Kankyō hairyogata seihin ni kansuru gurīn māketingu no kenkyū
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(2) 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程 学位論文(. 2017. 年度). 論文題名. 環境配慮型製品に関するグリーンマーケティング の研究. 主. 査. 姉川 知史. 副. 査. 坂下 玄哲. 副. 査. 市来嵜 治. 副. 査. 氏. 名. 易. 琳.
(3) 論 文 要 旨. 所属ゼミ. 姉川. 研究会. 氏名. 易. 琳. (論文題名). 環境配慮型製品に関するグリーンマーケティングの研究. 近代社会において、平和と発展が人類社会において重要なテーマとして、世界中の 人々の共感を得ている。世界経済が加速化している現在、環境問題は重要度が高まって いる。また、環境に敏感な消費者層が現れ、環境保護活動が最も盛んであるヨーロッパ をはじめとする地域に増加している。日本において環境保護に関する各種の調査のデー タからみると、日本国民においても地球の環境に関する関心度が年々増加している。し かし、環境保護に関する実際の行動の進展は緩やかである。 日本は先進国の中でも環境配慮型製品に関する高い製造開発の技術力を持っている にもかかわらず、マーケティングにおいて、グリーンマーケティングの研究の数は相対 的に少なく、とくに一般消費者に対するグリーンコミュニケーションの研究は豊富とは 言えない。 そこで、本研究は一般消費者を対象とするグリーンマーケティングを展開する可能性 と問題点を探る。また、グリーンコミュニケーションを行う際に、グリーンコンシュー マーではなく、一般消費者に向ける普及手法を視点として研究を出発点とする研究を行 いたい。グリーンマーケティングをするには、消費者の消費行動やライフスタイルと社 会的要因などの要素に総合的に配慮すべきであり、環境配慮型製品に関する有効なマー ケティング・コミュニケーション手法を論じる。 本論文の構成は以下のとおりである。第2章はグリーンマーケティングの基本概念の とグリーンコミュニケーションの具体例を示す。その際に、環境問題が世界的な範囲で 発展した歴史を簡単に挙げる。第3章は日本でのグリーンマーケティングの進展を述べ る。一般大衆の間に環境保護活動に対する意識と行動の「不協和」現象を説明する。第 4章は幸福提供型マーケティングの有効性を論じる。第5章では、 「エコ・アクション・ ポイント制度」を取り上げ、事例研究を行う。エコ・アクション・ポイント制度を代表 例として対象とした研究を行うことで、今後の環境マーケティングに関する研究への有 益な示唆を導く。最後に、第 6 章では、論文の全体的な内容をまとめたうえで、一般消 費者に対して環境配慮型製品のマーケティングをより良好に展開するための、今後の研 究課題を提示する。.
(4) <目次> 第1章 研究背景・研究目的………………………………………………………..1 第2章 既存研究……………..……………………………………………………….2 2.1 環境マーケティングの概念と歴史……………………………………………...2 2.2 環境コミュニケーション……………………………………..……………….....3 2.3 消費者とグリーンマーケティング……………………………………………...9 2.3.1 日本のグリーンマーケティングと消費者…………………………………..9 2.3.2 消費者の環境配慮型製品への態度…………………………………………..9 2.3.3 グリーンマーケティングと消費者に関する先行研究…………………….12 2.4. 幸福提供型マーケティン………………………………..………………….…18. 2.4.1 幸福理論と愛着理論……………………………..………..…………...……18 2.4.2 幸福提供型マーケティングの研究…………………………………………20 第3章 研究方法…………………………………………………………………….22 第4章. 事例研究—エコアクションポイント制度………………………………..23. 4.1 エコアクションポイント制度とは……………………………………………..27 4.2 エコアクションポイント制度とその他の制度の比較………….……………27 4.3. エコアクションポイント制度のメリットとデメリット…………………...28. 第5章. 考察とまとめ……………………………………………………………….30. 5.1 エコアクションポイント制度に対して幸福提供型マーケティングの応用..30 5.2 研究の限界……………………………………………………..………………...30 参考文献……………………………………………………………………………….31 謝辞…………………………………………………………………………………….37. 0.
(5) 第1章 研究背景・研究目的 世界の人々の環境問題への関心度が高まっている。大橋(1994)は、生活全般 の行動基準に環境配慮を重視する生活者のことをグリーンコンシューマーとす る。大橋(1994)は、日本国内における環境意識調査によって、グリーンコンシ ューマーが増加しているデータを提示した。しかし、人々が環境問題への関心を 高め、環境保護に肯定的な世論が形成されつつあるが、それらの人々が環境に配 慮した行動を実際にとるまでに至ってないことを示した。また、宮内(2011)に よると、日本は世界の最高水準の環境技術力を持っているが、マーケティング研 究においては、環境を取り上げるものは比較的に少ない。日本では環境マーケテ ィングは大企業に限って前向きに進んでいるが、日本の全企業数の 8 割を占め る中小企業はまだ遅れていると大橋(1994)は述べている1。 本論文では、環境マーケティングに関わる法律や規制などの外的な要因では なく、グリーンマーケティングを行う際の環境配慮型製品に関する有効なマー ケティング・コミュニケーション手法を研究する。また、企業がグリーンマー ケティングを行う際に、「幸福提供型マーケティング」が環境配慮型製品の普 及するためのゆうこうせいをきたいすべき、まーけてぃんぐかつどうのすむー ずなしんこうのためそくしんこうかがしょうじるとかんがえるに有効であるこ とを検討する。. 1. 大橋(1994)は『環境マーケティング戦略』の中に、リサイクル法から規定する基準製品の制限から見 ると、どの指定製品でも、規模の大きい企業(大企業)に一定基準のもとに指針を出しているにとどまっ ていると指摘した(pp102-103) 。また、日経リサーチが 1993 年 10 月に日本の上場企業とその他の有力 企業を対象に「企業の環境問題対応実態調査」を行った結果、従業員 3000 人以上規模の企業は 92.2%、 従業員 1000 人以上規模の中企業は 72%、1000 以下の小企業は 46.4%の比率で環境部門を設置している (大橋 1994 pp26) 。. 1.
