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garasu seramikkusu no keijo kioku gensho ni kansuru kenkyu

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(1)早稲田大学審査学位論文(博士). -. 「〃. こ. yゝ. ・㎜. 言. −ミ. `y. ・-.

(2) が ラスセ. S・一心. フ. `へ `へ へ. ックスの. 形状記憶現象に. ↓993年3月. 伊東明後. する研究.

(3) =■III■㎜・. 第1章総. 1. 論. 2. 従来の研究. 3. 本論文の構成. 1. 3 5. 研究の意義と目的. 1. 1 t. 第2章. 8 1 1. 2 2 2 2. 2 2. 第3章. マイカ・ガラスセラミックスの形状回復特性. 1. Ashbeeらの研究とその問題点. 2. 全自動形状記憶実験システム. 3. 形状記憶実験の方法. 15. 4. 形状回復特性に及ぼす諸因子の影響. 17. 5. 負荷様式と形状回復特性. 24. 6. 本章のまとめ. 29. ガラス相と形状記憶現象. 3 3 3 3. 形状記憶現象におけるガラスの役割. 31. 2. ガラス相の異なるマイカ・ガラスセラミヅクス. 32. 3. 形状記憶現象発現の有無. 33. 4. 形状回復特性に及ぼす諸因子の影響. 35. 5. ガラス転移点. 39. 6. ガラスの形状記憶実験. 7. 本章のまとめ. 1 4. 3 3. 1. 3 4. 3. 第4章. 組織形態と形状記憶現象 5 4. 1 2. ・. 4 4. 形状記憶現象における結晶の役割 6 4. S. マイカを含まないガラスセラミックスの形状回復特性 3 4. e. 4 4. 一. 焼結セラミックスの形状回復特性. 55. 本章のまとめ. 65.

(4) 第5章. 応力緩和挙動と形状記憶現象 8 6. 2. ガラスセラミックス. 3. 焼結セラミックス. 4. 本章のまとめ. 3 7. 5 5. ガラス相の応力緩和と回復力の発生 8 6. 5 5. 1. 第6章. 77. ネットワーク組織の変形挙動. 6 6 6 6. 大回復量と組織形態. 79. 2. SEMによる組織の形状回復時直接動的観察システム. 80. 3. 形状回復変位の測定. 84. 4. 結晶個々の角度変化の観察. 86. 5. 巨大予変形を与えた際の組織変化. 6. 本章のまとめ. 4 9 5 9. 6 6. 1. 第7章. ガラスセラミックスの形状記憶機構. 7 7 7 7. 1. 実験結果からみた形状回復メカニズム. 97. 2. 形状記憶現象とガラス相. 97. 3. 形状記憶現象と結晶組織形態. 100. 4. 本章のまとめ. 105. 6 0 1. 第8章結. 謝. 文. 論. 辞. 献. 110. 1□. 3 1 1. 略記号一覧.

(5) 1. Ξ△ i冊. 1 1. 研究の意義と目的. 形状記憶現象は明確に定義されていないが,一般に,変形を受けた材料が,無 負荷状態において機械的エネルギー以外の何らかのエネルギーを与えられると, 変形前の元の形状を記憶しているかのように100%復元する現象をいう. 熱エネルギーの入力による形状記憶現象が発現する材料として最もよく知られ ているのは,形状記憶合金であろう.普通,熱弾性型マルテンサイト変態による 形状記憶現象のことを形状記憶効果と呼び,形状記憶効果が現われる合金のこと を形状記憶合金と呼ぶ目).形状記憶合金では,低温でのマルテンサイト相状態 で兄弟晶(バリアント)の存在が確認される.このような材料において,先ず高 温母相からマルテンサイト相への変態時には,各結晶がひずみを最小にするバリ アントを形成する.この状態で外部から変形が加わると,外力の方向にもっとも 都合の良い兄弟晶へと変化していき,弾性ひずみを蓄積する.次に加熱により高 温母相へ逆変態したときに,蓄積された弾性ひずみが消失することが,形状回復 が起こる原因である. 形状記憶効果は,1951年にChangとReadによってAu-Cd合金において初めて見い だされ(2),その後ln-TI合金にも見いだされた(3).その後,IH3年に米国の Nava1 0rdinance. LaboratoryのBuelerらによってNレTi合金に形状記憶効果が見. いだされて以来(4),形状記憶合金は注目を浴びるようになり,現在では,Ni-Ti, Cu-AI-Zn,Cu-A1-Niなどの合金が,コネクタ,アクチュエータ,ヒートエンジン などの各種工業的用途に実用化されているばかりでなく,インプラント材,人工 心臓壁収縮素子,歯列矯正材などの医療的用途にも,実用化が検討されている(5). しかしながら,形状記憶現象は,これらの形状記憶合金にのみ現われる現象で はなく,例えば高分子においては形状記憶現象が形状記憶合金より古くから知ら れており,復元性と呼ぱれていた.高分子の形状記憶現象には,以下の3つのプ ロセスが知られている(6≒①結品性高分子において,まず室温にて架橋し,形 状を記憶させる.次に融点以上の温度で予変形を与え,その状態で室温まで冷却. 1.

(6) -. し,変形を固定化する.その後融点付近の温度まで再加熱すると形状が回復する. ②ガラス転移点前後以下の温度域で予変形を与え,ガラス転移点以下の温度で変 形を固定化する.次にガラス転移点以上の温度に加熱すると形状が回復する.③ ガラス転移点前後以下の温度域で予変形を与え,その変形を拘束した状態で短時 間ガラス転移点以上の温度に加熱し焼きなますことにより変形を固定化する.次 にガラス転移点以上の温度に加熱すると形状が回復する.以上のプロセスのいず れも,一次元高分子が分子レベルで架橋されていることが形状の記憶に重要な役 割をはたしている(o.架橋は化学的なものでも,物理的な絡み合いでもかまわ なく,多くの高分子材料に形状記憶現象が発現する.高分子の形状記憶現象は応 用的な観点からも重要であり,ポリエチレンは,その形状記憶現象が,熱収縮チ ューブや包装材などの用途に産業界で多量に利用されている(7≒また,ポリノ ルボルネンは特に形状回復特性がよく,最近では,形状記憶ポリマーとして市販 されている(8)−ol≒ その他,一般金属合金における超塑性変形の際にも形状記憶現象は見いだされ ている(12≒ さらに,セラミックスに関しても,SchurchとAshbeeがマコールと呼ばれるマ イカ・ガラスセラミックスに形状記憶現象が発現することを見いだしている(13). しかしそれ以来10年以上経過するが,発現する材料の種類,発現条件,メカニ ズムなど,セラミックスはおろかガラスセラミックスに限ってもその形状記憶現 象の全貌は未だ明らかにされておらず,また,応用例もほとんど見られない状態 である. しかし,形状記憶合金や高分子の形状記憶現象は,いずれも通常570K前後以下 の温変域での利用に限られているのに対し,セラミックスの形状記憶現象は,マ イカ・ガラスセラミックスの例ではそれ以上の高温域で形状記憶現象が発現して おり,金属や高分子では不可能な高温域での形状記憶現象の応用の可能性がある. また,機械材料としてみた場合,セラミックスは,高温構造部材としての用途 で最も期待されている材料であるが,このような目的で使用している際に,もし 構造部材に加工履歴による形状記憶現象が発現し,寸法精度への影響があれば, 産業上重要な問題となろう. さらに,セラミヅクスの形状記憶現象は,その高温域での変形挙動と密接な関. 2.

(7) 係があることから,焼結セラミックスの高温域での強度低下の問題やo4≒ジル コニア,βスポジュメン・ガラスセラミヅクスなどで見いだされたセラミックス の超塑性現象との開連など(15)ぃ6),学問的見地からも興味深い問題を多く含ん でいる. したがって,形状回復メカニズムが解明されることにより,さらに良好な回復 特性を持つ形状記憶セラミックスを開発する際の設計指針を得ることができる. さらには,金属,高分子のみならずセラミックスを含めた材料一般の共通的な 現象として形状記憶現象をとらえられる可能性がある. しかしながら,前述したようにセラミックスの形状記憶現象に関する現在まで の研究例は少なく,そのメカニズムや力学的特性の手がかりを与えるには,再加 熱時の温度に対する形状回復の様子を連続的に計測することが先ず重要かつ必要 となる. また,セラミック材料は多岐にわたっており,その構成も複雑な材料が多い. メカニズムを解明するには,供試材としてなるべく簡単な構成の材料を選ぶ必要 がある. 以上に基づき,本論文においては,セラミックスの中で,ガラスセラミックス を対象に選び,実験システムをいくつか試作し,各種の供試材について形状記憶 現象発現の有無,形状記憶現象の発現温度範囲,形状回復特性などを明らかにし, 焼結セラミックスなどと比較するとともに,直接その場観察を含めて形状回復メ カニズムについて検討することを目的とする.. 1. 2. 従来の研究. これまでに報告されているセラミックスの形状記憶現象に関する研究について, 以下に箇条書きにして示す. (1). 1977年に,Ashbeeらが,セラミック材料に関して最初に形状記憶現象を. 見いだしたo3).彼らの実験は,コーニング社製のマイカーガラスセラミック スの一種であるマコールに関して,ロッド状の素材をピッチ32mmのコイル状に切 り出し,770Kにて炉内で圧縮加重を与えたまま急速冷却した後に,炉内で1070K. 3.

