ分布のピーク位置(D、)に形成される。この場合、転位は析出酸化物間で生じる。1350°C程度の高 温熱処理くa3)ではD、の位置にある酸化物は溶解し、R、の位置にある酸化物と合体してより大きな酸化物 となる。酸化物がある臨界の大きさを越えると、酸化物周辺の応力を緩和するために貫通転位が発生する。 このイオン注入量では、一様な埋め込み酸化膿は形成されないので、耐圧はOVである。注入量が0.4×1018 cm’2の場合、as-implaの状態(♭1)ではやはり埋め込み酸化膿は形成されていない。低温熱処理(♭2)にお いては、a2と同様にR、とD、の位置に酸化物が析出し、転位はこれらの酸化物問のみに存在している。高温 熱処理(♭3)では、D、の位置の酸化物は溶解してR、の位置の酸化物と合体し、一様な埋め込み酸化膿が形 成される。この条件では、酸化物間を走っていた転位は酸化物の合体とともに消失してしまい、貫通転位密 度の極めて低いSIMOX基板が形成される。貫通転位密度は300cm-2辺下と報告されている。埋め込み酸化膿 の耐圧も良好である。注入量が2.0×101a cm-2程度の場合、イオン注入の最中からR、付近に埋め込み酸化膿 10 -。JS●一一
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こど
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'{〇巴吻唄哨碇鷹J︸赳4咽S一XO`’︲︲一の N.N図が形成される(cl)。低温熱処理(c2)では、埋め込み酸化膜上部に酸化物が析出するがその密度は小さ い。このため、埋め込み酸化膜から発生している転位を終端しきれず、表面へ抜ける貫通転位が形成され る。この貫通転位はさらなる高温熱処理においても消失しない(c3)。ただし、埋め込み酸化膿自体は均− であり耐圧も十分ある。なお、(bl)-(♭3)と(cl)-(c3)の中間の注入量では、埋め込み酸化膜中にSi結晶領域が 存在し、これが埋め込み酸化膿を貫通しているので耐圧は極めて悪くなる。 以上述べたように、耐圧の観点からは0.4×1018 cm-2程度と2.0×1018 cm・2程度(あるいはこれ以上)の 注人皇が適当であり、貫通転位密度に関しては0.4×1018 cm-2程度の注入量が最も適している。これら2つの 注入量をもって作製されたSIMOX基板は、それぞれ低ドーズ基板、高ドーズ基板と呼ばれ標準化されてい る。本研究に使用されているSIMOX基板も、この2水準である。 埋め込み酸化膿界面の平坦性に関しては、1350℃の高温熱処理により原子層レベルで平坦な界面を作 製できることが示されている。 Nagaseらは、(100)-SIMOX基板の埋め込み酸化膜表面を原子間力顕微鏡を 用いて観察し、そのモフォロジーの熱処理温度依存性を調べた[21]。その結果、1310℃以下の熱処理で は、埋め込み酸化膜表面は4角形状のタイルが敷き詰められたような構造となり凹凸も大きいが、1350℃の 高温熱処理後は、ステップ・テラス構造をとり、そのテラス領域は原子レベルで平坦であることが見いださ れた。 Nagaseらは、この構造変化が界面におけるSiの溶融により起こっていると説明している。本研究に おいては、第4章と第5章の実験において、この界面平坦化技術を採用している。 12 -J一一一一 2-2 Si(111)7×7表面の酪酸化膿成長初期過程の観察 2、2-1 背景 2-2-1-I Si清浄表面と酸素との相互作用研究の歴史 GroveとDealのlinear-parabolicモデルに代表される熱酸化謨成長のkineticsに関する研究とは別に、表面 科学の分野において、Sj表面と酸素との相互作用に関する研究が独自に開始された。熱酸化謨成長の kineticsに関する研究が、デバイス応用を意識した実用的な大気圧酸化が対象であるのとは対照的に、表面 科学の分野ではSi清浄表面における低圧での酸素吸着過程が主な研究対象である。特に、研究の初期段階に おいては、取り扱いが容易である室温における酸素吸着過程が対象であった。 室温における酸素の吸着状態に関しては、当初様々な吸着モデルが提案されていた。当時の大きな論争 は、酸素が解離吸着するかそれとも解離しないで分子状のまま吸着するかということにあった。表2-1に初 期の報告例(主にSi(111)面について)を示す。 表2-1 初期に報告された吸着酸素の結合モデル
著者
表面構造
分析方法
モデル
Green and Maxwell【22]
gasvolumetry
dissociativeMayerandvrakking[23]
AES,etc.