(6) 第2章 既存研究 2.1 環境マーケティングの概念と歴史 環境マーケティング(グリーンマーケティング)の定義については、小谷 (2016,p.18)は、「顧客や社会の利益を得ると同時に持続可能な方法で確認し、 予測し、満足させることに責任を持つマネジメントのプロセス」と述べてい る 。そのほか、「グリーンマーケティングとは、主に企業による地球環境志向 製品を消費者に買ってもらうための仕組みづくりのことを指す。具体的には、 環境に配慮した商品開発、生態系を保護し資源を節約する消費活動の推進、エ コロジーに協賛するキャンペーン、リサイクル運動などが挙げられます。」(S ustainablejapan)という意味で解釈される場合も存在する。さらに、西尾 (2009)は、環境マーケティングには①ライフサイクルアセスメント全体での 環境負荷の低減②「顧客満足」と「社会共益」と「企業・組織利益」との調和 といった内容を含むと主張している。 小谷(2016)は、1970 年代以降、欧米では市民の環境やエコロジーへの意識が 高まり、エコロジー運動が活発になっていったと述べている。このころ「責任 ある消費」という考え方が現れ、エコロジー運動による市民の意識変化に応え るべく、環境マーケティングという概念が生まれた。1980 年代には、環境意 識の高い消費者「グリーンコンシューマー」が登場する。「グリーンコンシュ ーマー」とは「持続可能な開発2」の概念をもち、環境保全的な経済社会を目指 し、消費者主権を発揮して、価格が高くても環境に良い商品を購買する、環境 に良い企業行動を監視する、環境に害のある商品や企業をボイコットする等の 行動をとる消費者のことをいう定義することができる。 また、宮内(2011)によると、グリーンマーケティングの研究は 1970 年代 以降から盛んであり、その歩みを 1970 年代~80 年代半ば、1980 年代後半~ 90 年代、1990 年代末~現在という三つの時期に区分している。 第一期 1970 年代では、「アメリカでは、エリー湖が死んだ。ヨーロッパで は、ライン川が燃えた。日本では、水銀の毒で人々が死亡した」(宮内 2011,p.98)という環境事故によって社会の「環境」というキーワードに対す. 2 1980 年に国際自然保護連合 (IUCN)、国連環境計画 (UNEP) などがとりまとめた「世界保全戦略」に. 初出した(国連環境計画 (UNEP) 2017 年 9 月 28 日アクセス http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda.html). 2.
(7) る関心が高まり、マーケティングの研究と実践において「環境」が考察の対象 となった。たとえば、レイチェル・カーソンは 1962 年著書『沈黙の春』で DDT(有機塩素系の殺虫剤)を始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥 達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた(カーソン 1962) 。この際、 マーケティングは社会的責任を負わねばならないという観点が重視され、環境 保護に協力的な製品政策が望まれていた。そのほか、Henion(1972)は環境にや さしい洗剤にたいする消費者の受容についてスーパーマーケットにおける売上 を調査している。結果として、世帯収入に関係なく、消費者の洗剤の購入にお いて、リンの配合度という環境保護にかんする製品性能に効果があることを示 している。 第二期 1980 年代後半~90 年代では、同様に「1985 年の南極にオゾンホー ルが発見され、1986 年に起きた Chernobyl 事件、1989 年に起きた ExxonValdez の石油流出事件」といった一連の環境事故で環境に関する意識がますま す成熟していく。 第三期 1990 年代から現在には、「京都議定書」をきっかけに、「地球温暖 化」がキーワードとして人々の心の中に印象をつけた。地球温暖化とは、 20 世紀からの 100 年間(1906~2005 年)で地上気温は約 0.74℃上昇することで ある(気象研究所)。とくに近年の気候変動が過去より加速したことは地球温 暖化から影響を受けた結果と推定される。たとえば、中国と隣国の人々の注目 を集めた PM2.5 大気汚染問題はその典型例として挙げられる(ヤフーニュー ス3)。 2.2. 環境コミュニケーション. 日本の環境省は、企業は共に持続可能な社会づくりのため、環境配慮の技術 を発展させるなど様々な試みを続けていた。一方、政府と企業は環境責任を果 たしていたが、「環境汚染対策や安全性に配慮することは必須条件であり、環 境配慮型製品を提供しながら、さらにはその製品を消費者に使って頂くことに より環境に貢献できる製品を生み出していくというのが環境(エコ)・コミュ ニケーション4 の根底にある」(日本マーケティング研究所)。 3. ヤフーニュース「PM2.5 による大気汚染 地球温暖化が影響か」 <https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131104-00000001-wordleaf-sctch> (2017/09/30 アクセス) 4 環境省では、 『環境コミュニケーション』を「持続可能な社会の構築に向けて、個人、行政、企業、民. 間非営利団体といった各主体間のパートナーシップを確立するために、環境負荷や環境保全活動等に関す. 3.