(8) 'Ww ̄ ̄. で2時間焼鈍処理を行なうと,ほぼ1. 0 0%元の形状に回復するというものである.. 彼らは,形状回復申の活性化エネルギーが,同材料を引張クリープ試験したとき の活性化エネルギー値よりも小さく,白雲母単結晶を押し込みクリープ試験した ときの活性化エネルギー値に近いことから,形状回復メカニズムが,ガラス相の 流動によるものではなく,雲母結晶申での転位の滑りによるものではないかと推 測している.しかしながら,彼らの研究においては,形状回復力,形状回復率と いった形状回復特性に与える諸因子の影響が明らかにされておらず,メカニズム 推測の論拠も脆弱である.この研究は,本論文の内容に直接関わる唯一の研究で あるので,2章にて詳述する. 記研究以外にみられな. ガラスセラミックスの形状記憶現象に関する研究例は上. いが,セラミックスの形状記憶現象に関して,以下の3つの報告がある. (2). 奥田,井上,中村は,粉体を液体で練った可塑性材料が,型などで成型. した後,乾燥及び焼結する事により,最終の変形方向とは逆方向に曲がるという, セラミックスの可塑成型における形状記憶現象について,そのメカニズムを研究 した(17). その結果,この形状記憶現象は,材料内部の組織が一方では疎,. -. このよ. では密という不均一状態となっていることにより発現するとしている. な形状記憶現象は,窯業の生産現場では製品の寸法精度に関連し,重要であると 考えられる. しかしながら,成型,乾燥,焼結という一連のプロセスを通しての. 形状記憶現象であり. 水分の蒸発,焼結による緻密化など,材料自身が形状回復. 前後で変質し,かつ一度変質した材料を元の状態に戻すことができないため,通. 常の形状記憶現象と同一の次元で論じることはできない. (3). ニアに関し. Swainは,9パmol%のMgOを含むマグネシア部分安定化ジルコ. て,2,2×4×40mmの棒状試験片を4点曲げ治具で表面引張応力で200MPaまで加圧し もう一度1070K. た状態で1070Kまでの熱サイクルを与え,その後治具をはずして,. までの熱サイクルをあたえると,ほぽ完全に元の形状に回復する たo8). ことを見いだし. この現象のメカニズムが,ジルコニアのマルテンサイト変態によってい. るという点は,形状記憶合金と似ており興味深い. これは,試験片に曲げ応力が. 加わった際に片側に引張応力,片側に圧縮応力が加わることから,変態点が応力 誘起変態により試験片両側でずれることを巧妙に利用している. しかし,回復時. も少なくとも2段階に回復し,マルテンサイト変態が分散して現れること,マル. 4. 方 う.

(9) `W=' ̄. テンサイト相も脆性を示し,形状記憶合金のような室温での見かけ上の塑性変形 はみられないことなど,形状記憶合金とは異なった面を持つ.形状記憶現象発現 のためには,マルテンサイト変態終了温度が室温以下で,かつ,不均一応力場で ある必要があり,かなり特殊な条件下でのみ発現する形状記憶現象であるといえ よう. (4). 内野は,圧電素子として用いられる強誘電体セラミヅクスである,. (Pb0.99Nbo.o2)[(Zr0.6Sn。.4)1っT鎔]0.9803系の材料について調べた結果,チタ ン含有量を変化させることにより,いったん強誘電相が誘起されると電界をOに しても通常の圧電素子のように反強誘電相に戻ることはなく,強誘電相のひずみ 状態を記憶する効果を示すことを見いだしたo9≒その際に,小さな逆バイアス 電界を印加する事により強誘電相から元の反強誘電状態に戻すことが可能である. 形状記憶現象に熱エネルギーを利用しないこの現象はエネルギー変換効率がよく, また高速動作が可能である.内野らはこの素材を用いてキープリレーを試作し, 遅れ時間10msecで動作することを確認している. 以上に示すように,セラミックスにおいてはかなり特殊な例においてのみ形状 記憶現象が発現することが報告されており,広範囲なセラミック材料について形 状記憶現象を体系的に調べた例は現在のところ見あたらない.. I. 3. 本論文の構成. 本論文では,以下の順で研究を進める. まず最初にAshbeeらが用いたマイカ・ガラスセラミヅクスに関して,形状回復 特性に及ぼす諸因子の影響を調べあげる. 次に,マイカ・ガラスセラミックスの構成要素である,ガラス相と結晶が,そ れぞれ形状記憶メカニズムにどのような役割をはたしているのかを調べていく. 第1段階として,ガラス相と形状記憶現象との関係を調べる.ガラス相の化学組 成のみが異なるマイカ・ガラスセラミックスについて形状回復特性を明らかにす るとともに,ガラス単体に形状記憶現象が現れるかどうかを調べ,ガラス転移点 などのガラスの物性変化が形状記憶現象に果たす役割を明らかにする.第2段階. 5.

(10) I. ”││・皿−. 'マミ ̄. 一. として,結晶をマイカ結晶から他の結晶構造の異なる結晶に替えたガラスセラミ ックスを供試材に用い,形状記憶現象に及ぼす結晶の影響,特にマイカの平板状 結晶構造が記憶の発現に必要か否かを調ぺるとともに,各種の焼結セラミヅクス について形状記憶実験を行い,どのような材料の範囲で記憶が発現するかを調べ, 形状記憶現象発現のメカニズムを探る. 最後に,形状回復時の組織変化を直接観察することにより,良好な回復特性を 持つ形状記憶セラミックスを設計するときの指針を探る.. 本論文は8章より構成される. 第1章は総論であり,本研究の意義と目的を述べるとともに,セラミックスの 形状記憶現象に関する他研究者の報告を紹介し,本研究の学問的位置づけを行な う. 第2章は,マイカ・ガラスセラミックスの形状回復特性と題し,商品名マコー ルと呼ばれるマイカ・ガラスセラミックスの形状回復特性に及ぼす諸因子の影響 を調べあげたものである.まず本研究に直接関係するAshbeeらの研究について詳 述するとともに,その問題点をあげる.次に形状記憶実験に用いた高温域形状回 復実験システムの説明を行ない,形状回復特性を測定する実験方法について記す. 次に,マコールについて,予変形温度,再加熱温度,予変形量,予変形速度,冷 却速度,加熱速度といった各条件が,形状回復率,最大形状回復力といった形状 回復特性に及ぼす影響を調べる.また,試験機の負荷部を取り替え,引張及び圧 縮負荷における形状回復特性を調べ,ねじりの結果と比較する. 第3章では,ガラスセラミックスの構成要素である結晶とガラス相の内,ガラ ス相と形状記憶現象との関係を調べている.ガラス相の組成が異なる2種類のマ イカ・ガラスセラミックスについて,形状記憶現象発現の有無を明らかにすると ともに,予変形温度,再加熱温度,予変形量,予変形速度といった各実験条件の, 形状回復特性にあたえる影響を調べ,マコールと比較する.また,熱膨張率や示 差熱分析といった熱物性値を測定し,ガラスの物性変化と形状記憶現象との関わ りを探る.最後にガラス単体の形状記憶現象発現の有無を調べ,ガラスに形状回 復エネルギが貯蔵されるかどうかを明らかにする. 第4章では,ガラスセラミヅクスを構成するもう一方の要素である結晶の構造. y,. 6.

(11) や,組織形態と. 形状記憶現象との関わりを明らかにする. まずマイカ結晶を含. まないガラスセラミックスである2ZnO−B。O。系ガラスセラミックス,βスポジュ メン系ガラスセラミックスを中心に,形状記憶現象発現の有無,形状回復特性を. 調べ,マイカ結晶のような平板状の結晶構造が形状 `泌. ガラスセラ. かを明らかにするとともに,マイ力. 記憶現象の発現に必要かどう ックスのようにネットワーク ガラスセラミラミックスと比. 状の組織形態をとらない材料の形状回復特性をマイカ 較する. また,製法上ガラス相を含まない,マイカ焼結セラミヅ. クスや,窒化珪. 素,ジルコニアなどの焼結セラミックスについて形状記憶現象の有無および形状 回復特性を調べ,形状記憶の発現に必要な構成要素を明らかにする. 第5章では,まず,各供試材の高温域での応力−ひずみ縮図を調べ,形状記憶 現象発現温度域での変形特性を明らかにする `泌. 力緩和との関係,焼結セラ. 次に,特に形状回復力の発生と応. ックスにおける応力緩和と粒界の関係を明らかにす. るために,室温で試料に変形を与え,それを拘束した状態で加熱していったとき の応力緩和挙動を実験に用いた各供試材について調べる. 第6章では,走査型電子顕微鏡を用い,形状回復時の組織変化のその場観察を 試みる. 得られる組織画像をVTRに記録し,各種画像処理により個々のマイカ結. 晶の動きを明らかにし,ネットワーク状組織形態と形状記憶現象との関係を調べ る. 第7章では,以上の実験結果を基に,ガラスセラミヅクスの形状回復メカニズ ムについて考察し,形状記憶セラミックスの設計指針を述べる. 第8章は結論であり,本研究の主要な結果をまとめ,これに導かれるガラスセ ラミックスの形状回復理論を述べる. 7.

