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rittai haibijon bangumi seisaku ni okeru satsuzoho no kenkyu

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立体ハイビジョン番組制作に

おける撮像法の研究

Reserach on shooting methods for3D Hi-visionprogram production

2000年3月

(3)

W・ 欠

第1章 序 論

   1.1 本研究の背景と目的

   1.2 本研究の範囲

      1.2.1 本研究において対象とする立体画像

      1.2.2 本研究の方針

   1.3 本論文の構成

      参考文献

第2章 立体操像の基礎     2.1 奥行き知覚の要因        2.1.1 両眼による手がかり        2.1.2 単眼による手がかり     2.2 立体画像の撮像条件        2.2.1 左右カメラの配置方法        2.2.2 カメラ間隔        2.2.3 レンズ焦点距離        2.2.4 左右カメラの光軸の交点の位置        2.2.5 撮像距離        2.2.6 その他     2.3 立体画像空間の基本的性質        2.3.1 カメラ間隔が変化した場合        2.3.2 レンズ焦点距離が変化した場合        2.3.3 レンズ光軸の交点が変化した場合        参考文献 第3章 実際の番組制作とその課題    3.1 立体画像空間の歪み        3.1.1幾何学的歪み        3.1.2書き割り効果(奥行きの歪み)        3.1.3 箱庭効果(大きさの歪み)        3.1.4 台形歪み 一 − 一 1 1 4 4 5 6 8 11 11 11 12 15 15 17 17 17 只︶Q︺ 1 1 9 0 1 2 1 2 N N 23 25 25 25 25 27 27

(4)

   3.1.5 画枠歪み 3.2 立体カメラの小型化    3.2.1 カメラ間隔の短縮を目指して    3.2.2 第2世代立体ハイビジョンカメラ    3.2.3 第3世代立体ハイビジョンカメラ    3.2.4 無歪み条件を満たす立体ハイビジョンカメラ 3.3 ズームレンズの使用 3.4 娼妓と調節    参考文献

第4章 幾何学的歪み

   4.1 はじめに

   4.2 実験に用いた幾何学的歪み

   4.3 実験1 −絵柄による違い−

       4.3.1 目的

       4.3.2 評価実験

       4.3.3 実験結果

   4.4 実験2 −歪みが複合した場合−

       4.4.1 目的

       4.4.2 評価画像

       4.3.3 評価実験

       4.3.4 実験結果

   4.5 カメラ調整のガイドライン

   4.6 むすび

       参考文献

       付 録

第5章 書き割り効果

   5.1 はじめに

   5.2 実験1−被写体の形状と陰影−

       5.2.1 目的

       5.2.2 実験条件

       5.2.3 評価実験

i i 28 29 29 30 31 32 33 4 5 3 3 37 37 38 39 39 0 1 3 3 3 3 3 8 0 0 1 4 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5 53 53 9 9 9 Ln Lr︶LrUr︶Lr︶ ・     5.2.4 実験結果     5.2.5 考察 5.3 実験2−背景の有無の影響−     5.3.1 目的     5.3.2 撮像条件および表示条件     5.3.3 評価実験     5.3.4 実験結果     5.3.5 考察 5.4 実験3−動きの影響−     5.4.1 目的     5.4.2 撮像条件および表示条件     5.4.3 評価実験     5.4.4 実験結果     5.4.5 考察 5.5 むすび     参考文献

第6章 箱庭効果

   6.1 はじめに

   6,2 箱庭効果における背景の影響 一実験1−

       6.2.1 目的

       6.2.2 撮像条件および視聴条件

       6.2.3 評価実験

       6.2.4 実験結果

       6.2.5 考察

   6.3 レンズのパースペクティブと

       両眼視差による奥行き感 一実験2−

       6.3.1 目的

       6.3.2 撮像条件および観察条件

       6.3.3 評価条件

       6.3.4 実験結果

       6.3.5 考察

   6.4 むすび

−111− 55 56 58 58 58 59 59 60 62 62 62 62 62 63 64 65 66 66 67 67 67 68 69 69 1 1 7 7 72 72 3 4 7 7 80

(5)

参考文献

第7章 無歪み条件の検証

    7.1 はじめに

    7.2 従来の撮像法と無歪み条件

    7.3 立体画像空間の主観的再現性 一実験1−

       7.3j 目的

       7.3.2 撮像条件および表示条件

       7.3.3 主観的無歪みの定義

       7.3.4 評価実験

       7.3.5 実験1の結果

       7.3.6 考察

    7.4 立体画像空間の自然さ 一実験2−

       7.4.1 目的

       7.4.2 撮像条件および表示条件

       7.4.3 評価実験

       7.4.4 実験2の結果

       7.4.5 考察

    7.5 むすび

       参考文献

第8章 無歪み条件を可能とする

        立体ハイビジョンカメラの開発

   8.1 はじめに

   8.2 無歪み条件

   8.3 光軸を平行に固定する利点と欠点

      8.3.1 立体カメラの小型・軽量化

      8.3.2 撮影時間の短縮

      8.3.3台形歪み

      8.3、4 立体感の演出

   8.4 光軸とCCD中心の位置関係

   8.5 立体ズームの問題点と特徴

      8.5.1 レンズの制御精度

IV− 81 82 82 83 84 4 4 5 6 6 q︶ 8 8 8 8 8 只︶ 92 92 92 92 93 4 5 O Q 96 8 8 (7N) 100 100 100 101 102 102 103 104 104 W    8.5.2 光輪変動    8.5.3 ズームに伴う再現空間の特徴 8.6 むすび    参考文献

第9章

無歪み条件を満たす

  立体ハイビジョンカメラの画面効果

9.1 はじめに 9.2 評価画像 9.3 評価実験 9.4 実験結果 9.5 「迫力・臨場感」の因子について 9.6 「見易さ」の因子について    9.6.1 無歪み条件を満たす画像    9.6.2 中・長焦点距離レンズで撮像した画像    9.6.3 従来の撮像法で撮像した画像    9.6.4 ズーム画像について 9.7 むすぴ    参考文献