(8) 環境コミュニケーションは環境対策においてまだ成長段階と言えるがいくつ の成功例があげられると考える。まず、積水化学工業の住宅であるセキスイハ イムは、「環境」をキーワードに成功した事例である。積水化学工業社では、 「太陽光発電システムを装備した住宅を「光熱費ゼロ住宅5」という訴求で、環 境に優しくしかも光熱費を削減するという価値を消費者に積極的に伝えること で成功した。 同社の成功の要因は、 分かりにくい環境や省エネという内容を、光熱費と いう施主に分かりやすい内容に置き換えて訴求した点である。当然、そのこと を消費者に納得していただくための様々なツールや仕組みを用意し、具体的な 内容を伝えることで納得を得たのである。この事例からも分かるように、 環 境という顧客にとって分かりにくい内容に対してコストを負担して貰うために は、そのことを納得させるコミュニケーションが重要なポイントである。(日 本マーケティング研究所)。 また、日本コカコーラ社の発売する「い・ろ・は・す天然水」は「おいし い」と「環境にいい」両方から市場に訴求することで、発売以来よい成績を得 られた6 。この商品の特徴として、同社の使用したミネラルウォーターのボト ルを超軽量化することで、原材料となる石油の使用量が減少でき、環境への負 担が少なくなるということである。 サステイナブルパッケージ(持続可能な容器)の開発に積極的に取り組んで きたが、この「い・ろ・は・す」では国内最軽量の 12g を達成した。飲料業界で は 96 年に 500ml ペットボトルが実用化され、当時の重量は 32g だった。それ が 98 年に 20.5g まで軽量化されたものの、それ以降、大幅な軽量化が図られ ることはなかった。それを「い・ろ・は・す」は 12g まで一気に軽量化したのだ (J-net 中小企業ビジネス支援)。そこで、軽量化した包装ボトルは使用後リサ る情報を一方的に提供するだけでなく、利害関係者の意見を聞き、討議することにより、互いの理解と納 得を深めていくこと」としている(環境白書より) 〈http://www.eic.or.jp/ecoterm/window.php?ecoterm=%B4%C4%B6%AD%A5%B3%A5%DF%A5%E5% A5%CB%A5%B1%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3〉。 5 積水住宅のグリーンファーストゼロは住宅に実装できる節電・蓄電・発電の機能をほぼフル装備する。. 通常のスマートハウスと違う点は「断熱」の仕組みにある。アルゴンガスを封入した窓ガラスの採用など によって、一般の住宅と比べて断熱性能を約 30%向上させた。太陽光発電システムや燃料電池によるガ スコージェネレーション(エネファーム) 、蓄電池や HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を標準 で装備する点は変わらない(スマートジャパン) <http://www.sekisuiheim.com/spcontent/smartheim/merit1/> 積水住宅ホームページ〈http://www.sekisuiheim.com/spcontent/smartheim/merit1/〉 6 日本コカコーラ『い・ろ・は・す』 累計販売本数 7 億本突破<http://www.cocacola.co.jp/presscenter/press-release/news-20101217>. 4.
(9) イクルの際に普通のボトルより潰れやすく、子供の力で簡単に「しぼれる」ボ トルとして消費者からの広範な受けを得られた(画像1)。また、「い・ろ・ は・す天然水」という商品名のデザインに関して、思いを込めて 2 つの言葉を 組み合わせた商品名はマーケティング・コミュニケーションを図る際に大きな 特徴として挙げられる(画像2)。「「いろはす」は日本の天然水にこだわった製 品だから、名前も日本らしくしたいという思いで選んだ。日本古来のかな文字 の並びの最初の 3 字で、物事の始まりや基本も意味する。ロハスは「LOHAS (Lifestyles Of Health And Sustainability) 」という、健康と環境を志向する ライフスタイルを示す言葉だ。この 2 つを組み合わせ、日常の中で環境を考え る、ちょっとしたきっかけを提供できれば」という思いを込めた。ロゴには英 文表記の「I LOHAS」も併記しているが、こちらには「私はロハスします」と いう表明の意味を含ませている。(日経 BP). 5.
(10) 画像1. 軽い力でしぼれる「い・ろ・は・す天然水」ボトル. 出所:(日経 BP7 ). 日経 BP 「い・ろ・は・す」 “しぼれるボトル”秘話 <http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20130531/154243/?P=3> 7. 6.
(11) 画像2. 「い・ろ・は・す天然水. 名前」. 出所:(日経 BP8) そのほか、消費者に分かりやすく訴求するもう一つの環境コミュニケーショ ンの環境広告―「醜い果物と野菜」(画像3)は、消費者と企業の間の相互コ ミュニケーションをうまく図ったよい事例であると考える。これは、フランス で3番目に大きいスーパーマーケット・チェーン、インテルマルシェが企画し た、見た目が悪いために棄てられる野菜や果物を商品として安価に提供するキ ャンペーンである。その内容は、見た目は悪くとも、野菜や果物の味や栄養分 などは変わらないことを消費者に訴えるために、これらの野菜や果物を使った スープやジュースを作って売り出したのである(宣伝会議デジタルマガジ ン)。これは広告業界で環境広告として他の種類の広告を勝ち抜き、Grandy 賞 を獲得した環境マーケティングのよい事例と考えられる。. 日経 BP 「い・ろ・は・す」 “しぼれるボトル”秘話 <http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20130531/154243/?P=3> 8. 7.
(12) 画像3. 醜い果物と野菜(宣伝会議デジタルマガジン). (出所:『宣伝会議デジタルマガジン』). 8.
(13) 2.3. 消費者とグリーンマーケティング. 2.3.1 日本のグリーンマーケティングと消費者 グリーンコンシューマーが本当に存在するか、それが有望な市場として拡大 する見込みがあるかという問題がある。宮内(2011)は、企業が環境配慮型製 品を開発しても、市場反応が望ましくないという現実があると述べている。ド イツは、企業に対する厳しい環境規制や法的措置を課している一方、市民が積 極的に環境保護運動に参加することが一つの大きな特徴である。それに対し て、日本では「リサイクル法」は大企業だけに対象として働いており、また実 際的に法を犯している大企業への罰則は不十分である(大橋1995)。 そのほか、日本に環境保護に関する市民運動や環境問題へ体系的なシステム 作りが欧米より遅れていると大橋(1995)は指摘する。しかし、各種の調査の データからみると、日本国民は地球の環境に関する関心度が年々増加してい る。内閣府が平成24年に実施した地球環境に関する世論調査の結果からみる と、「生物多様性に配慮した生活のため今後の取り組み」という質問に対して の答えに、「節電や適切な冷暖房温度の設定など地球温暖化対策に取り組 む」、「旬のもの、地のものを選んで購入する」、「生きものを最後まで責任 を持って育てる」「環境に配慮した商品を優先的に購入する」の上位4項目は 平成21年のそれより少し上昇している9。そこで、本研究は、現在、日本にお ける環境配慮型製品はグリーンコンシューマー以外の、一般消費者向けに市場 拡大するために、消費者への有効な環境コミュニケーション手法を探る。 2.3.2 消費者の環境配慮型製品への態度 環境配慮型製品には、一般的に 2 段階があるといわれる。1 つ目のパターンが、 低コスト製品の開発あるいは高機能製品の開発を目指した結果、原材料におい てリサイクル等により省資源化が併せて達成され、製造過程で省エネが実現さ れる場合である。2 つ目は、製品の開発段階から、省エネ・省資源・有害物質の 削減等を主たる目的に置いているパターンである。前者の顧客が求めているの は製品本来の性能であり、その機能に環境に配慮する機能が付加されていると 捉えられる。一方、後者は初めから環境に貢献するための製品や技術であり、顧 客はそのことを目的として購入する。近年のトレンドとしては、グリーンコンシ ューマーの増加に伴い、後者への関心が高まっていることが指摘されている。 内閣府平成 24 年地球環境に関する世論調査ページ20. 〈https://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=20437&hou_id=15543〉 9. 9.