(12) 'マ ̄ ̄│. 第2章. 2 ・ 1. マイカーガラスセラミックスの形状回復特性. Ashbeeらの研究とその問題点. ガラスセラミックスの形状記憶現象に関する研究としては,現在までのところ, Ashbeeらによるもの(13). が唯一である.そこで,前章に引き続き,彼らの研究を. 詳細に検討し,その成果と問題点を探ることから本章を始める.. Ashbeeらは,各種ガラスセラミックスの高温における塑性変形について,研究 を行ってきた(2oo(26≒その中で,ShurchとAshbeeは,商品名「マコール」と 呼ばれるコーニング社製のマイカ・ガラスセラミックスに,形状記憶現象が発現 することを見いだした.その際の実験において,彼らは,コード番号H50及び H58の2種類のマコールを供試材に用い,それそれの材料を外径20mm,ピヅチ 3,2mmのコイル状に旋盤にて削りだし,試験片に用いた. 彼らの実験方法は,①試験片を炉内で,770Kに等温保持する.②おもりを載せ ることにより,軸方向に圧縮負荷をかける.③炉から取り出し,急激に冷却する. ④おもりをはずす.⑤試験片を再度1070Kに保持された炉内にいれ,2時間焼鈍 処理する.という,2回の熱サイクルを試験片に加えるものである.(Fig,2・1) 彼らは,この実験に用いたコイ ル状試験片の各ピッチの長さを測 定した結果,少なくとも87%,他 の実験例において焼鈍処理時間を 長くすることにより口%の形状回 復率を得ている.また,焼鈍処理 中の,時間に対する試験片の長さ ㈲. の変化を測定し,局所せん断ひず みに変換したグラフを,焼鈍処理. ㈲. ㈲. Shape recovery demonstralion ol Ashbee et al (a)Coil shaped sPecimen was (b)deformed axial compression a1 773K and quickly cooled and unloaded(c)thenrecovered its original shape by reheatin9. Figtl. 温度を900K,1000K,1100K,1200K とそれぞれ変化させた場合につい. 8.

(13) て求めている.彼らは,各温度で得られた曲線を水平移動することにより1270K での代表的曲線に完全に重ね合わせることが可能であると判断した.また,この シフトの唯一の機構が加熱速度の変化であると仮定し,シフト量より活性化エネ ルギー42士5kcal/molを求めた.H58材に対しても同様の実験を行なった結果, 活性化エネルギーは22士3kcal/molとなった. 彼らは,ここで求めた活性化エネルギーの値が,9650材を750K∼940Kの間の温 度域で引張クリープ試験を行ったときの活性化エネルギー値100kcal/molと比較 すると,より低い値であり,後者がガラス状母材の流動を特徴づけるのに対し, 形状回復時の活性化エネルギーはマイカ結晶の結晶板間の転移のすべりによるも のであると考えた.その論拠として,彼らは,白雲母の290K∼410Kの温度域での 微小固さ試験の温度/時間依存性を測定し,そこから得た活性化エネルギが29士 4kcal/molであることをあげている. これらの実験より彼らが推測したマイカ・ガラスセラミックスの形状記憶メカ ニズムを,彼らの論文より引用する(27).(引用者訳). 「機械的特性がバネとダッシュポットの系で表せられる全ての材料は,著し い弾性余効を示しがちである.高温域で塑性変形されたガラスセラミックス の場合も,結晶粒界が弾性変形されるだけならぱ,無負荷状態にした後に予 変形を阻止する方向に回復する.しかしながら,もしその材料が,非結晶部 が流動可能な温度より急冷されるとき,元の形に戻るための弾性エネルギは 材料が流動を許す温度に再加熱されるまで永久に蓄えられるであろう.よっ て,原理的にガラスセラミヅクスは形状記憶を発現することが可能であろう と思われる. 高温ガラスセラミックスの上記モデルにおいて,予変形ひずみの大部分は, 自由表面への非結晶部の流動により吸収される.もしこの塑性ひずみが結晶 部に蓄えられる弾性ひずみより大きければ,ガラスセラミックスは元の形に 完全に戻ることはできないであろう.一方,もし,結晶部と非晶部の力学的 な役割が逆転し,かつ結晶部が単独に結合していれば,自由表面へのひずみ の漏れは不可能となり,ほぽ完全な形状記憶が実現できる.ある結晶部の構 造,特にマイカ的な構造が,非晶部が流動するには低すぎる温度での塑性的. 9.

(14) "Z七.  ̄ ̄へ. な降伏が期待される.このような原理の結晶体の材料を含むガラスセラミッ クスはほぼ完全な形状記憶を示すであろう.この候補として,小さな結晶粒 径のフッ素金雲母ガラスセラミックスであるコーニング9650がある.」. 彼らの研究から得られた大きな成果として,次の3点をあげることができる. まず第1点として,セラミック材料で初めて,マイカ・ガラスセラミックスに形 状記憶現象の発現を見いだしたこと,第2点として,2度の熱サイクルをかける ガラスセラミヅクスの形状記憶現象の発現方法を示したこと,第3点は,ガラス セラミックスには原理的には形状記憶現象の発現の可能性があることを指摘した ことである. しかしながら,彼らの主張する形状記憶メカニズムに対しては,疑問点が多く ある.まず,彼らはガラス相が流動しない固い温度でマイカ結晶が塑性的にすべ ると述べているが,彼らの実験した予変形温度770Kでは,ガラス相がかなり軟化 している可能性が考えられる.また,温度域,材料,負荷様式など,かなり状態 の違う実験から求めた活性化エネルギーを単純に比較しており,さらに,活性化 エネルギーの値がマイカ結晶の塑性すべりを直接示す根拠とはなっていない.ま た,論文中には活性化エネルギーの測定法に関する記述はないが,彼らの実験方 法では,試験片の昇温過程における形状回復成分を分離できないため,試験片の 温度が一定であるとの仮定のもとに炉内温度と最大回復ひずみ速度から活性化エ ネルギーを求めているとすれば,活性化エネルギーの測定方自体に疑問が生ずる. 以上の疑問点は,彼らが,形状回復特性に及ぼす諸因子の影響を明らかにして いないこと,特に,再加熱温度に対する形状回復力や形状回復量の発生の様相を 測定していないことに起因する.. そこで,本論文においては,マイカ・ガラスセラミックス,「マコール」の形 状回復時の様相について連続的に詳しく調べ,形状回復特性に及ぼす諸因子の影 響を明らかにすることから研究を始める. ここで,セラミック材料の機械的特性の測定においては,現在までのところ, 金属材料とは異なり,専ら曲げ試験が用いられている.これは,試験片製作の容 易さ,脆性材における引張試験の難しさなどが主な要因である.ガラスセラミッ. 10.

(15) こ一一. クスの形状記憶現象においては,予変形時と形状回復時の2回の熱サイクルが試 料に加わる.その場合,温度に対する形状回復の様子を調べる上で,熱サイクル による試料の膨張一収縮は大きな障害となり,引張,圧縮,曲げの方式により温 度と形状回復特性の関係を調べることは困難である.したがって,形状回復特性 を調べるには,専用の計測システムを開発する必要がある. そこで,著者らは,ねじり負荷方式による実験を採用し,1500Kに至る任意の 温度誠における加熱一冷却過程での形状回復量および形状回復力の連続的な測定 を行うことが可能な全自動実験システムを試作した. この試作実験装置を用い,まず「マコール」と呼ばれるマイカ・ガラスセラミ ックスの実験を最初に行った.形状記憶現象に関わるパラメータとして,予変形 時においては,予変形温度,予変形量,予変形速度,冷却速度が,形状回復時に おいては再加熱温度,加熱速度が挙げられる.本章においては,まずこれらのパ ラメータが,形状記憶現象における回復力,回復率などの形状回復特性といかな る関係にあるかを調べた.また, 試験機の負荷部をねじりから引 張及び圧縮に替えて実験を行い, 形状回復特性の負荷様式による 違いを明らかにしたので,以下 に述べる.. 2・2. 全自動形状記憶実. 験システム. 形状記憶実験を行なうには, 加熱一負荷過程における温度,. EPotentio ileter. 応力,ひずみの計測を連続的に 行え,温度,荷重,変位を自動. ゛…’. 制御できる実験装置が必要とな Fig.2・2. る.そのために試作したシステ. 11. Shemalic diagram ol lesl syslam.