第10章 結 論

謝 辞

研究論文リスト

−V− 104 105 107 107 108 108 108 110 110 112 112 114 114 114 114 115 116 117 120 121

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第1章 序

1.1 本研究の背景と目的  立体感のある画像を見たいという願望には昔より非常に根強いものがある.絵画においても, 古くから,線遠近法による立体感演出の手法が用いられている1y この線遠近法以外にも,描 く物体の大きさの違い,陰影のつけ方,きめの粗密,空気透視など,絵画の技術の多くの部分 が,奥行き感を効果的に生じさせるために用いられている.このような単眼でも得られる奥行 き知覚の要因以外に両眼によって得られる奥行き知覚の要因についても紀元前から知られて いたへ中でも両眼視差は最も重要な奥行き知覚の要因の一つで,現在においても,立体画像 システムの多くに用いられている.  この両眼視差を利用した立体画像が実際に登場したのは,19世紀半ばの立体写真によるも のであった九動画においては,映画が発明された数年後の1900年にはパリ博で立体映画 が上映され,以来20世紀初頭から半ばにかけて多くの立体映画が制作されだ竺特に L939年のニューヨーク博覧会での偏光眼鏡方式の立体映画は,カラーで公開上映され,延 べ500万人以上の米国人が見たと言われている.そして近年の電子技術の進歩は,アミュー ズメントパークやテーマパークなどでの立体画像の展示を恒常的なものとし,パッケージメディ アとしての立体画像システムの地位を不動のものとした.さらに計算機能力の向上や周辺機器 の急速な発展により,立体画像をリアルタイムで処理をする事が可能となった.これにより, 通信やバーチャルリアリティーなどの分野において,立体画像はパッケージメディアを越えて その可能性を大きく広げた.  一方放送の分野に着目すると,立体テレビジョンの研究が行われはじめたのは,1950年 代から1960年代である7≒その後ヨーロッパやアメリカで試験的に立体テレビジョン放送 が行われた.日本では,1974年に日本テレビが「オズの魔法使い」という番組をアナグリ フ方式で実験放送を行った.しかしいずれも,現行のテレビジョン方式で立体放送が可能なこ とを実験的に示したにすぎず,将来の家庭用立体テレビジョン放送の実現に向けた研究の一環 とは言い難い.その一つの理由として,画面サイズと解像度の問題があった.立体画像におい て,立体感や奥行き感など立体画像としての心理的効果を十分に得るためには,大きな画面サ イズとそれに見合う解像度が必要で9)1o),従来のテレビジョン方式では立体画像としての画質を 十分に満たすことができなかったからである.しかし,大画面で高解像度を満足するハイビジョ ン技術が成熟し,新しいテレビジョン方式として認知されるに従い,ハイビジョン技術に基づ いた立体テレビジョンシステム「立体ハイビジョン」も,新しい放送サービスの一つとして, その可能性が大きく展望されるようになってきたふjly 一第1章 1−

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図1.1立体ハイビジョンシステム

J

 NHK放送技術研究所では,まず立体ハイビジョン映像の持つ画面の効果を調べるため,実 験的に立体ハイビジョン番組「Ycu are not alone」を制作し1989年に初めて一般公開し た.そして翌年の1990年には,本格的に制作した立体ハイビジョン番組「Waffen」を日本 国内のみならず,ヨーロッパやアメリカにおいても一般公開した.そして立体ハイビジョンの 映像がもたらす臨場感や迫力は高い評価を得ることができた1’jls.その後も,番組効果の検討 および向上とそのための制作手法の検討,機器開発を目的として番組試作を行い,その数は現 在では50に至っている.  ディスプレイについては,特殊な眼鏡を必要とするが一度に多くの人が視聴できる偏光方式 や│】寺分割方式ls,良好な画像を観察できる範囲が限定されるが特殊な眼鏡を必要としないレン ティキュラー方式やバララックスパリアー方式などの検討を行ってきた1゛ls.1994年には, 立体ハイビジョン画像を特殊な眼鏡を必要としないで視聴できる,70インチ眼鏡なし立体ハ イビジョンディスプレイを試作したlgl.現在1 2 0インチ型の眼鏡なし立体ハイピジョンディ スプレイがNHK放送センターの展示プラザで常設展示されている.  1994年,ソニーをはじめいくつかの企業が実験的試みとしてクローズドサーキットであ るが,左右画像用に2つのチャンネルを使用しMUSE方式で,人気歌手のコンサートの模様 を立体ハイピジョンで北海道から九州まで全国17会場に生中継した2o’.また1998年には, 通信・放送機構の「立体ハイビジョン番組制作技術に関する研究開発プロジェクト」において, 高帯域の通信衛星を用いて長野冬季オリンピックの模様をディジタル伝送した.  同じ頃欧州においては,立体画像の撮像・信号処理・ディスプレイなどを対象としたEUの 研究開発プロジェクトであるDISTIMAプロジェクト(Digital Stereoscopic lmaging and ApoUcation)が1992年にたちあがり,そして1995年から,より応用指向の高い 一第1章 2 W ACTSブ[]ジェクト(八ふ・uncd(.ym111ullic;lti,lnぐrec)m油・,凶.ヽs2111dScrヽ・ices)の PANORAMA(Package函rN(!woperatioTmlΛ111tlster(?(w・cl盾べlt111iviewsystcms and Applications)に引き継がれた.さらに勣画像の圧縮符時化方式の国際標準であるISO/ IEC 13818-2(通称MPEG-2ビデオ)に,マルチビュープロファイル(MVP:Mult-vicw Profile)と呼ばれる2眼式立体テレピ画像の符g・化方式が追加されるなど仇撞像・接組制作, 圧縮・符号化,伝送,表示に至るまで立体テレビジョン実現のための一一一貫した研究・開発が世 界各地で幅広く行われている.  2000年秋,日本ではディジタルハイビジョンを中心とした新しいディジタル放送サービ ス,ISDB(lntegrated Servic・Digital Bmadcastin記が実施される.このISDBの もとでは,きわめて多機能で多くの情報サービスが可能となる.また,最近のCPU能力の向 上と低廉化は,従来は放送局側でしか実現できなかった高度な処理機能を,きわめて安い価格 で受信機側に実装することを可能とした.これらのことは,技術的にも,コスト的にも,立体 ハイビジョン放送の実用化の可能性をより高めたといえるだろう.  一方,立体テレビジョン放送を最終的に受容するのは人間である.人の立体視に関わる視覚 特性を十分に把握した上で゜:“2゛゜2°l,「立体感」あるいは「奥行き感」という新たな感 覚を付加した場合の心理的な効果あるいは生理的な影響を調べることが大切である3‘II:’1’:“j:゜.し かし,これまでのアミューズメントパークやテーマバークなどの展示における立体画像は,短 時間で立体の効果を上げるため,人に対する影響を十分に検討しているとは言い難い.そのた め,提示された立体画像に不自然さを感じたり,立体画像はおもしろいが見ていて疲れる等の 声が聞かれることも多い.この理由として,撮像の際のカメラパラメータの設定が不適切であ るために再現された立体画像空間が歪んでいること:“:’“゜:゛,表示装置の性能の間題,また, 視聴時における絹紬と調節の不一致等が考えられるj“‘I‘“lj.不特定多数の人が,長時間視聴する ことが考えられる放送においては,「自然」で「見易い」立体画像であることが重要である.  このような背景のもと,本研究は,立体ハイピジョンによる番組試作を通じて,番組効果の 向上のための制作手法とそのための機器開発を│回的とする.特に本研究においては,放送を念 頭に,立体感あるいは奥行き感が自然で見易い立体映像の番組制作手法を検討する.│司時に, 安価なコストで放送サービスを提供できるよう,効率的な番組制作のための機器開発を目的と する. 一第1章 3