(14) (Sustainable Japan. 2016)。. 次に、能動的に環境配慮型製品の情報を収集するグリーンコンシューマー以 外の一般生活者の態度について論じる。環境配慮型製品といっても低価格帯の 商品が存在するということは確かにあるが、一般消費者の心の中には高機能高 付加価値かつ省エネの製品は価格がより高いという固定的なイメージがすでに 形成している。図1が示している有機栽培野菜と慣行栽培野菜の市場価格がよ い例である10。. 有機食品に係る市場実態調査 - 農林水産省のデータにより作成した。 http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_sijyou_jittai.pdf 10. 10.
(15) 図1. 有機農産物と慣行農産物の市場価格. P Do. Po. So. Dc. Sc. Pc Q Qo. Qc. (出所:筆者作成) Sc:慣行農産物の供給曲線、Dc:慣行農産物の需要曲線、Pc: 慣行農産物の市場価格 So:有機農産物の供給曲線、Do:有機農産物の需要曲線、Po: 有機農産物の市場価格. また、西尾(1999)は、生活者のエコロジー行動は、生活者に対する「新た なコストや労力の負担の大きさ」と「個人生活へのベネフィットの大きさ」で 分類・整理した結果(図2)、エコロジー(環境配慮型)製品の購入は生活者 のコストと労力をよりかかるにもかかわらず、個人生活へのベネフィットが小 さいことを指摘している。. 11.
(16) 図2. エコロジー行動の類型化. (出所:西尾 1999 p.49). 2.3.3 グリーンマーケティングと消費者に関する先行研究 2.3.3.1 消費者環境配慮型製品に対する行動と態度の食い違いに関する研究 野田(2000)は消費者の環境意識が行動に結びつかない、一致しない原因とし て、以下の3つを挙げていた。 「第一に、自分たちの消費行動と、それがもたら す自然破壊や資源枯渇の結果の間は、非常に長い因果関係にあり、間接的にしか 関連しない場合が多いことである。消費者は、個々の消費行動が汚染の直接の原 因であるとは実感しにくいのである。第二に、環境問題についての知識は、抽象 的で概念的な「記述的知識」ばかりで、環境保全の具体的行動の「手続的知識」 が欠けていることが多いことである。消費者が環境保全の記述的知識をもって いても、環境にやさしい行動をとりたいと思っていてもそれが具体的にどうす ればよいかという手続的知識と関連付けられていないと、消費の際に実行でき ない。第三に、環境保全という共益と消費による便益享受という私益が対立する 社会的ジレンマの構造をもっていることである。自分が環境に配慮した行動を とることで環境保全につながるとわかっていても、日常生活の快適さや便利さ. 12.
(17) などが失われるならば、実行することは難しくなる。自分一人ぐらい大丈夫、又 は一人で努力しても意味がない、と思えばこれまでの消費生活を変えることは ないのである」(野田 2000)。 そこで、以上が示している環境配慮に対する「食い違い的な行動」を生み出す 「利己的な行動」を規制する社会システムの構築(Hardin1968)、信頼を生成で きる社会システムの構築(山岸 1990)、また、それ以外の要因に対して消費者に 対する環境教育の重視(細田 1994、吉井 2000)、マーケティングにおけるコミュ ニケーション戦略を取り上げる(西尾 2004)などの対策が先行研究で挙げられ た(図3)。さらに、堀内(2004)は快楽消費研究の文脈の中に、地球環境を守 ることが、「快」としての価値を持ち得る可能性を示唆した。 図3、消費者の環境意識と行動の不一致への対策に関する先行研究 Hardin(1968). 「利己的な行動」を規制する社会システムの構築. 山岸(1990). 信頼を生成できる社会システムの構築. 細田(1994)、松原・後藤 消費者に対する環境教育の重視 (2012) 西尾(2004). マーケティングにおけるコミュニケーション戦 略を取り上げる. 堀内(2004). 地球環境を守ることが、 「快」としての価値を持ち 得る可能性がみられる(快楽消費). (出所:筆者作成) 2.3.3.2 社会的な背景から見る環境配慮製品への購買行動に関する研究 堀(2013)は近代社会の日本における消費意識は、従来の大量生産大量消費 と違い、消費ニーズが多様化し、質的消費へ変容してくると指摘している。 また、青木(2013)によると、近年日本の消費者を取り巻く環境要因には、 いくつかの変化が見られる(図 4)。. 13.
(18) 図4. 近年日本の消費者を取り巻く環境要因の変化. ①社会的・文化的要因(social 人口減少や少子高齢化、晩婚化 and cultural factor) ②経済的要因(economic. 「失われた 20 年」による経済低迷;「格差. factor). 拡大の進行」. ③政治的な要因(political. 消費税の増加. factor) ④技術的・環境的要因. インターネットの普及で情報メディア環境. (technological and. の変化. environmental factor) 震災後、人々の価値意識の変化 表面的な内容に関する消費が抑えられ、消 費者のこだわりが上昇する (出所:青木(2013)により、筆者作成) まずは①社会的・文化的要因(social and cultural factor)11である。具 体的には、人口減少や少子高齢化といった人口動態の変化に始まり、家族関係 や地域内の人間関係といった社会的関係の変化、あるいは、結婚や出産に関す る社会的規範の変化が晩産化や少産化といった少子化の原因となる;次には② 経済的要因(economic factor)である。具体的に、バブル崩壊後に「失われ た 20 年」による長期的に経済的な低迷から言われる格差の拡大、非正規雇用 の割合が高まっている中、働き手の数とその働き方によって、家計の所得水準 は大きく異なることになる(青木 2013、p.15);③消費税12の増加といった政治 的な要因(political factor);④技術的・環境的要因(technological and environmental factor)である。たとえば、インターネットの登場とその普及 で情報メディア環境の変化が消費者行動に与えた影響は大きい。一方、青木 (2013)は、東日本大震災の影響を例にとれば、震災は単に日本経済にダメー ジを与えただけでなく、人々の価値意識にも大きな影響を与えた。家族の絆や 11「消費者の生活構造と生活意識の両面に影響を与えるものとして、社会全体の有り様を形成する社会. 的・文化的要因の変化が考えられる」 。 12 たとえば、タバコ税の引き上げやタスポ(成人識別 IC カード)の導入などが、タバコの消費や購買行. 動に対して抑制的な影響を与えたことが典型である。. 14.