djssocjative,monoxjde bridge,Si-○-SjLudeke and Koma[24]
cleaved
EELS dissociative,diatomic-1ikemonoxide,Si=○【bachetal・[251
cleaved
EELS molecular,peroxide brjdge, Si-○-○-Si lbach and Rowle[26,271 7×7 EELS,UPS molecUlar,peroxide bridge, Si-○-○-SiGameret al・[28,291
cleaved
XPS,AES molecular,peroxy radical,Si-○,0Munozetal,【30]
7×7 AES molecularStohretal.【311
cleaved
EXAFS molecular(Si-○-OorSi-○-○-Si) and dissociative(Si-○-Si) その後、分析技術の精度向上もあって、酸素は解離吸着してSi-○-Si結合をとるというモデルが有力と なっている【32-37】。加えて、室温以下の低温、あるいは極めて吸着量の少ない状況においては分子状の吸 着状態が存在することが、Schell、SorokinとDemuth【32】およびlbachら【331によって示唆された。また、 Hoferらは熱励起プロセスにより準安定な分子状の前駆体を経て、安定な解離吸着に至るという2段階プロセ スを提案している[38、39]。最近では、走査型トンネル顕微鏡(STM)の発明により表面の電子状態を原子 レベルの空間分解能で調べることができるようになり、酸素の吸着サイト等に関して詳細な情報が得られる ようになっている。酸素吸着過程のSTM観察は、LeibsleらのSi(111)7×7表面での室温酸化の観察が最初で 13ある140]。彼らは酸素暴露により表面に窪んで(暗く)見えるサイトが現れることを見いだし、酸素吸着に より表面の状態密度が減少することを示唆した。また、表面の欠陥サイトが酸化物形成の核になること、お
よびステップエッジが酸素吸着に対して優位に慟くことはないことを示した。さらにconer adatom とcenter adatom、↑aulted siteとunfaulted siteとの酸素吸着に対する優位性も議論された[40、41]。続くPelzとKoch[
42、43]は、酸素吸着の極初期過程においては、暗いサイトの他に明るく見えるサイトも存在することを見 いだした。彼らは熱処理に対する安定性等の結果から、明るいサイトについては酸素がon-topに結合した構 造を、暗いサイトについては酸素がバックボンドに結合した構造を提案している。 Avourisらも同様な2種類 の反応サイトを見い出している【44、451.しかし彼らは、強結合近似に基づく表面電子状態の計算と過去の 電子エネルギー損失分光法(EELS)等の実験結果から、明るいサイトはバックボンドに酸素が1個、暗い サイトはon-topとバックボンドに1個づつ酸素が結合したものであるというPelzとKochとはまったく異なっ たモデルを提案している。(100)面に関しては、Cahi11らが、酸素暴露により表面Si原子が突出する現象を報 告している[46]。また、Udagawaら[47]は3種類の反応サイトを見いだしており、それぞれ、(a)欠陥サイト との結合、(b)表面ダングリングボンドヘの吸着、(c)ダイマーあるいはバックボンドヘの酸素挿入ではない かと推察している。以上のように、室温での酸素吸着過程に関しては、酸素が解離吸着をすること、準安定 な前駆体が存在すること等の知見が得られている。ただし、その結合状態については未だにはっきりとした 結論が得られていない。 高温におけるSiと酸素との相互作用に関しては、SiとSiO2の蒸気圧が極めて低いこと、ならびにSiOの 蒸気圧が非常に高いことが古くから知られていた。この事実により、高温におけるSi表面では、 2Si十〇つ→2SiO↑ Si十〇2 ̄゛Si02 (2-6) (2-7) という2つの異なる酸化反応が存在する。現在ではこの2つの反応はそれぞれ、active oxidation、passive oxidationと呼ばれている。この2つの反応のどちらが支配的に起こるのかを初めて示したのはLanderと Morrisonである[481.