「いじめ」を⽣まない授業づくり
福岡教育⼤学附属福岡⼩学校 教 頭 平 井 源 樹 研究主任 ⼆ 串 英 ⼀ 教務主任 齋 藤 淳
平成29年度 福岡教育⼤学 いじめ防⽌研修会 ⼩中学⽣への9年間のいじめの追跡調査
「仲間はずれ、無視、陰⼝」
された 経験がある・・・ 9 割
した 経験がある・・・・・ 9 割
国⽴教育政策研究所⽣徒指導・進路指導センターいじめ追跡調査2013-2015
いじめはどの学校でもどの⼦供にも起こり得る
○⾃ら仲間やコミュニティを形成する機会の不⾜
○等質的なグループや⼈間関係の中だけでの⾏動
○異質な⼈々とのグループで解決することが苦⼿,
回避する傾向
○⾃尊感情の低下
○他⼈軽視の感覚「仮想的有能感」
現代社会における⼦供の課題
「閉じた個」
考えられるいじめの原因
○いじめに対して対症療法的な取組が多かった
○道徳の時間や特別活動等の限られた機会でしか
⼈間関係づくりを⾏ってこなかった
認知件数は増え 関⼼は⾼くなって きたが深刻な状況
これまで⾏われてきたいじめ防⽌の取組
○いじめに対して対症療法的な取組が多かった
○道徳の時間や特別活動等の限られた機会でしか
⼈間関係づくりを⾏ってこなかった
○すべての教科等で積極的・機能的な授業づくり
○⼈の⽣き⽅に関わる問題解決的な道徳や
⼈間関係づくりを視野に ⼊れた授業づくり
全教科等でいじめを⽣まない授業の構築を図る これからの解決策は「開かれた個」を⽬指す教科の授業
⾃⼰の⽣き⽅を探求する「⽣き⽅」の授業
⼈間関係形成⼒
基礎学⼒ 思考⼒・判断⼒
教科固有の 知識・技能,
⾒⽅・考え⽅
状況を把握したり,
意味付けや価値付けを したりする⼒
学びを他者と共有し,協働的に活動する⼒
情緒的な
発信⼒ 意志的な
発信⼒ ⼈間関係形 成⼒
⾝に付けさせたい資質・能⼒
「開かれた個」
親和動機
○⾃⼰の能⼒の最⼤限発揮
○よりよい⼈間関係の構築
○協調・協働の促進
教科等で⽬指す「開かれた個」
情緒的な発信⼒ 意志的な
発信⼒ ⼈間関係形 成⼒
特に⾝に付けさせたい
伝え合う気持ちを⼦供へ 価値を つくり合う⼦供へ
⽀え合う仲間を⼦供へ 情緒的な
発信⼒ 意志的な
発信⼒ ⼈間関係形
成⼒
努⼒する仲間へ 激励,称賛,感謝を 伝える
⾃分の思いや 学びをわかりやすく 伝える
学びを共有して 新たな学びを
⽣み出す
⾃⼰決定
→
⾃⼰存在感→
共感的⼈間関係⽣徒指導の機能
教材化 活動構成 シンキングツール 授業づくりの⼯夫
⼈間関係形成⼒
「開かれた個」を育成するために
第3学年体育科 チーム対抗ねらい幅跳び
仲間とともに 遠くへ跳ぶ動きを
身に付けた姿
仲間とともに 相⼿の⽴場を
⼤切にして
⾼め合う姿
仲間とともに ものを操作して
解決⽅法を 判断する姿 目指す子供の姿
基礎学⼒ ⼈間関係形成⼒ 思考⼒・判断⼒
第3学年体育科 チーム対抗ねらい幅跳び
着地するねらって
チーム全員の 合計得点の伸びで
踏切りの競い合う
位置を選ぶ
1点 2点 3点 4点 5
点
チームでの教え合いが生まれる教材
授業づくりの工夫 ~教材(チーム対抗ねらい幅跳び)~
助走 踏切り
第3学年体育科 チーム対抗ねらい幅跳び
紙⾶⾏機の平均⾶⾏距離や散らばりを もとに,相⼿チームに勝つための得点 ボードの配置を決めることができる。
第6学年算数科 「資料の調べ⽅」
A 試技回数 距離(m)
1 2.8
2 3.6
3 2.7
4 2.8
5 3.4
6 3
7 2.9
8 1.7
9 3
10 3.2
11 2.9
12 3.1
13 3.5
14 4
15 2.6
16 2.1
17 3.1
18 2.9
19 2.4
B 試技回数 距離(m)
1 2.4
2 2.2
3 2.4
4 4
5 1.8
6 3.5
7 1.9
8 3.3
9 3.1
10 4.2
11 3.6
12 3.5
13 3.5
14 2.7
15 3.2
16 2.3
17 2.1
18 3.4
19 1.7
20 3.2
発 展 展 開
導 ⼊ 導 ⼊
記録を⽐較
度数分布表 柱状グラフ 数直線
第6学年算数科 「資料の調べ⽅」
どれくらい⾶ぶかな?
