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は し が き - 日本国際問題研究所

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Academic year: 2025

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は し が き

本報告書は、平成 23 年度に当研究所において実施した「中東政治変動研究会」の研究 成果を取りまとめたものです。

2011年1月、チェニジアにおいて、若者を中心とした大規模なデモがベン・アリ政権を 打倒し、2 月には、エジプトのムバーラク前大統領が、やはり大規模な民衆デモによって 退陣に追い込まれました。アラブ諸国において長年にわたって続いてきた権威主義的独裁 体制を民衆運動によって打倒しようとする動きは、「アラブの春」と称され、民主化として 期待を集める一方で、各国内部の様々な対立を強権支配で押さえ込むことによって維持さ れてきた安定を崩し、中東地域をさらに不安定にするのではないかと懸念されてもいます。

果たして、リビア、シリア、イエメンにおける反体制運動と権威主義政権の対峙は、激 しい衝突を引き起こし、多くの犠牲者を出してきました。チュニジアとエジプトにおいて も、軍政から民政への移行、イスラーム主義と世俗主義の軋轢、経済の再建など、民主的 で安定した体制と社会の建設に向けて多くの課題に直面しています。また、日本がエネル ギーの多くを依存している湾岸諸国は、エジプトやシリアの民主化運動を支持する一方で、

潤沢な石油収入を用いて王制・首長制に対する国民の不満をなだめることに成功してきま したが、今後、これらの国で大規模な民主化運動が起こる可能性は払拭されていません。

本研究会では、期待と不安が、ない交ぜとなって進行したアラブ諸国の政治変動の1年 を分析し、宗派問題などの背景的要素や、イランの関与とアメリカの対応、パレスチナ・

イスラエル情勢への影響なども含めて、実証的かつ総合的に論究しました。その成果は、

世界と日本の安全や経済的安定に大きな影響を与える中東諸国の政治変動を考察し、日本 がこの地域に今後どのように関係するかを考える上で有益な貢献をなすものと言えます。

なお、ここに表明されている見解は全て各執筆者のものであり、当研究所の意見を代表 するものではありません。しかし、本研究成果が日本の外交政策の将来を考える上での意 義ある一助となることを心から期待します。

最後に、本研究に終始積極的に取り組まれ、本報告書の作成にご尽力をいただいた執筆 者各位、その過程でご協力いただいた関係各位に対し、改めて深甚なる謝意を表します。

平成24年3月

財団法人 日本国際問題研究所 理事長 野上 義二

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研究体制

主 査: 立山 良司 防衛大学校教授

委 員: 池田 明史 東洋英和女学院大学教授 江﨑 智絵 中東調査会研究員

坂梨 祥 日本エネルギー経済研究所中東研究センター 主任研究員

鈴木 恵美 早稲田大学准教授

堀拔 功二 日本エネルギー経済研究所中東研究センター 研究員

松本 弘 大東文化大学教授

三上 陽一 外務省国際情報統括官組織第四国際情報官室 首席事務官

山本 達也 名古屋商科大学准教授 委員兼幹事: 森山 央朗 日本国際問題研究所研究員 担 当 助 手: 鈴木 涼子 日本国際問題研究所研究助手

(敬称略、五十音順)

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目 次

序 章 中東における政治変動の諸側面と課題 立山 良司··· 1

第1章 エジプト革命はいかに宗教勢力に奪われたか

―革命青年勢力の周辺化と宗教勢力の台頭― 鈴木 恵美···11 第2章 湾岸の春?―GCC諸国における政治変動・体制・国民 堀拔 功二···25 第3章 イエメン政変の展開とその意味 松本 弘···37

第4章 シリアの2011年とアラウィー派とスンナ派

―宗派の歴史性と宗派間暴力の危険性― 森山 央朗···51 第5章 アラブ諸国の政治変動とパレスチナ情勢 江﨑 智絵···73 第6章 中東政治変動におけるニューメディアの役割と影響力 山本 達也···83

第7章 権威主義体制存続のメカニズムとイラン

―「アラブの春」の激動の中で― 坂梨 祥···99

第8章 アラブの政治変動への米国の対応:エジプト、リビアに

注目して 三上 陽一··· 111 第9章 「アラブの春」への分析視角 ~考察・含意・課題~ 池田 明史···129

第10章 Arab armies in transition Yezid Sayigh···141

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