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注1) W 物体を多方向から撮影した立体情報を表示するため.観察者は頭の位置を昨勤した場合でも, その移動に応じた立体像を観察することが町能で,よ1っ自然なL画像となる.これには.レンチ キュラー方式やIP(インテグラルフォトフラフィー)方式J:゜など多数の2次元画像を用いる 多眼像表示方式と,ホロゲラフィに代表されるように,空間像そのものを再現する空間像表示 方式などがある.以上の中で.最も自然な立体感が得られる方式は,ホログラフィなど空間像 そのものを再現する方式,あるいは,レンチキュラーやIPなどの多眼方式である.しかし, 放送においては,多人数が一度に視聴可能であること,あるいは,視聴可能な領域が広いこと, 安い価格で受信機を構成することが可能であること,現時の2次元放送との両立性などが求め られる“.本論文においては以上のような状況を考慮し,放送システムとして現在のところ最 も実現性が高い両眼誤差による2眼式立体画像を対象とする. 1.2.2 本研究の方針  両眼視差を用いた立体画像システム立体ハイピジョンにおいて,「自然」で「見易い」放送 の実現のためには,番組制作,圧縮・符号化,伝送,表示そして最終的にそれを撹聴する人間 の視覚生理,視覚心理などの受容面もふくめ,一貫した総合的な研究・開発が必要である.こ れらのうち,本研究は番組制作における撮像の観点から検討を行う.2旧式立体画像の撮像に おいては,左目右目に相当する2台のカメラを使用するため,実際に我々がものを見る場合と 異なり,左右カメラの間隔や,レンズの焦点距離,光軸の方向などが適切でないと,再現され る立体画像空間が歪み,不自然で見づらいものとなってしまう場合がある.これらの歪みは, 立体画像の臨場感や迫力を損なうばかりでなく,疲労の原因にもつながる.この撞像は.表示 とともに,立体テレビジョンシステムの入出力部に相当し,システム全体の評価に直接的に影 響を及ぼすため重要である.  本研究では,まずこれらの撮像条件とそれがもたらす立体画像特有の歪みの関係について検 討する.そしてそれらの検討結果に基づき,理論上歪みの生じない条件「無歪み条件」の空間 再現性を一般画像を用いて主観的に検証する.同時に効率的な番組制作を目指して,「無歪み 条件」をみたす小型・軽量な立体ハイピジョンカメラの開発および立体ズーム機構の開発につ いて述べる.最後に,「無歪み条件」を満たすと同時に,新しく開発したカメラの画像を,「自 然さ」や「見易さ」の観点から検証した結果について述べる. 一第1章 5 1.2 本研究の範囲 1.2.1 本研究において対象とする立体画像  逞体感あるいは奥行き感をり・える画像は,2次元画像1枚の情報でそれを行う奥行き画像か ら,I周匝硯差をもつ2枚の「画像を用いるもの,多数の2次元画像を用いるもの,そして空間像 ぞの=6のを14生するものまで多岐にわたる.ここで,立体視の要因から表示画像を分類し,そ れを表1.1にまとめて示す.      表1.1 立体視要因から見た表示画像の分類(畑田,1992)12

分 類

原理(注1)

表示方式

奥行き再現

 空間範囲

奥行き画像

2次元画像1枚

単眼奥行き効果 ①∼③

透視図法

5m以上

表示面効果④

大画面

2m以上

虚像(空中像)

立体画像

2次元画像2枚

両眼視差効果⑥

観察光学系方式

lm以内 眼鏡方式  (同時:色,偏光,濃度差)  (継時:シャッタ) 100m以内

表示面方式

50m以内

3次元画像

2次元画像多数

視差効果②十⑥

多眼方式

レンチキュラ板,IPなど

50m以内

空間像形成

立体視効果①∼ ⑥ 空間像方式  (可変焦点光学系)  (空間スクリーン)  (波面再生)

5m以内

原理の項に示す数字は,①ピント調節と鮮鋭度,②運動視差と物体相互の 位置関係,③網膜像の状態,④視野,⑤幅軸,⑥両眼視差を示す. 注2)太線内が本論文において対象とする(2眼式)立体画像である.  長│.にこおいて,奥行き画像とは,絵│囲等に児られるように,線遠近図法あるいは透硯図法に よりべ体感をもたらすものである.同時に奥行き画像においては,物体相互の位置と重なり, 贈府や陰影などの奥行き知覚の心理的要囚も効果的に用いている.表示面効果は,ディスプレ フを犬出面化(広視野・取り囲み効果)することにより,ピント調節の機能を低下させ,画伜 や表示面の存在を感じさせないようにして奥行き感を誘導するもので,全天周のドームスクリー ンなどで用いられている.立体画像は,両眼視差を持つ2枚の2次元画像を左右眼へ別々に分 離して立体視することにより,表示面の前後に奥行きのある空間を再現する方式である,比較 的簡便に多人数が同時に視聴できるため,現在最も普及している方式である.3次元画像は, 一第1章一4

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-㎜ ・ ■ I ■ -㎜ ● ■ I ■ 調整機構部が不必要なため,従4とよ060ぢ以レ」パリ・軽殴化を実現した二と,な右レンズの 制御機構を共通化したため,スムーズなズームが可能となったことなどについて述べる.  第9章では,今回開発したカメラの,面像であると同時に無歪み条件を満たす画像がもたらす 心理効果を検証するため,従来の撮像方法で得られた立体画像および2次元画像も忿め,主観 評価による因子分析を行った結果について述べる.そして抽出された2つの因子「吃緊さ」と  「臨場感・迫力」の観点からそれらの画像を比較検討レ本カメラで裸像し,視聴持ち無泥み 条件をみたす立体画像は,臨場感・迫力を十分に備えている上.従来の立体画像より吃やすい 画像となる可能性が高いことを示す.  第10章では,むずびとして本研究のまとめ及び今後の課題について述べる. なお,図1.2に本論文の構成を示す.

図1.2 本論文の構成

一第1章 7− 1.3 本論文の構成  本論文は心服より構成ざれる.本命に引き続き第2章以降の概要を下記に簡単に述べる.  訥2章では,2眼式立体画像の撞像法の基礎について解説する.まず,人の奥行き知覚の要 因sと政体カメラの原理について述べた後,立体画像の撮像条件と撮像条件がもたらす立体画 像空間の基本的な性質について述べる.  ・3章では,本研究において対象とする番組制作における具体的課題について述べる.実際 の接組制作における課題として,撮像条件がもたらす立体画像空間の様々な歪み(幾何学的歪 み,乃き割り効果,箱庭効果,台形歪み,画枠歪み)および,立体カメラの小型化,ズームレ ンズ使用の問題等について述べる.  第4章では,橿像条件がもたらす立体画像空間の歪みのうち,左右カメラの配置が対象でな い現今に生じる幾何学的な歪みについて検討する.左右カメラの配置が対象でない場合,左右 雨−惘で垂直ずれや傾きのずれが生じる.また,レンズの焦点距離が同じでない場合には,左 右画像間でのサイズの違いが生じる.これらのずれの効率的な補正を目的として,まず.それ ぞれのずれの検知限・許容限を求める.次に,それらのずれが複合して生じた場合についても 検討し.幾何学歪みの効率的な補正法について考察する.  第5章では.書き割り効果として知られる奥行きの歪みについて検討する.書き割り効果と は,立体感を感じる一方で,被写体そのものに厚みを感じない現象で,臨場感を損なうとして 問題となっている.本章では,番組制作における書き割り効果は,主として,レンズ焦点距離 とレンズ間隔に起因する両眼視差情報の奥行き方向の圧縮であることを述べる.一方,形状知 覚における,陰影情報.運動視差など他の要因との非線形な処理過程についても,主観評価の 観点から述べる.  第6章では,箱庭効果として知られる大きさの歪みについて検討する.これは,立体画像の 被写体を不自然に小さく感じる現象である.本章に置いては.まず,背景画像の有無が箱庭効 果に大きな影響を与えることを示す.そして番組制作における箱庭効果は,背景画像において, パースペクティブがもたらす単眼による奥行き情報と,両眼視差がもたらす両眼による奥行き 情報の矛盾に起因することを述べる.  第7章では,以上述べた幾何学歪み.書き割り歪み,箱庭効果および台形歪みが理論的に生 じない条件「無歪み条件」を,一般画像を用い主観的に検証した結果について述べる.さらに その結果を立体ハイビジョン番組制作に適用し,立体画像における被写体の大きさや立体感(奥 行き感)を自然に感じるための要因について考察を行う.  第8章では,無歪み撞像条件を満たすように新しく開発した立体ハイピジョンカメラの特徴 について述べる.光軸を平行に固定することにより.光軸調整の手間が省けると同時に,光岫 一第1章 6−