彼らは低速電子線回折法を用いて酸化中の表面構造変化を酸化温度一酸素圧力面におい て調べ、どちらの反応が支配的に造むかを分離する臨界条件を決定した。高温低圧では(2-6)の反応が支配的 に進み、このような条件での酸化過程を熱酸化の燃焼(エッチング)モードという。逆に低温高圧では(2-7〉 の反応が支配的に進み、これを熱酸化の膜成長モードという。その後、燃焼モードと謨成長モードとを分離 する臨界条件はGelainら[49]とSmithとGhidini[501によって、より広い温度一圧力領域について調べられた。 燃焼モードに関してはShimizuら【511、KahataとYagi[521が反射型電子顕微鏡を用いて調べている。彼 14 -Jk−一一 らは、SiO分子の形成後にはテラス上に単原子層の厚みの穴が生じ、これらが合体して大きな穴を形成する ことを示している。一方、RossとGibsonは透過電子顕微鏡(TEM)を用いてエッチング過程を実時間観察 しヽステップエッジがエッチングにより後退していく様子を示している153]。FeltzらはSTMによりエッチン グ過程を観察し、エッチング過程がテラス上で起こるかステップエッジで起こるかは、ボイド発生の核とな るテラス上での欠陥の密度とadparticle(ボイドまたは吸着酸素体)の拡散長との兼ね合いで決まっている ことを示唆した[541。 一方、膜成長モードに関しては、HimpselらがX線光電子分光法(XPS)により数原子層の薄い(しか しほぽ連続騰と思われる)酸化膜についてSi-2pスペクトルを詳細に調べ、(111)面と(100)面で界面構造が 異なること、および、界面遷移層が2原子層分の厚みであることを示している155]。1原子層以下での膜成長 過程に関しては、Tabeらがシンクロトロン放射光による光電子分光を用いて、Si(111)7×7表面について詳 細な報告をしている[56]。彼らは、熱酸化膜成長の場合は室温酸化に比べ、酸素の被覆率が1原子層以下の 初期段階から3価、4価のサプオキサイドが多いことを見い出し、膜成長が相分離形で進行していることを 示した。 LutzらはSi(100)2×1表面の熱酸化過程の観察に紫外光電子分光(UPS)を適用した。彼らは酸素被 覆車が1原子層を越えても表面ダングリングポンドに起因する状態が残っていることを見い出し、(100)2×1 面においても(111)7×7表面と同様な相分離型成長が起こっていると報告している[57]。ただし、膜成長過程 に関してはこれまでSTM観察がなされていないので、相分離した酸化物の大きさ、膜成長に対するステップ エッジの効果等の微視的な情報は得られていない。 2-2-1-2 清浄表面における酪酸化膿成長初期過程研究の必要性 2-1-2項で述べたように、実用的な表面(例えば水素終端された表面)においても、数原子層オーダー の熱酸化膿成長極初期過程の研究が活発化してきており、¶ayrerbylayer酸化等の興味あるモデルが提案され ている。しかしながら現状では、清浄表面での研究同様、微視的な立場に立った研究が乏しいことから、上 記モデルの是非を含め、原子レベルでの酸化膿成長初期過程のモデル構築には至っていない。これを確立す るためには、次の2点をはっきりさせる必要がある。まず箆1に、酪酸化に対する表面ダングリングボンド の効果である。表面ダングリングボンドは膿形成に対しても活性に働くであろうから、表面ダングリングボ ンド密度は酪酸化膿形成速度に大きな影響を与えることが予想される。第2にステップエッジの効果であ る。前項で述べたように、熱酸化の燃焼モードに対しては、ステップエッジは重要な働きをすることが示さ れている。しかし、膿成長に関しては、室温酸化のSTM観察が示すように、反応サイトとして特別な意味を 持たないようである。清浄表面でのXPS、UPSによる謨成長過程の観察結果【56、57】が示すように、飴酸化 膿の成長初期過程は相分離が本質的である。この相分離型成長が、ステップエッジを起点にして起こってい るのか、テラス上でランダムにおこっているのかを区別することが重要である。これらの点を明らかにする 15
ためには酸化前の表面がよくcharactarizeされていることが不可欠であり、清浄表面における膜成長過程の
研究が重要となってくる。さらに、反応サイトの特定という点では、微視的な空間分解能を持つSTMを用い
ることが有用である。そこでここでは、Siの清浄表面としてその構造と電子状態が詳しく調べられている