平均⾶⾏距離や 散らばりの様⼦は?
度数分布表 柱状グラフ
発 展 展 開
展 開 導 ⼊
第6学年算数科 「資料の調べ⽅」
結果をもとに対戦チームの得点配置を考える。
配置を決める ボード
発 展 発 展 展 開
導 ⼊
第6学年算数科 「資料の調べ⽅」
「⽣き⽅」とは
領域「⽣き⽅」の⽬標
⽣き⽅
⽣き⽅
過去 現在
他者 他者 他者 他者
他者 他者
⽣き⽅
これからの これからの
⽣き⽅
⼈格形成 未来
対象への関わり⽅ 他者との協働的な実践
⾃分
⾃⼰の⽣き⽅を探求し続ける⼦供
⼦供の実態
3年間のあゆみ
⼈間の⽣き⽅の教科書は⼈間の⽣き⽅
⼈⽣の葛藤や困難さを克服する姿が内容
領域「⽣き⽅」の内容
よみきかせで つながろう
この はしの
むこうに つながる
いのち せんとうに ついて調べよう みんなで
おどれば⼼は⼀つ
はなちゃんの みそ汁
B⾃分とみらい
A⾃分といのち
C⾃分と くらし D⾃分と なかま
⽣き⽅の内容と 資質・能⼒
内容構成と資質・能⼒
B⾃分とみらい A⾃分といのち
C⾃分とくらし D⾃分となかま 思考⼒・判断⼒
⼈間関係
⼈間関係 形成⼒
第1学年⽣き⽅学習
あらつパークで たのしく あそぼう
PLAY FUKUOKA PLAY FUKUOKA
C⾃分とくらし
⼈間関係
⼈間関係 形成⼒
⾃分を⾒つめる 友達と⼒を合わせる
新たな遊びを⽣み出す
思考⼒・判断⼒
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
⽣き⽅学習で
⼤切にすること
⾃⼰の⽣き⽅を探求し続ける⼦供 思考⼒・判断⼒
⼈間関係
⼈間関係 形成⼒
芽
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
⽣活を充実させたい
友達 ⾃分 他者 経験
C⾃分とくらし
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
教材化 題材構成
⾃律 性
⾃律 性
発展 性 発展
性 関係
性 関係
性
⾃律 性
発展 性 関係 性
努⼒し続ける ⾃ら
関わり ⼈々との
未来社会に つながる姿
思考⼒・ 判断⼒
⼈間関係 形成⼒
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
体験1
表現2
表現1 体験2
体験と表現 体験3
体験
サイクル
③
④
①
②
表現
サイクル
③
④
①
②
振り返り サイクル
③
④
①
②
試⾏
サイクル
③
④
①
② 体 体 験 験
試 ⾏ 試 ⾏ 振り返り 振り返り 表 現 表 現
豊かな学び
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
遊びを通した楽しい関わりを考える。
遊びを通した楽しい関わりを考える。
よりよい遊びを試⾏錯誤してつくる。
よりよい遊びを試⾏錯誤してつくる。
思考⼒・
思考⼒・ 判断⼒
⼈間関係 形成⼒
⼈間関係 形成⼒
楽しい豊かな⽣活づくりを考える。