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18)磯野春,誰.安田稔,竹森大祐.金山秀行,山田千彦,r葉i¶】夫:s旧式武ガネなL3次足テ  レピジョン,テレビジョン学会誌,48-10,pp.1267-1275(1994)

19)NHK技研公開展示資料,pp.25-26[]994)

20)朝日新聞(1994年2月9日),夕刊記事より 21)ISO/IEC 13818-2 Amd. 3

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35)S.Herman : Principles of Binocular 3D Displays wlth appUcations to Televisjon.  SMFrEJ.80,pp.539-544 Cjuly 1971)

一第1章 9 参考文献

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7川1口幸也,福島邦彦:立体テレビジョンについて,NHK技研月報,3-6,pD.129-133  ()960) 即11口々匝,福島邦彦:メガネを用いない立体テレビジョン方式,NHK技研月報,4-5,  11p.132一135(1961) 9)矢野澄男:立体画像における画角の影響,テレビジョン学会誌,vol.36,N0.10,pp.1589- 1596〔1991〕 10M斉水俊宏,矢野澄男,三橋哲雄:広視野立体画像観察時における重心動揺に関する一検討,  テレビジョン学会誌.45-1,pp.108-110(1991) 】│)湯山一郎:ソフト制作とイベント応用,テレビジョン学会誌,45-4,pp.487-493,(1991) 12)S.Yanc,I.Yuyama: Stereoscopic HDTV −Experimental systems and Psychologica】  Effects,SMFrEJ.,vol.108,N0.1(Jan.1991)

13)S.Yanc,I.Yuyama: Psychological Effect of the Experimental HDTV 3D System,  Canada HDTV I90 COUoquim

14)I.Yuyama,M.Tadenuma.H.Yamanoue: Stereoscopic High-Definition Television −  ExperimentaI System and a Consideration cn Program production, NAB 1991 HDTV  World Conference

15)H.Yamanoue.M.Tadenuma,I.Yuyama: 3D Hi-vision, IBC'1992

16)磯野春雄,安田稔,瀬戸茂之:時分割立体視の融合特性,電子情報通信学会技術報告,  MBE87-56,pp.25-30(1987)

17)H.Tsono,M.Yasuda,D,Takemori,H.Kanayama,C.Yamada,K.Chiba: 50-inch  Autostereoscopic FuU-color 3-D Tv display System. Proc.SPIE,1669,pp.176-185  (19923

(11)

一第1章 8-- 「

-第2章 立体画像撮像の基礎

 本章では,人の奥行き知覚の要因とそれを利用した立体カメラの原理について述べる.そし て,立体画像の撮像法の基礎として,撮像条件とそれがもたらす六体画像空間の壊本的な性駒 について解説する, 2.1 奥行き知覚の要因  我々が周囲の空間を奥行きを持って立体的に把握することを奥行き知覚という.ニわには, いろいろな手がかりが用いられるが几大別すると,両眼を利用することに上るものと,単眼  (竹垣)のみによっても生じるものとに分けられる九(表2.1参照)        表2.1 奥行き知覚の手がかり 両眼による手がかり 幅枝 両眼視差 単眼による手がかり ー 調節 運動視差 網膜像の大きさ パースペクティブ 重なり 陰影 きめの勾配 空気透視 色 2.1.1 両眼による手がかり  人間は2つの目を待ち,広範囲にわたって正確な奥行き情報を得ることができる.これは, 娼妓と両眼視差という人間の目の特性によるものである.絹枝とは,ある対象物を両眼でなが めるとき,その対象物の位置によって引き起される眼球の動きである.すなわら,対象物が遠 方にあれば両眼の視線はほぼ平行になり(図2.1(a)),近くにあるときは内向きに回転する(図 2.t(b)).ニの場合の眼球の動きを生じさせる筋肉(動眼筋)の緊張の度合低奥行き感を学 える働きをしているともいわれているl). (a)遠くを見る場合 (b)近くを見る場合

図2.1 幅輔による奥行き知覚

一第2章 11 注視点 3aLll之七裕一,永山克,尾蒲嘉夫,棚田洵.元木紀雄,三橋哲雄,羽鳥光俊:立体ハイビジョ  ン描像における左右画像間の幾何学的ひずみの検知限・許容限の検討,電子情報通信学会D−  n,vol.J8{}-D-L N,-l.9,pp.2522-2531(1997) 37J大森朝子,山之上裕一,奥井滅入,湯山一郎:立体画像における撮像条件と書き割り効果,  映像情報メディア学会,vo].53,Nc.3,pp.437-441(L999) :侶)山之上,湯山:立体画像における大きさの歪みと撮像条件の関係:テレビジョン学会誌,  vol.48,N0.1.0,pp.1284-1292(1994) :珀丿比留間伸行,福田忠彦:調節応答から見た両眼融合方式立体画像の観察条件,電子情報通信  学会論文誌,」73-D-12,pp.2047-2054(19901 40)井上哲理.本道敦子,越栄伸哉,野呂影男,岩崎常人,秋谷忍:二眼式立体TVの眼球調節  機能への影響,人間工学特別号,26,pp.246-247(1990) 41)比留間伸行,橋本佳三,武田常広:立体テレビ番組眼福中の調節応答の測定,テレビジョン  学会誌,vcl.48,N0.10,pp.1293-1300(1994) 42)畑田豊彦:立体視の心理・生理,専門講座,三次元画像技術,電気学会論文誌C,112-4,  pp,209-215(1992)

43)F.0kano.H.Hoshino,J.Arai,I.Yuyama: Real-Time Pick-up Method for a Thrce一  Dimensional lmage Based on lntegra1 Photography, Appl.0pt.,vol.36,N0.7,

 pp.1598-1603〔1997〕

44)CCIRStudyProgram1C-1/11:ConstitutionofaSystemofSterecscopicTelevision  (1958-1986)

45)樋渡渦二編者:視聴覚情報概論,昭晃堂(1987)

(12)

 両│眼視差とは,2つの日が水平に(嘔均で約65mm)離れた位置にあることによって,ある 物体をながめたとき生じる左右網膜.11の物体像の差異である(図2.2参照).同図において,2 ‘TJ辻1がf均で約6Rmm水ヽFに踏れていることにより,ある対象物を見た場合に,左右網膜上 で像かまれる.一般に,網膜上でズレた像は2重像として知覚されることになるが,ズレの量 がある程度以内の場合は,この両眼の像が融合して1つのものとして見える.このとき明確な 奥行き感が生まれる.大脳においても,このような両眼視差を検出する細胞が存在することが 知られているjj5j.両眼視差によって奥行き知覚を得る範囲は,2重像が融合する範囲でほぼ決 定されあまり広いものではない‘i17j.しかし奥行きの差の弁別には有効で精度も高いs).従って 人間は,齢│嗅によってまず注視点を定め,さらに両眼視差によって精密な奥行きの判断を行う という2段構えで正確な立体視を得ている.