(16) ムの構成をFig,2・2に. 示す.本システムC,. こおいては,マイクロコンピュータPC98. 01VX2を利用し,加熱一負荷過程に. おける温度,応力,ひずみの各データの全自. 動計測一制御が可能となっている.. データ計測のためのセンサとして,温度はPR PR熱電対は,. 熱電対,応力はロードセル,ひずみはポテンショメータを用いた. にf’M. 両極. r15 い M・ 『 い E C︲Qw. 尨. Å17 紅色 入15 λj4 Å」3 Å;2. e Q.‘8 7 1’大人 A A. λlj. A6. ziQQQ9. Å5. Fig.2・3. Circuil diagram. ol A/D converler. A19・ A18・ A17・ A16・ A15・. モ一タ 制一 装貿. A14・ A13・ A12・ 為11Å10・. S9 !Jii3 A3, 10W. 加熱 制御装置. Å2 尨 AO. 一 SINGLR. Fig.2・4. Circuil diagram. 12. −. ol D/A converler. P011T. GND.

(17) それ. 時間遅れを最小にするためにφ0,3mmの細径のPt-Pt/Rh13%無電対を用いた. ぞれの出力は,DCアンプにて適正電圧に増幅後,Fig,2・3に示す試作12bit,3ch / A. よりマイコンに取り込まれる.計測データを基に操作量を計算. Dコンバータに. の後,出力はFig.2・4に示す試作12bit,2chD/Aコンバータによりアナログ電圧に CPIUfuiiT) 0.1μ. ヌ. Li324 33k. μ一. り2V 25. AC】007. 二≫. 4 一. + lk. の. 工4 ⊇. 汀 ̄. J心︷. 心 一一. |. |. 刀ブ戸. _」. J「. 33k 二. ム 尚尚レ ﹃−. 万言ジ. 33k. レノニ ⊃尚尚こ ≒言ノよ昇二甘口. ①T. ↓. CURV. 01'1. lc回. 1「ls3‥り‥7yyg 孟-・!2v ・-ノXAヘー-M∧→・12v. Fig.2・5. Circuildiagram of D.C.voltage/A.C.Waliagaconvarler (CUrve g白neralor). 124V t. T2こT づ≒則. LM324 D/A. IN. →しづ. f. 5V. 12V. →・●-----.」 3Snj. 47k. (ノ ニ上. .Z ぼl. 上. I... −.. /////. ヤ4550. フフサ. lk. CURV. OUT. 0.1μ. 六大. パ. .一二 ⊃. ⊇. `ヽつAc100v. Fig、2・6. Circuit dia9ram (TriggerpUlse. ol D.C.voltage/A.C.Wattage generaloり. 一. 13−. converter.

(18) l&IS. Fj9.2・7. Circuit diagram. of D.C.motor. controller. 変換される.温度制御系はFigs,2・5-2,6に示す試作加熱装置によりアナログ電圧 に比例した交流電力に変換され,カンタル加熱コイルにより試験片を間接加熱す る.本装置により30Aまでの交流電力を制御することが可能である.変位制御系 は正転・逆転を電気的に可 ゛Table2・l. 能とするFig,2・7に示す試. Spe ・cations ofthe shape memory automatically measurement system Actualor. 作モータ制御装置を通して. φO−13mm. Diameter of Specimcn. タはギヤヘッドを通して. SlidingDislanccof Main Axis. 1/10000に減速され,ねじ. HcatingDcvice. り試験機主軸に接続されて. Hcatingrangc. Healing unit. 0・100 mm. KjlnthalorlllngslenWire Room'Iとmperalure−1500 Room 'kmPermre −2500. Coolingrale. 本システムにおいては,. O−5K/s or Air Cooljng. Atmosphcre. 加熱制御系の性能としては. lとmpcralure. 1500Kまでの温度域での等. Strcss. Scnsing unil. Str3i「1. O∼15K/sに至る間の任意の 加熱速度で等速加熱するこ. −. 14−. K(K2nthal) K (「nlngsten). o・15Kノs. Healing ratc. いる.. 温保持,および加熱速度. 0−2.0rad/s. RotalingSpeed. Mcchanical unit. TyPe:DM80S Rjted Power:25W Japan Scrvo Ct).Ltd. 1/10000. Reduction Gear Ratio. DCモータにより位置,速度 を制御する.なお,DCモー. D.C.Motor. property. Air,Argon が)3mm Pt/Pt・Rh13%nermocouple Load Ccll. Potcntiomctcr. lyPc : l.U-20kf Capacity ;20Kが Kyowa Co.I.td. 乃pc : cPP45-IKΩ Conduclivc Plaslic 'IシPe Midori Prccisi()ns(hLtd.

(19) -. とが可能である.冷却に関しても,370K以上の温度域では,加熱しながら冷却す ることにより5K/s以下の一定冷却速度での冷却が可能である.変位制御系は,ひ ずみ速度士1,5×10-3s-1の範囲での定ひずみ速度変形,定荷重変形,任意のひず み速度での変形が可能である.ソフトの切り替えにより制御目標としてひずみと 応力のいずれかを自由に選ぶことができる.これにより,応力を目標値にとり, 負荷Oに保持した状態で形状回復させ,形状回復率を測定することが本システム においてはじめて可能となった.また,ねじり試験機の主軸はスライドベアリン グにて支持されており,加熱一冷却による軸方向の伸縮を拘束しない構造となっ ている.以上の実験システムの仕. 2. 3. 形状記憶実験の方法. 2・3・1. 実験方法. 実験方法について,生データの 一例を用いて説明する.形状回復. ‘︲u!D﹂IS puossall ‘S aJnlDJadEβ. 様をTable2・1に示す.. Time→. 応力の測定実験は,Fig,2・8に示 Fig.2・8. すように,まず試験片を一定温度. An example. of shape recoveryslresstest. に加熱保持しながら,ひずみ速度. 後,ひずみを拘束した状態で室温 まで冷却する.次にひずみ速度一 定で応力がOになるまで除荷する と,残留ひずみが発生する.この 残留ひずみを拘束したまま加熱速 度一定にて再加熱し,その際発生 する回復応力を連続測定する.. 4︲ u41S puo ssMS‘aJnlDladEβ. 一定でねじり負荷を与える.その. Ccx)【i Prey万万TケT deformolion , , Reh?din《](S励De Reccyervl Deform{ltion 戸=. \. ∧. /. /. へ. 心血ユ血迂 ReheGtin9. \. Stroin ▽. 1emp・. (Conlinしxつus. HeQtin. ). Re5idUO1 `、j組込_. ソ\. Shc e Recowr. ,、/. t. x. 二八 Time→. それに対して形状回復率の測定 実験は,Fig,2・9に示すように再. Rg.2・9. 15. An. example ol shape r白coveryratjolesl.

(20) 加熱の際に応力をゼロに保持する(無負荷状態)ことにより形状回復量を測定し, (形状回復量/残留ひずみ量)より形状回復率を求める.. 2. 3・2. 供試材. 供試材として実験に用いたのは,Ashbeeらが用いたのと同じ米国コーニング社 製のマコール(コード番号9658)と呼ばれるマイカ・ガラスセラミックスである. 以下,本論文中では,マイカ・ガラスセラミックスをMGC,マコール9658をM GC−1と略記する.原料バッチ組成をTable2・2に,走査型電子顕微鏡による組 織写真をFig,2・10にそれぞれ示す.試料にはフッ酸によるエッチング処理が施し てある.析出結晶はフッ素金雲母 Chemical. (Fluorphlogopite,. compositions. Table 2・2 of MG(ン1. (w口/J 一一. Si02. KMDAISL01.F。)であり,雲母結. A1203. ∠,6. 16. 晶とガラスの体積比は雲母55%:. M90. K20. F. B203. □. 10. 4. 7. Q.匹. ガラス45%である.雲母結晶がお. _.. 互いに連結したような状態で,ラ. ゛4 iJ. ンダムな方向に,ほぼ均等な間隔 ”曳. で析出した組織が観察される.こ. のような組織形態の発現には・M. y,. i’ダ″‘. GCの製造方法が深く関わってい. ぶ:jS. lm. る.すなわち,MGCは,一旦原 材料を溶融し,グリーンガラスと. ●j・.●. 4. ・. Fり.2・10. 呼ばれる均質な母材ガラスの状態. 』●●. Microslructure (SEM,x2000). of MGC-1. にする.その後,再加熱により,ガラス中に. 宅べ. 雲母結晶を析出させる.この過程によりはじ. 「. めて上記組織形態が発現する(28白29≒ バルク状の供試材は,フアインカッタによ. 奉 20. 20 _.. 、_. り7×7XHmmの直方体に切断した後,Fig,. 60 ’S. 糸 20 _.. 、_. 、_. ・「. 2・11に示す形状に旋盤にて加工し,炉内で. (mm). 620Kで1時間焼鈍処理し,試験片として実験 Fig.2・11. に用いた.. 16. Specimen. cc】111igralion.