(19) 社会的なつながりの大切さを再認識させた。また、原発事故に端を発する安 心・安全意識の更なる高まり、節電・節約のための具体的行動や生活の見直し は、消費の社会的な意味を消費者に問いかけることになるであろう。いずれに せよ、表層的な消費トレンドの理解や特定セグメントに関する断片的な知識だ けでは、事が足らないのである(青木 2013、p.17)と主張した。 更に、青木(2013)は以上の環境変化のほか、消費者に関する生活様式およ び消費様式の変化も指摘した(図 5)。たとえば、単独世帯の増加に代表される 世帯規模の縮小や共働き世帯の増加といった生活構造の変化は、当該家計にお いての「時間コスト」を増大させる。そのほか、「家族内での役割意識の変化 や「自分らしさ」の追求といった生活意識の変化が、時間的・空間的な「生活 の個別化」や「家計の個計化」を推し進め、消費支出におけるパーソナル・ユ ースの割合は増大していく(青木 2013)」。 図 5、生活様式と消費様式の変化. 15.
(20) (出所:青木 2013. p.18). また、社会学研究者である村瀬(2006)は、社会的資源が不平等に分配されて いる社会階層構造理論から、情報や収入だけでなく、人々は各種の社会的資源13 を保有する。社会的資源を、物的資源、関係的資源、文化的資源の3つに分類し ている。関係的資源としては、有力者との人脈や権力などとする。ただ、環境に やさしい製品と社会的資源保有の関連は、必ずしも明確になっていない」と述べ ている。そこで、村瀬(2006)は、環境配慮型製品を選択する人の社会位置を明 らかするため、①高収入で生活に余裕がある人ほど、 「環境にやさしい」という 基準を製品選択において考慮する;②収入とは無関係に、教育を受け意識が高い 人ほど、環境配慮行動が多い。環境への配慮には、生活水準の高さだけでなく、 人々の関心の高さや、社会的な問題への協力意思が、より重要と考えられるから である;③時間に余裕がある人ほど、環境配慮行動が多い;④人間関係を多く保 有し、近所づきあいが熱心な、積極的な人ほど、環境配慮行動が多い;⑤消費文 化へのなじみ(物質主義志向や物欲)がある人は、消費による効用や個人的便利 さを優先し、環境配慮行動が少ない;⑥情報を持つ人ほど、協力行動が可能であ り、環境を配慮するという 6 つの仮説を提示した。 更に、八木田・西尾は 2009 年の研究で低環境負荷のライフスタイルの普及・ 拡大のための有効な環境コミュニケーションの検討を目的として、情報提供お よびエコプロダクト使用経験の短期効果を検討した。その際に、八木田・西尾は 「メッセージ内容としては生活の質的ベネフィット訴求型の方が効果的である こと、情報提供とエコプロダクト使用経験の両者を実施することで相乗効果が 見込まれること、受け手によって効果が異なる可能性があることが示された(八 木田・西尾 2009)」という仮説を立てた。また、検証するため、彼らはハウスメ ーカーの顧客名簿より、新規購入者、 30~ 50 歳、浜松市在住である世帯から 1925 世帯を抽出した。抽出した世帯に対して、生ごみ処理機の利用意向のある 世帯を調査対象とし実証研究を行った。結果として、 「環境保全訴求型、経済的 ベネフィット訴求型14の情報提供より、生活の質的ベネフィット訴求型15の情報 13. 社会的資源とは、人々の欲求の対象となり、かつ十分にはないものである。村瀬(2006). 14 「環境に配慮した行動は、家計の節約にもつながる」を意味している。たとえば、 「無駄なものを購入. しない」 、 「詰め替え製品を利用する」 、 「ごみの有料化に備える」 、 「マイバックやマイボルトを利用す る」 。 15 「自分にとって良い事と、地球環境の意外な関係」を意味している。たとえば、 「リサイクルショップ. やフリーマーケットで買い物を楽しむ」 、 「好きなものを長く愛用できる」 、 「食べることで大切にする」 、. 16.
(21) 提供の方が、リデュースに関わるエコプロダクトの使用経験による、リデュース 行動意図の改善効果が高い(八木田・西尾 2009)」という結論を示した。. 「手作業や手作りを楽しめる(八木田・西尾 2009)」 。. 17.
(22) 2.4 幸福提供型マーケティング 2.4.1 幸福理論と愛着理論 科学技術とくに IOT(Internet of Things)技術の進歩により、人々のラ イフスタイルは大きく変化した。また、グローバル化が更に進む世の中、人々 には文化と価値観、生活スタイルが過去より多様化してきた。しかし、その中 に不変であるものは人々が幸福への追求であると考える。 古代ギリシャの哲学者、キリスト教、仏教、中国の孔子、孟子から、現代の 心理学、経済学者に至るまで長期間にわたって「幸福」というテーマをそれぞ れの分野で研究してきた。「幸福」概念を明確に定めることは不可能に近い が、人間にとって「幸福」の概念を明確にするよりむしろ「幸福」を探索する 過程が重要であると考える。よく知られているように、アメリカ独立宣言に も、日本国憲法にも「幸福追求」は「国民の権利」であると脅かれているほ ど、幸福の追求は人間共通の目標であると考えられる。」楊 2014)。 アメリカの独立宣言のように、日本国の憲法の第13条は「すべて国民は、 個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利について は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要 とする。」16が記され、「幸福」というテーマの提起は人間社会において不変的 であると考える。 アメリカ及び日本以外の国々を見ると、憲法の中に幸福追求権が入っている のは韓国のみである。イギリスでは 1701 年に発表された王位継承法が国民の 幸福の保障について言及している。フランス革命における人権宣言の中にも幸 福が含まれている。それ以外の国々、中国、ロシア、ドイツ、スイス、カナダ などでは、全文にも憲法にも幸福については触れられていない。つまり、法律 によって幸福を規定することが困難であると理解できるであろう。しかし、い くつかの国々の憲法や宣言に幸福を言及しているという事実は、やはり幸福は 曖昧でありながら、共通する部分は存在していると言えようと楊(2014)は幸 福の概念と曖昧さに関する研究の中でそういった内容を示した。 更に、楊(2014)は、現代社会において幸福を探すときに、外的環境−人間 関係−が幸福に及ぼす影響を調べる必要があると考え、「よい社会関係を持つこ とは、免疫システムを強め、寿命を伸ばし、手術からの回復を早め、うつ病や 不安障害に対するリスクを軽減するという効果があり」、人間関係は個人の幸 16 国立国会図書館<http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j01.html#s3>2017/11/21 アクセス. 18.