(!)

(

!

)

・←--→・・

 平均65mm

左目網膜像 右目網膜像 網膜上でずれた2重像 融 ← ← 心、 ロ 明快な奥行き知覚

図2.2 両眼視差による奥行き知覚

2.1.2 単眼による手がかり

 単眼での奥行きの手がかりには,水晶体と呼ばれる目のレンズの厚さを変えることによるピ

し卜i凋節がある.(図2,3参!舶これは単に,調節と言われるが(Accommodation),観察距

離が2から3nl以内の近距離の時に有効である.

 日常,勤いている電車の窓から外を眺めるとき,遠くにある山や霊などはほとんど動いて見

えないが,近くにある家などは速い速度で後方に動いて見える.また,ある対象を注視しなが

ら頭を動かすと,注視点より遠方にあるものは観察者の動きと同じ方向に,注視点より手前に

あるものは観察者の動きと反対の方向にそれぞれ動いて見える.このように,観察者が動いて

第2章 □ いる滴きに,対象物11JLの相支・j≒II勺なlJylこ.よ;〕観察1!L・!m i-・]一旬物のとの距離を知覚寸ることがで きる,こねは運動硯差ほld-i(Tln pamllaxlと呼ば利るI処阿き知覚の・1要なfがか1)のひとつで ある.こねは,条件によりII剛│艮視差と同蔭JIに有効で,現自ミのテレビジョンや映画・など2次だ の画面の中で奥行き感を与えるのに有効な手段である¨」. 遠い被写体   水晶・ / 近い被写体

図2.3ピント調節による奥行き知覚

 よく知られた物体の場合,小さく見えるほど遠くにあるように感じる,すなわら,冊丿則象内 大きさ(池田m1Size)によって奥行きの手がかりを得ることができる.こ利を利川し絵画等 では,近くの物体と遠くの物体の像の大きさの比をわざと強調することにより心木感を強めた りする手法がよく用いられている.これは,線遠近法と(Lincar Pcrspc ・VOよばおる奥行 き知覚の重要な手がかりである.  このほか,遠くにあるもはど霞んだりぼやけたりする空気透視(八 ・a目)ヴsl)cdvO鸚

遠くになるほど網膜像のきめ(テキスチャー)

が細かくなるあるいは密になるきめの勾配

 (TextureGmdienO

の効果もある.

図2.4おいては,上方ほど画面を構成する単位

となっている三角形の密度が高くなり,線遠近

感ともあいなって奥行きを感じる.

 また,物体に生じる陰(Shading)の効果も

重要な手がかりとなっている.図2.5は大小の

紙皿を一方は表向きに他方は裏向きにおいた

一第2章 13

図2.4きめの勾配

(13)

ものであ.【a】では小さい方が表 郵』ぼ「んでいる」に,大きい方が l佃にしておいているように見え る.しかしこれを上下逆さまにし てみた図(hJでは,逆に大きい│阻 が表に,小さい皿が喜にしておい ているように見える.これは,口 常生活では光は上方から来ること が多いため,上にlaのついた部分 をIIII,ドにlaのついた部分を凸と 解釈する経験の効果による.  隆ろのものは前方のものによっ て哨11をーい│麿されて腿えるとい yRなi〕的V。rl,11っpillg)の効果 や,赤は近くにIなは遠くに感じや すいというという進出色,後退色 とΛdv;lncinaCol(jr,│をCぼlillg Cd(,r)や,トラ・ソクののテール ランプは乗用車のテールランプの (a)

       (b)

図2.5陰影による奥行き知覚

位置より高いため遠くに感じる現象例に吃られるように対象物の見える高さも,奥行き知覚

の旋囚として考えられる.

笛j・尽 14 W ・ - W 2.2 立体画像の撮像条件  右目と左目に相1する2台のカメラの画像は,そのしンズ間隔によりずれが'hじ幽涵目lで2 重像となる(図2.6参照),このず才1は.奥?lき知覚の斐固のひとつである両ll旧口差に相当する. そして左右画像それぞれを偏光眼鏡等を利用することにより分離し.なカメラの画像をか』.1に 右カメラの画像を右目に投影することにより奥行き感あるいは立体感が生じる.このように2 眼式立体映像では,2台のカメラを必要とするため,従来の2次元画像の場合に比べて撮像条 件が複雑で,またそれらの条件が大きく画面の効果に影響を及ぼす'“II'I;j.従って政体映像の欄 像に│鞄しては,像の生じる位置の設定などシーンの立体的な綱成を行い.それに基づき慎重に 撞像条件を決めるという立体設計を行う必要があるI:゜1'SIlij.以下に主な捕像条件について示す.

恚I

立体カメラ / 1 ( ぎ ( 4 )

図2.6立体カメラの原理

2.2.1 左右カメラの配置方法  実際の番組制作でもっとも多く用いられる左右カメラの配置方法は,図2.7に示すように左右 カメラの光軸を交差させる方法である.その理由は,光軸が交差する位置にある被写体は,視 聴時に必ずスクリーンの位置に再現されるという特徴があるためである.この場合,光軸の交 点の位−を番組のシーンに応じて前後に調整する,あるいはカメラ間隔を広げることにより, 主要な被写体を飛び出させたりすることが容易になる.しかしそれ以外の背景の部分や画像の 周辺部においては,台形歪み(3.1.4で後述)などにより両眼視差情報が歪む.このため,実際 の番組制作では,各シーンごとに立体画像として融合可能かどうかなどの確認を行っているI‘゜. 一第2章 15

(14)

光軸交点ま での距離 y   l j ・   S ゝ   l ・ カメラ間隔 `︱−jIIrトレーーーーー ドJ ふ市川 ○︼        ︱ 光輪 l i i J l   j j   j