(21) 2・4. 形状回復特性に及ぼす諸因子の影響. 2・4・1. 再加熱温度. 前述の方法による形状記憶実験結 120 ミ. 果をまとめ,形状回復特性に与える. E. 再加熱温度の影響について調べた. S ぷ. Fig,2べ2に再加熱時の温度と発生す. 10 xjeAODa ao j oqS. る形状回復力との関係を示す.予変 形温度は770Kである.回復力は500K 近辺より徐々に発生し始め,600K前 後より急激に増加し,750K前後で. 0. ReheQting. 13MPaのピーク値をとった.その後, 温度の上昇とともに回復力は減少し. Fi9,2・12. ていった.このように,MGC−1. temper【】turej /K. Shaperecoverycharacterislics durin9reheatin9. (Torsionload,Prestrain:3.0×10’3). の形状記憶現象は特定の温度域で発現してくることが見いだされた.ここで,本 論文においては,回復力が急激に増加し始める時の温度(Fig,2・12における600K) を形状回復開始温度(Tstart),回復力がピーク値をとる温度(Fig,2・12にお ける750K)を最大形状回復力発生温度(T. rmax)と定義する.本章において,. 種々の条件の元で実験を行ったが,ある温度域以上で急激に回復力が発生してき て,ピーク値をとった後に減少していくという基本的な発現の様式は全ての実験 で同じであった.. 2・4・2. 予変形温度. 次に,予変形温度が,形状回復の挙動にどのような影響を与えるのかを調べた. 実験条件は,予変形量3,0×10-3,予変形速度I,0×1. 0 一八冷却速度20K/s,再加. 熱速度7,5×10-1K/sで統一した. まず,形状回復開始温度(T. start)と最大形状回復力発生温度(T. r max)の,. 予変形温度による変化を調べてみた.結果をFig.2・13に示す.同図には,形状回 復率測定実験における回復ひずみが急激に増加し始める温度(以下,Tstart(%) とする)も併せて記載してある.形状回復力は,予変形温度にほとんど依存せず,. 17.

(22) 常に 600K前後の一定の温度域から 900. W lqi. 急激に増加する.しかしながら, 最大形状回復力発生温度は,予変. 7y 0aJnlDjaduJI. ’“oQz. 形温度820K以上と以下では異なっ た傾向を見せ,820K以下の予変形 温度の場合は,予変形温度で回復 yn. 2. o. 8. 力が最大になるのに対し,. 七-. 以. 上の予変形温度の場合はほぽ820K. −0一尺m・x. |. 戸。│. 800. 6CX⊃. 状回復率測定実験における. J. 1200. 1000 /K. Pre-deformctiontemperQture,恥e. Fjg.2・13. Tstart(%)はほぽTstartと等し. ・. −(●−7st。rt(・/・). |. 500. で回復力が最大になる.また,形. −●一八t。rt. Effectof pre-deformation temperatUre on Tlmax andTstartol MGC-1. く,形状回復力が発生しはじめる 温度から形状回復が始まっていることが確認できる.すなわち,形状回復力の発 生温度を形状回復の開始温度とすることが妥当であることが確認された.これは また,本試作実験装置による応カフィードバック方式の形状回復率測定実験の信 頼性や精度を示すものでもある.以上のように,MGCの場合も,記憶合金や高 分子と同様に ,ある一定温度以上で形状回復が開始する. ことが判った.すなわち,. この結果は, MGC−1において,60DKという温度に,. 記憶合金の変態点や,高. 分子のガラス転移点や融点に 20. 1(X). 一方,形状回復の大きさは, 予変形温度によりどのような. 形状回復の大きさを示す特性 として,Fig,2・12における最 大形状回復力と,再加熱時に 負荷Oで回復させた実験で得. O. 影響を受けるのであろうか.. Σ. 50. である.. £. sseJ3 ̄&jM):)aJadDqS. 在する可能性を示唆するもの. “/s a6Dlua3jad&Ja aA dO lQ xa lj S. 相当するような物性変化が存. 0. Fi9、2・14. 1100. Prや-deformcltion. tempeばure. K. Eifect of pre'deformalion lemperature on maxlmum shaperecovery stress and shape recovery percentage (Prestrain:3.0×10'3). られる形状回復率の2つを取. 18.

(23) り上げた.Fig,2ぺ4に結果を示す.形状回復率は,約800K以上の温度域でほぼ 100%の形状回復率を示した.それに対して最大形状回復力は,予変形温度720Kの 時に最大15MPa前後の値となった後,約750Kからわずかに低下していく傾向がみ られた. 以上の結果より,最大形状回復力が良好な値を示す予変形温度域は,形状回復 率が良好な値を示す予変形温度域よりも若干低いことが判る.また,Fig,2・13と 比較すると,形状記憶合金とは異なり,予変形温度域がTstartよりも高いこと が見いだされる. なお,今回の実験範囲以下すなわち670K以下の予変形温度域では,MGC−1 は完全に弾性変形を示し,残留ひずみが発生しないため形状回復実験を行うこと ができない.すなわち,形状記憶現象発現のための予変形温度は670K以上である.. 2・4・3. 予変形量. 次に,予変形量の形状回復特性に与える影響について述べる.どの程度の予変 形量に対して100%形状回復するかを知ることは,形状記憶現象を応用に用いる際 に非常に重要であるばかりではなく,回復メカニズム,特に形状回復エネルギー の蓄積機構を調べるのに必要である.実験に際し,予変形温度は770K,予変形速 度1,0×10-4,冷却速度20K/s,加熱速度7,5×1レIK/sに設定した.まず,形状回 復開始温度と最大形状回復力発生温度であるが,これらは予変形量の影響を受け ず,全ての実験で,形状回復力は600K前後より急激に発生し,750K前後で最大と 40. 1. 次に形状回復の大きさであるが, 結果をまとめてFig,2・15に示す. まず最大形状回復力は,予変形量 が5,0×10-3程度までは,予変形 量に比例して増大し,さらに大き な予変形量では飽和していく傾向 にある.それに対して,形状回復 率については,ほぽ1. 50 0 % a6DlueUJaDAJaAo︶aJa︵jDqS. 100. 0 0%の形状回. ローΣ ssa」1S%JaAa Od Do aJ. なった.. 斜. 町2-15. 復率を得られる臨界予ひずみ量は,. 19. 5 Pre5tr()in. X10゛3. Elfectof shear preslrainon maximum shape recovery stress and shape recovery perce削age (Pre・deformation temp,:770K).

(24) 5,0×1レ3であった.それ以上の領域では予変形量の増加にともない減少してい く傾向がみられた.以上のように,100%形状回復する予変形量には限界があり, 予変形量の増大とともに回復率は低下,すなわち予変形で蓄えられた弾性的エネ ルギーを損失する割合が増えていくことが見いだされた.また,形状回復力と形 状回復率を見比べると,形状回復力の増加が線形性を失ってくる領域から,100% の形状回復が得られなくなってきていることが判る.後に6章に示すように, 770Kの予変形温度では,予変形時に発生する応力とひずみは線形関係とならない, それにも関わらず形状回復力と予変形量が1. 00%形状回復する範囲で比例関係にあ. ることは,形状回復のために蓄積されるエネルギー量が予変形ひずみと線形関係 にあることを意味し,エネルギー弾性的な回復エネルギーの蓄積メカニズムが想 定される.これは形状記憶メカニズムを知る上での重要な手がかりとなろう.. 2・4・4. 予変形速度. 予変形速度の形状回復挙動に与える影響について調べた結果をまとめる.実験 条件は,前項同様,予変形温度は770K,冷却速度20K/s,加熱速度7.5×1『1K/s に統一して実験を行なっている.なお,予変形量は5,0×10-3に設定した.まず, 予変形速度と形状回復開始温度および最大形状回復力発生温度との関係を,Fig, 2・16に示す.形状回復力が急激に発生しはじめる温度は,予変形速度に関わりな く,常に600K前後であることが判った.しかしながら,最大回復力発生温度は, 本実験範囲では,予変形速度が 小さいほど高くなる傾向がみら. 復力発生温度は比例関係にある. pDla‘XDujU. れ,予変形速度の対数と最大回. Xこ `6(X). 恢700. ことが明らかになった. 次に形状回復の大きさと予変. 最大形状回復力は予変形速度に 1〔戸. 関わらずほぼ一定の25MPa前後 の値を示した.回復率に関して. Pre5troinrote,`lpf・. Fig.2116. E11ecl ol preslrain rale on Trmax olMGC-1. は,予変形速度が大きくなるに. 20. /S’. ‘. and lilarl.

