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アディポネクチンの新たな機能 - J-Stage

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 50, No. 4, 2012 237

今日の話題

たエーテル環のサイズの違いは,エポキシド開環反応の 際 の 環 化 様 式 の 違 い(THF環:5- 環 化,THP環:

6- 環化)に起因するものであり,後者はエネルギー 的には不利な反応であることが知られている.この有機 合成では困難な反応をEHが如何にして制御しているの かという点については,多大な関心が集められている.

こうした背景の下,ラサロシド生合成においてEHと予 想されたLsd19の機能同定,基質特異性の検討,触媒機 構解析が行なわれてきた.

1の化学構造およびPKSのドメイン構造などから Lsd19の基質は2と予想され,対応するジエンに対する Shi不斉エポキシ化により化学合成された.組換え Lsd19と2との酵素反応生成物の解析では,中間体に相 当する3とTHF-THP環化体1が主生成物として確認さ れた.一方,基質を酸処理した場合には,THF-THF環 化体4のみが生成する.これより,Lsd19は5- 環化反 応と6- 環化反応を厳密に制御しながら数珠玉型の ポリエーテル骨格を構築する酵素であることが世界で初 めて明らかにされた(図1-A)(2).また,Lsd19によるエ ポキシド開環反応はビスエポキシド2の構造を簡略化し たアナログ体 (57) でも進行して対応するTHF-THP 環化体を与えること,末端エポキシドの立体化学が非天 然型のビスエポキシドでは2度目のエポキシド開環反応 の反応様式が6- 型から5- 型へと改変してTHF- THF環化体が生成することも見いだされた(図1-A)(3). こうした基質特異性に対する検討結果は,Lsd19による 触媒機構を理解する上で有益な知見を与えるものと考え られている.さらに,触媒アミノ酸残基を特定するため の部位特異的な変異の導入実験も行なわれた.各種変異 体の解析結果から,N末端ドメイン (Lsd19A) 上の一組 の酸性アミノ酸残基 (D38, E65) が1回目の5- 環化反

応に,C末端ドメイン (Lsd19B) 上の一組の酸性アミノ 酸残基 (D170, E197) が2回目の6- 環化反応におけ る触媒残基であることが明らかにされた.また,単独で 発現したC末端ドメインにも6- 環化活性があるこ とが確認されている.これより,Lsd19による2段階の エポキシド開環反応は独立した2つのドメインにより 別々に触媒されることが明らかにされた(図1-B)(4). 最近ではLsd19の立体構造解析も行なわれ,各ドメイン による環サイズの制御機構についても明らかになりつつ ある(5)

Lsd19による酵素的エポキシド開環反応の化学的な解 析により,仮説の提唱から25年を経て,ようやく生物 による骨格構築戦略の一端が垣間見えてきた.最近にな り,3回のエポキシド開環反応を必要とするモネンシン の生合成に関与するEHの機能解析も行なわれ,Lsd- 19AとLsd19Bに相当する2つのEH (MonBI, MonBII) 

が協同して作用することでエポキシド開環反応が進行す ることも報告された(図1-C)(6).以上の研究成果から,

生物は少数の酵素を上手に機能させることで多数のエー テル環を効率的に構築しうることが示唆された.これ は,冒頭で述べた30個以上のエーテル環を構築する際 にも適用されている普遍的な生合成戦略ではないかと考 えられる.今後,これまでに報告例のないEPXを含め たポリエーテル骨格構築酵素群の機能解析が進められ,

生合成機構の全容が明らかになることを期待する.

  1)  D. E. Cane  : , 105, 3594 (1983).

  2)  Y. Shichijo  : , 130, 12230 (2008).

  3)  Y. Matsuura  : , 12, 2226 (2010).

  4)  A. Minami  : , 13, 1638 (2011).

  5)  K. Hotta  : , DOI : 10.1038/nature10865.

  6)  K. Sato  : , 52, 5277 (2011).