(111)7×7表面に関して、STMを主たる分析手段として、熱酸化初期過程の観察を行った。
2-2-2 実験方法 2-2-2-1 実験装置の構成 本実験で用いた超高真空装置の構成図を図2.3に示す。装置は、試料導入室、処理室、分析室の3つの チャンバーより構成されている。分析室(ベース圧力:5×10-lo Torr)には処理室において処理されたSi表 面を分析するためのSTM、およびMgKα線を線源とするXPSが設置されている。処理室(ベース圧力: 2×10-loTorr)は、基板通電加熱用の電流端子、4重極質量分析器(QMA)、反射高速電子線回折(RHEED )システム、および酸素導入口であるバリアブルリーグバルブを有している。バリアブルリークバルブに接 続している酸素配管系は2重配管構造[581となっているので、酸素を空流しの状態にしておくことができ る。これにより配管への不純物の付着等を防ぐことができ、常に清浄な酸素を処理室内に供給できるように なっている。実際、QMAで酸素導入時の処理室内のガスの質量分析を行うと、水素は酸素に対して5%以 下、他の不純物のレベルは感度以下である。また、処理室において表面を酸化した試料を分析室へ移し、 XPSにより表面の汚染を調べても、不純物からの信号強度は感度以下であった。2-2-2-2 試料の作成
用いた基板は、Si(111)-N型、比抵抗0.1Ω・cmの小片である。同基板をH2SO、/H202
4 HFyH20 4
H2SO4/H202の化学洗浄後に試料導入室よ・J処理室へ搬送し、同処理室において700℃以下の温度で数時間
の脱ガスを行った。その後、1250℃、20sの通電加熱により表面をクリーニングし、RHEEDにより7×7構
造を確腿した。麹いて、一旦試料の温度を室温まで戻した後に酸素を導入し、室温酸化または熱酸化を行
なった。熱酸化時の基板温度は波長0.95μmの赤外放射温計により測定した。酸素導入圧力はWフィラメン
トのイオングージにより測定した。酸化後は、試料を分析室へ移しSTM、XPS観察を行った。熱酸ィヒ実験に
おいては、試料温度が室温に戻るのを待って分析室へ移した。また、熱酸化の燃焼モードで酸素暴露した試
料の一部は、処理室から試料導入室を通して大気中に取り出し、Siのエッチングレートの測定を行った。
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り I ︵ ` コ ︵ ︶ ︷ ︸ .裕啄e一端佃鵬知義 S ‘ ZI2-2-3 熱酸化膜成長初期過程の観察結果 2-2-3-1 燃焼モードと膜成長モードとを分離する臨界酸素圧力の 反射高速電子線回折その場観察による決定 熱酸化膜成長のSTM、XPS測定を行う前に、燃焼モードと膿成長モードとを分離する臨界酸素圧力を調 べることが重要である。そこで、酸素暴霧中のSi表面をRHEEDでその場観察することによりこれを決定し た。よく知られているように、表面で膜成長が起こると7×7スポットが消え、最表面以下数層のlxl構造が 弱く観測されるのみになる。さらに膜が10Å程度以上の厚みをもってくると、このlxlも消失しハローパタ ーンとなる。一方、エッチングが進行する燃焼モードでは7×7パターンが保存される【48】。ここでは、 RHEEDパターン変化を基板温度-酸素圧力面において調べた。 図2.4は10分間の酸素暴露後のRHEEDパターンの基板温度(T、)、酸素圧力(Po2)依存性を調べた結 果である。同図において○は7×7→lxl→ハローの変化を起こしたもの(膜成長モード)、×は7×7が保存さ れたもの(燃焼モード)を表す。臨界酸素圧力は基板温度の上昇とともに増加し、T。=600∼700℃で10-7 ∼10-6 Torrの値を持つ。これらの試料のうち幾つかのものは、室温まで温度を下げた後に分析室へ移し、 XPSを用いて酸素被覆量を調べることにより上記の結果を直接確認している。図2.4の結果はGelainらの結 果からの外掃値とほぽ一致することを記しておく。図2.4をもとに、酪酸化膿成長のSTM、XPS測定のため の酸化条件を決定した。 2-2-3-2 燃焼モードでのSiエッチングレート測定 膜成長モードでの酸素暴露であっても表面での酸素被覆量が1原子層以下のときは、膜形成過程とエッ チング過程とが混在している【59】。