(25) 変形速度が小さいほど予変形 中に応力緩和により回復のた めの変形エネルギーが散逸す るために形状回復率は悪化す るのではないかと予想したが,. aDDluaz)Ja 5( 0jAJa a( Aj or 3y aS J. かになった.実験前には,予. 40. j1001. DdW ssej1S. 伴い減少していくことが明ら. >、20 S M 肖・ 0. の. 0. 結果は逆であった.これは, 形状回復のためのエネルギー. Fig,2・17. E11ed. ol shear preslrain raleon. s¶ress and shape. が蓄積されるメカニズムとし. 10’. 10'` Prestroin rc】te. 10'`. 10’. 1/S. maximum. shape. (Pre-deiormaiionlemp.:770K,. Prestrairl:5.0×10 ̄3〕. てガラスの遅延弾性的なモデ ルを単純に想定できないことを示唆するものである.また,100%の形状回復を得 るには,今回の実験条件においては,5,0×1ド5s-1以下の変形速度で予変形する 必要があることがわかった. 以上の結果を予変形温度をパラメータとした2・5項の結果と比較すると,形 状回復開始温度,最大形状回復力発生温度,最大形状回復力,形状回復率のいず れの値も,予変形速度を大から小へ変化させたときの傾向と,予変形温度を低か ら高へ変化させたときの傾向が一致していることが判る.これは予変形時のMG C−1の変形挙動に対して,実験条件としての温度と時間を等価に換算できる可 能性(3o)を示すものである.. 2・4・5. 冷却速度. 次に,冷却速度が,形状回復挙動に与える影響を調べた.予変形温度770K,予 変形量3,0×10一匹予変形速度1,0×10-4,加熱速度7,5×10-1K/sにて形状回復実 験を行った.最初に,冷却速度と形状回復温度域との関係について述べる. 7. 0×10-2∼20K/s間の冷却速変域においては,形状回復温度域は冷却速度の影響 を受けず,形状回復開始温度は600K前後,最大形状回復力発生温度は750K前後の ほぽ一定の値を示した.すなわち,形状回復開始温度は,予変形時の実験条件を どのように変化させても影響を受けず,ほぼ同じ600K前後であることが判った. 次に最大形状回復力,形状回復率と冷却速度との関係をFig.2・18に示す.上記. 21. recovery. recoverypercenlage.

(26) また,最大形状回復力もほ とんど変化せず約14MPa前 後の一定の値となった.最 大回復力,回復率いずれに. 一一. − 50. ずほぽ100%形状回復した.. d?2i. M/ t‘s5aJ4 xs JaAODa ad JDqsE⊃E一×タ2. 状回復率はほとんど変化せ. lool. ぶ、1。3&'a6DBJa:1 xJ Ja ad 。claJadDqS. 冷却速度範囲において’形. 0. 対しても冷却速度はあまり. |. ゜. |. 1. 1. |. | | ぺ)−Recovery stress →一Recovery l. percentQge. 1. 10‘1. K/S. Cooling rGte. 影響を与えないことがわか. Fi9.2・18. °. Effect of cooling rate ()nmaxjmum and shape. る.また,Fig,2・19に,予. recovery percentage. shape. recovery stress. of mica glass-ceramics. (Pre-deformationtemp.:770K,Preslrain:3,0×10 ̄3). 0. →−873K −{}−973K. 10. 1. 10-. の時に約14MPa,870Kの時に 約13MPa,970Kの時に約11MPa. temp. べ)−773K. 0. 果どおりの,予変形温度770K. Pre-deform仙on. ujnu」!XDΣ. ど受けず,ほぼ2・5項の結. 0. 力は冷却速度の影響をほとん. 1. いても,やはり最大形状回復. AJaAo3aJacDMs. す.異なった予変形温度にお. ’ssaJls. 回復力と冷却速度の関係を示. 2. 970Kと変化させたときの形状. ロmΣ/“1. 変形温度を,770K,870K,. Cooling rQte Fig.2・19. Relation between recovefy stress. 前後の一定の値を示した.. K/s. coolin9 rate and maximum. shape. (Prestrin:3.0×10. ’3). Ashbeeらは,MGC−1の形状記憶現象発現の実験の際に,急冷する必要性を 述べているが,上述の結果は,かなりゆっくり冷却しても形状記憶現象には影響 を与えないことを示すものである.冷却速度が小さいということは,材料が高温 域に長い時間保持されることを意味する.すなわち,この結果および,前項での 結果は,形状回復のためのエネルギーは,予変形温度で保持されてもすぐには散 逸しないようなメカニズムが存在することを示唆するものである.. 2・4・6 次C,. 加熱速度. こ,再加熱時の加熱速度が形状回復挙動に与える影響を述べる.予変形温度. 22.

(27) 770K,予変形量3,0×10−3,予変. 20. 形速度1.0×10-4,冷却速度2()K/s,. 件にて形状回復実験を行った. 最初に,形状回復温度域に与え る影響を述べる.Fig,2・20には, 再加熱速度を7,5×10−q/s, 3,8×10-IK/s,1,5K/sと変化させ. 10. DdM/EH、5SIJIS jDiqS. 再加熱速度7,5XIO-IK/sの実験条. o ReheQtin9 1emperQture,万. /K. たときの形状回復力と温度との関 Fig.2・20. Reration. 係をまとめて示す.すなわち,加. between. shape. reheating lemperatUre (Pre-deformation. recovery. on each. lemp.:770K,. stress. rehealing. and rate. Prestrain:3.0×10 ̄3). 熱速度により形状回復力の発生温 変域が異なり,加熱速度の増大と共に高温側に移動していることが判る.さらに, 形状回復力がピーク値をとった後の温度域での回復力の温度に対する減少の度合 が,加熱速度が大きくなるほど小さくなる. これらの実験結果から,形状回復開始温度(Tstart)および最大形状回復力 発現温度(T7HX)と加熱速度の対数の関係を,さらに多くの実験例について 調べたのがFig,2,21である.両温度とも加熱速度の影響を受け,加熱速度の対数 とほぼ比例関係にあることが見いだされた.すなわちこの結果は,形状回復温度. 域全体が加熱速度の増大に伴い高温側に. BO. 移動することを意味する.したがって, 温度に対する形状回復の発生過程が加熱. 芝. 速度に依存し変化する.. t ぶ. 700. 次に,形状回復の大きさを表す,最大. R ど. 形状回復力,形状回復率と再加熱速度と. 5600 1. の関係をFig,2・22に示す.実験領域では. ぷ. 形状回復率は75%前後,最大形状回復力 は15MPa前後のほぽ一定の値を示し,再. 500. 加熱速度に対する依存はほとんど見られ なかった。また,Fig,2・23に,予変形温. Rehe[]tingrGte,R. Fig2.21. EIlect。│rehGaling ralaon Tlmax and Tslarl ofMGC-1. 度を,770K,870K,970Kと変化させたと. 23. ls・.

(28) −O−. Recovery slress. →−Recovery. percent()ge. ○ 10. Fig.2・22. ●. ●. i 20. ︻iΣ`EP、ssaJl As JaAODeJado uq Js nEIXI. 50 (7.1&‘a5DBJalJa xd JaAcUaJaot)qS 0. らo. ’︲ /““k’ssa﹂l As JaAc:︶aJadDqsEnuJ!xt︶Σ. 1()0. |● _. ●. ()-.  ̄’ 1. Pre-deformQlion temp・ -べ}一一773K →-873K −{〉一一973K. f. 0. 10. ReheGtin9 r(ユte. 0 10. 10. 1. ReheQtin9. K/s. Fig.2・23. Effect ol reheatin9 rate on maximum shape recovery slress and shape recovery percenlage (Pre-delormation temp.:770K,Preslrain:3.0×10. 1 rGte. K/s. Relalion belween rehealing rale and maximum shape. recovery slress. (Prestrain:3.0×10'3). '3). きの形状回復応力と再加熱速度の関係を示す.実験範囲にわたり変化せず,Fig, 2・14で示した値に近い最大回復力が発生するという,冷却速度の実験と同様な結 果が得られた.このように最大形状回復力が再加熱速度によりほとんど変化しな いことは,異なった予変形温度についても成り立つ.すなわち,本実験加熱速度 域(7,0XIO-2∼1,4K/s)においては,再加熱速度は,形状回復の大きさにはあ まり影響を与えないことが明らかになった. 以上のように,再加熱速度は,形状回復温度域には影響を及ぼすが,形状回復 の大きさにはほとんど影響を及ぼさない.すなわち,蓄積されたエネルギーの開 放温度域は変化するが開放量は変化しないことが明らかになった.. 2・5. 10. 負荷様式と形状回復特性. 以上のMGC−1の形状回復特性は,負荷様式の影響を受けるのであろうか. 形状記憶合金では,負荷様式により形状記憶効果が大きく変化するようなことは ない.MGCの形状記憶現象が引張および圧縮変形時においても現われるかどう かを確認し,その回復特性を明らかにすることは,形状記憶メカニズムの解明に おいても,応用を考える上での基礎データとしても,極めて重要である. そこで,ねじり負荷による形状記憶実験を行なってきた計測・制御システムを. 4 2.

