— —24 ヒーブレークの時間が短いことと,口頭発表セッションの 合間ということで,招待スピーカーとその関係者がなかな かポスター会場に来られないスケジューリングであった.
私のポスター発表を聞きに来てくれた研究者も少なからず いたが,少し物足りないと感じてしまった.また,積極的 に他のポスター発表を聞きに行き,論文未発表の興味深い 内容のものを 2, 3題見つけた.自分の研究とも関連がある ため大いに参考になった.ポスター発表全体の印象として は,発表者がいないポスターが所々あり,ポスター自体の 完成度はやや低いものが多いというものであった.
今回の国際会議を通じて,世界レベルで研究者として活 躍することが並大抵のことではないことを改めて痛感し,
良い刺激を沢山受けた.この感覚を失わないようにして研 究を進め,世界のフロントランナーに近付きたい.次の国 際会議に参加したときには,「君がドクターカイか」とよ り多くの研究者から言われるようになっていたい.
最後になりましたが,本国際会議への参加にあたりご支 援いただきました,公益財団法人農芸化学研究奨励会に厚 く御礼申し上げます.
第23回International Symposium on Glycoconjugates参 加報告
日本学術振興会特別研究員 武田尚子
私は 2015年9月15日から 20日にかけてクロアチアのス プッリットで開催された,第23回国際複合糖質シンポジ ウム(23th International Symposium on Glycoconjugates)
に出席する貴重な機会を頂くことができました.クロアチ アは,地中海性気候の温暖な気候で非常に過ごしやすい気 候です.また,青い海に歴史情緒のある美しい街並みなど がある場所でもあります.
今大会は,主に複合糖質の生化学が取り扱われています が,化学系の発表もみられ,糖鎖が引き起こす生理活性に ついての生化学的な視点だけでなく,化学系の視点からア プローチした発表も多くみられました.
今大会では,ポスターセッションの時間も長く,若手の 先生方とのディスカッションをする機会があり,自らの研 究の方向性や今後の展開について非常に多くのものを得る ことができました.ポスターセッションでは,経口投与で 抗凝血作用があるナマコから単離されたコンドロイチン硫 酸(FCS)に関する研究が発表されていました.ナマコか ら単離された FCS を1H-NMR などを用いて構造解析を行 い,アンチトロンビン III などの活性を確認していました.
現在,様々なナマコから単離された FCS は研究されてい ますが,発表者らは構造決定と生理活性をそれぞれ明らか にしていました.
私自身の発表は,軸索再生を阻害する作用をもつケラタ ン硫酸オリゴ糖の化学合成についてポスター発表を行いま した.この発表では化学系だけでなく,生化学の分野の先 生方から質問や意見が非常に勉強になりました.今回の会 議では,論文などで手に入る情報だけでなく,論文の筆者 と実際に会って話すことで,有益な情報を得ることができ
ました.また,私自身の研究で,合成化学と生化学の分野 を融合するにはどのようにするかを改めて考えさせられま した.
最後になりましたが,今回の会議への参加,発表を通し た貴重な経験を体験する機会を与えていただいた公益財団 法人農芸化学会研究奨励会関係者の方々に,深く御礼を申 し上げます.
写真1 学会会場前
写真2 ポスター発表