したがって、酸素暴露時のSiのエッチングレートを把握しておくことが 重要である。ここでは、燃焼モードにおけるSiのエッチングレートを測定し、この結果をもとに膜成長モー ドにおけるエッチングレートを外挿した。エッチングレート測定には図2.5(a)に示されている、250Å厚の Si3N4膜で部分的に被覆された基板を用いた。この基板を用いて、図2.5(b)の△dで示されている酸素暴露に よってエッチングされた部分の深さを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。図2.5(c)に示すように、 エッチングにより生じた穴がはっきりとみてとれる。また、△dは様々な基板温度、酸素圧力条件において 酸化時間に比例することを見いだした。このことは反応が定常状態にあることを示しており、エッチング レートを定義することができる。 図2.6にエッチングレート(ER)を基板温度、酸素圧力の関数として示す。エッチングレートは酸素圧 力を一定にした場合には基板温度が高いほど大きく、また、一定温度では酸素圧力に比例して増加してい る。なお、T、=800℃、Po2=2.5×10-5 Torrではエッチングは進行していないが、これは図2.4からもわかる ように、この条件が膜成長モードであるためである。また、図2.6をアレニウスプロットしてみると図2.7の 18 ミ・SS−-一一 -一一
﹁﹂﹂β︶召0︲
10 ̄5
10 10 ̄了7X了
BLURRED
O Vヘ レ /×10 ̄8レ」|
600
○ ○ X700
Ts(゜C)
7X了
PRESERVED
図2.4 酸素暴露後のRHEEDパターン変化.
19S 曝1
3N4(250X)
(【】)before
e↑ch
fo
Ib
1
gs n 4I↑er e↑chin9
(c)SEM
imo9e
← 図2.5 Siエッチングレート測定用の試料の譜式図.(a)エッチング前、(♭)エッチング後、 (c)エッチング後のSEM慟. 20 --・ ︵こIEぺく 600 500 0 0 0 0 4 3 αご L』』200 100 | 2 3Po2(10-5
Torr )
5 ︵c一Eぺく 6 図2.6 燃焼モードにおけるSi表面のエッチングレートこ10
3 Cと U」 2 |1∼│.6eV
P02’5xlO’5TOrr
8.59.0
1/Ts{10 ̄4K ̄│}
TOrr
TOrr
9.5 図2.7 エッチングレートのアレニウスブロット 21ようになるが、これから求めたエッチングの活性化エネルギー(ε)は1.6士0.2evとなる。この値は○-○ の1重結合のエネルギー(1.44ev[60])に近いことから、エッチング反応は○-○ボンドの解離過程により律 速されていることが推察される。 2-2、3-3 熱酸化膜成長観察のための酸化条件の決定 XPSとSTM測定は600℃と室温での酸化について行った。酸素導入圧力はそれぞれl x1 0-6 Torr、 lx10-8 Torrとした。図2.4より600℃での臨界酸素圧力は6×10-8 Torrであるので、上記600℃での酸素導入圧力は膜 成長モードに属する。したがって次項で示すように、表面の酸素吸着量は酸化時間とともに増大する。次に この条件でのSiエッチングレートを図2.7より外掃してみる。活性化エネルギーに1.6evを用いると、600 ℃、lx10-6 Torrの条件で0.03Å/minとなる。本実験においては、1原子層以下の酸素被覆に必要な時間は 100s以下であることから(これはlx10-6 Torrの酸素圧力では100L(Langmuir)に相当する:図2.8参照)、 エッチング量は微量であり謨成長が支配的である。エッチングレートは謨成長レートの約5%と見積もられ た。 600℃での熱酸化実験の手続きは以下のとうりである。
円基板温度を600℃に上げる、
(2)急いで酸素リークバルブを開け、酸素圧力をlxlD-6 Torrにする(この間約5s)
(3)所望の時間酸化する、
(4)リークバルプを閉じ酸素を排気する、
(5)急いで基板加熱のための通電をオフにするにの間約ls)。