(23) 福度に大きく影響を及ぼしているということを肯定した。その中に、「母子関 係17」が幸福との深い繋がりを研究の典型例として挙げられていた。 そのほか、ボウルピィは「愛着(アタッチメント)理論」を提出し、愛着理 論に関する4つの特徴をまとめた18(図6)。 図6、「愛着(アタッチメント)理論」の特徴 1,母親を接近しようとする赤ちゃんの「密着維持」行動;. 2,母親がそばにいるだけで見知らぬ環境においても安心して遊ぶことがで きるが、母親がいなくなる途端不安となり泣いてしまう傾向がある−「分離不 安」;. 3,見知らぬ人や恐怖を感じるときに、より強く母親にしがみつく傾向があ る; 4,母親がそばにいると、安心して見知らぬ人への交流も可能する。. (出所:楊 2014 により、筆者作成) 以上の4つの特徴を踏まえ、また他者を愛し、他者から愛されるという能力 は、乳児期から老年期を通してその人の幸福度に強力な影響を及ぼすととも に、人間の本能であると考えられるであろう(楊 2014)という主張を加え、楊 (2014)は、母子関係だけではなく、恋人関係、友人関係などといったほかの 人間関係にも通用できると示した。更に、楊(2014)は幸福の基準は人によっ て千差万別であって定めることが非常に難しいが幸福の暖味さを認めながら誰 もが幸福になりたいと願うであろうと主張した。また、楊(2014)は、愛する 相手と幸せな結婚をしたい、子どもの健康を確保したい、健康になりたい、き れいになりたいとか人間は様々な願望と夢を持っている。そこでマーケティン グは商品をこれらの願望・夢を叶える手段として消費者に認識させることがで. 17楊(2014)は出産・育児の経験から子どもは絶えず親に幸福感を与えてくれることに感心し、母子関. 係と幸福の関係性に注目した。 「赤ちゃんは本能的に母親から安心をもらい、母親が本能的に子どもを愛 するという関係はまさに人間関係の基本であると言える(楊 2014) 」と主張した。 18 J・ボウルビィ (著), 黒田 実郎,大羽 蓁 (翻訳), 岡田洋子 (翻訳), 黒田聖一 (翻訳) (翻訳). (1991),『愛着行動 (母子関係の理論 (1) 新版)』 ,岩崎学術出版社.. 19.
(24) きれば、これを使うことでより幸せになるので必要性を感じさせることで、愛 用してくれるであろう」という幸福提供型マーケティングの有効性を肯定し た。 2.4.2. 幸福提供型マーケティングの研究. 楊(2014)によると、「不」の情緒除去型マーケティングと幸福提供型マー ケティングに対して、「不」の情緒除去型まーけていぐマーケティングわれわ れは未来の出来事に対して予測はできないため、目標に向かって努力しながら 不安は常付随しているといえよう。さらに、生活の中に不便、不満、といった マイナスな情緒もたくさん存在すると考える。図7のように、人間は常に様々 な「不」の情緒を抱えながら生きている。 図7. 「不」の情緒. 出所:楊(2014) また、マーケティングにおいて観点を置くときに、 「不」の情緒を払拭してく れる道具として消費者に認識させることできれば、商品に対して信頼感が生じ られ、その商品を生活の欠かせない一部として認識することで愛用することが 想定できると楊(2014)が指摘した。その際に、消費者の心の内側と外側から 生じる幸福提供型マーケティングの理論を提出した。. 20.
(25) すなわち、心の内側から生まれる幸福は「自分の満足感」、 「自分へのご褒美」 といった消費者が自分の夢や叶わたいことを実現するために、購買行動を行う ことを指す。また、心の外側から生じる幸福とは、家族や友人自分の周りに関わ る人のために、何かを満足させたい気持ちのことである。たとえば、購買者は愛 する子ども、家族、友人などといった対象の気持ちを考えて商品を購買する。そ して、その愛情対象が実際の商品の効用を享有することになる。このプロセスで 生じる幸福とは購買者は実際に自分がその商品を使わなくても、選んだ商品は 愛情対象のために役に立てれば購買者は満足を得られると考えられる(楊 2014) (図8)。 図8. 心の外側から生じる幸福型マーケティング. 出所:楊(2014) 幸福提供型マーケティング理論が環境配慮型製品のマーケティングでうまく 活用し、また、幸福提供型マーケティングは具体的な手法としてどのように環境 配慮製品のマーケティングに影響を与えるかを分析したいと思い、次の章で具 体的な事例を挙げて論じたいと考える。. 21.
(26) 第3章. 研究方法. 日本において環境配慮型製品に対するマーケティングに関する典型的な事例 研究を行う。たとえば、消費者に向ける環境コミュニケーション・ツールとし てのエコアクションポイント制度を具体例として研究したいと考える。 また、まだ認知度が高くないエコアクションポイント制度の内容を紹介する ほか、先発するその他の環境に関する制度と比較し、そしてエコアクションポ イント制度に関するメリットとデメリットを示し、マーケティング上での問題 点を明らかにしたいと考える。. 22.