(29) 利用し,負荷部をねじり試験機から専用の試作引張・圧縮試験機に取り替え,そ れぞれ専用ソフトを用い,各温度での引張・圧縮試験,および形状回復実験を行 なった.なお,引張・圧縮負荷による形状回復実験においては,温度サイクルを 与えると熱膨張による変位が形状回復による変位より1オーダー以上大きく現わ れるため,加熱一冷却時の形状回復の様子を直接測定することが極めて困難であ る.したがって,形状回復力の測定は行なわず,形状回復率に関しても,予変形 前,加恭一予変形一冷却後,再加熱一冷却後の各段階でひずみを計測し,その変 化より求めている.以下,姫初に試作した引張・圧縮試験機の概要について述べ た後に,引張り王縮実験の結果をそれぞれ報告する.なお,用いた供試材は,M GC−1である.. 2・5・1. 試作引張・圧. 引張・圧縮負荷において高 温域の変形挙動および形状回 復挙動を調べるために試作し. 600. た試験機の概要を述べる.試 Fi9.2・24. Shematic. dia9ram. oHhe. tensile/compression. test apparatしJs. 作試験機の構造図をFig.2・24 に,試作装置の外観を. 1. Fig,2・25に示す.本機. ゜・. は,本研究では用いて いないが,光学顕微鏡. 1. により引張・圧縮変形 時に試料表面のその場 観察が行えるようにエ£ 夫されている.試験機 を光学顕微鏡のXYテー ブルの位置に設置する ため,試験機自体を試 作XYテーブルに載せ,. Fig、2 25. FU11 view of the tensile/compressjon. 25. tesl apparatus. し ー. ︲ 一 ︲︲ ・士. 縮試験機.

(30) 高さ方向は顕微鏡自体を上下させてピントを合わせる.顕微鏡の光軸と顕微鏡ボ ディとの距離が小さいため,試験機の4本の支持軸を不規則に配置し,試験機自 体をXYテーブルに30°傾けて取り付けることにより試料表面を顕微鏡光軸上におく ことが可能となった.変位はDCモーターの回転をギヤボックスにより減速し,ボ ールスクリューで直線動作に変換しクロスヘッドに伝えている.その際に,像観 察面ができるだけ動かないように,両側のクロスヘッドが均等に動く構造となっ ている.また,超塑性実験にも対処できるように,ストロークは360mm確保してあ る.加熱はカンタルコイルを用いた.センサはねじり試験機と同一の形式のもの を用いた.すなわち温度計測にはPR無電対,応力はロードセル,ひずみは直線動 作のポテンショメータを使用した.. 2. 5. 2. 引張負荷. 引張・圧縮実験に用いた試験片の形状は,ねじり試験に用いたものと同じFig, 2・□の形状のものである. Fig.2・26は変形温度870Kで,ひずみ速度8,9×10一6s-1にて引張ったものである. MGC−1は,変形当初の0,1∼0,2%前後の非常に早い段階から内部に亀裂が発 生しているようなリップル状の変化が現われ,最終的に1,2%程度のひずみで破断 した.そのときの引張強さは8,5MPaであった.このほか,770Kから970K間の各温 度で,またひずみ速度も1,4×10-3s-1から7,1×10-6s-1の間で広範囲に各種変化. させて実験を行ったが,MGC−1. とが多く,形状回復実験を行えるよ うな量の残留ひずみを安定した状態. の研究(31)において,MGC−1に, ねじり負荷においては超塑性的な変. ∧ ノ. ス. 5. で得ることはできなかった.著者ら. Il S!sua1 odN/ p lssaJa. の挙動は不安定ですぐに破断するこ. 101. ケ. 形挙動が起こることが明らかになっ O」. ているが,実験を通して,1,5%程度 の変形ひずみが得られず,ねじりの. T;nsile. Fig.2・26. 様な大変形を示すことはなかった.. 26. SIroin.. E(10’2). Stress-strain diagram. ol corlstant slrain rate tensilelest. (MGC-1,Deformaliorl. temp.:870K,. Strainrate:8.9×10'6s内.

(31) 「り.2・27. Microslructure. oHhe. broken,out. section of MGC-1. (SEM,x200). Fi9 2・28. Microstrudure oHhe (SEM,x2000). 27. broken-out secljon ol MGC・1. −.

(32) すなわち,MGC−1は高温域で負荷様式により異なった変形挙動を示し,引張 負荷では超塑性的な変形挙動は現れない.走査型電子顕微鏡による破断面の写真 をFigs. 2・27-2‘28に示す.マイカ結晶が,主応力方向すなわち破断面に垂直に並 んでいる様子,ガラス相が流動し,マイカ結晶の先端に集まり,その後に凝固し ている様子が判る.超塑性変形は,基本的には粒界すべりによる粒の移動により 説明されているが,MGC−1は,マイカ結晶の異方性が強くさらにお互いにラ ンダムな方向に連結しているために結晶粒の移動が起きにくい組織形態となって おり,引張応力下では,ガラス相が軟化する温度域においてはキヤビティの発生 や結晶粒の連結部の破断が容易に起き,超塑性変形しにくい構造であると思われ る.また,応力−ひずみ線図における不連続的な変形挙動は,結晶粒の連結部の 不連続な破壊を示していると考えられる.破断面に垂直に並ぶ結晶粒は,連結が 破壊され自由に動けるようになったため,主応力方向に沿って回転したのであろ う.. 2・5・3. 圧縮負荷. 次に圧縮負荷による実験結果を示す.770Kから970K内のそれぞれの温度で保持 し,ひずみ速度8』×10-6s-1にて圧縮負荷を与えたときの応力−ひずみ曲線を Fig,2・29に示す.この図から判るように,まず,応力は,ひずみの増加と共に増 大する.しかしながら,ある所定 の応力に到達すると,応力がほぽ. ノサ. 40,. うになる.この状態の応力は,変. た.また,この域では,しぱしぱ リップル状の変化が観測された. この様に変形させた試験片を形状 回復させたときの結果を示す.. | 二. ’SSaJIS uo!s9JduJOD. 形温度が低いほうがより大きかっ. 口aΣ/p. 一定の状態でひずみが増大するよ. 0. −-−-− | | ム |. Fig.2・30に予変形温度を,Fig, 2・31に予変形量をそれぞれ変化さFigt29Slress-slraindiagram せたときの結果を示す.Fig、2・30. (MGC-1、Delormalion. 1 Compression. 2. StrQin,c. (10’2). ol conslantstrainralec【】mpressionlesl lemp.:870K. SIrainrale:8.9×10‘6s内. 8 2.

(33) ¬\X. になると低下する.また,Fig,2・31 に示すように,約2%の予ひずみにお いて,ほぽ100%の予変形が得られる ことが判明した.つまり,Fig,2・29 の応力ひずみ曲線において,応力− 定で変形する部分も,形状が回復す. _100. 50 へ・︶&'a5DluaDiade &d an &q )S a8. より,形状回復率は,850K前後以上. ∼. 之○一一 尚)−``ヽへ. \ f/. 0. 800. る.また,ほぽ100%の形状記憶が得 られる臨界予ひずみ量は2%前後であ. Fi9.2-30. り,ねじりの約4倍程度の値を示す.. \. E11ect. Pre-deFormotlon. lemperGtUre,r. ol pre°deformation. temperature. recovery. percentage. (Prestrain. 2,0×10'2,Prestrain. /K. on shape. rate:8.9×10'6s'1). 以上の様に圧縮負荷においては,非 常に良好な形状回復特性を示すわけ であるが,このように負荷様式によ り変形挙動が違うのは,MGC−1 の組織形態と関係しているのではな いかと推察される.. 50 1/4︶&’e5Dlu xa JD eJ &a Dd a aU dDqS. _100. 一『. 犬. \ 》. 0. 1. 2. 4. 3. CompressionPrestr(lin.E. 6. 2. 本章のまとめ Fig.2・31. EHect of compression percentage. prestrain on shape. (Pre-deformationtemp.:870K,Prestrain. recovery rate:8.9×10 '6s'1). 試作実験システムにより,MGC -. 1の形状回復特性を明らかにした.その結果,MGC−1は,特定の温度より. 形状回復が始まること,負荷様式により形状回復特性が大きく変化することを見 いだした.本章で得られた結果を要約すると以下のようになる. j l. ぐ. 熱膨張の影響をキャンセルできるねじり負荷での実験を15HKまでの温 度域で行なうために,専用の実験システムを試作し,加熱一冷却過程で の形状回復量,形状回復力の測定に成功した.. (2). (10゛2). 形状回復応力,および形状回復率測定実験の結果より,MGC−1にお. 29.