(南 篤志,及川英秋,北海道大学大学院理学研究院)

アディポネクチンの新たな機能

肥満症 ,2 型糖尿病の新規治療法への期待

日本人の糖尿病患者数は増加し続けている.その主因 は,高脂肪食や運動不足などによって肥満・インスリン 抵抗性要因が増加しているためと考えられる.これら は,メタボリックシンドローム・2型糖尿病を惹起し,

我が国の死因の第一位を占める心血管疾患の主因になっ ていると考えられる.したがって,肥満・インスリン抵

抗性の原因解明とそれに立脚した根本的な予防法や治療 法の確立がきわめて重要である.

筆者らはまず,高脂肪食による肥満・脂肪細胞肥大・

インスリン抵抗性について欠損マウスを用いて解析し,

転写因子PPAR

γ

(peroxisome proliferator-activated re- cep tor 

γ

) とその共役因子CBP(コアクチベーター)が

(2)

化学と生物 Vol. 50, No. 4, 2012

238

今日の話題

原因となっていることを示した(1).そしてPPAR

γ

活性 の部分的阻害剤が,抗肥満・抗糖尿病薬となりうること を示した.次に,脂肪萎縮・肥満では脂肪細胞から分泌 されるアディポネクチン (Ad) が低下し,糖尿病・メ タボリックシンドロームの原因となっており,その補充 がAMPK(2)とPPAR

α

の活性化などを介してこれら疾患 の効果的な治療法となることを明らかにした(3).また,

動脈硬化モデルマウスにおいて,Adを増加させること が,脂質蓄積低減と抗炎症作用などにより,動脈硬化を 抑制することを見いだした.

脂肪細胞由来の抗糖尿病・抗動脈硬化ホルモン,Ad の作用メカニズムと病態生理的意義を明らかにするため には,その受容体の同定が最重要課題である.筆者ら は,特異的結合を指標にした発現クローニング法によ り,7回膜貫通型ながら既知のGタンパク質共役型受容 体ファミリーとは構造的・機能的に異なった新規ファミ

リーに属すると考えられる,Ad受容体1型 (AdipoR1) 

と2型 (AdipoR2) の同定に世界で初めて成功した(4). 遺伝子ノックダウンの実験などによって,AdipoR1と AdipoR2はAdによるAMPK,およびPPAR

α

 の活性化 などを介し,脂肪酸燃焼や糖取り込み促進作用を伝達し ていることを示した.さらに肥満・2型糖尿病のモデル マウスにおいては,AdipoR1・R2の発現量が低下し,

Ad感受性の低下が存在することを示した.肥満では血 中AdレベルとAdipoRの発現が低下し,糖尿病・メタ ボリックシンドロームとそれに伴う動脈硬化の原因と なっている.筆者らはAdipoR1・R2の遺伝子欠損マウ スを用いて,AdipoR1・R2が生体内においてAdの結合 と作用に必須の主要な受容体であること,そして糖・脂 質代謝や酸化ストレス,炎症の制御に重要な役割を果た すことを示している.さらに,肥満・2型糖尿病のモデ ルマウスにおいてAdipoR1・R2の発現量を戻すことに

図1アディポネクチンの運動模倣効果

アディポネクチンはAdipoR1を介して,AMPキナーゼとCa2+ の両経路を活性化し,PGC-1αの活性化と発現増加をひき起こして,運動模 倣 効 果 を 発 揮 す る.文 献6よ り 引 用.CaMK : calcium/calmodulin-dependent protein kinase. CaMKK : calcium/calmodulin-dependent  protein kinase kinase. AMP : adenosine monophosphate. AMPK : AMP-activated protein kinase. MEF : myocyte enhancer factor

(3)

化学と生物 Vol. 50, No. 4, 2012 239

今日の話題

よって,それぞれAMPKやPPAR

α

  の活性化などを介 して,インスリン抵抗性や耐糖能障害が改善されること を示している(5)

筆者らは臨床応用も試みている.高分子量Adが高活 性型であることを見いだし,その測定法を共同で開発 し,メタボリックシンドロームの診断法として有用であ ることを初めて示した.治療法としては,同定したAd- ipoRの作動薬や増加薬の開発が,糖尿病・メタボリッ クシンドローム・動脈硬化症の根本的な治療法開発の道 を切り拓くものと強く期待される.筆者らはPPAR

γ

 活 性化剤が高活性型高分子量Adを,またPPAR

α

  活性化 剤がAdipoRを増加させることを,さらに野菜・果物に 含まれるオスモチンがAdipoRの作動薬となり得ること を見いだしている.