ゴこブご

 回参

光軸の交点にある被写体は、

再生時画面の位置に再現され

るので、立体演出の設計が容

易である。

ノレンズの画角 d3 第2章 16 右画像 d2

視距離

 1

一第2章 17− 2 2.2 カメラ間隔  カメう間隔により生じるずれは,人間の奥行き知覚の痙因として非常に屯若久両眼削差に相 当するものである.従って,カメラ間隔は大きく在体映像の立体感あるいは奥付き感に影響を 及ぼす,と同時に番組の演出の意図を反映する最も有効なパラメータ一万ある.一般に,カメ ラ間隔を広げるほど左右像間のズレが大きくなり左体感が強調されるが几あまり広げるとそ のズレが融合範囲を越えてしまい,立体視できなくなる場合がある,このため実際の番組制作 においては,ビデオの利点を生かし,常に演出の意図に沿った立体の効果をリアルタずムで確 認しながら撮影を行っている恍  立体カメラを構成する場合,通常のカメラを単に2台並べるとその間隔は百数トmm程度と 人の平均的な瞳孔間隔よりかなり広くなり,立体感の誇張された映像が生まれることになる. そこで最近ではレンズ,カメラともに改良レ 2台並べてもその間隔が人間の瞳孔間隔と同等 になるように工夫している.また.微少なものの撮影などにおいては,カメラ間隔をさらに小 さくするニとが望まれる場合がある.このような場合には,ハーフミラーを用いてカメラ間隔 をゼロから自由に設定できるハーフミラ一合成の立体カメラを用いて撮影を行っている竺 2.2.3 レンズ焦点距離  一般に,レンズの焦点距離を変化させるとレンズがもたらすパースペクティブ(線遠近感) が変化する.レンズの焦点距離が短いほど,手前の被写体の像はより大きくなるが.奥の被写 体の像の大きさは小さくなり,練遠近法により奥行き感が強調される.2台のカメラ間隔から 生じるズレが.両眼から得られる奥行き情報であるのに対し,バースベクティブは単眼から得 られる奥行き情報に相当する. 2.2.4 左右カメラの光軸の交点の位置  2.2.1左右カメラの配置で述べたように,光軸を交差させる場合,その交点の位置にある被 写体は観察時表示スクリーンの位置に再現され,その前後に立体空間が構成される.遠くに光 軸の交点の位置(コンパージェンス位置)を設定すると,その位置より手前の被写体がすべて 表示スクリーンより手前に飛び出すことになり,奥行きが圧縮された扁平な立体像が生じるこ とになる.一方,コンパージェンスの位置をあまり手前に設定すると,背景の被写体に関して その左右像間のズレが大きくなり,画面サイズによっては融合できなくなり立体視できなくな る場合がある.このため実際の番組制作においては,背幾にある被写体の左右画像のずれが, 再生画面上で平均的な瞳孔間隔といわれる65mmを越えないように注意している. 八万ご

図2.7実際の番組制作でのカメラ配置

 こ刺に対し図2.Sに示すように,光llllljを平行に固定しレンズ間隔,レンズ焦点距離,両面サ に(,視距離等を特定の条件に設定することにより,幾何学的計算上,実空間をそのまま再生 することができるI°I“」'゜.これは無歪み条件といわれ,撮像時のみならず視聴時も規定する条件 である.これについては,第7章で述べる.

トFIづ﹁−一犬寸玉山○ノ

へ dl=d2こd3

図2.8無歪み条件

(15)

2.2,5 撮像距離  立体撮像を斤う上万福像距離はもっとも基本的な条件である.しかし実際には,立体カメラ が大きく機動性が乏しいことなどの問題があり,最適な撮像距離を設定するニとが困難な場合 が多い. 2.2.6 その他  その他の樋像条件として,焦点深度,明るさ,色,階調,S/N,周波数帯域(解像度)など があげられる.  立体映像の焦点深度に関しては,バンフォーカス(画面内のすべての被写体にピントがあっ ていること)が基本的に望まれる.従って,レンズを絞って深度を深くとることができる高感 度なカメラが必要である.  明るさ,色,階調に関しては,それぞれ左右差が生じないことが望ましいが,実際に左右の カメラの特性を完全にそろえることは困難である.明るさの場合,輝度差のある領域が勤くと プルフリッヒ効果“が生じる可能性があるため,許容限が0.2dBと厳しい値が報告されている2’゛.  一方で,階調に関し白レベルと黒レベルの差を妨害度として評価した場合には,それぞれ 15Z,2%が検知限との報告もある2.s.番組制作においては,実用上数%以内に納めている.  色の違いに関しては,立体視が安定して成立する各色相での許容限界が報告されているs. また.実際の立体テレビジョン画像に色表を提示した実験では,赤系統の色は妨害が生じやす く,また.彩度が低いほど妨害は生じにくいとの報告がされている吸  S/Nに関しては,カメラノイズが三角雑音であるため,広い信号帯域を持つハイビジョンカ メラはNTSCカメラに比べて基本的に不利である.しかし,左右2台のカメラの雑音がフラッ トな無相関ノイズの場合,立体画像では2次元画像に比べ約3dB雑音妨害は減少することが報 告されている2s.  空間周波数帯域(解像度)に関しては,一方の画像を約1/2に帯域制限しても像位置の変化 は約20%であること,鮮鋭度はほとんど変化しないことなどが報告されている29. 一第2章 18 -・ 四 四 〃 2.3 立体画像空間の基本的性質  日常,物体は近づいてくると網膜像に大きく映・・1.遠ざかると小さく映るが,その物体の大 きさそのものが変化するとは感じない3‘1:11°3:゜.しかし立体映像においては,光輪の交点の位置 やカメラ間隔を変化させると見かけの距離が変化する・一方で,撞像距離,使用するレンズが│司 じである限り,対象物の網膜に映る像の大きさは一定であるという非日常的な状況が生じる. このような場合,我々は対象物の見かけの大きさが変化したように感じる34.  この考えに基づいて,立体像の生じる位置と大きさをある程度計算することができる.すな わち図2.9(a)においてコンバージェンス位置やカメラ間隔などから左右画像間のズレがわかる と,同図(♭)に示すように三角測量の原理に基づき,立体像の生じる位置とその大きさが計算で きる.対象物が単純な幾何学図形やCGで発生させた図形などの場合,ある程度見かけの大き さとその位置が,この計算に従うことが報告されているs°.

(a)撮像系

光軸の交点までの距離  (コンバージェンス距離)

(b)表示系

カメラレンズの光軸 レンズ焦点距離

(翌翌亘翌コ?像‘7)大"

スクリーン 立体像の生じる位置

図2.9幾何学的計算による立体像の生じる位置とその大きさ

一第2章 19

(16)

 ニニで.この計算に基づき,撞像条件と立体画像空間の関係について例を示す.各図におい

ては,撮像側の4m匹方の空間が撮像条件によってどのように立体画像空間に投影されるかを

示す.また表示条件としては,いずれもハイビジョンにおける画面サイズ120インチ(横

267(jmx高さ)5〔〕cmJを,4.5mの視距離で視聴した場合について示す.単位はメートルであ

る.

2.3.1 カメラ間隔が変化した場合 レンズ焦点距離12mm,レンズ光軸交点までの距離(コンバージェンス距離)4.5m,カメラ間 隔が65mmから130mmに変化した場合を例として示す.        単位:メートル 4    −2   0   2   4  -4 (a)カメラ間隔65mmで撮慟した場合       ●:4m四方の撮像空間    -2   0   2   4 (b)カメラ間隔130mmで撮像した場合 □:投影された立体画像空間 太い実線:表示スクリーン

図2.10カメラ間隔が変化した場合の立体画像空間

 図よりカメラ間隔が広がると立体画像空間が伸張され,立体感が強調されることが示されて いる. 一第2章 20

232 レンズ焦点距離が変化した場合

 次にレンズ焦点距離が12mmから40mmに変化Lた場合について例を示す,レンズ光軸交点

までの距離〔コンバージェンス距離〕10m,カメラ間隔は65mmである.

単位:メートル

-4   −2   0   2   4 -4   -2   0   2   4

 (a)レンズ焦点距離12mmで撮像した場合 (♭)レンズ焦点距離40mmで撮像した場合

      ●:4m四方の撮像空間

      □:投影された立体画像空間

      太い実線:表示スクリーン

図2.11 レンズ焦点距離が変化した場合の立体画像空間

 一般に長焦点レンズは中遠距離の被写体を大きく映じ出すときに必要となる.上図の例は計 算上,10m前後の中距離にある被写体が,12mmレンズを使用した場合に比べ,40mmレンズ を使用することによって,大きく表示画面の前後に投影されることを示している.しかし実際 の番組制作で長焦点レンズを使用する場合,主要な対象物の前後にある被写体は,光軸の交点 の位置やカメラ間隔の設定によっては融合しない可能性が高い.すなわち,一般的に撮像可能 な奥行き範囲が狭くなる.また,長焦点レンズを使用することにより,奥行き感が圧縮される 傾向も見られる.これについては,第5章で述べる. 一第2章 21

(17)

2.3.3 レンズ光軸の交点が変化した場合

 ここでは.レンズ光軸の交点(コンバージェンス距離)を4mから7mに変化させた場合の例

を示す.レンズ焦点距離は12mm,カメラの間隔は65mmである.