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
2015年6⽉12⽇(⾦)毎⽇新聞22⾯
PLAY FUKUOKA
PLAY FUKUOKA
⾃律 性
⾃律 性
発展 性 発展 性 関係 性 関係 性
⾃律 性
発展 性 関係 性
遊びの環境を つくる主体
⾃治体と協⼒ 学校や
充実を願う ⽣活の
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
A 児の実態
○ 友達づくりへの課題
○ 遊びの経験が少ない
○ 遊び⽅がわからない
0 1 2 3 4 遊びの種類は
多い
遊べる友達は 多い
話せる友達は 多い 遊びづくりがで
きる
A児 学級平均
A A児
第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
体験
サイクル
③
④
①
②
表現
サイクル
③
④
①
②
振り返り サイクル
③
④
①
②
試⾏
サイクル
③
④
①
②
体 体 験 験
試 ⾏ 試 ⾏ 振り返り 振り返り 表 現 表 現
C⾃分とくらし第1学年領域⽣き⽅ 「あらつパークで たのしく あそぼう」
試⾏ 体験 表現 振り返り
よさを⾒つける(相互理解)
⼈間関係形成⼒
児の記述 A児の記述
振り返り 表現
体験
学習への期待感 ( ⽣き⽅への関⼼ ) 試⾏
児の記述 A児の記述
振り返り 表現
試⾏ 体験
児の記述 A児の記述
思いを強くする(意志決定)
ジャンボ滑り台で遊ぶA児の様⼦
振り返り 表現
試⾏ 体験
遊びをつくりかえるA児の様⼦
振り返り 表現
試⾏ 体験
A児の記述
さらなる願い(他者尊重) 振り返り 表現
試⾏ 体験
⼈間関係形成⼒
振り返り 試⾏ 体験 表現
成果と課題
A児の変容から(主観的⾃⼰評価)
0 1 2 3 4 5
遊びの種類は多い
遊べる友達は 多い
話せる友達は 多い 遊びづくりが
できる
A児(学習前)
A児(学習後)
思考⼒・判断⼒
⼈間関係形成⼒
3P 3P
3P 3P
‐5 5 15 25 35
遊びの種類(5つ以上)
遊べる友達(10⼈以上)
話せる友達(10⼈以上)
遊びづくり(毎⽇できる)
第1学年 ⽣き⽅ 質問紙調査(N=35)
学習後(平成27年11⽉30⽇) 学習前(平成27年9⽉1⽇)
34 32 29
34
(⼈)
12 2
4 6 思考⼒・
思考⼒・ 判断⼒
⼈間関係
⼈間関係形成⼒
⼦供たちの
⽣き⽣きと した活動
ダイナミックな 遊びの創造
全教育課程の 教科等の⾒直し 資質・能⼒を育成する
成果と課題
未来社会を創造する主体としての
⼦供を育成する教育課程の編成
⼦供の学ぶ欲求と現代的課題を つなぐ新領域の開発
平成29年度 全体研究構想 ⽂部科学省研究開発学校指定 3年次
たんれん くらし けんこう けんこう
すうがく かがく かがく
げいじゅつ ことば
にんげん にんげん
7つの領域・たんれん
「いじめ」を⽣まない授業づくり
福岡教育⼤学附属福岡⼩学校 教 頭 平 井 源 樹 研究主任 ⼆ 串 英 ⼀ 教務主任 齋 藤 淳 平成29年度 福岡教育⼤学 いじめ防⽌研修会