(27) 第4章 4.1. 事例研究—エコアクションポイント制度. エコアクションポイント制度. エコアクションポイント制度は2015年から発足された制度で、実際に制 度の運営事務局は株式会社19で、環境省が推進するエコなアクションに特化し た全国型のポイントプログラムである20。「温暖化対策、廃棄物対策・3R、生物 多様性・自然保護、公害対策・化学物質管理に貢献する行動(商品の購入・サ ービスの利用など)によりポイントがもらえ、温暖化対策については、みなさ まが削減した CO2 量を見える化にする。ためたポイントは、さまざまな商品な どと交換できる(エコアクションポイント制度ホームページ)」。 この制度は政府が以前に発する環境に関する制度と異なり、プラートフォー ムの役割を生かし、企業と消費者をつなげ、環境保護に貢献する事例として取 り挙げれると考える。 「エコアクションポイント」とは、対象商品を購入または利用した消費者に 提供される、特定の商品またはサービスと交換可能なポイントである。対象商 品とは環境省が推奨する CO2 排出削減に寄与する商品およびサービスをいう (図9,10)。消費者が対象商品・サービスを使えば、ポイントが貯まるこ とができる。その際、最も5ポイントから50000ポイントまでもらうこと ができる。. 19. 「家庭部門における温室効果ガスの削減などを目的として、国民一人ひとりの環境配慮行動(エコア クション)に経済的なインセンティブを付与するこの取組は、環境省が実施したモデル事業(2008 年~ 2011 年)を経て、2012 年より民間企業が主体となって運営をしています。そして、2015 年 4 月から は、株式会社かんでんCSフォーラム(関西電力グループ)にメインプラットフォームを務めていただい ています」 (ホームページ) 。 20 「本プログラムは、民間事業者による自立的な運営を目的としており、運用自体に国が関与するもの ではない。一方、プログラム全体の信頼性及び公平性を確保するため、プロ グラムの運用状況のチェッ ク・評価等に一定の関与をしていくことは必要である。 ・承認基準を具体的に設定したことにより、そ の内容に対応するエコアクションについて は、環境負荷低減効果の確保が一定程度図られる。一方、各 種時代変化等を勘案し、必 要なエコアクションは対象に追加するとともに、普及が進み、経済的誘導策 の必要がなくなったエコアクションについては対象から外していくことが必要である。」 (ホームページ). 23.
(28) 図9. 対象商品1. 出所:(エコアクションポイント制度ホームページ) 図10. 対象商品2. 24.
(29) 出所:(エコアクションポイント制度ホームページ) そこで、たまったポイントは図11が示すサービスと交換することができ る。 図11、ポイントの利用事例. 出所:(エコアクションポイント制度ホームページ). 4.1.1 エコアクションポイント制度プログラムのスキーム エコアクションポイントプログラムは、インターネットを介して、「会員」、 「原資提供事業者」、「プラットフォーム」、「交換商品等提供事業者」の4者に よって成り立つ。まとめると以下の内容を含めている(図12)。 ・会員は、環境配慮商品の購入、環境配慮サービスの利用、その他の環境配慮 行動を行ってポイントシート等を受け取り、それを登録することにより、ポイ ントを貯めることができる。貯めたポイントは商品等に換えることができる。 ・原資提供事業者は、プラットフォームにエコアクションポイントプログラム. 25.
(30) の対象となりうる商品・サービス等を登録申請し、それが承認された場合にポ イントの原資を提供することにより、当該商品等にエコアクションポイントを 付けて販売・提供することができる。 ・プラットフォームは、ポイントとその原資の管理、対象エコアクションの登 録、会員へのポイント残高・環境負荷低減効果等の情報提供を行う。 ・交換商品等提供事業者は、プラットフォームにポイントの交換対象となりう る商品等を申請・登録する。 ・環境省は、メインプラットフォームに対し、「エコアクションポイント」の 名称及び関連ロゴの使用承認を行うとともに、プログラムの運用状況のチェッ ク・評価等を行う(ホームページ)。 図12. エコアクションポイントのスキーム. 出所:エコアクションポイント制度ホームページ. 26.
(31) 4.2 エコアクションポイント制度とその他の制度の比較 4.2.1. エコアクションポイント制度と民間主導型ポイントプログラムとの違. い エコアクションポイントプログラムは、通常の民間主導型ポイントプログラ ムと比べると以下のようなところが異なる。 ①通常の民間主導型ポイントプログラムでは、ポイント発行商品等が特に限 定されていないのに対し、本プログラムでは対象が環境配慮行動に限定されて いる。②通常の民間主導型ポイントプログラムでは国の関与がほとんどないの に対し、本プログラムは環境省の推進する取組として位置づけられており、環 境省がプログラム 全体の運用状況のチェック・評価を行っている。 ③本プロ グラムは、「オープン(=様々な業種が参加、相互送客を重視)」で「非通貨 的(=ポイントに特徴がある)」なポイントを志向している。 また、通常の民間主導型ポイントプログラムの大部分は、消費者の消費する 金額の多寡に連動することが多いが、エコアクションポイントプログラムでは 消費金額に連動する必然性がなく、むしろ環境負荷低減効果の大きさに連動し ている。そのため、10 万円の商品 を買っても 100 ポイントだが、1 万円の 商品で 1000 ポイントもらえる、ということも十分である。 4.2.2. エコアクションポイント制度と政府主導型エコポイント制度との違い. また、エコアクションポイント制度と政府主導型エコポイント制度の間に、 以下のような違いがある。まず、政府主導型エコポイント制度のポイントの原 資は国費負担(税金)であるのに対し、エコアクションポイント制度プログラ ムのポイント原資は参加事業者により提供される。そのため、CSR(企業の 社会的責任)活動への活用が可能である。次に、省エネ家電の購入やエコ住宅 の新築・リフォーム等に限らず、幅広い環境配慮行動を対象としている。更 に、会員登録やポイント登録・交換の方法について、家電エコポイント制度や 住宅エコポイント制度は申請書類の郵送等を前提としているのに対し、エコア クションポイントプログラムはパソコンまたは携帯電話からの登録を主として おり、手続が簡易なシステムとなっている。最後、政府主導型エコポイント制 度は、財源面の制約から「有期限」であるのに対し、このプログラムはポイン ト原資負担を民間事業者とすることで「永続的」な運営が可能となっている (ホームページ)。. 27.