   -2   0   2   4 -4 (a)コンバージェンス距離4m       ●:4m四方の撮像空間 単位:メートル  -2   0   2 (♭)コンバージェンス距離7m □:投影された立体画像空間 太い実線:表示スクリーン

図2.12コンバージェンス距離が変化した場合の立体画像空間

4  すでに述べたように,光軸を交差させる場合,その交点の位置にある被写体は観察時表示ス クリーンの位置に再現される.従って,光軸の交点の位置を前後させることにより,主要な被 写体の像の生じる位置を比較的自由に演出できる.上図の例では,撮像距離7m前後にある被 写体が,コンバージェンス距離4mで撞像した場合には,視聴時においては画面の奥に,コン バージェンス距離7mで撮像した場合には,画面の手前に再現されることを示している. 一第2章 22− W r 四 ・ l w 参考文献 1)和田陽平,大山正,今井省吾編:感覚・知覚心理学ハンドブック.誠口:,!ri=4(191㈲ 2)樋渡胴二編者:視聴覚情報概論,昭晃堂(1987) 3)泉武博:3次元映像の基礎.オーム社に995)

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6)K.N.091e:C〕n the Limits of Siereoscopic visinn, .I.FXI]erimental Psy(:ho1(,gy,44,  pp.253-259(1952)

7)磯野春雄,安田稔:時分割立体視の成立条件,テレビジョン学会誌,41-6.pp.549-555  (1987)

8)長田昌次郎:視覚の奥行き距離情報とその奥行き感度,テレビジョン学会誌,31-8,pp.64 9- 655(1977)

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t8)安達恒夫,大和淳二,宮原誠:2眼式立体画像空間の歪に関する考察,復学技報jE83-73,  pp.49-54(Oct.1983)

19)山之上裕一,永山克,尾遜嘉夫,棚田洵:立体ハイピジョンにおける無ひずみ撮像・観察条  件,映像情報メディア学会誌,52.3,pp.377-383(Mar.1998)

(18)

・】)[lj之Jm裕一,温│]」一郎:立体画像における大きさの歪みと撮像条件の関係,テレビジョン学  会誌,VQI.48,Nlo.IC,pp.1284-1292(1994)

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30)K.B.boff,L.Kaufmann,J,P,Thomas(eds):Handbook of Perception and Human  Performance(VOI.1).Jhonwiley&Sons(1986)

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32)和田陽平,大山正,今井省吾編:感覚・知覚心理学ハンドブック,誠信書房(1969) 33)安田稔:立体視と大きさの恒常性,テレビジョン学会誌,vo】.33,N0.12,pp.972一977  (1979) 34j安達恒央,宮原誠,大和淳二,2眼式立体画像における箱庭・書き割り現象の解析,テレビ学  技報,8,40,(1985) 35)日下秀夫:立体画像の生じる位置と大きさ,テレピ学技報,14,20,pp.73-76(1990) 36)森田寿也:2腹式立体画像の大きさの見えに対するー考察,平2信学総全大D-316,pp7-68  (1990) 一第2章 24

第3章 実際の番組制作とその課題

 本章では,番組制作における課題として,揖像条件に起因する在体画像や間特有の様々な函 み[幾何学的歪み.書き害I]り効果.箱庭効果,台形歪み.画枠澗み)および,立体カメラの小 型化に対する問題.ズームレンズ使用の問題/幅輪と調節の矛丿剛こついて述べる. 3.1 立体画像空間の歪み  立体画像の撮像においては,我々が実際にものを見る場合と異なり.2台のカメラの間隔, レンズの焦点距離,レンズの光輪の方向などの様々な条件が大きく立体画像空間に反映される そして条件によっては,得られる立体画像空間から受ける印象が,現実とは異なったものにな る,ニこでは立体画像特有の歪みとして従来より問題となっている幾何学的歪み.濫き割り効 果,箱庭効果,台形歪みおよび画伜歪みについて簡単に述べる.これらは,立体画像の臨場感 や迫力を横なうばかりでなく,見にくさや疲労の原因にもつながるとして問題となっている. 3.1.1 幾何学的歪み1’(第4章参照)  幾何学的歪みとは.左右カメラの空間的な配置が対象でない場合などに生じる左右画像問の ずれを指す.カメラが前後に傾いた場合には垂直のずれが生じ,カメラが左右に矧いたときに は傾きのずれが生じ,そして,左右のレンズの焦点距離が異なる場合には左右画像間で大きさ のずれが生じる.これらの幾何学的歪みに関しては,カメラキャリブレーションエラーが奥行 き知覚に及ぼす影響2),垂直視差が奥行き知覚に及ぼす影響“,ランダムドットバター-ンなど を用いた融合範囲の検討5),フィルムや従来のテレビ方式による検知限,許容限の検討などが 行われているが617’,ハイビジョンによる検知限,許容限の検討は行われていない.また,実際 の樋像の際にはこれらの幾何学的歪みが複合して生じることが考えられるが,このような場合 についての検討例は見当たらない.従って番組制作に当たっては,この幾何学的歪みを除去す るために,レンズ焦点距離の調整や左右カメラの配置・調整などに多くの時間を費やす同時に, そのための調整機構部が物理的に大がかりなものとなり,結果的にカメラ単体の小型化の利点 が損なわれているのが現状である.図3.7の例では,カメラ単体は2kg程度であるのに対し, 光軸調整機構部などを含めた立体カメラ全体としては,25kgほどの重さとなっている. 3.1.2 書き割り効果(奥行きの歪み回)(第5章参照)  書き割り効果とは,異なる距離にある被写体の立体像はそれぞれ奥行き方向にずれて立体的 に見えるが,被写体そのものに厚みを感じない現象で,立体画像としての迫力や臨場感を損な うとして問題となっている.この問題に対し,カメラ間隔やレンズの焦点距離,光軸の幅輪距 一第3章 25−

(19)

離などの入力から画面サイズや視距離などの表示まで含め,両眼視差に着目した幾何学的な解 析が行われている'J;. 一方,書き割り効果を形状知覚の観点からとらえると,陰影情報やテキ スチャー情報や輪郭など画像性の手がかりと,両眼視差情報の処理過程における相互関係の問 題と捉えることもできるlllljJ121.実際の番組制作においては,撮像条件が規定する両眼視差と照 明や被写体の勤きといったシーンの設定との相互関係が問題となる. S:立体像の見かけの大きさ 画面位置 立体像の生じ る位置

