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本発表では、筆者らが構築しているモンゴル語音声データベースの設計と実装について 報告し、データベースを利用して、CC音節構造について予備的に分析した。その結果、先 行研究では取り上げられていないCC音節構造の実態がいくつか明らかになった。特に従来 報告されたことのない[r] ないし[ʧʰ]で始まる複合子音音声構造を多数確認できたことは、本 研究の成果であると考えられる。

今回の分析では、3 人の話者のデータに限定したが、今後は、分析対象を全データ(12 人)に広げる予定である。さらに、CC 音節構造だけでなく、C やCCC 音節構造も分析の 対象としたい。

謝辞

モンゴル語の音節構造に関する議論にお付き合いいただいた内モンゴル大学のトヤー、

ボーグイランの両氏に感謝します。本研究は国立国語研究所コーパス開発センターの共同 研究プロジェクト「コーパスアノテーションの拡張・統合・自動化に関する基礎研究」(2016- 2021年度)の成果です。また、本データベースを構築するにあたり、公益財団法人 博報児 童教育振興会第11回「国際日本研究フェローシップ」の助成を受けました。

表1:語中・語末に生じる複合子音音節の頻度 tʃn 0 0 0 1 0 3

tn 0 0 0 1 5 1

tʃʰn 0 0 0 6 0 8

rn 0 0 0 5 6 6

xn 0 0 0 8 3 9

tʰn 0 0 0 16 12 1

lx 0 0 0 0 1 39

lŋ 0 2 1 0 0 0

tʃʰl 0 2 1 0 0 0

tʃʰr 1 0 2 0 0 0

ʃl 0 2 2 0 0 0

mk 0 3 1 0 0 0

xm 1 0 3 0 0 0

ln 0 1 4 0 0 0

ts 0 2 6 0 0 0

xl 0 2 7 0 0 0

tʃk 0 2 7 0 0 0

ls 0 4 2 0 0 0

tʃʰk 2 5 16 0 0 0

sl 5 0 1 12 0 4

rx 3 9 9 1 0 7

nl 0 5 4 7 22 7

rl 13 12 21 30 6 22

tl 8 29 28 42 31 37

tʰl 1 0 1 72 53 56

sn 9 10 9 129 28 36

tʃʰx 69 84 79 4 7 18

F01 F02 M03 F01 F02 M03

語中 語末

参考文献

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Version 6.0.30, retrieved 22 July 2017 from http://www.praat.org/

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Mora timing の誤謬

大竹孝司(イー・リスニング研究所)

[email protected]

1. はじめに

20 世紀の半ばを迎える頃、近代言語学の黎明期に大きな功績を残した Edward Sapir や

Leonard Bloomfieldなどが率いた米構造主義言語学は、未知の言語(南北アメリカ、アフリ

カ、アジアなどの主に文字を持たない言語)に対して無から言語を記述するフィールドワ ークの手法を確立し、言語学の発展に貢献した.この先駆者達に育成された言語学者Kenneth

PikeとBernard Blochは音素論の音韻分析に加えて類型論の観点から話し言葉が醸し出す言

葉のリズムの探求に挑戦した.Pike(1945)がまずstress timingとsyllable timingのリズムの範疇 を提唱すると、その5年後にはBloch (1950)がmora timingを提唱した.Pikeの2つの用語は そもそも2項対立的に定義されたにもかかわらず Bloch は新たな用語を補完的に加えたも ののその理由は述べていない.彼らは音節に纏わる音韻的要素(syllable, stress, mora)に恒常 的な時間を有する等時性(isochrony)なる概念を結びつけることで話し言葉のリズムが説明 できるとする仮説を提唱した.だが、1980年代までにこの仮説を裏付けるための膨大な実証 実験が繰り返されたものの十分な証拠を得るに至らずこの仮説は20世紀末に向けて新たな 仮説に取って代わられた(Ramus et al., 1999参照).

この話し言葉のリズムに関する3つの用語は近年になっても言語学や音声学の教科書に 登場するが、これらの用語はあたかも同格のような印象を与えるが、実態は異なる.Pike の 用語は頻繁に引用されるが、Blochの用語は限定的である.例えば、Abercrombie(1967)はPike の用語に基づいて10言語の検証を行ったが、Blochの用語は対象外である.また、話し言葉 のリズムに関する文献はPikeの用語を中心に扱うことが多い(Patel 2006参照).Blochの用語 は日本語を前提にしたことから汎用性に欠けるきらいがあるのは確かであるが、Bloch

(1950)は米言語学会の主要機関誌であるLanguageに掲載された論文であることからすると、

日本語と類似した言語による検証が報告されてもよいのだが、具体例は限られている.この 扱いの違いに違和感を覚える研究者は少なくないのではないか.

本発表はこの違和感は実は Bloch の研究姿勢に起因することを明らかにすることが主た る目的である.以下の 3 点に着目して考察を行う.第1は、Blochはいかなる言語学の教育と 訓練を受けたのか、第2は、Blochはいかなる日本語の教育と知識を有していたのか、第3

は、Blochの日本語の研究に対して他の言語学者はどのような評価を与えていたのかである.

これら3点を検証することによってmora timingの用語がどのような経緯で提唱されたのか、

そこにはこれまで論じられることがない誤謬が隠されている可能性などを明らかにする.さ らに、ここで明らかになったことを基にこの用語に対して新たな解釈に基づき、再評価を 試みる.

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