さらに最近では,組織特異的AdipoR欠損マウスの解 析から,各組織におけるAd /AdipoR作用の解明に取り 組んでいる.骨格筋特異的AdipoR1欠損マウスにおい てAd投与実験を行なったところ,骨格筋でのAMPK のリン酸化は骨格筋特異的AdipoR1欠損マウスでは低 下していた.骨格筋特異的AdipoR1欠損マウスの骨格 筋では,PGC-1

α

 (peroxisome proliferator activated re- cep tor 

γ

 coactivator-1) の発現低下が認められ,さら に,PGC-1

α

  の脱アセチル化も抑制され,活性化した PGC-1

α

 量が低下していた.それらに伴ってミトコンド リアDNA含量が低下しており,Err

α

 (estrogen-related  receptor 

α

),CytC (cytochrome C) も低下していた.

ま た,ATPase染 色 (pH 4.3) に て 骨 格 筋 特 異 的Adi- poR1欠損マウスの骨格筋ではtype1 fiberの低下が認め られ,運動負荷試験では持久力の低下が認められた.酸 化ストレスの消去に関わるSOD2,カタラーゼも低下 し,酸 化 ス ト レ ス マ ー カ ー で あ るTBARS (thio-

barbituric acid reactive substances) が上昇していた.

また,脂肪酸燃焼に関わるMCAD (medium-chain acyl- CoA dehydrogenase) の発現低下が認められ,骨格筋で の中性脂質含量が増加していた.糖負荷試験において は,糖負荷後の血糖値およびインスリン値は有意に上昇 しており,インスリン抵抗性,耐糖能障害が認められ た.グルコースクランプ試験においては糖取り込みの有 意な低下が認められた.

C2C12骨格筋細胞を用いた検討と合わせて,Adが骨 格筋ではAdipoR1を介して,細胞内カルシウム濃度の 上昇とAMPK/長寿遺伝子SIRT1 (sirtuin1) の活性化の 両方をもたらし,PGC-1

α

 とミトコンドリアの量と活性 の制御を司るなど,運動を模倣する作用を有しているこ とが明らかとなった(6).Ad/AdipoR1シグナルを増強す ることが,運動を模倣するという新しい視点で,肥満 症,2型糖尿病の新規治療法となる可能性が示唆された

(図1

AdipoRアゴニストの開発に関しては,ランダムスク リーニングによる内服可能な低分子量化合物の開発や,

抗体創薬,全長Ad・globular Ad・オスモチンなどの既 知のアゴニストとの結合のあるなしの状態での立体構造 解析のデータに基づく低分子量化合物の設計およびスク リーニングなどが戦略として考えられ,その実現が世界 で大いに期待されている.

  1)  T. Yamauch  : , 30, 221 (2002).

  2)  T. Yamauch  : , 8, 1288 (2002).

  3)  T. Yamauch  : , 7, 941 (2001).

  4)  T. Yamauch  : , 423, 762 (2003).

  5)  T. Yamauch  : , 13, 332 (2007).

  6)  M. Iwabu  : , 464, 1313 (2010).

(山内敏正,門脇 孝,東京大学大学院医学系研究科)

地力窒素の分子実体は何か

土壌には多様な分子量の有機態窒素が存在する

作物は土壌から主として無機態の窒素を吸収する.そ の窒素は,化学肥料に含まれている無機態窒素だけでは なく,土壌に含まれている有機態窒素から徐々に分解生 成する無機態窒素にも由来する.この土壌から生成し作 物に供給される窒素を「地力窒素」あるいは「可給態窒 素」と言う.土壌中には,生物活動や化学反応から生み

出される様々な窒素含有有機物が存在する.それらの有 機物が主に生物的に分解されて,生成した無機態の窒素 が作物に供給される.地力窒素の発現量を知ることは,

作物の生育予測や施肥設計に大変重要であることから,

その推定手法が研究されてきた.現在,作物の生育量と 生物学的あるいは化学的分析の結果得られた測定値との

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