(32) 4.3. エコアクションポイント制度のメリットとデメリット. 4.3.1 エコアクションポイント制度のメリット エコアクションポイント制度にはいくつのメリットがある。まず消費者側か らのメリットとは、①エコアクションを行うことによりポイントが貯まり、貯 まったポイントは商品等に交換することができる、消費者にとって「おとく」 感を提供する。②自らが行ったエコアクションによる環境負荷低減効果を把握 し、参加の意義や達成感を感じることができる。③ポイントの貯め方(=どん なエコアクションをするか)を考える中で、日々の暮らしの様々なシーンでエ コアクションが行えることを体感でき、経験価値が生まれる。 次に企業・NPO 法人など(原資提供者)に対するメリットとは(図13)、 ①ブランド力が向上できる;②環境負荷・コストの削減ができる;③環境負荷 低減効果の見える化ができる;④地域経済の活性化;⑤組織内の創意工夫を促 進効果が生まれる。. 図13 エコアクションポイントの企業・NPO 法人に対するメリット. (出所:エコアクションポイント制度ホームページ). 28.
(33) 4.3.2. エコアクションポイント制度のデメリット. エコアクションポイント制度のデメリットとは、まず認知度を向上するスピ ードが緩慢である。類似な制度として2009年に「エコポイント」があっ た。その後、JCBが運営し、「参加企業の「エコ商品」を購入すると、14 ケタの数字が書かれたシートが付いてくる。購入者が数字を専用ページに入力 すると、ポイントが加算される。(日経新聞)」そのあと参加する会員数と法人 数が上がらず、ポイントを更新しないとゼロに戻るなどのことは利用者が鈍く 増加する理由となる。 また、利用する際ほかの民間ポイントサービスと比べて利用の手間が比較的 に複雑であり、離脱者が多い。「08年当時より、Tポイントや「Ponta (ポンタ)」などの大手への寡占が進んだ。専用カードをかざせばポイントが たまる利用者の負担が少ない方式が主流になる中でインターネット上の専用ペ ージに接続し、14 ケタの数字を入れる手間は嫌気された(日経新聞)」。 4.3.3. エコアクションポイント制度と幸福提供型マーケティング. 消費者がエコアクションポイント制度を実際に利用すると、ポイント交換を 行うことで、「環境保護に協力した」という感情が生まれ、地球環境を守るこ とが、「快」としての価値を持ち得え、前述した環境保護に関する意識と行動 の不一致することを減らす可能性がみられると考える。. 29.
(34) 第5章 5.1. 考察とまとめ. エコアクションポイント制度に対する幸福提供型マーケティングの応用. 上記の内容からみると、一般大衆の消費者を対象としてマーケティング活動 を行う際に、エコアクションポイント制度は、経済的インセンティブをつける ことで利用意欲を呼び出す仕組みを持っている。また、エコアクションポイン ト制度を利用する際に、消費者が実際に環境配慮型製品・サービスを使うこと で環境保護行動を行うことができたと考える。そのため、「地球・社会に貢 献」という経験価値(幸福感ないし満足感)を実体験するだけでなく、自分自 身が「経済的なベネフィット」を享受することもできる。それは幸福提供型マ ーケティングの心の内型のマーケティングに適合していると考える。 5.2. 研究の限界. 本研究は幸福提供型マーケティング理論が環境配慮型製品のマーケティング に対しての有効性について中心的に論じた。しかし、「幸福」という概念は 人々の意識の中において理解がそれぞれで、今後、企業・法人側は環境配慮型 製品のマーケティングを行う際に、経済的なインセンティブだけでなく、消費 者にとっての利便性(幸福感)を増やすことが購買意欲を引き出すために有効 な手法になると考える。. 30.
(35) 参考文献 Hardin,G.R.(1968), “The tragedy of the commons”,Science,p162.. Henion,Karl E(1972),“The Effect of Ecologically Relevant Information on Detergent Sales”,Journal of Marketing Reasearch,vol9(1),pp.10-14. J・ボウルビィ (1991), 黒田 実郎,大羽 蓁 (翻訳), 岡田洋子 (翻訳), 黒田聖 一 (翻訳) (翻訳) ,『愛着行動 (母子関係の理論 (1) 新版)』,岩崎学術出版 社. J-net 中小企業ビジネス支援 < http://j-net21.smrj.go.jp/develop/foods/entry/2012020101.html> Kaiser, F. G., S. Wolfing and U. Fuhrer (1999), "Environmental Attitude and Ecological Behaviour,"Journal of Environmental Psychology, 19, 1-19. Porter and van der Linde(1995),“Green and Ⅽompetitive: Ending the Stalemate” ,Harvard Business Review,vol73(5),pp.120-134. Sustainable Japan 2016. <https://sustainablejapan.jp/2016/06/27/green-. marketing/22784> (2017/05/20 アクセス) 青木幸弘(2013),「近年における消費者行動の変化と研究上の課題 : 消費者 行動研究の新たな方向性と可能性を考える」,『マーケティングジャーナル』 日本マーケティング協会,vol,33(1), p14-33. ウィキペディア:生活者 〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E8%80%85〉 (2017/09/30 アクセス). 31.
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(41) 謝辞 本論文の作成するに当たり、多くの方々からご支援とご指導を賜りました。 まず、論文の書き方が分からなかった私に対し、ご指導頂いた姉川先生、坂下先 生、市来嵜先生に心より御礼申し上げます。 指導教授である先生たちの学問に対する造詣の深さにはいつも感心しており、授業 の際に常に新たな啓発をいただきました。また、常に留学生とコミュニケーションを 取り、学生を励まし続ける姿勢に対して感謝しております。 先生達の指導がおられなければ、論文が仕上がることは容易ではありませんでし た。貴重な時間を割いて御指導いただいたことに、深甚なる謝意を表します。 本論文の作成に当たり、M39の同期の方々からいつも熱心な指導を頂き、大変お 世話になりました。とりわけヤング千帆佳さんを始めとする皆様には、論文作成だけ でなく、生活上にもいつもアドバイスして頂き、心から深く感謝いたします。 また、2年の KBS 生活の間に、学事の方々から学業に対するご支援に感謝します。 最後に、いつもあたたかい励ましと支援を送り続けてくれた家族に心から感謝の意 を表します。 2018年1月9日 易 琳. 37.
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