(34) ゛Wミ. ¬\. いては,特定の温度域で顕著に回復してくることを見いだした.. (3). MGC−1がほぼ完全に形状回復する臨界予ひずみ量は約5パ×10-3で あり,その範囲では,最大形状回復力が予ひずみ量に比例して増加する 傾向が見いだされた.. (4). 予変形速度が小さいほど,形状回復率が大きくなることが明らかになっ た.すなわち,形状回復メカニズムとして,ガラスの遅延弾性的なモデ ルを設定することはできない.. (5). 冷却速度は,7,0×10-2∼20K/sの範囲では,形状回復温度域にも,形状 回復の大きさにも,あまり影響を与えないことが判った.. (6). 再加熱時の加熱速度も,7,0×10-2∼1,4K/sの範囲では,形状回復の大 きさにはあまり影響を与えない.しかしながら,形状回復温度域 (T start, T r max)は加熱速度の影響を受け,加熱速度の対数に比例 して高温側に移動することが明らかになった.. (7). 形状記憶現象発現温度域におけるMGC−1の変形挙動は,その負荷方 式により異なることを見いだした.すなわち,引張負荷においては非常 に不安定な挙動を示すこと,また,圧縮負荷においてはある応力に達す ると,応力がほぽ一定でひずみが増大することなどが判った.. (8). 引張負荷においては,形状回復実験を行えるだけの予変形を安定した状 態で与えることはできなかった.一方,MGC−1の圧縮負荷における ほぼ100%形状回復する臨界ひずみ値は2%であり,ねじりの約4倍である ことを見いだした.. 30.

(35) 第3. _!●一●t 早. ガラス相と形状. -㎜│ 〃. 己憶現象. 1. 形状記憶現象におけるガラスの役割. ガラスセ. − フ. 々へ. 3. ヅクスは,結晶とガラス相から構成される. ガラスセラミックス. の形状記憶現象を調べる上で,両者の役割をそれぞれ明らかにしなければならな い.そこで,本章においてはまずガラス相に着目し,形状記憶現象との関係を探 ることにする. 前章において,. MGC−1の形状回復特性を調べた結果,形状回復のトリガー. となるような物性変化の存在を示すように,いつも600K前後から形状回復が開始 h. A QJ. することが明らかになった. beeらの主張するMGCの形状記憶メカニズムに. よれば,570K以上の温度域で,マイカ結晶は基本相に沿ってのすべりにより塑性 的な変形が可能となり,ガラス相がまだ流動しない固い温度域で,マイカ結晶が その後再度加熱されれば,. 塑性的に変形し,冷却によりその変形を凍結される. マイカの塑性的変形が弾性的に回復するというものである. 確かにMGC−1が. しかしながら,前章におい. 形状回復を開始する温度は,Ashbeeらの主張に近い. て,形状回復可能な予変形温変域は,670K以上であり,彼らの主張する温度では, 残留ひずみが発生しないことが明らかになった. -. と, トリガーの候補として,マイカ結晶ではなく, げる めに. 'ア L_. j. ともできる. 方,高分子の例から類推する ガラス相のガラス転移点をあ. そこで,形状回復のトリガーとなっている物性変化を知るた. 本章においては,まず,MGC−1とはガラス相の化学組成の異なる2種. 類のMGCについて,形状記憶現象発現の有無を調べるとともに,形状回復挙動. に及ぼす予変形温度,再加熱温度,予変形量,予変形速度の影響を調べMGC− 1と比較する.また,各MGCについて,熱膨張率,示差熱の測定を行ない,そ れぞれのガラス相のガラス転移点を明らかにする.一般に,ガラスはその化学組 成によりガラス転移点や各温度における粘度が変化する.供試材として用いる3 種類のMGCは,析出結晶の種類,形状,組織の形態をほぼ同じものとして扱え るので,これらの形状回復特性を比較検討することにより,ガラス転移点やガラ ス相の粘性変化と形状記憶現象との関わりを明らかにできるものと期待される.. 31. !. ,.

(36) また,最後に,ガラス単体の材料に Table 3’I. ついて,形状記憶実験を行い,ガラ. Chemical. compos,lions. どうかを確認する.. MGC-1. 46. 16. 17. 10. 4. MGC-2. 48. 16. 17. 11. 8. MGC,3. (wl%). M90 K20 F B203. SiO2 A1203. スだけで形状記憶現象は発現可能か. ol MGC. 7. Unannounced. なお,形状記憶実験の装置および. 2. f。︲。. 3. 、″。’ ’ ヽヽ. l. 方法は,前章と同様である.. 昏jT 'S興゛ji・゛'` r. 亀へ. ゝ'q4‘IE. ガラス相の異なるマイ力 f. ・ガラスセラミックス. ごこぞ i芦哨●. “、 X J゛ ●. 供試材として実験に用いたのは,. 。m. 冑. 7`・. (a)MGC-1. ホトベール(ホトンセラミック製), マセライト(三井鉱山製)と呼ばれ. ’‘. る2種類の国産のMGcである.原. ″. 料バヅチ組成をTable3・1に. す.本. 為. 論文においては,これ以降,ホトベ. ど. 1lf’. , ii゛` F. .. ,7. !,●゛`4111s14 ‘ ,.. ;’ lφこ. ールをMGc−2,マセライトをM. .. GC−3と略記する.なおMGC− 2は原料バッチ組成が公表されてい. 争, 7T ・,... ゝ/り.´ 4. 「. ’`‘ ″X. .PHOTov. E`. ¥」1』r7●41111. (b)MGC,2. yl;s’. ない.MGC−1も含めて3種のM GCはともに析出結晶がフッ素 金雲母(Fluor−phlogopite,. ?. Uミ. KMDAIS≒0,。h)であり,雲母結晶 とガラスの体積比はほぼ共通の雲母 55%:ガラス45%であるとされている. P ,. り. 7ぶ芒9j9(りi.;?1. 4. 各材料の走査型電子顕微鏡による組 や、. 織写真をFig,D1にしめす.ともに. 今こj゛Acs , ・. kJ)i」"ふ! (c)MGC-3. フッ酸によるエッチング処理がして Fig.3・I. ある.ほぽ「司一一の,雲母結晶が互い. 32. 包. Microslurclures (SEM,x2000). ol MGC.

(37) に連結した組織形態となっていることが判 る.実験を行なうにあたりこの析出結晶が. 21. 同一であることを確認するために,それぞ. 11 S/lurx︶︶. れのX線回折パターンを調べた.結果を Fig.3・2に示す.各材料とも回折ピークが. フッ素金雲母であることを確認した.これ らの事実より,原料バッチ組成の違いはガ ラス相の化学組成の違いとなって現われる. 両材料はともに ,MGC−1と同じ方法. `’10. 40. 50. 60. 70. 20. 30. 40. 50. 70. 60 2e. de9.. 770K,MGC−. ・φ. Fig.3・2. 820K)し,実験に用いた. 3・3. 30. 70. 60. l・. 加工した後,炉内で1時. 間焼鈍処理(MGC−2 3. 20. 50. 40. 30. 2i. ものと考えられる.. にて試験片形状に. 20. XI!sualx ux l3. Sx. 一致しており,析出結晶が3種とも同一の. 10. X-ray. ・raclion. (Cu・Ka,Scan. patiamsofMGC. speed:3.3×10`ldeg./s). 形状記憶現象発現の有無. 形状記憶現象の見いだされていないMGC−2,MGC−3に関して,記憶現 象の有無を調べてみた.形状回復. ・. y. 図から明らかなように,両材料と もに形状記憶現象が発現すること を見いだした.すなわち,MGC −1以外のMGCにも形状記憶現 象が現れることが明らかになった. ガラス・マトリクスの組成が異な っても,MGCには形状記憶現象. U91SpuDssaJ' Ie SjnlDJeduJa1. 実験の一例をFigs,3・3-3・4に示す.. Reheoli(Sho e Recover ). I て yぷ油nSL. Rehectinいemp・ (co邱nuous HeGlin ). 皿 ! Deforr。li。n Tem,.・1020K. y. / St面n. /・1. β蛙益ほ磁ΣJ/. N. /. ソ. ADolied. 1 1SIress. / 土. /. レ/ l 1 |. /. 入. x \竺a翌こと  ̄ ノ. 歿. 1¬ 目. 13MPG |\MUX. U!!jl藍瓦. T,me. が発現する. Fi9.3・3. Figベド5に再加熱温度と形状回. 33. An example oHhe ofMGC-2. shape recovery stress test.

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