オリンピックとおもてなし
~日本のおもてなしは外国人に歓迎されるのか~
永松 ひかる([email protected])
1.研究の概要
日本が観光立国を目指す上で、絶好の機会とも言える、2020年に開催される東京オリン ピック。そこで、日本の文化を世界にアピールする上で重要な鍵を握るのが、日本人の心 を反映した質の高いサービス「おもてなし」である。しかし、実際に全ての日本人が、「お もてなし」の特質や、世界との違いを理解しているかと言うと、決してそうではないのが 事実である。それに加え、近年日本人から、このおもてなしの心が消えつつあり、我々は、
無意識のうちに日本人らしさを失っていると考えることができる。
具体的には「おもてなし」とは何で、それがどのように他国と違うのか、そこにはきっと 日本人がもともと持っている資質があるはずである。それを発見し、自覚し、発信してい くことが出来れば、オリンピック成功にも繋がる。本研究ではこれらを、ビジネス上のお もてなしではなく、決してマニュアルではない、日本人が本来持つ資質である「おもてな しの心」という観点から進めていく。
(主な研究内容:おもてなしの語源、おもてなしとサービス・接客・接遇との違い、おも てなしとホスピタリティの違い、オリンピックのおもてなし、日本人が自覚するための提 案)
2.研究の目的
2020年の夏季オリンピック開催が東京に決定した。このオリンピックは、日本が観 光立国を目指す上で、世界に日本の魅力をアピールする絶好の機会とも言える。
オリンピックは世界の一大イベントであり、世界に対して発信力と求心力を持つ。そのた め、それは世界の人々に日本や日本人を再確認させる場ともなる。また、オリンピックは、
日本の文化を世界にアピールする良い機会でもある。日本が世界に誇れる文化は沢山ある が、特筆すべきものとして、日本人の心を反映した質の高いサービス「おもてなし」があ る。「おもてなし」は、日本が世界に誇れる魅力・価値の一つである。昔から多くの日本人 の心にある「おもてなし」は、相手を敬う心や姿勢・態度であるが、これはオリンピック 期間中に日本を訪れる外国人観光客からも歓迎されるものであるに違いない。
日本社会において、昔から存在する「おもてなし文化」=無形の価値。現在でも、日本
=おもてなし文化の国と言われ、そのイメージは今や世界中で定着しているとも言える。
しかし、実際に全ての日本人が、「おもてなし」とは何で、どのような所が他国と違うのか、
など…本当におもてなしを理解しているだろうか。それに加え、近年日本人から、このお もてなしの心が消えつつある。つまり、我々は、無意識のうちに日本人らしさを失ってし
まっていると考えることが出来る。
では、具体的には「おもてなし」とは何で、それがどのように他国と違うのだろうか、そ こにはきっと日本人がもともと持っている資質があるはずである。それを発見し、自覚し、
発信していくことが出来れば、世界に日本の魅力をアピールすることが出来、オリンピッ ク成功にも繋がるのではないだろうか。本研究では、決してビジネス上ではない、日本人 が本来持つ資質であるおもてなしの心という観点から考えていきたい。
3.研究の内容
*おもてなしの語源
『おもてなし』という言葉は、動詞『もてなす』の連用形名詞『もてなし』に丁寧語の接 頭辞『お』がついたもの。そもそもの意味は「とりなす、処置する」、「取り扱う、待遇す る」というもので、現代のように接待に関して用いられるのは中世以降になってからだと 言われている。
*おもてなしは日本人の心の原点
おもてなしは、「相手の心に自分の心を寄り添わせて、相手の立場になって対話をする姿勢 そのもの」という意味。かつて日本人が日本人らしくある立ち位置を決めた人がる。その 人物とは、聖徳太子である。彼は、日本の歴史の中で初めて、「もてなす」という言葉を公 に示した人でもあるのだ。聖徳太子こそ、「和を以て貴しとなす」という、日本人の精神性、
心の立ち位置というものを最初に決め、示した人だと言われている。「和」という、日本人 が大事にし、貴ぶべきもの、そしてそれを「以てなす」ということ、その大きな意義を正 式に公文書の中で示したのは、聖徳太子だけなのである。和とは決して、人との仲を保つ ために、とにかくカドを立てないようにすることではない。自分も含めて、その個性とい う違いを認め合い、生かしあうように協調していくことである。このバランス感覚こそが 日本人ならではの「和」の感性なのだ。
*オリンピックの“おもてなし”とは多様な価値観を受容れる「真のグローバル化」の実 現
外国から日本を訪れる人たちの人種、宗教、習慣、価値観など、その多様性を十分受け入 れることができるかが“おもてなし”の鍵を握る。「真のグローバル化」とは、グローバル スタンダードにすべてを統一することではなく、多種多様な価値基準がお互いに尊重され、
共存することである。
*日本人が自覚するための提案
①観光地のマネジメント
②教育
子供・大人を含むプログラム開発
4.参考文献
・『ホスピタリティ原論』/山本哲士
・『ホスピタリティ精神の深化』/山下徹
・http://thepage.jp/detail/20130913-00000005-wordleaf