ステップ(2)と(4)においては酸素圧力が低い燃焼モードの時間帯が存在し、そこではSiのエッチングが起こ る。しかし上述の見積りからわかるように、この領域でのエッチング量は無視できるほど小さい。また OMAにより、ステッブ(4)では瞬時に酸素圧力が10-lo Torrのオーダーに排気されることがわかっており、ス テップ(5)の温度遷移領域での酸化膜成長も無視することができる。 2-2く34 酸化謨成長過程のX線光電子分光測定 ここでは、過去に報告されているXPSによる膜成長過程の結果を確認するために、酸化後の表面酸素量 とSi-2pスペクトルの変化を調べた。表面酸素量は○-lsとSi-2pの強度比より求めた。この際、atomic sensitivityfactorとして○-ls、Si-2pに対してそれぞれ0.63と0.17を用いた[61]。表面酸素量は原子層(ML) 単位の酸素被覆率を用いて表した。 IMLに相当する原子密度は、非再構成のSi(111)表面では7.28×1014 cm-2である。表面酸素被覆率を計算する際には、酸素原子がすべて最表面層にあると仮定した。○-ls光電子の 22 J−一一一一 平均自由行程は約15Åであり【62-64】、本装置におけるangular efficiencyfactorはsin45°であるから、○-ls 光電子の脱出深さは約10Åである。これはSi層6層分に相当する。本検討では1原子層以下の酸素吸着量を 議論するので、酸素はこの脱出深さ以内に存在すると考えて差し支えないであろう。したがって、表面領域 の酸素は大部分が強度減衰することなく検出されることになり上記の仮定は正当である。このようにして求 められたXPS酸素被覆車(∂、)は酸素総量のよいリファレンスとなっている。 XPSの結果を図2.8、2.9に示す。図2.8は、酸素被覆車の酸素暴露量依存性を室温酸化と600°C酸化で 比較したものである。それぞれの温度で、IL、10L程度の暴露から酸化が頴緒となっている。この結果は過 去のXPSデータと一致しており[56]、2つの酸化温度で同一の酸素吸着量を得るには異なった暴露量が必要 であることを示している。酸素被覆率が両酸化温度でほぽ等しくなるところで、Si-2pスペクトルの高エネ ルギー側のテールを比較したのが図2.9である。結合エネルギーにおける高エネルギー側テールはSiのサブ オキサイドからの信号であり、高エネルギー側の信号ほど、強く酸化されている(あるいはより多くの酸素 と結合している)Siからの信号である【55】。図2.9に示すように、室温酸化では軽く酸化されたSi(右側矢 印)が支配的であるのに対し、600°C酸化では強く酸化されたSi(左側矢印)が支配的である。ここで両者 の酸素被覆車がIMLよりも十分に小さいことを記しておく。したがって、600℃における強く酸化されたSi の優位性は、酸化物が局所的に、あるいは相分離の形で形成されていることを示唆している。この結果も過 去のXPS測定結果[56、57]と一致している。 2-2-3-5 酸化膜成長過程の走査型トンネル顕微鏡観察 STM観察においてはタングステンチップを用い、電流一定モードで主にサンブルバイアス1.5Vで非占 有状態を観察した。図2.10に600℃酸化と室温酸化後の表面のSTM像を比較した。サンプルバイアスは 1.5Vヽチップ電流は1.0nAである。同図において、(a)は7×7清浄表面、(b)-(d)は室温および600℃で酸化後 の表面である。図2.10(a)においては、(111)面での最上層Si原子であるアドアトムが観察されている。図 2.10(b)では酸素暴露に起因して少数の明るいサイトが現れ、また、暗いサイトが増加している。この暗い サイトは図2.10(c)ではさらに増加している。このような図2.10(b)、(c)の室温でのSTM像は過去の室温酸化 のSTM観察結果[40-45]とよく一致している。室温酸化と同様に600°C酸化においても、図2.10(d)に示すよ うに暗い領域が増加している。XPS酸素被覆率らを各STM像の下に記した。暗い領域の全表面に対する割 合は恥とほぱ一致した傾向にあることがわかる。(詳しい比較は2-2、4項で行う。) したがって、酸素暴 露により生じた暗い領域は酸化物が形成された領域であると結論できる。ただし前述したように、600℃酸 化表面に関しては、暗い領域の5%程度はエッチングにより生じた本当の穴かもしれない。もう一つの重要 な知見は、600℃酸化と室温酸化とで暗い領域のパターンが異なっていることである。室温酸化では暗い領 域が表面で一様に分布しているのに対し、600℃酸化では凝集しており、清浄な7×7領域と明確に区別する 23一 」 S 一 r 3 q こ ) 1.0 0.5 0 R.T.