(b)画面上の場合

画面位置 立体像の生じ

(a)画面より奥の場合

立体像の生じ

(c)画面より手前の場合

図3.1立体像の生じる位置が変化した場合の見かけの大きさ

一第3章 26 W 3.1.3 箱庭効果(大きさの歪み)IJ(第6章参照)  箱庭効果とは,映し出されている被写体が,網膜像の大きさとしては十分な犬きさを与えら れているにもかかわらず,立体画像として表示された場合にその犬きさを不自然に小さく感じ る現象である.これは,臨場感や迫力を損なうと同時に,不自然で吃にくい立体画像となる. 立体画像空間の基本的性質として,被写体の画面上での像の大きさ(網膜像の大きさ)がある 程度大きい場合でも,その像の生じる位置が画面の奥から手前に変化するに従って,その見か けの大きさが小さくなる.図3.1において,立体像の見かけの大きさSは画面の奥から手前にく るに従い小さくなっている.従って立体感を強調するあまり被写体を大きく飛び出させると, 箱庭効果が生じやすい. 3.1.4 台形歪み  これは,図3.2に示すようにレンズの光軸が娼妓することに起因する歪みである犬被写体 として長方形のようなものを想定した場合(同図(a)),左右カメラから得られる映像は同図 (b)に示すようにそれぞれ台形となり,各頂点が左右画像間で対応しない.このような水平およ び垂直成分の視差の歪みは,立体画像を歪ませるだけでなく疲労などの要因となる.この歪み は,レンズの焦点距離が短いほど(画角が広い),レンズ間隔が広いほど顕著になる,この問 題を解決するため,撮像管を使ったカメラにおいては,高精度のレジストレーション調整機能 を,左右カメラの間のレジストレーション調整にも応用できるようにしている已 しかし近年 のCCDを用いたカメラにおいては,カメラ側でこの問題を解決する機能は現在のところ備え ていない.実際の番組制作においては,これらの歪みが許容限以内に収まるように撮像条件を 調整する,あるいは,目立たないような絵柄や絵の構図に配慮している.

︰ ︲ 1 1 比 に 、 左画像

4-一一一一→,カメラ間隔

   (a)

    図3.2 台形歪み

一篇3章 27 (b) 右画像

(20)

3.1.5 画枠歪み16に れは,立体画像において画面より飛び出している被写体が,表示装置の画枠にかかること によって生じる歪みである.特に,その立体像が画面の縦枠で遮られる場合,反遮蔽領域(片 目に見えて片目に見えない部分)とオクルージョンの関係が,日常見ている場合と反対になる ため見づらい立体像となる.このため,番組制作においては,画面の特に縦枠の位置に目立つ 被写体が写らないように構図の選択に配慮している.一方文献j6では,仮想的な画枠を立体像 の手前に合成することによって.上述の矛盾を解決する方法が提案されている.この仮想的な 画枠は絵の見切れを生むが,画枠歪みを軽減する有効な手段と考えられる. 一第3章 28− 3.2 立体カメラの小型化  効率的な番組訓作においては,カメラの小型・軽量化は必須の課題である,特に立体映像の 場合,カメラポジシコンの選択ややクレーン使用の有無は,大きく立体感の演出に影響するた め,より機動性に優れた立体カメラの開発が強く要望されていた.しかし立体ハイビジョン においては,左右2台のハイビジョンカメラとそれらの配置を精密に調整する機構が必要なた め,現行放送用のカメラの大きさや重さと比べると,初代の立体ハイビジョンカメラで十数倍, 現在最も使われている立体ハイビジョンカメラでも数倍の大きさと重さとなっている.(本研 究に基づき開発しか立体ハイビジョンカメラではさらなる小型・軽量化を進め,現行放送のカ メラとほぼ同等の大きさと重さを達成している.これについては8章で述べる.)  本節では,実際の番組制作で用いられてきた立体ハイビジョンカメラの小型・軽量化に対す る取り組みについて概説する. 3.2.1 カメラ間隔の短縮を目指して 一初代立体ハイビジョンカメラ(L988)−  立体カメラにおいてカメラ間隔は,最も重要なパラメーターの一つである.人の平均的な瞳 孔間隔は65mmと言われているが,当時ハイビジョンカメラを2台並べただけではその間隔が 昭()mm程度になり,とても実用上そぐわない犬きさであった.このため図3.3に示すようにハ フミラーを用いる方法が考えられた. 左カメラ

図3.3ハーフミラーを用いた立体カメラ

 しかし,ハーフミラーを用いることにより光量が半分程度に落ちるため,パンフォーカス画 像(画面内のすべての被写体にピントがあっていること)を達成するためには,より感度の高 いカメラを用いる必要があった.当時,サチコンなどの光電変換素子を用いたハイピジョンカ メラは,この要求に答えられるものではなかった.しかし,従来より10倍以上感度が高い上 一第3章29

(21)

に,イメージサイズが2/3インチと小さい11ARP撮像管をもちいたハイビジョンカメラが開 発されると同時に,初代立体ハイビジョンカメラに採用された,その様子を図3.4に示す.

1989年に初めて制作した立体ハイビジョン番組「You are not alone」は,本カメラで樋 影したむのである.しかし,図に示したようにその大きさと重さは,実験システムの域を出て おらす,実用的な立体カメラとは言い軽かった.

図3.4初代立体ハイビジョンカメラ

3.2.2 第2世代立体ハイビジョンカメラ  より小型化・軽量化を目指して,左右カメラを2台並べて,その間隔を実用的な間隔まで小 さくするための改修が行われた.それは図3.5に示すように,光学プロックをカメラ全面に移 動させ,左カメラは上下反転して配置する方法であった.これにより,カメラ間隔は最小で 65mmと¥均的な瞳孔間隔にまで小さくすることが可能となった.また,レンズの焦点距離, 撮像距離,シーンの構図などに応じて楯像条件を柔軟に対応することができるように,レンズ 間隔は最大130mmまでロ∫変にすると同時に光軸の幅紬距離(コンバージエンス距離)も手 前数-│一センチメートルから,無限遠まで自由に設定可能とした.このカメラの外観を図3.6に 示す.カメラ単体の重さは約6.5kgであるが,カメラ光軸の調整機構部なども含めると,数十 kgにおよび,大きさも一世代前のスタジオカメラ程度であった. 一第3章 30 W 『   130mm ←争 -

止剔﹂﹂

既存のカメラ  65mm ・噂一一・

円﹂︼影レ﹂

左カメラを上下反転

図3.5光学ブロック部の改修

rS

図3.6第2世代立体ハイビジョンカメラ

3.2.3 第3世代立体ハイビジョンカメラ  1990年代に入り,光電変換素子として撮像管に代わり固体撮像素j`を川いたハTビジ」 ンカメラが実用化されるようになった,CCDなどの固体撮像素 ̄斤を用いることにより,レジ ストレーション調整の必要がなくなること,素子のイメージサイズが同じならば大幅にカメラ を小型化することが可能となることが,立体ハイビジョンカメラとしてメリットであった.当 初はLインチサイズCCDが主流であったためレンズカメラともに大きく,従来の2/3インチ 撮像管を用いた立体ハイビジョンカメラに比べ大幅に小型化さわてはいなかった.そのため, NHKとしては採用しなかった.しかしSONYなどでは,3複式200万画素CCDを採用 したハイビジョンカメラを2台用いて,クローズドサーキットであるが人気歌手のコンサート の模様を北海道から九州まで全国17会場に生中継した9.その後,2/3インチサイズの 1 3 0万画素3版式,4板式,そして2/3インチサイズ200万両素3板式のハイビジョンカ メラが実用化された.それにあわせて立体ハイビジョンカメラも高性能化すると同時に小型・ 一第3章 31

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